JP2011105866A - グラフトポリマー、水性分散物および水性インク組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】着色材の分散性、経時安定性に優れた水性分散物を提供する。
【解決手段】着色材と、側鎖に下記一般式(1)で表される構造単位を含むグラフトポリマーとを含んで水性分散物を構成する。

[一般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を表す。Lは、−COOCH−、−OCO−、−CONR−(Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す)、または置換もしくは無置換のフェニレン基を表す。Lは下記の連結基群から選ばれる1種もしくは2種以上を組み合わせてなる2価の連結基を表す。Arは芳香環を含む基を表す。
(連結基群)
炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数2〜12のアルケニレン基、炭素数1〜12のアルキルエーテル基、−CO−、−NR−(Rは水素原子または炭素数が1〜6のアルキル基)、−O−、−S−、−SO−、−SO−]
【選択図】なし

Description

本発明は、グラフトポリマー、水性分散物および水性インク組成物に関する。
近年、資源保護、環境保全、作業安定性向上等のニーズの高まりによって塗料ならびにインク(以下、「インキ」ともいう)の水性化が進行しつつある。水性塗料ならびに水性インキに要求される品質は、油性塗料ならびに油性インキと同様、流動性、貯蔵安定性、皮膜の光沢、鮮明性、着色力等である。顔料はその高い結晶性に起因して本質的に堅牢性が高く、耐光性、耐水性は染料に比べて格段に優れている。しかしながら、大部分の顔料は水性ビヒクルに対して油性の場合に比べ顔料分散性等の適性が著しく劣るため通常の分散方法では満足な品質は得られない。そこで従来より各種の添加剤、例えば水性用顔料分散樹脂や界面活性剤の使用が検討されてきたが上記すべての適性を満足し、既存の高品質を有する油性塗料または油性インキに匹敵するような水性塗料または水性インキは得られていない。
上記に関連して、インクのメンテナンス性を向上させるために、主鎖とスペーサーを介して連結した芳香環構造を有する分散剤を使用した顔料分散インクが開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、インクの分散性、保存安定性を高めるために、疎水基ユニットと親水基ユニットの機能を分離した高分子分散剤を使用したインクジェット用インクが開示されている(例えば、特許文献2参照)。さらにグラフトポリマー等の構造化されたポリマーを顔料分散剤として用いたインクジェットインクが知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開2009−196184号公報 特開2001−164156号公報 特許3046013号公報
しかしながら、特許文献1に記載の水性インク組成物では、長期保存時にインク成分が沈降する場合があった。また特許文献2または3に記載の分散剤を用いた分散液では、長期保存時の沈降性および再分散性の点で不十分であった。
本発明は、上記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、着色剤の分散性、経時安定性に優れたグラフトポリマー、および該グラフトポリマーを含み、経時安定性と再分散性に優れ、長期間保存しても分散物の沈降が抑制される水性分散物、ならびに該水性分散物を含み、長期間保存してもインク成分の沈降が抑制される水性インク組成物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 側鎖に下記一般式(1)で表される構造単位を含むグラフトポリマー。
[一般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を表す。Lは、−COOCH−、−OCO−、−CONR−(Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す)、または置換もしくは無置換のフェニレン基を表す。Lは下記の連結基群から選ばれる1種もしくは2種以上を組み合わせてなる2価の連結基を表す。Arは芳香環を含む基を表す。
(連結基群)
炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数2〜12のアルケニレン基、炭素数1〜12のアルキルエーテル基、−CO−、−NR−(Rは水素原子または炭素数が1〜6のアルキル基)、−O−、−S−、−SO−、−SO−]
<2> アニオン性基を有する構造単位をさらに含む前記<1>に記載のグラフトポリマー。
<3> 前記アニオン性基がカルボキシル基である前記<2>に記載のグラフトポリマー。
<4> 前記アニオン性基を有する構造単位を主鎖に含む前記<2>または<3>に記載のグラフトポリマー。
<5> 前記一般式(1)におけるArは、ベンゼン、炭素数8以上の縮環型芳香環化合物、芳香環が縮環したヘテロ環化合物、または2以上のベンゼンが連結した化合物から誘導される基である前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載のグラフトポリマー。
<6> 前記一般式(1)で表される構造単位の含有率が1〜40質量%である前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載のグラフトポリマー。
<7> 酸価が5〜500mgKOH/gである前記<1>〜<6>のいずれか1項に記載のグラフトポリマー。
<8> 前記<1>〜<7>のいずれか1項に記載のグラフトポリマーと、着色剤と、を含む水性分散物。
<9> 前記着色剤は、顔料である前記<8>に記載の水性分散物。
<10> 前記<8>または<9>に記載の水性分散物を含む水性インク組成物。
<11> 水性UV硬化性素材をさらに含む前記<10>に記載の水性インク組成物。
本発明によれば、着色剤の分散性、経時安定性に優れたグラフトポリマー、および該グラフトポリマーを含み、経時安定性と再分散性に優れ、長期間保存しても分散物の沈降が抑制される水性分散物、ならびに該水性分散物を含み、長期間保存してもインク成分の沈降が抑制される水性インク組成物を提供することができる。
<グラフトポリマー>
本発明のグラフトポリマーは、側鎖に下記一般式(1)で表される構造単位の少なくとも1種を有する。前記グラフトポリマーは、例えば、着色剤(好ましくは、顔料)の分散剤として用いられ、分散性と経時安定性に優れる水性分散物を構成することができる。またかかるグラフトポリマーを用いて構成された水性分散物は、経時安定性と再分散性に優れ、長期間保存後も分散物の沈降が抑制される。
前記グラフトポリマーが、側鎖(以下、「枝ポリマー」ということがある)に下記一般式(1)で表される構造単位を有することにより、芳香環部分が側鎖を構成する高分子鎖部分に特定構造の連結基を介して結合した構造となっている。これによりグラフトポリマーが顔料表面により効率的に吸着する。また、主鎖(以下、「幹ポリマー」ということがある)が含むことがあるイオン性部分構造が、静電反発と主鎖自体の立体反発の相乗的な作用により、水性媒体中により広がった状態となりやすいため、顔料の分散性と経時安定性が向上する。
かかる構成のグラフトポリマーを用いて構成した顔料分散物を含む水性インク組成物は、長期保存性に優れ、インク成分の沈降が抑制された水性インク組成物として構成することができる。
一般式(1)中、Lは、−COOCH−、−OCO−、−CONR−(Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す)、または置換もしくは無置換のフェニレン基を表す。中でも、分散性と経時安定性の観点から、−COOCH−または置換もしくは無置換のフェニレン基であることが好ましい。
またLは、下記の連結基群から選ばれる1種もしくは2種以上を組み合せてなる2価の連結基を表す。
(連結基群)
炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数2〜12のアルケニレン基、炭素数1〜12のアルキルエーテル基、−CO−、−NR−(Rは水素原子または炭素数が1〜6のアルキル基)、−O−、−S−、−SO−、−SO−。
前記アルキレン基は、炭素数1〜12であるが、炭素数1〜6であることが好ましい。また前記アルケニレン基は、炭素数2〜12であるが、炭素数2〜4であることが好ましい。また前記アルキルエーテル基は、炭素数1〜12であるが、炭素数1〜6であることが好ましい。ここで前記アルキレン基、アルケニレン基、及びアルキルエーテル基は、可能であれば、それぞれ独立に、置換基(炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基等)によって置換されていてもよい。
本発明において前記Lは、分散安定性の観点から、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜12のアルキルエーテル基、−CO−、−NR−(Rは水素原子または炭素数が1〜6のアルキル基)、および−O−からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる2価の連結基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基、炭素数1〜6のアルキルエーテル基、−CO−、−NH−、および−O−からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる2価の連結基であることがより好ましい。
一般式(1)におけるArは芳香環を含む基であるが、フェニル基、炭素数8以上の縮環型芳香環化合物、芳香環が縮環したヘテロ環化合物、または2以上のベンゼンが連結した化合物から誘導される1価の基であることが好ましい。
前記炭素数8以上の縮環型芳香環化合物とは、少なくとも2個以上のベンゼン環が縮環した芳香環、及び/又は、少なくとも1種の芳香環と該芳香環に縮環した脂環式炭化水素から構成される、炭素数8以上の芳香族化合物である。具体的な例としては、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、アセナフテンなどが挙げられる。
前記芳香環が縮環したヘテロ環化合物とは、ヘテロ原子を含まない芳香族化合物(好ましくはベンゼン環)と、ヘテロ原子を有する環状化合物とが少なくとも縮環した化合物である。ここで、ヘテロ原子を有する環状化合物は5員環または6員環であることが好ましい。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、または硫黄原子が好ましい。ヘテロ原子を有する環状化合物は複数のヘテロ原子を有していても良く、この場合、ヘテロ原子は互いに同じでも異なっていてもよい。芳香環が縮環したヘテロ環化合物の具体例としては、フタルイミド、ナフタルイミド、アクリドン、カルバゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾールなどが挙げられる。
前記2以上のベンゼンが連結した化合物とは、2以上のベンゼンが、単結合、2価の連結基、または3価の連結基で、互いに結合されて形成される化合物をいう。2価の連結基としては、炭素数1〜4のアルキレン基、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO−およびそれらの組合せからなる群より選ばれる2価の連結基であることが好ましい。また3価の連結基としてはメチン基が挙げられる。
ここで、それぞれのベンゼンは互いに複数の連結基で結合されていても良く、複数の連結基は同じであっても異なっていても良い。ベンゼンの数としては、2〜6個が好ましく、2〜3個がより好ましい。2以上のベンゼンが連結した化合物の具体例としては、ビフェニル、トリフェニルメタン、ジフェニルメタン、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルホン等が挙げられる。
一般式(1)におけるArとしては、顔料の分散性と経時安定性の観点から、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、トリフェニルメタン、フタルイミド、ナフタルイミド、アクリドン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン、ジフェニルメタン、又はカルバゾールから誘導される1価の基が好ましく、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、フタルイミド、ナフタルイミド、またはアクリドンから誘導される1価の基がより好ましい。
ここで、例えば、ナフタレンから誘導される1価の基とは、ナフタレンから水素原子が1つ取り除かれて形成される1価の基を意味し、水素原子が取り除かれる位置は特に限定されない。
前記Arは置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニルオキシ基、ハロゲン基、シアノ基等の1価の置換基、オキソ基等の2価の置換基を挙げることができる。また好ましい置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキルカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルカルボニルオキシ基、クロロ基、シアノ基、オキソ基等を挙げることができる。
これらの置換基のうち、2価の置換基を有するArの具体例としては、アントラキノン、ナフトキノン等を挙げることができる。
さらにこれらの置換基は、他の置換基によって、置換されていても良く、この場合の好ましい置換基も上記と同義である。また、置換基を2つ以上有する場合は、それぞれの置換基は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には置換基同士が互いに結合して環を形成していてもよい。
本発明において一般式(1)で表される構造単位は、分散性と経時安定性の観点から、Lが、−COOCH−または置換もしくは無置換のフェニル基であって、Lが炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜12のアルキルエーテル基、−CO−、−NR−(Rは水素原子または炭素数が1〜6のアルキル基)、および−O−からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる2価の連結基であって、Arが、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、トリフェニルメタン、フタルイミド、ナフタルイミド、アクリドン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン、ジフェニルメタン、アントラキノン、又はカルバゾールから誘導される1価の基であることが好ましい。
また、Lが、−COOCH−または置換もしくは無置換のフェニル基であって、Lが炭素数1〜4のアルキレン基、炭素数1〜6のアルキルエーテル基、−CO−、−NH−、および−O−からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる2価の連結基であって、Arがベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、フタルイミド、ナフタルイミド、アントラキノン、またはアクリドンから誘導される1価の基であることがより好ましい。
また前記一般式(1)で表される構造単位は、分散性と経時安定性の観点から、Arがナフタレン、ビフェニル、トリフェニルメタン、フタルイミド、ナフタルイミド、アクリドン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン、ジフェニルメタン、アントラキノン、又はカルバゾールから誘導される1価の基であって、Lが、−COOCH−または置換もしくは無置換のフェニル基であって、Lが炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜12のアルキルエーテル基、−CO−、−NR−(Rは水素原子または炭素数が1〜6のアルキル基)、および−O−からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる2価の連結基であるか、または、Arがフェニル基であって、Lが、−COOCH−または置換もしくは無置換のフェニル基であって、Lが、炭素数1〜12のアルキルエーテル基、−CO−、−NR−(Rは水素原子または炭素数が1〜6のアルキル基)、および−O−からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる2価の連結基であることが好ましく、Arがナフタレン、ビフェニル、フタルイミド、ナフタルイミド、アントラキノン、またはアクリドンから誘導される1価の基であって、Lが、−COOCH−または置換もしくは無置換のフェニル基であって、Lが炭素数1〜4のアルキレン基、炭素数1〜6のアルキルエーテル基、−CO−、−NH−、および−O−からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる2価の連結基であるか、または、Arがフェニル基であって、Lが、−COOCH−または置換もしくは無置換のフェニル基であって、Lが炭素数1〜6のアルキルエーテル基、−CO−、−NH−、および−O−からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる2価の連結基であることがより好ましい。
本発明のグラフトポリマーにおいて、一般式(1)で表される構造単位は、一般式(1)で表される構造単位を構成しうるモノマーに由来するものであっても、側鎖(枝ポリマー)の形成後に対応する芳香環基を含む部分構造を側鎖に導入して形成されたものであってもよい。本発明においては、製造効率と経時安定性の観点から、一般式(1)で表される構造単位を構成しうるモノマーに由来するものであることが好ましい。
以下に、一般式(1)で表される構造単位を構成しうるモノマーの具体例を挙げるが、本発明は以下の具体例に制限されるものではない。
前記グラフトポリマーの側鎖における一般式(1)で表される構造単位の含有率としては、顔料分散性、経時安定性、吐出の観点から、グラフトポリマーの側鎖部分の全質量に対して5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることがさらに好ましい。
前記グラフトポリマーの側鎖は、一般式(1)で表される構造単位に加えて、一般式(1)で表される構造単位以外のその他の構造単位の少なくとも1種をさらに含むことができる。前記その他の構造単位としては、親水性の構造単位であっても、疎水性の構造単位であってもよい。
前記親水性の構造単位としては、アニオン性基を有する構造単位、カチオン性基を有する構造単位、ノニオン性基を有する構造単位を挙げることができる。
またその他の疎水性の構造単位としては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類およびビニルエステル類に由来する構造単位を挙げることができる。
これらその他の疎水性の構造単位を形成しうるモノマーとしては、例えば「ポリマーハンドブック第4版John Wiley & Sons」等に記載のモノマーを挙げることができ、これらはそれぞれ1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
以下にグラフトポリマー(分散剤)中における一般式(1)で表される構造単位を有する側鎖(枝ポリマー)の具体例を挙げるが、本発明は以下の具体例に制限されるものではない。
尚、下記具体例において、大括弧に囲まれた各構造単位は、それらが側鎖を構成する構造単位であることを意味する。また各構造単位における添え字は、側鎖が有するその構造単位の含有率を質量基準で表したものである。
また、各具体例には側鎖部分の重量平均分子量(Mw)の例を示した。
本発明における一般式(1)で表される構造単位を有する側鎖は、グラフトポリマー中に1種単独でも、2種以上含まれていてもよい。
また前記側鎖部分の重量平均分子量としては、分散性と凝集性の観点から、800〜20000であることが好ましく、800〜15000であることがより好ましい。さらにグラフトポリマーの全質量に対する前記一般式(1)で表される構造単位を有する側鎖の含有率としては、分散性と凝集性の観点から、1〜40質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましい。
本発明におけるグラフトポリマーは、側鎖に前記一般式(1)で表される構造単位を有することを特徴とするが、分散性と経時安定性の観点から、親水性基を有する構造単位の少なくとも1種を含むことが好ましく、主鎖(幹ポリマー)に親水性基を有する構造単位の少なくとも1種を含むことがより好ましい。
前記親水性基としては、アニオン性基、カチオン性基、およびノニオン性基等を挙げることができる。
本発明においては、アニオン性基を有する構造単位の少なくとも1種を含むことが好ましく、主鎖(幹ポリマー)にアニオン性基を有する構造単位の少なくとも1種を含むことがより好ましい。
前記アニオン性基としては、水性媒体中でアニオンに解離可能な官能基であれば特に制限はない。例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、及びリン酸基からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。中でも、分散安定性の観点から、カルボキシル基であることが好ましい。
前記アニオン性基を含む構造単位は、アニオン性基を有するモノマーに由来する親水性の構造単位であっても、主鎖(幹ポリマー)の形成後にアニオン性基を導入して形成されたものであってもよい。本発明においては、製造効率と安定性の観点から、アニオン性基を有するモノマーに由来する親水性の構造単位であることが好ましい。
前記アニオン性基を有するモノマーとしては、通常用いられるモノマーを特に制限なく用いることができる。
前記アニオン性基を有するモノマーとして具体的には、前記カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。
またスルホン酸基を有するモノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコネート等が挙げられる。
またリン酸基を有するモノマーとしては、例えば、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
本発明におけるアニオン性基を有するモノマーは、上記の中でも、水性顔料分散物を得た際の、顔料の分散性及び経時安定性の観点から、カルボキシル基を有するモノマーであることが好ましく、メタクリル酸およびアクリル酸の少なくとも一方であることがより好ましい。
前記アニオン性基を有するモノマーは1種単独でも、2種類以上を混合して用いても良い。
前記アニオン性基を有する構造単位の含有量としては、グラフトポリマーの全質量中、例えば90質量%以下とすることができ、1〜60質量%であることが好ましく、1〜40質量%であることがより好ましい。アニオン性基を有する繰り返し単位の含有量を1質量%以上とすることで水分散液中での荷電反発性が向上し、顔料微細化および分散安定性が向上する。一方、60質量%以下とすることで、分散剤の水溶性が高くなりすぎることを抑制し、顔料表面への分散剤の吸着性が向上し、分散安定性が向上する。
また、前記グラフトポリマーがアニオン性基を有する場合、その酸価としては、5mgKOH/g以上500mgKOH/g以下であることが好ましく、10mgKOH/g以上450mgKOH/g以下であることがより好ましく、15mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。
なお、ここでいう酸価とは、前記グラフトポリマーの1gを完全に中和するのに要するKOHの質量(mg)で定義され、JIS規格(JISK0070:1992)記載の方法で測定することができ、本発明においてはこれを採用する。
グラフトポリマーの酸価を、5mgKOH/g以上とすることで、解離したアニオン性基(好ましくは、カルボキシル基)による分散物の荷電反発が十分に得られ、結果として分散性が向上する傾向となる。また、500mgKOH/g以下とすることで、グラフトポリマーの親水性が高くなり過ぎることを抑制し、顔料への吸着性が向上する傾向となる。
前記ノニオン性基としては、水酸基、(窒素原子が無置換の)アミド基及び、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のアルキレンオキシド重合体が挙げられる。
前記ノニオン性基は、ノニオン性基を有する親水性の構造単位として主鎖に含まれることが好ましい。前記ノニオン性親水性基を有する親水性の構造単位を形成するモノマーとしては特に制限はないが、入手性、取り扱い性、汎用性の観点からビニルモノマー類が好ましい。
これらノニオン性基を有するモノマーの例として、ノニオン性の親水性官能基を有する(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエステル類が挙げられる。なかでも、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、アルキレンオキシド重合体を含有する(メタ)アクリレートが特に好ましい。
また前記アルキレンオキシド重合体のアルキレン基としては、親疎水性の観点から炭素数1〜6が好ましく、炭素数2〜6がより好ましく、炭素数2〜4が特に好ましい。またアルキレンオキシド重合体の重合度としては、1〜120が好ましく、1〜60がより好ましく、1〜30が特に好ましい。
また前記グラフトポリマー中における、ノニオン性基を有する親水性の構造単位の含有率としては、分散性と経時安定性の観点から、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
またカチオン性基としては、アミノ基、アンモニウム基等を挙げることができ、カチオン性基を有する親水性の構造単位として主鎖に含まれることが好ましい。前記カチオン性基を有する親水性の構造単位を形成するモノマーとしては特に制限はないが、入手性、取り扱い性、汎用性の観点からビニルモノマー類が好ましい。
カチオン性基を有するモノマーの具体例としては、「ポリマーハンドブック第4版John Wiley & Sons」等に記載のモノマーを挙げることができ、これらはそれぞれ1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
また前記グラフトポリマー中における、カチオン性基を有する親水性の構造単位の含有率としては、分散性と経時安定性の観点から、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
また前記グラフトポリマーにおける主鎖は、疎水性の構造単位の少なくとも1種を含んでいてもよい。疎水性の構造単位を形成するモノマー類としては、前記側鎖を形成しうる官能基と疎水性の官能基とを有していれば特に制限はなく、公知のモノマー類を特に制限なく用いることができる。
前記疎水性の構造単位を形成しうるモノマーとしては、入手性、取り扱い性、汎用性の観点から、ビニルモノマー類((メタ)アクレート類、(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、ビニルエステル類等)が好ましい。
これらの具体例としては、「ポリマーハンドブック第4版John Wiley & Sons」等に記載のモノマーを挙げることができ、これらはそれぞれ1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
前記グラフトポリマー中における主鎖を構成する疎水性の構造単位の含有率としては、分散性と経時安定性の観点から、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。
本発明のグラフトポリマーは、公知の方法を用いて合成することができるが、グラフトポリマーの構造制御と合成のしやすさから、一般式(1)で表される構造単位の少なくとも1種と必要に応じてその他の構造単位を含んでなる高分子様の部分構造と、末端にエチレン性不飽和結合とを有するマクロモノマーを用いて、主鎖形成用のモノマーとともに共重合させる、いわゆるマクロモノマー法で合成することが好ましい。マクロモノマーの合成方法、あるいはマクロモノマー法によるグラフトポリマーの合成方法は、たとえば、「高分子」第31巻第988頁(1982年)に開示されている。
前記マクロモノマー法に用いられるマクロモノマーは、末端にエチレン性不飽和結合を有し、一般式(1)で表される構造単位を有するものであれば特に制限はなく、一般式(1)で表される構造単位以外の繰り返し単位をさらに含んでいてもよい。
また前記マクロモノマーは、各構造単位が不規則的に導入されたランダム共重合体であっても、規則的に導入されたブロック共重合体であっても良く、ブロック共重合体である場合の各構造単位の導入順序には制限はなく、同一の構成成分を2度以上用いてもよい。中でも、ランダム共重合体であることが汎用性、製造性の点で好ましい。
また前記マクロモノマーの重量平均分子量は、800〜20000の範囲が好ましく、800〜15000の範囲がより好ましい。本発明のグラフトポリマーに含まれるマクロモノマーの割合は、グラフトポリマーの全質量に対して1〜40質量%の範囲が好ましく、1〜30質量%の範囲がより好ましい。
以下に、本発明におけるマクロモノマーの具体例を挙げるが本発明はこれらに限定されるものではない。尚、下記具体例中の繰り返し単位の添え字は、マクロモノマー中における各繰り返し単位の含有率を質量基準で表したものである。
本発明に用いられるグラフトポリマーは、種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合により合成することができる。重合反応は回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で行うことができる。
重合の開始方法はラジカル開始剤を用いる方法、光または放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている。
上記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールのような種々の有機溶剤の単独あるいは2種以上の混合物でも良いし、水との混合溶媒としても良い。
重合温度は生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定することができ、通常、0℃〜100℃程度であるが、50〜100℃の範囲で重合を行うことが好ましい。
反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は、1〜100kg/cm、特に、1〜30kg/cm程度が好ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。得られたポリマーは再沈澱などの精製を行っても良い。
さらに、本発明のグラフトポリマーの分子量範囲は、重量平均分子量(Mw)で、好ましくは1000〜100万であり、より好ましくは2000〜50万であり、さらに好ましくは3000〜15万である。
前記分子量を上記範囲とすることにより、分散剤としての立体反発効果が良好な傾向となり、また立体効果により顔料への吸着時間が短くなる傾向の観点から好ましい。
また、本発明のグラフトポリマーの分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で表される)は、1〜6であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。
前記分子量分布を上記範囲とすることにより、顔料の分散時間の短縮、及び分散物の経時安定性の観点から好ましい。ここで数平均分子量及び、重量平均分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用い換算して表した分子量である。
以下に、グラフトポリマーの具体例を挙げるが、本発明は以下の具体例に制限されるものではない。
尚、下記具体例において、大括弧に囲まれた各構造単位は、それらが側鎖を構成する構造単位であることを意味し、各構造単位における添え字は、側鎖が有するその構造単位の含有率を質量基準で表したものである。
また、各具体例には側鎖部分(枝ポリマー)の重量平均分子量をMwとして例示した。
本発明におけるグラフトポリマーは、経時安定性、再分散性の観点から、側鎖に一般式(1)で表される構造単位をグラフトポリマーの全質量に対して1〜40質量%含み、主鎖にアニオン性基を含む構造単位を1〜60質量%含み、重量平均分子量が800〜20000であることがより好ましく、側鎖に一般式(1)で表される構造単位をグラフトポリマーの全質量に対して1〜30質量%含み、主鎖にカルボキシル基を有する構造単位を1〜40質量%含み、重量平均分子量が800〜15000であることがさらに好ましい。
<水性分散物>
本発明の水性分散物は、前記グラフトポリマーの少なくとも1種と、着色剤の少なくとも1種と、水性媒体とを含む。着色剤の1種として含まれる顔料が前記グラフトポリマーを用いて分散されていることにより、分散性と経時安定性に優れ、長期間保存しても沈降の発生が抑制された水性分散物を構成することができる。
(着色材)
本発明における着色材は、公知の染料、顔料等を特に制限なく用いることができる。中でも、インク着色性の観点から、水に殆ど不溶であるか、又は難溶である着色材であることが好ましい。具体的には例えば、各種顔料、分散染料、油溶性染料、J会合体を形成する色素等を挙げることができ、顔料であることがより好ましい。
前記顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機顔料、無機顔料のいずれであってもよい。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、などが挙げられる。染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックが特に好ましい。なお、前記カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。
顔料として具体的には、例えば、特開2007−100071号公報の段落番号[0142]〜[0145]に記載の顔料などが挙げられる。
上記の顔料は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組合せて使用してもよい。
前記着色材の水性分散物における含有率は、着色性、保存安定性等の観点から、水性分散物の全質量に対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.2〜18質量%がより好ましく、0.5〜16質量%が特に好ましい。
前記着色材は、単独で用いても複数併用してもよい。
前記水性分散物における前記グラフトポリマーの含有率については、特に制限はないが、前記着色材(好ましくは、顔料)と前記グラフトポリマーとの含有比(着色材:グラフトポリマー、質量基準)として、1:0.06〜1:3の範囲であることが好ましく、1:0.125〜1:2の範囲であることがより好ましく、1:0.125〜1:1.5であることがさらに好ましい。
本発明の水性分散物における水系媒体は、少なくとも水を含むものであるが、水溶性有機溶剤の少なくとも1種をさらに含むことができる。前記水溶性有機溶剤としては、後述する水性分散物の調製に用いられる有機溶剤や、後述する水性インク組成物における水溶性有機溶剤を挙げることができる。
本発明における水性分散物は、前記側鎖に一般式(1)で表される構造単位を有するグラフトポリマーと、着色材(好ましくは、顔料)とを含むが、前記水性分散物は、前記側鎖に一般式(1)で表される構造単位を有するグラフトポリマーで分散された顔料分散物であることが好ましく、前記顔料表面の少なくとも一部が前記グラフトポリマーで被覆された顔料分散物であることがより好ましい。
本発明における顔料分散物は、例えば、以下のようにして調製することができる。
顔料分散物は、顔料、分散剤(グラフトポリマー)、前記分散剤を溶解または分散する有機溶剤、及び塩基性物質を含み水を主成分とする溶液を混合した後(混合・水和工程)、有機溶剤の少なくとも一部を除く(溶媒除去工程)ことで調製されることが好ましい。かかる顔料分散物の調製方法によれば、前記顔料が微細に分散され、保存安定性に優れた顔料分散物を製造することができる。
本発明における有機溶剤は、本発明における分散剤(グラフトポリマー)を溶解または分散できることが必要だが、これに加えて水に対してある程度の親和性を有することが好ましい。具体的には、20℃において、水に対する溶解度が10質量%以上50質量%以下であるものが好ましい。
本発明における顔料分散物は、更に詳細には下記に示す工程(1)、(2)より成る製造方法で製造することができるが、これに限定されるものではない。
工程(1):顔料、分散剤、前記分散剤を溶解・分散する有機溶剤、塩基性物質を含み水を主成分とする溶液、及び水を含有する混合物を、分散処理する工程。
工程(2):前記有機溶剤の少なくとも一部を除去する工程。
前記工程(1)では、まず、前記分散剤を有機溶剤に溶解、または分散させ、これらの混合物を得る(混合工程)。次に顔料、塩基性物質を含み水を主成分とする溶液、水、及び必要に応じて界面活性剤等を、前記混合物に加えて混合、分散処理し、水中油型の顔料分散物を得る。
前記塩基性物質は分散剤のアニオン性基の中和に用いられるが、その中和度には、特に限定がない。通常、最終的に得られる水系着色材分散物の液性が中性、例えば、pHが4.5〜10であることが好ましい。前記分散剤の望まれる中和度により、pHを決めることもできる。
本発明に用いられる有機溶剤の好ましい例としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒が挙げられる。これらのうちアルコール系溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、第3級ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶媒の中では、イソプロパノール、アセトン及びメチルエチルケトンが好ましく、特に、メチルエチルケトンが好ましい。
また、これらの有機溶剤は、1種単独で用いても複数併用してもよい。
前記顔料分散物の製造においては、二本ロール、三本ロール、ボールミル、トロンミル、ディスパー、ニーダー、コニーダー、ホモジナイザー、ブレンダー、単軸若しくは2軸の押出機等を用いて、強い剪断力を与えながら混練分散処理を行なうことができる。
なお、混練、分散についての詳細は、T.C. Patton著”Paint Flow and Pigment Dispersion”(1964年 John Wiley and Sons社刊)等に記載されている。
また、必要に応じて、縦型若しくは横型のサンドグラインダー、ピンミル、スリットミル、超音波分散機等を用いて、0.01〜1mmの粒径のガラス、ジルコニア等でできたビーズで微分散処理を行なうことにより得ることができる。
本発明の顔料分散物の製造方法において、前記有機溶剤の除去は特に限定されず、減圧蒸留等の公知の方法により除去できる。
前記顔料分散物の製造方法により得られた顔料の平均粒径としては、10nm以上200nm未満が好ましく、50nm以上130nm未満がより好ましく、60nm以上100nm未満がさらに好ましい。このような範囲とすることにより発色性、分散安定性、インクジェット法における吐出安定性が良好となる点で好ましい。
前記顔料の分散粒子の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定した体積平均粒径を採用する。
前記顔料分散物は、例えば、後述のインクジェット記録用の水性インク組成物、また、水性ボールペンやマーカーペンなどの筆記用具の水系インクに使用することができる。この場合、インクジェットノズルやペン先が乾燥により目詰まりするのを防ぐために、低揮発性又は不揮発性の水溶性有機溶剤を添加することもできる。また、記録媒体への浸透性を高めるためには、揮発性の脂溶性有機溶剤を添加することもできる。
<水性インク組成物>
本発明における水性インク組成物(以下、単に「インク」ということがある)は、前記水性分散物の少なくとも1種を含み、必要に応じて水性媒体、樹脂粒子、水性UV硬化性素材、その他の添加剤等を含んで構成される。
本発明の水性インク組成物は、前記グラフトポリマーと着色材とを含む水性分散物を用いて構成されることにより、経時安定性とインク成分の沈降抑制に優れるため、例えばインクジェット記録方法に適用することにより、吐出安定性に優れ、高精細な画像を形成することができる。
本発明の水性インク組成物における前記水性分散物の含有率は、目的に応じて適宜選択できるが、着色性、保存安定性等の観点から、前記着色材の水性インク組成物の全固形分質量に対して、1〜60質量%が好ましく、5〜60質量%がより好ましく、10〜60質量%が特に好ましい。
(水性媒体)
本発明における水性インク組成物は、水性媒体を含む。水性媒体は、少なくとも水を含むものであるが、水溶性有機溶剤の少なくとも1種を更に含むことができる。水溶性有機溶剤を含有することで、例えば、本発明の水性インク組成物をインクジェット方式による画像記録方法に適用する場合、インク噴射口におけるインクの乾燥によって発生し得るノズルの目詰まりを効果的に抑制したり(乾燥防止剤)、水性インク組成物を記録媒体(好ましくは、印刷用紙)により良く浸透させたり(浸透促進剤)することができる。また、水溶性有機溶剤によって水性インク組成物の粘度を調整することもできる。
−水溶性有機溶剤−
水溶性有機溶剤としては通常用いられる水溶性有機溶剤を特に制限なく用いることができる。また1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。水溶性有機溶剤の具体的な例としては、
アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、
多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、チオジグリコール、ジチオグリコール、アセチレングリコール誘導体等)、
グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングルコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、
アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、
及び、その他の極性溶剤(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、3−スルホレン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が挙げられる。
前記水溶性有機溶剤として、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤を用いることで、インクジェット記録におけるノズルの乾燥をより効果的に抑制することができる。水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤の具体的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体等が挙げられる。中でも、グリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールが好ましい。これらの水溶性有機溶剤は、水性インク組成物中に、5〜50質量%含有されることが好ましい。
また水溶性有機溶剤として、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類を用いることで、インクの記録媒体への浸透をより効果的に促進できる。これらの水溶性有機溶剤は、水性インク組成物中に、5〜30質量%含有されることで、充分な効果を発揮する。また水溶性有機溶剤は、印画の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲内で使用されることが好ましい。尚、浸透促進剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等も好適に用いることができる。
(樹脂粒子)
本発明における水性インク組成物は、印刷物の定着性、耐擦性を高める目的で樹脂粒子をさらに含有しても良い。本発明に用いられることができる樹脂粒子としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、パラフィン系樹脂、フッ素系樹脂等あるいはそのラテックスを用いることができる。アクリル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン系樹脂を好ましい例として挙げることができる。これらの樹脂粒子は1種単独でも、2種以上を混合して用いることもできる。
また樹脂粒子はラテックスの状態で用いることもできる。
本発明において、前記樹脂粒子の重量平均分子量は1万以上、30万以下が好ましく、より好ましくは1万以上、10万以下である。
樹脂粒子の平均粒径は、1〜300nmの範囲が好ましく、1〜100nmの範囲がより好ましく、1〜30nmの範囲が特に好ましい。また、樹脂微粒子の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、単分散の粒径分布を持つ樹脂微粒子を、2種以上混合して使用してもよい。
また前記樹脂粒子の添加量は水性インク組成物に対して、0.5〜20質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましく、2〜15質量%がさらに好ましい。
さらに樹脂粒子のガラス転移温度Tgは30℃以上であることが好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましい。
(水性UV硬化性素材)
本発明の水性インク組成物は、記録媒体上における画像の定着性、耐擦性を高める目的で、エチレン性不飽和結合を有する水溶性重合性化合物および重合開始剤からなる水性UV硬化性素材をさらに含有していてもよい。
以下に、本発明で用いることのできるエチレン性不飽和結合を有する水溶性重合性化合物および重合開始剤について説明する。
−エチレン性不飽和結合を有する水溶性重合性化合物−
本発明における水性インク組成物は、エチレン性不飽和結合を有する水溶性重合性化合物(以下、「特定重合性化合物」と称することがある)の少なくとも1種を含有することが好ましい。
前記特定重合性化合物は、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する水溶性化合物であれば特に制限はなく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を持つものが含まれる。特定重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。好ましくは2種以上併用して用いることが、反応性、物性などの性能を制御する上で好ましい。またインクの吐出安定性の観点から、水に対する溶解性が良く、且つ、水性インク組成物中に析出しにくい化合物を用いることが好ましい。
本発明で用いられる特定重合性化合物は、25℃において蒸留水に2質量%以上溶解する化合物を意味する。
特定重合性化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、およびマレイン酸等の不飽和カルボン酸、ならびに、それらのエステル誘導体およびそれらの塩、アクリルアミドおよびメタクリルアミドならびにその誘導体、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン、ビニルエーテル、アリルエーテル等が挙げられ、アクリル酸およびメタクリル酸、ならびに、それらのエステル誘導体および塩、アクリルアミドおよびメタクリルアミド、ならびにその誘導体から選ばれる少なくとも1種が好ましく、アクリル酸またはメタクリル酸のモノエステル(以下、「モノアクリレート」ということがある)、アクリル酸またはメタクリル酸とポリオール化合物とのエステル(以下、「多官能アクリレートモノマー」または「多官能アクリレートオリゴマー」ということがある)、またはアクリルアミドまたはメタクリルアミドとその誘導体の少なくとも1種であることがより好ましい。
本発明で用いられる特定重合性化合物は、水溶性付与の観点から、ポリ(エチレンオキシ)鎖、ポリ(プロピレンオキシ)鎖、イオン性基(例えばカルボキシル基、スルホ基など)、および水酸基の少なくとも1種を有することが好ましい。
前記特定重合性化合物が、ポリ(エチレンオキシ)鎖、ポリ(プロピレンオキシ)鎖を有する場合、エチレンオキシ単位、およびプロピレンオキシ単位のユニットの数は1〜10の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜5の範囲である。ユニットの数が10以下であることで硬化した時の皮膜の硬度や被記録媒体に対する密着性等が向上する。
特定重合性化合物のうち、モノアクリレート、多官能アクリレートモノマー、多官能アクリレートオリゴマー、および、(メタ)アクリルアミド誘導体の特に好ましい具体例としては、例えば、以下に示す構造の化合物が挙げられるが、本発明で使用する特定重合性化合物はこれらに限定されるものではない。
また上記例示化合物以外に、メタクリル酸、3-スルホプロピルアクリレートのカリウム塩などのイオン性基を有する化合物も好ましく用いられる。
本発明において特定重合性化合物は、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また本発明においては、感度、滲み、被記録媒体との密着性をより改善するために、特定重合性化合物として、モノアクリレートの少なくとも1種と、分子量400以上、好ましくは500以上の多官能アクリレートモノマー又は多官能アクリレートオリゴマーを併用することが好ましい。特に、PETフィルムやPPフィルムといった柔軟な被記録媒体への記録に使用するインク組成物においては、上記化合物群の中から選ばれるモノアクリレートと、多官能アクリレートモノマー又は多官能アクリレートオリゴマーとの併用は、膜に可撓性を持たせて密着性を高めつつ、膜強度を高められるため好ましい。
さらに、単官能、2官能、および3官能以上の多官能モノマーの少なくとも3種の特定重合性化合物を併用する態様が、安全性を維持しつつ、更に、感度、滲み、被記録媒体との密着性をより改善することができるという観点から好ましい。
本発明の水性インク組成物におけるエチレン性不飽和結合を有する化合物の含有率としては、水性インク組成物全量に対して、質量基準で1〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがより好ましい。
−重合開始剤−
本発明における水性インク組成物は、重合開始剤の少なくとも1種をさらに含むことが好ましい。重合開始剤としては、特定増感色素と組み合わせて良好な重合開始能を有するものであれば特に限定されるものではなく、公知の重合開始剤の中から選択することができる。重合開始剤の中でも、水溶性であるものが好ましい。「水溶性」の程度としては、25℃において蒸留水に0.5質量%以上溶解することが好ましく、1質量%以上溶解することが好ましく、3質量%以上溶解することが特に好ましい。
重合開始剤のうち、α−アミノケトン系化合物、及びアシルホスフィンオキシド系化合物からなる群より選択される重合開始剤が好ましい。
前記α−アミノケトン系化合物としては、下記一般式(5)で表される構造を有する化合物を用いることが好ましい。
前記一般式(5)において、Ar1Dは、−SR51又は−N(R52)(R53)で置換されているフェニル基を表し、R51は、水素原子、又はアルキル基を表す。R52とR53は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ置換された炭素数2〜4のアルキル基、又は炭素数3〜5のアルケニル基を表す。R52とR53は、互いに結合して炭素数3〜7のアルキレン基を形成してもよく、そのアルキレン基は、アルキレン鎖中に−O−あるいは−N(R54)−を含むものであってもよい。R54は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
1D及びR2Dは、それぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基を表す。R1DとR2Dは、互いに結合して炭素数2〜9のアルキレン基を構成してもよい。R3D及びR4Dは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ置換された炭素数2〜4のアルキル基、又は炭素数3〜5のアルケニル基を表す。ここで、R3DとR4Dは、互いに結合して炭素数3〜7のアルキレン基を形成してもよく、そのアルキレン基は、アルキレン鎖中に−O−あるいは−N(R54)−を含むものであってもよい。R54は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
前記α−アミノケトン系化合物に含まれる化合物の例としては、2−メチル−1−フェニル−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(ヘキシル)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−エチル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1等が挙げられる。また、チバ・ジャパン社製のイルガキュアシリーズ、例えばイルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379等の市販品としても入手可能であり、これらもα−アミノケトン系化合物に含まれる化合物である。
前記アシルホスフィンオキシド系化合物としては、下記一般式(6)又は一般式(7)で表される化合物が好ましい。
前記一般式(6)において、R5D及びR6Dは、それぞれ独立に、脂肪族基、芳香族基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、複素環基を表し、R7Dは、脂肪族基、芳香族基、又は複素環基を表す。
前記R5D、R6D、又はR7Dで表される脂肪族基は、例えば、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基、又は置換アラルキル基等が挙げられ、中でも、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アラルキル基、又は置換アラルキル基が好ましく、アルキル基、置換アルキル基が特に好ましい。また、前記脂肪族基は、環状脂肪族基でも鎖状脂肪族基でもよい。鎖状脂肪族基は分岐を有していてもよい。
前記アルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基が挙げられ、該アルキル基の炭素原子数としては、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましい。置換アルキル基のアルキル部分の炭素原子数の好ましい範囲については、アルキル基の場合と同様である。また、前記アルキル基は、置換基を有するアルキル基、無置換のアルキル基のいずれであってもよい。前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、ネオペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基等が挙げられる。
前記置換アルキル基の置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、ヒドロキシ基、炭素数30以下のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基)、炭素数30以下のアルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、炭素数30以下のアシルアミノスルホニル基、炭素数30以下のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ベンジルオキシ基、フェノキシエトキシ基、フェネチルオキシ基等)、炭素数30以下のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、メチルチオエチルチオエチル基等)、炭素数30以下のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、p−トリルオキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基等)、ニトロ基、炭素数30以下のアルキル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、炭素数30以下のアシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等)、炭素数30以下のアシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、モルホリノカルボニル基、ピペリジノカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、モルホリノスルホニル基、ピペリジノスルホニル基等)、炭素数30以下のアリール基(例えば、フェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、α−ナフチル基等)、置換アミノ基(例えば、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アシルアミノ基等)、置換ウレイド基、置換ホスホノ基、複素環基等が挙げられる。ここで、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシ基、ホスホノ基は、塩の状態であってもよい。その際、塩を形成するカチオンとしては、後述のM等が挙げられる。
前記アルケニル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルケニル基が挙げられ、該アルケニル基の炭素原子数としては、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましい。また、該アルケニル基は、置換基を有する置換アルケニル基、無置換のアルケニル基のいずれであってもよく、置換アルケニル基のアルケニル部分の炭素原子数の好ましい範囲はアルケニル基の場合と同様である。前記置換アルケニル基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
前記アルキニル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキニル基が挙げられ、該アルキニル基の炭素原子数としては、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましい。また、該アルキニル基は、置換基を有する置換アルキニル基、無置換のアルキニル基のいずれであってもよく、置換アルキニル基のアルキニル部分の炭素原子数の好ましい範囲はアルキニル基の場合と同様である。置換アルキニル基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
前記アラルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアラルキル基が挙げられ、該アラルキル基の炭素原子数としては、7〜35が好ましく、7〜25がより好ましい。また、該アラルキル基は、置換基を有する置換アラルキル基、無置換のアラルキル基のいずれであってもよく、置換アラルキル基のアラルキル部分の炭素原子数の好ましい範囲はアラルキル基の場合と同様である。置換アラルキル基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
前記R5D、R6D、又はR7Dで表される芳香族基としては、例えば、アリール基、置換アリール基が挙げられる。アリール基の炭素原子数としては、6〜30が好ましく、6〜20がより好ましい。置換アリール基のアリール部分の好ましい炭素原子数の範囲としては、アリール基と同様である。前記アリール基としては、例えば、フェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等が挙げられる。置換アリール基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
前記R5D、又はR6Dで表される脂肪族オキシ基としては、炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、フェノキシエトキシ基等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
前記R5D、又はR6Dで表される芳香族オキシ基としては、炭素数6〜30のアリールオキシ基が好ましく、例えば、フェノキシ基、メチルフェニルオキシ基、クロロフェニルオキシ基、メトキシフェニルオキシ基、オクチルオキシフェニルオキシ基等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
前記R5D、R6D、又はR7Dで表される複素環基としては、窒素原子、酸素原子又はイオウ原子を含む複素環基が好ましく、例えば、ピリジル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ピロリル基等が挙げられる。
前記一般式(7)において、R8D及びR10Dは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、複素環基を表し、R9Dは、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環基を表す。前記R8D、R9D、又はR10Dで表される、アルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基及びアリールオキシ基は、無置換でも置換基を有していてもよい。置換基を有する場合の該置換基としては、前記一般式(6)における場合と同様の置換基が挙げられる。
前記一般式(7)におけるアルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基及びアリールオキシ基としては、前記一般式(6)における場合と同義である。
なお、上記のうち例えば、[2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシド]は、Darocur TPO(チバ・ジャパン社製)の商品名で入手可能であり、[ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド]は、Irgacure 819(チバ・ジャパン社製)の商品名で入手可能である。
さらに、重合開始剤として、水溶性のアシルホスフィンオキシド系化合物が好適に挙げられる。このアシルホスフィンオキシド系化合物は、25℃下で蒸留水に0.5質量%以上溶解することが好ましく、1質量%以上溶解することが好ましく、3質量%以上溶解することが特に好ましい。
水溶性のアシルホスフィンオキシド系化合物の具体例としては、特開2005−307199号公報に記載の化合物(例えば例示化合物5、6、7)が挙げられる。また、水溶性のアシルホスフィンオキシド系化合物の好ましい具体例(例示化合物1−1〜1−3)を以下に挙げる。但し、本発明においては、これらに限定されるものではない。
上記の中では、アシルホスフィンオキシド系化合物が重合開始剤として用いることが好ましい。
上記の重合開始剤のほか、本発明の効果を損なわない範囲で他の重合性開始剤を用いてもよい。また、アシルホスフィンオキシド系化合物との併用も可能である。この場合、水溶性の重合開始剤を用いることが好ましい。「水溶性」については既述と同様である。
前記他の重合開始剤としては、例えば、カンファーキノン、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン、アセトフェノン誘導体、例えば、α−ヒドロキシシクロアルキルフェニルケトン類又は2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパノン、ジアルコキシアセトフェノン類、α−ヒドロキシ−又は4−アロイル−1,3−ジオキソラン類、ベンゾインアルキルエーテル類、及びベンジルケタール類、例えば、ベンジルジメチルケタール、グリオキサル酸フェニル及びその誘導体、二量体グリオキサル酸フェニル、ペルエステル類、例えば、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ペルエステル類(例えば、EP1126541号明細書に記載のもの)、ハロメチルトリアジン類、例えば、2−〔2−(4−メトキシ−フェニル)−ビニル〕−4,6−ビス−トリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−(4−メトキシ−フェニル)−4,6−ビス−トリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−4,6−ビス−トリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−メチル−4,6−ビス−トリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、ヘキサアリールビスイミダゾール/共同開始剤系、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾールと組み合わせたオルト−クロロヘキサフェニル−ビスイミダゾール;フェロセニウム化合物又はチタノセン類(titanocenes)、例えば、ジシクロペンタジエニル−ビス(2,6−ジフルオロ−3−ピロロ−フェニル)チタン;例えば、GB2,339,571号明細書に記載のO−アシルオキシムエステル化合物との混合物を使用することもできる。共同開始剤として、ホウ酸化合物を使用することもできる。
重合開始剤の水性インク組成物中における含有量としては、前記重合性化合物100質量部に対して、0.01〜35質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜30質量部、さらに好ましくは0.5〜30質量部の範囲で含有される。なお、重合開始剤の含有量は、重合開始剤の使用した総量を意味する。
本発明における水性インク組成物は、上述した成分のほかに、必要に応じて、その他の添加剤を添加することができる。その他の添加剤としては、公知の顔料分散物、水性インク組成物に用いることができる添加剤を用いることができる。
例えば、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤、固体湿潤剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水性インク組成物の調製時、あるいは調製後に添加してもよい。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、などが挙げられる。
前記褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。
前記防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、ソルビン酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウムなどが挙げられる。これらはインク中に0.02〜1.00質量%使用するのが好ましい。
前記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどが挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、りん系酸化防止剤などが挙げられる。
前記キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
表面張力調整剤としては、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ベタイン界面活性剤等が挙げられる。表面張力調整剤の添加量は、インクジェット方式で良好に打滴するために、インク組成物の表面張力を20〜60mN/mに調整する添加量が好ましく、20〜45mN/mに調整する添加量がより好ましく、25〜40mN/mに調整する添加量がさらに好ましい。
また、具体的には特開2007−100071号公報の段落番号[0153]〜[0162]に記載のその他の添加剤などが挙げられる。
また固体湿潤剤としては、例えば、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の糖類;糖アルコール類;ヒアルロン酸類;尿素類等を挙げることができる。
各種添加剤は、水性インク組成物を調製後に直接添加してもよく、水性インク組成物の調製時に添加してもよい。
本発明の水性インク組成物は、例えば、インクジェット法に適用することができる。インクジェット法には、特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等のいずれであってもよい。
また、前記インクジェット法により記録を行なう際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
尚、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
<実施例1>
[マクロモノマーの合成]
(マクロモノマーM−1の合成)
攪拌機、冷却管を備えた300mLの三口フラスコに、モノマーとして2−フェノキシエチルメタクリレート80gと、連鎖移動剤として3−メルカプト−1−プロパノール3.7g、開始剤として2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.3gを溶解したTHF160mLを入れ、窒素雰囲気下、65℃に加熱して7時間反応させた。
得られた溶液を放冷し、ジラウリン酸ジブチルすず(IV)80mgと触媒量のヒドロキノンを加え、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート10.0gを滴下した。50℃に昇温し、2.5時間反応させた後、メタノールと水の混合溶媒で再沈殿を行って精製し、マクロモノマーM−1を71g得た。得られたマクロモノマーM−1の重量平均分子量(Mw)は4200であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.16であった。
(マクロモノマーM−2〜M−8の合成)
上記マクロモノマーM−1の合成において、モノマーとして2−フェノキシエチルメタクリレートの代わりに、表1に記載のモノマーを用い、表1に記載のモノマー構成率(質量基準%)となるように各モノマーの使用量を適宜変更し、また連鎖移動剤を表1に記載の連鎖移動剤に変更したこと以外は、マクロモノマーM−1の合成と同様にしてマクロモノマーM−2〜M−8をそれぞれ合成した。重量平均分子量および分子量分布を表1に示した。
尚、表1中、モノマーA−8、A−13、A−16、およびA−17は、一般式(1)で表される構造単位を形成し得る下記化合物である。
[グラフトポリマー(分散剤)の合成]
(グラフトポリマーP−1の合成)
攪拌機、冷却管を備えた300mLの三口フラスコにメチルエチルケトン20gを加え窒素雰囲気下で75℃に加熱した。ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート1.16g、上記で得られたマクロモノマーM−1を9g、p-スチレンスルホン酸1.8g、メタクリル酸メチル49.2gをメチルエチルケトン40gに溶解させて得られた溶液を、三口フラスコに3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後、メチルエチルケトン0.6gにジメチル2,2’ −アゾビスイソブチレート0.2gを溶解した溶液を加え、80℃に昇温し、4時間加熱攪拌した。さらにメチルエチルケトン0.6gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.2gを溶解した溶液を加え、6時間加熱攪拌し、未反応モノマーをすべて反応させた。尚、モノマーの消失はH−NMRで確認した。得られたグラフトポリマーはヘキサンで再沈殿を行うことで精製した。
(グラフトポリマーP−2〜P−7の合成)
上記グラフトポリマーP−1の合成において、マクロモノマーM−1、p-スチレンスルホン酸、およびメタクリル酸メチルに代えて、表2に記載のモノマー類を用い、表2に記載のモノマー構成率(質量基準%)となるように各モノマーの使用量等を適宜変更したこと以外は、グラフトポリマーP−1の合成と同様にしてグラフトポリマーP−2〜P−7をそれぞれ合成した。重量平均分子量および分子量分布を表2に示した。
<比較例1>
(分散剤P−8〜P−10の合成)
上記グラフトポリマーP−1の合成において、マクロモノマーM−1、p-スチレンスルホン酸、および、メタクリル酸メチルに代えて、表2に記載のモノマー類を用い、表2に記載のモノマー構成率(質量基準%)となるように各モノマーの使用量等を適宜変更したこと以外は、グラフトポリマーP−1の合成と同様にして分散剤P−8〜P−10をそれぞれ合成した。重量平均分子量および分子量分布を表2に示した。
尚、表2中、モノマーAS−6は、スチレン共重合体マクロマー(東亜合成化学社製)であり、モノマーA−11は、一般式(1)で表される構造単位を形成し得る下記化合物である。
<実施例2>
[水性分散物の調製]
(水性分散物D−1の調製)
ピグメントブルー15:3(PB15:3、大日精化株式会社製 フタロシアニンブル−A220) 10部と、上記で得られたグラフトポリマーP−1 5部と、メチルエチルケトン42部と、1mol/L NaOH水溶液 5.5部と、イオン交換水 87.2部とを混合し、ビーズミルを用いて、0.1mmΦジルコニアビーズで、2〜6時間分散した。
得られた分散物から減圧下55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が10.2%の顔料含有樹脂粒子の分散物を得た。さらに、遠心分離機(05P−21、日立製作所製)により30分5000rpmで遠心分離処理した後、顔料濃度が5%になるようにイオン交換水を添加した。これを2.5μmのメンブレンフィルター(アドバンテック社製)を用いて加圧ろ過した後、顔料濃度4%になるようにイオン交換水を添加し、顔料の水性分散物D−1を得た。
(水性分散物D−2〜D−16の調製)
上記水性分散物D−1の調製において、グラフトポリマーP−1および顔料PB15:3に代えて、表3に記載のグラフトポリマーおよび顔料を用いたこと以外は、水性分散物D−1の調製と同様にして、顔料の水性分散物D−2〜D−16をそれぞれ調製した。
<比較例2>
(水性分散物D−17〜D−19の調製)
上記水性分散物D−1の調製において、グラフトポリマーP−1および顔料PB15:3に代えて、表3に記載のグラフトポリマーおよび顔料を用いたこと以外は、水性分散物D−1の調製と同様にして、顔料の水性分散物D−17〜D−19をそれぞれ調製した。
<水性分散物の評価>
上記で得られた顔料の水性分散物について、以下の評価を行なった。
(1)粒子径
上記で得られた顔料の水性分散物について、ナノトラック粒度分布測定装置 UPA−EX150(日機装(株)製)を用い、以下の測定条件で動的光散乱法によりの体積平均粒径を測定し、下記評価基準に従って評価した。結果を表3に示した。
測定条件:水性分散物10μlに対してイオン交換水10mlを加えて、測定用分散液を調製し、25℃で測定した。
〜評価基準〜
◎:体積平均粒径が70nm以上100nm未満
○:体積平均粒径が100nm以上130nm未満
△:体積平均粒径が130nm以上200nm未満
×:体積平均粒径が200nm以上
(2)沈降性
上記で得られた顔料の水性分散物1400mlを、縦10cm、横10cm、高さ20cmの容器に入れ、密閉して室温(25℃)下、20日間放置した。放置後、顔料分散物の液面付近(液面下2cm)、及び、液底付近(液底から2cm)のそれぞれから水性分散液をサンプリングし、液面付近及び液底付近での粗大粒子数、体積平均粒径、及び分光吸収をそれぞれ測定し、液面付近及び液底付近における粗大粒子数差、体積平均粒径差、及び吸光度差をそれぞれ算出し、下記評価基準に従って評価した。
なお、粗大粒子数、体積平均粒径、及び分光吸収の測定の詳細は以下の通りである。
・粗大粒子数:フロー式粒子像分析装置FPIA3000(シスメックス(株)製)を用い、直径5μm以上の粗大粒子数を測定した。
・平均粒径:ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用い、動的光散乱法により体積平均粒径D95を測定した。
・分光吸収:1万倍に希釈した分散液を紫外・可視分光光度計SHIMADZU UV-2450((株)島津製作所製)を用いて、300nm〜800nmにおける吸光度を測定した。測定した吸光度のうち最大の吸収ピークにおける吸光度の差を吸光度差とした。
〜評価基準〜
◎:粗大粒子数差は3000個以下、体積平均粒径差は2nm以下、吸光度差は1%以下であり、顔料の水性分散物中の分散粒子の沈降は目視では殆ど認められなかった。
○:粗大粒子数差は3000〜5000の範囲、体積平均粒径差は2〜4nmの範囲、吸光度差は1〜2%の範囲であり、顔料の水性分散物中の分散粒子の沈降は僅かに認められたが、実用上支障を来たす程度ではなかった。
△:粗大粒子数差は5000〜7000の範囲、体積平均粒径差は4〜6nmの範囲、吸光度差は2〜3%の範囲であり、顔料の水性分散物中の分散粒子の沈降がやや認められ、実用上支障を来たす程度であった。
×:粗大粒子数差が7000以上、体積平均粒径差は8nm以上、吸光度差は4%以上であり、顔料の水性分散物中の分散粒子の沈降がかなり認められた。
(3)再分散性
上記で得られた顔料の水性分散物1400mlを、縦10cm、横10cm、高さ20cmの容器に入れ、密閉して室温(25℃)下、20日間放置した後、これを取り出して容器を振蘯し、顔料の水性分散物の再分散に要した振蘯回数を測定し、下記評価基準に従って評価した。
〜評価基準〜
○:1回の振蘯で均一な分散液になった。
△:2〜3回の振蘯で均一な分散液になった。
×:均一な分散液に戻るのに4回以上の振蘯が必要であった。
表3から、本発明の顔料の水性分散物は、分散性に優れ、顔料の沈降が抑制できることが分かる。またさらに、顔料の再分散性に優れることが分かる。
<実施例3>
[水性インク組成物の調製]
(水性インク組成物J−1の調製)
上記で得られた顔料の水性分散物D−1を用い、下記のインク組成となるように各成分を混合した後、遠心分離処理(10000〜20000rpmで30分〜2時間)を行い、水性インク組成物J−1を得た。
〜インク組成〜
・顔料分散物D−1 : 40部
・グリセリン : 7部
・ジエチレングリコール : 9部
・トリエタノールアミン : 1部
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル : 9部
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) : 1部
・イオン交換水 : 34部
東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGにて、前記水性インク組成物のpHを測定したところ、pHは8.6であった。
(水性インク組成物J−2〜J−16の調製)
上記水性インク組成物J−1の調製において、顔料分散物D−1の代わりに、下記表4に記載の顔料の水性分散物を用いたこと以外は、上記と同様にして水性インク組成物J−2〜J−16をそれぞれ調製した。
<比較例3>
(水性インク組成物J−21〜J−23の調製)
上記水性インク組成物J−1の調製において、顔料分散物D−1の代わりに、下記表4に記載の顔料の水性分散物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして水性インク組成物J−21〜J−23をそれぞれ調製した。
<実施例4>
[UV硬化型水性インク組成物の調製]
(水性インク組成物J−17の調製)
上記で得られた顔料の水性分散物D−3を用い、下記のインク組成となるように各成分を混合した後、遠心分離処理(10000〜20000rpmで30分〜2時間)を行い、水性UV硬化性素材を含む水性インク組成物J−17を得た。
〜インク組成〜
・水性分散物D−3 : 40部
・例示化合物1−1(重合開始剤) : 3部
・例示化合物2−1(重合性化合物) : 5部
・ヒドロキシエチルメタクリレート(重合性化合物) :15部
・グリセリン : 7部
・ジエチレングリコール : 9部
・トリエタノールアミン : 1部
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル : 9部
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) : 1部
・イオン交換水 10質量部
得られた水性インク組成物J−13について、東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGにて、前記水性インクのpHを測定したところ、pHは8.6であった。
(水性インク組成物J−18〜J−20の調製)
上記水性インク組成物J−17の調製において、顔料分散物D−3の代わりに、下記表4に記載の顔料の水性分散物を用いたこと以外は、上記と同様にして水性インク組成物J−18〜J−20をそれぞれ調製した。
<比較例4>
(水性インク組成物J−24の調製)
上記水性インク組成物J−17の調製において、顔料分散物D−3の代わりに、顔料分散物D−17を用いたこと以外は、上記と同様にして水性インク組成物J−24を調製した。
<水性インク組成物の評価>
(4)経時安定性
上記で得られた水性インク組成物を密閉状態で70℃、3日間放置した後、水性インク組成物の体積平均粒径および粘度の測定を行った。放置前後の体積平均粒径の変化率および粘度の変化率を下記の評価基準に従って評価した。
〜評価基準〜
◎:体積平均粒径の変化率および粘度の変化率がともに±10%未満であった。
○:体積平均粒径の変化率および粘度の変化率がともに±10%以上15%未満であった。
△:体積平均粒径の変化率および粘度の変化率がともに±15%以上20%未満であり、実用上問題はなかった。
×:体積平均粒径の変化率または粘度の変化率が±20%以上であり、実用上問題となった。
なお、体積平均粒径の測定は、上記(1)と同様にして行った。また粘度の測定は、TV−22型粘度計(東機産業(株)社製)を用い、25℃で測定を行った。
(5)インク沈降性
上記で得られた水性インク組成物1400mlを縦10cm、横10cm、高さ20cmの容器に入れ、密閉して室温(25℃)下、20日間放置した。放置後、水性インクの液面付近(液面下2cm)、及び液底付近(液底から2cm)のそれぞれから水性インク組成物をサンプリングし、液面付近及び液底付近での粗大粒子数、体積平均粒径、及び吸光度をそれぞれ測定した。液面付近及び液底付近における粗大粒子数差、体積平均粒径差、及び吸光度差を算出して、下記の評価基準に従って評価した。
なお、粗大粒子数、平均粒径、及び分光吸収の測定の詳細は以下の通りである。
・粗大粒子数:フロー式粒子像分析装置FPIA3000(シスメックス(株)製)を用い、直径5μm以上の粗大粒子数を測定した。
・体積平均粒径:ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用い、動的光散乱法により体積平均粒径D95を測定した。
・吸光度差:1万倍に希釈した水性インク組成物を紫外・可視分光光度計SHIMADZU UV-2450((株)島津製作所製)を用いて、300nm〜800nmにおける吸光度を測定した。測定した吸光度のうち最大の吸収ピークにおける吸光度の差を吸光度差とした。
〜評価基準〜
◎:粗大粒子数差が3000個以下、体積平均粒径差が2nm以下、吸光度差は1%以下であり、インク中の分散粒子の沈降は目視では殆ど認められなかった。
○:粗大粒子数差は3000〜5000の範囲、平均粒径の差は2〜4nmの範囲、吸光度差は1〜2%の範囲であり、インク中の分散粒子の沈降は僅かに認められたが、実用上支障を来たす程度ではなかった。
△:粗大粒子数差は5000〜7000の範囲、平均粒径差は4〜6nmの範囲、吸光度差は2〜3%の範囲であり、インク中の分散粒子の沈降がやや認められ、実用上支障を来たす程度であった。
×:粗大粒子数差が7000以上、平均粒径差が8nm以上、または吸光度差は4%以上であり、インク中の分散粒子の沈降がかなり認められた。
表4から、本発明の水性インク組成物においては、インク成分の沈降が抑制され、経時安定性に優れることが分かる。

Claims (11)

  1. 側鎖に下記一般式(1)で表される構造単位を含むグラフトポリマー。
    [一般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を表す。Lは、−COOCH−、−OCO−、−CONR−(Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す)、または置換もしくは無置換のフェニレン基を表す。Lは下記の連結基群から選ばれる1種もしくは2種以上を組み合わせてなる2価の連結基を表す。Arは芳香環を含む基を表す。
    (連結基群)
    炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数2〜12のアルケニレン基、炭素数1〜12のアルキルエーテル基、−CO−、−NR−(Rは水素原子または炭素数が1〜6のアルキル基)、−O−、−S−、−SO−、−SO−]
  2. アニオン性基を有する構造単位をさらに含む請求項1に記載のグラフトポリマー。
  3. 前記アニオン性基がカルボキシル基である請求項2に記載のグラフトポリマー。
  4. 前記アニオン性基を有する構造単位を主鎖に含む請求項2または請求項3に記載のグラフトポリマー。
  5. 前記一般式(1)におけるArは、ベンゼン、炭素数8以上の縮環型芳香環化合物、芳香環が縮環したヘテロ環化合物、または2以上のベンゼンが連結した化合物から誘導される基である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のグラフトポリマー。
  6. 前記一般式(1)で表される構造単位を有する側鎖の含有率が1〜40質量%である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のグラフトポリマー。
  7. 酸価が5〜500mgKOH/gである請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のグラフトポリマー。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のグラフトポリマーと、着色剤と、を含む水性分散物。
  9. 前記着色剤は、顔料である請求項8に記載の水性分散物。
  10. 請求項8または請求項9に記載の水性分散物を含む水性インク組成物。
  11. 水性UV硬化性素材をさらに含む請求項10に記載の水性インク組成物。
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