JP5393342B2 - 着色剤分散樹脂、着色剤分散物、インク組成物、インクセット、及び画像形成方法 - Google Patents
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<1> 複数のイオン性基を有すると共にイオン性基間における最低原子数が7以下であり、且つアミノ基構造を有する構造単位(a)と、下記一般式(1)で表される構造単位(b)と、を含み、構造単位(a)の含有量が、3質量%以上60質量%未満である着色剤分散樹脂である。
連結基群:炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数2〜12のアルケニレン基、−CO−、−NR7−(R7は水素原子又は炭素数が1〜6のアルキル基)、−O−、−S−、−SO−、−SO2−〕
下記一般式(2)において、*は主鎖との連結点を表し、Lは炭素数1〜30の2価の連結基を表す。
<4> 前記イオン性基が、カルボンキシル基、スルホン酸基、及びリン酸基の少なくとも1つである前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載の着色剤分散樹脂である。
<5> 前記構造単位(a)が、後述のMM−1〜MM−7、MM−9〜MM−15及びMM−19〜MM−21から選ばれた少なくとも一つのモノマーを重合することにより形成される繰り返し構造である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の着色剤分散樹脂。
<6> 着色剤と、前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載の着色剤分散樹脂とを含む着色剤分散物である。
<7> 着色剤と、前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載の着色剤分散樹脂とを含むインク組成物である。
<8> 前記<7>に記載のインク組成物と、前記インク組成物中の成分を凝集させる凝集成分を含有する処理液と、を有するインクセットである。
<9> 前記<7>に記載のインク組成物を記録媒体上に付与するインク付与工程と、前記インク組成物中の成分を凝集させる凝集成分を含有する処理液を記録媒体上に付与する処理液付与工程と、を有する画像形成方法である。
本発明によれば、分散された分散粒子の分散状態を液性変化(特にpH変化)で制御しやすく、着色剤が微細に分散され、経時安定性に優れ、水再分散性に優れた着色剤分散物を提供することができる。
本発明によれば、吐出の安定性及び回復性に優れ、画像滲みの少ないインク組成物、及び液性変化(特にpH変化)したときの応答(凝集)性に優れ、画像滲みが少なく、吐出の安定性及び回復性に優れたインクセットを提供することができる。
本発明によれば、吐出の安定性及び回復性を保ち、滲みが少なく耐擦性の良好な画像を形成し得る画像形成方法を提供することができる。
本発明の着色剤分散樹脂は、複数の同一であっても同一でなくともよいイオン性基を有し、イオン性基間における最低原子数が7以下である構造単位(a)を設けて構成したものである。すなわち、構造単位(a)が複数のイオン性基を有する場合、いずれか2つのイオン性基間に存在する原子数が最も少なくなるように数えたときに原子数を7以下とする。
また、分散ポリマーの周りの環境が変化したときには、分散粒子表面のポリマー中の複数の配位座を持つ構造部分(例:イオン性基が酸基の場合はキレート酸基)が作用してpHが急激に上昇し、分散粒子の表面では荷電消失(すなわちゼータ電位の低下)が大きくなる。すなわち、pH変化による分散状態の変化が敏感になり、分散している着色剤(顔料等)などの分散/凝集状態の制御が容易になる。分散粒子を凝集させる際には、凝集性が高められる。
本発明における構造単位(a)は、複数のイオン性基(アニオン性基又はカチオン性基)を持ち、そのいずれか2つのイオン性基間にある原子数が最も少ないイオン性基間の該原子数が7以下であるモノマーを重合することにより形成できる。また、イオン性基を有さないポリマーを重合した後に、該ポリマー鎖にイオン性基(アニオン性基又はカチオン性基)を導入することにより形成されてもよい。
カルボン酸等の酸性基を含む場合の着色剤分散樹脂の酸価は、5mgKOH/g以上であると、解離したカルボキシル基による分散物の荷電反発が起こり易く、結果として分散性が向上し、また、500mgKOH/g以下であると、ポリマーの親水性が高くなり過ぎないため、着色剤に吸着して水性媒体中への溶出が抑制される。
本発明における着色剤分散樹脂は、疎水性構造単位として、ポリマーの主鎖を形成する原子に連結基を介して芳香環を含有する疎水性の構造単位(b)(以下、単に「疎水性構造単位(b)」ともいう。)を少なくとも含むことが好ましい。
ここで、「連結基を介して」とは、芳香環とポリマーの主鎖構造を形成する原子とが、連結基を介して結合した構造となっていることを表す。このような形態を有することで、着色剤分散樹脂中の親水性構造単位と疎水性の芳香環との間の適切な距離が維持されるため、着色剤分散樹脂と着色剤とに相互作用が生じやすくなり、強固に吸着し、結果分散性が向上する。
ここで、前記置換されている場合の置換基としては、制限はなく、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、水酸基等、シアノ基等が挙げられる。
対応するモノマーとしては、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、並びにオリゴ(繰り返し単位数が2〜6程度)エチレングリコールモノフェニルエーテルアクリレート類及びメタクリレート類から選択される1種以上が挙げられる。これらのうち、最も好ましいのは、2−フェノキシエチルアクリレート又は2−フェノキシエチルメタクリレートである。
(連結基群)
炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数2〜12のアルケニレン基、−CO−、−NR7−(R7は水素原子又は炭素数が1〜6のアルキル基)、−O−、−S−、−SO−、−SO2−
前記アルケニレン基は、炭素数2〜12が好ましく、2〜4がより好ましい。
アルキレン基及びアルケニレン基は、それぞれ独立に、置換基(炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基等)によって置換されていてもよい。
前記炭素数8以上の縮環型芳香環とは、少なくとも二個以上のベンゼン環が縮環した芳香環、及び/又は、少なくとも一種以上の芳香環と該芳香環に縮環した脂環式炭化水素で環が構成される、炭素数8以上の芳香族化合物である。具体的な例としては、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、アセナフテンなどが挙げられる。
これらの置換基は、他の置換基によって、置換されていてもよく、この場合の好ましい置換基も上述と同義である。また、置換基を2つ以上有する場合は、それぞれの置換基は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には置換基同士が互いに結合して環を形成していてもよい。
本発明における着色剤分散樹脂は、親水性の構造単位(c)として、前記構造単位(a)とは異なる他の親水性構造単位をさらに含むことができる。親水性構造単位としては、イオン性基を含有する親水性構造単位であってもよい。
前記アニオン性基含有モノマーのうち、カルボキシル基を含むものとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等の不飽和カルボン酸モノマー類及び、β−カルボキシエチルアクリル酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。
スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリル酸エステル、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。
リン酸基含有モノマーとしては、例えば、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート等が挙げられる。
3級アミン含有ビニルモノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−6−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン等が挙げられる。
アンモニウム塩含有モノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート四級化物等が挙げられる。
本発明の着色剤分散樹脂は、上記の構造単位(a)〜(c)とは異なる疎水性又は親水性の構造単位(d)を含むことが好ましい。構造単位(d)の含有比率としては、着色剤分散樹脂の全質量に対して15質量%を超える量で含まれ、15質量%を超え50質量%以下とすることがより好ましく、15質量%を超え40質量%以下とすることが更に好ましく、20質量%以上30質量%以下とすることが特に好ましい。
着色剤分散樹脂は、主として着色剤との親和性を示す疎水性の構造単位(b)と、主として水性媒体との親和性を示す構造単位(a)及び親水性の構造単位(c)といった相反する性質の構造単位を含む。仮に着色剤分散樹脂がこれらのみで構成された場合、疎水性の構造単位(b)、構造単位(a)及び親水性の構造単位(c)のそれぞれが互いの機能を阻害し、結果として分散性が不充分となってしまうことがある。着色剤分散樹脂が、疎水性の構造単位と親水性の構造単位との中間的な性質を示す構造単位(d)を含有することで、良好な分散性が示すものと考えられる。
前記構造単位(d)が疎水性の構造単位である場合のモノマーは、重合体を形成しうる官能基と疎水性の官能基とを有していれば特に制限はなく、公知のいかなるモノマー類をも用いることができる。この場合のモノマーとしては、入手性、取り扱い性、汎用性の観点から、ビニルモノマー類((メタ)アクレート類、(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、ビニルエステル類等)が好ましい。
具体的な例としては、(メタ)アクリレート類として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートが挙げられ、炭素数1〜6のアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。(メタ)アクリルアミド類として、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ビニル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミド、N−アリル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類が挙げられ、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドが好ましい。スチレン類として、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、n−ブチルスチレン、tert−ブチルスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt−Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、およびα−メチルスチレン、ビニルナフタレン等などが挙げられ、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。また、ビニルエステル類として、ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、および安息香酸ビニルなどのビニルエステル類が挙げられ、中でも、ビニルアセテートが好ましい。
これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記構造単位(d)を形成するモノマーは、重合体を形成しうる官能基と非イオン性の親水性の官能基とを有していれば特に制限はなく、公知のいかなるモノマー類をも用いることができるが、入手性、取り扱い性、汎用性の観点からビニルモノマー類が好ましい。
ビニルモノマー類の例としては、親水性の官能基を有する(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエステル類が挙げられる。親水性の官能基としては、水酸基、(窒素原子が無置換の)アミド基、及び後述するようなポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のアルキレンオキシド重合体が挙げられる。これらのうち、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、アルキレンオキシド重合体を含有する(メタ)アクリレートが特に好ましい。
また、着色剤分散樹脂の分子量分布(重量平均分子量値/数平均分子量値)は、1〜6であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。分子量分布を上記範囲とすることにより、顔料の分散時間の短縮、及び分散物の経時安定性の観点で好ましい。
ここで、数平均分子量及び重量平均分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(いずれも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用い換算して表した分子量である。
重合の開始方法は、ラジカル開始剤を用いる方法、光、又は放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている。前記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等の種々の有機溶剤の単独あるいは2種以上の混合物でもよいし、水との混合溶媒としてもよい。
重合温度は生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり、通常は0℃〜100℃程度であるが、50〜100℃の範囲で重合を行うことが好ましい。
反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は1〜100kg/cm2、特に1〜30kg/cm2程度が好ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。得られたポリマーは再沈殿などの精製を行ってもよい。
本発明の着色剤分散物は、着色剤と、既述の本発明の着色剤分散樹脂とを含み、必要に応じて、さらに他の成分を用いて構成することができる。着色剤分散樹脂の詳細については既述の通りである。
また、分散樹脂の周りのpH環境が変化したときには、分散粒子表面のポリマー中の複数の配位座を持つ構造部分(例:イオン性基が酸基の場合はキレート酸基)が作用してpHが急激に上昇しやすいため、分散粒子の表面では荷電消失(すなわちゼータ電位の低下)が大きくなる。すなわち、pHによる分散状態の変化が敏感であり、分散している着色剤(顔料等)などの分散/凝集状態の制御が容易になる。分散粒子を凝集させる際には、凝集性が高められる。
本発明の着色剤分散物は、着色剤の少なくとも一種を含有する。
着色剤としては、公知の染料、顔料等を特に制限なく用いることができる。中でも、インク着色性の観点から、水に殆ど不溶であるか、又は難溶である着色剤であることが好ましい。具体的には、例えば、各種顔料、分散染料、油溶性染料、J会合体を形成する色素等を挙げることができ、更に、耐光性の観点から顔料であることがより好ましい。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、などが挙げられる。染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
上記の顔料は、単独種で使用してもよく、また上記した各群内もしくは各群間より複数種選択してこれらを組み合わせて使用してもよい。
本発明の着色剤分散物は、水性液媒体として少なくとも水を含むものであるが、水溶性有機溶媒を更に含むことができる。水溶性有機溶剤を含有することにより、乾燥防止、湿潤性付与、あるいは浸透促進を行なうことができる。具体的には、水溶性有機溶剤を乾燥防止剤として含有することにより、例えばノズルのインク噴射口において着色剤分散物を用いたインクが乾燥することによる目詰まりを防止できる。乾燥防止剤や湿潤剤として含有する場合、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。また、水溶性有機溶剤を浸透促進剤として含有することにより、インクジェット法で吐出されたインクを紙によりよく浸透させることができる。
また、着色剤分散物中に含有される水の量としては特に制限はないが、好ましくは10質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上80質量%以下であり、更に好ましくは50質量%以上70質量%以下である。
また、水性液媒体の本発明の着色剤分散物中における含有量としては、乾燥防止、被着体への浸透性、粘度等の液物性の観点から、1〜70質量%が好ましく、2〜60質量%がより好ましく、5〜50質量%が特に好ましい。水性液媒体の含有量を上記範囲とすることにより、着色剤分散物の乾燥速度、被着体への浸透性、粘度等の液物性を適切な状態に調整することができる。
本発明の着色剤分散物は、既述の本発明の着色剤分散物を作製するための方法であり、具体的には、着色剤と着色剤分散樹脂と該着色剤分散樹脂を溶解又は分散する有機溶媒との混合物(II)に、塩基性物質を含む水溶液(III)を加える工程(混合・水和工程)の後、前記有機溶媒を除く工程(溶媒除去工程)を設けて分散物を得ることができる。
工程(1):着色剤、着色剤分散樹脂、及び該着色剤分散樹脂を溶解又は分散する有機溶媒と共に、塩基性物質を含み水を主成分とする溶液(III)を含有する混合物を分散処理する工程
工程(2):前記有機溶媒を除去する工程
また、必要に応じて、縦型もしくは横型のサンドグラインダー、ピンミル、スリットミル、超音波分散機等を用いて、0.01〜1mmの粒径のガラス、ジルコニア等でできたビーズで微分散処理を行なうことにより得ることができる。
本発明のインク組成物は、着色剤と、既述の本発明の着色剤分散樹脂とを含み、一般には水性液媒体を用いて構成される。また、インク組成物は、好ましくは重合開始剤、重合性化合物を含み、必要に応じて、さらに樹脂粒子などの他の成分を用いて構成することができる。
前記着色剤のインク組成物中における含有量としては、インク着色性、保存安定性、吐出性の観点から、0.1〜20質量%の範囲が好ましく、0.5〜10質量%の範囲がより好ましい。
着色剤分散樹脂のインク組成物中における含有量としては、インク組成物の分散性、保存安定性、吐出性の観点から、着色剤に対して、1〜150質量%の範囲が好ましく、5〜100質量%の範囲がより好ましい。
本発明のインク組成物は、樹脂粒子の少なくとも一種を含有してもよい。樹脂粒子を含有することにより、画像の定着性、耐擦性を高めることができる。
また、樹脂粒子の粒径分布に関しては、特に制限はなく、広い粒径分布を持つもの又は単分散の粒径分布を持つもののいずれでもよい。また、単分散の粒径分布を持つ樹脂粒子を2種以上混合して使用してもよい。
本発明のインク組成物は、上記成分に加えて、さらに水性UV硬化性素材として、エチレン性不飽和結合を有する水溶性の重合性化合物及び重合開始剤を含有してもよい。重合性化合物及び重合開始剤を含有することにより、インク組成物をUV(紫外線)硬化型に構成することができ、形成された画像の定着性、耐擦性をより高めることができる。
重合性化合物及び重合開始剤は、いずれも一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
重合性化合物としては、エチレン性不飽和二重結合を有する水溶性化合物(以下、「特定重合性化合物」ということがある。)が挙げられ、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する水溶性の化合物(例えば、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態のいずれでもよい。)が含まれる。特定重合性化合物は、インク組成物中に1種のみ用いてもよいし、目的の特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。好ましくは、2種以上の重合性化合物を併用することが、反応性、物性などの性能を制御する上で好ましい。
重合開始剤としては、特定増感色素と組み合わせて良好な重合開始能を有するものであれば特に限定されるものではなく、公知の重合開始剤の中から選択することができる。重合開始剤の中でも、水溶性であるものが好ましい。「水溶性」の程度としては、25℃において蒸留水に0.5質量%以上溶解することが好ましく、1質量%以上溶解することが好ましく、3質量%以上溶解することが特に好ましい。
上記の重合開始剤のほか、本発明の効果を損なわない範囲で他の重合性開始剤を用いてもよい。また、アシルフォスフィンオキシド系化合物との併用も可能である。この場合、水溶性の重合開始剤を用いることが好ましい。「水溶性」については既述と同様である。
本発明のインク組成物は、上記成分に加え、必要に応じてその他の添加剤を含むことができる。その他の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、pH調整剤、防錆剤、酸化防止剤、乳化安定剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、キレート剤、表面張力調整剤等の公知の添加剤等の公知の添加剤が挙げられる。
また、具体的には特開2007−100071号公報の段落番号[0153]〜[0162]に記載のその他の添加剤などが挙げられる。
各種添加剤は、インク組成物を調製後に直接添加してもよく、インク組成物の調製時に添加してもよい。
界面活性剤としては、分子内に親水部と疎水部を合わせ持つ構造を有する化合物等が好ましく、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤のいずれも使用可能である。更には、高分子物質(高分子分散剤)を界面活性剤としても使用することもできる。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ナトリウムジオクチルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテ硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、t−オクチルフェノキシエトキシポリエトキシエチル硫酸ナトリウム塩等が挙げられ、また、ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、t−オクチルフェノキシエチルポリエトキシエタノール、ノニルフェノキシエチルポリエトキシエタノール等が挙げられる。また、カチオン性界面活性剤の具体例としては、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルアミン塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられ、具体的には例えば、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ステアラミドメチルピリジウムクロライド等が挙げられる。
界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を併用することができる。界面活性剤のインク組成物中における含有量は、特に制限はなく、1質量%以上が好ましく、より好ましくは1〜10質量%、更に好ましくは1〜3質量%である。
またインク組成物のpHは、酸性化合物又は塩基性化合物を用いて適宜調製することができる。酸性化合物又は塩基性化合物としては通常用いられる化合物を特に制限なく用いることができる。
本発明のインクセットは、既述の本発明のインク組成物と、インク組成物中の成分を凝集させる凝集成分を含有する処理液とを設けて構成されたものである。このインクセットは、既述の本発明のインク組成物を用いて構成されることで、水再分散性を有し、処理液にインク組成物が接した際に生じるpH変化でインク組成物中に分散している着色剤等の分散粒子の凝集が敏感に進行(凝集性が向上)し、凝集のディスクリミネーションを大きくとることができるので、吐出の安定性及び回復性が良好であり、滲みの少ない画像が得られる。
本発明における処理液は、前記インク組成物と接触したときに凝集体を形成できる水性組成物であり、具体的には、インク組成物と混合されたときに、インク組成物中の着色粒子(顔料等)などの分散粒子を凝集させて凝集体を形成可能な凝集成分を少なくとも含む。処理液は、必要に応じて、他の成分を含んで構成することができる。インク組成物と共に処理液を用いることで、インクジェット記録を高速化でき、高速記録しても濃度、解像度の高い画像が得られる。
処理液は、インク組成物と接触して凝集体を形成可能な凝集成分(以下、凝集剤ともいう。)の少なくとも1種を含有する。インクジェット法で吐出された前記インク組成物に処理液が混合することにより、インク組成物中で安定的に分散している顔料等の凝集が促進される。
酸性化合物としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、及びこれらの化合物の誘導体、ならびにこれらの塩等が好適に挙げられる。
酸性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
インク組成物を凝集させる凝集剤の処理液中における含有量としては、1〜50質量%が好ましく、より好ましくは3〜45質量%であり、更に好ましくは5〜40質量%の範囲である。
多価金属化合物とともに、酸性化合物及びカチオン性化合物の少なくとも1種を併用するとき、酸性化合物及びカチオン性化合物の処理液中における含有量(酸性化合物及びカチオン性化合物の全含有量)は、前記多価金属化合物の全含有量に対して、5質量%〜95質量%が好ましく、20質量%〜80質量%がより好ましい。
本発明の画像形成方法は、既述の本発明のインク組成物を記録媒体上に付与するインク付与工程と、インク組成物中の成分を凝集させる凝集成分を含有する処理液を記録媒体上に付与する処理液付与工程とを設けて構成されたものである。
インク付与工程は、既述の本発明のインク組成物を記録媒体上に付与して画像を記録する。インク組成物の付与は、インクジェット法による吐出によって行なえる。
尚、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
処理液付与工程は、既述のインク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を含む処理液を記録媒体(好ましくは塗工紙)に付与する。処理液の存在下でインク組成物を用いて画像記録する構成とすることにより、耐ブロッキング性、耐オフセット性及び耐擦過性が良好な画像を記録することができ、記録後のカールとカックル、及びインクハジキの発生に対する抑制効果も得られる。
本発明の画像形成方法には、インク付与工程で記録された画像を加熱定着して固定化する加熱定着工程を更に設けてもよい。画像の固定化は、画像部をなす記録媒体上のインクに圧着部材を圧接することにより行なえる。本発明においては、圧着部材が接触した際に画像(インク組成物)が圧着部材に転写して画像を損なうオフセット現象が防止され、画像品質を保ちつつ、画像定着を迅速に行なうことができる。これにより、画像の光沢性等の風合い、耐擦過性(例えば紙との密着性)が良好で画像品質に優れた画像が高速に記録される。
−合成例1−:モノマーMM−22の合成
攪拌機、冷却管を備えた500mlの三口フラスコにリンゴ酸(0.2モル)、メタクリル酸無水物(0.4モル)を窒素気流下、50℃で2時間反応させた。この反応液からメタクリル酸、メタクリル酸無水物を減圧除去し、固体を析出させた。析出した固体を濾取後にヘキサンで洗浄し、乾燥させることにより、モノマーMM−22(前記構造単位(a)を形成する既述の例示化合物)を得た(収率65%)。得られた化合物の構造は、1H−NMRで確認した。
攪拌機、冷却管を備えた500mlの三口フラスコに3−アミノフタル酸塩酸塩(0.2モル)、N−メチルピロリドン150mLを秤量し、窒素気流下、撹拌した。この溶液にカレンズMOI(昭和電工社製)0.2モルを滴下し、50℃で2時間反応させた。この反応液を500mLの水に添加し、析出した固体を濾取後にヘキサンで洗浄し、乾燥させることによりモノマーMM−10(前記構造単位(a)を形成する既述の例示化合物)を得た(収率61%)。得られた化合物の構造は、1H−NMRで確認した。
攪拌機、冷却管を備えた1L(リットル)の三口フラスコに、イミノジ酢酸0.35mol、メタノール350ml、及び水350mlを加えて混合し、60℃で攪拌しながら、NaOH0.6molを少しずつ添加した。その後、クロロメチルスチレン0.35molを30分かけて半分滴下し、NaOHをさらに0.6mol添加し、クロロメチルスチレンの残りの半分を滴下した。60℃でさらに3時間反応した後、反応溶液を1/3量まで除媒し、その後にメチルエチルケトンで抽出した。水相に濃塩酸を加えてpH2〜3に調整した。析出した白色固体をろ過、水洗し、乾燥させてモノマーMM−1(前記構造単位(a)を形成する既述の例示化合物)を得た(収率40%)。
攪拌機、冷却管を備えた500mlの三口フラスコにメチルエチルケトン88gを加えて窒素雰囲気下、75℃に加熱し、これに、メチルエチルケトン50gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート1.2g、前記モノマーMM−22を10g、及び2−エチルヘキシルメタクリレート90gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後、メチルエチルケトン2gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.36gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温し、4時間加熱した。得られた反応溶液は大過剰量のヘキサンに2回再沈殿し、析出したポリマーを乾燥して、分散ポリマーP−1(本発明の着色剤分散樹脂)93gを得た。
得られた分散ポリマーの組成を1H−NMRで確認し、GPCより重量平均分子量(Mw)を求めたところ、62000であった。
攪拌機、冷却管を備えた500mlの三口フラスコにメチルエチルケトン88gを加えて窒素雰囲気下、75℃に加熱し、これに、メチルエチルケトン50gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート1.2g、前記モノマーMM−1を15g、フェノキシエチルメタクリレート65g、及びメタクリル酸メチル20gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後、メチルエチルケトン2gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.36gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温し4時間加熱した。得られた反応溶液は大過剰量のヘキサンに2回再沈殿し、析出したポリマーを乾燥させて分散ポリマーP−7(本発明の着色剤分散樹脂)93gを得た。
得られた分散ポリマーの組成を1H−NMRで確認し、GPCより重量平均分子量(Mw)を求めたところ、42000であった。
また、前記合成例4〜5と同様にして、分散ポリマーP−2〜P−6、P−8〜P−15(以上、本発明の着色剤分散樹脂)、及び比較用のポリマーA−1、A−2を合成した。分子量の調整は、開始剤であるジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートの添加量を調整することで行なった。
ピグメント・ブルー15:3(PB15:3、大日精化工業(株)製、フタロシアニンブル−A220)10部と、前記分散ポリマーP−7を5部と、メチルエチルケトン42部と、1規定 NaOH水溶液5.5部と、イオン交換水87.2部とを混合し、ビーズミルでφ0.1mmジルコニアビーズを用いて2〜6時間、分散した。
実施例2において、分散ポリマーP−7及びピグメント・ブルー15:3に代えて、下記表1に示す分散ポリマー及び着色剤に変更したこと以外は、実施例2の顔料分散物D−1の調製と同様にして、顔料分散物D−1〜D−6、D−8〜D−42をそれぞれ調製した。
・C.I.Pigment Red 122(PR122、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:CROMOPHTAL Jet Magenta DMQ)
・C.I.Pigment Yellow 74(PY74、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:Irgalite Yellow GS)
・カーボンブラック(CB、degussa社製、商品名:NIPEX180−IQ)
上記で得られた顔料分散物D−1を用い、下記の組成よりなる顔料分散物含有組成物を調製し、該組成物に遠心分離(10000〜20000rpmで30分〜2時間)を行ない、インクジェット記録用水性インクJ−1を得た。
<水性インクの組成>
・前記顔料分散物D−1 ・・・40部
・グリセリン ・・・7部
・ジエチレングリコール ・・・9部
・トリエタノールアミン ・・・1部
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製)・・・1部
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル ・・・9部
・イオン交換水 ・・・34部
実施例2のP−1の調製において、分散ポリマーP−1を、下記表1に示すように分散ポリマーA−1〜A−2のいずれかに代えたこと以外は、実施例2の顔料分散物D−1の調製と同様にして、顔料分散物D−43〜D−50を調製した。
実施例3において、顔料分散物D−1を顔料分散物D−43〜D−50に代え、前記水性インクJ−1と同様にして、水性インクD−43〜D−50(顔料分散物D−43〜D−50にそれぞれ対応)を調製した。
上記で得られた顔料分散物(水系着色剤分散物)について、下記の測定、評価を行なった。結果を下記表1に示す。
ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用い、動的光散乱法により顔料分散物の体積平均粒径を測定した。
測定条件:分散物10μlに対しイオン交換水10ccを加えて測定用溶液を調製し、25℃にて測定し、下記の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
◎:平均粒径が70nm以上100nm未満であった。
○:平均粒径が100nm以上130nm未満であった。
△:平均粒径が130nm以上200nm未満であった。
×:平均粒径が200nm以上であった。
以下に示す2種の試験条件で経時安定性を評価した。
顔料分散物を50℃で2日間、密閉状態で放置する前後で平均粒径、粘度の測定を行ない、下記の評価基準にしたがって顔料粒子の凝集及び増粘を評価した。
<評価基準>
◎:顔料粒子の平均粒径・粘度の変化は全く認められなかった。
○:顔料粒子の平均粒径・粘度の変化は±5%以内でほぼ認められなかった。
△:顔料粒子の平均粒径・粘度の変化は±15%以内で僅かに認められたものの、実用上は問題ない程度であった。
×:顔料粒子の平均粒径・粘度の変化が±30%程度認められ、実用上問題となる程度であった。
<粘度の測定>
TV−22型粘度計(東機産業(株)社製)を用い、顔料分散物の粘度を25℃で測定した。
上記で得られた水性インクについて、インクジェット記録装置として、600dpi、256ノズルの試作プリントヘッドを備えたインクジェットプリンタを用意し、下記の測定、評価を行なった。結果を下記表1に示す。
インクジェット記録装置を用いた記録時に、記録開始から記録終了までのインクの飛行曲がり及びミストの発生有無を記録物を観察して下記の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
◎:インクの飛行曲がり、ミストがほぼ発生しなかった。
○:インクの飛行曲がり及びミストの発生が見られたが、実用上問題ない程度に頻度が低かった。
△:インクの飛行曲がり及びミストの発生は頻繁ではないが、前記基準「○」を与えたものに比して発生する頻度が高く、高品位な画質を求める場合には実用上問題となる可能性があった。
×:インクの飛行曲がり及びミストが頻繁に発生し、実用上問題のある程度であった。
インクジェット記録装置を用いて記録を行なった後、ヘッド部に覆い等を被せず空気中に露出した状態で、温度25℃、65%RHで2日間放置し、その後再度吐出を行なった際の吐出性状態を観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
◎:メンテナンスを施さずに吐出が可能であった。
○:所定のメンテナンスを施すことで再度吐出が可能であった。
△:所定のメンテナンスを2回施すことで再度吐出が可能であった。
×:所定のメンテナンスを3回行った限りでは、吐出できなかった。
ここで、前記所定のメンテナンスとは、15Paの圧力を印加してインクを吐出することで、ヘッドの詰まりを解消する操作をいう。
王子製紙(株)製のOKトップコート+(記録媒体)を500mm/秒で稼動するステージ上に固定し、下記の処理液をワイヤーバーコーターで約1.2μmの厚みとなるように塗布した直後、50℃で2秒間乾燥させた。その後、走査方向に対して斜め(75.5度)に配置して固定してあるGELJET GX5000プリンターヘッド(リコー社製)にて解像度1200×1200dpi、打滴量2.4pL、ライン方式でシアンインクをベタ印画した。印画直後、60℃で3秒間乾燥させ、さらに60℃に加熱された一対の定着ローラー間を通過させ、ニップ圧0.25MPa、ニップ幅4mmで加熱定着処理を実施し、印画サンプルを得た。得られた印画サンプルについて、印刷状態を目視又はルーペで観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
◎:ルーペで白抜け部を探すことが難しかった。
○:目視では白抜け部の確認は難しいが、ルーペで白抜け部を探すことができた。
△:目視(ルーペなし)で白抜け部を探すことができた。
×:目視(ルーペなし)で白抜け部を容易に確認できた。
王子製紙(株)製OKトップコート+(記録媒体)を500mm/秒で稼動するステージ上に固定し、下記の処理液をワイヤーバーコーターで約1.2μmの厚みとなるように塗布した直後、50℃で2秒間乾燥させた。その後、走査方向に対して斜め(75.5度)に配置して固定してあるGELJET GX5000プリンターヘッド(リコー社製)で解像度1200×1200dpi、打滴量2.4pL、ライン方式でシアンインクをベタ印画した。印画直後、60℃で3秒間乾燥させ、さらに60℃に加熱された一対の定着ローラー間を通過させ、ニップ圧0.25MPa、ニップ幅4mmで加熱定着処理を実施し、印画サンプルを得た。得られた印画サンプルについて、王子製紙(株)製OKトップコート+を文鎮(重量470g、サイズ15mm×30mm×120mm、荷重260kg/m2に相当)に巻きつけたもので印画サンプルの画像形成面を3往復擦って画像剥がれの有無を目視で観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
尚、3往復で画像剥がれが確認できなかった場合には、更に6往復まで擦った。
<評価基準>
◎:6往復擦った後でも画像の剥がれが視認できなかった。
○:4往復擦った後に画像形成面に画像の剥がれが視認できなかったが、6往復擦った後には確認された。
△:2往復擦った後に画像形成面に画像の剥がれが視認できなかったが、4往復擦った後には確認された。
×:2往復擦った後に画像形成面に画像の剥がれが視認できた。
下記組成となるように各成分を混合し、処理液を調製した。処理液の物性値は、粘度2.6mPa・s、表面張力37.3mN/m、pH1.6(25℃)であった。
<処理液の組成>
・マロン酸 ・・・15.0%
(2価のカルボン酸、和光純薬工業(株)製)
・ジエチレングリコールモノメチルエーテル ・・・20.0%
(和光純薬工業(株)製)
・N−オレオイル−N−メチルタウリンナトリウム・・・1.0%
(界面活性剤)
・イオン交換水 ・・・64.0%
上記で得られた顔料分散物D−1を用い、下記の組成よりなる顔料分散物含有組成物を調製し、該組成物に遠心分離(10000〜20000rpmで30分〜2時間)を行なって、インクジェット記録用水性インクJ−51を得た。
<インク組成>
・顔料分散物(D−1) ・・・40部
・前記例示化合物1−1(重合開始剤) ・・・3部
・前記例示化合物2−1(重合性化合物) ・・・20部
・グリセリン ・・・7部
・ジエチレングリコール ・・・9部
・トリエタノールアミン ・・・1部
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製)・・・1部
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル ・・・9部
・イオン交換水 ・・・10部
*水性UV画像定着方法*
王子製紙(株)製OKトップコート+(記録媒体)を500mm/秒で稼動するステージ上に固定し、処理液(1)をワイヤーバーコーターで約1.2μmの厚みとなるように塗布した直後、50℃で2秒間乾燥させた。その後、走査方向に対して斜め(75.5度)に配置して固定してあるGELJET GX5000プリンターヘッド(リコー社製)で解像度1200×1200dpi、打滴量2.4pL、ライン方式でシアンインクをベタ印画した。印画直後、60℃で3秒間乾燥させ、さらにUVランプを用いて、露光量2.5J/cm2露光して定着処理を実施し、印画サンプルとした。
実施例5における顔料分散物D−1を、顔料分散物D−43〜D−46に代えたこと以外は、前記水性インクJ−51と同様にして、水性UV硬化インクJ−78〜J−81(顔料分散物D−43〜D−46にそれぞれ対応)を調製した。
得られた水性UV硬化インクJ−78〜J−81を用い、前記評価1〜評価2と同様の評価を行なった。評価結果は下記表2に示す。なお、評価2の画質及び耐擦性の評価では、前記水性UV画像定着方法にて画像定着を行なって印画サンプルを得た。
Claims (9)
- 複数のイオン性基を有すると共にイオン性基間における最低原子数が7以下であり、且つアミノ基構造を有する構造単位(a)と、
下記一般式(1)で表される構造単位(b)と、
を含み、
構造単位(a)の含有量が、3質量%以上60質量%未満である着色剤分散樹脂。
〔一般式(1)中、R 1 は、水素原子、メチル基を表し、L 1 は、 * −COO−、 * −OCO−、 * −CONH−、 * −CONR 3 −、又は置換もしくは無置換のフェニレン基を表す。R 3 は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、L 1 で表される基中の*印は主鎖に連結する結合手を表す。L 2 は、単結合、又は下記の連結基群から選ばれる1種又は2種以上を組み合わせてなる2価の連結基を表す。Arは、炭素数8以上の縮環型芳香環、芳香環が縮環したヘテロ環、又は2個以上連結したベンゼン環から誘導される1価の基を表す。
連結基群:炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数2〜12のアルケニレン基、−CO−、−NR 7 −(R 7 は水素原子又は炭素数が1〜6のアルキル基)、−O−、−S−、−SO−、−SO 2 −〕 - 前記構造単位(b)が、下記一般式(2)で表される構造を有する請求項1に記載の着色剤分散樹脂。
〔一般式(2)中、*は主鎖との連結点を表し、Lは炭素数1〜30の2価の連結基を表す。〕 - 前記L1が、*−COO−、*−CONH−、又は*−CONR3−(R3は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。)である請求項1又は請求項2に記載の着色剤分散樹脂。
- 前記イオン性基が、カルボンキシル基、スルホン酸基、及びリン酸基の少なくとも1つである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の着色剤分散樹脂。
- 前記構造単位(a)が、下記MM−1〜MM−7、MM−9〜MM−15及びMM−19〜MM−21から選ばれた少なくとも一つのモノマーを重合することにより形成される繰り返し構造である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の着色剤分散樹脂。
- 着色剤と、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の着色剤分散樹脂とを含む着色剤分散物。
- 着色剤と、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の着色剤分散樹脂とを含むインク組成物。
- 請求項7に記載のインク組成物と、
前記インク組成物中の成分を凝集させる凝集成分を含有する処理液と、
を有するインクセット。 - 請求項7に記載のインク組成物を記録媒体上に付与するインク付与工程と、
前記インク組成物中の成分を凝集させる凝集成分を含有する処理液を記録媒体上に付与する処理液付与工程と、
を有する画像形成方法。
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