JP2011105779A - 接着剤組成物、接着用シート、ダイシング・ダイアタッチフィルム及び半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)カルボキシル基含有エチレン−アクリルゴム、(B)重量平均分子量が5000以下である室温で固体状のエポキシ樹脂、および(C)芳香族ポリアミン化合物、を含む接着剤組成物。
【選択図】なし
Description
(A)カルボキシル基含有エチレン−アクリルゴム、
(B)重量平均分子量が5000以下である室温で固体状のエポキシ樹脂、および
(C)芳香族ポリアミン化合物
を含む接着剤組成物を提供する。
(A)成分は、分子中にカルボキシル基を含有するエチレン−アクリルゴムである。このエチレン−アクリルゴムとしては、高圧ラジカル重合により合成されたもの、乳化重合により合成されたもの等が例示されるが、副生成物の発生が少なく、乳化剤等の添加の必要のない高圧ラジカル重合により合成されたものが好ましい。高圧ラジカル重合の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。(A)成分は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
(A)成分の重量平均分子量は、特に制限されないが、好ましくは50,000〜1,000,000、より好ましくは80,000〜500,000、特に好ましくは100,000〜400,000である。
(B)成分は、重量平均分子量が5000以下、好ましくは150〜3000である室温、即ち、通常5〜40℃、特に15〜30℃で固体状のエポキシ樹脂であり、1分子中にエポキシ基を少なくとも2個有するものが好ましい。上記分子量が5000を超えると、(B)成分の(A)成分への溶解および分散のいずれか一方または両方が不十分となり、両成分が分離するおそれがある。(B)成分は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
で表される骨格、および、上記式で表される骨格から一部または全部の水素原子を除いた残りの骨格をいう。後者の骨格において、除かれる水素原子の数および位置に制限はない。中でも、上記式で表される骨格が好ましい。
(C)成分の芳香族ポリアミン化合物は、芳香環を有し、かつ、該芳香環に直結した少なくとも2個のアミノ基を有する化合物であり、エポキシ樹脂用硬化剤及び触媒としての機能を有するものである。芳香族ポリアミン化合物は、ダイアタッチ工程における加熱温度を超える融点を有し、ダイアタッチ工程での加熱下では反応性が小さいため、(C)成分を含む組成物では硬化反応が緩やかに進行する。このため、ダイアタッチ工程において該組成物の溶融粘度が加熱硬化により上昇するのを有効に抑えることができる。また、(C)成分の芳香族ポリアミン化合物を含む組成物を加熱硬化させて得られる硬化物は耐熱性に優れる。よって、(C)成分の芳香族ポリアミン化合物を含む本発明組成物は、従来のものと比較して、ダイアタッチ埋め込み性能が改善され、かつ、硬化後の耐熱性に優れたものとなりやすい。特に(C)成分としてジフェニルスルホン骨格を有する芳香族ポリアミン化合物を使用すると、前記ダイアタッチ埋め込み性能は更に改善され、かつ、前記耐熱性は更に優れたものとなりやすい。加えて、(C)成分を含む組成物からなる接着フィルムの保存安定性は、他の硬化剤を用いた接着フィルムと比較して、非常に長期にわたり良好に維持しやすい。(C)成分は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
(D)成分のシリカ系無機充填剤は本発明の接着剤組成物に添加しうる任意成分である。無機充填剤の中でも、(D)成分のシリカ系無機充填剤は汎用であり、工業的に好ましい。(D)成分は、本発明の接着剤組成物からなる接着剤層の溶融粘度を適度に増加させて、樹脂封止工程におけるチップ流れを抑制し、得られる接着剤硬化物層の吸湿率及び線膨張率を低下させる。(D)成分には特に制限はなく、公知のものを使用することができる。(D)成分は、得られる組成物の流動性の点から、オルガノアルコキシシラン、オルガノクロロシラン、オルガノシラザン、低分子量シロキサン等の有機ケイ素化合物などで表面処理されたものが好ましい。(D)成分は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
本発明の接着剤組成物には、得られる接着剤硬化物層の接着性を向上させるために、(E)成分の接着助剤を添加してもよい。(E)成分には特に制限はなく、公知の接着助剤を使用することができる。(E)成分は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。(E)成分としては、例えば、ケイ素を含むカップリング剤(シランカップリング剤)を使用することができる。
本発明の接着剤組成物には、上記(A)〜(E)成分に加えて、該組成物の特性を損なわない程度にその他の成分を配合してよい。その他の成分としては、例えば、(C)成分以外のエポキシ樹脂用硬化剤及び触媒;(D)成分以外の無機充填剤;有機充填剤;顔料、染料等の着色剤;濡れ向上剤;酸化防止剤;熱安定剤;溶媒等が挙げられる。その他の成分は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
(C)成分以外のエポキシ樹脂用硬化剤及び触媒としては、例えば、エポキシ樹脂用硬化剤または触媒として公知のフェノール系化合物が挙げられる。(C)成分以外のエポキシ樹脂用硬化剤及び触媒の量は、(C)成分の芳香族ポリアミン化合物の効果を妨げない程度である。
(D)成分以外の無機充填剤としては、例えば、アルミナ、酸化チタン、カーボンブラック、導電性粒子等が挙げられる。
本発明の組成物には、各成分の混合のしやすさ、得られる組成物の塗布のしやすさ等の観点から、溶媒を添加してもよい。溶媒は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノン、N-メチルピロリドン(NMP)などの非プロトン性極性溶媒が挙げられる。
本発明の接着剤組成物は、上記(A)〜(E)成分および所望によりその他の成分を慣用の混合手段により室温で混合することにより調製することができる。
本発明の接着剤組成物は、例えば、2つの被着体を接着するのに用いることができる。これらの被着体は特に限定されないが、一方の被着体としては、例えば、シリコンチップ、ガラス、セラミック等が挙げられ、他方の被着体としては、例えば、BT基板等の樹脂基板;金、銀、銅、ニッケル等からなるリードフレーム基板;シリコン基板が挙げられる。
また、本発明の接着剤組成物は、フィルム状に成形された状態で2つの被着体を接着するのに用いることもできる。例えば、基材と、該基材上に設けられた本発明の接着剤組成物からなる接着剤層とを備えた接着用シートを用いて、前記2つの被着体を接着することもできる。より具体的には、例えば、該接着用シートから該接着剤層を剥離し、その接着剤層を2つの被着体間に層状に挟んで圧着し加熱硬化させることで、該2つの被着体を接着することもできる。圧着および加熱硬化の条件は上記と同様である。
本発明の接着剤組成物は、本発明のダイシング・ダイアタッチフィルムに用いることができる。即ち、本発明のダイシング・ダイアタッチフィルムは、基材とその上に設けられた粘着剤層とを有するダイシングフィルムと、該ダイシングフィルムの粘着剤層上に設けられた本発明の接着剤組成物からなる接着剤層とを備えたダイシング・ダイアタッチフィルムである。
常法に従い、本発明の接着用シートまたは本発明のダイシング・ダイアタッチフィルムを使用して半導体装置を製造することができる。このようにして得られる半導体装置は、優れた信頼性を有する。
下記(A)〜(E)成分およびその他の成分を表1に示す量(各成分の固形分(不揮発分)の量であり、単位は質量部)で自転・公転方式の混合機((株)シンキー社製)に仕込み、更に、これら成分の合計の固形分濃度が20質量%となるようにメチルエチルケトン、トルエンまたはシクロヘキサノンを加え、混合して、接着剤組成物を調製した。
・VAMAC G:高圧ラジカル重合により合成されたカルボキシル基含有エチレン−アクリルゴム(デュポンエラストマー社製)、0.056モル/100gのカルボキシル基を含有
(A)成分以外のエチレン−アクリルゴム
・VAMAC DP:カルボキシル基を有していないエチレン−アクリルゴム(デュポンエラストマー社製)
エチレン−アクリルゴム以外の(メタ)アクリル系樹脂
・SG−P3:エポキシ基を有する、エチレン−アクリルゴム以外の(メタ)アクリル系樹脂(ナガセケムテックス社製)
・HP7200:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(大日本インキ社製)、重量平均分子量5000以下、室温で固体状、軟化温度=62℃
・EOCN−1020:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製)、重量平均分子量5000以下、室温で固体状、軟化温度=55℃
(B)成分以外のエポキシ樹脂
・RE−310S:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製)、室温で液体状
・3,3'−DDS:3,3'−ジアミノジフェニルスルホン(小西化学社製)、ジフェニルスルホン骨格を有する芳香族ポリアミン化合物
・4,4'−DDS:4,4'−ジアミノジフェニルスルホン(和歌山精化社製)、ジフェニルスルホン骨格を有する芳香族ポリアミン化合物
・DDM:4,4'−ジアミノジフェニルメタン(和歌山精化社製)、ジフェニルスルホン骨格を有していない芳香族ポリアミン化合物
・シリカ粒子:SC−2050(アドマテックス社製)、球状シリカ、平均粒径0.5μm
・シランカップリング剤:X−12−414(信越化学工業社製)、メルカプト系シランカップリング剤
次いで、接着剤組成物をフッ素系シリコーン離型剤がコーティングされた厚さ50μmのPETフィルム上に塗布し、110℃で10分間加熱乾燥し、厚さ約25μmの接着剤層を備えた接着用シートを作製した。
得られた接着用シートについて、下記試験を行なった。結果を表1に示す。
直径8インチ、厚さ725μmのシリコンウェハーを3mm×3mmのチップにダイシングし、こうしてダイシングされたウェハーの裏面に、接着剤層が接触するように接着用シートを100℃で熱圧着した。ついで、接着用シートをチップと同様の形状に切って、接着用シートが付いたシリコンチップを取りだした。このシリコンチップからPETフィルムを剥離させて接着剤層付きシリコンチップを得た。次いで、ソルダーレジストAUS308((株)太陽インキ社製)が塗布硬化された10mm×10mmのBT基板またはシリコン基板上に、得られた接着剤層付きシリコンチップを、接着剤層が付着した面が接触するように載せ、170℃、0.1MPaの条件で2秒間熱圧着して固定させた。このようにしてシリコンチップが固定された基板を175℃で6時間加熱して接着剤層を硬化させて試験片(接着試験片)を作製した。この接着試験片を用いて、ボンドテスター(DAGE社製、4000PXY)により、260℃において接着剤硬化物層と基板との間のせん断接着力を測定した。
上記(1)の接着試験片を85℃/60%RHの条件下で168時間保持し、次いで260℃のリフロー炉に3回通した後、上記(1)と同様に260℃においてせん断接着力を測定した。
直径8インチ、厚さ75μmのシリコンウェハーの一方の面に、接着剤層が接触するように接着用シート(接着剤層の膜厚:25μm)を70℃で熱圧着した。熱圧着した接着用シートからPETフィルムを剥がして得た接着剤層付きウェハーの接着剤層面に、感圧ダイシングフィルムを、該感圧ダイシングフィルムの粘着剤層が接触するように貼り付けた。このシリコンウェハーを、下記ダイシング条件にて、9mm角のチップにダイシングした。次いで、こうして得られた9mm角のシリコンチップを裏面に接着剤層が付いたまま前記感圧ダイシングフィルムの粘着剤層から剥離させた。このシリコンチップを、NECマシナリー社製のダイボンダー装置(BESTEM−D02−TypeB)により、5〜15μm幅のストライプ状回路パターンが形成された50mm×50mm×厚さ250μmの樹脂基板(ソルダーレジストAUS308が塗布硬化されたBT基板)上に接着剤層が接触するように配置し、130℃、0.1MPaの条件で1秒間熱圧着した。この点を図1(埋め込み性能試験におけるシリコンチップの配置を示す図である。)に基づいて具体的に説明すると、1辺9mmの正方形のシリコンチップ1を1辺50mmの正方形の樹脂基板2上に3mmの間隔で4行4列に16個配置し、最も外側に配置されたシリコンチップ1と樹脂基板2の外縁との間隔を2.5mmとした。このようにしてシリコンチップが熱圧着された樹脂基板を超音波画像測定装置で観察して、該シリコンチップと該樹脂基板との間の領域におけるボイドの有無を調べた(初期ダイアタッチ埋め込み性能)。
上記(3)で加熱後ダイアタッチ埋め込み性の試験のために超音波画像測定装置による観察に用いられたのと同様の樹脂基板を該基板表面から600μmの厚さでモールド材KMC2500LM1B(信越化学工業社製)により樹脂封止(175℃、封止圧力6.9MPa、90秒間)し、該モールド材を175℃で4時間加熱硬化させた。このようにして樹脂封止されたシリコンチップを切断して個片化し、得られたパッケージ合計16個を85℃/60%RHの条件下で168時間保持し、次いで最高到達温度260℃の半田リフロー炉に3回通した後、超音波画像測定装置によりシリコンチップと基板との間の剥離の有無を観察した。表1で、「○」は16個のパッケージいずれでも剥離が観察されなかったことを表し、「×」は16個のパッケージ中1個でも剥離が観察されたことを表す。
ダイシング装置:DAD−341(ディスコ社製)
切断方式:シングルカット
スピンドル回転数:40000rpm
ダイシングブレード:NBC−ZH 104F 27HEEE(ディスコ社製)
送り速度:50mm/sec
2 樹脂基板
Claims (11)
- (A)カルボキシル基含有エチレン−アクリルゴム、
(B)重量平均分子量が5000以下である室温で固体状のエポキシ樹脂、および
(C)芳香族ポリアミン化合物
を含む接着剤組成物。 - (A)成分が、高圧ラジカル重合により合成されたカルボキシル基含有エチレン−アクリルゴムである請求項1に記載の接着剤組成物。
- (C)成分がジフェニルスルホン骨格を有する芳香族ポリアミン化合物である請求項1または2に記載の接着剤組成物。
- (C)成分が4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、またはこれらの組み合わせである請求項1〜3のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
- (B)及び(C)成分の合計の割合が(A)〜(C)成分の合計に対して20質量%以上90質量%未満である請求項1〜4のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
- 更に(D)シリカ系無機充填剤を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
- 更に(E)接着助剤を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
- フィルム状に成形された請求項1〜7のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
- 基材と、該基材上に設けられた請求項1〜7のいずれか1項に記載の接着剤組成物からなる接着剤層とを備えた接着用シート。
- 基材とその上に設けられた粘着剤層とを有するダイシングフィルムと、該ダイシングフィルムの粘着剤層上に設けられた請求項1〜7のいずれか1項に記載の接着剤組成物からなる接着剤層とを備えたダイシング・ダイアタッチフィルム。
- 請求項9に記載の接着用シートまたは請求項10に記載のダイシング・ダイアタッチフィルムを使用して製造された半導体装置。
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