JP2010006929A - 接着剤組成物、接着用シート及びダイシング・ダイアタッチフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】接着性に優れるだけでなく埋め込み性能および耐熱性にも優れる接着剤組成物ならびに該接着剤組成物を用いた接着用シート及びダイシング・ダイアタッチフィルムを提供する。
【解決手段】(A)重量平均分子量が50,000〜1,500,000であり、下記(B)および(C)成分の一方または両方に対し反応性を有する官能基を含有する(メタ)アクリル系樹脂、(B)重量平均分子量が5000以下のエポキシ樹脂、ならびに(C)芳香族ポリアミン化合物、を含む接着剤組成物;基材と、該基材上に設けられた上記接着剤組成物からなる層とを備えた接着用シート;基材とその上に設けられた粘着剤層とを有するダイシングフィルムと、該ダイシングフィルムの粘着剤層上に設けられた上記接着剤組成物からなる層とを備えたダイシング・ダイアタッチフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、(メタ)アクリル系樹脂とエポキシ樹脂とを含み、半導体チップを基板に接着するときにボイドの発生を低減することができる接着剤組成物ならびに該接着剤組成物を用いた接着用シート及びダイシング・ダイアタッチフィルムに関する。
半導体装置は、例えば、(i)IC回路が形成された大径のシリコンウェハーをダイシング(切断)工程で半導体チップに切り分け、(ii)該チップをダイボンド材として硬化性の液状接着剤等でリードフレームに熱圧着し、該接着剤を硬化させて該チップを固定(マウント)し、(iii)電極間のワイヤボンディングの後、(iv)ハンドリング性の向上及び外部環境からの保護のため、封止することにより製造される。封止の形態としては、樹脂によるトランスファーモールド法が、量産性に優れかつ安価なため、最も一般的に用いられている。
近年、半導体装置の高機能化に伴い、半導体チップ搭載のための支持基板(基材)にも高密度化、微細化が要求されている。このような状況で、上記ダイボンド材として液状の接着剤を使用すると、半導体チップ搭載時に接着剤がチップ端からはみ出して電極の汚染が生じたり、接着剤層の厚みの不均一によるチップの傾斜によりワイヤボンディングの不具合が生じたりしやすい。そこで、これらの欠点を改善すべく、接着剤のフィルム化が望まれている。
一方、基板には配線等の回路要素による凹凸部が存在し、そのような基板に半導体チップを熱圧着するときに、ダイボンド材としての接着フィルム、即ち、ダイボンドフィルムが凹部を完全には埋めることができないと、その埋められなかった部分がボイドとして残り、これがリフロー炉での加熱において膨張し、接着剤層を破壊して半導体装置の信頼性を損ねる場合がある。特に、近年、鉛フリーはんだに対応した高温(265℃)において耐リフロー性が要求されるようになっており、ボイドの形成を防止することの重要性が高まっている。以下、ボイドを残さずに基板上の凹部を埋める性能を「埋め込み性能」という。
上記問題を解決するため、基板上に存在する凹部に溶融したダイボンドフィルムが入り込んで埋めるように、低い溶融粘度を有するダイボンドフィルムで半導体チップを基板に熱圧着し、ボイドを極力形成させないようにすることが考えられるが、完全にボイドの形成をなくすことはできず、また熱圧着に長時間を要したり、高い圧力を要したりするために生産性に悪影響を与える問題が生じる。さらに、ダイボンドフィルムがチップ端から大きくはみ出し、電極の汚染を生じるという問題もある。
上記問題を解決するためのもう一つの方法として、封止樹脂によるモールドが高温高圧で行われることから、残存したボイドを樹脂封止工程で加熱、圧縮して、ボイドの体積を小さくした状態で更にダイボンドフィルム中に吸収させる、または、ボイドの体積を小さくしたままダイボンドフィルムを加熱硬化させることによって、ボイドを抜く方法がある。この方法は、特別な工程を必要とせず、製造面で有利である。
ところで、従来、ダイボンドのための上記接着剤として、具体的には、接着性に優れた樹脂であるアクリル系樹脂、エポキシ樹脂、その硬化剤であるフェノール樹脂及び触媒を含む低弾性率材料が開発されている(例えば、特許文献1〜3)。しかし、これらの接着剤は接着性に優れるものの、該接着剤を用いた接着フィルムは、硬化反応の進行が速いため、樹脂封止工程でボイドを抜く上記の方法に適用すると、樹脂封止工程前のワイヤボンディング工程での加熱によりフィルム溶融粘度の上昇速度が大きくなるので、樹脂封止工程でボイドを抜くことが困難である。即ち、溶融粘度が大きくなる結果、ボイドの体積を十分には小さくできず、また、樹脂中にボイドを吸収させることができない。よって、従来の接着剤では基板上の凹部を十分に埋めることが難しく、埋め込み性能の改良が求められている。
特開平10−163391号公報 特開平11−12545号公報 特開2000−154361号公報
本発明は、接着性に優れるだけでなく埋め込み性能および耐熱性にも優れる接着剤組成物ならびに該接着剤組成物を用いた接着用シート及びダイシング・ダイアタッチフィルムを提供することを目的とする。
そこで、本発明者らは、アクリル系樹脂およびエポキシ樹脂を含む接着剤組成物について種々検討したところ、下記の接着剤組成物が、従来のものと比較して、優れた接着性を保持しつつ、耐熱性に優れかつ良好な埋め込み性能を発揮することを見出した。
すなわち、本発明は第一に、
(A)重量平均分子量が50,000〜1,500,000であり、下記(B)および(C)成分の一方または両方に対し反応性を有する官能基を含有する(メタ)アクリル系樹脂、
(B)重量平均分子量が5000以下のエポキシ樹脂、ならびに
(C)芳香族ポリアミン化合物
を含む接着剤組成物を提供する。
本発明は第二に、基材と、該基材上に設けられた上記接着剤組成物からなる層とを備えた接着用シートを提供する。なお、該接着剤組成物からなる層は、基材から剥離した状態でも室温でフィルム形状を保ち、いわゆる接着フィルムに該当する。
本発明は第三に、基材とその上に設けられた粘着剤層とを有するダイシングフィルムと、該ダイシングフィルムの粘着剤層上に設けられた上記接着剤組成物からなる層とを備えたダイシング・ダイアタッチフィルムを提供する。
本発明の接着剤組成物は、ワイヤボンディング工程での加熱による溶融粘度の上昇が抑えられており、樹脂封止工程で十分にボイドを消失させ得る溶融粘度を有しているため、容易にかつ十分にボイドを抜くことができるので、優れた埋め込み性能を有する。また、該接着剤組成物は、加熱硬化により、各種基材に対して高い接着力を有するとともに低弾性率でありかつ耐熱性に優れる接着剤硬化物層を与える。従って、該接着剤組成物は信頼性の高い半導体装置を製造するのに有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、「重量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量をいう。
本発明の接着剤組成物は、上記(A)〜(C)成分を含み、室温では形状を保つため、例えば、フィルム状薄膜を形成することができ、一方、加熱により可塑状態となり、さらにその状態を長時間保つことにより優れた埋め込み性能を発揮する。該組成物の硬化物は、基材に対して高い接着性を有するとともに低弾性率であり、かつ、優れた耐熱性を有する。
[(A)(メタ)アクリル系樹脂]
(A)成分は、重量平均分子量が50,000〜1,500,000であり、下記(B)および(C)成分の一方または両方に対し反応性を有する官能基を含有する(メタ)アクリル系樹脂である。本明細書において(メタ)アクリル系樹脂とは、アクリル酸、アクリル酸誘導体、メタクリル酸およびメタクリル酸誘導体からなる(メタ)アクリル系単量体に由来する単量体単位を含む重合体をいう。(A)成分は、一種単独で使用しても二種以上を組み合わせて使用してもよい。二種以上を組み合わせて使用する場合、(A)成分は、前記官能基を含有する(メタ)アクリル系樹脂と前記官能基を含有しない(メタ)アクリル系樹脂との混合物であってもよい。
(A)成分としては、例えば、上記(メタ)アクリル系単量体の単独重合体もしくは共重合体または該(メタ)アクリル系単量体とその他の単量体との共重合体であって、重量平均分子量が50,000〜1,500,000であり、下記(B)および(C)成分の一方または両方に対し反応性を有する官能基を含有する重合体が挙げられる。(メタ)アクリル系単量体とその他の単量体との共重合体において、その他の単量体に由来する単量体単位の含有量は、(A)成分中の全単量体単位に対し、好ましくは0〜50モル%、より好ましくは0〜30モル%である。(メタ)アクリル系単量体とその他の単量体との共重合体において、これらの単量体はおのおの、一種単独で使用しても二種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記アクリル酸誘導体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル等のアクリル酸アルキルエステル;アクリル酸ヒドロキシルエチル、アクリル酸ヒドロキシルプロピル等のアクリル酸ヒドロキシルアルキルエステル;アクリル酸ベンジルなどの芳香族炭化水素基含有アクリル酸エステル;ジメチルアクリル酸アミド等のアクリル酸アミド;イミドアクリレートTO−1492(商品名、東亞合成工業製)等のイミド基含有アクリル酸エステル;アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有アクリル酸エステル;アクリロニトリルが挙げられる。
上記メタクリル酸誘導体としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸ヒドロキシルエチル、メタクリル酸ヒドロキシルプロピル等のメタクリル酸ヒドロキシルアルキルエステル;メタクリル酸ベンジルなどの芳香族炭化水素基含有メタクリル酸エステル;ジメチルメタクリル酸アミド等のメタクリル酸アミド;イミドメタクリレート等のイミド基含有メタクリル酸エステル;メタクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有メタクリル酸エステルが挙げられる。
上記のその他の単量体としては、例えば、スチレン、ブタジエン、アリル誘導体(アリルアルコール、酢酸アリル等)が挙げられる。
本発明の好ましい実施形態において、(A)成分は、下記式:
Figure 2010006929

で表される単位を含む共重合体である。この共重合体は、単量体としてアクリロニトリルを用いることにより製造することができる。この場合、アクリロニトリルの含有量は、全単量体に対し、好ましくは1〜50モル%、より好ましくは3〜40モル%、特に好ましくは5〜30モル%である。
(A)成分中の官能基は、得られる接着剤硬化物層の接着性の点から、エポキシ基、カルボキシル基、またはその組み合わせであることが好ましい。(A)成分中の官能基は、例えば、(A)成分の原料として用いる単量体の少なくとも一部として、該官能基を含有する単量体を用いて(A)成分を合成することにより、(A)成分中に導入することができる。該官能基を含有する単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エポキシ基を含有するアクリル酸誘導体(例えば、グリシジルアクリレート)、エポキシ基を含有するメタクリル酸誘導体(例えば、グリシジルメタクリレート)が挙げられ、これらの単量体は一種単独で使用しても二種以上を組み合わせて使用してもよい。
(A)成分中の官能基の含有量は、(A)成分100g当たり好ましくは0.002〜0.1モル、より好ましくは0.005〜0.05モルである。該含有量が0.002〜0.1モルの範囲内であると、十分な埋め込み性能を有する組成物および十分な接着力を有する接着剤硬化物層を容易に得ることができる。
(A)成分の重量平均分子量は、通常、50,000〜1,500,000であり、好ましくは100,000〜1,000,000である。上記分子量が50,000未満であると、得られる接着剤硬化物層の接着性および強度が低下する場合がある。上記分子量が1,500,000を超えると、得られる組成物は粘度が高すぎて取り扱い性に劣る場合がある。
また、(A)成分の(メタ)アクリル系樹脂は、熱機械分析(TMA)で測定されたガラス転移点(Tg)が好ましくは−40℃〜100℃であり、より好ましくは−10〜70℃である。
[(B)エポキシ樹脂]
(B)成分は、重量平均分子量が5000以下、好ましくは150〜3000のエポキシ樹脂であり、1分子中にエポキシ基を少なくとも2個有するものが好ましい。上記分子量が5000を超えると、(B)成分の(A)成分への溶解および分散のいずれか一方または両方が不十分となり、両成分が分離する可能性がある。(B)成分は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
更に、本発明の接着剤組成物を接着用シートとして適用する場合、特に、貼り付けるシリコンウェハーが薄いときに、クラックの発生及び反りを防止すべく、上記接着用シートをより低温及びより低圧で圧着できるように、(B)成分は、室温で液状であるか、環球法(JIS−K7234)で測定される軟化温度が100℃以下であることが好ましい。
(B)成分としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン又はそれらのハロゲン化物のジグリシジルエーテル及びこれらの縮重合物(いわゆるビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等);ブタジエンジエポキシド、ビニルシクロヘキセンジオキシド;1,2−ジヒドロキシベンゼンのジグリシジルエーテル、レゾルシノールのジグリシジルエーテル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ジフェニルエーテル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキセン等のジグリシジルエーテル;ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート;多価フェノール又は多価アルコールとエピクロルヒドリンとを縮合させて得られるポリグリシジルエステル;フェノールノボラック、クレゾールノボラック等のノボラック型フェノール樹脂又はハロゲン化ノボラック型フェノール樹脂とエピクロルヒドリンとを縮合させて得られるエポキシノボラック(即ち、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂);過酸化法によりエポキシ化したエポキシ化ポリオレフィン又はエポキシ化ポリブタジエン;ナフタレン環含有エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;フェノールアラルキル型エポキシ樹脂;ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂;シクロペンタジエン型エポキシ樹脂などが挙げられる。
(B)成分としては、上記1分子中にエポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ樹脂に加えて、モノエポキシ化合物を適宜併用してもよい。モノエポキシ化合物としては、例えば、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、プロピレンオキシド、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、オクチレンオキシド、ドデセンオキシドなどが挙げられる。
中でも、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂又はその組み合わせが好ましい。
(B)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して好ましくは5〜300質量部であり、より好ましくは10〜200質量部である。上記配合量が5〜300質量部の範囲内であると、十分な埋め込み性能を有する組成物を容易に得ることができ、該組成物から得られる接着剤硬化物層は、接着力に優れ、弾性率の上昇が抑えられ、十分な柔軟性を有するものとなりやすい。
[(C)芳香族ポリアミン化合物]
(C)成分の芳香族ポリアミン化合物は、芳香環を有し、かつ、該芳香環に直結した少なくとも2個のアミノ基を有する化合物であり、エポキシ樹脂用硬化剤及び触媒としての機能を有するものである。芳香族ポリアミン化合物は、融点を有し、ワイヤボンディング工程での加熱下では固体であるため、芳香族ポリアミン化合物を含む組成物は硬化反応が緩やかに進行する。このため、該組成物では加熱硬化による溶融粘度の上昇を有効に抑えることができる。また、芳香族ポリアミン化合物を含む組成物を加熱硬化させて得られる硬化物は耐熱性に優れる。よって、(C)成分の芳香族ポリアミン化合物を含む本発明組成物は、従来のものと比較して、埋め込み性能が改善され、かつ、硬化後の耐熱性に優れたものとなりやすい。(C)成分は一種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
(C)成分中に存在する芳香環は芳香族炭化水素環であっても芳香族複素環であってもよい。芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられる。芳香族複素環としては、例えば、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環等が挙げられる。
(C)成分の芳香族ポリアミン化合物は、エポキシ樹脂用硬化剤及び触媒としての機能を有する限り特に限定されないが、得られる硬化物の耐熱性の観点から、スルホニル基を有する芳香族ポリアミン化合物であることが好ましい。
(C)成分の具体例としては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,2−ジアミノベンゼン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、4,4'−ジアミノジフェニルプロパン、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,6−ジアミノピリジン、ビス(3−アミノフェニル)ジエチルシラン、4,4'−ジアミノジフェニルジエチルシラン、ベンジジン、3,3'−ジクロロベンジジン、3,3'−ジメトキシベンジジン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、N,N−ビス(4−アミノフェニル)−n−ブチルアミン、N,N−ビス(4−アミノフェニル)メチルアミン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、4−アミノフェニル−3−アミノベンゾエート、N,N−ビス(4−アミノフェニル)アニリン、ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、p−ビス(2−メチル−4−アミノペンチル)ベンゼン、p−ビス(1,1−ジメチル−5−アミノペンチル)ベンゼン、(1,3−ビス(4−アミノフェノキシ))ベンゼン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテルホスフィンオキシド、4,4'−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4'−ジアミノジフェニルN−フェニルアミンなどが挙げられる。これらの中でも、得られる硬化物の耐熱性の観点から、スルホニル基を有する芳香族ポリアミン化合物である4,4'−ジアミノジフェニルスルホンおよび3,3'−ジアミノジフェニルスルホンが好ましい。これらの芳香族ポリアミン化合物は、エポキシ樹脂硬化剤として公知のものであり、市販品を使用することができる。
(C)成分の配合量は、本発明組成物中の全エポキシ基に対する(C)成分中のアミノ基のモル比が0.6〜1.4となる量であることが好ましく、0.8〜1.2となる量であることが更に好ましい。上記モル比が0.6〜1.4となる量の(C)成分を本発明組成物に配合すると、該組成物は架橋が十分に行われるため、得られる硬化物は、硬化特性が良好となりやすく、接着力および耐半田リフロー性が効果的に向上する。また、(C)成分が該硬化物中に未反応物として残りにくく無駄となりにくいため、省資源化を図りやすく、経済的である。
本発明の組成物には(B)成分のエポキシ樹脂以外にも、官能基としてエポキシ基を含有する(A)成分およびエポキシ基を含有するその他の成分を配合することができるので、本発明組成物中の全エポキシ基とは、(B)成分中のエポキシ基と、官能基としてエポキシ基を含有する(A)成分中のエポキシ基と、エポキシ基を含有するその他の成分中のエポキシ基との合計を意味する。本発明組成物中の全エポキシ基に対する(B)成分中のエポキシ基と官能基としてエポキシ基を含有する(A)成分中のエポキシ基との合計のモル比は好ましくは0.6〜1、より好ましくは0.8〜1である。また、本発明組成物中の全エポキシ基に対する(B)成分中のエポキシ基のモル比は好ましくは0.6〜1、より好ましくは0.8〜0.95である。ここで、本発明組成物中に(B)成分および官能基としてエポキシ基を含有する(A)成分以外にエポキシ基を有する成分が含まれない場合には、(C)成分の配合量は、(B)成分中のエポキシ基と官能基としてエポキシ基を含有する(A)成分中のエポキシ基との合計に対する(C)成分中のアミノ基のモル比が0.6〜1.4となる量であることが好ましく、0.8〜1.2となる量であることが更に好ましい。また、本発明組成物中に(B)成分以外にエポキシ基を有する成分が含まれない場合には、(C)成分の配合量は、(B)成分中に存在するエポキシ基に対する(C)成分中に存在するアミノ基のモル比が0.6〜1.4となる量であることが好ましく、0.8〜1.2となる量であることが更に好ましい。
[その他の成分]
本発明の組成物には、上記(A)〜(C)成分に加えて、本発明の接着剤組成物の特性を損なわない範囲でその他の成分を配合してよい。その他の成分としては、例えば、(C)成分以外の触媒;(C)成分以外の硬化剤;充填剤;接着助剤;顔料、染料等の着色剤;濡れ向上剤;酸化防止剤;熱安定剤等が挙げられる。
<(C)成分以外の触媒>
(C)成分以外の触媒としては慣用のものを使用することができ、その例としては、トリフェニルホスフィン等のリン系触媒、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール系触媒等が挙げられる。(C)成分以外の触媒は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
<(C)成分以外の硬化剤>
(C)成分以外の硬化剤には特に制限はなく、従来公知の種々のものを使用することができる。該硬化剤は、1種単独で使用しても、それら硬化剤の硬化性能などに応じて2種以上を併用してもよい。該硬化剤としては、従来公知の種々のものを使用することができ、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、メタキシリレンジアミン、メンタンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンなどの(C)成分以外のアミン系化合物;エポキシ樹脂−ジエチレントリアミンアダクト、アミン−エチレンオキサイドアダクト、シアノエチル化ポリアミンなどの変性脂肪族ポリアミン;ビスフェノールA、トリメチロールアリルオキシフェノール、低重合度のフェノールノボラック樹脂、エポキシ化もしくはブチル化フェノール樹脂あるいはSuper Beckcite1001(日本ライヒホールド化学工業(株)製)、Hitanol 4010((株)日立製作所製)、Scado form L.9(オランダScado Zwoll社製)、Methylon 75108(米国ゼネラルエレクトリック社製)などの商品名で知られているフェノール樹脂などの、分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を含有するフェノール系樹脂;Beckamine P.138(日本ライヒホールド化学工業(株)製)、メラン((株)日立製作所製)、U−Van 10R(東洋高圧工業(株)製)などの商品名で知られている炭素樹脂;メラミン樹脂、アニリン樹脂などのアミノ樹脂;式:HS(COCHOCSS)OCHOCSH(式中、L=1〜10の整数)で示されるポリスルフィド樹脂などの、1分子中にメルカプト基を少なくとも2個有するポリスルフィド樹脂;無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、メチルナジック酸、ドデシル無水こはく酸、無水クロレンディック酸などの有機酸もしくはその無水物(酸無水物)などが挙げられる。これらのうちでも、フェノール系樹脂(特に、フェノールノボラック樹脂)が、得られる組成物に良好な成形作業性を与えるとともに、得られる硬化物層に優れた耐湿性を与え、また毒性がなく、比較的安価であるので、望ましい。
(C)成分以外の硬化剤を使用する場合、その使用量は、(B)成分のエポキシ樹脂100質量部に対して好ましくは0.1〜50質量部である。該使用量が0.1〜50質量部の範囲内であると、得られる接着剤組成物の埋め込み性能は良好なものとなりやすい。
<充填剤>
本発明組成物には充填剤を配合してもよい。充填剤には特に制限はなく、公知のものを使用することができる。充填剤は、1種単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。充填剤の配合量は、(A)〜(C)成分の合計100質量部に対して好ましくは0〜900質量部、より好ましくは0〜500質量部である。
充填剤としては、例えば、シリカ微粉末、アルミナ、酸化チタン、カーボンブラック、銀粒子等のその他の導電性粒子等の無機系充填剤;シリコーン微粒子等の有機系充填剤が挙げられる。これらの中でも、シリカ微粉末、シリコーン微粒子が好ましい。以下、シリカ微粉末およびシリコーン微粒子について更に詳しく説明する。
・シリカ微粉末
シリカ微粉末は、本発明の接着剤組成物からなる層の溶融粘度を適度に増加させて、樹脂封止工程におけるチップ流れを抑制し、得られる接着剤硬化物層の吸水率及び線膨張率を低下させる。シリカ微粉末には特に制限はなく、公知のものを使用することができる。シリカ微粉末は、得られる組成物の流動性の点から、オルガノアルコキシシラン、オルガノクロロシラン、オルガノシラザン、低分子量シロキサン等の有機ケイ素化合物などで表面処理されたものが好ましい。シリカ微粉末は、1種単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
シリカ微粉末の平均粒径は、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。該平均粒径が10μm以下であると、本発明の接着用シートは表面の平滑性を維持しやすい。また、シリカ微粉末の最大粒径は20μm以下であることが好ましい。なお、本明細書において、「平均粒径」とは、レーザー光回折法を用いた粒度分布測定装置により求めた累積分布の50%に相当する体積基準の平均粒径をいう。また、「最大粒径」とは、上記で平均粒径を求めたときに測定された累積分布における粒径の最大値である。
シリカ微粉末としては、例えば、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ等の補強性シリカ;石英等の結晶性シリカが挙げられる。具体的には、日本アエロジル社製のAerosil R972、R974、R976;(株)アドマテックス社製のSE−2050、SC−2050、SE−1050、SO−E1、SO−C1、SO−E2、SO−C2、SO−E3、SO−C3、SO−E5、SO−C5;信越化学工業社製のMusil120A、Musil130Aなどが例示される。
シリカ微粉末の配合量は、充填剤全体の配合量を上記の範囲内で調整しつつ、組成物総質量の5〜80質量%とすることが好ましく、特に10〜60質量%とすることが好ましい。上記配合量が5〜80質量%の範囲であると、得られる接着剤硬化物層は、吸水率及び線膨張率を効果的に低下させることができ、また、弾性率の上昇を抑制しやすい。
・シリコーン微粒子
シリコーン微粒子は、好ましくは上記シリカ微粉末と併用することにより、得られる接着剤硬化物層の弾性率及び吸水率を低下させる。シリコーン微粒子には特に制限はなく、公知のものを使用することができ、例えば、シリコーンゴム微粒子、シリコン樹脂微粒子等が挙げられる。シリコーン微粒子は、1種単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
シリコーン微粒子の平均粒径は、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.5〜5μmである。該平均粒径が0.1〜10μmの範囲であると、本発明の接着用シートは表面の平滑性を維持しやすい。また、シリコーン微粒子の最大粒径が20μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以下である。
シリコーン微粒子としては、複合シリコーンゴム微粒子が好ましい。複合シリコーンゴム微粒子は、シリコーンゴム微粒子の表面上の少なくとも一部に、該表面上での重合反応により生成されたポリオルガノシルセスキオキサン樹脂の微小体が存在する粒子である。複合シリコーンゴム微粒子は、例えば、特開平7−196815号公報に記載されている方法に従って作ることができる。即ち、平均粒径が0.1〜10μmの球状シリコーンゴム微粒子の水分散液に、アルカリ性物質そのものまたはそのアルカリ性水溶液と、オルガノトリアルコキシシランとを添加し、球状シリコーンゴム微粒子表面上で、オルガノトリアルコキシシランを加水分解して重合させ、次いでこれを乾燥させて、複合シリコーンゴム微粒子を得る。ポリオルガノシルセスキオキサン樹脂の含有量は、球状シリコーンゴム微粒子100質量部に対し、1〜500質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜100質量部である。該含有量が1〜500質量部であると、複合シリコーンゴム微粒子は得られる接着剤組成物中での分散性が良好となりやすく、組成が均一な接着用シートを容易に得ることができる。また、得られる硬化物層は弾性率の上昇が抑制されたものとなりやすい。
複合シリコーンゴム微粒子としては、例えば、信越化学工業社製のKMP−600、KMP−605、X−52−7030などを使用することができる。
シリコーン微粒子の配合量は、充填剤全体の配合量を上記の範囲内で調整しつつ、組成物総質量の5〜30質量%とすることが好ましく、10〜20質量%とすることがより好ましい。上記配合量が5〜30質量%の範囲であると、得られる接着剤硬化物層は、弾性率および吸水率を効果的に低下させることができ、また、線膨張率の増加、強度の低下を抑制しやすい。
<接着助剤>
本発明の組成物には、接着性を向上させるために、接着助剤を添加してもよい。接着助剤は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。接着助剤としては、例えば、ケイ素を含むカップリング剤(シランカップリング剤)を使用することができる。接着助剤の例としては、商品名で信越化学工業社製のKBM−403、KBM−402、KBM−803、KBM−802、KBM−903、KBM−902、KBM−503、KBM5103もしくはX−12−414またはこれらの部分加水分解物等を挙げることができる。
[組成物の調製]
本発明の接着剤組成物は、上記(A)〜(C)成分および所望によりその他の成分を慣用の混合手段により室温で混合することにより調製することができる。
[組成物の用途]
本発明の接着剤組成物は、例えば、2つの被着体を接着するのに用いることができる。これらの被着体は特に限定されないが、一方の被着体としては、例えば、シリコンチップ、ガラス、セラミック等が挙げられ、他方の被着体としては、例えば、BT基板等の樹脂基板;金、銀、銅、ニッケル等からなるリードフレーム基板;シリコン基板が挙げられる。
例えば、本発明の接着剤組成物を溶媒に適当な濃度で溶解して一方の被着体上に塗布し、乾燥させた後、該接着剤組成物が塗布された該被着体表面に他方の被着体を圧着し、該接着剤組成物を加熱硬化させることで、これら2つの被着体を接着することができる。前記溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノン、N-メチルピロリドン(NMP)などの非プロトン性極性溶媒が挙げられる。乾燥は、室温〜200℃、特に80〜150℃で1分〜1時間、特に3〜10分間行うことが好ましい。圧着は0.01〜10MPa、特に0.05〜2MPaの圧力で行うことが好ましい。加熱硬化は、100〜200℃、特に120〜180℃の温度で30分〜8時間、特に1〜7時間行うことが好ましい。
また、本発明の接着剤組成物は、フィルム状に成形された状態で2つの被着体を接着するのに用いることもできる。例えば、基材と、該基材上に設けられた本発明の接着剤組成物からなる層(以下、接着剤組成物層という場合がある。)とを備えた接着用シートを用いて、前記2つの被着体を接着することもできる。より具体的には、例えば、該接着用シートから該接着剤組成物層を剥離し、その接着剤組成物層を2つの被着体間に層状に挟んで圧着し加熱硬化させることで、該2つの被着体を接着することもできる。圧着および加熱硬化の条件は上記と同様である。
前記接着用シートは、本発明の接着剤組成物を溶媒に前記と同様に適当な濃度で溶解して基材上に塗布し乾燥させて、接着剤組成物層を形成させることにより得ることができる。溶媒の例および乾燥の条件は上記と同様である。接着剤組成物層の膜厚は、特に制限がなく、目的に応じ選択することができるが、10〜500μmであることが好ましく、特に15〜100μmであることが好ましい。前記基材は、通常、フィルム状であり、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、紙、金属箔等の基材、または表面を離型処理した前記基材を用いることができる。前記基材の厚さは、好ましくは10〜100μm、より好ましくは25〜50μmである。
半導体装置製造の分野においては、本発明の接着剤組成物からなる層(接着剤フィルム)は、シリコンチップを基板に接着するいわゆるダイボンドフィルムとして使用することができる。該接着フィルムを用いてシリコンチップを基板にダイボンドした後、ワイヤボンディング工程および封止工程を経て半導体装置を製造する場合、ダイボンド後に埋め込みされなかった部分では、該接着フィルムを硬化させて得た接着剤硬化物層と基板との間の接着力がワイヤボンディング工程での加熱により低下する。上記埋め込みされなかった部分は、ワイヤボンディング工程の後、封止工程により埋め込みされる。このようにして樹脂封止された半導体装置が信頼性を有するためには、該接着剤硬化物層と基板との間で、接着力が低下した部分があったとしても、全体として十分な接着力を保持していることが必要である。そのために必要とされる接着力は、260℃で測定した場合に、通常、少なくとも1MPaである。従って、シリコンチップと基板との組み合わせ等の2つの被着体間に層状に挟まれた接着フィルムをワイヤボンディング工程での加熱条件で加熱した後、半導体封止樹脂による封止工程における加熱/加圧条件で熱圧着し、更に加熱硬化させて層状の硬化物(接着剤硬化物層)とした後に、該2つの被着体間のせん断接着力を260℃で測定したとき、該せん断接着力は、通常、少なくとも1MPaである。ワイヤボンディング工程での加熱条件は種々あるが、一般的に170℃で30分以上である。また、上記半導体封止樹脂による封止工程における加熱/加圧条件は、通常、160〜180℃/5〜10MPaで10〜150秒間である。加熱硬化の条件は前記のとおりである。
本発明の接着剤組成物は、本発明のダイシング・ダイアタッチフィルムに用いることができる。即ち、本発明のダイシング・ダイアタッチフィルムは、基材とその上に設けられた粘着剤層とを有するダイシングフィルムと、該ダイシングフィルムの粘着剤層上に設けられた本発明の接着剤組成物からなる層とを備えたダイシング・ダイアタッチフィルムである。前記基材は、通常、フィルム状であり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリイミドフィルム、これらを変性させたプラスチックフィルムを用いることができる。前記基材の厚さは、好ましくは60〜500μm、より好ましくは80〜200μmである。前記粘着剤層を形成する粘着剤としては、例えば、感圧粘着剤;紫外線照射前は粘着力を保持し、紫外線照射により粘着力が低下する粘着剤等が挙げられる。前記粘着剤層の厚さは、好ましくは2〜10μm、より好ましくは5〜10μmである。
本発明のダイシング・ダイアタッチフィルムは、例えば、ダイシングフィルムの粘着剤層上に本発明の接着用シート中の接着剤組成物層を積層することにより製造することができる。また、本発明の接着剤組成物を溶媒に前記と同様の適当な濃度で溶解してダイシングフィルムの粘着剤層上に塗布し乾燥させて、接着剤組成物層を形成させることにより得ることもできる。溶媒の例、乾燥の条件、および接着剤組成物層の膜厚は上記と同様である。ダイシングフィルムとしては、例えば、感圧タイプのダイシングフィルム、紫外線硬化タイプのダイシングフィルムを用いることができる。
本発明の接着剤組成物は、半導体装置などの電子部品の製造においてだけでなく、接着工程を含む種々の製品の製造、例えば、LED部品、センサー、液晶部品などの製造において用いることができる。
以下、実施例及び比較例により、本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[接着剤組成物の調製]
下記(A)〜(D)成分およびその他の成分を表1に示す配合量(質量部)で自転・公転方式の混合機((株)シンキー社製)に仕込み、更に、これら成分の合計の濃度が20質量%となるようにメチルエチルケトン、トルエンまたはシクロヘキサノンを加え、混合して、接着剤組成物を調製した。
(A)(メタ)アクリル系樹脂
・SG−P3:エポキシ基を有するアクリロニトリル系樹脂(ナガセケムテックス社製)、0.021モル/100gのエポキシ基を含有、Tg=12℃、重量平均分子量=85万
・SG−P3−43:エポキシ基を有するアクリロニトリル系樹脂(ナガセケムテックス社製)、0.050モル/100gのエポキシ基を含有、Tg=12℃、重量平均分子量=85万
(B)エポキシ樹脂
・RE−310S:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製)、重量平均分子量=600
・EOCN−1020:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製)、重量平均分子量=1200
(C)芳香族ポリアミン化合物
・4,4'−DDS:4,4'−ジアミノジフェニルスルホン(和歌山精化社製)、スルホニル基を有する芳香族ポリアミン
・3,3'−DDS:3,3'−ジアミノジフェニルスルホン(和歌山精化社製)、スルホニル基を有する芳香族ポリアミン
・DDM:4,4'−ジアミノジフェニルメタン(和歌山精化社製)、芳香族ポリアミン
(その他の成分)芳香族ポリアミン化合物以外の触媒
・2PHZ:2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成製)
(その他の成分)芳香族ポリアミン化合物以外の硬化剤
・フェノール樹脂:KA−1160(大日本インキ化学社製)
(その他の成分)充填剤
・シリカ微粉末:SE−2050(アドマテックス社製)、球状シリカ、平均粒径0.5μm
・複合シリコーンゴム微粒子:X−52−7030(信越化学工業社製)、平均粒径0.7μm
(その他の成分)接着助剤
・カップリング剤:X−12−414(信越化学工業社製)、メルカプト系シランカップリング剤
[接着用シートの作製]
次いで、接着剤組成物をフッ素系シリコーン離型剤がコーティングされた厚さ50μmのPETフィルム上に塗布し、110℃で10分間加熱乾燥し、厚さ約25μmの接着剤組成物層を備えた接着用シートを作製した。
[試験]
得られた接着用シートについて、下記試験を行なった。結果を表1に示す。
(1)ヤング率
接着用シート中のPETフィルムから剥離させた接着剤組成物層を8枚重ねて70℃で熱ラミネートした後、175℃で6時間加熱して硬化させた。40mm×10mm×200μmのフィルムを切り出して試験片とし、動的粘弾性測定装置を用い、引張りモードで、チャック間距離10mm、測定温度−80℃〜300℃、測定周波数1Hzの条件でヤング率を測定した。
(2)初期の接着性
厚さ450μmのシリコンウェハーを2mm×2mmのチップにダイシングし、こうしてダイシングされたウェハーの裏面に、接着剤組成物層が接触するように接着用シートを100℃で熱圧着した。次いで、接着用シートをチップと同様の形状に切って、接着用シートが付いたシリコンチップを取りだした。このシリコンチップからPETフィルムを剥離させて接着剤組成物層付きシリコンチップを得た。次いで、レジストAUS308((株)太陽インキ社製)が塗布硬化された10mm×10mmのBT基板またはシリコン基板上に、得られた接着剤組成物層付きシリコンチップを、接着剤組成物層が付着した面が接触するように載せ、170℃、0.1MPaの条件で2秒間熱圧着して固定させた。このようにしてシリコンチップが固定された基板を175℃で6時間加熱して接着剤組成物層を硬化させて試験片(接着試験片)を作製した。この接着試験片を用いて、ボンドテスター(DAGE社製、4000PXY)により、260℃において接着剤硬化物層と基板との間のせん断接着力を測定した。
(3)湿熱後の接着性
上記(2)の接着試験片を85℃/60%RHの条件下で168時間保持し、次いで260℃のリフロー炉に3回通した後、上記(2)と同様に260℃においてせん断接着力を測定した。
(4)埋め込み性能
直径8インチ、厚さ75μmのシリコンウェハーの一方の面に、接着剤組成物層が接触するように接着用シートを70℃で熱圧着した。熱圧着した接着用シートからPETフィルムを剥がして得た接着剤組成物層付きウェハーの接着剤組成物層面に、感圧ダイシングフィルムを、該感圧ダイシングフィルムの粘着剤層が接触するように貼り付けた。このシリコンウェハーを、下記ダイシング条件にて、9mm角のシリコンチップにダイシングした。次いで、こうして得られた9mm角のシリコンチップを裏面に接着剤組成物層が付いたまま前記感圧ダイシングフィルムの粘着剤層から剥離させた。このシリコンチップを、NECマシナリー社製のダイボンダー装置(BESTEM−D02−TypeC)により、5〜15μm幅のストライプ状回路パターンが形成された50mm×50mm×厚さ250μmの樹脂基板(レジストAUS308が塗布硬化されたBT基板)上に接着剤組成物層が接触するように配置し、130℃、0.1MPaの条件で1秒間熱圧着した。この点を図1(埋め込み性能試験におけるシリコンチップの配置を示す図である。)に基づいて具体的に説明すると、1辺9mmの正方形のシリコンチップ1を1辺50mmの正方形の樹脂基板2上に3mmの間隔で4行4列に16個配置し、最も外側に配置されたシリコンチップ1と樹脂基板2の外縁との間隔を2.5mmとした。このようにしてシリコンチップが熱圧着された樹脂基板をワイヤボンディング工程での加熱温度に相当する170℃で90分間加熱した後、樹脂基板上から600μmの厚さでモールド材KMC2500LM1B(信越化学工業社製)により樹脂封止(175℃、封止圧力6.9MPa、90秒間)し、該モールド材を175℃で4時間加熱硬化させた。このようにして得られた半導体パッケージ内部を超音波画像測定装置で観察して、ボイドの有無を調べた。
また、ワイヤボンディング工程での加熱温度に相当する170℃での加熱の時間を90分間から150分間に変更した以外は上記と同様にして、ボイドの有無を調べた。
超音波画像測定装置での観察により半導体パッケージ内部にボイドが確認されなかった場合、埋め込み性能が十分であると評価した。一方、超音波画像測定装置での観察により半導体パッケージ内部にボイドが確認された場合、埋め込み性能が不十分であると評価した。表1で、「○」は埋め込み性能が十分であったことを、「×」は埋め込み性能が不十分であったことを表す。
ダイシング条件:
ダイシング装置:DAD−341(ディスコ社製)
切断方式:シングルカット
スピンドル回転数:40000rpm
ダイシングブレード:NBC−ZH 104F 27HEEE(ディスコ社製)
(5)パッケージの信頼性
上記(4)で樹脂封止されたシリコンチップを切り離し、得られたパッケージ合計16個を85℃/60%RHの条件下で168時間保持し、次いで最高到達温度260℃の半田リフロー炉に3回通した後、超音波画像測定装置によりシリコンチップと基板との間の剥離の有無を観察した。表1で、「○」は16個のパッケージいずれでも剥離が観察されなかったことを表し、「×」は16個のパッケージ中1個でも剥離が観察されたことを表す。
Figure 2010006929
本発明の組成物(実施例1〜8)では、触媒および硬化剤として芳香族ポリアミン化合物を用いたのに対し、比較例1および2の組成物では、触媒として芳香族ポリアミン化合物の代わりにイミダゾール触媒を用い、かつ、硬化剤を用いず、比較例3の組成物では、触媒として芳香族ポリアミン化合物の代わりにイミダゾール触媒を用い、硬化剤として芳香族ポリアミン化合物の代わりにフェノール樹脂を用いた。表1に示すように、本発明の組成物は比較例1〜3の組成物に比べて埋め込み性能に優れ、また、本発明の組成物から得られる硬化物層は比較例1〜3の組成物から得られる硬化物層に比べて吸湿下でのパッケージ信頼性が高い。
本発明の接着剤組成物は埋め込み性能に優れ、該接着剤組成物から得られる接着剤硬化物層は接着性に優れるとともに低弾性率でありかつ耐熱性に優れる。よって、該接着剤組成物は、信頼性の高い半導体装置を製造するための接着用シートおよびダイシング・ダイアタッチフィルムにおける接着剤組成物層として有用である。
埋め込み性能試験におけるシリコンチップの配置を示す図である。
符号の説明
1 シリコンチップ
2 樹脂基板

Claims (9)

  1. (A)重量平均分子量が50,000〜1,500,000であり、下記(B)および(C)成分の一方または両方に対し反応性を有する官能基を含有する(メタ)アクリル系樹脂、
    (B)重量平均分子量が5000以下のエポキシ樹脂、ならびに
    (C)芳香族ポリアミン化合物
    を含む接着剤組成物。
  2. (A)成分中の官能基がエポキシ基、カルボキシル基、またはその組み合わせである請求項1に係る接着剤組成物。
  3. (A)成分が下記式:
    Figure 2010006929

    で表される単位を含む請求項1または2に係る接着剤組成物。
  4. (C)成分がスルホニル基を有する請求項1〜3のいずれか1項に係る接着剤組成物。
  5. (C)成分が4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、またはその組み合わせである請求項1〜4のいずれか1項に係る接着剤組成物。
  6. フィルム状に成形された請求項1〜5のいずれか1項に係る接着剤組成物。
  7. 2つの被着体間に層状に挟まれ、加熱/加圧条件下で熱圧着された、これら被着体を接着する請求項6に係る接着剤組成物。
  8. 基材と、該基材上に設けられた請求項1〜5のいずれか1項に記載の接着剤組成物からなる層とを備えた接着用シート。
  9. 基材とその上に設けられた粘着剤層とを有するダイシングフィルムと、該ダイシングフィルムの粘着剤層上に設けられた請求項1〜5のいずれか1項に記載の接着剤組成物からなる層とを備えたダイシング・ダイアタッチフィルム。
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