JP2011104960A - 木質板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】針葉樹単板と木質単板とを前記針葉樹単板が表層に位置するように積層してなる木質板の製造方法であって、前記針葉樹単板をその含水率が10〜20質量%の範囲になるよう乾燥させ、次いで、針葉樹単板又は木質単板の少なくとも片面にレゾール型フェノール樹脂(A)、レゾルシノール樹脂(B)及び充填剤(C)を含有する木質材料用接着剤を塗布し、次いで、塗布面を介して針葉樹単板と木質単板とを積層することを特徴とする木質板の製造方法。
【選択図】図1
Description
しかしながら、木材接着用の高アルカリレゾール型フェノール樹脂が硬化する際のpHは、アルカリ側が最適であり、中和してしまうと硬化速度が著しく劣化する。その為、この接着剤を木質単板に接着し、木質板を得ようとしても、十分な接着力が得られないものであった。
しかしながら、この方法は金属箔を介する作業を要し、作業効率が良好なものではなかった。
本発明の製造方法は、前記したとおり、針葉樹単板と木質単板とを前記針葉樹単板が表層に位置するように積層してなる木質板の製造方法であって、前記針葉樹単板をその含水率が10〜20質量%の範囲になるよう乾燥させ、次いで、針葉樹単板又は木質単板の少なくとも片面にレゾール型フェノール樹脂(A)、レゾルシノール樹脂(B)及び充填剤(C)を含有する木質材料用接着剤を塗布し、次いで、塗布面を介して針葉樹単板と木質単板とを積層することを特徴とするものである。このような木質材料用接着剤を用いることにより、前記針葉樹単板の含水率が10〜20質量%の範囲であっても該接着剤中のアルカリ成分が針葉樹単板に移行することなく、また、パンク現象を効果的に防ぐことができる。
工程1における針葉樹単板の乾燥温度は、含水率の調製が容易である点から130〜200℃の範囲であることが好ましく、特に150〜190℃の範囲であることがより好ましい。また、針葉樹単板の含水率は前記した通り、10〜20質量%の範囲であるが、なかでも抜け節防止の点から含水率12〜18%の範囲であることがより好ましい。
工程2において木質材料用接着剤を塗布する木質単板は、針葉樹板、広葉樹板の何れであってもよいが、前記した通り、再生可能な森林資源を有効利用できる点から針葉樹板であることが好ましい。また、接着剤を塗布する木質単板として、針葉樹板を用いる場合、抜け節を防止させた針葉樹単板と同じもの(即ち含水率10〜20質量%)でも良く、含水率5質量%以下まで乾燥したものでも良いが、パンク防止性、耐アルカリ汚染性の点から含水率を5質量%以下まで乾燥したものが好ましい。
また、木質材料用接着剤の塗布量は、例えば木質単板の片面平方メートルあたり160g〜240gであることが、接着力の点から好ましい。
塗布面は接着剤塗布用木質単板の両面、片面の何れであっても良く、各接着層に少なくとも一層塗布してあればよい。
工程3の接着剤塗布後の積層の工程は、前記工程1で得られた針葉樹単板を、工程2で得られた木質単板の塗布面に積層し、加熱圧着する工程である。この際、少なくとも最表層に前記工程1で得られた針葉樹単板を用いれば良く、一部若しくは全ての層が工程1で得られた針葉樹単板(すなわち含水率10〜20質量%)であっても良い。
フェノール1000グラム、40質量%ホルムアルデヒド水溶液1435グラム及びイオン交換水600グラムを還流装置の付いたフラスコに入れ、攪拌を開始し、さらに50%水酸化ナトリウム水溶液600グラムを徐々に加えながら80℃迄昇温し、5時間反応させてレゾール型フェノール樹脂水溶液を得た(以下、この樹脂水溶液を「レゾール型フェノール樹脂水溶液(A)」と略記する。)。得られたレゾール型フェノール樹脂水溶液(A)は、不揮発分45%、粘度200mPa・s、pH12.8であった。
フェノール280部、40%ホルマリン290部に50%水酸化ナトリウム20部を加えて80℃で1時間反応したのち、レゾルシノールを280部加え90℃にて反応し、さらにメタノールにて粘度、不揮発分を調整した。得られたレゾルシノール樹脂溶液(以下、これを「レゾルシノール樹脂溶液(B)」と略記する。)は、粘度500mPa・s、不揮発分60%であった。
木質材料としてカラマツ材から作ったサイズ30cm×30cmの未乾燥のロータリー単板を循環式乾燥器にて150℃で乾燥し、含水率15質量%に調整した2.1mm厚の原板(x1)及び含水率15質量%に調整した2.1mm厚の中板単板(x3)を作製した。同様にして、含水率5%の3.0mm厚の糊心単板(x2)を作製した。
充填剤(C)として、炭酸カルシウム30質量部、小麦粉20質量部とし、樹脂成分[(A)+(B)]100質量部に対する充填剤(C)の配合量を98部としたこと以外は、実施例1と同様にして調製した木質材料用接着剤と、実施例1と同様の単板を用いて合板を製造した。得られた合板について各種評価を行った。
用いる原板(x1)及び中板単板(x3)の含水率を13質量%に調整したこと以外は、実施例2と同様にして合板を製造した。得られた合板について各種評価を行った。
用いる原板(x1)及び中板単板(x3)の含水率を17質量%に調整したこと以外は、実施例2と同様にして合板を製造した。得られた合板について各種評価を行った。
レゾール型フェノール樹脂水溶液(A)65質量部、レゾルシノール樹脂(B)45質量部、充填剤(C)として炭酸カルシウム55質量部と小麦粉50質量部とし、樹脂成分[(A)+(B)]100質量部に対する充填剤(C)の配合量を187質量部としたことと、原板(x1)、糊心単板(x2)及び中板単板(x3)全てを含水率15質量%に調整したこと以外は、実施例1と同様として木質材料用接着剤を調製し、それを用いて合板を製造した。得られた合板について各種評価を行った。
用いる原板(x1)、糊心単板(x2)及び中板単板(x3)全てを含水率5質量%に調整したこと以外は、実施例2と同様にして合板を製造した。得られた合板について各種評価を行った。
用いる原板(x1)及び中板単板(x3)を含水率23質量%に調整し、糊心単板(x2)を含水率5%に調整したこと以外は、実施例5と同様にして合板を製造した。得られた合板について各種評価を行った。
レゾルシノール樹脂を用いず前記レゾール型フェノール樹脂水溶液(A)100部、炭酸ナトリウム4部、充填剤(C)として炭酸カルシウム17部と小麦粉7部とし、レゾール型フェノール樹脂100質量部に対する充填剤(C)の配合量を53質量部として接着剤を調製し、それ以外は実施例1と同様にして合板を製造した。得られた合板について各種評価を行った。
比較例3で調製された木質材料用接着剤を用い、かつ、原板(x1)の含水率を5質量%に乾燥したこと以外は、実施例1と同様にして合板を製造した。得られた合板について各種評価を行った。
なお、比較例1では表面抜け節率が高く抜け節が防止出来なかった。比較例2と3ではパンクが発生しホルムアルデヒド放散量試験、合板接着力を測定できなかった。比較例4では表面抜け節率が高く抜け節が防止出来ず且つΔLが低くアルカリ汚染がみられた。
得られた合板の表面(x1側)を観察し、節の総数と脱落数から表面抜け節率を次の式で計算した。
表面抜け節率=(抜けた節の数)/(節の総数;抜けた節を含む)×100
得られた合板で10cm角の試験片を作製し、厚さ方向に下半分を水に浸積し、上半分は空気中に晒した状態で144時間放置した後70℃で24時間乾燥するアルカリ汚染促進試験を行い、その前後の表面の明度指数の変化ΔLを測定した。パンクした合板は、パンクしていない部位でΔLを測定した。
明度指数は色差計(スガ試験器(株)製SM−6)で試験片中央部の直径30mmの円の内部を測定した。ΔLは値が小さいほど黒く、ΔLが−3の場合は目視では殆ど変色が確認できないが、ΔLが−10の場合は目視でも明確に黒変していた。
得られた合板を長さ30cm×5cmの試験片に丸鋸で切断し接着層を観察、パンクの有無を判定した。
ホルムアルデヒド放散量は「合板の日本農林規格」におけるホルムアルデヒド放散量試験にて測定した。
合板接着力は、「合板の日本農林規格」における「構造用合板の規格(特類)」にて測定し、引張剪断力、平均木破率、合格率にて表記した。
2 単板
3 接着剤
Claims (3)
- 針葉樹単板と木質単板とを前記針葉樹単板が表層に位置するように積層してなる木質板の製造方法であって、前記針葉樹単板をその含水率が10〜20質量%の範囲になるよう乾燥させ、次いで、針葉樹単板又は木質単板の少なくとも片面にレゾール型フェノール樹脂(A)、レゾルシノール樹脂(B)及び充填剤(C)を含有する木質材料用接着剤を塗布し、次いで、塗布面を介して針葉樹単板と木質単板とを積層することを特徴とする木質板の製造方法。
- 針葉樹単板を含水率が10〜20%の範囲となるように乾燥し(工程1)、次いで、接着剤塗布用の木質単板に前記レゾール型フェノール樹脂(A)、レゾルシノール樹脂(B)及び充填剤(C)を含有する木質材料用接着剤を塗布し(工程2)、更に前記工程1で得られた針葉樹単板を、前記針葉樹単板が表層に位置するように工程2で得られた木質単板の接着剤塗布面に積層し、100〜150℃の温度条件にて圧着する(工程3)請求項1記載の木質板の製造方法。
- 前記木質材料用接着剤が、該レゾール型フェノール樹脂(A)、レゾルシノール樹脂(B)及び充填剤(C)の含有比[〔(A)+(B)〕/(C)]が、固形分換算の質量比で100/50〜100/200の範囲内である請求項1又は2記載の木質板の製造方法。
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