JP2011102384A - 半硬化エポキシ樹脂およびその製造方法 - Google Patents

半硬化エポキシ樹脂およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光半導体受光素子、特にリモコンモジュールに用いることができる半硬化エポキシ樹脂、半硬化エポキシ樹脂の粘度を適切に調節することにより、光半導体受光素子に適用時に不良発生を最小化できる半硬化エポキシ樹脂の製造方法、および半硬化エポキシ樹脂を用いて製造される光半導体受光素子を提供する。
【解決手段】半硬化エポキシ樹脂は700nm以下の波長領域で光透過率が1%以下であり、940nm以上で光透過率が85%以上であり、Spiral Flow Lengthは25〜80インチ、97℃の水に浸漬して1時間経過後、硬化樹脂の吸湿量が0.45%以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、トランスファーモールディング(transfer molding)方式で半硬化エポキシ樹脂を封止する工程中にパッケージのキャビティの内部にバブルが発生したり、樹脂が漏れ出るなどの問題を解決するために、適切な粘度を維持でき、選択的な領域で近赤外線を透過できて光半導体受光素子に適した半硬化エポキシ樹脂およびその製造方法に関する。
エポキシ樹脂は、最も広く用いられている合成樹脂であって、塗料、接着、防水などの目的として電気、土木、建築などの産業全分野にわたって使用されており、使用目的および用途により硬化剤および硬化促進剤の他にもカップリング剤、希釈剤、充填剤、可塑剤、変性剤などの添加剤を併用することができる。
発光ダイオード(LED)とは、半導体素子を用いて発光するダイオードであって、電気的な信号を光に変換させる発光素子と光信号を電気的な信号に変換させる受光素子とに分けられる。
前記発光ダイオードの用途としては、自動車用ライト(light)、通信用バックライト、交通信号灯、屋外広告用ディスプレイ、電子検出器、センサー、リモコンなど様々に使用されており、近年は白色光も実現され、照明用への大幅な拡大が期待されている。
このようなLED素子を外部環境から保護するために、透明モールディングコンパウンド(Clear Molding Compound、以下'CMC'とする。)を使用するものの、前記CMCは、LED素子を外部環境から保護するだけでなく、LED素子から発生する波長を受光および発光できるべきである。また、LED素子を長期間使用してもLEDの特性に影響を与えない信頼性を確保しなければならない。
このようなLED素子を封止する方法としては、液状樹脂をキャスティングして封止する方法と固相樹脂をトランスファーモールディングにより封止する二種の方法がある。最近、前記エポキシ樹脂を用いてLED素子のような光半導体装置を封止するために、エポキシ樹脂に硬化剤および添加剤などを配合したエポキシ組成物が多く生産されている。しかしながら、今まで知られていたエポキシ樹脂組成物を用いて光半導体をトランスファーモールディング方式で封止する場合、前記エポキシ組成物の粘度が適切に維持できずに、工程中にパッケージのキャビティの内部にバブルが発生したり、又は、前記エポキシ樹脂がキャビティの外部に漏れ出、光半導体装置の封止において様々な不良要因が発生する場合が多いので、これを除去するための研究が続けられている。
特に、光半導体受光素子の中でもリモコンモジュールに用いられるエポキシ樹脂は、LED素子を外部環境から保護できるだけでなく、LEDから発生する特定波長の光だけを透過することができ、長時間使用による耐熱性、吸湿性、機械的物性などの特性が要求される。
また、リモコンモジュールは、外部から発生した信号を前記エポキシ樹脂を通過した後、受光素子に到達する原理を用いるものであるので、モジュールの内部で作動する従来の信号伝達手段とは異なる分野と言える。このような特徴により光半導体素子の中でもリモコンモジュールに使用させるためには、特定波長領域、特に近赤外線付近の領域で光を選択的に透過できなければならない。
しかしながら、今までの技術は、光半導体素子の中でもその用途の相違性により要求される波長領域が異なるだけでなく、本発明のようにリモコンモジュールで要求される特性を満たすエポキシ樹脂に対する研究は十分でない実情にある。
これにより、本発明は、光半導体受光素子、特にリモコンモジュールに用いることができる半硬化エポキシ樹脂を提供することを目的とする。
また、本発明は、前記半硬化エポキシ樹脂の粘度を適切に調節することにより、光半導体受光素子に適用時に不良発生を最小化できる半硬化エポキシ樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、その他に前記半硬化エポキシ樹脂を用いて製造される光半導体受光素子を提供することを目的とする。
本発明では、光半導体受光素子の中でも特にリモコンモジュールに適したエポキシ樹脂を製造するために、近赤外線付近の特定波長領域の光を透過できるように半硬化エポキシ樹脂を開発し、また、これを用いて光半導体装置の封止過程でエポキシ樹脂が適切な粘度を維持できないことで、工程中にパッケージのキャビティの内部でバブルが発生したり、前記エポキシ樹脂が漏れ出るなどの工程不良が発生する点に着眼して、前記エポキシ樹脂の製造過程でエポキシ樹脂と硬化剤とを反応させて特定粘度に達した際、エポキシ樹脂と硬化剤の反応を停止させ冷却させた後、さらに硬化促進剤を添加して溶融・混合させることにより、最終製造された半硬化エポキシ樹脂が適切な粘度を有するように製造して、実際に半導体工程で上記の問題点が発生しないようにして本発明を完成した。
本発明の方法により製造された半硬化エポキシ樹脂は、光半導体素子の封止に使用される際にその粘度を適切に維持することができるので、キャビティ内でバブルおよびgold wireの損傷による不良が発生したり、外部へ漏れ出るなどの不良要因を除去し、製造工程を簡素化させることができる。また、特定近赤外線領域での光を選択的に透過できるので、光半導体受光素子、特にリモコンモジュールに適する。
本発明の実施例1〜6に係る光透過度の測定結果グラフである。 比較例1〜7に係る光透過度の測定結果グラフである。
前記目的を達成するための光半導体受光素子用半硬化エポキシ樹脂は、使用されるエポキシ樹脂重量に対しナフトキノン系、アントラキノン系、アルミニウムジモニウム系、トリフェニルメタン系誘導体の中から選択される1種以上の近赤外線吸収剤0.05〜5.0重量部と、アゾアントラキノン系の顔料混合物、アントラキノン系とアミノケトンの顔料混合物、アントラキノン系の顔料混合物の中から選択される1種以上の合成樹脂着色剤0.001〜1.0重量部と、前記エポキシ樹脂100重量部に対しジアザビシクロウンデセン、3級アミン、イミダゾール誘導体およびリン化合物からなる群より選択される硬化促進剤0.1〜5重量部と、を含む光半導体受光素子用半硬化エポキシ樹脂であり、前記半硬化エポキシ樹脂は、700nm以下の波長領域で光透過率が1%以下であり、940nm以上で光透過率が85%以上であり、Spiral Flow Lengthは、25〜80インチ、97℃の水に浸漬して1時間経過後の硬化樹脂の吸湿量が0.45%以下であることをその特徴とする。
また、本実施形態の光半導体受光素子用半硬化エポキシ樹脂(B-STAGE)の製造方法は、130℃での溶融粘度が10〜300ポイズ(poise)の半硬化エポキシ樹脂前駆体を製造するために反応させる段階、および前記半硬化エポキシ樹脂前駆体を70〜90℃で低温溶融・混合および反応させる段階を含むことをその特徴とする。
また、本実施形態は、前記半硬化エポキシ樹脂を用いた光半導体受光素子、特にリモコンモジュールを提供することをその特徴とする。
以下、本実施形態をより詳細に説明する。
本実施形態は、光半導体受光素子用半硬化エポキシ樹脂及びその製造方法、並びにそれを用いた光半導体受光素子に関するものである。
本実施形態の光半導体受光素子用半硬化エポキシ樹脂は、使用されるエポキシ樹脂重量に対し近赤外線吸収剤0.05〜5.0重量部および合成樹脂着色剤0.001〜1.0重量部を含み、光波長700nm以下での光透過率が1%以下であり、940nm以上で光透過率が85%以上であり、Spiral Flow Lengthは25〜80インチであり、97℃の水に浸漬して1時間経過後の硬化された樹脂の吸湿量が0.45%以下のものである。
通常、熱硬化性樹脂(thermosetting resin)とは、一度硬化された後にはいかなる溶媒や熱を加えても溶けない樹脂を称するものであり、本実施形態に係るエポキシ樹脂もこれに該当する。しかし、本実施形態に係るエポキシ樹脂の場合、後の光半導体製造工程で前記光半導体装置の封止のために硬化されるように製造されなければならない。したがって、本実施形態の明細書全体で言及している"半硬化"の意味は、後で最終の目的として使用されるために完全に硬化反応が完了される前に反応が停止した状態を意味し、通常当業者は"B-stage"と称する。
本実施形態に係るエポキシ樹脂は、分子内に2つ以上のエポキシ基を含むものであって、具体的な例として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、クレゾール ノボラック型エポキシ樹脂、およびビフェニル型エポキシ樹脂からなる群より選択されることが望ましく、この中でもビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾール ノボラック型エポキシ樹脂がより望ましい。本実施形態により製造された半硬化エポキシ樹脂は、特定の近赤外線波長領域で透過率が高くなければならないから、前記エポキシ樹脂は無色であるか、或いは薄い黄色であることが望ましく、不透明なエポキシ樹脂はその使用を制限する。
本実施形態に係るエポキシ樹脂は、平均当量が90〜1,000であることが望ましく、エポキシの当量が90以上であると、光半導体装置を封止したエポキシ樹脂組成物の最終硬化物の脆性が改善され、1,000以下であると、ガラス移転温度が非常に低くなることを防止することができる。工程においてエポキシ樹脂は液状も固相状態の樹脂も使用することができる。
また、前記エポキシ樹脂の硬化剤としては、酸無水物系、アミン系、フェノール系、ポリアミド系などを使用でき、本実施形態では特に高い硬化温度(100℃以上)を必要にし、可使時間が長く、粘度も低く、皮膚の刺激も少ない酸無水物硬化剤が最も望ましい。酸無水物を硬化剤として使用した場合、高温安定性および電気的性能に優れ、熱変形温度が高く、高温での物理的性質も良くて望ましい。
前記酸無水物硬化剤は、分子量140〜200であるものとして代表的な例を挙げると、無水フタル酸、ヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、およびメチルヘキサヒドロ無水フタル酸からなる群より選択されるものであり、無色であるか、或いは薄い黄色であることが望ましく、この中でも二重結合がなく耐熱変色が少なく、且つメチル基を含んでいて耐湿性向上が期待されるメチルヘキサヒドロ無水フタル酸が最も望ましい。
また、フェノール硬化剤は、例えばフェノールノボラック樹脂が使用され、酸無水物硬化剤とフェノール硬化剤以外に、一般的な硬化剤としては組成物の用途によって異なるが、アミン硬化剤又はアルコールで部分的に酸無水物硬化剤をエステル化した硬化剤を使用することもでき、カルボン酸硬化剤などを使用することもできる。
本実施形態の半硬化エポキシ樹脂組成物は、前記エポキシ樹脂と硬化剤とが0.8〜1.6のモル比で含まれることが、機械的な物性と耐湿性および作業性に利点があって望ましい。
また、本実施形態では光半導体素子の中でも、受光素子、さらに具体的にはリモコンモジュールに適用するために、700nm以下の可視光領域波長での透過率は1%以下であり、近赤外線領域の940nm以上の波長での透過率が高くなければならない。したがって、このような効果を奏するためにエポキシ樹脂と硬化剤とを含む全重量に対し近赤外線吸収剤0.05〜5.0重量部および合成樹脂着色剤0.001〜1.0重量部の含有量で含む。
前記近赤外線吸収剤は、ナフトキノン系、アントラキノン系、アルミニウムジモニウム系、トリフェニルメタン系誘導体などを用いることができる。また、近赤外線吸収剤を使用しても可視光領域で吸収されず、透過される光が5〜20%程度で現れる。これは、また他の近赤外線吸収剤を添加することにより吸収させることができるが、近赤外線吸収剤の量が多くなり、940nm付近の透過率が低下する。そのためにリモコンモジュールに使用される光半導体装置の敏感度が低下し、受信距離に影響を与えることになる。
すなわち、近赤外線吸収剤だけを使用する場合、700〜900nmの間の波長は吸収することができる。ところが、近赤外線吸収剤だけを使用すると、可視光領域の波長の400〜700nmの間で透過されるという問題点がある。可視光領域での光の透過は光半導体が誤作動を起こす原因となるので、可視光領域の透過を遮断させることができる顔料を投入しなければならない。
これにより、本実施形態では、前記近赤外線吸収剤と共に可視光波長を吸収することができ、近赤外線領域に影響を与えない合成樹脂着色剤を使用する。このような合成樹脂着色剤の具体的な例を挙げると、日本化薬社のアゾアントラキノン系の顔料混合物(Kayaset Black G、kayaset Black B)、アントラキノン系とアミノケトンの顔料混合物(Kayaset Black A-N)、アントラキノン系の顔料混合物(Kayaset Red A-G、Kayaset Red A-2G、Kayaset Green AB)或いは住化カラーのアントラキノン系の顔料混合物(OPTOGEN RED 500)等を使用することができる。
このような顔料は、通常的に130℃以上で製作される光半導体の製作工程中で透過特性の変化があってはならなく、260℃のIR-Reflowを3回通過した時色および透過率の変化がないという特性を有したものである。
本実施形態に係る半硬化エポキシ樹脂は、その物性を害さない範囲内で硬化促進剤、多官能性エポキシ樹脂、カップリング剤、その他添加剤などを添加できることはもちろんである。
前記硬化促進剤は、ジアザビシクロウンデセン、3級アミン、イミダゾール誘導体およびリン化合物からなる群より選択されるものであり、前記エポキシ樹脂100重量部に対し0.1〜5重量部を含むことができる。
また、本実施形態の組成物は、前記エポキシ樹脂以外にも、さらにクレゾールノボラックエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートエポキシ樹脂、およびシクロヘキサン構造のエポキシ末端の固相アリールサイクリックエポキシ樹脂からなる群より選択される3官能以上の多官能性エポキシ樹脂をエポキシ樹脂100重量部に対し2〜30重量部の含有量で含むこともできる。前記多官能性エポキシ樹脂は、反応時架橋密度(crosslink density)を急速に高めることができ、機械的物性を向上させることができる。
一方、本実施形態に係る光半導体装置用半硬化エポキシ樹脂を製造する方法を述べると、先ず、特定粘度に達するまでエポキシ樹脂と硬化剤とを反応させて半硬化エポキシ樹脂前駆体を製造し、これを低温溶融・混合させる段階を経て製造される。
本実施形態に係る半硬化エポキシ樹脂前駆体の製造方法は、先ずエポキシ樹脂と硬化剤とを反応させて、特定粘度、130℃での溶融粘度が10〜300ポイズに到達した際、その反応を停止させて半硬化エポキシ樹脂前駆体を得る段階である。
前記半硬化樹脂前駆体の130℃での溶融粘度が10ポイズ未満で反応を停止させると、依然とアモルファス(amorphous)特性を有しているため、製造過程でハンドリングし難く、最終製品の溶融状態での流れ性を測定する成形性項目のSpiral Flow Lengthが長くなり、光半導体装置を封止する時に不良が発生する可能性が大きく、また、前記130℃での溶融粘度が300ポイズを超えると、粘度が非常に高く、排出工程が円滑でなくて製造過程に困難があり、Spiral Flow Lengthが短くなり、光半導体素子内部のgold wireが曲がったり断線するなど光半導体装置の内部を損傷させる恐れがあり、光半導体材料のキャビティの未充填の問題があって望ましくない。したがって、本実施形態のような粘度範囲は、半硬化エポキシ樹脂で光半導体装置などを封止するトランスファーモールディング作業時にバブル(bubble)等の不良要因が発生するか否かを判断できる基準となる。
したがって、本実施形態に係る最終の半硬化エポキシ樹脂のSpiral Flow Lengthは25〜80インチであることが、工程効率性を高め、不良発生を最小化させることができるという点で望ましい。
前記粘度の測定は、反応中の半硬化樹脂前駆体のサンプルを採取して測定し、前記粘度範囲を得るまで続けて反応させ、本実施形態の粘度範囲内の目標値に到達すると反応を停止させる。
前記エポキシ樹脂と硬化剤とは、約80〜150℃の温度範囲で反応させることが上記のような粘度範囲を有する半硬化エポキシ樹脂前駆体を得るのに望ましい。
また、上記のような範囲の粘度を有する半硬化樹脂前駆体の軟化点は80〜120℃の範囲であることが望ましく、このような軟化点範囲内で本実施形態による効果を発揮することができる。前記第1段階を経て製造された半硬化エポキシ樹脂前駆体はグラニュール状態を維持する。
前記半硬化エポキシ樹脂前駆体の製造時、エポキシ1当量に酸無水物硬化剤を0.5〜5.0当量比、望ましくは0.8〜2.0当量比で反応させる。エポキシ1当量に対し酸無水物硬化剤を0.5〜5.0当量比で反応させることが、ガラス移転温度および機械的物性が低くならなく、半硬化エポキシ樹脂で封止した光半導体装置の最終硬化物の耐湿性が良くなる。また、このように製造された半硬化エポキシ樹脂前駆体を使用して製造された半硬化エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂1当量に対する酸無水物硬化剤の当量比が0.8〜1.6程度である。
一方、本実施形態に係る半硬化エポキシ樹脂の製造方法は、前記半硬化樹脂前駆体を製造し、直ちに低温溶融・混合および反応させて最終半硬化樹脂を製造することもできるが、選択的に前記半硬化樹脂前駆体を一定時間冷却させる段階を含むこともできる。これは、半硬化エポキシ樹脂前駆体がこれ以上硬化反応を起こさないようにするためのものであって、冷却過程は5〜25℃を維持する低温倉庫に保管することもでき、前記第1段階反応を経て半硬化エポキシ樹脂前駆体がコンベヤー上に排出される際、前記コンベヤーベルトの下部で前記温度範囲の冷却水を流すこともできるが、その冷却方法は特に限定されない。
また、本実施形態に係る半硬化エポキシ樹脂の次の段階は、前記半硬化樹脂前駆体を70〜90℃で低温溶融・混合/反応させて最終的な半硬化エポキシ樹脂を製造する段階である。上記のように低温の70〜90℃で溶融・混合させて反応させる場合、エポキシ樹脂組成物の一定の粘度維持と、低温で溶融・混合/反応させる段階で添加されるエポキシ樹脂或いは添加剤の均一な混合が可能であるという利点があって望ましい。前記温度は、前記半硬化エポキシ樹脂前駆体の硬化反応が多少起きる可能性もあるが、これは無視できる程度で僅かな水準であり、硬化反応が起きても後の光半導体工程で使用できない程度ではない。
前記段階では複素環式エポキシ樹脂のような多官能性エポキシ樹脂を添加することができる。前記多官能性エポキシ樹脂は、反応時、架橋密度を急速に高める恐れがあるため、前記半硬化エポキシ樹脂前駆体の製造時に反応させず、低温溶融・混合および反応段階に投入することにより、最終製造される半硬化エポキシ樹脂の機械的物性および光学的特性を調節することが可能である。
前記多官能性エポキシ樹脂としては、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートエポキシ樹脂、およびシクロヘキサン構造のエポキシ末端の固相アリールサイクリックエポキシ樹脂からなる群より選択される3官能以上の多官能性エポキシ樹脂があり、その添加量は、前記エポキシ樹脂100重量部に対し2〜30重量部であることが望ましい。
また、前記第2段階で添加剤を含むこともできるが、前記添加剤としては硬化促進剤が望ましい。前記硬化促進剤は、エポキシ樹脂と硬化剤との1次反応によって製造された半硬化エポキシ樹脂前駆体およびこれを用いて製作した最終半硬化エポキシ樹脂の硬化反応をトランスファー成形時間内に硬化させるために添加されるものであって、その含有量は、前記半硬化エポキシ樹脂前駆体の重量を基準として0.1〜5重量部を使用できる。硬化促進剤の含有量がエポキシ樹脂前駆体の重量に対し0.1重量部未満であるとその効果が殆どなく、その使用量が5重量部を超えると半硬化エポキシ樹脂の保存安定性が低下し、硬化物が変色する恐れがあって望ましくない。
前記硬化促進剤は特に限定されないが、ジアザビシクロウンデセン、3級アミン、イミダゾール誘導体およびリン化合物からなる群より選択されるものを使用することができる。
また、前記硬化促進剤以外にも本実施形態の半硬化エポキシ樹脂の物性を阻害しない範囲内で各種添加剤を付加して様々な用途の半硬化エポキシ樹脂を得ることが可能である。
前記低温溶融・混合および反応させて製造された半硬化エポキシ樹脂は必要に応じて粉砕させてタブレット形態に製造し、後の光半導体製造工程に提供することができる。また、光半導体装置を封止するためのトランスファー成形時に光半導体にモールディングされた後最終的に硬化(C-stage)されることもある。
上記のような過程を経て製造された本実施形態の半硬化エポキシ樹脂は、透明で且つ耐変色性があり、LED(light emitting diode)のような光半導体装置の封止に有用に用いることができる。
特に本実施形態で有用な光半導体装置は、受光素子のリモコンモジュールであることが望ましい。前記リモコンモジュールは特定波長領域で光透過率が85%以上に高くなければならない。
したがって、本実施形態により製造された前記半硬化エポキシ樹脂組成物は、700nm以下の波長の光透過率が1%以下であり、940nm以上で光透過率が85%以上であり、Spiral Flow Lengthは25〜80インチであり、97℃の水に浸漬して1時間経過後の硬化された樹脂の吸湿量が0.45%以下であるものでなければならない。
もし、前記半硬化エポキシ樹脂組成物が700nm以下の波長の光透過率が1%を超えたり、或いは940nm以上で光透過率が85%未満であると、光半導体装置の誤作動や、受信距離が短くなるという問題があって望ましくない。
また、光半導体装置の作動において、高温高湿での吸湿量により光素子の作動寿命が決定されるので、適切な耐湿性が要求される。したがって、本実施形態では97℃ の水に浸漬して1時間経過後の硬化された樹脂の吸湿量が0.45%以下の条件を満足しなければならなく、85℃、85%の相対湿度で1,000時間動作試験などの加速保証試験条件に問題があってはならない。
その他にも繰り返し的な熱衝撃によっても内部の損傷があってはならないので、本実施形態により製造された半硬化エポキシ樹脂は、ガラス移転温度が80℃以上であることが望ましく、前記温度未満では高温で耐えなければならない光半導体の特性上、使用し難いこともあって望ましくない。
以下、本発明を実施例によってより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜6)
分子内に2つのエポキシ基を含む2官能性ビスフェノールA型エポキシ樹脂(当量550)50重量部とビスフェノールA型エポキシ樹脂(当量185)35重量部からなるエポキシ樹脂と酸無水物硬化剤(当量168)とを80〜150℃の温度で反応させて半硬化エポキシ樹脂前駆体を製造し、前記半硬化エポキシ樹脂前駆体の溶融粘度が目標値に到達した時点で反応を停止させた。
また、前記半硬化エポキシ樹脂前駆体を70〜90℃の低温で溶融・混合および反応させて最終半硬化エポキシ樹脂を製造した。この際、必要に応じて多官能性エポキシ樹脂(TGIC(triglycidylisocyanurate))15重量部、硬化促進剤(2E4MZ)1.0重量部、近赤外線吸収剤0.05〜5.0重量部および合成樹脂着色剤0.001〜1.0重量部を添加した。
Figure 2011102384
(比較例1〜7)
次の表2のような組成と粘度で反応を停止させることを除いては、前記実施例と同一の方法で半硬化エポキシ樹脂を製造した。
Figure 2011102384
(実験例)
前記実施例および比較例により製造された半硬化エポキシ樹脂を溶融・混合した後、次のような方法で各物性を測定し、その結果を次の表3に示す。
1.Spiral Flow Length(S/F):150℃でEMMI標準金型を用いてトランスファー成形時のSpiral Flow Lengthを測定する(unit:inch)。
2.Void:前記半硬化エポキシ樹脂を用いて100個のPackageを製作して内部或いは外部にvoidを観察した後、数量を測定する。
3.Flash length:トランスファー成形後金型表面から漏れ出る長さであって、半硬化エポキシ樹脂がトランスファー成形時に漏れ出る程度を確認することができる(unit:cm)。
4.Gold Wireの曲がり:X-ray装備を使用し、内部のwireが初期に比べて曲がった程度を%で測定する(unit:%)。
5.ガラス移転温度(Tg、℃):DSCを用いて10℃/minの速度で昇温させながら測定した。
6.光透過度(%):300〜1100nmでUV-spectormeterを用いて光透過度を測定した(厚さ1mmの試験片をパラフィン溶液が入った石英セルに入れて測定)。
7.吸湿量(%):97℃の水に試験片を浸漬させて1時間経過させた後、硬化された樹脂の吸湿量を測定した。
8.溶融粘度(℃):Shimatsu社製のcapillary flow testerCFT-500Cを用いて130℃で測定した。
Figure 2011102384
前記表3の結果から確認できるように、実施例1〜6の場合、パッケージに気泡が生成されず、成形性に優れ、パッケージ内部のgold wireに損傷を与えず、Flash長さが短く、作業性に有利な結果を得ることができる。
また、使用されたエポキシ樹脂の重量に対し近赤外線吸収剤の含有量が0.05〜5.0重量部、合成樹脂着色剤の含有量が0.001〜1.0重量部であると、700nm以下での透過率が1%以下、940nmでの透過率が85%以上であるため、リモコンモジュールへの使用に適する(図1参照)。
比較例1〜2の場合、130℃での溶融粘度が10ポイズ未満の半硬化エポキシ樹脂前駆体樹脂を使用して製作された最終エポキシ樹脂組成物のS/F長さが長く、パッケージに気泡が多数発生し、flashの長さが8cm以上であって成形性および作業性に良くない。比較例3〜4の場合、半硬化エポキシ樹脂前駆体の130℃での溶融粘度が300ポイズを超え、最終製造された半硬化エポキシ樹脂のS/F lengthが短いためflash lengthは短いが、パッケージが完全に満たされない未成形およびgold wireが曲がったり断線する問題が発生した。
また、次の図2から分かるように、前記比較例1〜5の場合、近赤外線吸収剤だけを使用して受光素子の誤作動の原因となる700nm以下領域での光透過率が40%と非常に高いため、リモコンモジュール用光半導体装置に使用される場合、望ましくない。比較例6では近赤外線吸収剤が0.05重量部未満の場合、700nm以下の領域で誤作動の原因となる光が5%透過されて望ましくない。また、比較例7の場合、エポキシ樹脂に対し近赤外線吸収剤の含有量が5.0重量部を超えることになり、940nmでの透過率が80%付近まで低下し、リモコンモジュールの受信距離が短くなる可能性がある。

Claims (11)

  1. エポキシ樹脂100重量部に対しナフトキノン系、アントラキノン系、アルミニウムジモニウム系、トリフェニルメタン系誘導体の中から選択される1種以上の近赤外線吸収剤0.05〜5.0重量部と、アゾアントラキノン系の顔料混合物、アントラキノン系とアミノケトンの顔料混合物、アントラキノン系の顔料混合物の中から選択される1種以上の合成樹脂着色剤0.001〜1.0重量部と、前記エポキシ樹脂100重量部に対しジアザビシクロウンデセン、3級アミン、イミダゾール誘導体およびリン化合物からなる群より選択される硬化促進剤0.1〜5重量部と、を含む光半導体受光素子用半硬化エポキシ樹脂であり、
    前記半硬化エポキシ樹脂は700nm以下の波長領域で光透過率が1%以下であり、940nm以上で光透過率が85%以上であり、スパイラルフロー長(Spiral Flow Length)は25〜80インチ、97℃の水に浸漬して1時間経過後、硬化樹脂の吸湿量が0.45%以下であることを特徴とする光半導体受光素子用半硬化エポキシ樹脂。
  2. 前記エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂と硬化剤が0.8〜1.6モル比で含まれることを特徴とする請求項1に記載の光半導体受光素子用半硬化エポキシ樹脂。
  3. 前記エポキシ樹脂は、平均当量90〜1,000であり、分子内に2つ以上のエポキシ基を含むビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、およびビフェニル型エポキシ樹脂からなる群より選択される1種以上の透明エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の光半導体受光素子用半硬化エポキシ樹脂。
  4. 前記硬化剤は、分子量140〜200の無水フタル酸、ヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、およびメチルヘキサヒドロ無水フタル酸からなる群より選択される酸無水物硬化剤であることを特徴とする請求項2または3に記載の光半導体受光素子用半硬化エポキシ樹脂。
  5. エポキシ樹脂と硬化剤とを反応させて光半導体受光素子用半硬化エポキシ樹脂(B-STAGE)を製造する方法において、
    130℃での溶融粘度が10〜300ポイズの半硬化エポキシ樹脂前駆体を製造するために反応させる段階と、
    前記半硬化エポキシ樹脂前駆体に近赤外線吸収剤、合成樹脂着色剤、およびジアザビシクロウンデセン、3級アミン、イミダゾール誘導体およびリン化合物からなる群より選択される硬化促進剤を添加して70〜90℃で低温溶融・混合および反応させる段階と
    を含む光半導体受光素子用半硬化エポキシ樹脂の製造方法。
  6. 前記エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して硬化剤0.5〜5.0当量で反応させることを特徴とする請求項5に記載の光半導体受光素子用半硬化エポキシ樹脂の製造方法。
  7. 前記半硬化エポキシ樹脂前駆体の軟化点は80〜120℃であることを特徴とする請求項5または6に記載の光半導体受光素子用半硬化エポキシ樹脂の製造方法。
  8. 前記エポキシ樹脂と硬化剤との反応温度は80〜150℃であることを特徴とする請求項5から7の何れか1項に記載の光半導体受光素子用半硬化エポキシ樹脂の製造方法。
  9. 前記半硬化エポキシ樹脂前駆体を低温溶融・混合および反応させる段階では、さらにクレゾールノボラックエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートエポキシ樹脂、およびシクロヘキサン構造のエポキシ末端の固相アリールサイクリックエポキシ樹脂からなる群より選択される3官能以上の多官能性エポキシ樹脂を全エポキシ樹脂100重量部に対し2〜30重量部の含有量で含むことを特徴とする請求項5から8の何れか1項に記載の光半導体受光素子用半硬化エポキシ樹脂の製造方法。
  10. 請求項1から5の何れか1項に記載の半硬化エポキシ樹脂を用いた光半導体受光素子。
  11. 前記光半導体受光素子はリモコンモジュールであることを特徴とする請求項10に記載の光半導体受光素子。
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