JP2011101733A - 化粧ブラシ用毛材および化粧ブラシ - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の合成樹脂製毛材に比べて高い塗布性能と優れた肌への感触を有し、化粧料塗布効果が優れるとともに、肌への触感にも優れた化粧ブラシ用毛材、およびこの化粧ブラシ用毛材を少なくとも一部に使用した化粧ブラシを提供する。
【解決手段】セルロースエステル系樹脂モノフィラメントのブリッスルからなる筆用毛材1であって、前記セルロースエステル系樹脂のセルロースエステル置換度が2.5〜3.0であることを特徴とする化粧ブラシ用毛1。
【選択図】図1

Description

本発明は、化粧ブラシ用毛材および化粧ブラシに関するものであり、さらに詳しくは、従来の合成樹脂製毛材に比べて高い塗布性能と優れた肌への感触を有し、柔軟性にも優れた化粧ブラシ用毛材およびそれを用いた化粧ブラシに関するものである。
従来より、化粧ブラシには獣毛および合成樹脂製毛材が多用されてきた。このうち、獣毛を使用した化粧ブラシは、塗料の保持性や離脱性が良いため、対象物に満遍なく塗布することができるばかりではなく、さらに毛腰が柔軟であるため、化粧ブラシとして使用する際の触感が良好であったが、近年の動物愛護の風潮により、これら獣毛の入手が困難となりつつある。
一方、合成樹脂製毛材は、容易に加工でき、獣毛に比べ工業的に大量生産できるという利点がある。しかしながら、一般的に使用されている丸断面の直線状毛材で、先端がテーパー状の合成樹脂製毛材は、獣毛に比べて表面が平滑であるため、塗料が付着しにくく、化粧ブラシとして使用した場合には、塗料の保持性が獣毛を使用したものに比べ劣るといった問題を抱えていた。
これらの問題を改善するための手段としては、毛材の繊維軸方向と垂直な断面形状が複数の凹凸を有する尖鋭化合成繊維(例えば、特許文献1参照)、波形状の尖鋭化合成繊維毛材(例えば、特許文献2参照)、および先端にテーパーを形成し、ストレートもしくは波形状を有した丸断面あるいは異形断面糸毛材(例えば、特許文献3参照)などが既に提案されている。
しかし、上記の毛材を使用した化粧ブラシは、毛腰が硬いために化粧用に使用した際の肌触りが悪く触感に欠け、毛さばきにおいてもブラシ先端部を肌に接触させると毛先が浮き、化粧料が肌に付着せずに飛散するなどといった問題があり、従来の獣毛を使用したブラシとは比べものにならないほど使用しにくいものであった。また、実際には塗料の保持性や離脱性も十分ではなく、毛材を異形断面や波形状、さらに毛先を先鋭状のテーパー状に加工しただけでは、化粧ブラシとして要求される特性を十分に満足するものではなかった。
1545642号公報(第1頁) 3434700号公報(第1頁) 実開平4−124683号公報(第1頁)
本発明の目的は、液体塗料の保持性と離脱性に優れ、且つ獣毛に匹敵する肌触りと柔軟性を兼ね備えた化粧ブラシ用毛材および化粧ブラシを提供することにある。
すなわち、本発明によれば、セルロースエステル系樹脂モノフィラメントのブリッスルからなる化粧ブラシ用毛材であって、前記セルロースエステル系樹脂のセルロースエステル置換度が2.5〜3.0であることを特徴とする化粧ブラシ用毛材が提供される。
なお、本発明の化粧ブラシ用毛材においては、
前記セルロースエステル系樹脂モノフィラメントが異形断面モノフィラメントからなり、前記ブリッスルの繊維軸方向に伸びる波形状と、このブリッスルの少なくとも一端に尖鋭状テーパー部が形成されていること、
前記波形状の波長が15〜70mmであり、かつ波高が8mm以下であること、および
前記異形断面モノフィラメントの繊維軸方向に垂直な断面形状が多葉形であること
が、いずれも好ましい条件として挙げられ、これらの条件を満たした場合には、更に優れた性能を発揮する。
また、本発明の化粧ブラシは、前記化粧ブラシ用毛材を毛材の少なくとも一部に使用したことを特徴とし、高い塗布性能と優れた肌への感触を有し、高級獣毛を使用した筆具に匹敵する性能を有するものである。
本発明によれば、以下に説明するとおり、粉体塗料および液体塗料の保持性と離脱性に優れ、且つ獣毛に匹敵する肌触りと柔軟性を兼ね備えた化粧ブラシ用毛材および化粧ブラシを提供することができる。
本発明の化粧ブラシ用毛材の一例を示す拡大模式図である。
以下、本発明の化粧ブラシ用毛材について図1に従って説明する。
図1は本発明の化粧ブラシ用毛材の一例を示しており、1は化粧ブラシ用毛材、2は化粧ブラシ用毛材の繊維軸方向に垂直な断面、3は化粧ブラシ用毛材の一端に形成されたテーパー部、Lは波形状の波長、およびHは波高を示している。
本発明の化粧ブラシ用毛材1が獣毛に匹敵する柔軟性、粉体塗布料および液体塗布料の保持性と離脱性を有した毛材であるためには、本発明の化粧ブラシ用毛材1を構成する合成樹脂がセルロースエステル系樹脂からなることが必要である。
本発明のセルロースエステルモノフィラメントは、アセチル置換度とプロピオニル置換度から構成されるセルロースエステル置換度が2.5〜3.0であるセルロースエステルを主体に構成されていることが必要である。セルロースエステル置換度が2.5以上3.0以下であるセルロースエステルであれば、モノフィラメントとしたときに十分な柔軟性、粉体塗布料および液体塗布料の保持性と離脱性を有する。
なお、本発明でいう置換度とは、セルロースのグルコース単位に存在する3つの水酸基へ化学的に結合した置換基の数である。セルロースエステル置換度は、より好ましくは2.6以上2.9以下であり、更に好ましくは2.65以上2.85以下である。セルロースエステル置換度が上記範囲にあれば、適度な柔軟性および吸放湿性を有するモノフィラメントが得られるため好ましい。
本発明のセルロースエステルモノフィラメントの柔軟性、粉体塗布料および液体塗布料の保持性と離脱性などの風合いの観点からは、本発明のセルロースエステルにおいて、少なくとも一部のアシル基炭素数を3〜18とすることが、セルロースエステルを含むモノフィラメントの柔軟性が高く、粉体塗布料および液体塗布料の保持性と離脱性に優れた化粧ブラシ用毛材1を得ることができるため好ましい。また、セルロースエステルは屈折率が低く、透明性が極めて高いため、それを繊維にした場合には染色したときの発色性に優れるため好適に用いることができる。
少なくとも一部のアシル基炭素数が3〜18であるセルロースエステルの具体例としては、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレートおよびセルロースブチレートなどが挙げられるが、これらに限定されない。少なくとも一部のアシル基炭素数が3〜18であるセルロースエステルとしては、セルロースにアシル基炭素数が2であるアセチル基とアシル基炭素数が3であるプロピオニル基が結合したセルロースアセテートプロピオネートからなる繊維、あるいはセルロースにアシル基炭素数が2であるアセチル基とアシル基炭素数が4であるブチリル基が結合したセルロースアセテートブチレートからなる繊維が、適度な柔軟性および吸放湿性を有するモノフィラメントが得られるため、本発明では特に好ましく用いられる。
本発明のセルロースエステルモノフィラメントを構成する、少なくとも一部のアシル基の炭素数が3〜18であるセルロースエステルの重量平均分子量(Mw)は5万〜25万であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)とは、GPC測定により算出した値をいう。重量平均分子量(Mw)が5万以上であれば、繊維強度が高く、十分な耐久性を有するモノフィラメントを得ることができるため好ましい。重量平均分子量(Mw)は、より好ましくは6万以上であれば、柔軟性が高く、優れた手触りのモノフィラメントを得ることができるため好ましい。重量平均分子量(Mw)は、より好ましくは22万以下であり、更に好ましくは20万以下である。
本発明のセルロースエステルモノフィラメントは、可塑剤を含有していても良く、可塑剤としては多価アルコール系化合物が好ましい。具体的には、セルロースエステルとの相溶性が良好であり、また溶融紡糸可能な熱可塑化効果が顕著に現れるポリアルキレングリコール、グリセリン系化合物、カプロラクトン系化合物などであり、なかでもポリアルキレングリコールが好ましい。ポリアルキレングリコールの具体的な例としては、重量平均分子量が200〜4000であるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどが挙げられるがこれらに限定されず、これらを単独もしくは併用して使用することができる。
また、本発明のセルロースエステルモノフィラメントは、モノフィラメントがセルロースエステルとしての特性を維持するという観点から、可塑剤の配合量は、セルロースエステル組成物に対して5重量%〜25重量%であることが好ましい。可塑剤の配合量が5重量%以上であれば、セルロースエステル組成物が溶融紡糸可能な熱可塑化効果が得られるため好ましい。可塑剤の配合量は、8重量%以上であることがより好ましく、10重量%以上であることが更に好ましい。一方、可塑剤の配合量が25重量%以下であれば、モノフィラメントの繊維強度が高く、十分な耐久性を有するモノフィラメントを得ることができるため好ましい。可塑剤の配合量は22重量%以下であることがより好ましく、20重量%以下であることが更に好ましい。
本発明のセルロースエステルモノフィラメントは、リン系着色防止剤を含有していることが好ましい。リン系着色防止剤を含有している場合、熱分解によるセルロースエステル組成物の着色を防止する効果が非常に顕著であり、得られるモノフィラメントの色調が良好になるためである。
リン系着色防止剤の配合量は、セルロースエステル組成物に対して0.005重量%〜0.5重量%であることが好ましい。リン系着色防止剤の配合量が0.005重量%以上であれば、熱分解によるモノフィラメントの着色を防止することができるため好ましい。
リン系着色防止剤の配合量は、より好ましくは0.01重量%以上であり、更に好ましくは0.05重量%以上である。一方、リン系着色防止剤の配合量が0.5重量%以下であれば、繊維特性への影響がなく、風合いに優れたモノフィラメントが得られるため好ましい。リン系着色防止剤の配合量は、より好ましくは0.3重量%以下であり、更に好ましくは0.2重量%以下である。
本発明のセルロースエステルモノフィラメントは、そのまま化粧ブラシ用毛材1として用いることができるが、必要に応じて染色処理を行う。染料は分散染料を使用できるが、耐候堅牢度が5級以上のものが、使用中の化粧ブラシの変・退色が少ないことから好ましい。また、染料は公知の染色キャリヤー剤を併用しても良いが、染色キャリヤー剤を必要としない高圧染色であることが好ましい。また、染色前のセルロースエステルモノフィラメントにカーボンブラックや各種顔料などが添加されていてもよく、この場合には染色時の染料が節約できるばかりか、用途によっては染色を行う必要がないなどの点で好ましいといえる。
また、本発明の化粧ブラシ用毛材1には、使用中の変・退色を防止または毛材の耐久性を向上させる目的で、本発明の目的を阻害しない範囲で各種の添加剤、例えば、可塑剤、酸化防止剤、艶消し剤、消臭剤、消泡剤、整色剤、難燃剤、糸磨耗低減剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、着色顔料、静電剤、抗菌剤などを単独もしくは併用して含有していても構わない。
本発明の化粧ブラシ用毛材1には、フィラメントの帯電によるまとわり付きや絡まり、あるいはホコリの付着を防止する目的で、帯電防止剤を表面付与したものでもよい。
本発明の化粧ブラシ用毛材1には、櫛通し性を更に向上させるため、シリコーン系などの公知の界面活性剤をフィラメント表面に付与しても良い。
また、本発明の化粧ブラシ用毛材1を使用した際に、液体塗布料および粉体塗布料の保持性に優れた毛材を得るためには、図1に示したように、化粧ブラシ用毛材1の繊維軸方向に垂直な断面2の形状が異形断面であることが必要であり、その断面2の形状としては、丸形以外の断面形状、例えば、三角形、四角形などの多角形、または、三葉形、五葉形などの多葉形などが挙げられる。しかし、化粧ブラシ用毛材1には塗布料の保持性とともに離脱性も要求される。そこで、両方のバランスに優れた化粧ブラシ用毛材1を得るためには、断面2の形状が多葉形であることが好ましい。
なお、本発明の化粧用ブラシ毛材の直径は、化粧用ブラシの種類や用途に応じて適宜変えることができ、特に限定するものではないが、一般には異形断面の外接円直径が0.030〜0.250mm、さらには0.050〜0.150mmであることが好ましい。
次に、本発明の化粧ブラシ用毛材1が、獣毛に匹敵する肌触りを有した毛材であるために、化粧ブラシ用毛材1はブリッスルの繊維軸方向に波形状を有し、且つ化粧ブラシ用毛材1の少なくとも一端に先鋭状のテーパー部3を有していることが好ましい。なお、テーパー部3の長さは、化粧用ブラシの種類や用途に応じて適宜変えることができ、特に限定するものではない。
さらに、化粧ブラシ用毛材1が優れた肌触りと共に、粉体塗布料および液体塗布料の保持性と離脱性のバランスの良い毛材であるためには、波形状の波長Lが15〜70mm、且つ波高Hが8mm以下であることが好ましく、さらには、波長Lが20〜55mm、且つ波高Hが4mm以下であることが好ましい。この理由は、波長Lが15〜70mm、且つ波高Hが8mm以下の範囲から外れた場合には、肌触りの悪い筆用毛材となりやすくなるばかりか、粉体塗布料および液体塗布料の保持性と離脱性のバランスが崩れた化粧ブラシ用毛材1となりやすくなるからである。なお、上記の範囲内であれば、化粧ブラシの種類や用途に応じて適宜その波長Lや波高Hを変えることも可能である。
さらにまた、本発明の化粧ブラシ用毛材1を構成する一成分であるセルロースエステル系樹脂には、以下に説明するように、溶剤により溶解し、テーパー部3を容易に加工できることが要求される。
上記テーパー部を形成させるために使用する溶剤としては、例えば、酢酸エチル、アセトン、クロロホルムなどのケトンあるいはエステル系、ハロゲン化炭化水素系の溶剤が好適に利用できる。
次に、本発明の化粧ブラシ用毛材1の製造方法について説明する。
まず、本発明の化粧ブラシ用毛材1となるモノフィラメントは、セルロースエステル系樹脂チップに、必要に応じて各種添加剤を所定量混合した後、公知の溶融紡糸機に供給し、溶融押出し、冷却、および、必要に応じて延伸工程を経て製造することができる。
次に、得られたモノフィラメントに繊維軸方向に波形状が付与される。その付与方法としては、公知の方法、例えば、1対からなる所定形状のギヤの間にモノフィラメントを通過させて波形状を付与するなどの方法が挙げられる。
そして、波形状が付与されたモノフィラメントは、さらにテーパー部3を有する化粧ブラシ用毛材1に加工される。その加工方法としては、例えば、モノフィラメントを複数本束ねてテープ等で周囲を保護し、この束をブラシの種類や用途に応じた長さに切断してブリッスルとした後、切断端部の片方または両方を溶剤に浸漬させて尖鋭状に溶解する方法が挙げられる。そのほか、テーパー部3を形成させる方法としては、機械研磨による方法も挙げられる。
上記の製造方法により得られた化粧ブラシ用毛材1を使用した本発明の化粧用ブラシは、公知の方法にて製造することができ、製造方法については特に限定されない。
以上、説明したとおり、本発明の化粧ブラシ用毛材1は、適度な柔軟性および粉体塗布料および液体塗布料の保持性と離脱性を兼ね備えたものである。そして本発明の化粧ブラシ用毛材1を少なくとも一部に使用した化粧ブラシはこれらの特性を十分発揮し、その実用性は極めて高い。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。なお、本発明の化粧ブラシ用毛材の評価方法については、次の通り行った。すなわち、実施例に示す化粧ブラシ用毛材をブラシ用の駒に入れ、穂先を整えた上で金属製筒に筆用毛材を差し込み、金属製筒へ柄を取り付けることにより毛丈35mm、束径20mmの筆を作製した。なお、化粧ブラシ用毛材の原糸直径は0.07mmのものを使用し、以下の方法で性能評価を行った。
〔セルロースエステルの平均置換度〕
80℃で8時間乾燥したセルロースエステル0.9gを秤量し、アセトン35mlとジメチルスルホキシド15mlを加えて溶解した後、さらにアセトン50mlを加えた。攪拌しながら0.5N−水酸化ナトリウム水溶液30mlを加え、2時間ケン化した。熱水50mlを加え、フラスコ側面を洗浄した後、フェノールフタレインを指示薬として0.5N−硫酸で滴定した。別に試料と同じ方法で空試験を行った。滴定が終了した溶液の上澄み液を100倍に希釈し、イオンクロマトグラフを用いて、有機酸の組成を測定した。測定結果とイオンクロマトグラフによる酸組成分析結果から、下記式により平均置換度を算出した。
TA=(B−A)×F/(1000×W)
DSace=(162.14×TA)/[{1−(Mwace−(16.00+1.01))×TA}+{1−(Mwacy−(16.00+1.01))×TA}×(Acy/Ace)]
DSacy=DSace×(Acy/Ace)
TA:全有機酸量(ml)
A:試料滴定量
B:空試験滴定量(ml)
F:硫酸の力価
W:試料重量(g)
DSace:アセチル基の平均置換度
DSacy:アシル基の平均置換度
Mwace:酢酸の分子量
Mwacy:他の有機酸の分子量
Acy/Ace:酢酸(Ace)と他の有機酸(Acy)とのモル比
162.14:セルロースの繰り返し単位の分子量
16.00:酸素の原子量
1.01:水素の原子量
〔化粧料塗布性能評価〕
作製した筆で成人女性25人に対して粉体化粧料(資生堂:マキアージュ ラスティングパウダーUV ベージュオークル10 春夏用)を使用し、実際に化粧をしてもらい、その性能について回答を得た。なお、判定基準は以下の通りとした。
A・・均一に塗布でき、獣毛に匹敵する性能であった、
B・・獣毛に比べやや劣るが実用上問題ない性能であった、
C・・化粧料の保持性、または離脱性に問題があった。
さらに液体化粧料(カネボウ:DEWスペリア リクイドコンセントレート)を使用して、成人女性25人対し、上記液体化粧料を使用して実際に化粧をしてもらい、その性能について回答を得た。なお、判定基準は以下の通りとした。
A・・保持性、離脱性が共に良く、満遍なく塗布できる性能であった、
B・・多少の問題点があるが、実用上問題ない性能であった、
C・・保持性、または離脱性のいずれかが悪く、性能に問題があった。
〔肌への触感〕
上記の化粧料塗布性能評価と同時に、粉体化粧料、液体化粧料を使用した場合でのフェイスブラシの肌触りについても、回答を得た。なお、判定基準は以下のとおりとした。
A・・柔軟であり獣毛に匹敵する肌触りであった、
B・・獣毛より劣るが良好な肌触りであった、
C・・特に良い肌触りではないが実用上問題はなかった、
D・・柔軟性および弾力性が不足し、肌への刺激が感じられ、肌触りがやや悪かった、
E・・柔軟性および弾力性が不足し、肌への刺激が顕著であり、肌触りが悪かった。
〔実施例1〕
セルロース(日本製紙(株)製溶解パルプ)100重量部に、酢酸240重量部とプロピオン酸67重量部を加え、50℃で30分間混合した。混合物を室温まで冷却した後、氷浴中で冷却した無水酢酸172重量部と無水プロピオン酸168重量部をエステル化剤として、硫酸4重量部をエステル化触媒として加えて、150分間攪拌を行い、エステル化反応を行った。エステル化反応において、40℃を超える時は、水浴で冷却した。反応後、反応停止剤として酢酸100重量部と水33重量部の混合溶液を20分間かけて添加して、過剰の無水物を加水分解した。その後、酢酸333重量部と水100重量部を加えて、80℃で1時間加熱攪拌した。反応終了後、炭酸ナトリウム6重量部を含む水溶液を加えて、析出したセルロースアセテートプロピオネートを濾別し、続いて水で洗浄した後、60℃で4時間乾燥した。得られたセルロースアセテートプロピオネートのアセチル置換度は2.0、プロピオニル置換度は0.7(セルロースエステル置換度2.7)であり、重量平均分子量(Mw)は17.8万であった。
得られたセルロースアセテートプロピオネート82.0重量%、平均分子量600のポリエチレングリコール(PEG600)17.9重量%およびリン系着色防止剤としてビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト0.1重量%を二軸エクストルダーを用いて230℃で混練し、5mm程度にカッティングしてセルロースエステル組成物ペレット(Mw=16.6万)を得た。
上記方法にて製造されたセルロースエステル組成物ペレットを、80℃、8時間真空乾燥し、紡糸温度260℃とした溶融紡糸パックへ導入して、八葉断面形状の口金ノズルより押出し、20℃の水で満たした冷却浴中で冷却し、続いて80℃の温水中で2.2倍に延伸した後、160℃の熱風雰囲気下で1.0倍にて熱セットを行った。このようにして外接円直径0.08mmの八葉断面合成樹脂モノフィラメントを得た。
次に、八葉断面合成樹脂モノフィラメントを複数本に束ね、その束の周囲に紙テープを巻いて必要な長さにカットしブリッスルとした後、切断端部をアセトン溶液中に浸漬させて八葉断面合成樹脂モノフィラメントの先端部に尖鋭状のテーパー部を形成した。
次いで、このモノフィラメントブリッスルを70℃の温水浴中で4時間精練した後、高圧染色機にて、常法の染色方法を用いて茶褐色に染色し、次いで常法の洗浄方法を用い還元洗浄を行い、染め上がり化粧ブラシ用毛材を得た。
そして得られた化粧ブラシ用毛材を使用して化粧ブラシを作成し、特性を評価した。その結果を表1に示す。
〔実施例2〕
実施例1において、八葉断面モノフィラメントを加温しながら、1対のギヤの間に連続的に通過させ、八葉断面合成樹脂モノフィラメントの繊維軸方向に波形状を付与した。なお、使用するギヤの歯型やピッチおよび挟み圧は、最終製品での波長が28mm、波高が2mmとなるように選定したこと以外は、同様の方法で化粧ブラシを作製し、特性を評価した。その結果を表1に示す。
〔実施例3〕
実施例2において、最終製品での波長を70mm、波高を8mmに変更したこと以外は、同様の方法で化粧ブラシを作製し、特性を評価した。その結果を表1に示す。
〔実施例4〕
実施例2において、アセチル置換度が0.2、プロピオニル置換度が2.5(セルロースエステル置換度2.7)であるイーストマンケミカル社製セルロースアセテートプロピオネート(CAP 482−20)92重量%、平均分子量600のポリエチレングリコール(PEG600)7.9重量%およびリン系着色防止剤としてビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト0.1重量%を二軸エクストルダーを用いて230℃で混練し、5mm程度にカッティングしてセルロースエステル組成物ペレット(Mw16.1万)を得た。
上記製法により得られたセルロースエステル組成物ペレットを用い、紡糸温度を240℃、六葉断面形状の口金ノズルから押出したこと以外は、実施例2と同様にして化粧ブラシを作製し、特性を評価した。その結果を表1に示す。
〔比較例1〕
実施例1において、セルロースアセテートプロピオネートのアセチル置換度を2.0、プロピオニル置換度を2.0(セルロースエステル置換度4.0)に変更し、八葉断面形状の口金ノズルから押出したこと以外は、同様にして化粧ブラシを作製し、特性を評価した。その結果を表1に示す。
〔比較例2〕
ポリブチレンテレフタレートチップ(東レ(株)製1200S)を、真空下105℃で9時間乾燥した。該チップを280℃で、押出型紡糸機へ供給し、加熱溶融された樹脂組成物を円形八葉断面形状の口金ノズルから押出し、直ちに30℃の水中で冷却し、続いて560の温水、さらに120℃乾熱雰囲気下で4.1倍に延伸した後、乾熱雰囲気下で弛緩熱処理を行った。このようにして直径0.08mmのモノフィラメントを得た。次に、モノフィラメントを複数本に束ね、その束の周囲に紙テープを巻いて必要な長さにカットしてブリッスルにした後、切断端部を苛性ソーダ溶液中に浸漬させてモノフィラメントの先端部に尖鋭状のテーパー部を形成した。
次いで、このモノフィラメントを高圧染色機にて、常法の染色方法を用いて茶褐色に染色し、次いで常法の洗浄方法を用い還元洗浄を行い、染め上がり化粧ブラシ用毛材を得た。
そして得られた化粧ブラシ用毛材を使用して化粧ブラシを作成し、特性を評価した。その結果を表1に示す。
〔比較例3〕
比較例2において、ポリブチレンテレフタレートチップをポリエチレンテレフタレートチップ(東レ(株)製T701T)に変更し、また、円形断面形状の口金から押し出し、得られた八葉断面モノフィラメントを加温しながら、1対のギヤの間に連続的に通過させ、八葉断面合成樹脂モノフィラメントの繊維軸方向に波形状を付与した。なお、使用するギヤの歯型やピッチおよび挟み圧は、最終製品での波長が28mm、波高が2mmとなるように選定したこと以外は、同様の方法で化粧ブラシを作製し、特性を評価した。その結果を表1に示す。
Figure 2011101733
表1の結果から明らかなように、粉体化粧料、液体化粧料においても実施例2〜4の化粧ブラシは、化粧料の過不足もなく、十分に保持されるとともに、塗布した際にはその殆どが離脱し、肌に満遍なく付着し、獣毛を使用した化粧ブラシと同等の塗布性能を示した。また、肌への触感についても獣毛に匹敵すると評価された。
実施例1については、波形状が無いために、肌への触感が実施例2〜4より劣るものの、化粧ブラシとして十分使用できる性能であった。
これらの実施例に対し、セルロースエステル置換度が本発明の条件を満たさない比較例1の筆は、化粧料の保持性や離脱性に影響するばかりでなく、塗布性能が劣り、また肌への触感についてもゴワゴワしており、不良であった。
また、ポリエステル系素材からなる比較例2および3の化粧ブラシについては、特に液体化粧料での塗布性能が実施例に比べて遥かに劣る結果で、肌への触感も獣毛にはほど遠い感触であった。
以上、説明したとおり、本発明の化粧ブラシ用毛材は、粉体化粧料および液体化粧料の保持性と離脱性に優れ、且つ獣毛に匹敵する肌触りを兼ね備えたものである。そして本発明の化粧ブラシ用毛材を少なくとも一部に使用した化粧ブラシはこれらの特性を十分発揮し、その実用性は極めて高い。
1 化粧ブラシ用毛材
2 化粧ブラシ用毛材の断面
3 テーパー部
L 波長
H 波高

Claims (5)

  1. セルロースエステル系樹脂モノフィラメントのブリッスルからなる化粧ブラシ用毛材であって、前記セルロースエステル系樹脂のセルロースエステル置換度が2.5〜3.0であることを特徴とする化粧ブラシ用毛材。
  2. 前記セルロースエステル系樹脂モノフィラメントが異形断面モノフィラメントからなり、前記ブリッスルの繊維軸方向に伸びる波形状と、このブリッスルの少なくとも一端に尖鋭状テーパー部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の化粧ブラシ用毛材。
  3. 前記波形状の波長が15〜70mmであり、かつ波高が8mm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の化粧ブラシ用毛材。
  4. 前記異形断面モノフィラメントの繊維軸方向に垂直な断面形状が多葉形であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の化粧ブラシ用毛材。
  5. 請求項1〜5いずれか1項に記載の化粧ブラシ用毛材を少なくとも一部に使用したことを特徴とする化粧ブラシ。
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