JP2011100829A - 半導体発光装置の製造方法および半導体発光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、半導体結晶内部からの光取り出し効率を向上させることにより、光出力を高めた半導体発光装置の製造方法および半導体発光装置を提供することを目的とする。
【解決手段】発光層2と、Ga(1−x)AlxAs層(0≦x<0.8)を含み発光層から放出された光を外部に取り出す表面層8と、を有する半導体積層体を、0℃未満の液温に保持した硝酸水溶液に浸漬して表面層の表面を粗面化することを特徴とする半導体発光装置の製造方法が提供される。
【選択図】図1
【解決手段】発光層2と、Ga(1−x)AlxAs層(0≦x<0.8)を含み発光層から放出された光を外部に取り出す表面層8と、を有する半導体積層体を、0℃未満の液温に保持した硝酸水溶液に浸漬して表面層の表面を粗面化することを特徴とする半導体発光装置の製造方法が提供される。
【選択図】図1
Description
本発明は、半導体発光装置の製造方法および半導体発光装置に関する。
平坦な光取り出し面を有する半導体発光装置では、半導体結晶と空気との間の屈折率差が大きいため、半導体結晶と空気との界面において発光光の大部分が反射され、外部に放出されないという問題があった。すなわち、発光層で励起された光は、半導体結晶の内部で反射を繰り返す間に減衰し、強度が低下した状態で外部に放出されていた。
このため、例えば、特許文献1に記載されている半導体発光装置のように、光取り出し面を凹凸を有する粗面に加工して、半導体結晶と空気との界面での反射を減らす方法が用いられている。これにより、半導体発光装置の光出力を高めることが可能となっている。しかしながら、高出力の半導体発光装置を安定して製造するためには、光取り出し面をムラなく粗面化し、光の取り出し効率を最大限に高めることが望ましく、これに適した加工技術が求められている。
本発明は、半導体結晶内部からの光取り出し効率を向上させることにより、光出力を高めた半導体発光装置の製造方法および半導体発光装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、発光層と、Ga(1−x)AlxAs層(0≦x<0.8)を含み前記発光層から放出された光を外部に取り出す表面層と、を有する半導体積層体を、0℃未満の液温に保持した硝酸水溶液に浸漬して前記表面層の表面を粗面化することを特徴とする半導体発光装置の製造方法が提供される。
また、本発明の他の一態様によれば、発光層と、Ga(1−x)AlxAs層(0≦x<0.8)を含み前記発光層から放出された光を外部に取り出す表面層と、を有する半導体積層体をダイシングして複数の半導体チップに分割し、前記複数の半導体チップのそれぞれを0℃未満の液温に保持した硝酸水溶液に浸漬して、前記表面層の表面と、前記ダイシングにより形成された前記半導体チップの側面の少なくとも一部と、を粗面化することを特徴とする半導体発光装置の製造方法が提供される。
また、本発明の他の一態様によれば、発光層と、Ga(1−x)AlxAs層(0≦x<0.8)を含む表面層と、前記表面層の表面であって前記発光層からの光を外部に取り出す光取り出し面と、前記発光層と前記表面層との間に、前記表面層に隣接して設けられたエッチング停止層と、を備え、前記エッチング停止層は、前記発光層から放出された光を透過し、0℃未満の液温に保持した硝酸水溶液に対するエッチング速度が、前記表面層よりも遅いことを特徴とする半導体発光装置が提供される。
本発明によれば、半導体結晶内部からの光取り出し効率を向上させることにより、光出力を高めた半導体発光装置の製造方法および半導体発光装置を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態では、図面中の同一部分には同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について適宜説明する。
図1は、一実施形態に係る半導体発光装置を示す模式図である。
図1(a)は、半導体発光装置の主要部である半導体チップ10の断面を示す模式図である。半導体チップ10では、光取り出し面5に設けられた電極3aと、裏面6に設けられた電極3bと、の間に電流を流し、半導体積層体である半導体結晶1の内部に設けられた発光層2を発光させる。なお、半導体チップ10は、例えば、所定のパッケージに収容され、半導体発光装置として機能する。また、半導体積層体とは、複数の半導体層が結晶成長され積層された構造を有する半導体結晶を意味する。
半導体チップ10の発光層2で励起された発光光は、半導体結晶1の内部を伝播し、例えば、図1(a)中の矢印T1で示すように、光取り出し面5から外部へ放出される。また、同図中の矢印T2で示すように、半導体チップ10のチップ側面15からも放出される。
図1(b)は、図1(a)中の領域Aを模式的に示す部分断面図である。
図1(b)中に示すように、半導体チップ10は、発光層2の上に、クラッド層12、電流拡散層11、エッチング停止層9、および表面層8が順次積層された結晶構造を有している。表面層8は、GaAs層またはGa(1−x)AlxAs層(0<x<0.8)を含む半導体層である。また、表面層8の表面であって発光層2からの光を外部に取り出す光取り出し面5を有している。
図1(b)中に示すように、半導体チップ10は、発光層2の上に、クラッド層12、電流拡散層11、エッチング停止層9、および表面層8が順次積層された結晶構造を有している。表面層8は、GaAs層またはGa(1−x)AlxAs層(0<x<0.8)を含む半導体層である。また、表面層8の表面であって発光層2からの光を外部に取り出す光取り出し面5を有している。
さらに、表面層8の表面には、電極3aが設けられている。また、電極3aと表面層8との界面には合金層7が設けられ、電極3aと表面層8との間のオーミック接続が形成されている。
また、図1(b)に示すように、光取り出し面5は、ランダムな凹凸が設けられた粗面に加工されている。これにより、光取り出し面5から放出される発光光T1は、表面層8と外界との界面、すなわち光取り出し面5で反射されることなく外部に放出される。さらに、本実施形態に係る半導体チップ10では、図1(a)に示すように、チップ側面15も粗面化されており、チップ側面15から放出される発光光T2も、反射されることなく外部に放出される。
例えば、図13に示す比較例に係る半導体チップ50では、光取り出し面5およびチップ側面15は粗面化されておらず、平坦な表面を有している。したがって、発光層2で励起され、光取り出し面5の方向に伝播する光の大部分は、図13中の矢印R1で示すように、光取り出し面5で反射され外部に放出されない。一方、チップ側面15に向かって伝播する光の大部分もチップ側面15において反射され、外部に放出されない。
このように、光取り出し面5およびチップ側面15で反射された光は、さらに半導体結晶1の内部で反射を繰り返した後、外部に放出されることになる。この間、反射光は、例えば、発光層2で吸収されたり、電極3aおよび3bと、半導体結晶1と、の界面に形成された合金層7で吸収され、結果として減衰した発光光として放出される。
これに対し、本実施例に係る半導体チップ10では、図1(a)に示すように、光取り出し面5およびチップ側面15を粗面化することにより、発光光の反射を低減させることができる。これにより、半導体結晶1の内部から外界への発光光の取り出し効率を向上させ、半導体発光装置の光出力を向上させることができる。
次に、図1(b)に示す光取り出し面5の粗面化処理について説明する。例えば、光取り出し面5に設けられたランダムな凹凸は、所定のエッチング液を用いたウエットエッチング処理を半導体結晶1に施すことにより形成することができる。
具体的には、50〜70%の濃度に水で希釈した硝酸水溶液であって、−13〜0℃の液温に保持したエッチング液に半導体結晶1を浸漬する。これにより、GaAs層またはGa(1−x)AlxAs層(0<x<0.8)を含む表面層8の光取り出し面5をエッチングすることができる。
この際、図1(b)に示すように、発光層2と表面層8との間には、表面層8に隣接してエッチング停止層9を設けることができる。エッチング停止層9は、発光層2の発光光を透過し、50〜70%の濃度に希釈して−13〜0℃の液温に保持した硝酸水溶液に対するエッチング速度が、表面層8よりも遅くなるように設ける。
これにより、光取り出し面5を粗面化するためのエッチングが、電流拡散層11やクラッド層12まで進まないようにして、発光効率の低下を防止することができる。すなわち、電流拡散層11やクラッド層12がエッチングされて部分的に除去されると、電極3aと3bとの間に流される電流が発光層2の全面に広がらず、発光ムラを生じて発光効率が低下してしまうからである。
例えば、エッチング停止層9としてInGaP層を挿入した構造を形成することができる。InGaP層は、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて、波長700nm以上の赤外光を透過する組成に形成することができる。また、50〜70%の濃度に水で希釈した硝酸水溶液によるInGaP層のエッチング速度は、GaAs層またはGa(1−x)AlxAs層(0<x<0.8)を含む表面層8よりも遅いことがわかっている。
したがって、表面層8を通過してInGaP層にエッチング面が達すると、エッチングの進行が鈍化する。これにより、電流拡散層11およびクラッド層12までエッチングが進行する前に、エッチングを停止することが容易となる。これは、例えば、表面層8が5μm以下の薄層である場合に有効である。
図2は、本実施形態に係るエッチング液とエッチング量の関係を示すグラフである。横軸にエッチング液中の硝酸濃度、縦軸にエッチング食い込み量Δdを示している。エッチング食い込み量Δdは、図1(b)中に示すように、表面層8の表面からエッチングされた凹部の底までの深さを表す量である。また、本明細書中で、エッチング速度とは、単位時間当たりのエッチング食い込み量Δdを意味する。
図2中に示すデータ点は、それぞれに対応する硝酸濃度のエッチング液を−4℃に保持し、半導体結晶1を25秒間浸漬した時のエッチング食い込み量Δdを示している。また、同図中の破線が示すように、硝酸濃度を増やすとエッチング食い込み量Δdは増加する。
また、図3は、エッチング後の光取り出し面5の表面状態を示すSEM(Scanning Electron Microscope)像である。同図中に示すそれぞれの硝酸濃度に希釈したエッチング液に、半導体結晶1を浸漬した後の表面を示している。エッチング液の温度は−4℃であり、浸漬時間は25秒である。また、SEMの倍率は、約3000倍である。
図3中に示すように、硝酸濃度48%のエッチング液に浸漬した後の表面では、凹凸が少なく平坦な部分の割合が大きいことがわかる。さらに、硝酸濃度を増やすと、凹凸部の占める割合が増加している。本願発明者の知見によれば、発光光の反射を抑えるために有効な凹凸を形成するためには、硝酸濃度は50%以上であることが望ましい。
一方、粗面化される表面層8が、例えば、5μm以下の薄膜である場合は、エッチング喰い込み量Δdが深くなり、電流拡散層11やクラッド層12まで到達しないように留意する。
図2に示すように、硝酸濃度を増やすと、エッチング食い込み量Δdが深くなる。したがって、エッチング食い込み量Δdが電流拡散層11やクラッド層12まで到達しないように、硝酸濃度を抑えたエッチング液を使用する。本願発明者の知見によれば、エッチング液の硝酸濃度は、70%以下であることが望ましい。
すなわち、図2に示すデータによれば、エッチング液の硝酸濃度が70%を超えると、60秒以下の浸漬時間でエッチング食い込み量が5μmに達するようになる。したがって、浸漬時間のバラツキにより表面層8を超えてエッチングが進み、電流拡散層11やクラッド層12に到達する可能性が生じるからである。
前述したように、エッチング停止層9を設けることにより、エッチング食い込み量Δdが電流拡散層11やクラッド層12に到達することを防止できる。さらに、エッチング液の硝酸濃度を70%以下として、エッチング速度を遅くすれば、電流拡散層11やクラッド層12に到達する前に、確実にエッチングを停止することができる。
さらに、光取り出し面5を粗面化するためのエッチングは、エッチング液の温度にも依存する。図4は、エッチング液の温度とエッチング量の関係を示すグラフである。横軸にエッチング液の温度、縦軸にエッチング食い込み量Δdを示している。
図4中に示したデータは、硝酸濃度63.6%のエッチング液に、10秒、25秒、および50秒間浸漬した場合の、それぞれのエッチング食い込み量Δdを示している。
同図中に示すように、浸漬時間Tを一定とした場合、エッチング食い込み量Δdは、温度を下げると少なくなる。したがって、エッチング温度を0℃以下の低温にしてエッチング喰い込み量Δdを抑えることにより、例えば、表面層8が薄膜であっても、粗面化を容易に行うことができる。
また、図5は、エッチング後の光取り出し面5の表面状態を、エッチング液の温度に対して示したSEM像である。エッチング液の硝酸濃度は63.6%であり、浸漬時間は25秒である。また、SEMの倍率は、約2000倍である。
図5に示すように、エッチング液の温度を下げて0℃とした場合、光取り出し面の表面に凹凸ができ始め、平坦部と凹凸部とが共存した状態となっている。さらに温度を下げて、エッチング液を−4℃および−8℃とすると、光取り出し面5の全体に凹凸が形成されるようになる。また、エッチング液の温度が−13℃より低温になると、再び平坦な部分と凹凸部とが共存する表面状態に変化する。
すなわち、エッチング液の温度が−13℃以上、0℃以下の範囲に保持されていれば、光取り出し面5の全面に渡ってランダムな凹凸を形成することができる。一方、−13℃以下、または0℃以上の温度では、凹凸部に対する平坦部の占める割合が増加して行く。したがって、エッチング液の温度を−13℃以上、0℃以下として粗面化処理を行うことにより、凹凸部の面積が占める割合を高くして発光光の反射を効果的に防止することができる。本願発明者の知見によれば、エッチング液の液温を−13℃以上、0℃以下とすれば、後述する図8に示すように、光取り出し面5の取り出し効率を向上させ、半導体発光装置の光出力を効果的に向上させる粗面化を行うことができる。
図6は、半導体チップ10の光取り出し面5およびチップ側面15の粗面化処理の工程の一例を示すフロー図である。
第1のステップとして前処理1を行う(S1)。例えば、半導体結晶1をフッ化アンモニウムに約1分間浸漬し、その後、水洗、乾燥を行う。これにより、半導体結晶1の表面の自然酸化膜を除去し、また汚染物を除去することができる。
さらに、第2ステップの前処理2を行う(S2)。例えば、酸素O2を添加した反応性イオンエッチングによる処理、あるいは界面活性剤を含んだ水溶液に浸漬する処理を行う。これにより、半導体結晶1の表面の親水性を高めることができ、エッチング食い込み量の処理毎のバラツキやエッチングのムラなどを抑えることができる。
続いて粗面化エッチングを行う(S3)。例えば、粗面化する結晶面の組成と、所望の凹凸形状と、に基づいて、エッチング液の硝酸濃度および液温、浸漬時間を調整する。前述したように、硝酸濃度は50〜70%、液温は−13℃〜0℃の範囲において、それぞれ好適な条件を選択する。また、浸漬時間は、表面層8の厚さと、エッチング速度を勘案して設定することができる。エッチング後は、速やかに水洗を開始し、エッチング液を除去するために充分な時間の処理を行い、乾燥させる。
次に、最後のステップとして後処理を行なう(S4)。粗面化エッチング後の半導体結晶の表面には金属生成物が付着している。この金属生成物は、例えば、有機溶剤もしくは塩酸を用いた洗浄を行なうことにより除去することができる。
(第1実施例)
図7は、第1実施例に係る半導体チップ20の製造工程を示す模式図である。各工程における半導体結晶(半導体積層体)1の断面を模式的に示している。
図7は、第1実施例に係る半導体チップ20の製造工程を示す模式図である。各工程における半導体結晶(半導体積層体)1の断面を模式的に示している。
図7(a)は、半導体結晶1の光取り出し面5および裏面6に、電極3aおよび3bを形成した状態を示す断面図である。半導体結晶1の光取り出し面5は、GaAsあるいはGa(1−x)AlxAs(0<x<0.8)を含む面である。光取り出し面5上には、金(Au)を主成分とするモリブデン(Mo)を含んだ合金を用いた電極3aを形成する。また、Auを主体とした合金を用いて電極3bを裏面に形成する。さらに、フォトリソグラフィとドライエッチングとにより電極3aおよび3bをパターニングした後、熱処理を施して合金層7を形成する。
次に、図7(b)に示すように、電極3aとその外周とを、エッチング液から保護するためにレジスト膜16を形成する。例えば、レジスト膜16を光取り出し面の全面に塗布し、その後、フォトリソグラフィにより電極3aとその外周とを保護する形状にパターニングする。また、裏面6の全面にも、粗面化されないようにレジスト膜16を形成する。
次に、例えば、濃度60%の硝酸にて−8℃で25秒エッチング処理を行なう。これにより、図7(c)に示すように、レジスト膜16に保護されていない光取り出し面5に、約1〜3μmの高さを持つ微細な凹凸を形成することができる。前述したように、エッチング液の硝酸濃度および液温は、光取り出し面5の結晶組成と所望の凹凸形状により、硝酸濃度50〜70%、液温−13℃〜0℃の範囲で設定することができる。
次に、図7(d)に示すように、有機溶剤でレジスト16を除去し、その後、例えば、スクライブカットにより半導体結晶1を半導体チップ20に分離する。
上記のように第1実施例では、光取り出し面5が粗面化された半導体チップ20を製作することができる。図7(c)に示すように、レジスト膜16が、光取り出し面5に設けられた電極3a及びその外周、裏面電極3bを保護し、エッチング液による浸食を防いでいる。
また、エッチング速度が早い合金層7がエッチングされると、各電極と半導体結晶1との界面に沿った喰い込みが生じる場合がある。例えば、ワイヤボンディング時に、この喰い込み箇所は、電極が結晶から剥れる起点となり易い。したがって、レジスト膜16は、合金層7のエッチングを防いで電極剥がれを防止する効果も有する。
さらに、各電極が、レジスト膜16によりエッチング液に対して電気的に絶縁されることから、電池効果によって生じる半導体結晶1のエッチング速度の加速を緩和することができる。すなわち、レジストで保護されていない光取り出し面5のみがムラ無くエッチングされ、1〜3μmの微細かつランダムな凹凸が形成された粗面とすることができる。
図8は、光取り出し面5の粗面化の程度と光出力の向上率の関係を示すグラフである。横軸に粗面化状態指数、縦軸に半導体チップ20を用いた半導体発光装置の光出力の向上率を示している。ここで、粗面化状態指数とは、粗面化処理を施された面における凹凸部の占める面積比率を表している。例えば、粗面化状態指数が70であれば、粗面化処理を施された面の70%にランダムな凹凸が形成されている。
図8に示されたグラフによれば、粗面化状態指数が大きくなるにつれて光出力が向上し、粗面化指数が70以上であれば約20%向上することがわかる。
(第2実施例)
図9は、第2実施例に係る半導体チップ30の製造工程を示す模式図である。図7と同じように、各工程における半導体結晶1の断面を模式的に示している。
図9は、第2実施例に係る半導体チップ30の製造工程を示す模式図である。図7と同じように、各工程における半導体結晶1の断面を模式的に示している。
図9(a)は、半導体結晶1の光取り出し面5および裏面6に、電極3aおよび3bを形成した状態を示す断面図である。図7に示す第1実施例と同様に、光取り出し面5は、GaAsあるいはGa(1−x)AlxAs(0<x<0.8)を含む面であり、光取り出し面5上に、金(Au)を主成分とするモリブデン(Mo)を含んだ合金を用いた電極3aを形成する。また、裏面6側にも、Auを主体とした合金を用いて電極3bを形成する。
次に、図9(b)に示すように、電極3aが設けられた光取り出し面5の全面にレジスト膜16を形成する。
続いて、レジスト膜16が形成された半導体結晶1を、例えば、ダイシングシートに貼り付けてスクライブカットし、図9(c)に示すように、半導体チップ25に分離する。この際、半導体結晶1の裏面6をダイシングシートの粘着面に貼り付ける。
次に、分離された半導体チップ25を、ダイシングシートに貼り付いた状態でエッチング液に浸漬する。例えば、硝酸濃度60%に希釈された硝酸水様液を、−8℃に保持したエッチング液に、25秒間の浸漬する。
光取り出し面5および電極3aは、レジスト膜16によりエッチング液から保護されている。また、半導体結晶1の裏面6はダイシングシートの粘着面に貼り付いているので、半導体結晶1の裏面6および電極3bは、エッチング液から保護されている。したがって、図9(d)に示すように、半導体チップ25のチップ側面15のみに、約1〜3μmの高さを持つ微細な凹凸を形成することができる。
次に、半導体チップ25の表面に形成されたレジスト膜16を、有機溶剤を用いて除去する。この際、半導体チップ25をダイシングシートに貼り付けた状態で処理を行い、最終的に、図9(e)に示すように、チップ側面15が粗面化された半導体チップ30が完成する。
本実施例では、半導体チップ30の4つのチップ側面15が粗面化される。半導体チップ30の全表面に対する4つのチップ側面15の占める割合は大きく、粗面化されたチップ側面15の光出力向上への寄与は大きい。また、チップ側面15をエッチングすることにより、例えば、ダイシング時に生じる破砕層を除去することができる。この破砕層は光吸収を生じる要因となることがあるので、除去することにより光出力を向上させることができる。
(第3実施例)
図10は、第3実施例に係る半導体チップ10の製造工程を示す模式図であり、各工程における半導体結晶1の断面を示している。
図10は、第3実施例に係る半導体チップ10の製造工程を示す模式図であり、各工程における半導体結晶1の断面を示している。
本実施例においても、図10(a)に示すように、半導体結晶1の光取り出し面5および裏面6に、電極3aおよび3bを形成する。光取り出し面5は、GaAsあるいはGa(1−x)AlxAs(0<x<0.8)を含む面である。
次に、図10(b)に示すように、電極3aとその外周とを、エッチング液から保護するためにレジスト膜16を形成する。
続いて、レジスト膜16が形成された半導体結晶1を、例えば、ダイシングシートに貼り付けてスクライブカットし、図9(c)に示すように、半導体チップ25に分離する。
その後、例えば、硝酸濃度60%の硝酸水溶液であって、−8℃に保持されたエッチング液に、25秒間浸漬する。これにより、図9(d)に示すように、レジスト膜16で保護されていない光取り出し面5およびチップ側面15に、約1〜3μmの高さを持つ微細な凹凸を形成することができる。
さらに、レジスト膜16を有機溶剤を用いて除去し、図10(e)に示すように、半導体チップ10を完成する。
(第4実施例)
図11は、第4実施例に係る半導体チップ40の製造工程を示す模式図であり、各工程における半導体結晶1の断面を模式的に示している。
図11は、第4実施例に係る半導体チップ40の製造工程を示す模式図であり、各工程における半導体結晶1の断面を模式的に示している。
本実施例では、GaAsあるいはGa(1−x)AlxAs(0<x<0.8)を含む光取り出し面5を有する半導体結晶1を、例えば、硝酸濃度60%の硝酸水溶液であって、−8℃に保持されたエッチング液に、25秒間浸漬する。これにより、図11(a)に示すように、光取り出し面5および半導体結晶1の裏面6に、約1〜3μmの高さを持つ微細な凹凸を形成し粗面化することができる。
次に、図11(b)に示すように、粗面化された光取り出し面5に電極3aを形成し、裏面6に電極3bを形成する。各電極は、フォトリソグラフィでエッチングマスクを形成した後、ドライエッチングすることにより、所定の形状にパターニングする。続いて、熱処理を行い半導体結晶1と各電極との間に合金層7を形成する。
最後に、図11(c)に示すように、例えば、スクライブカットにより半導体結晶1を半導体チップ40に分離する。本実施例に係る半導体チップ40では、第1実施例に示した半導体チップ20と同じように、光取り出し面5が粗面化され、光出力の向上を図ることができる。
さらに、別の実施態様として、図11(b)に示すように、電極3aおよび3bを形成した後に、光取り出し面5の全面にレジスト膜16を形成し、第2実施例の図9(c)〜図9(e)に示す工程を実施することにより、チップ側面15も粗面化した半導体チップとすることができる。
本実施例では、電極3aおよび3bを形成する前に粗面化処理を行なうため、各電極および合金層7がエッチングされる恐れはない。また、第1実施例ないし第3実施例に比べて、少ない工程数で簡便に半導体チップ40を製作することができる。
さらに、半導体チップ40の裏面6も粗面化されているので、例えば、導電ペーストを用いてパッケージにボンディングする際の、半導体チップ40の密着性を向上させることができる。
図12は、第1〜第4実施例に係る半導体チップを用いた半導体発光装置の光出力を示すグラフである。
縦軸は、粗面化が施されていない図13の比較例に係る半導体チップ50を用いた半導体発光装置の光出力を基準とした向上率を示している。また、図中に示す四角のデータ点およびエラーバーは、光取り出し面5またはチップ側面15を粗面化した場合に得られる光出力の四分位数に基づく分布を示している。
図12に示されたデータによれば、光取り出し面5のみを粗面化した、第1実施例に係る半導体チップ20または第4実施例に係る半導体チップ40を用いた半導体発光装置では、約18%の光出力の向上を見込むことができる(横軸表示:表面のみ)。一方、チップ側面15のみを粗面化した第2実施例に係る半導体チップ30を用いた半導体発光装置では、約32%の光出力の向上を見込むことができる(横軸表示:側面のみ)。
さらに、光取り出し面5およびチップ側面15の両方を粗面化した第3実施例に係る半導体チップ10では、約62%の光出力の向上を見込むことができる(横軸表示:表面+側面)。
以上、本発明に係る一実施形態および第1実施例ないし第4実施例を参照して本発明を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、出願時の技術水準に基づいて、当業者がなし得る設計変更や、材料の変更等、本発明と技術的思想を同じとする実施態様も本発明の技術的範囲に含有される。
例えば、上記の第1実施例ないし第4実施例において、半導体結晶1のダイシングにスクライブカットを用いる例について説明したが、ダイサーおよびレーザカットを用いた場合でも、同じように粗面化による光出力の向上を図ることができる。
1 半導体結晶
2 発光層
3a、3b 電極
5 光取り出し面
6 裏面
7 合金層
8 表面層
9 エッチング停止層
10、20、25、30、40 半導体チップ
11 電流拡散層
12 クラッド層
15 チップ側面
16 レジスト膜
2 発光層
3a、3b 電極
5 光取り出し面
6 裏面
7 合金層
8 表面層
9 エッチング停止層
10、20、25、30、40 半導体チップ
11 電流拡散層
12 クラッド層
15 チップ側面
16 レジスト膜
Claims (7)
- 発光層と、Ga(1−x)AlxAs層(0≦x<0.8)を含み前記発光層から放出された光を外部に取り出す表面層と、を有する半導体積層体を、0℃未満の液温に保持した硝酸水溶液に浸漬して前記表面層の表面を粗面化することを特徴とする半導体発光装置の製造方法。
- 発光層と、Ga(1−x)AlxAs層(0≦x<0.8)を含み前記発光層から放出された光を外部に取り出す表面層と、を有する半導体積層体をダイシングして複数の半導体チップに分割し、
前記複数の半導体チップのそれぞれを0℃未満の液温に保持した硝酸水溶液に浸漬して、前記表面層の表面と、前記ダイシングにより形成された前記半導体チップの側面の少なくとも一部と、を粗面化することを特徴とする半導体発光装置の製造方法。 - 前記半導体積層体は、前記発光層に電流を流す電極を有し、
前記電極を保護膜で被覆して前記粗面化することを特徴とする請求項1または2に記載の半導体発光装置の製造方法。 - 前記硝酸水溶液に浸漬して粗面化した前記表面層の表面に、前記発光層に電流を流す電極を形成することを特徴とする請求項1記載の半導体発光装置の製造方法。
- 前記硝酸水溶液の液温を、マイナス13℃以上に保持することを特徴とする1〜4のいずれか1つに記載の半導体発光装置の製造方法。
- 前記硝酸水溶液の濃度は、50パーセント以上70パーセント以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の半導体発光装置の製造方法。
- 発光層と、
Ga(1−x)AlxAs層(0≦x<0.8)を含む表面層と、
前記発光層と前記表面層との間に前記表面層に隣接して設けられたエッチング停止層と、
を備え、
前記エッチング停止層は、前記発光層から放出された光を透過し、0℃未満の液温に保持された硝酸水溶液に対するエッチング速度が、前記表面層よりも遅いことを特徴とする半導体発光装置。
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JP2009254009A JP2011100829A (ja) | 2009-11-05 | 2009-11-05 | 半導体発光装置の製造方法および半導体発光装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013110416A (ja) * | 2011-11-23 | 2013-06-06 | Imec | GaNLEDデバイスの製造方法 |
JP2015503849A (ja) * | 2012-01-10 | 2015-02-02 | コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ | 選択的な領域粗化による制御されたled光出力 |
US10658543B2 (en) | 2016-03-11 | 2020-05-19 | Dowa Electronics Materials Co., Ltd. | Semiconductor optical device and method of manufacturing the same |
JP2021064790A (ja) * | 2019-10-15 | 2021-04-22 | Dowaエレクトロニクス株式会社 | 半導体発光素子及びその製造方法 |
-
2009
- 2009-11-05 JP JP2009254009A patent/JP2011100829A/ja active Pending
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