JP2011100654A - 異方性導電膜、及びその製造方法 - Google Patents

異方性導電膜、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】異方性導電膜の熱圧着によって膜厚が低下し、電極間の接続の信頼性が低下するのを防止する安価な異方性導電膜およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る異方性導電膜1は、導電粒子2とバインダー樹脂3とを含んでおり、導電粒子2は0.5μm以上10μm以下の粒径にバインダー樹脂3中に分散されている。なお、異方性導電膜1は、対向して配置された1対の電極のうち、一方の電極上に転写し、その後他方の電極を転写した異方性導電膜1上に熱圧着して、電極間を接続する。この際、転写時の加熱温度において、導電粒子2の貯蔵弾性率がバインダー樹脂3の貯蔵弾性率よりも高く、かつ、バインダー樹脂3の貯蔵弾性率の10.0倍以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、対向配置される電極同士を電気的に接続するための異方性導電膜、及びその製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化に伴って、電子機器を構成する基板または半導体等の部品も高精細化している。そのため、高精細な部品同士を電気的に接続する際には、各部品の微細な電極同士を電気的に接続する技術が求められるようになっている。そこで最近では、異方性導電膜を用いて、高精細な電極同士を電気的に接続する技術が普及している。この技術では、対向する電極間に異方性導電膜を挟み、熱圧着させることによって、電極同士を接着することができる。異方性導電膜とは、膜の厚み方向には導電性を示し、膜の面方向には絶縁性を示す膜である。そのため、対向する電極間では、導電性を有することができ、なおかつ隣接する電極間では絶縁性を保つことができる。
異方性導電膜を用いて対向する電極間を接着する方法を簡単に説明する。一般的に異方性導電膜は剥離シート上に形成されており、まず始めに剥離シートが配設されていない側の異方性導電膜の面を、対向する電極の一方である第1の電極に当接するようにして配置する。次に剥離シートを介して加熱および加圧することによって、異方性導電膜を第1の電極上に転写する転写工程が実行される。その後、剥離シートを剥離し、転写した異方性導電膜の上に、他方の電極である第2の電極を第1の電極との相対位置関係が所定の位置関係になるように配置する。配置した第2の電極を異方性導電膜に圧着することによって、対向する2つの電極は異方性導電膜を介して接着される。
異方性導電膜は、例えば液晶表示装置において、液晶ドライバをその周辺部材と接続する際に利用されている。特に、液晶パネルと液晶ドライバ大規模集積回路(LSI)とを接続したり、配線基板と液晶ドライバLSIとを接続したり等、幅広く利用されている。
一般的に異方性導電膜は、バインダー樹脂中に少なくとも導電粒子を混合させたものから成る。異方性導電膜を、対向する電極の間に熱圧着した際、導電粒子が対向する電極の間に介在していることによって、電極間を電気的に接続することができる。さらには、面方向に隣り合う導電粒子の間にはバインダー樹脂が介在しているため、面方向に導電することはない。
しかし、異方性導電膜を熱圧着する際、導電粒子が潰されることによって隣接する電極間で短絡が発生する場合がある。そこで、隣接する電極間で短絡が発生するのを防止し、より接続の信頼性を高めるための工夫が、特許文献1〜3ではされている。
特許文献1では、導電性微粒子と、導電性微粒子よりも硬質であり、導電性微粒子の外径よりも小さい一定寸法を有する粒子からなるスペーサとを絶縁性接着剤中に混合してなる導電性結合剤が開示されている。本文献に開示されている技術では、スペーサによって対向する電極間の間隔を一定に保つことができ、隣接する電極間で短絡が発生しないようにすることができる。
また、特許文献2では、導電粒子と共に絶縁粒子を電極間に介装する構成が開示されている。本文献に開示されている技術では、熱圧着の際の衝撃を絶縁粒子の変形によって緩和させることができ、導電粒子のつぶれ幅を適正にし、かつ一定の厚さで接続することができる。
特許文献3では、異方性導電膜に絶縁粒子を混合することによって、基板上の隣り合う電極間の短絡を防止し、かつ異方性導電膜によって接続される電極間の導通状態をよくする技術が開示されている。
特開平5−174618号広報 特開平5−347464号広報 特開平6−59268号広報
上述した異方性導電膜の圧着工程では、高温および高圧で圧着をするため、異方性導電膜の移動性が高くなり、膜厚が薄くなる。それによって、電極間のバインダー樹脂の充填不足になり、密着力が低下する。また、それと同時に、電極間の接続に寄与する導電粒子数も減少してしまうため、接着後における電極間の接続の信頼性が低下する。したがって、電極間の接続の信頼性が低下するのを防止するためには、異方性導電膜の圧着時にはできる限り低温かつ低圧で行うことが好ましい。
しかし、接着させる電極、またはその周辺部の材質、表面状態等によっては、高温かつ高圧でしか圧着できない場合がある。この場合には、前述したように、電極間の接続の信頼性が低下してしまう。
特許文献1に開示されている導電性結合剤では、導電性微粒子の外径よりも小さい一定寸法を有する粒子からなるスペーサを利用している。そのため、高温かつ高圧で圧着した場合、導電性粒子は押し潰され、導電性結合剤は薄くなり、前述したような接続の信頼性の低下を招いてしまう。
一方、特許文献2に開示されている技術では、導電粒子の粒子径よりも同等以上の粒子径を有する絶縁粒子を使用しているものの、電極間の接着後には絶縁粒子の粒子径は導電粒子の粒子径よりも同等以下になるように構成されている。したがって、本文献に開示されている技術においても、接続の信頼性が低下してしまう。
特許文献3に開示されている異方性導電膜では、導電粒子の粒子径と同等程度の絶縁粒子を使用している。そのため、前述した特許文献の技術と同様の理由から、接続の信頼性が低下してしまう。
以上より、前述した3件の特許文献に開示されている技術では、隣接する電極間での短絡を防止することができるものの、異方性導電膜の圧着時における膜厚の低下によって接続の信頼性が低下してしまう。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、異方性導電膜の圧着時の熱圧着によって膜厚が低下し、電極間の接続の信頼性が低下するのを防止する異方性導電膜とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するために、第一の電極上に加熱及び加圧により圧着され、さらに前記第一の電極と当該第一の電極に対向する第二の電極との間に配置された状態で熱圧着することによって、前記第一の電極および前記第二の電極の間を電気的に接続する異方性導電膜であって、絶縁性バインダー樹脂と、前記絶縁性バインダー樹脂中に分散された導電性粒子とを含み、前記導電性粒子は、0.5μm以上10μm以下の体積平均粒径を有しており、且つ導電性粒子はコア粒子表面に金属メッキを施したものであり、コア粒子としては熱可塑性樹脂に磁性材料を分散させたものであり、前記圧着時の加熱温度において、前記導電性粒子の貯蔵弾性率は、前記絶縁性バインダー樹脂の貯蔵弾性率よりも高く、かつ、前記絶縁性バインダー樹脂の貯蔵弾性率の10.0倍以下であることを特徴とする。
上記の構成によれば、本発明に係る異方性導電膜は絶縁性バインダー樹脂中に導電性粒子を含んでいることを特徴としている。特に、絶縁性バインダー樹脂の貯蔵弾性率よりも高い貯蔵弾性率を有する導電性粒子を使用している。これより、異方性導電膜を圧着する際に加圧しても、導電性粒子が加圧に対して抵抗するため、膜厚の低下を防ぐことができる。そのため、異方性導電膜を高温および高圧で圧着しても、導電性粒子が高い貯蔵弾性率を発揮することによって、異方性導電膜は十分な膜厚を維持することができる。
したがって、本発明に係る異方性導電膜によれば、異方性導電膜の膜厚が薄くなり、異方性導電膜の充填不足による異方性導電膜の圧着不良を防止することができる。また、電極間に十分な異方性導電膜が充填されるため、電極間の接続の信頼性が向上する。
ただし、本発明に係る導電性粒子の貯蔵弾性率は、絶縁性バインダー樹脂の貯蔵弾性率の10.0倍以下であることを特徴としている。導電性粒子の貯蔵弾性率が10倍より大きい場合、導電性粒子の貯蔵弾性率が高すぎるため、熱圧着時において、導電性粒子は異方性導電膜の面方向に押し潰され難い。したがって、導電性粒子が面方向に楕円状に延ばされないため、熱圧着後においても、隣接する導電性粒子同士が異方性導電膜の膜厚方向に融着凝集しない。その結果、電極間の所望の導通性を得ることが困難になる場合がある。しかしながら、上記の構成によれば、導電性粒子の貯蔵弾性率が絶縁性バインダー樹脂の貯蔵弾性率の10.0倍以下であるため、このようなことがなく、電極間の導通性を所望の範囲にすることができる。
また、本発明に係る導電性粒子の体積平均粒子径は、0.5μm以上10μm以下であることを特徴としている。0.5μmよりも小さい粒径では、導電性粒子が凝集しやすくなり、取り扱いが困難である。一方、10μmを超える粒径では、導電性粒子をメッキする際に、低温でメッキすることが困難である。しかしながら、上記の構成によれば、本発明に係る導電性粒子は、粒子同士が凝集することなく分散させることができ、なおかつ低温でも問題なくメッキすることができる。
また、導電性粒子はそのコアに熱可塑性樹脂に磁性材料を分散させたものであるので、導電性を有するものとなる。それによりコア表面をメッキする際のメッキ材料を低減することが出来る(メッキ材料としては、通常1次層:ニッケル、2次層:金を用いる)。
磁性材料としては、マグネタイト、フェライト、チタンブラックなど一般公知のものを使用することが出来、その量としては熱可塑性樹脂に対して体積比で30%〜200%とすることが好ましい。
また、本発明に係る異方性導電膜においては、前記導電性粒子の圧縮強度は、0.3kgf/mm以上20kgf/mm以下であることが好ましい。
上記の構成によれば、導電性粒子は、異方性導電膜の転写時にかかる圧力に対する応力を発揮し、異方性導電膜の膜厚を十分に保つことができる。
また、本発明に係る異方性導電膜においては、前記絶縁性バインダー樹脂は、熱硬化性樹脂であることが好ましい。
上記の構成によれば、対向する電極同士を高い信頼性で接続することができる。
また、本発明に係る異方性導電膜においては、前記導電性粒子は、3次元架橋構造を有する導電性高分子であり、該表面に金属または金属酸化物を被膜したものであることが好ましい。
上記の構成によれば、異方性導電膜は十分な導電性を有することができる。
また、本発明に係る異方性導電膜においては、前記導電性粒子の貯蔵弾性率は、前記絶縁性バインダー樹脂の貯蔵弾性率の2.0倍以上であることを特徴とする。
異方性を発現するためには、圧着した後の導電性粒子の分散状態を最適化する必要がある。圧着は導通方向より行われるものであるから、圧着された部分に存在した導電性粒子が導通方向と90度をなす方向に移動しない、もしくはしにくい必要がある。導電性粒子が導通方向と90度をなす方向に移動してしまうと、90度の方向への導電性粒子の密度も高くなり、その方向への絶縁が保証できなくなる。そうならないためには、導電性粒子と絶縁性バインダー樹脂の弾性の関係を最適化させておく必要があり、そのためには、導電性粒子の貯蔵弾性率を絶縁性バインダー樹脂の貯蔵弾性率の2.0倍以上とする必要がある。
さらに本発明は、第一の電極上に加熱及び加圧により転写され、さらに前記第一の電極と当該第一の電極に対向する第二の電極との間に配置された状態で熱圧着することによって、前記第一の電極および前記第二の電極の間を電気的に接続する異方性導電膜の製造方法であって、絶縁性バインダー樹脂中に、0.5μm以上10μm以下の体積平均粒径を有する導電性粒子を分散する工程と、前記導電性粒子を分散させた前記絶縁性バインダー樹脂を加熱溶融温度で延伸して、膜状にする工程とを含み、前記転写時の加熱温度において、前記導電性粒子の貯蔵弾性率は、前記絶縁性バインダー樹脂の貯蔵弾性率よりも高く、かつ、前記絶縁性バインダー樹脂の貯蔵弾性率の10.0倍以下であることを特徴とする。
上記の構成によれば、対向する電極同士を高い信頼性で接続することができる異方性導電膜を提供することができる。
本発明に係る異方性導電膜では、バインダー樹脂の貯蔵弾性率よりも高い貯蔵弾性率を有する導電粒子を使用している。これより、異方性導電膜を転写する際に加圧しても、導電粒子が加圧に対して抵抗するため、膜厚の低下を防ぐことができる。そのため、異方性導電膜を高温および高圧で転写しても、導電粒子が高い貯蔵弾性率を発揮することによって、異方性導電膜は十分な膜厚を維持することができる。したがって、異方性導電膜の膜厚が薄くなり、異方性導電膜の充填不足による異方性導電膜の転写不良を防止することができる。また、電極間に十分な異方性導電膜が充填されるため、電極間の接続の信頼性が向上する。
本発明の一実施形態に係る異方性導電膜の断面を示す図である。 異方性導電膜1を用いて対向する電極を接続する方法を説明する図である。 実施例に使用した導電性粒子の物性値を示す表である。 実施例1〜12,比較例1〜4における接続抵抗及び絶縁抵抗の評価結果を示す表である。
(異方性導電膜1の概要)
本実施形態に係る異方性導電膜1の概要について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る異方性導電膜1の断面を示す図である。
本実施形態に係る異方性導電膜1は、図1に示すように、導電粒子2と絶縁性のバインダー樹脂3とを含んでいる。具体的には、導電粒子2をバインダー樹脂3中に分散させたものを、フィルム状に形成している。
異方性導電膜1は、対向する電極同士を電気的に接続する際に使用されるものである。当該異方性導電膜1を対向する電極間に熱圧着することによって、電極間を接着することができる。異方性導電膜1は、熱圧着されることで電極間に導電粒子2を介在させ、当該電極間を導通させるとともに、隣接する電極間に絶縁性のバインダー樹脂3を介在させ、当該隣接する電極間の絶縁性を保つ。
異方性導電膜1を用いて対向する電極を接続する方法を、図2(A)〜図2(C)を参照して説明する。図2(A)は、一方の電極の上に異方性導電膜1を配置する工程を示す図である。図2(B)は、異方性導電膜1の上に他方の電極が配置される工程を示す図である。図2(C)は、電極同士が導電粒子2を介して電気的に接続される工程を示す図である。
異方性導電膜1は剥離シート(図示せず)の上に形成されており、まず始めに異方性導電膜1と対向電極の一方の電極(第1の電極10)とが当接するようにして配置する(図2(A))。次に剥離シートを介して加熱および加圧することによって、異方性導電膜1を第1の電極10上に転写する転写工程が実行される(図2(B))。剥離シートを剥離し、転写した異方性導電膜1の上に、他方の電極(第2の電極20)を配置する。この際、異方性導電膜1に当接されている電極と位置合わせをして第2の電極20を配置する。そして、配置した第2の電極20を異方性導電膜1に熱圧着することによって、一対の電極同士を異方性導電膜1を介して接着する接着工程が実行される(図2(C))。
なお、一対の電極と、当該電極間に配置された異方性導電膜1とを熱圧着すると、バインダー樹脂3が熱によって流動する。これにより、バインダー樹脂3中の導電粒子2が対向電極の間に介在することによって、電極間は電気的に接続される。さらには、面方向に隣り合う導電粒子2の間にはバインダー樹脂3が介在しているため、面方向に導電することはない。このように、転写工程および接着工程を実行することにより、異方性導電膜1は、対向する電極と接着し、当該電極間を導通させる。
異方性導電膜1の転写工程では100℃以下で転写され、接着工程では160℃以上で熱圧着されるのが一般的である。200℃で熱圧着で接着工程を行うと、異方性導電膜1は、対向する電極の間に充分に充填され、高い密着性で電極同士を接着することができる。なお、異方性導電膜1の膜厚は5〜50μmであるのが好ましい。
(導電粒子2の構成)
本実施形態に係る異方性導電膜1の詳しい構成について説明する。前述したように、本実施形態に係る異方性導電膜1は、導電粒子2とバインダー樹脂3とによって構成されている。
まず、異方性導電膜1を構成する導電粒子2について説明する。
本実施形態に係る導電粒子2は、核となる粒子(核粒子)の表面に、金属または金属酸化物を被膜したものである。当該核粒子の体積平均粒子径(Dv)は0.5〜10μmの範囲であることが好ましい。0.5μmよりも小さい粒径では、核粒子が凝集しやすくなり、取り扱いが困難である。一方、10μmを超える粒径では、粒子をメッキする際に、低温でメッキすることが困難である。
なお、核粒子にメッキする金属または金属酸化物の膜厚は、50〜300nmの範囲であることが好ましい。50nm未満の膜厚では、均一な膜を形成することが製造技術上難しい。また、300nmを超える膜厚では、導電粒子2は自身の特性を充分に発揮することができない。なお、導電粒子2には、異方性導電膜1の圧着温度よりも低いガラス転移点を有するものが選ばれる。
核粒子への金属または金属酸化物の被膜には、無電解メッキ法を用いる。無電解メッキ法とは、外部電極を用いずに、金属を化学的に還元析出させる方法である。無電解メッキ法によって核粒子の表面に触媒層を担持し、表面上に金属または金属酸化物の薄膜を形成させる。通常の電気メッキ法では、微小粒子にメッキすることが難しく、また均一の膜厚にメッキすることができないため、無電解メッキ法を用いることが好ましい。
無電解メッキ法は、少なくとも触媒化処理工程と無電解メッキ工程とを有する。触媒化処理工程には、キャタリスト(キャタライジング)−アクセレータ(アクセレーティング)法とセンシタイジング−アクチベーティング法とがある。本実施形態では、どちらの方法を用いても良い。
キャタリスト(キャタライジング)−アクセレータ(アクセレーティング)法は、塩化スズ、塩化パラジウムおよび塩酸の混合溶液(キャタリスト)に核粒子を浸漬し、核粒子の表面にパラジウム・スズ錯体化合物等を吸着させる。その後、核粒子をアクセレータ(硫酸、塩酸等の酸溶液、または水酸化ナトリウム、アンモニア等のアルカリ溶液)に浸漬させ、表面に吸着しているスズを除去する。それと同時に触媒能のあるパラジウムを活性化させ、触媒層を担持させる。
一方、センシタイジング−アクチベーティング法は、還元力の強い塩化スズ溶液(センシタイジング)に核粒子を浸漬し、核粒子の表面にスズを吸着させる。その後、核粒子を塩化パラジウム溶液(アクチベーティング)に浸漬し、パラジウムの触媒層を核粒子の表面に担持させる。
このような方法を用いた触媒化工程を終えて、核粒子の表面にパラジウム等の触媒層を形成すると、無電解メッキ工程に移る。無電解メッキ工程とは、触媒層が担持された表面上に金属または金属酸化物の薄膜を形成するための工程である。無電解メッキ工程では、水溶性金属塩および還元剤を含む無電解メッキ溶液に核粒子を浸漬し、溶液中の還元剤が核粒子表面のパラジウムによって酸化される。この際、パラジウムから放出される電子によって水溶性金属塩由来の金属イオンまたは金属酸化物イオンが還元され、パラジウムの触媒核付近から金属の析出が始まり、メッキ被膜を生成する。以上の触媒化工程および無電解メッキ工程を経て、核粒子の表面に金属または金属酸化物が被膜される。このようにして、導電粒子2は形成される。
次に無電解メッキ法に用いる各材料について説明する。
無電解メッキ法に用いられる金属としては、Al、Si、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Rd、Ag、Cd、In、Sn、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu,Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、W、Pt、Au、Tl、Pb、およびBiのうち少なくとも1種を含むものであれば良い。
また、核粒子にメッキされる膜は、金属または金属酸化物でもかまわない。金属は一般的に光透過性はないが、金属酸化物には光透過性を有するものがある。例えば、光透過性に優れるYIG粒子に酸化テルビウムを被膜させた磁性多層ナノ粒子は、強磁性体であり、光透過性を有する。このように金属酸化物をメッキする場合は、上記した金属の中でも、特にZn、Fe、Tb、Y、およびCeのうち少なくとも1種の金属の酸化物で被膜を形成することが好ましい。
なお、無電解メッキ法に用いる水溶性金属塩としては、上記した金属のうちいずれか1種を含有する水溶性塩を使用する。水溶性塩としては、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、炭酸塩、塩化物、酢酸塩、乳酸塩、スルファミン酸塩、フッ化物、ヨウ化物、またはシアン化物等が用いられる。
また、無電解メッキ工程で使用する還元剤としては、次亜リン酸、ホルムアルデヒド、水素化ボロン、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、またはヒドラジン等がある。
無電解メッキ工程において、無電解メッキ溶液には錯化剤も添加する。錯化剤としては、コハク酸等のジカルボン酸、クエン酸または酒石酸等のオキシカルボン酸、グリシン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはアミノ酢酸等の有機酸、またはこれらのナトリウム塩等が用いられる。上記した錯化剤を用いることによって、金属または金属酸化物の安定した膜を形成することが可能となる。
なお、メッキを施す核粒子としては、粘弾性条件を満足するものであり、架橋型導電性高分子または通常の架橋構造を有する熱可塑性樹脂であれば良い。その例として、ジビニルベンゼンまたはエチルビニルベンゼン等が挙げられる。
(バインダー樹脂3の構成)
続いて、異方性導電膜1を構成するバインダー樹脂3について説明する。
本実施形態に係るバインダー樹脂3は、例えばフェノキシ樹脂、エポキシ樹脂および潜在性硬化剤を構成成分とし、熱硬化性および絶縁性を呈するものである。各材料の重量比は、たとえばフェノキシ樹脂:エポキシ樹脂:潜在性硬化剤=10〜80重量%:5〜85重量%:1〜40重量%であり、好ましくは10〜75重量%:10〜80重量%:1〜40重量%であり、さらに好ましくは20〜50重量%:30〜70重量%:5〜20重量%である。ただし、各材料の重量%の合計が100重量%となるように構成されている。
バインダー樹脂3を構成するフェノキシ樹脂としては、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂、ビスフェノールAビスフェノールF混合型フェノキシ樹脂、ビスフェノールAビスフェノールS混合型フェノキシ樹脂、フルオレン環含有フェノキシ樹脂、またはカプロラクトン変性ビスフェノールA型フェノキシ樹脂等が例示される。なお、フェノキシ樹脂の重量平均分子量は2万以上10万未満が好ましい。
また、エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エーテル型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエーテルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、または脂環族エポキサイド等がある。これらエポキシ樹脂には、ハロゲン化処理または水素添加をしていても良い。また、ウレタン変性、ゴム変性またはシリコン変性等の処理を施しても問題ない。
また、潜在性硬化剤としては、ホウ素化合物、ヒドラジド、3級アミン、イミダゾール、ジシアンジアミド、無機酸、カルボン酸無水物、チオール、イソシアネート、ホウ素錯塩、またはこれらの誘導体等の硬化剤が使用できる。特に、マイクロカプセル型の硬化剤を使用するのが好ましい。マイクロカプセル型の硬化剤とは、上記した硬化剤がマイクロカプセル内に納められており、マイクロカプセルの表面を樹脂皮膜等で安定化したものである。異方性導電膜1を接続する際の温度または圧力によって、硬化剤の表面の樹脂皮膜が破壊され、硬化剤がマイクロカプセルの外に拡散し、エポキシ樹脂と反応する。マイクロカプセル型の潜在性硬化剤の中でも、特にアミンアダクトまたはイミダゾールアダクト等のアダクト型硬化剤をマイクロカプセル化した硬化剤を使用するのが好ましい。これは、アダクト型硬化剤をマイクロカプセル化した硬化剤が安定性と硬化性とのバランスに優れているためである。
なお、本実施形態に係るバインダー樹脂3には、必要に応じて、上記した以外の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂または電子線硬化性樹脂等を加えることも可能である。その例として、フェノール樹脂、シリコン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、SBR、SBS、NBR、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリエーテルテレフタレート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルオキシド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリイソブチレン樹脂、アルキルフェノール樹脂、スチレンブタジエン樹脂、カルボキシル変性ニトリル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、またはこれらの変性樹脂等が挙げられる。
(異方性導電膜1の構成)
以上において説明した導電粒子2をバインダー樹脂3に分散させて異方性導電膜1を形成する。導電粒子2の分散方法としては、バインダー樹脂3を構成する各材料と導電粒子2とを有機溶剤中で分散し、乾燥させることによってフィルム状に形成する方法がある。あるいは、バインダー樹脂3をフィルム状に形成した後に、フィルムの片面に静電気等によって導電粒子2を分散させ、散布することによってフィルム中に埋め込む方法等もある。この際、導電粒子2をバインダー樹脂3に対して0.1〜20%の体積分率で分散して構成されることが好ましい。異方性導電膜1の詳しい製造方法については、後ほど詳述する。
なお、本実施形態に係る異方性導電膜1には、絶縁粒子、充填剤、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤、またはカップリング剤等を含有することもできる。これらを含有する場合は、導電粒子2の平均粒子径未満の最大径を持つものを含有させることが好ましい。
特に、カップリング剤としては、ケチミン基、ビニル基、アクリル基、アミノ基、エポキシ基、またはイソシアネート基等を有するシランカップリング剤を使用するのが好ましい。これらのシランカップリング剤は、異方性導電膜1の接着性を向上させることができる。具体的なシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3(または2)−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、または3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
上記したシランカップリング剤の中でも、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するシランカップリング剤を用いた場合は、高い耐熱性および高い耐水性を有する異方性導電膜1が得られる。また、バインダー樹脂3に対して0.05〜1.5重量部の割合で用いると、異方性導電膜1の接続の信頼性が向上する。さらに、バインダー樹脂3に対して0.05重量部以上の割合で用いると、異方性導電膜1の粒子捕捉性が向上する。
なお、前述したように、導電粒子2の分散方法の一つとして、バインダー樹脂3を構成する各材料と導電粒子2とを有機溶剤中で分散し、ローラ延伸させて乾燥させることによってフィルム状に形成する方法がある。このように、バインダー樹脂3の各材料を混合するために、有機溶剤を用いることができる。有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジメチルアセトアミド、またはジメチルホルムアミド等が挙げられる。
(異方性導電膜1を用いた接着のメカニズム)
続いて、異方性導電膜1を用いた接着のメカニズムについて説明する。
上述したように、一対の対向電極と当該電極間に配置された異方性導電膜1とを、100℃付近の高温で熱圧着する接着工程により、異方性導電膜1が硬化することによって対向電極の間を接着することができる。
この接着工程では、加熱によって異方性導電膜1のバインダー樹脂3が溶融し、加圧によって異方性導電膜1の内部の導電粒子2が電極上に捕捉される。それと同時に、余分なバインダー樹脂3を流動させて排除することによって、電極間の導通が得られる。なお、隣接する電極間においては、バインダー樹脂3が介在することによって、絶縁性が確保されている。
より具体的には、接着工程では、導電粒子2は、熱圧着によって圧延方向(異方性導電膜1の面方向)に楕円状に延ばされた後、導電粒子2の凝集力によって導電粒子2は球形状に戻る。これによって、圧延方向における導電粒子2間の距離が開くのと同時に、電極方向(異方性導電膜1の厚み方向)に導電粒子2同士が融着凝集するため、異方導電性が得られる。このようにして対向する電極間に固定された異方性導電膜1では、バインダー樹脂3の潜在性硬化剤が熱によって顕在化し、硬化することによって、対向する電極間が接着される。
(導電粒子2およびバインダー樹脂3の貯蔵弾性率)
異方性導電膜1を一方の電極の上に転写する転写工程では、異方性導電膜1中のバインダー樹脂3および導電粒子2が高い流動性能を有すると、導電粒子2が異方性導電膜1の面方向に広がり、隣接する電極間で短絡を発生してしまう場合がある。また、バインダー樹脂3および導電粒子2が高い流動性能を有することによって、異方性導電膜1の転写時に、異方性導電膜1の膜厚が薄くなってしまい、電極間の接続の信頼性が低下する場合がある。したがって、異方性導電膜1中のバインダー樹脂3および導電粒子2が適切な流動性能を有するように調節する必要がある。
そこで、本実施形態に係る異方性導電膜1では、異方性導電膜1の転写時の加熱温度におけるバインダー樹脂3の貯蔵弾性率よりも高い貯蔵弾性率を有する導電粒子2を使用している。貯蔵弾性率とは、荷重サイクルを通じて蓄積される最大エネルギーに比例し、粘弾性材料の剛性を表す。また、貯蔵弾性率は、導電粒子2の核粒子またはバインダー樹脂3の重合度を変更することによって調整することができる。
異方性導電膜1を転写する転写工程では、バインダー樹脂3は加熱および加圧されることによって溶融し、流動して圧縮されていく。しかし、導電粒子2はバインダー樹脂3よりも高い貯蔵弾性率を有しているため、加圧されても、変形し難い。換言すると、異方性導電膜1を転写すると、異方性導電膜1中の導電粒子2が加圧に対して抵抗するため、異方性導電膜1は加圧による膜厚の低下を防ぐことができる。そのため、本実施形態に係る異方性導電膜1を高温および高圧で転写しても、導電粒子2が高い貯蔵弾性率を発揮することによって、異方性導電膜1は十分な膜厚を維持することができる。
導電粒子2の導電粒子2の貯蔵弾性率/バインダー樹脂3の貯蔵弾性率(導電粒子2のバインダー樹脂3に対する貯蔵弾性率の比率)は、2〜10の範囲であることが好ましい。もし貯蔵弾性率の比が10を上回ると、接着工程での加熱温度であっても導電粒子の貯蔵弾性率が高いため、接着工程において、導電粒子は異方性導電膜の面方向に押し潰され難い。したがって、導電粒子が面方向に楕円状に延ばされないため、熱圧着後においても、隣接する導電粒子同士が異方性導電膜の膜厚方向に融着凝集しない。その結果、電極間の所望の導通性を得ることが困難になる場合がある。
なお、バインダー樹脂3の貯蔵弾性率よりも導電粒子2の貯蔵弾性率の方が高いということは、換言すると、バインダー樹脂3の貯蔵弾性率/損失弾性率(貯蔵弾性率の損失弾性率に対する比率)よりも導電粒子2の貯蔵弾性率/損失弾性率の方が高いということになる。したがって、損失弾性率が低い導電粒子2を使用すると良い。これは、損失弾性率が低い導電粒子2は、相対的に貯蔵弾性率が高くなるためである。なお、損失弾性率は、1回の荷重サイクルで散逸(消失)したエネルギーに比例する。導電粒子2の貯蔵弾性率が相対的に高くなると、異方性導電膜1の膜厚を十分に保てるメカニズムは前述したとおりである。
導電粒子2の貯蔵弾性率は、導電粒子2の核粒子の重合度を変更することによって調整しているが、核粒子の重合度を変更することによって導電粒子2の圧縮強度も調整される。したがって、導電粒子2の貯蔵弾性率が高くなると、結果的に圧縮強度も高くなる。これより、異方性導電膜1を十分な膜厚に保つために、バインダー樹脂3の圧縮強度よりも高い圧縮強度を有する導電粒子2を使用しても良い。導電粒子2が有する圧縮強度としては、0.3〜20kgf/mmの範囲であることが好ましい。
(異方性導電膜1中のシランカップリング剤)
前述したように、異方性導電膜1にはシランカップリング剤を含有させることもできる。この場合には、異方性導電膜1の転写時にシランカップリング剤のアルコキシル基が、被着体のチップ表面のシリコン、ガラス基板上の酸化ケイ素、電極を構成する金属または導電粒子2の表面の金属等に選択的に吸着すると考えられる。そのため、導電粒子2上に接着したシランカップリング剤は、導電粒子2の流動を抑制する。このことから、導電粒子2は電極間に滞留する時間が長くなると考えられる。その結果、電極上に捕捉される導電粒子2の数が増加すると考えられる。しかし、シランカップリング剤のアルコキシル基は、水分に接すると直ちにシラノール基に変化し、バインダー樹脂3の親水性を増加させる。このため、一定量以上のシランカップリング剤の使用は、異方性導電膜1の耐水性を悪化させ、その結果、異方性導電膜1の接続の信頼性を低下させると考えられる。
一方、エポキシ基を有するシランカップリング剤を用いる場合には、バインダー樹脂3中のエポキシ樹脂の硬化時に、シランカップリング剤が樹脂の架橋構造に取り込まれる。これによって、異方性導電膜1の接着構造を強化し、その結果、異方性導電膜1の接続の信頼性を向上させると考えられる。
(異方性導電膜1の製造方法)
異方性導電膜1の具体的な製造方法について説明する。
まずバインダー樹脂3の各材料および導電粒子2を有機溶剤中で混合し、塗工液を作成する。この際、異方性導電膜1に上記した絶縁粒子または充填剤等を添加する場合は、添加するものも有機溶剤中に混入する。塗工液を基材上にアプリケーター塗装等によって塗工し、オーブンで溶剤を除去することによって、異方性導電膜1は形成される。この際、異方性導電膜1は剥離シート上に形成されていても良い。剥離シートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ナイロン、塩化ビニル、またはポリビニルアルコール等が適用可能である。好ましい剥離シート用の樹脂としては、ポリプロピレンまたはPETが挙げられる。また、剥離シートにはフッ素処理、シリコン処理、またはアルキド処理等の表面処理を行っていることが好ましい。
その後、異方性導電膜1を30℃以下程度に加熱しながら、ローラで引っ張って、フィルム状に延伸する。本実施形態に係る異方性導電膜1の膜厚は、5μm以上50μm以下が好ましく、さらに好ましくは6μm以上35μm以下であり、さらに好ましくは7μm以上25μm以下であり、さらに好ましくは8μm以上22μm以下である。
異方性導電膜1は、以上のような工程を経て製造されるが、市販される場合には、異方性導電膜1を所望の幅にスリットした上で、リール状に巻き取られた状態で流通される。
なお、本実施形態に係る異方性導電膜1の接着工程における加熱温度は、150〜250℃が好ましい。この温度帯においては、異方性導電膜1の初期導通性、信頼性および粒子捕捉性が良好である。接着工程における加熱温度の範囲と、特定の導電粒子2とを用いた異方性導電膜1の性能の関係は明らかではない。しかし、バインダー樹脂3に用いられる潜在性硬化剤は、一般的に低温では硬化反応が不十分であり、硬化後の弾性率の増加が十分ではない。
また、非常に高温下で硬化を行った場合には、導電粒子2を捕捉する圧力に達する前に硬化反応が終了してしまう。さらに、核粒子として樹脂を用いた導電粒子2の接続時の力学的な弾性率は、接続時の温度によって変化する。すなわち、ジビニルベンゼンとエチルビニルベンゼンとを含む特異な架橋構造を有する核粒子を持つ導電粒子2を用いた場合、接着工程における加熱温度での導電粒子2とバインダー樹脂3との弾性率変化は温度によって独立した経過を経る。しかしながら、150〜250℃において電極間において加圧による捕捉がなされる場合には、最適な初期導通性、信頼性および粒子捕捉性が実現されると考えられる。
以上より、本実施形態によれば、転写工程の加熱温度における導電粒子2の貯蔵弾性率をバインダー樹脂3の貯蔵弾性率よりも高くすることによって、異方性導電膜1の転写不良を防止し、なおかつ電極の接続信頼性を向上させることができる。従来技術では、接続信頼性の確保のために低温および低圧で転写するため、電極間に異方性導電膜1を確実に転写できず、転写不良が発生する場合がある。その場合には、転写に時間がかかってしまう。それに対して、本実施形態に係る異方性導電膜1によれば、導電粒子2が高い貯蔵弾性率を有するため、異方性導電膜1の転写時の加圧に抵抗する。その結果、十分な膜厚を維持することができる。したがって、異方性導電膜1の膜厚が薄くなることによる異方性導電膜1の転写不良および電極間の接続不良の発生を防止することができる。
また、このことから、異方性導電膜1の高温および高圧での転写が可能となり、短時間で転写することができる。さらに、高温および高圧で転写しても十分な膜厚を維持することが可能になったことから、バインダー樹脂3の初期粘着性または100℃程度における流動性等の制限が不要となる。そのため、バインダー樹脂3の材料を選択する自由度が増す。したがって、低温硬化および高速硬化等の特性を有する異方性導電膜の実現を図ることができる。
このようにして製造された本実施形態に係る異方性導電膜1は、電極のピッチ幅が10〜数10μm程度の電極同士の接続用にも好適に用いることができる。そして、液晶ディスプレイおよびTCP(Tape Carrier Package)、TCPおよびフレキシブル基板(FPC)、FPCおよびプリント配線基板の接続、または、半導体シリコンチップを基板に直接実装するフリップチップ実装に好適に用いることができる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
<実施例>
図3は、以下に示す実施例に使用した導電性粒子の物性値を示す表で、図4は、実施例1〜12,比較例1〜4における接続抵抗及び絶縁抵抗の評価結果を示す表である。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これら実施例に限定されるものではない。また、以下において特に断りのない限り「部」は「重量部」を示し、「%」は「重量%」を示す。
〔物性値測定方法〕
実施例および比較例における各物性値は、以下に示す測定方法を用いた。
(ガラス転移点温度(Tg))
日本工業規格(JIS)K 7121−1987に準じて、示差走査熱量系(セイコー電子工業株式会社製のDSC220)を用いて試料(カルボキシル基含有樹脂または水溶性樹脂)1gを昇温速度10℃/minで加熱して示差走査熱量測定(DSC)曲線を測定した。得られたDSC曲線において、ガラス転移に相当する吸熱ピークの高温側のベースラインを低温側に延長した直線を引いた。当該直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)として求めた。
(軟化点(Tm))
流動特性評価装置(株式会社島津製作所製のフローテスターCFT−100C)を用いて試料(核粒子)1gを昇温速度6℃/minで加熱した。試料をダイ(ノズル口径1mm,ノズル長さ1mm)から押し出すように設定しておき、ダイから試料の半分量が流出したときの温度を軟化点(Tm)として求めた。
(体積平均粒子径(DL))
レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製のLA−920)を用いて測定を行った。試料(核粒子)をバッチ式セルに入れ、マグネチックスターラで十分に攪拌しながら、データ取り込み回数15回、屈折率1.16−0.00i(HeNe)および1.19−0.00i(W)で測定を行い、導電粒子の核粒子の体積平均粒子径(DL)を求めた。
(CV値)
CV値は変動係数(CV;coefficient of variation)であり、粒度分布の標準偏差(SD)を平均体積粒径DVで割って求める。
(貯蔵弾性率)
試料(バインダー樹脂または導電粒子)を成形機によって、室温25℃および1kgf/cmの圧力で30秒間プレスし、厚さ15mm程度および直径25mmの測定用サンプルを作成した。Bohlin社製のCSMストレスレオメータを用いて、70℃、110℃および130℃、ギャップ1.0mm、ひずみ3%、および角周波数30〜0.1rad/sの範囲内における貯蔵弾性率をAutostressで測定した。
(圧縮強度)
株式会社島津製作所製の島津微小圧縮試験機MCTM−500を用いて、当該試験機の針が試料(導電粒子)を押し潰し、試料がつぶれたときの応力値を圧縮強度として求めた。
(接続抵抗値)
日置電機株式会社製の3541RESISTANCE HiTESTERを用いて、接続抵抗値を測定した。
(絶縁抵抗値)
TOA社製のULTRA MEGOHMMETER SM−8210を用いて絶縁抵抗値を測定した。
〔 実施例1〕
(核粒子調整工程)
スチレンアクリル樹脂(三井化学製)100部、磁性材料ABL−205(チタン工業製)400部(体積換算で 樹脂:磁性材料=100:100)を2軸押出機で混練し、それを粗粉砕し、その50gをアニオン系界面活性剤のポリアクリル酸ナトリウム(日本乳化剤株式会社製のD−H14−N L−7403KN)20gと、水(20℃,導電率0.5μS/cm)430gとを混合した。得られた混合物を高圧ホモジナイザー(株式会社美粒製のNANO3000を改良したもの)のタンクに投入し、100℃および150MPaの条件下で、高圧ホモジナイザー法によって粉砕し、核粒子のスラリーを作製した。得られた核粒子の体積平均粒子径(DL)は3.5μmであった。
(洗浄工程)
得られた核粒子のスラリーに水(20℃,導電率0.5μS/cm)を加えて、固形分量が10重量%になるように調製し、タービン型攪拌翼(株式会社コクサン製のH−701FR)によって、攪拌翼回転速度300rpmで30分間攪拌した。この操作を、遠心分離によって攪拌後の混合物から分離される上澄み液の導電率が10μS/cm以下になるまで繰り返し行うことにより、樹脂微粒子のスラリー中の核粒子を洗浄した。
(分離工程)
洗浄工程後の核粒子を含有した混合物を遠心分離器(株式会社コクサン製のH−122)によって遠心分離し、核粒子を含む固形分を分取した。
(乾燥工程)
分離工程にて分取した固形分を凍結乾燥させ、核粒子を得た。
(メッキ工程)
得られた核粒子を再分散処理し、その2gを和光純薬工業株式会社製の塩化錫3g/Lおよび塩酸1ml/Lの水溶液1Lに浸漬させ、5分間攪拌処理した。固液分離後、固形分を和光純薬工業株式会社製の塩化パラジウム1g/Lおよび塩酸1ml/Lの水溶液1Lに浸漬させ、5分間攪拌処理してパラジウムを担持させた。その後、再び固液分離し、固形分を和光純薬工業株式会社製の塩化銀2g/Lおよびジメチルアミンボラン(和光純薬工業株式会社製のDMAB)1g/Lの溶液2Lに浸漬させ、50℃で2時間攪拌処理した。固液分離すると、スズ−銀によりメッキ被膜された導電粒子3.1gが得られた。
得られた導電粒子を電子顕微鏡で観察したところ、スズ−銀の膜厚がおよそ58nmであり、均一に被覆された導電粒子が観察された。
(フィルム化工程)
フェノキシ樹脂(InChem社製のPKHC,重量平均分子量43000)30重量部、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ株式会社製のAER2603)30重量部、マイクロカプセル型潜在性硬化剤と液状エポキシ樹脂との重量比が1:2である混合物(硬化温度65℃)40重量部、エポキシシランカップリング剤(ジーイー東芝シリコーン株式会社製)0.5重量部、および酢酸エチル150重量部を混合し、接着剤ワニスを得た。25体積部に相当する導電粒子を接着剤ワニスの固形分100体積部に添加し、混合して異方性導電膜のワニスを得た。これを離型処理した厚さ50μmのPET製の剥離シート上にブレードコーターを用いて塗布し、40℃、減圧下で10分間乾燥して溶剤を除去した。その後、異方性導電膜を30℃以下程度(加熱溶融温度)に加熱しながらローラで引っ張って延伸した。得られたフィルム状の異方性導電膜は、膜厚20μmであった。当該異方性導電膜に、離型処理した厚さ38μmのPET製のカバーシートで覆って接続テスト用サンプルを作成した。
なお、本接着剤ワニスに添加する導電粒子の体積は、接着剤ワニスの固形分および導電粒子の比重から算出して行った。接着剤ワニスの固形分についてはワニスを70℃で10分間乾燥して重量を測定して求めた。さらに、比重についてはルシャテリエ比重びんを用いて測定し、接着剤ワニスの固形分は1.2g/cmであり、導電粒子は3.2g/cmであった。
(回路接続評価(ITOガラス基板上におけるベアチップの接続))
金バンプが40μmのピッチで並んだ、大きさ25μm×100μmのベアチップと、ベアチップの接続ピッチに対応した接続ピッチを有する酸化インジウムスズ(ITO)ガラス基板とを準備した。異方性導電膜のカバーシートを剥がして、ITOガラス基板に70℃および5Kg/cmの圧力で2秒間熱圧着を行う転写工程を実行した。さらに剥離シートを剥がした後、フリップチップボンダー(東レエンジニアリング株式会社製のFC2000)を用いてベアチップの位置合わせをした。その後コンスタントヒート方式によって2秒間で180℃にまで加熱し、その後は一定温度で30Kg/cmの圧力で20秒間加熱および加圧し、ベアチップをITOガラス基板に接続する接着工程を実行した。本サンプルを、マイクロスコープ(株式会社キーエンス製のVHX−100)で観察した結果、12個の電極上の導電粒子数は、一電極当たり平均7個であった。
ITOガラス基板とベアチップとの接続抵抗、およびITOガラス基板の隣接する電極間の絶縁抵抗を測定した。
まず、ベアチップ側の隣接する2つの金バンプ同士を電気的に接続させた状態で、当該2つの金バンプの各々と対向する2つのITO電極からの電圧測定用および電流測定用の引出配線を用いて、引出配線間の抵抗を接続抵抗として求めた。この接続抵抗は、ITO電極と対向する金バンプとの間の抵抗を直列に二つ接続させたときの全抵抗を示している。
したがって、ITO電極と対向する金バンプとの間が導電粒子2により導通されている場合、接続抵抗は所望の第1範囲(例えば、40〜70Ω)の抵抗値を示すこととなり、導電粒子2により対向する電極間が導通されていない場合や、隣接する対向電極間で短絡が発生している場合、接続抵抗は所望の第1範囲から外れた抵抗値を示すこととなる。接続抵抗は所望の第1範囲よりも高い抵抗値を示すこととなる。電圧測定用の引出配線上に電圧測定用プローブを接触させ、電流測定用の引出配線上に電流測定用プローブを接触させて、4端針で接続抵抗を測定したところ、接続抵抗は、上記所望の第1範囲内である45.1Ωであった。
一方、ベアチップ側の隣接する2つの金バンプ同士を電気的に接続させない状態で、当該2つの金バンプの各々と対向する2つのITO電極からの電圧測定用および電流測定用の引出配線を用いて、引出配線間の抵抗を絶縁抵抗として求めた。この絶縁抵抗は、導電粒子2により導通されたITO電極と対向する金バンプとの組み合わせである対向電極と、当該対向電極に隣接する対向電極との間の抵抗値を示している。従って、隣接する電極間の絶縁性が確保されている場合、絶縁抵抗は所望の第2範囲(ここでは、10Ω以上)の抵抗値を示し、隣接する電極間の絶縁性が確保されていない場合、絶縁抵抗は第2範囲よりも低い抵抗値を示すこととなる。電圧測定用の引出配線上に電圧測定用プローブを接触させ、電流測定用の引出配線上に電流測定用プローブを接触させて、4端針で絶縁抵抗を測定したところ、絶縁抵抗は10Ω以上であり、隣接した電極間で短絡の発生はなかった。
また、本サンプルを85℃および湿度85%の高温高湿下で1000時間静置した後、上記と同様に接続抵抗および絶縁抵抗を測定した。その結果、接続抵抗は34.5Ωであり、絶縁抵抗は10Ω以上であった。このように、高温高湿下であっても、対向電極間の導通性、ならびに、隣接する電極間の絶縁性の劣化は見られなかった。
さらに、5℃で6か月間保存した異方性導電膜を用いて、上記と同様にITOガラス基板上においてベアチップを接続した。本サンプルを、マイクロスコープ(株式会社キーエンス製のVHX−100)で観察した結果、12個の電極上の導電粒子数は、一電極当たり平均5個であった。上記と同様に接続抵抗および絶縁抵抗を測定したところ、接続抵抗は53.2Ωであり、絶縁抵抗は10Ω以上であった。また、隣接した電極間で短絡の発生はなかった。本サンプルを85℃および湿度85%の高温高湿下で1000時間静置した後、上記と同様に接続抵抗および絶縁抵抗を測定した。その結果、接続抵抗は43.1Ωであり、絶縁抵抗は10Ω以上であった。このことから、長期間、実施例1の異方性導電膜を倉庫等で保管した後、実施例1の異方性導電膜を使用したとしても、特性に問題がないことが確認された。
(回路接続評価(ITOガラス基板上におけるFPCの接続))
幅100μmの金電極が200μmのピッチで並んだFPC試験基材(株式会社キョウデン製のAY001)とFPC試験基材の接続ピッチに対応した接続ピッチを有するITOガラス基板を準備した。幅2mmの異方性導電膜をカバーシートから剥がし、ITOガラス基板に70℃および5Kg/cmの圧力で2秒間熱圧着を行う転写工程を実行した。さらに剥離シートを剥がした後、FPC圧着装置(大崎エンジニアリング株式会社製のT1174)によって200℃および35Kg/cmの圧力で10秒間熱圧着して接続する接着工程を実行した。本サンプルを、マイクロスコープ(株式会社キーエンス製のVHX−100)で観察した結果、電極上の導電粒子数密度は2200個/mmであった。
ITOガラス基板とFPC試験基材との接続抵抗、およびFPC試験基材の隣接する電極間の絶縁抵抗を測定した。
まず、隣接する2つのITO電極同士を電気的に接続させた状態で、当該2つのITO電極の各々と対向する2つの金電極からの電圧測定用および電流測定用の引出配線を用いて、引出配線間の抵抗を接続抵抗として求めた。この接続抵抗は、ITO電極と対向する金電極との間の抵抗を直列に二つ接続させたときの全抵抗を示している。したがって、ITO電極と対向する金電極との間が導電粒子2により導通されている場合、接続抵抗は所望の第3範囲(例えば、50〜70mΩ)の抵抗値を示すこととなり、導電粒子2により対向する電極間が導通されていない場合や、隣接する対向電極間で短絡が発生している場合、接続抵抗は所望の第3範囲から外れた抵抗値を示すこととなる。
電圧測定用の引出配線上に電圧測定用プローブを接触させ、電流測定用の引出配線上に電流測定用プローブを接触させて、4端針で接続抵抗を測定したところ、接続抵抗は、上記所望の第3範囲内である56.7mΩであった。
一方、隣接する2つのITO電極同士を電気的に接続させない状態で、当該2つのITO電極の各々と対向する隣接した2つの金電極からの電圧測定用および電流測定用の引出配線を用いて、引出配線間の抵抗を絶縁抵抗として求めた。この絶縁抵抗は、隣接する2つの対向電極間の抵抗値を示している。従って、隣接する電極間の絶縁性が確保されている場合、絶縁抵抗は所望の第4範囲(ここでは、10Ω以上)の抵抗値を示し、隣接する電極間の絶縁性が確保されていない場合、絶縁抵抗は第4範囲よりも低い抵抗値を示すこととなる。
電圧測定用の引出配線上に電圧測定用プローブを接触させ、電流測定用の引出配線上に電流測定用プローブを接触させて、4端針で絶縁抵抗を測定したところ、絶縁抵抗は10Ω以上であり、隣接した電極間で短絡の発生はなかった。本サンプルを85℃および湿度85%の高温高湿下で1000時間静置した後、上記と同様に接続抵抗および絶縁抵抗を測定した。その結果、接続抵抗は49.1mΩであり、絶縁抵抗は10Ω以上であった。このように、高温高湿下であっても、対向電極間の導通性、ならびに、隣接する電極間の絶縁性の劣化は見られなかった。
さらに、5℃で6か月間保存した異方性導電膜を用いて、上記と同様にITOガラス基板上においてFPC試験基材を接続した。本サンプルを、マイクロスコープで観察した結果、接続面の導電粒子数密度は2200個/mmであった。上記と同様に接続抵抗および絶縁抵抗を測定したところ、接続抵抗は63mΩであり、絶縁抵抗は10Ω以上であった。また、隣接した電極間で短絡の発生はなかった。本サンプルを85℃および湿度85%の高温高湿下で1000時間静置した後、上記と同様に接続抵抗および絶縁抵抗を測定した。その結果、接続抵抗は53mΩであり、絶縁抵抗は10Ω以上であった。このことから、長期間、実施例1の異方性導電膜を倉庫等で保管した後、実施例1の異方性導電膜を使用したとしても、特性に問題がないことが確認された。
(実施例2〜12)
異方性導電膜に用いる核粒子またはバインダー樹脂等の重合度を調整することによって、図3に示すように、異なる物性値を有する異方性導電膜の実施例2から12および比較例1から4が得られた。
図3および図4に示されるように、貯蔵弾性率比が1より大きく、かつ、10以下を満たすとともに、導電粒子2の体積平均粒子径(Dv)が0.5〜10μmであれば、その他のパラメータの値に拘わらず、接続抵抗及び絶縁抵抗が所望の範囲内の抵抗値となることが確認された。
(比較例1)
比較例1では、図3に示すとおり、貯蔵弾性率比が1以下である0.6であった。すなわち、導電粒子の貯蔵弾性率よりもバインダー樹脂の貯蔵弾性率の方が高い。また、導電粒子の貯蔵弾性率が低いことに関連して、導電粒子の圧縮強度も相対的に低い。
そして、比較例1では、接続抵抗が所望の範囲よりも低く、絶縁抵抗も所望の範囲よりも低いことが確認された。これは、比較例1では、導電粒子の圧縮強度および貯蔵弾性率が低いため、転写工程において、導電粒子が圧延方向(異方性導電膜の面方向)に楕円状に延ばされ、変形しやすくなるとともに、異方性導電膜の流動性が高くなり、転写工程後の異方性導電膜の膜厚が薄くなってしまうためである。これにより、異方性導電膜中の導電粒子は、圧延方向の導電粒子との距離が小さくなり、絶縁性が低下してしまう。その結果、絶縁抵抗が低くなるとともに、隣接する電極間での短絡が生じているため、接続抵抗も所望の範囲より低くなってしまう。
(比較例2)
比較例2では、図3に示すとおり、貯蔵弾性率比が15.2となり、10を超えている。そして、貯蔵弾性率比が高いことに関連して、導電粒子の圧縮強度が31kgf/mmとなり、20kgf/mmを超えている。そして、接続抵抗が所望の範囲よりも高いことが確認された。
これは、導電粒子の圧縮強度および貯蔵弾性率が高いため、導電粒子は圧延方向に押し潰されず、楕円状に延ばされないため、隣接する導電粒子同士が電極方向(対向する電極間を結ぶ方向)に融着凝集しないことに起因する。電極方向に融着凝集しないために、電極方向の導電粒子間の導電性が悪く、接続抵抗が高くなる。
(比較例3,4)
比較例3では、図3に示すとおり、導電粒子のメッキ厚が0nmであった。したがって、導電粒子には金属または金属酸化物が被膜されていないため、導電性を有していない。このことから、電極方向に導電しないため、図4に示すとおり、他の実施例と比較して接続抵抗が高かった。
また、比較例4では、磁性材料割合が少なく導電性を十分に発揮することできず、接続抵抗が高くなった。
本発明の異方性導電膜は、液晶用の基板部材とキャリアテープとの接続に用いるものに限らず、例えば液晶用基板部材とプリント配線基板との接続、液晶用基板部材とベアチップとの接続、ベアチップとプリント配線基板との接続、またはプリント配線基板とキャリアテープとの接続等にも用いることができる。
1…異方性導電膜、2…導電粒子(導電性粒子)、3…バインダー樹脂(絶縁性バインダー樹脂)。

Claims (6)

  1. 第一の電極上に加熱及び加圧により熱圧着され、さらに前記第一の電極と該第一の電極に対向する第二の電極との間に配置された状態で熱圧着することによって、前記第一の電極および前記第二の電極の間を電気的に接続する異方性導電膜であって、
    絶縁性バインダー樹脂と、該絶縁性バインダー樹脂中に分散された導電性粒子とを含み、前記導電性粒子は、0.5μm以上10μm以下の体積平均粒径を有しており、且つ前記導電性粒子はコア粒子表面に金属メッキを施したものであり、前記コア粒子としては熱可塑性樹脂に磁性材料を分散させたものであり、前記熱圧着時の加熱温度において、前記導電性粒子の貯蔵弾性率は、前記絶縁性バインダー樹脂の貯蔵弾性率よりも高く、かつ、前記絶縁性バインダー樹脂の貯蔵弾性率の10.0倍以下である異方性導電膜。
  2. 前記導電性粒子の圧縮強度は、0.3kgf/mm以上20kgf/mm以下である請求項1に記載の異方性導電膜。
  3. 前記絶縁性バインダー樹脂は、熱硬化性樹脂である請求項1または2に記載の異方性導電膜。
  4. 前記導電性粒子は、3次元架橋構造を有するものであり、表面に金属または金属酸化物を被膜したものである請求項1〜3のいずれか1に記載の異方性導電膜。
  5. 前記導電性粒子の貯蔵弾性率は、前記絶縁性バインダー樹脂の貯蔵弾性率の2.0倍以上である請求項1〜4のいずれか1に記載の異方性導電膜。
  6. 第一の電極上に加熱及び加圧により転写され、前記第一の電極と該第一の電極に対向する第二の電極との間に配置された状態で熱圧着することによって、前記第一の電極および前記第二の電極の間を電気的に接続する異方性導電膜の製造方法であって、
    絶縁性バインダー樹脂中に、0.5μm以上10μm以下の体積平均粒径を有する導電性粒子を分散する工程と、
    前記導電性粒子を分散させた前記絶縁性バインダー樹脂を加熱溶融温度で延伸して、膜状にする工程とを含み、
    前記転写時の加熱温度において、前記導電性粒子の貯蔵弾性率は、前記絶縁性バインダー樹脂の貯蔵弾性率よりも高く、かつ、前記絶縁性バインダー樹脂の貯蔵弾性率の10.0倍以下であることを特徴とする異方性導電膜の製造方法。
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