以下、本発明を詳細に説明する。
以下、図面を参照しつつ本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1に、本発明の一実施形態に係る接続構造体の製造方法により得られた接続構造体を模式的に部分切欠正面断面図で示す。
図1に示す接続構造体1は、第1の接続対象部材2と、第2の接続対象部材4と、第1,第2の接続対象部材2,4を接続している硬化物層3とを備える。硬化物層3は、第1,第2の接続対象部材2,4を接続している接続部である。硬化物層3は、熱硬化性成分と導電性粒子31とを含む異方性導電材料(異方性導電材料層)を、加熱して本硬化させることにより形成されている。上記異方性導電材料は、複数の導電性粒子31を含む。
第1の接続対象部材2は上面2a(表面)に、複数の電極2bを有する。第2の接続対象部材4は下面4a(表面)に、複数の電極4bを有する。電極2bと電極4bとが、1つ又は複数の導電性粒子31により電気的に接続されている。
接続構造体1では、第1の接続対象部材2としてガラス基板が用いられており、第2の接続対象部材4として半導体チップが用いられている。本発明に係る接続構造体の製造方法及び本発明に係る異方性導電材料では、第2の接続対象部材及び第1の接続対象部材として、半導体チップとガラス基板とが用いられる。
図5に示す導電性粒子31は、基材粒子12と、基材粒子12の表面上に配置されたニッケル導電層32とを備える。ニッケル導電層32の内表面側の厚み1/2の領域R1におけるリンの含有量の平均値は、ニッケル導電層32の外表面側の厚み1/2の領域R2におけるリンの含有量の平均値よりも高い。本発明で用いられる導電性粒子において、ニッケル導電層におけるリンの含有量は、例えば、図7,8に示す濃度分布を有する。
上記ニッケル導電層の内表面側の厚み1/2の領域R1におけるリンの含有量の平均値が、上記ニッケル導電層の外表面側の厚み1/2の領域R2におけるリンの含有量の平均値よりも高いことによって、ニッケル導電層の外表面側部分のリン濃度が比較的低くなる。このため、ニッケル導電層は、外表面側部分において、緻密な結晶構造を有する。このため、接続構造体の作製時に、異方性導電材料中の導電性粒子を除く成分を導電性粒子と電極との間から排除して、導電性粒子と電極とを効果的に接触させることができる。さらに、電極に導電性粒子が押し込まれた凹部が形成されやすいために、導電性粒子が上下の電極間から意図しない領域に流出し難くなる。
上記ニッケル導電層の内表面側の厚み1/2の領域R1におけるリンの含有量の平均値が、上記ニッケル導電層の外表面側の厚み1/2の領域R2におけるリンの含有量の平均値よりも高いことによって、ニッケル導電層の内表面側部分のリン濃度が比較的高くなる。このため、ニッケル導電層は、内表面側部分において、非結晶構造を有するか又はさほど緻密ではない結晶構造を有する。このため、ニッケル導電層は柔軟に変形し、ニッケル導電層が破壊せずに適度に変形することで、ニッケル導電層の導通性を保ちながら、導電性粒子と電極との接触面積を大きくすることができる。
リン濃度が比較的低いニッケル導電層部分に由来して電極に凹部を形成するとともに、リン濃度が比較的高いニッケル導電層部分に由来してニッケル導電層が適度に変形することで、上下の電極間に配置された導電性粒子が意図しない領域に移動しにくくなり、かつ導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の導通性及び導通信頼性が高くなる。
さらに、上記硬化物層は、上記異方性導電材料を加熱して本硬化させることにより形成されている。本硬化前の上記異方性導電材料(異方性導電材料層)の25℃での貯蔵弾性率G’25は、1×105Pa以上、1×107Pa以下である。本硬化前の上記異方性導電材料(異方性導電材料層)を25℃から250℃まで加熱したときの最低損失弾性率G’’minは、5×102Pa以上、1×105Pa以下である。
上記貯蔵弾性率G’25及び上記最低損失弾性率G’’minが上記下限以上及び上記上限以下であると、接続構造体の作製時に圧着ヘッドを比較的高速で降下させる圧着初期において、圧着ヘッドの接触に伴う衝撃により電極に導電性粒子が押し込まれた凹部を形成でき、更に上下の電極間に導電性粒子を多く存在させたままで、異方性導電材料中の導電性粒子を除く成分を導電性粒子と電極との間から排除でき、硬化物層に空隙(ボイド)が少ない接続構造体を得ることができる。また、上記貯蔵弾性率G’25及び上記最低損失弾性率G’’minが上記下限以上及び上記上限以下であると、圧着後期においても、上下の電極間の導電性粒子を導電層が破壊することなく変形させることができ、更に上下の電極間に導電性粒子を多く存在させたままで、異方性導電材料中の導電性粒子を除く成分を導電性粒子と電極との間から排除でき、硬化物層に空隙(ボイド)が少ない接続構造体を得ることができる。
従って、特定の上記導電性粒子を用い、かつ本硬化前の異方性導電材料の上記貯蔵弾性率G’25及び上記最低損失弾性率G’’minが上記下限以上及び上記上限以下であると、半導体チップとガラス基板とが接続された接続構造体における電極間の導通性を高くし、かつ導通信頼性を高めることができる。さらに、接続構造体の作製時に、異方性導電材料層中の導電性粒子を除く成分を導電性粒子と電極との間から排除して、導電性粒子と電極とを効果的に接触させることができる。さらに、電極に導電性粒子が押し込まれた凹部を形成し、更に導電層を適度に変形させることで、上下の電極間に導電性粒子を多く存在させることができる。図6に示すように、導電性粒子31が押し込まれることによって、電極2bに凹部2cを形成することも可能である。該凹部は圧痕とも呼ばれる。なお、電極4bに凹部を形成してもよい。
本硬化前の上記異方性導電材料の25℃での貯蔵弾性率G’25は、好ましくは5×105Pa以上、好ましくは5×106Pa以下、より好ましくは1×106Pa以下である。上記貯蔵弾性率G’25が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性がより一層高くなり、かつ硬化物層に空隙(ボイド)がより一層生じ難くなる。
本硬化前の上記異方性導電材料を25℃から250℃まで加熱したときの最低損失弾性率G’’minは、好ましくは1×103Pa以上、より好ましくは5×103Pa以上、好ましくは5×104Pa以下である。上記最低損失弾性率G’’minが上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性がより一層高くなり、かつ硬化物層に空隙(ボイド)がより一層生じ難くなる。
なお、上記異方性導電材料が異方性導電ペーストである場合に、上記硬化物層は、上記異方性導電材料をBステージ化せずに、加熱して本硬化させて形成されていてもよい。上記異方性導電材料は、異方性導電材料を加熱して本硬化させる用途に用いられてもよい。
また、上記硬化物層は、熱の付与又は光の照射により硬化を進行させて、Bステージ化された異方性導電材料を形成した後、Bステージ化された異方性導電材料を加熱して本硬化させて形成されていてもよい。上記異方性導電材料は、熱の付与又は光の照射により硬化を進行させて、Bステージ化された異方性導電材料を形成した後、Bステージ化された異方性導電材料を加熱して本硬化させる用途に用いられてもよい。この場合には、上記25℃での貯蔵弾性率G’25は、Bステージ化された異方性導電材料の25℃での貯蔵弾性率G’25であり、上記25℃から250℃まで加熱したときの最低損失弾性率G’’minは、Bステージ化された異方性導電材料を25℃から250℃まで加熱したときの最低損失弾性率G’’minである。上記異方性導電材料層に光を照射する場合には、上記異方性導電材料として、熱硬化性成分と光硬化性成分と導電性粒子とを含む異方性導電材料が用いられる。すなわち、光の照射により硬化を進行させる異方性導電材料である場合には、異方性導電材料は、熱硬化性成分と光硬化性成分と導電性粒子とを含む。
さらに、上記硬化物層は、光の照射により硬化を進行させて、Bステージ化された異方性導電材料を形成した後、Bステージ化された異方性導電材料を加熱して本硬化させて形成されていてもよい。上記異方性導電材料は、光の照射により硬化を進行させて、Bステージ化された異方性導電材料を形成した後、Bステージ化された異方性導電材料を加熱して本硬化させる用途に用いられてもよい。この場合には、上記25℃での貯蔵弾性率G’25は、Bステージ化された異方性導電材料の25℃での貯蔵弾性率G’25であり、上記25℃から250℃まで加熱したときの最低損失弾性率G’’minは、Bステージ化された異方性導電材料を25℃から250℃まで加熱したときの最低損失弾性率G’’minである。
なお、上記異方性導電材料が異方性導電フィルムである場合には、該異方性導電フィルム自体がBステージフィルムである。異方性導電フィルムは、本硬化前の異方性導電材料として用いることができる。熱硬化性成分、導電性粒子及び他の異方性導電フィルムの構成材料と溶剤とを混合し、支持フィルム上に塗布し、乾燥させることで、Bステージフィルムを得ることができる。なお、多層構造の異方性導電フィルムを用いる場合には、上記貯蔵弾性率G’25及び上記最低損失弾性率G’’minは、多層構造の異方性導電フィルム全体における弾性率を意味する。
上記貯蔵弾性率G’25及び上記最低損失弾性率G’’minは、回転型動的粘弾性装置を用いて測定される。上記貯蔵弾性率G’25を測定する回転型動的粘弾性装置として、レオロジカ インスツルメンツ社製「VAR−100」等が用いられる。上記貯蔵弾性率G’25は、周波数1Hz、歪み1.0E−2及び測定温度25℃の条件で測定される。上記最低損失弾性率G’’minは、周波数1Hz、歪み1.0E−2の条件で、かつ25℃から250℃まで加熱する条件で測定される。
なお、上記最低損失弾性率G’’minを加熱する温度範囲を、25℃から250℃までとしたのは、異方性導電材料を加熱して本硬化させる際の加熱温度が、好ましくは160℃以上、好ましくは250℃以下であるためである。
図1に示す接続構造体1は、例えば、図2(a)〜(c)に示す各工程を経て、以下のようにして得ることができる。ここでは、上記異方性導電材料として、熱硬化性成分と導電性粒子31とに加えて、光硬化性成分をさらに含む異方性導電材料を用いた場合の接続構造体1の製造方法を具体的に説明する。
図2(a)に示すように、電極2bを上面2aに有する第1の接続対象部材2を用意する。次に、第1の接続対象部材2の上面2aに、熱硬化性成分と光硬化性成分と導電性粒子31とを含む異方性導電材料を用いて、第1の接続対象部材2の上面2aに異方性導電材料層3Aを配置する。このとき、電極2b上に、1つ又は複数の導電性粒子31が配置されていることが好ましい。上記異方性導電材料として異方性導電ペーストを用いる場合には、異方性導電ペーストの配置は、異方性導電ペーストの塗布により行われる。また、上記異方性導電材料層は、異方性導電ペースト層になる。
次に、異方性導電材料層3Aに光を照射することにより、異方性導電材料層3Aの硬化を進行させる。異方性導電材料層3Aの硬化を進行させて、異方性導電材料層3AをBステージ化する。図2(b)に示すように、異方性導電材料層3AのBステージ化により、第1の接続対象部材2の上面2aに、Bステージ化された異方性導電材料層3Bを形成する。このとき、後に本硬化されるBステージ化された異方性導電材料層3B、すなわち本硬化前の異方性導電材料層3Bの25℃での貯蔵弾性率G’25を、1×105Pa以上、1×107Pa以下にする。さらに、後に本硬化されるBステージ化された異方性導電材料層3B、すなわち本硬化前の異方性導電材料層3Bを25℃から250℃まで加熱したときの最低損失弾性率G’’minを、5×102Pa以上、1×105Pa以下にする。
第1の接続対象部材2の上面2aに、異方性導電材料を配置しながら、異方性導電材料層3Aに光を照射することが好ましい。さらに、第1の接続対象部材2の上面2aへの異方性導電材料の配置と同時に、又は配置の直後に、異方性導電材料層3Aに光を照射することも好ましい。配置と光の照射とが上記のように行われた場合には、異方性導電材料層の流動をより一層抑制できる。このため、得られた接続構造体1における導通信頼性をより一層高めることができる。第1の接続対象部材2の上面2aに異方性導電材料を配置してから光を照射するまでの時間は、0秒以上、好ましくは3秒以下、より好ましくは2秒以下である。
光を照射する際に用いる光源は特に限定されない。該光源としては、例えば、波長420nm以下に充分な発光分布を有する光源や、波長420nm以下の特定波長に強い発光を有する光源等が挙げられる。波長420nm以下に充分な発光分布を有する光源の具体例としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、及びメタルハライドランプ等が挙げられる。また、波長420nm以下の特定波長に強い発光を有する光源の具体例としては、LEDランプ等が挙げられる。なかでもLEDランプが好ましい。LEDランプは、被照射物自身の発熱が非常に少なく、発熱による異方導電性材料の硬化を防ぐことができる。
光の照射により異方性導電材料層3AをBステージ化させるために、異方性導電材料層3Aの硬化を適度に進行させるための光照射強度は、例えば、波長365nmにピークを持つLEDランプ光源を用いる場合は、好ましくは100〜3000mW/cm2程度である。また、異方性導電材料層3Aの硬化を適度に進行させるための光の照射エネルギーは、好ましくは500mJ/cm2以上、より好ましくは2000mJ/cm2以上、好ましくは100000mJ/cm2以下、より好ましくは20000mJ/cm2以下である。
なお、光の照射により異方性導電材料層をBステージ化せずに、熱の付与により異方性導電材料層をBステージ化してもよい。異方性導電材料層に熱を付与することにより硬化を進行させて、異方性導電材料層をBステージ化する場合には、異方性導電材料層を充分にBステージ化させるための加熱温度は好ましくは80℃以上、好ましくは130℃以下、より好ましくは110℃以下である。光の照射ではなく熱の付与により異方性導電材料層をBステージ化した場合でも、Bステージされた異方性導電材料層の上記貯蔵弾性率G’25及び上記最低損失弾性率G’’minを上記下限以上及び上記上限以下であれば、電極間の導通信頼性が高くなり、かつ硬化物層に空隙(ボイド)が生じ難くなる。
次に、図2(c)に示すように、Bステージ化された異方性導電材料層3Bの上面3aに、第2の接続対象部材4を積層する。第1の接続対象部材2の上面2aの電極2bと、第2の接続対象部材4の下面4aの電極4bとが対向するように、第2の接続対象部材4を積層する。なお、第2の接続対象部材4の積層の後に、異方性導電材料層3AをBステージ化させるために光を照射してもよく、熱を付与してもよい。
さらに、第2の接続対象部材4の積層の際に、Bステージ化された異方性導電材料層3Bを加熱して本硬化させ、硬化物層3を形成する。ただし、第2の接続対象部材4の積層の前に、異方性導電材料層3Bを加熱してもよい。第2の接続対象部材4の積層の後に、異方性導電材料層3Bに加熱して本硬化させることが好ましく、第2の接続対象部材4の積層と同時に、異方性導電材料層3Bを加熱して本硬化させることがより好ましい。
熱の付与により異方性導電材料層3Bを硬化させるために、異方性導電材料層3Bを充分に硬化させるための加熱温度は好ましくは160℃以上、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下である。
なお、異方性導電材料層3Aに光を照射せずに、異方性導電材料層3AをBステージ化しない場合には、異方性導電材料層3Aの上面3aに第2の接続対象部材4を積層し、異方性導電材料層3Aを加熱して、本硬化させればよい。
異方性導電材料層3Bを硬化させる際に、加圧することが好ましい。加圧によって電極2bと電極4bとで導電性粒子31を圧縮することにより、電極2b,4bと導電性粒子31との接触面積を大きくすることができる。このため、導通信頼性を高めることができる。
異方性導電材料層3Bを硬化させることにより、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材4とが、硬化物層3を介して接続される。また、電極2bと電極4bとが、導電性粒子31を介して電気的に接続される。このようにして、図1に示す接続構造体1を得ることができる。本実施形態では、光硬化と熱硬化とが併用されているため、異方性導電材料を短時間で硬化させることができる。
さらに、接続構造体の作製時に、上記異方性導電材料を熱の付与又は光の照射によりBステージ化した後に、本硬化させることで、第1の接続対象部材上に配置された異方性導電材料層に含まれている導電性粒子が、硬化段階で大きく流動し難くなる。従って、導電性粒子が所定の領域に配置されやすくなる。具体的には、接続されるべき上下の電極間に導電性粒子を配置することができ、接続されてはならない隣接する電極間が複数の導電性粒子を介して電気的に接続されるのを抑制できる。このため、接続構造体における電極間の導通信頼性を高めることができる。
本発明に係る接続構造体の製造方法及び本発明に係る異方性導電材料は、半導体チップとガラス基板との接続(COG(Chip on Glass))に関する。本発明に係る接続構造体の製造方法及び本発明に係る異方性導電材料では、上記第2の接続対象部材及び上記第1の接続対象部材として、半導体チップとガラス基板とが用いられる。COG用途では、L/Sが比較的狭ピッチであることから、異方導電性材料を加熱したときの流動性が不足すると、電極ライン間に異方導電性材料が十分充填されないため、電極間の導通信頼性、及び硬化物層におけるボイドの発生が問題となることが多い。これに対して、本発明に係る接続構造体の製造方法及び本発明に係る異方性導電材料により、COG用途において、電極間の導通信頼性を効果的に高めることができ、硬化物層におけるボイドの発生を効果的に抑制できる。
上記異方性導電材料は、ペースト状の異方性導電ペーストであってもよく、フィルム状の異方性導電フィルムであってもよい。異方性導電材料が異方性導電フィルムである場合、該導電性粒子を含む異方性導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されてもよい。
異方性導電ペーストを用いる場合には、異方性導電フィルムを用いる場合と比較して、導電性粒子が流動しやすく、導通信頼性が低くなる傾向がある。本発明に係る接続構造体の製造方法及び本発明に係る異方性導電材料により、異方性導電ペーストを用いたとしても、導通信頼性を十分に高めることができる。
上記異方性導電材料は、熱硬化性成分と導電性粒子とを含む。該熱硬化性成分は、熱硬化性化合物と熱硬化剤とを含有することが好ましい。該熱硬化剤は、熱アニオン硬化剤であることが好ましい。また、上記異方性導電材料は、熱硬化性成分と導電性粒子とに加えて、光硬化性成分を更に含むことが好ましい。該光硬化性成分は、光硬化性化合物と光硬化開始剤とを含むことが好ましい。該光硬化開始剤は、光ラジカル開始剤であることが好ましい。上記異方性導電材料は、硬化性化合物として、熱硬化性化合物を含み、光硬化性化合物を更に含むことが好ましい。上記熱硬化性化合物は、エポキシ基又はチイラン基を有する化合物であることが好ましい。上記光硬化性化合物は(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることが好ましい。
エポキシ基又はチイラン基を有する化合物と、(メタ)アクリロイル基を有する化合物と、熱硬化剤と、光硬化開始剤と、導電性粒子とを含む異方性導電材料の使用によって、上記貯蔵弾性率G’25及び最低損失弾性率G’’minを好ましい値に容易に制御でき、接続構造体における電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。さらに、エポキシ基又はチイラン基を有する化合物と、(メタ)アクリロイル基を有する化合物と、熱硬化剤と、光ラジカル開始剤と、導電性粒子とを含む異方性導電材料の使用によって、上記貯蔵弾性率G’25及び最低損失弾性率G’’minを好ましい値により一層容易に制御でき、接続構造体における電極間の導通信頼性を更に一層高めることができる。さらに、エポキシ基又はチイラン基を有する化合物と、(メタ)アクリロイル基を有する化合物と、熱アニオン硬化剤と、光ラジカル開始剤と、導電性粒子とを含む異方性導電材料の使用によって、上記貯蔵弾性率G’25及び最低損失弾性率G’’minを好ましい値により一層容易に制御でき、接続構造体における電極間の導通信頼性をより一層効果的に高めることができる。
上記貯蔵弾性率G’25及び最低損失弾性率G’’minを好ましい値に容易に制御し、接続構造体における電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記異方性導電材料は、重量平均分子量が500以上、5000以下である硬化性化合物を含むことが好ましい。
以下、上記異方性導電材料に含まれる各成分、及び含まれることが好ましい各成分の詳細を説明する。
[導電性粒子]
本発明では、図3〜5に示すような導電性粒子を用いることができる。但し、図3〜5に示す導電性粒子以外の導電性粒子を用いてもよい。
図3に示す導電性粒子11は、基材粒子12と、ニッケル導電層13(第1の導電層)と、複数の芯物質14と、複数の絶縁物質15とを有する。ニッケル導電層13は、基材粒子12の表面上に配置されている。導電性粒子11は、基材粒子12の表面がニッケル導電層13により被覆された被覆粒子である。
導電性粒子11は導電性の表面に、複数の突起11aを有する。ニッケル導電層13は外表面に、複数の突起13aを有する。複数の芯物質14が、基材粒子12の表面上に配置されている。複数の芯物質14はニッケル導電層13内に埋め込まれている。芯物質14は、突起11a,13aの内側に配置されている。ニッケル導電層13は、複数の芯物質14を被覆している。複数の芯物質14によりニッケル導電層13の外表面が隆起されており、突起11a,13aが形成されている。
導電性粒子11は、ニッケル導電層13の外表面上に配置された絶縁物質15を有する。ニッケル導電層13の外表面の少なくとも一部の領域が、絶縁物質15により被覆されている。絶縁物質15は絶縁性を有する材料により形成されており、絶縁性粒子である。このように、上記導電性粒子は、ニッケル導電層又は後述する第2の導電層の外表面上に配置された絶縁物質を有していてもよい。但し、上記導電性粒子は、絶縁物質を必ずしも有していなくてもよい。
図4に示す導電性粒子21は、基材粒子12と、ニッケル導電層13(第1の導電層)と、第2の導電層22と、複数の芯物質14と、複数の絶縁物質15とを有する。
導電性粒子11と導電性粒子21とでは、導電層のみが異なっている。すなわち、導電性粒子11では、1層構造の導電層が形成されているのに対し、導電性粒子21では、2層構造のニッケル導電層13及び第2の導電層22が形成されている。
ニッケル導電層13は、基材粒子12の表面上に配置されている。基材粒子12と第2の導電層22との間に、ニッケル導電層13が配置されている。従って、基材粒子12の表面上にニッケル導電層13が配置されており、ニッケル導電層13の表面上に第2の導電層22が配置されている。第2の導電層22は外表面に、複数の突起22aを有する。導電性粒子21は導電性の表面に、複数の突起21aを有する。
図5に示す導電性粒子31は、基材粒子12と、ニッケル導電層32とを有する。ニッケル導電層32は、基材粒子12の表面上に配置されている。
導電性粒子31は、芯物質を有さない。導電性粒子31は表面に導電性の突起を有さない。導電性粒子31は球状である。ニッケル導電層32は表面に突起を有さない。このように、上記導電性粒子は導電性の突起を有していなくてもよく、球状であってもよい。また、導電性粒子31は、絶縁物質を有さない。但し、導電性粒子31は、ニッケル導電層32の表面上に配置された絶縁物質を有していてもよい。
上記導電性粒子は、基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置されており、かつニッケルとリンとを含むニッケル導電層を備える。上記ニッケル導電層の内表面側の厚み1/2の領域R1におけるリンの含有量の平均値は、上記ニッケル導電層の外表面側の厚み1/2の領域R2におけるリンの含有量の平均値よりも高い。
電極間の導通性をより一層高くし、電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記ニッケル導電層全体におけるリンの含有量の平均値は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、更に好ましくは13重量%以下である。上記リンの含有量の平均値が上記下限以上であると、導電層の磁性が強くなりすぎず、凝集が発生し難くなり、電極間のリークがより一層生じ難くなり、更にめっき工程が効率的に進行しやすくなって、導電性粒子の生産性がより一層高くなる。上記リンの含有量の平均値が上記上限以下であると、導電層の抵抗値がより一層低くなり、電極間の導通性がより一層高くなる。上記ニッケル導電層全体におけるリンの含有量の平均値は、5重量%未満であってもよい。
上記導電性粒子は、上記ニッケル導電層全体におけるリンの含有量の平均値が5重量%以上、20重量%以下である導電性粒子であるか、又は上記ニッケル導電層全体におけるリンの含有量の平均値が0.1重量%以上、5重量%未満である導電性粒子であることが好ましく、上記ニッケル導電層全体におけるリンの含有量の平均値が5重量%以上、20重量%以下である導電性粒子であることがより好ましい。上記導電性粒子は、上記ニッケル導電層全体におけるリンの含有量の平均値が0.1重量%以上、5重量%未満である導電性粒子であってもよい。
電極間の導通性をより一層高くし、電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記ニッケル導電層全体の厚みをXとし、上記ニッケル導電層全体におけるリンの含有量の平均値をCとしたときに、上記ニッケル導電層におけるリンの含有量がC以上である上記ニッケル導電層の厚みは好ましくは0.4X以上、より好ましくは0.5X以上、好ましくは0.95X以下、より好ましくは0.9X以下、更に好ましくは0.8X以下である。また、上記ニッケル導電層におけるリンの含有量がC以上である上記ニッケル導電層の厚みは、0.5X未満であってもよく、0.4X未満であってもよい。
上記導電性粒子は、上記ニッケル導電層におけるリンの含有量がC以上である上記ニッケル導電層の厚みが0.4X以上、0.95X以下である導電性粒子であるか、又は、上記ニッケル導電層におけるリンの含有量がC以上である上記ニッケル導電層の厚みが0.1X以上、0.4X未満である導電性粒子であることが好ましく、上記ニッケル導電層におけるリンの含有量がC以上である上記ニッケル導電層の厚みが0.4X以上、0.95X以下である導電性粒子であることがより好ましい。上記導電性粒子は、上記ニッケル導電層におけるリンの含有量がC以上である上記ニッケル導電層の厚みが0.1X以上、0.4X未満である導電性粒子であってもよい。
上記ニッケル導電層におけるニッケル及びリンなどの原子の含有量の測定方法は、既知の種々の分析法を用いることができ特に限定されない。例えば、集束イオンビームを用いて、得られた導電性粒子の薄膜切片を作製し、透過型電子顕微鏡FE−TEM(日本電子社製「JEM−2010FEF」)を用いて、エネルギー分散型X線分析装置(EDS)により、ニッケル及びリンの各含有量を測定する方法が挙げられる。
ニッケル及びリンの含有量の他の測定方法としては、吸光分析法又はスペクトル分析法等が挙げられる。上記吸光分析法では、フレーム吸光光度計及び電気加熱炉吸光光度計等を使用可能である。上記スペクトル分析法としては、プラズマ発光分析法及びプラズマイオン源質量分析法等が挙げられる。ニッケル及びリンの含有量を測定する際には、ICP発光分析装置を用いてもよい。ICP発光分析装置の市販品としては、HORIBA社製のICP発光分析装置等が挙げられる。
上記ニッケル導電層の厚みは、好ましくは50nm以上、より好ましくは75nm以上、好ましくは500nm以下、より好ましくは200nm以下、更に好ましくは150nm以下である。上記ニッケル導電層の厚みが上記下限以上であると、導電層が適度に硬くなり、電極間の導通性がより一層高くなる。上記導電層の厚みが上記上限以下であると、導電層が硬くなりすぎず、導電性粒子と電極との接触面積がより一層大きくなる。
基材粒子の表面上にニッケル導電層を形成する方法としては特に限定されず、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを基材粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。上記物理的蒸着による方法としては、イオンプレーティング及びイオンスパッタリングによる方法が挙げられる。中でも無電解めっきによる方法が好ましい。
無電解めっきにより形成する方法では、一般的にエッチング工程と、触媒化工程と、無電解めっき工程とが行われる。上記エッチング工程は、基材粒子の表面に微小な凹凸を形成する工程である。上記エッチング工程は、めっきにより形成されるニッケル導電層の密着を良好にするために行われる。上記エッチングを行う方法としては特に限定されず、例えば、濃塩酸、濃硫酸、クロム酸、硫酸−クロム酸混液、過マンガン酸溶液、水酸化ナトリウム溶液及び水酸化カリウム溶液等を用いる方法等が挙げられる。
上記触媒化工程では、エッチング工程でエッチングされた基材粒子の表面に無電解めっきによりめっき層を形成するための起点になる触媒を基材粒子の表面に形成させる。上記触媒を基材粒子の表面に形成させる方法としては、例えば、塩化パラジウムと塩化スズとを含む溶液に、基材粒子を添加した後、酸溶液又はアルカリ溶液により基材粒子の表面を活性化させて、基材粒子の表面にパラジウムを析出させる方法、並びに硫酸パラジウムとアミノピリジンとを含有する溶液に、基材粒子を添加した後、還元剤を含む溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、基材粒子の表面にパラジウムを析出させる方法等が挙げられる。
上記無電解めっき工程は、触媒化工程において触媒が付与された基材粒子を、還元剤の存在下でニッケルイオンを含有する溶液中に浸漬し、触媒を起点として基材粒子の表面にニッケルを析出させる工程である。
上記ニッケル導電層はニッケルとリンとを含むため、上記還元剤として、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム及び次亜酸アンモニウム等のリン含有還元剤が好適に用いられる。ただし、上記還元剤として、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム及び水素化ホウ素カリウム等のボロン含有還元剤を用いてもよい。
上記無電解めっき工程では、ニッケル塩及び還元剤を含むニッケルめっき浴が用いられる。ニッケルめっき浴中に基材粒子を浸漬することにより、触媒が表面に形成された基材粒子の表面に、ニッケルが析出する。この結果、ニッケルとリンとを含むニッケル導電層が形成される。
上記ニッケル導電層におけるニッケル及びリンの含有量を制御する方法としては、例えば、無電解ニッケルめっきによりニッケル導電層を形成する際に、ニッケルめっき液のpHを制御する方法、並びに無電解ニッケルめっきによりニッケル導電層を形成する際に、リン含有還元剤の濃度を制御する方法等が挙げられる。また、ニッケル導電層中でのリンの含有量を部分的に異ならせるために、ニッケルめっき工程中で固液分離を介した高リン組成ニッケルめっき及び低リン組成ニッケルめっきの二段もしくは多段めっき方法を用いてもよい。
上記導電性粒子は、上記ニッケル導電層の外表面上に配置された上記第2の導電層を備えていてもよい。上記第2の導電層は、金又はパラジウムを含むことが好ましい。このような第2の導電層によって、ニッケル導電層の外表面の酸化が防止され、導電性粒子の表面の抵抗が低くなる。さらに、ニッケル導電層の表面に貴金属のバリヤ層を設けることによって、接続構造体の長期信頼性が向上する。上記第2の導電層は、パラジウムを含むことがより好ましい。パラジウムは十分な硬さを有することから、異方性導電材料中の導電性粒子を除く成分を、導電性粒子と電極との間から効果的に排除することができ、電極に凹部を効率的に形成でき、上下の電極間に配置された導電性粒子の過度の流動を防ぐことができる。上記第2の導電層の厚みは、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、好ましくは80nm以下、より好ましくは30nm以下である。
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、金属粒子を除く基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることがより好ましい。
上記基材粒子は、樹脂により形成された樹脂粒子であることが好ましい。電極間を接続する際には、導電性粒子を電極間に配置した後、一般的に導電性粒子を圧縮させる。基材粒子が樹脂粒子であると、圧縮により導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の導通信頼性が高くなる。
上記樹脂粒子を形成するための樹脂として、種々の有機物が好適に用いられる。上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、及び、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させて得られる重合体等が用いられる。また、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させることにより、導電材料に適した任意の圧縮時の物性を有する樹脂粒子を設計及び合成可能である。
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する単量体を重合させて得る場合には、該エチレン性不飽和基を有する単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレンジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸骨格トリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、及び非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
上記基材粒子が金属を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合には、基材粒子を形成するための無機物としては、シリカ及びカーボンブラック等が挙げられる。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシル基を2つ以上有するケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子である場合には、該金属粒子を形成するための金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。但し、基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
上記基材粒子の平均粒子径は、好ましくは1μm以上、より好ましくは1.5μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは30μm以下、特に好ましくは5μm以下である。基材粒子の平均粒子径が上記下限以上であると、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。基材粒子の平均粒子径が上記上限以下であると、電極間の間隔が狭くなる。COG用途においては、上記基材粒子の平均粒子径は、3.5μm以下であることも好ましく、3μm以下であってもよい。
上記平均粒子径は数平均粒子径を示す。該平均粒子径は、例えばコールターカウンター(ベックマンコールター社製)を用いて測定可能である。
上記ニッケル導電層は、本発明の目的を阻害しない範囲で、ニッケル及びリン以外の他の金属を含んでいてもよい。上記第2の導電層は、金、パラジウム以外の金属を含む導電層であってもよく、更に本発明の目的を阻害しない範囲で、金、パラジウム以外の他の金属を含んでいてもよい。上記他の金属としては、例えば、金、銀、白金、パラジウム、亜鉛、鉄、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、タングステン、モリブデン、ケイ素及び錫ドープ酸化インジウム(ITO)等が挙げられる。また、上記ニッケル導電層はパラジウムを含んでいてもよい。上記第2の導電層はリンを含んでいてもよい。
上記ニッケル導電層及び上記第2の導電層が上記他の金属を含む場合に、上記ニッケル導電層における上記他の金属の含有量及び上記第2の導電層における上記他の金属の含有量はそれぞれ、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
上記導電性粒子は導電性の表面に、突起を有することが好ましい。上記突起は複数であることが好ましい。導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。突起を有する導電性粒子を用いた場合には、電極間に導電性粒子を配置して圧着させることにより、突起により上記酸化被膜が効果的に排除される。このため、電極と導電性粒子の導電層とがより一層確実に接触し、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。さらに、導電性粒子が表面に絶縁物質を備える場合に、又は導電性粒子が樹脂中に分散されて異方性導電材料として用いられる場合に、導電性粒子の突起によって、導電性粒子と電極との間の樹脂成分が効果的に排除される。このため、電極間の導通信頼性が高くなる。
また、導電性粒子が導電性の突起を有する場合にはその形状効果によって、電極上で過度の流動を防ぐことができる。
上記導電性粒子の表面に突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電層を形成する方法、並びに基材粒子の表面に無電解めっきにより導電層を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきにより導電層を形成する方法、並びに無電解めっきの条件を調整することで、導電層の表面の形状を制御する方法等が挙げられる。
上記基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法としては、例えば、基材粒子の分散液中に、芯物質となる微小粒子を添加し、基材粒子の表面に芯物質を、例えば、ファンデルワールス力により集積させ、付着させる方法、極性基を有する高分子層等の有機化合物層を介して結合させる方法、並びに基材粒子を入れた容器に、芯物質となる微小粒子を添加し、容器の回転等による機械的な作用により基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法等が挙げられる。なかでも、付着させる芯物質の量を制御しやすいため、分散液中の基材粒子の表面に芯物質を集積させ、付着させる方法が好ましい。
上記芯物質を構成する微小粒子としては、例えば、金属、金属の酸化物、黒鉛等の導電性非金属及び導電性ポリマー等の導電性物質や、シリカ、アルミナ、ジルコニア等の非導電性物質が挙げられる。なかでも、導電性が高くなることから、金属が好ましい。
上記金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、鉛、錫、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム等の金属、並びに錫−鉛合金、錫−銅合金、錫−銀合金、錫−鉛−銀合金及び炭化タングステン等の2種類以上の金属で構成される合金等が挙げられる。なかでも、ニッケル、銅、銀又は金が好ましい。上記芯物質を構成する金属は、上記導電層を構成する金属と同じであってもよく、異なっていてもよい。
上記導電性粒子は、上記ニッケル導電層又は上記第2の導電層の外表面上に配置された絶縁物質を備えることが好ましい。この場合には、導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡が生じ難くなる。具体的には、複数の導電性粒子が接触したときに、複数の電極間に絶縁物質が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡が生じ難くなる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で導電性粒子を加圧することにより、導電性粒子の導電層と電極との間の絶縁物質が容易に排除される。導電性粒子がニッケル導電層又は第2の導電層の表面に突起を有する場合には、導電性粒子の導電層と電極との間の絶縁物質がより一層容易に排除される。上記絶縁物質は、絶縁性樹脂層又は絶縁性粒子であることが好ましい。該絶縁性粒子は絶縁性樹脂粒子であることが好ましい。
上記絶縁物質の具体例としては、ポリオレフィン類、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。
上記ポリオレフィン類としては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記(メタ)アクリレート重合体としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート及びポリブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ブロックポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、SB型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、及びSBS型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらの水素添加物等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、ビニル重合体及びビニル共重合体等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。上記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及びメチルセルロース等が挙げられる。上記導電性粒子は、上記導電層の表面に付着された絶縁性粒子を備えることがより好ましい。この場合には、導電性粒子を電極間の接続に用いると、横方向に隣接する電極間の短絡が更に一層生じ難くなるだけでなく、接続された上下の電極間の接続抵抗が更に一層低くなる。
上記導電層の表面に絶縁性粒子を付着させる方法としては、化学的方法、及び物理的もしくは機械的方法等が挙げられる。上記化学的方法としては、ファンデルワールス力又は静電気力によるヘテロ凝集法により、金属表面粒子の導電層上に絶縁性粒子を付着させ、さらに必要に応じて化学結合させる方法、導電層上に有機化合物の修飾や積層により官能基を導入したうえで、該官能基と絶縁性粒子の表面上の反応可能な官能基を反応させて結合させる方法等の従来公知の種々の方法を適用可能である。上記物理的もしくは機械的方法としては、スプレードライ、ハイブリダイゼーション、静電付着法、噴霧法、ディッピング及び真空蒸着による方法等が挙げられる。なかでも、絶縁物質が脱離し難いことから、上記導電層の表面に、化学結合を介して絶縁物質を付着させる方法が好ましい。
上記絶縁性粒子の粒子径は、導電性粒子の粒子径の1/5以下であることが好ましい。この場合には、絶縁性粒子の粒子径が大きすぎず、導電層による電気的接続がより一層確実に果たされる。絶縁性粒子の粒子径が導電性粒子の粒子径の1/5以下である場合には、ヘテロ凝集法により絶縁性粒子を付着させる際に、導電性粒子の表面上に絶縁性粒子を効率よく吸着可能である。また、上記絶縁性粒子の粒子径は、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、好ましくは1000nm以下、より好ましくは500nm以下である。上記絶縁性粒子の粒子径が上記下限以上であると、隣接する導電性粒子間の距離が電子のホッピング距離よりも大きくなり、リークが起こり難くなる。上記絶縁性粒子の粒子径が上記上限以下であると、熱圧着する際に必要な圧力及び熱量が小さくなる。
上記絶縁性粒子の粒子径のCV値は、20%以下であることが好ましい。CV値が20%以下であると、絶縁性粒子による被覆層の厚さが均一になり、電極間で熱圧着する際に均一に圧力をかけやすくなり、導通不良が生じ難くなる。なお、上記粒子径のCV値は、下記式により算出される。
粒子径のCV値(%)=粒子径の標準偏差/平均粒子径×100
粒子径分布は、金属表面粒子を被覆する前は粒度分布計等で測定可能であり、被覆した後はSEM写真の画像解析等で測定可能である。
なお、導電性粒子の導電層を露出させるためには、絶縁物質による被覆率は、好ましくは5%以上、好ましくは70%以下である。上記絶縁物質による被覆率は、導電層(又は金属表面粒子)の表面積全体に占める絶縁物質により被覆されている部分の面積である。上記被覆率が5%以上であると、隣接する導電性粒子同士が、絶縁物質によってより一層確実に絶縁される。上記被覆率が70%以下であると、電極の接続の際に熱及び圧力を必要以上にかける必要がなくなり、排除された絶縁物質によるバインダー樹脂の性能の低下が抑えられる。
上記絶縁性粒子として特に限定されないが、公知の無機粒子及び有機高分子粒子が適用可能である。上記無機粒子としては、アルミナ、シリカ及びジルコニアなどの絶縁性無機粒子が挙げられる。上記無機粒子は表面が有機化合物で被覆されていてもよい。
上記有機高分子粒子は、不飽和二重結合を有する単量体の一種又は二種以上を(共)重合した樹脂粒子であることが好ましい。上記不飽和二重結合を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;ビニルエーテル類;塩化ビニル;スチレン、ジビニルベゼン等のスチレン系化合物、アクリロニトリル等が挙げられる。中でも(メタ)アクリル酸エステル類が好適に用いられる。
上記絶縁性粒子は、ヘテロ凝集によって導電性粒子の導電層に付着させるために極性官能基を有することが好ましい。該極性官能基としては、例えば、アンモニウム基、スルホニウム基、リン酸基及びヒドロキシシリル基等が挙げられる。上記極性官能基は、上記極性官能基と不飽和二重結合とを有する単量体を共重合することによって導入可能である。
上記アンモニウム基を有する単量体としては、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、及びN,N,N−トリメチル−N−2−メタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。上記スルホニウムを有する単量体としては、メタクリル酸フェニルジメチルスルホニウムメチル硫酸塩等が挙げられる。上記リン酸基を有する単量体としては、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート、及びアシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート等が挙げられる。上記ヒドロキシシリル基を有する単量体としては、ビニルトリヒドロキシシラン、及び3−メタクリロキシプロピルトリヒドロキシシラン等が挙げられる。
上記絶縁性粒子の表面に極性官能基を導入する別の方法としては、上記不飽和二重結合を有する単量体を重合する際の開始剤として、極性基を有するラジカル開始剤を用いる方法が挙げられる。上記ラジカル開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシ−ブチル)]−プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、及び2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)及びこれらの塩等が挙げられる。
異方性導電材料中の上記導電性粒子の含有量は特に限定されない。異方性導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下、更に好ましくは19重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、接続されるべき上下の電極間に導電性粒子を容易に配置できる。さらに、接続されてはならない隣接する電極間が複数の導電性粒子を介して電気的に接続され難くなる。すなわち、隣り合う電極間の短絡をより一層防止できる。
[熱硬化性化合物]
上記熱硬化性化合物は熱硬化性を有する。上記熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱硬化性化合物としては、オキセタン化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、フェノール化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、シリコーン化合物及びポリイミド化合物等が挙げられる。上記熱硬化性化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記異方性導電材料の硬化を容易に制御したり、接続構造体における導通信頼性をより一層高めたりする観点からは、上記熱硬化性化合物は、エポキシ基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物を含むことが好ましく、チイラン基を有する熱硬化性化合物を含むことがより好ましい。エポキシ基を有する熱硬化性化合物は、エポキシ化合物である。チイラン基を有する熱硬化性化合物は、エピスルフィド化合物である。異方性導電材料の硬化性を高める観点からは、上記熱硬化性化合物100重量%中、上記エポキシ基又はチイラン基を有する化合物の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、100重量%以下である。上記熱硬化性化合物の全量が上記エポキシ基又はチイラン基を有する化合物であってもよい。
上記エピスルフィド化合物は、エポキシ基ではなくチイラン基を有するので、低温で速やかに硬化させることができる。すなわち、チイラン基を有するエピスルフィド化合物は、エポキシ基を有するエポキシ化合物と比較して、チイラン基に由来してより一層低い温度で硬化可能である。
上記エポキシ基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物は、芳香族環を有することが好ましい。上記芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、テトラセン環、クリセン環、トリフェニレン環、テトラフェン環、ピレン環、ペンタセン環、ピセン環及びペリレン環等が挙げられる。なかでも、上記芳香族環は、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環であることが好ましく、ベンゼン環又はナフタレン環であることがより好ましい。また、ナフタレン環は、平面構造を有するためにより一層速やかに硬化させることができるので好ましい。
上記熱硬化性化合物は、フェノキシ樹脂を含んでいてもよい。この場合に、フェノキシ樹脂と、上記エポキシ基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物とを併用してもよい。この場合に、上記エポキシ基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物は、フェノキシ樹脂ではないことが好ましい。
上記貯蔵弾性率G’25及び上記最低損失弾性率G’’minを好ましい値に容易に制御し、接続構造体における電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは20000以上、好ましくは70000以下である。
本明細書において、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
上記フェノキシ樹脂と、上記エポキシ基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物とを併用する場合には、上記異方性導電材料は、上記フェノキシ樹脂と上記エポキシ基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物とを重量比で、1:99〜99:1で含むことが好ましく、10:90〜90:10で含むことがより好ましく、20:80〜80:20で含むことが更に好ましく、30:70〜70:30で含むことが特に好ましい。
[光硬化性化合物]
光の照射によって硬化するように、上記異方性導電材料は、光硬化性化合物を含むことが好ましい。光の照射により光硬化性化合物を半硬化(Bステージ化)させ、硬化性化合物の流動性を低下させることができる。
上記光硬化性化合物としては特に限定されず、(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物及び環状エーテル基を有する光硬化性化合物等が挙げられる。
上記光硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物であることが好ましい。(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物の使用により、電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。電極間の導通信頼性を効果的に高める観点からは、上記光硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を1個又は2個有することが好ましい。
上記(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物としては、エポキシ基及びチイラン基を有さず、かつ(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物、及びエポキシ基又はチイラン基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物が挙げられる。
上記(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物として、(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート、又はイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等が好適に用いられる。上記「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基とメタクリロイル基とを示す。上記「(メタ)アクリル」は、アクリルとメタクリルとを示す。上記「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとを示す。
上記(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物は特に限定されない。該エステル化合物として、単官能のエステル化合物、2官能のエステル化合物及び3官能以上のエステル化合物のいずれも用いることができる。
上記エポキシ基又はチイラン基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物の一部のエポキシ基又は一部のチイラン基を、(メタ)アクリロイル基に変換することにより得られた光硬化性化合物であることが好ましい。このような光硬化性化合物は、部分(メタ)アクリレート化エポキシ化合物又は部分(メタ)アクリレート化エピスルフィド化合物である。
上記光硬化性化合物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物と、(メタ)アクリル酸との反応物であることが好ましい。この反応物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って触媒の存在下で反応することにより得られる。エポキシ基又はチイラン基の20%以上が(メタ)アクリロイル基に変換(転化率)されていることが好ましい。該転化率は、より好ましくは30%以上、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下である。エポキシ基又はチイラン基の40%以上、60%以下が(メタ)アクリロイル基に変換されていることが最も好ましい。
上記部分(メタ)アクリレート化エポキシ化合物としては、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、カルボン酸無水物変性エポキシ(メタ)アクリレート、及びフェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記光硬化性化合物として、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有するフェノキシ樹脂の一部のエポキシ基又は一部のチイラン基を(メタ)アクリロイル基に変換した変性フェノキシ樹脂を用いてもよい。すなわち、エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有する変性フェノキシ樹脂を用いてもよい。
また、上記光硬化性化合物は、架橋性化合物であってもよく、非架橋性化合物であってもよい。
上記架橋性化合物の具体例としては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、ジビニルベンゼン、ポリエステル(メタ)アクリレート、及びウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記非架橋性化合物の具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート及びテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
光硬化性化合物を用いる場合には、光硬化性化合物と熱硬化性化合物との配合比は、光硬化性化合物と熱硬化性化合物との種類に応じて適宜調整される。上記異方性導電材料は、光硬化性化合物と熱硬化性化合物とを重量比で、1:99〜90:10で含むことが好ましく、5:95〜70:30で含むことがより好ましく、10:90〜50:50で含むことが更に好ましい。上記異方性導電材料は、光硬化性化合物と熱硬化性化合物とを重量比で、1:99〜50:50で含むことが特に好ましい。
(熱硬化剤)
上記熱硬化剤は特に限定されない。上記熱硬化剤として、従来公知の熱硬化剤を用いることができる。上記熱硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤及び酸無水物等が挙げられる。上記熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
異方性導電材料を低温でより一層速やかに硬化させることができるので、上記熱硬化剤は、イミダゾール硬化剤、ポリチオール硬化剤又はアミン硬化剤であることが好ましい。また、異方性導電材料の保存安定性を高めることができるので、潜在性の硬化剤が好ましい。該潜在性の硬化剤は、潜在性イミダゾール硬化剤、潜在性ポリチオール硬化剤又は潜在性アミン硬化剤であることが好ましい。上記熱硬化剤は、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等の高分子物質で被覆されていてもよい。
上記イミダゾール硬化剤としては、特に限定されず、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
上記ポリチオール硬化剤としては、特に限定されず、トリメチロールプロパントリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトールヘキサ−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
上記アミン硬化剤としては、特に限定されず、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
上記熱硬化剤の含有量は特に限定されない。上記硬化性化合物中の上記熱硬化性化合物100重量部に対して、上記熱硬化剤の含有量は、好ましくは5重量部以上、より好ましくは10重量部以上、好ましくは40重量部以下、より好ましくは30重量部以下、更に好ましくは20重量部以下である。上記熱硬化剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、異方性導電材料を充分に熱硬化させることができる。
(光硬化開始剤)
上記光硬化開始剤は特に限定されない。上記光硬化開始剤として、従来公知の光硬化開始剤を用いることができる。上記光硬化開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光硬化開始剤としては、特に限定されず、アセトフェノン光硬化開始剤、ベンゾフェノン光硬化開始剤、チオキサントン、ケタール光硬化開始剤、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド及びアシルホスフォナート等が挙げられる。
上記アセトフェノン光硬化開始剤の具体例としては、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、及び2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン等が挙げられる。上記ケタール光硬化開始剤の具体例としては、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
上記光硬化開始剤は、光ラジカル開始剤であることが好ましい。該光ラジカル開始剤としては、特に限定されず、アセトフェノン光ラジカル開始剤、ベンゾフェノン光ラジカル開始剤、チオキサントン、ケタール光ラジカル開始剤、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド及びアシルホスフォナート等が挙げられる。
上記アセトフェノン光ラジカル開始剤の具体例としては、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、及び2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン等が挙げられる。上記ケタール光ラジカル開始剤の具体例としては、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
上記光硬化開始剤の含有量は特に限定されない。上記硬化性化合物中の上記光硬化性化合物100重量部に対して、上記光硬化開始剤の含有量は、好ましくは0.05重量部以上、より好ましくは0.15重量部以上、好ましくは2重量部以下、より好ましくは1重量部以下である。上記光硬化開始剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、異方性導電材料を適度に光硬化させることができる。異方性導電材料に光を照射し、Bステージ化することにより、異方性導電材料の流動を抑制できる。
[他の成分]
上記異方性導電材料は、フィラーを含むことが好ましい。フィラーの使用により、異方性導電材料の硬化物の潜熱膨張を抑制できる。上記フィラーの具体例としては、シリカ、窒化アルミニウム及びアルミナ等が挙げられる。フィラーは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記異方性導電材料は、硬化促進剤をさらに含むことが好ましい。硬化促進剤の使用により、硬化速度をより一層速くすることができる。硬化促進剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化促進剤の具体例としては、イミダゾール硬化促進剤及びアミン硬化促進剤等が挙げられる。なかでも、イミダゾール硬化促進剤が好ましい。なお、イミダゾール硬化促進剤又はアミン硬化促進剤は、イミダゾール硬化剤又はアミン硬化剤としても用いることができる。
上記異方性導電材料は、溶剤を含んでいてもよい。該溶剤の使用により、異方性導電材料の粘度を容易に調整できる。上記溶剤としては、例えば、酢酸エチル、メチルセロソルブ、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、テトラヒドロフラン及びジエチルエーテル等が挙げられる。
(異方性導電材料、接続構造体及び接続構造体の製造方法の他の詳細)
上記熱硬化性成分などのバインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法は、従来公知の分散方法を用いることができ特に限定されない。上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法としては、例えば、上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を添加した後、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、上記導電性粒子を水又は有機溶剤中にホモジナイザー等を用いて均一に分散させた後、上記バインダー樹脂中に添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、並びに上記バインダー樹脂を水又は有機溶剤等で希釈した後、上記導電性粒子を添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法等が挙げられる。
接続構造体における接続部にボイドが発生するのを抑制し、導通信頼性をより一層高める観点からは、上記異方性導電材料は異方性導電ペーストであることが好ましい。上記異方性導電材料は、異方性導電ペーストであり、かつペースト状の状態で接続対象部材の上面に塗工される異方性導電材料であることが好ましい。
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例としては、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記異方性導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。上記加圧の圧力は9.8×104〜4.9×106Pa程度である。上記加熱の温度は、120〜220℃程度である。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)異方性導電ペーストの調製
熱硬化性化合物であるエポキシ化合物(ナガセケムテックス社製「EP−201P」)5重量部と、熱硬化性化合物であるエポキシ化合物(DIC社製「EPICLON HP−4032D」)10重量部と、熱硬化剤であるイミダゾールのアミンアダクト体(味の素ファインテクノ社製「PN−F」)4重量部と、光硬化性化合物であるエポキシアクリレート(ダイセル・サイテック社製「EBECRYL3608」)8重量部と、光ラジカル開始剤であるアシルホスフィンオキサイト系化合物(BASFジャパン社製「IRGACURE TPO」)0.1重量部と、硬化促進剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール1重量部と、フィラーであるアルミナ(平均粒子径0.5μm)10重量部とを配合し、さらに導電性粒子A(平均粒径3μm)を配合物100重量%中での含有量が10重量%となるように添加した後、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、異方性導電ペーストを得た。
なお、用いた上記導電性粒子Aは、ジビニルベンゼン樹脂粒子の表面にニッケルめっき層(厚み80nm)が形成されており、かつ該ニッケルめっき層の表面に金めっき層(厚み30nm)が形成されている金属層を有する導電性粒子(平均粒子径3μm)である。また、導電性粒子Aは、ニッケル導電層全体におけるリンの含有量の平均値、ニッケル導電層の内表面側の厚み1/2の領域におけるリンの含有量の平均値、ニッケル導電層の外表面側の厚み1/2の領域におけるリンの含有量の平均値、及びニッケル導電層におけるリンの含有量がニッケル導電層全体におけるリンの含有量の平均値C以上であるニッケル導電層の厚みの領域が下記の表1に示す値である導電性粒子である。
(2)接続構造体の作製
L/Sが20μm/20μmのAl−4%Ti電極パターンが上面に形成された透明ガラス基板(第1の接続対象部材)を用意した。また、L/Sが20μm/20μm、1電極あたりの電極面積が1000μm2の金電極パターンが下面に形成された半導体チップ(第2の接続対象部材)を用意した。
上記透明ガラス基板上に、得られた異方性導電ペーストを厚みが20μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。
次に、波長365nmのLEDランプを用いて、照射エネルギーが2000mJ/cm2となるように、異方性導電ペースト層に上方から紫外線を照射し、光重合によって異方性導電ペースト層を半硬化させ、Bステージ化して、Bステージ化された異方性導電ペースト層(本硬化前の異方性導電ペースト層)を形成した。次に、Bステージ化された異方性導電ペースト層上に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、Bステージ化された異方性導電ペースト層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、3MPaの圧力をかけて異方性導電ペースト層を185℃で本硬化させ、接続構造体を得た。
(実施例2〜4)
接続構造体を作製する際に、下記の表1に示す照射エネルギーとなるように、異方性導電ペースト層に上方から紫外線を照射したこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を得た。
(実施例5)
(1)異方性導電フィルムの調製
熱硬化性化合物であるフェノキシ樹脂(Inchem社製「PKHC」、重量平均分子量43000)15重量部と、熱硬化性化合物であるエポキシ化合物(ナガセケムテックス社製「EP−201P」)5重量部と、熱硬化性化合物であるエポキシ化合物(DIC社製「EPICLON HP−4032D」)10重量部と、熱硬化剤であるイミダゾールのアミンアダクト体(味の素ファインテクノ社製「PN−F」)4重量部と、硬化促進剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール1重量部とを配合し、実施例1で用いた導電性粒子Aを配合物100重量%中での含有量が10重量%となるように添加し、更に固形分が35重量%となるよう溶剤であるトルエンを配合した後、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、組成物を得た。
離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム上に、得られた組成物を塗工した後、80℃で15分間真空乾燥して溶剤を除去し、厚みが20μmである異方性導電フィルムを得た。
(2)接続構造体の作製
L/Sが20μm/20μmのAl−4%Ti電極パターンが上面に形成された透明ガラス基板(第1の接続対象部材)を用意した。また、L/Sが20μm/20μm、1電極あたりの電極面積が1000μm2の金電極パターンが下面に形成された半導体チップ(第2の接続対象部材)を用意した。
上記ガラス基板上に、得られた異方性導電フィルムを配置して異方性導電フィルム層を形成した後、PETフィルムを剥離した。異方性導電フィルム層を形成した後、該異方性導電フィルム層に光を照射しなかった。
次に、異方性導電フィルム層上に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電フィルム層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、3MPaの圧力をかけて異方性導電フィルム層を185℃で本硬化させ、接続構造体を得た。
(実施例6)
異方性導電フィルムを調製する際に、フェノキシ樹脂(Inchem社製「PKHC」、重量平均分子量43000)を、フェノキシ樹脂(Inchem社製「PKHH」、重量平均分子量57000)に変更したこと以外は実施例5と同様にして、異方性導電フィルムを得た。得られた異方性導電フィルムを用いたこと以外は実施例5と同様にして、接続構造体を得た。
(実施例7)
異方性導電フィルムを調製する際に、フェノキシ樹脂(Inchem社製「PKHC」、重量平均分子量43000)を、フェノキシ樹脂(東都化成社製「YP−50」、重量平均分子量70000)に変更したこと以外は実施例5と同様にして、異方性導電フィルムを得た。得られた異方性導電フィルムを用いたこと以外は実施例5と同様にして、接続構造体を得た。
(実施例8〜14)
ニッケル導電層全体におけるリンの含有量の平均値、ニッケル導電層の内表面側の厚み1/2の領域におけるリンの含有量の平均値、ニッケル導電層の外表面側の厚み1/2の領域におけるリンの含有量の平均値、及びニッケル導電層におけるリンの含有量がニッケル導電層全体におけるリンの含有量の平均値C以上であるニッケル導電層の厚みの領域を下記の表1に示す値に設定したこと、導電性粒子の表面に突起を形成したこと、ニッケル導電層の厚みを100nmに変更したこと並びに導電性粒子の最外層に金めっき層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様の導電性粒子を用いて、実施例1と同様にして、接続構造体を得た。
(実施例15)
導電性粒子A(平均粒子径3μm)を導電性粒子B(平均粒子径2μm)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電フィルムを得た。得られた異方性導電フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を得た。
なお、用いた上記導電性粒子Bは、ジビニルベンゼン樹脂粒子の表面にニッケルめっき層(厚み80nm)が形成されており、かつ該ニッケルめっき層の表面に金めっき層(厚み30nm)が形成されている金属層を有する導電性粒子(平均粒子径2μm)である。
(実施例16〜19)
ニッケル導電層全体におけるリンの含有量の平均値、ニッケル導電層の内表面側の厚み1/2の領域におけるリンの含有量の平均値、ニッケル導電層の外表面側の厚み1/2の領域におけるリンの含有量の平均値、及びニッケル導電層におけるリンの含有量がニッケル導電層全体におけるリンの含有量の平均値C以上であるニッケル導電層の厚みの領域を下記の表1に示す値に設定したこと、導電性粒子の表面に突起を形成したこと、ニッケル導電層の厚みを100nmに変更したこと並びに導電性粒子の最外層に金めっき層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様の導電性粒子を用いて、実施例1と同様にして、接続構造体を得た。
(比較例1〜2)
接続構造体を作製する際に、下記の表1に示す照射エネルギーとなるように、異方性導電ペースト層に上方から紫外線を照射したこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を得た。
(比較例3)
異方性導電フィルムを調製する際に、フェノキシ樹脂(Inchem社製「PKHC」、重量平均分子量43000)を、フェノキシ樹脂(Inchem社製「PKHB」、重量平均分子量32000)に変更したこと以外は実施例5と同様にして、異方性導電フィルムを得た。得られた異方性導電フィルムを用いたこと以外は実施例5と同様にして、接続構造体を得た。
(比較例4)
異方性導電フィルムを調製する際に、フェノキシ樹脂(東都化成社製「YP−50」、重量平均分子量70000)の配合量を25重量部に変更したこと、並びに熱硬化性化合物であるエポキシ化合物(DIC社製「EPICLON HP−4032D」)を配合しなかったこと以外は実施例7と同様にして、異方性導電フィルムを得た。得られた異方性導電フィルムを用いたこと以外は実施例5と同様にして、接続構造体を得た。
(比較例5)
ニッケル導電層全体におけるリンの含有量の平均値、ニッケル導電層の内表面側の厚み1/2の領域におけるリンの含有量の平均値、ニッケル導電層の外表面側の厚み1/2の領域におけるリンの含有量の平均値、及びニッケル導電層におけるリンの含有量がニッケル導電層全体におけるリンの含有量の平均値C以上であるニッケル導電層の厚みの領域を下記の表1に示す値に設定したこと、導電性粒子の表面に突起を形成したこと、ニッケル導電層の厚みを100nmに変更したこと並びに導電性粒子の最外層に金めっき層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様の導電性粒子を用いて、実施例1と同様にして、接続構造体を得た。
(評価)
(1)25℃での貯蔵弾性率G’25
接続構造体の作製時における本硬化前の異方性導電材料層を、50℃に加温したラミネーターを用いて積層し、厚み500μm以上の測定用サンプルを作製し、25℃での貯蔵弾性率G’25を測定した。回転型動的粘弾性装置(レオロジク インスツルメンツ社製「VAR−100」)を用いて、周波数1Hz、歪み1.0E−2及び測定温度25℃の条件で測定を行った。
(2)最低損失弾性率G’’min
接続構造体の作製時における本硬化前の異方性導電材料層を、50℃に加温したラミネーターを用いて積層し、厚み500μm以上の測定用サンプルを作製した。得られたサンプルを25℃から250℃まで加熱して、最低損失弾性率G’’minを測定した。回転型動的粘弾性装置(レオロジカ インスツルメンツ社製「VAR−100」)を用いて、周波数1Hz、歪み1.0E−2の条件で、かつ25℃から250℃まで、昇温速度5℃/分にて加熱する条件で測定を行った。損失弾性率G’’が最も小さくなる値を、最低損失弾性率G’’minとした。
(3)圧痕状態
得られた接続構造体における100箇所の導電性粒子と電極との接続部分について、電極に形成された圧痕の状態を観察した。
偏光顕微鏡を使用し、1電極あたり(1000μm2あたり)に明らかな球状の圧痕が平均15個以上確認できる場合を、良好な圧痕が形成されていると判断した。また、1電極あたり(1000μm2あたり)明らかな球状の圧痕が平均5個未満確認できる場合を、圧痕の形成が不十分と判断した。圧痕状態を下記の判定基準で判定した。
[圧痕状態]
○○:100箇所の接続部分中、明らかな球状の圧痕が平均15個以上
○:100箇所の接続部分中、明らかな球状の圧痕が平均10個以上、15個未満
△:100箇所の接続部分中、明らかな球状の圧痕が平均5個以上、10個未満
×:100箇所の接続部分中、明らかな球状の圧痕が平均5個未満
(4)空隙(ボイド)の有無(充填性)
得られた接続構造体において、異方性導電材料層により形成された硬化物層に空隙(ボイド)が生じているか否かを、透明ガラス基板の下面側から光学顕微鏡にて、空隙(ボイド)の発生面積を算出し、下記の基準で判定した。
[空隙(ボイド)の有無の判定基準]
○○:空隙(ボイド)の発生面積が2.5%未満
○:空隙(ボイド)の発生面積が2.5%以上、5%未満
△:空隙(ボイド)の発生面積が5%以上、10%未満
×:空隙(ボイド)の発生面積が10%以上、又は10μm以上の大きさの空隙(ボイド)がある
(5)接続抵抗
得られた20個の接続構造体の上下の電極間の接続抵抗をそれぞれ、4端子法により測定した。20個の接続構造体の接続抵抗の平均値を求めた。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。接続抵抗を下記の判定基準で判定した。
[接続抵抗の判定基準]
○○:接続抵抗の平均値が5Ω以下
○:接続抵抗の平均値が5Ωを超え、10Ω以下
△:接続抵抗の平均値が10Ωを超え、20Ω以下
×:接続抵抗の平均値が20Ωを超える、又は測定不可な接続構造体がある
結果を下記の表1に示す。なお、実施例15〜17及び19では、(3)圧痕状態の評価結果はいずれも「△」であるが、実施例15,16,19における圧痕状態は、実施例17における圧痕状態よりも良好であった。
また、得られた接続構造体を85℃85%の高温高湿槽に100時間投入した後、(5)接続抵抗と同様に測定することで接続信頼性を確認したが、実施例記載の接続抵抗が比較例記載の接続抵抗よりもすべて良好であった。