JP2011100538A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

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成二 森田
Shinobu Sugimura
忍 杉村
Kazuyo Umezawa
和代 梅澤
Masatoshi Sakurai
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Abstract

【課題】良好なパターン転写が可能な紫外線硬化性樹脂材料を得る。
【解決手段】中心孔を有する磁気記録媒体の第1の主面上に第1の凹凸パターンを有する硬化した第1の紫外線硬化性樹脂材料層を形成し、磁気記録媒体の第1の主面とは反対側の第2の主面上に第2の凹凸パターンを有する硬化した第2の紫外線硬化性樹脂材料層を形成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、磁気記録層表面にディスクリートトラックを有する磁気記録媒体の製造方法に関する。
近年、様々な分野において、さらなる高密度化や高精度化のためにナノインプリント技術が注目されている。
例えば、半導体や光学素子、磁気記録媒体などへの応用が検討されている。
磁気記録媒体では、更なる高密度化に対応するために、隣接する記録トラックを溝または非磁性材料からなるガードバンドで分離し、隣接トラック間の磁気的干渉を低減するようにしたディスクリートトラック媒体が注目されている。
このようなディスクリートトラック媒体を製造する際に、スタンパを用いてナノインプリント技術を応用し、磁性層のディスクリートトラックパターンを形成することができる。インプリント法によって記録トラックのパターンとともにサーボ領域の信号に相当する磁性層のパターンも形成すれば、従来の磁気記録媒体の製造時に必要とされるサーボトラックを描画する工程をなくすことが可能となるので、コスト低減にもつながる。
このようなディスクリートトラックパターンを形成するプロセスとして、例えばNiスタンパーから、例えば高圧インプリント法または熱インプリント法によりレジストパターンを転写して製造するプロセスが用いることができる(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このプロセスでは、Niスタンパーの寿命が短く大量生産には適していない。また、高データ密度化されトラックが微細になった際にはレジストパターンの転写が上手くいかなかった。
このようなことから、その他のナノインプリント技術として、光ナノインプリント法を用いることが注目されている。
光ナノインプリント法を用いてディスクリートトラック媒体上のレジストにパターンを転写するには、まず、Niスタンパー(マザースタンパー)から射出成形により樹脂スタンパーを複製し、その樹脂スタンパーと、レジストとして使用される未硬化の紫外線硬化性樹脂層とを真空貼り合わせに供する。この方法がコスト低減可能で、微細化にも適していることがわかった。
ここで、上記ディスクリートトラック媒体に転写するための紫外線硬化性樹脂に求められる特性としては、媒体上への塗布性、粘度、硬化性、樹脂スタンパーからの剥離性、及び硬化収縮性に加えて、転写したパターンを加工するためのエッチング耐性があげられる。
特開2007−186570号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、磁気記録媒体の製造方法において良好なパターン転写を行うことを目的とする。
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、中心孔を有する第1の樹脂スタンパの第1の凹凸パターン面上に未硬化のパターン転写用紫外線硬化性樹脂材料の第1の塗布層を形成する工程、
真空下で、該第1の樹脂スタンパの第1の凹凸パターン面と、データ領域、サーボ領域を含み、中心孔を有する磁気記録媒体の第1の主面側の磁気記録層表面とを、該第1の凹凸パターン面上に設けられた未硬化のパターン転写用紫外線硬化性樹脂材料の第1の塗布層を介して貼り合わせる工程、
該未硬化の紫外線硬化性樹脂材料の第1の塗布層に紫外線を照射して、硬化せしめ、
前記磁気記録媒体の第1の主面上に第1の凹凸パターンを有する硬化した第1の紫外線硬化性樹脂材料層を形成する工程、
中心孔を有する第2の樹脂スタンパの第2の凹凸パターン面上に、有機溶媒及び該有機溶媒に溶解された未硬化のパターン転写用紫外線硬化性樹脂材料を含有する第2の塗布層を形成する工程、
真空下で、該第2の樹脂スタンパの第2の凹凸パターン面と、前記第1の主面とは反対側の第2の主面側の磁気記録層表面とを、該第2の凹凸パターン面上に設けられた未硬化のパターン転写用紫外線硬化性樹脂材料の第2の塗布層を介して貼り合わせる工程、
該未硬化の紫外線硬化性樹脂材料の第2の塗布層に紫外線を照射して、硬化せしめ、
前記磁気記録媒体の第2の主面上に第2の凹凸パターンを有する硬化した第2の紫外線硬化性樹脂材料層を形成する工程、
前記第1の樹脂スタンパ及び前記第2の樹脂スタンパを剥離する工程、及び
硬化された第1及び第2の紫外線硬化性樹脂材料層をマスクとしてドライエッチングを行い、磁気記録層両面に、凹凸パターンを形成する工程を具備することを特徴とする。
本発明を用いると、磁気記録媒体の製造方法において、磁気記録媒体の両面に良好なパターン転写を行うことが可能となる。
本発明に用いられるパターン転写方法の一例を表す図である。 本発明に用いられるパターン転写方法の一例を表す図である。 磁気記録媒体を記録再生する磁気記録再生装置を表す図である。 ディスクリート型磁気記録媒体の製造方法の一例を表す図である。 樹脂スタンパの剥離工程の一例を表す図である。 爪付き突き上げ部の一例を正面から見た図である。 爪付き突き上げ部の変形例を正面から見た図である。
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、中心孔を有する磁気記録媒体の第1の主面上に第1の凹凸パターンを有する硬化した第1の紫外線硬化性樹脂材料層を形成し、磁気記録媒体の第1の主面とは反対側の第2の主面上に第2の凹凸パターンを有する硬化した第2の紫外線硬化性樹脂材料層を形成し、硬化された第1及び第2の紫外線硬化性樹脂材料層をマスクとしてドライエッチングを行い、磁気記録層両面に、凹凸パターンを形成することにより、磁気記録媒体の両面にディスクリートパターンを形成する。
この方法は、中心孔を有する第1の樹脂スタンパの第1の凹凸パターン面上に未硬化のパターン転写用紫外線硬化性樹脂材料の第1の塗布層を形成する工程、
真空下で、第1の樹脂スタンパの第1の凹凸パターン面と、データ領域、サーボ領域を含む磁気記録媒体の第1の主面側の磁気記録層表面とを、第1の凹凸パターン面上に設けられた未硬化のパターン転写用紫外線硬化性樹脂材料の第1の塗布層を介して貼り合わせる工程、
未硬化の紫外線硬化性樹脂材料の第1の塗布層に紫外線を照射して、硬化せしめ、磁気記録媒体の第1の主面上に第1の凹凸パターンを有する硬化した第1の紫外線硬化性樹脂材料層を形成する工程、
中心孔を有する第2の樹脂スタンパの第2の凹凸パターン面上に未硬化のパターン転写用紫外線硬化性樹脂材料の第2の塗布層を形成する工程、
真空下で、第2の樹脂スタンパの第2の凹凸パターン面と、第1の主面とは反対側の第2の主面側の磁気記録層表面とを、第2の凹凸パターン面上に設けられた未硬化のパターン転写用紫外線硬化性樹脂材料の第2の塗布層を介して貼り合わせる工程、
未硬化の紫外線硬化性樹脂材料の第2の塗布層に紫外線を照射して、硬化せしめ、磁気記録媒体の第2の主面上に第2の凹凸パターンを有する硬化した第2の紫外線硬化性樹脂材料層を形成する工程、
第1の樹脂スタンパ及び第2の樹脂スタンパを剥離する工程、及び
硬化された第1及び第2の紫外線硬化性樹脂材料層をマスクとしてドライエッチングを行い、磁気記録層両面に、凹凸パターンを形成する工程を具備する。
以下、図面を参照し、本発明に用いられるパターン転写方法を図1(a)〜(d)を参照して概略的に説明する。
これらの図は媒体基板の片面にパターンを転写する場合を示している。図1(a)に示すように、スピナー41に第1の樹脂スタンパ51をその第1の凹凸パターン面を上にして設置する。図1(b)に示すように、スピナー41とともに第1の樹脂スタンパ51をスピンさせながら、ディスペンサー42から紫外線硬化性樹脂(2P樹脂)を滴下してスピン塗布する。図1(c)に示すように、真空チャンバー81内において、真空下で、第1の樹脂スタンパ51の第1の凹凸パターンと磁気記録媒体71の第1の主面とを2P樹脂層44を介して貼り合わせる。図1(d)に示すように、大気圧下でUV光源43から透な明スタンパ51を通してUVを照射して第1の2P樹脂層44を硬化させる。
続いて、第1のスタンパの代わりに第2のスタンパを使用する以外は図1(a)、図1(b)と同様にして、第2の樹脂スタンパ52をスピンさせながら、ディスペンサー42から紫外線硬化性樹脂(2P樹脂)を滴下してスピン塗布する。
その後、図2(a)に示すように、真空チャンバー81内において、真空下で、第2の樹脂スタンパ52の第2の凹凸パターンと、磁気記録媒体71の第1の主面と反対側の第2の主面を2P樹脂層44を介して貼り合わせる。このとき、第1の樹脂スタンパ51は、第1の主面上の第1の2P樹脂層44に密着されている。
図2(b)に示すように、大気圧下でUV光源43から透明な樹脂スタンパ52を通してUVを照射して第2の2P樹脂層45を硬化させる。
図2(b)の後に、透明スタンパ51を第1の2P樹脂層44から、第2の樹脂スタンパ52を第2の2P樹脂層45から、各々剥離する。
本発明の方法を用いると、紫外線硬化性樹脂の塗布層を樹脂スタンパ上に形成した後に磁気記録媒体表面と真空貼り合わせを行い、樹脂スタンパを剥離することにより、良好な凹凸パターンが転写された紫外線硬化性樹脂の硬化層が磁気記録媒体上に容易に形成される。また、本発明を用いると、磁気記録媒体両面にディスクリートパターンに相応する凹凸パターンを有する紫外線硬化性樹脂を、容易に歩留まり良く形成することができる。
以下に、本発明に使用される紫外線硬化性樹脂について説明する。
本発明の磁気記録媒体の製造方法に、モノマー、オリゴマー、重合開始剤から構成され、溶媒を含まない紫外線硬化性樹脂材料を使用すると、ドライエッチング加工時のArミリングでのエッチング率が高く、ドライエッチング加工後に溝幅が広がってしまい、細い溝幅の形成が難しくなる傾向がある。
また、ドライエッチング耐性が悪化する原因は分子量の大きいオリゴマーであると考えられる。
このため、本発明に用いられる紫外線硬化性樹脂材料においては、所定の複数種類のモノマーと重合開始剤から構成され、オリゴマー及び溶媒を含まない紫外線硬化性樹脂材料の使用を検討した。
本発明に用いられる第1のモノマー材料としては、薄膜塗布のために低粘度であることが望まれる。このため、例えば下記のような単官能アクリレートが使われる。
2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート
ステアリルアクリレート
オクチル/デシルアクリレート
イソデシルアクリレート
イソオクチルアクリレート
テトラヒドロフルフリルアクリレート
ラウリルアクリレート
トリデシルアクリレート
イソボルニルアクリレート
アルコキシ化テトラヒドロフルフリルアクリレート
2−フェノキシエチルアクリレート
環状トリメチロールプロパンフォルマルアクリレート
3,3,5−トリメチルシクロヘキサンアクリレート
この中で、下記式(1)で表されるイソボルニルアクリレートは、脂環式構造を有し、ガラス転移温度Tgも高いためエッチング耐性が良好であり、かつ、粘度が低く薄膜化に適している。
Figure 2011100538
しかしながら、硬化後の硬度が高く硬くなりやすい、表面張力が高くないなどにより樹脂スタンパーからの剥離性が良好とならない傾向がある。
本発明における紫外線硬化性樹脂材料は、第1のモノマー材料として好適なイソボルニルアクリレートと第2のモノマーである多官能アクリレート、第3のモノマーであるアダマンチルアクリレート、及び重合開始剤から成る。これらの他に、接着剤などの添加物も1%以下で混合してもよいが添加剤を含まないのが品質的に最も良好である。
それぞれの好ましい含有量は、イソボルニルアクリレートが70重量%以上95重量%以下、多官能アクリレートが1重量%以上30重量%以下、アダマンチルアクリレートが1重量%以上30重量%以下、重合開始剤が0.5重量%以上6重量%以下である。
このような組成の紫外線硬化性樹脂材料を用いると、樹脂スタンパとの剥離性が良く、磁気記録媒体表面と良好に密着し、かつUV硬化による収縮が少ないので、例え2回またはそれ以上のUV照射に曝されても、スタンパの変形が少ない。
ここで、多官能アクリレートには2官能、3官能、4官能以上のものがある。
2官能アクリレートとしては、例えば
1,3−ブチレングリコールジアクリレート
1,4−ブタンジオールジアクリレート
ジエチレングリコールジアクリレート
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
ネオペンチルグリコールジアクリレート
ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート
テトラエチレングリコールジアクリレート
トリエチレングリコールジアクリレート
トリプロピレングリコールジアクリレート
ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート
エトキシ化(3)ビスフェノールAジアクリレート
シクロヘキサンジメタノールジアクリレート
ジプロピレングリコールジアクリレート
アクリレートエステル(ジオキサングリコールジアクリレート)
アルコキシ化ヘキサンジオールジアクリレート
アルコキシ化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート
エトキシ化(4)ビスフェノールAジアクリレート
エトキシ化(10)ビスフェノールAジアクリレート
ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート
トリシクロデカンジメタノールジアクリレート
プロポキシ化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレート
エトキシ化(30)ビスフェノールAジアクリレート
アルコキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート
などが挙げられる。
3官能アクリレートとしては、たとえば
トリメチロールプロパントリアクリレート
トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート
(PO(プロポキシ基)の数:2,3,4,6)
トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート
(EO(エトキシ基)の数:3,6,9,15,20)
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート
ペンタエリスリトールトリアクリレート
ペンタエリスリトールEO変性トリアクリレート
EO変性グリセリントリアクリレート
プロポキシ化(3)グリセリルトリアクリレート
高プロポキシ化(5.5)グリセリルトリアクリレート
トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート
ε−カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート
を用いることができる。
4官能以上のアクリレートとしては、例えば
トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート
ペンタエリスリトールテトラアクリレート
ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート
エトキシ化(4)ペンタエリスリトールテトラアクリレート
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート
などを用いることができる。
より好ましい多官能アクリレートは、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
ネオペンチルグリコールジアクリレート
エトキシ化(3)ビスフェノールAジアクリレート
エトキシ化(4)ビスフェノールAジアクリレート
エトキシ化(10)ビスフェノールAジアクリレート
トリシクロデカンジメタノールジアクリレート
プロポキシ化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレート
エトキシ化(30)ビスフェノールAジアクリレート
トリメチロールプロパントリアクリレート
トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート
(PO(プロポキシ基)の数:2,3,4,6)
トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート
(EO(エトキシ基)の数:3,6,9,15,20)
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート
EO変性グリセリントリアクリレート
プロポキシ化(3)グリセリルトリアクリレート
高プロポキシ化(5.5)グリセリルトリアクリレート
からなる群から選択される少なくとも1種である。
重合開始剤としては、
アルキルフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤、チタノセン系重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤、オキシムエステル酢酸エステル系光重合開始剤などを用いることができる。
上記重合開始剤の具体的な例として、
2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGACURE651)
1− ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルーケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGACURE184)
2−ヒドロキシー2−メチルー1−フェニループロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製DAROCUR1173)
その他、IRGACURE2959, IRGACURE127, IRGACURE907, IRGACURE369, IRGACURE379, DAROCUR TPO, IRGACURE819, IRGACURE784, IRGACURE OXE01, IRGACURE OXE02, IRGACURE754(すべてチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)が挙げられる。
イソボルニルアクリレートは、9CPと比較的低粘度で、Tgが高い。また、脂環式構造をとっていることから、耐エッチング性が高く、好ましい。
イソボルニルアクリレートと重合開始剤だけである場合、樹脂スタンパーからの剥離性が劣る。単官能モノマー、2官能モノマーとイソボルニルアクリレートの組み合わせでも同様であり、3官能モノマーとの組み合わせで耐エッチング性が良好なまま、硬化後の膜の硬さも十分となった。3官能モノマーより大きい多官能モノマーの場合、粘度が高くなるために本目的の低粘度紫外線硬化性樹脂用途では好ましくない。
アダマンチル基を持つアクリレート、いわゆるアダマンチルアクリレートは、やはり、脂環式構造をとっていることから、耐エッチング性が高く、好ましい。さらにイソボルニルアクリレートよりも高Tgであり耐熱性に優れている。しかしながら通常、常温にて固体となるものが多いため紫外線硬化性樹脂材料の成分としては使用できないものとなっていた。本発明者らは鋭意研究した結果、下記の3種類のアダマンチルアクリレートは常温で液体であり、かつ、粘度も100〜140CPであることが分かった。
下記式(2)で表される2−メチルー2ーアダマンチルアクリレート
Figure 2011100538
下記式(3)で表される2-エチルー2-アダマンチルアクリレート
Figure 2011100538
下記式(4)で表される1,3−アダマンタンジメタノールジアクリレート
Figure 2011100538
これを紫外線硬化性樹脂成分として用いることができる。
重合開始剤は、UV照射に用いるランプの波長によって最適なものを選ぶ必要がある。
UV照射に用いるランプとしては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンフラッシュランプなどを使用することができる。
さらに、紫外線硬化樹脂を有機溶媒に溶かしたレジストについても使うことができる。この紫外線硬化樹脂を有機溶媒に溶かしたレジストは粘度を下げることが容易にできること、スピン塗布時に溶媒が揮発することによりスピン条件による膜厚制御が実施しやすく、内周から外周の膜厚均一性が良好である。
有機溶媒としては、エチルアルコール、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PEGMEA)、乳酸エチル、アニソールなどが使用可能であるが樹脂スタンパーをポリカーボネートとした場合は貼り合わせ中にポリカーボネートを溶解することがある。ジアセトンアルコール、ジブチルエーテル、フッ素アルコールを溶媒とすればポリカーボネートであっても溶解しない。特にフッ素アルコールはスピン塗布の膜厚均一性が良好であり、スピン塗布後の残存溶媒も非常に少なく良好である。フッ素アルコールとしては2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(ダイキンファインケミカル研究所製A−5210など:H(CFCHOH)、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール(ダイキンファインケミカル研究所製A−5410など:H(CFCHOH)、その他のフッ素アルコール(ダイキンファインケミカル製A−1210:F(CFCHOH、A−1420:F(CFCHCHOH、A−1620:F(CFCHCHOH)等がある。2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(TFP)は蒸発速度が速いこと、粘度が低い、紫外線硬化樹脂の溶解性が良く最も良好である。溶媒に対して紫外線硬化樹脂原液は少量(10重量%以下程度)を溶解させる。溶解には攪拌法、超音波法などを使用できる。
本発明に使用可能な磁気ディスク基板としては、たとえばガラス基板、Al系合金基板、セラミック基板、カーボン基板、酸化表面を有するSi単結晶基板、およびこれらの基板の表面にNiP層を形成したものなどを用いることができる。ガラス基板には、アモルファスガラスまたは結晶化ガラスを用いることができる。アモルファスガラスとしては、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラスなどがある。結晶化ガラスとしては、リチウム系結晶化ガラスなどがある。セラミック基板としては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素などを主成分とする焼結体や、これらの焼結体を繊維強化したものなどを用いることができる。基板の表面にNiP層を形成するには、メッキやスパッタリングが用いられる。
垂直磁気記録媒体を作製する場合には、基板上に軟磁性下地層(SUL)介して垂直磁気記録層を設けたいわゆる垂直二層媒体とすることができる。垂直二層媒体の軟磁性下地層は、記録磁極からの記録磁界を通過させ、記録磁極の近傍に配置されたリターンヨークへ記録磁界を還流させるために設けられている。すなわち、軟磁性下地層は記録ヘッドの機能の一部を担っており、記録層に急峻な垂直磁界を印加して、記録効率を向上させる役目を果たす。
本発明に使用可能な軟磁性下地層としては、例えばFe、NiおよびCoのうち少なくとも1種を含む高透磁率材料が挙げられる。このような材料として、FeCo系合金たとえばFeCo、FeCoVなど、FeNi系合金たとえばFeNi、FeNiMo、FeNiCr、FeNiSiなど、FeAl系およびFeSi系合金たとえばFeAl、FeAlSi、FeAlSiCr、FeAlSiTiRu、FeAlOなど、FeTa系合金たとえばFeTa、FeTaC、FeTaNなど、FeZr系合金たとえばFeZrNなどが挙げられる。
軟磁性下地層として、Feを60原子%以上含有するFeAlO、FeMgO、FeTaN、FeZrNなどの微結晶構造、または微細な結晶粒子がマトリクス中に分散されたグラニュラー構造を有する材料を用いることもできる。
軟磁性下地層の他の材料として、Coと、Zr、Hf、Nb、Ta、TiおよびYのうち少なくとも1種とを含有するCo合金を用いることもできる。Coは、好ましくは80原子%以上含まれる。このようなCo合金をスパッタリングにより成膜した場合にはアモルファス層が形成されやすい。アモルファス軟磁性材料は、結晶磁気異方性、結晶欠陥および粒界がないため、非常に優れた軟磁性を示す。また、アモルファス軟磁性材料を用いることにより、媒体の低ノイズ化を図ることができる。好適なアモルファス軟磁性材料としては、たとえばCoZr、CoZrNb、及びCoZrTa系合金などを挙げることができる。
軟磁性下地層の下に、軟磁性下地層の結晶性の向上あるいは基板との密着性の向上のためにさらに下地層を設けることができる。下地層材料としては、Ti、Ta、W、Cr、Pt、もしくはこれらを含む合金、またはこれらの酸化物、窒化物を用いることができる。
軟磁性下地層と垂直磁気記録層との間に、非磁性体からなる中間層を設けることができる。中間層の役割は、軟磁性下地層と記録層との交換結合相互作用を遮断すること、および記録層の結晶性を制御することである。中間層材料としては、Ru、Pt、Pd、W、Ti、Ta、Cr、Si、もしくはこれらを含む合金、またはこれらの酸化物、窒化物を用いることができる。
スパイクノイズ防止のために軟磁性下地層を複数の層に分け、厚さ0.5〜1.5nmのRuを挟んで反強磁性結合させることができる。また、軟磁性層と、CoCrPt、SmCo、FePtなどの面内異方性を持った硬磁性膜またはIrMn、PtMnなどの反強磁性体からなるピニング層とを交換結合させることができる。この場合、交換結合力を制御するために、Ru層の上下に、磁性層たとえばCo、または非磁性層たとえばPtを積層することができる。
本発明に使用可能な垂直磁気記録層には、たとえば、Coを主成分とし、少なくともPtを含み、必要に応じてCrを含み、さらに酸化物(たとえば酸化シリコン、酸化チタン)を含む材料が用いることができる。垂直磁気記録層中では、磁性結晶粒子が柱状構造をなしていることが好ましい。このような構造を有する垂直磁気記録層では、磁性結晶粒子の配向性および結晶性が良好であり、結果として高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)を得ることができる。上記のような構造を得るためには、酸化物の量が重要になる。酸化物の含有量は、Co、Pt、Crの総量に対して、3mol%以上12mol%以下にすることができる、さらには、5mol%以上10mol%以下にすることができる。垂直磁気記録層中の酸化物の含有量が上記の範囲であれば、磁性粒子の周りに酸化物が析出し、磁性粒子を孤立化および微細化させることができる。酸化物の含有量が上記範囲を超える場合、酸化物が磁性粒子中に残留し、磁性粒子の配向性、結晶性を損ね、さらには磁性粒子の上下に酸化物が析出し、結果として磁性粒子が垂直磁気記録層を上下に貫いた柱状構造が形成されない傾向がある。一方、酸化物の含有量が上記範囲未満である場合、磁性粒子の孤立化および微細化が不十分となり、結果として記録再生時におけるノイズが増大し、高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)が得られない傾向がある。
垂直磁気記録層のPtの含有量は、10原子%以上25原子%以下にすることができる。Pt含有量が上記範囲であると、垂直磁気記録層に必要な一軸磁気異方性定数Kuが得られ、さらに磁性粒子の結晶性、配向性が良好になり、結果として高密度記録に適した熱揺らぎ特性、記録再生特性が得られる。Pt含有量が上記範囲を超えた場合、磁性粒子中にfcc構造の層が形成され、結晶性、配向性が損なわれるおそれがある。一方、Pt含有量が上記範囲未満である場合、高密度記録に適したKuしたがって熱揺らぎ特性が得られない傾向がある。
垂直磁気記録層のCrの含有量は、0原子%以上16原子%以下が好ましく、10原子%以上14原子%以下がより好ましい。Cr含有量が上記範囲であると、磁性粒子の一軸磁気異方性定数Kuを下げることなく高い磁化を維持でき、結果として高密度記録に適した記録再生特性と十分な熱揺らぎ特性が得られる。Cr含有量が上記範囲を超えた場合、磁性粒子のKuが小さくなるため熱揺らぎ特性が悪化し、かつ磁性粒子の結晶性、配向性が悪化し、結果として記録再生特性が悪くなる傾向がある。
垂直磁気記録層は、Co、Pt、Cr、酸化物に加えて、B、Ta、Mo、Cu、Nd、W、Nb、Sm、Tb、Ru、Reから選ばれる1種類以上の添加元素を含むことができる。これらの添加元素を含むことにより、磁性粒子の微細化を促進するか、または結晶性や配向性を向上させることができ、より高密度記録に適した記録再生特性、熱揺らぎ特性を得ることができる。これらの添加元素の合計含有量は、8原子%以下にすることができる。8原子%を超えた場合、磁性粒子中にhcp相以外の相が形成されるため、磁性粒子の結晶性、配向性が乱れ、結果として高密度記録に適した記録再生特性、熱揺らぎ特性が得られない傾向がある。
垂直磁気記録層の他の材料としては、CoPt系合金、CoCr系合金、CoPtCr系合金、CoPtO、CoPtCrO、CoPtSi、CoPtCrSiが挙げられる。垂直磁気記録層に、Pt、Pd、RhおよびRuからなる群より選択される少なくとも一種を主成分とする合金と、Coとの多層膜を用いることもできる。また、これらの多層膜の各層に、Cr、BまたはOを添加した、CoCr/PtCr、CoB/PdB、CoO/RhOなどの多層膜を用いることもできる。
垂直磁気記録層の厚さは、5〜60nmにすることができる、さらには10〜40nmにすることができる。この範囲の厚さを有する垂直磁気記録層は高記録密度に適している。垂直磁気記録層の厚さが5nm未満であると、再生出力が低過ぎてノイズ成分の方が高くなる傾向がある。一方、垂直磁気記録層の厚さが40nmを超えると、再生出力が高過ぎて波形を歪ませる傾向がある。垂直磁気記録層の保磁力は、237000A/m(3000Oe)以上にすることができる。保磁力が237000A/m(3000Oe)未満であると、熱揺らぎ耐性が劣る傾向がある。垂直磁気記録層の垂直角型比は、0.8以上にすることができる。垂直角型比が0.8未満であると、熱揺らぎ耐性に劣る傾向がある。
垂直磁気記録層上には保護層を設けることが出来る。
保護層は、垂直磁気記録層の腐食を防ぐとともに、磁気ヘッドが媒体に接触したときに媒体表面の損傷を防ぐ作用を有する。保護層の材料としては、たとえばC、SiO、ZrOを含む材料が挙げられる。保護層の厚さは、1〜10nmとすることが好ましい。保護層の厚さを上記の範囲にすると、ヘッドと媒体の距離を小さくできるので、高密度記録に好適である。
垂直磁気記録媒体表面には、潤滑剤としては、たとえばパーフルオロポリエーテル、フッ化アルコール、フッ素化カルボン酸などを塗布することができる。
図3に、磁気記録媒体を記録再生する磁気記録再生装置を表す図を示す。
この磁気記録装置は、筐体61の内部に、磁気記録媒体62と、磁気記録媒体62を回転させるスピンドルモータ63と、記録再生ヘッドを含むヘッドスライダー64と、ヘッドスライダー64を支持するヘッドサスペンションアッセンブリ(サスペンション65とアクチュエータアーム66)と、ボイスコイルモータ67と、回路基板とを備える。
磁気記録媒体62はスピンドルモータ63に取り付けられて回転され、垂直磁気記録方式により各種のデジタルデータが記録される。ヘッドスライダー64に組み込まれている磁気ヘッドはいわゆる複合型ヘッドであり、単磁極構造のライトヘッドと、GMR膜やTMR膜などを用いたリードヘッドとを含む。アクチュエータアーム66の一端にサスペンション65が保持され、サスペンション65によってヘッドスライダー64を磁気記録媒体62の記録面に対向するように支持する。アクチュエータアーム66はピボット68に取り付けられる。アクチュエータアーム64の他端にはアクチュエータとしてボイスコイルモータ67が設けられている。ボイスコイルモータ67によってヘッドサスペンションアッセンブリを駆動して、磁気ヘッドを磁気記録媒体61任意の半径位置に位置決めする。回路基板はヘッドICを備え、ボイスコイルモータの駆動信号、および磁気ヘッドによる読み書きを制御するための制御信号などを生成する。
この磁気ディスク装置を用い、加工した磁気記録媒体からアドレス信号等を再生することが出来る。
本発明の方法を用いて、半径9mm〜22mmのデータゾーンにおいて、トラック密度が325kTPI(track per inch、78nmトラックピッチに相当)である磁気ディスクを作製した。
このようなサーボ領域を有する磁気ディスクを製造するには、磁気ディスク上の磁性層パターンと対応する凹凸パターンを有するスタンパを用いてインプリントを行う。なおインプリントおよびその後の加工によって形成された磁性層の凹凸パターンは非磁性体材料によってその凹部が埋め込まれ、表面が平坦化されていても構わない。
以下、本実施形態の磁気ディスクの製造方法を説明する。
まず、スタンパを作製した。
スタンパの型となる原盤の基板として6インチ径のSiウエハーを用意した。一方、日本ゼオン社製のレジストZEP−520Aをアニソールで2倍に希釈し、0.05μmのフィルタでろ過した。Siウエハー上にレジスト溶液をスピンコートした後、200℃で3分間プリベークして、厚さ約50nmのレジスト層を形成した。
ZrO/W熱電界放射型の電子銃エミッターを有する電子ビーム描画装置を用い、加速電圧50kVの条件で、Siウエハー上のレジストに所望のパターンを直接描画した。描画時にはサーボパターン、バーストパターン、アドレスパターン、トラックパターンを形成するための信号と、描画装置のステージ駆動系(少なくとも一方向の移動軸の移動機構と回転機構とを有する、いわゆるX−θステージ駆動系)へ送る信号と、電子ビームの偏向制御信号とを同期させて発生する信号源を用いた。描画中は線速度500mm/sのCLV(Constant Linear Velocity)でステージを回転させるとともに、半径方向にもステージを移動させた。また、1回転毎に電子ビームに偏向をかけて、同心円をなすトラック領域を描画した。なお、1回転あたり7.8nmずつ送り、10周で1トラック(1アドレスビット幅に相当)を形成した。
SiウエハーをZED−N50(日本ゼオン社製)に90秒間浸漬してレジストを現像した後、ZMD−B(日本ゼオン社製)に90秒間浸漬してリンスを行い、エアーブローにより乾燥させ、図示しないレジスト原盤を作製した。
レジスト原盤上にスパッタリングによってNiからなる導電膜を形成した。具体的には、ターゲットに純ニッケルを使用し、8×10−3Paまで真空引きした後、アルゴンガスを導入して圧力を1Paに調整したチャンバー内で400WのDCパワーを印加して40秒間スパッタリングを行い、厚さ約10nmの導電膜を成膜した。
導電膜をつけたレジスト原盤をスルファミン酸ニッケルメッキ液(昭和化学(株)製、NS−160)に浸漬し、90分間Ni電鋳して、厚さ約300μmの電鋳膜を形成した。電鋳浴条件は次の通りである。
電鋳浴条件
スルファミン酸ニッケル:600g/L
ホウ酸:40g/L
界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム):0.15g/L
液の温度:55℃
pH:4.0
電流密度:20A/dm
レジスト原盤から、電鋳膜および導電膜をレジスト残渣がついた状態で剥離した。酸素プラズマアッシングによりレジスト残渣を除去した。具体的には、酸素ガスを100ml/minで導入して圧力を4Paに調整したチャンバー内で100Wのパワーを印加して20分間プラズマアッシングを行った。
図4(a)に示すように、磁気記録媒体の第1の主面にディスクリートトラックパターンを形成するための、こうした導電膜および電鋳膜を含む第1のファザースタンパ1を得た。その後、さらに電鋳を行い、図4(b)に示すような第1のマザースタンパー2を複製し、第1のマザースタンパ2の不要部を金属刃で打ち抜くことにより射出成形用スタンパを得た。
この第1のマザースタンパー2から、東芝機械製射出成形装置により第2の樹脂スタンパー3を複製した。成形材料としては、日本ゼオン社製 環状オレフィンポリマー ZEONOR 1060Rを用いたが、帝人化成製ポリカーボネート材AD5503でもよい。
同様にして、磁気記録媒体の第2の主面にディスクリートトラックパターンを形成するための第2のファザースタンパ、第2のマザースタンパ、第2の樹脂スタンパを得た。
次に、磁気ディスクを作製した。
1.8インチ径のドーナツ型ガラスからなるディスク基板4第1の主面及び第2の主面に、スパッタリングにより、各々、磁気記録層5,5’を形成した。この磁気記録層5,5’上に金属マスク層6,6’を3nm積層した。金属マスク層に用いることができる金属は、例えばAg,Al,Au,C,Cr,Cu,Ni,Pt,Pd,Ru,Si,Ta,Ti,Znなどや、これらを含む合金(例えば、CrTi,CoB,CoPt,CoZrNb,NiTa,NiW,Cr−N,SiC,TiOxなど)などである。中でも、SiやCuは樹脂スタンパーからの剥離性や加工性が優れ、好ましい。また、金属マスク層の膜厚も、加工性によって決まり、薄いほど良好である。本実施形態においては、Cuを3nm磁気記録層上に積層したものを用いた。
紫外線硬化性樹脂材料からなるレジスト7を第1の樹脂スタンパーに回転数10000rpmでスピンコートした。
続いて、真空貼り合わせ法により第1の樹脂スタンパを紫外線硬化性樹脂レジスト7を介してディスク基板の第1の主面に貼り合わせ、紫外線照射し樹脂を硬化させた後、
紫外線硬化性樹脂材料からなるレジスト7’を第2の樹脂スタンパーに回転数10000rpmでスピンコートし、続いて、真空貼り合わせ法により第2の樹脂スタンパを紫外線硬化性樹脂レジスト7を介してディスク基板の第2の主面に貼り合わせ、紫外線照射し樹脂を硬化させた後、第1の樹脂スタンパーを紫外線硬化性樹脂レジスト7から、及び第2の樹脂スタンパーを剥離した。このようにして、図4(c)に示すように、磁気記録媒体の両面に紫外線硬化性樹脂材料からなるレジストの硬化層を形成した。
紫外線インプリントによる凹凸形成プロセスでは、パターン凹部の底にレジスト残渣が残る。
次に、酸素ガスを用いたRIEにより、パターン凹部の底にあるレジスト残渣を除去した。レジスト7のパターンをマスクとして、Arイオンミリングにより、図4(d)に示すように、磁気記録層をエッチングした。続いて、図4(e)に示すように、酸素RIEによりレジストのパターンを剥離した。さらに全面に図示しないカーボン保護層を成膜した。その後、作製した磁気ディスクに潤滑剤を塗布する。
ここで、上述した磁気ディスク媒体においては、磁気記録層をレジストのマスクがない部位において底までエッチングしているが、途中でArイオンミリングを止め、凹凸が出来る程度の媒体であっても構わない。また、初めに磁性層を設けずにスタンパを基板上のレジストにインプリントした後エッチングするなどして先に基板形状に凹凸を設け、その後磁性膜を製膜した媒体であっても構わない。さらに、上述したものを含めいずれの場合にも溝部が何らかの非磁性材料によって埋め込まれていても構わない。
実施例
以下、実施例を示す、本発明を具体的に説明する。
この例では、1.8インチの磁気記録媒体の場合、磁気記録原料媒体の中心孔の径(内径)は12.01mm、外径は48mm、厚み0.508mmであり、
表面樹脂スタンパーの内径は7mm、外径75mm、厚み0.6mmである。
裏面樹脂スタンパーも表面樹脂スタンパーと同じサイズである。表面樹脂スタンパーの内径を例えば4mm、5mmと小さくすれば両面の剥離がさらに行いやすい。
2.5インチの場合は磁気記録原料媒体の内径は20.01mm、外径は65mm、厚み0.635mmであり、表面樹脂スタンパーの内径は7mm、外径75mm、厚み0.6mmである。
裏面樹脂スタンパーの内径は12.01mm、外径75mm、厚み0.6mmである。表面樹脂スタンパーの内径と裏面樹脂スタンパーの内径を同じにしても良く、この場合は同じ射出成形金型を使うことができるため便利である。
図1(a)ないし図1(d)に示す工程と同様にして、真空貼り合わせにより磁気記録媒体表面71を表面樹脂スタンパー51のパターン面上の紫外線硬化性樹脂レジスト44に貼り合わせ、紫外線照射し樹脂を硬化させた。この際、偏芯合わせのため表面樹脂スタンパーの内径と磁気記録媒体の内径をセンターピン47により位置合わせして貼り合わせた。
さらに、裏面樹脂スタンパーの裏面パターン面に紫外線硬化性樹脂をスピン塗布した。回転数は10000回転である。なお、ここでは、イソボルニルアクリレート30重量部、多官能アクリレートとして、トリメチロールプロパントリアクリレートを59重量部、アダマンチルアクリレートとして、2−メチルー2ーアダマンチルアクリレートを10重量部、重合開始剤としてIRGACURE369:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1を1重量部含有する紫外線硬化性樹脂を使用した
次いで、図2(a)及び図2(b)に示すように、真空貼り合わせにより磁気記録媒体71の裏面を裏面樹脂スタンパー52のパターン面上の紫外線硬化性樹脂レジスト45に貼り合わせ、紫外線照射し樹脂を硬化させた。この際、偏芯合わせのため裏面樹脂スタンパー52の内径と表面樹脂スタンパー51の内径をセンターピン48により位置合わせして貼り合わせた。
次に、図5(a)ないし図5(f)に、樹脂スタンパの剥離工程の一例を表す図を示す。
図示するように、表面樹脂スタンパー51を爪付き突き上げ部の付いた剥離部材49により剥離した。剥離時は裏面樹脂スタンパー51の背面を真空吸着することで保持することができる。
図6及び図7に、爪付き突き上げ部を正面から見た図の一例を各々示す。
爪付き突き上げ部は、図6に示すような閉じた状態で、図5(a),図5(b)に示すように、裏面樹脂スタンパーの内径穴より挿入した後に、図7に示すように3方向に開くようになっており、図5(c)に示すように、開いて表面樹脂スタンパー51を突き上げて剥離する。突き上げた直後に、図5(d)に示すように、爪部からNガスまたはエアーを吹き付けて剥離を促進させると剥離がしやすくなる。また、図示しないが、表面樹脂スタンパー51の背面から真空吸着して持ち上げること等を行うと剥離しやすく効果的である。
また、同様にして、表面樹脂スタンパー51を剥離済みのものから裏面樹脂スタンパー52を剥離する。磁気記録媒体71の表面転写パターンには接触しないように内径穴及び周縁を支持材48で真空吸着をして保持する。磁気記録媒体71の内径穴から突き上げ部を挿入し裏面樹脂スタンパーの内径部を突き上げることで剥離を行う。このとき、突き上げ部の付いた剥離装置49を用いても良いが、磁気記録媒体71の内径穴は、裏面樹脂スタンパー51より大きいので、図5(e)に示すように、例えば円柱状の突き上げ部材50などで容易に突き上げることができる。図5(f)に示すように、突き上げた直後に突き上げ部からNガスまたはエアーを吹き付けて剥離を促進させると剥離がしやすくなるし、裏面樹脂スタンパー52の背面から真空吸着して持ち上げる等を行うと剥離しやすく効果的である。
このようにして、両面ともに紫外線硬化性樹脂レジストパターンの転写された磁気記録媒体が作製された。
紫外線インプリントによる凹凸形成プロセスでは、パターン凹部の底にレジスト残渣が残る。
次に酸素ガスを用いたRIEにより、表面パターン凹部の底にあるレジスト残渣を除去した。さらに裏面パターン凹部の底にあるレジスト残渣を除去した。
レジストのパターンをマスクとして、Arイオンミリングにより金属マスク層をエッチングし、後に金属マスクをマスクとして磁気記録層をエッチングした。次いで酸素RIEによりレジストのパターンを剥離した。さらに全面にカーボン保護層を成膜した。その後、作製した磁気ディスクに潤滑剤を塗布する。
ここで、上述した磁気ディスク媒体においては、磁気記録層をレジストのマスクがない部位において底までエッチングしているが、途中でArイオンミリングを止め、凹凸が出来る程度の媒体であっても構わない。また、初めに磁性層を設けずにスタンパを基板上のレジストにインプリントした後エッチングするなどして先に基板形状に凹凸を設け、その後磁性膜を製膜した媒体であっても構わない。さらに、上述したものを含めいずれの場合にも溝部が何らかの非磁性材料によって埋め込まれていても構わない。
このようにして本発明のプロセスにより1000枚(2000面)の両面の磁気記録媒体の作製を行った。次に作製された両面磁気記録媒体の1次偏芯を工場顕微鏡(ニコン製)により測定した。
その結果、A面1次偏芯:最大値 20ミクロン、最小値 5ミクロン
B面1次偏芯: 最大値 24ミクロン、最小値 8ミクロン
が得られた。
2回またはそれ以上のUV照射に曝されても、スタンパの変形が少ないことがわかる。これは、UV硬化による収縮が少ないことによる。
なお、紫外線硬化性樹脂レジストは、樹脂スタンパとの剥離性が良く、磁気記録媒体表面と良好に密着していた。
また、両面の真空貼り合わせ工程から樹脂スタンパを剥離する工程の失敗は2000面中24面であり、ディスクとしては19枚が不良品となった。
つまり、(1000−19)/1000×100=98.1%、すなわち
総合した歩留まりは98.1%と良好であった。
4,71…磁気記録媒体,5,51…第1の樹脂スタンパ,5’52…第2の樹脂スタンパ、5…磁気記録層,7,44…第1の紫外線硬化性樹脂層,7’,45…第2の紫外線硬化性樹脂層

Claims (8)

  1. 中心孔を有する第1の樹脂スタンパの第1の凹凸パターン面上に未硬化のパターン転写用紫外線硬化性樹脂材料の第1の塗布層を形成する工程、
    真空下で、該第1の樹脂スタンパの第1の凹凸パターン面と、データ領域、サーボ領域を含み、中心孔を有する磁気記録媒体の第1の主面側の磁気記録層表面とを、該第1の凹凸パターン面上に設けられた未硬化のパターン転写用紫外線硬化性樹脂材料の第1の塗布層を介して貼り合わせる工程、
    該未硬化の紫外線硬化性樹脂材料の第1の塗布層に紫外線を照射して、硬化せしめ、
    前記磁気記録媒体の第1の主面上に第1の凹凸パターンを有する硬化した第1の紫外線硬化性樹脂材料層を形成する工程、
    中心孔を有する第2の樹脂スタンパの第2の凹凸パターン面上に、有機溶媒及び該有機溶媒に溶解された未硬化のパターン転写用紫外線硬化性樹脂材料を含有する第2の塗布層を形成する工程、
    真空下で、該第2の樹脂スタンパの第2の凹凸パターン面と、前記第1の主面とは反対側の第2の主面側の磁気記録層表面とを、該第2の凹凸パターン面上に設けられた未硬化のパターン転写用紫外線硬化性樹脂材料の第2の塗布層を介して貼り合わせる工程、
    該未硬化の紫外線硬化性樹脂材料の第2の塗布層に紫外線を照射して、硬化せしめ、
    前記磁気記録媒体の第2の主面上に第2の凹凸パターンを有する硬化した第2の紫外線硬化性樹脂材料層を形成する工程、
    前記第1の樹脂スタンパ及び前記第2の樹脂スタンパを剥離する工程、及び
    硬化された第1及び第2の紫外線硬化性樹脂材料層をマスクとしてドライエッチングを行い、磁気記録層両面に、凹凸パターンを形成する工程を具備することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 前記紫外線硬化性樹脂材料は、単官能アクリレート、多官能アクリレート、アダマンチルアクリレート、及び重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記紫外線硬化性樹脂材料は、単官能アクリレート、多官能アクリレート、アダマンチルアクリレート、重合開始剤のいずれかとフッ素アルコールを含有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記単官能アクリレートは、イソボルニルアクリレートである請求項2に記載の方法。
  5. 前記多官能アクリレートは、 1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
    ネオペンチルグリコールジアクリレート
    エトキシ化(3)ビスフェノールAジアクリレート
    エトキシ化(4)ビスフェノールAジアクリレート
    エトキシ化(10)ビスフェノールAジアクリレート
    トリシクロデカンジメタノールジアクリレート
    プロポキシ化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレート
    エトキシ化(30)ビスフェノールAジアクリレート
    トリメチロールプロパントリアクリレート
    トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート
    (PO(プロポキシ基)の数:2,3,4,6)
    トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート
    (EO(エトキシ基)の数:3,6,9,15,20)
    トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート
    EO変性グリセリントリアクリレート
    プロポキシ化(3)グリセリルトリアクリレート
    高プロポキシ化(5.5)グリセリルトリアクリレート
    からなる群から選択される少なくとも1種である請求項2に記載の方法。
  6. 前記アダマンチルアクリレートは、2−メチルー2ーアダマンチルアクリレート、2-エチルー2-アダマンチルアクリレート、1,3−アダマンタンジメタノールジアクリレートからなる群から選択されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  7. 前記第1の樹脂スタンパは、第2の主面側の中心孔から剥離爪を持つ突き上げ部材を挿入して剥離し、前記第2の樹脂スタンパは、第1の主面側の中心孔から突き上げ部材を挿入して剥離することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  8. 前記有機溶媒は、フッ素アルコール、ジアセトンアルコール、及びジブチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
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