JP2011098704A - 推進機関及びそれを用いた船舶 - Google Patents

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Abstract

【課題】二軸船のプロペラによって得られるエネルギーを、旋回流のエネルギーを回収することにより、より効率的に推進力に変換する。
【解決手段】二軸船の推進装置は、外回りに回転する一対のプロペラ5−1,5−2と、その後方に配置された舵6と、舵に取り付けられ、船尾側に向って上がる仰角を有するフィン8とを備える。一対のプロペラが中心線付近に発生する上向きの旋回流がフィンに当たることによって推進力が発生し、推進効率が向上する。
【選択図】図3B

Description

本発明は、推進装置及びそれを用いた船舶に関する。
船舶の推進装置の一例として、1機一軸(1機の主機と1基のプロペラ)の方式、及び2機二軸(2機の主機と2基のプロペラ)の方式が知られている。一般商船の推進装置としては、これら1機一軸方式、又は2機二軸方式を採用することが多い。それぞれ、前者を採用した船舶は一軸船、後者を採用した船舶は二軸船とも呼ばれている。
近年の船舶の大型化に伴い、一軸船では、プロペラの荷重度の増加に伴う推進効率の低下や、キャビテーション範囲の拡大に伴う船体振動の増加及びエロージョンの発生が問題となるケースがある。それらの問題は船舶を二軸船とすることで解決できることが知られている。二軸船においては、1基当たりのプロペラ荷重度が低減され、プロペラ効率が向上し、キャビテーション発生範囲が低減できるからである。
船尾に2基のプロペラを配置する例としては、オーバーラッピングプロペラ(OLP;Overlapping Propellers)の方式、インターロックプロペラの方式、及び、プロペラを左右並列する方式などがある。OLP方式では、2基のプロペラを前後にずらし、船尾から見た場合に2基のプロペラが重なるように配置する。OLP方式を採用することで推進性能が一軸船から5〜10%程度改善できる。インターロックプロペラ方式では、一方のプロペラの翼と翼との間に他方のプロペラの翼が入るように配置する。プロペラを左右並列する方式では、プロペラを船長方向の同じ位置に並べて配置する。
二軸船において、一軸船型の船尾構造が採用される場合がある。一軸船方の船尾構造においては、船尾船体が中央部分において薄いスケグの形状を有する。このような船尾船体の形状により、2基のプロペラを船体中心線の近くに配置することができる。二軸船において、一軸船型の船尾構造は以下のような点で有利である。
船尾において、通常の一軸船においてプロペラが配置される位置に、船体中心線に対称な1組の内回りに回転するビルジ渦のような遅い流れの縦渦が発生する。プロペラは流れの遅い場所で高い推進効率を発揮するため、その縦渦付近にてプロペラを回転させ、船体中心線付近の遅い流れや縦渦を回収することで、推進効率を向上させることができる。OLP方式の場合では、船体中心近傍の縦渦を効率良く回収して推進性能向上が図られるよう、プロペラ回転方向は外回りが採用されることが多い。
OLPの参考技術として、例えば特許文献1(WO2006/095774号公報)には、一軸船型の船尾構造にOLPを採用した場合のプロペラ荷重度やキャビテーションの発生を低減させる技術が記載されている。図1A及び図1Bは、特許文献1の二軸船の船尾の構成の一部を示す模式図である。図1Aは二軸船の船尾を船底側から見た模式図であり、図1Bは船尾から見た図1AのAA’断面の模式図である。
二軸船100は、一軸船型の船尾を有し、船尾に右舷プロペラ110、左舷プロペラ120、及び舵105を備えている。右舷プロペラ110は、右舷船尾管111内に挿通されている右舷プロペラ軸112の一端に接続されている。右舷プロペラ軸112は、他端を船体内部の右舷主機131に接続されている。右舷主機131は、右舷プロペラ軸112を介して右舷プロペラ110を回転させる。左舷プロペラ120は、左舷船尾管121内に挿通されている左舷プロペラ軸122の一端に接続されている。左舷プロペラ軸122は、他端を船体内部の左舷主機132に接続されている。左舷主機132は左舷プロペラ軸122を介して左舷プロペラ120を回転させる。右舷船尾管111と船尾船体103との間、及び左舷船尾管121と船尾船体103との間はそれぞれブラケットフィン108、109にて結合されている。舵105は、右舷プロペラ110及び左舷プロペラ120の後方、船体中心線上に設けられている。
図2は、OLPを船尾方向から見た図である。右舷プロペラ110は左舷プロペラ120よりも船尾側に位置する。ビルジ渦141−1、142−2は内回りである。すなわち、船尾側から見て、左舷側のビルジ渦141−1は時計回りであり、右舷側のビルジ渦141−2は反時計回りである。それと反対にプロペラは外回りである。すなわち左舷プロペラ120の回転方向140−1は反時計回りであり、右舷プロペラ110の回転方向140−2は時計回りである。OLP以外のインターロックプロペラの方式、及び、プロペラを左右並列する方式の場合も、このように外回りの回転が採用される場合が多い。
WO2006/095774号公報
上記のように、二軸船ではプロペラを外回りに回転することによって、ビルジ渦のエネルギーを回収することができる。しかしながら一般的な二軸船では、ビルジ渦による旋回流は、船体中心部のプロペラ対の間では弱く、プロペラの旋回流を打ち消すほどではない。そのため図2に示すように、プロペラの後方には、船体中心線付近で上向きの旋回流142が残る。本発明の発明者は、このような旋回流142が存在するために、プロペラの旋回流の回収が不十分であることに着目した。
本発明の目的は、二軸船のプロペラによって得られるエネルギーをより効率的に推進力に変換する技術を提供することである。
以下に、[発明を実施するための形態]で使用される番号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための形態]との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
本発明の一側面において、推進装置は、船体の左舷側と右舷側に配置され外回りに回転する一対のプロペラ(5−1、5−2)と、一対のプロペラに対して船尾側に且つ左右方向に一対のプロペラの間の位置に配置された舵(6)と、舵に取り付けられ、船尾側に向って上がる仰角を有するフィン(8)とを備える。
本発明の他の側面において、フィン(8)の下端は、一対のプロペラの下端以上の高さに位置する。
本発明の更に他の側面において、フィン(8)の左端は、左右方向に一対のプロペラのうちの左舷側のプロペラ(5−2)の中心と同じ又はより中心側に位置する。フィン(8)の右端は、左右方向に一対のプロペラのうちの右舷側のプロペラ(5−1)の中心と同じ又はより中心側に位置する。
本発明の更に他の側面において、舵(6)は、左右方向に一対のプロペラ(5−1、5−2)の中心に位置する。フィン(8)は左右方向に対称な形状である。
本発明の更に他の側面において、フィン(8)の左右端には、一対のプロペラ(5−1、5−2)からフィン(8)に到達した水流が左右側に逃れることを妨げる一対の翼端板(9)が形成される。
本発明の一側面における船舶は、本発明による推進装置が発生する推力によって推進する。
本発明により、二軸船のプロペラによって得られるエネルギーをより効率的に推進力に変換する技術が提供される。
図1Aは、参考技術におけるOLPを有する船舶の底面図である。 図1Bは、参考技術におけるOLPを有する船舶の側面図である。 図2は、プロペラ対を船尾から見た図である。 図3Aは、船舶の推進装置の上面図である。 図3Bは、船舶の推進装置の側面図である。 図4は、舵とフィンを示す側面図である。 図5は、舵とフィンを示す側面図である。 図6Aは、船舶の推進装置の上面図である。 図6Bは、船舶の推進装置の側面図である。 図7Aは、船舶の推進装置の上面図である。 図7Bは、船舶の推進装置の側面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図3Aは、第1実施形態における船舶の推進装置の上面図である。図3Bは右舷側から見た側面図である。船体1は、スケグやV字船体などの船尾船体2を備える。船体1に、主機3−1、3−2、右舷プロペラ軸4−1、右舷プロペラ5−1、左舷プロペラ軸4−2、左舷プロペラ5−2、フィン8を有する推進装置が設置される。
船体1の内部に、右舷側の主機3−1と左舷側の主機3−2とが設置される。主機3−1には右舷プロペラ軸4−1を介して右舷プロペラ5−1が取り付けられる。主機3−2には左舷プロペラ軸4−2を介して左舷プロペラ5−2が取り付けられる。右舷プロペラ4−1と左舷プロペラ4−2の高さ方向(水深方向)の高さは同じである。右舷プロペラ軸4−1と左舷プロペラ軸4−2とはそれぞれボッシング7によって支持される。右舷プロペラ5−1と左舷プロペラ5−2との後方の船体2の中心線上に舵6が取り付けられる。
本実施形態における船舶はOLPを備えた二軸船である。すなわち、右舷プロペラ5−1は船体2の中心線よりも少し右側に配置される。左舷プロペラ5−2は船体2の中心線よりも少し左側に配置される。左舷プロペラ軸4−2の後端は、右舷プロペラ軸4−1の後端よりも船尾側に長く延長している。そのため左舷プロペラ5−2は右舷プロペラ5−1よりも後方に位置する。すなわち右舷プロペラ5−1は前方プロペラ、左舷プロペラ5−2は後方プロペラである。この前後関係は逆であってもよい。すなわち右舷プロペラ5−1が後方プロペラであり左舷プロペラ5−2が前方プロペラであってもよい。右舷プロペラ軸4−1と左舷プロペラ軸4−2との間の距離は、右舷プロペラ5−1や左舷プロペラ5−2の回転面の直径よりも小さく、半径よりも大きい。従って図2に示したように、船尾側から見ると、右舷プロペラ5−1の回転面と左舷プロペラ5−2の回転面とは、船体1の中心線付近で一部が重なる。
舵6にフィン8が取り付けられる。フィン8は、船尾に向かって上になるような迎角を有するように配置される。フィン8の下端、すなわち前方(船首側)の端部は、プロペラ対の旋回流を受けるように、右舷プロペラ5−1及び左舷プロペラ5−2の回転面の下端以上の高さに位置する。フィン8は、左右方向に右舷プロペラ5−1と左舷プロペラ5−2との間に配置される。すなわちフィン8の左端は左舷プロペラ5−2の中心軸と同じか、より中心側に位置する。フィン8の右端は右舷プロペラ5−1の中心軸と同じか、より中心側に位置する。好ましくはフィン8は、船体1の中心線、すなわち右舷プロペラ5−1と左舷プロペラ5−2との中心を基準として、左右方向に対称的な形状である。
このような推進装置を備えた船舶は、以下のように動作する。主機3−1、主機3−2が駆動すると、OLPを構成する右舷プロペラ5−1と左舷プロペラ5−2が水中で外回りに回転し、船体1が船首方向に進行する。船体1の周りには相対的に後ろ向きの水流が形成される。船尾船体2の後ろにビルジ渦が形成される。右舷プロペラ5−1と左舷プロペラ5−2が外回りの回転によってビルジ渦のエネルギーを回収することにより、高い推進効率で船舶が推進する。
図2を参照して説明したように、右舷プロペラ5−1と左舷プロペラ5−2の回転により、その後方の船体中心付近に、上向きの旋回流が発生する。その旋回流がフィン8に当たる。図4は、フィン8と旋回流Cの関係を示す側面図である。旋回流Cが当たることにより、迎角を有するフィン8に、上向きの成分と前方向きの成分を有する力P1が発生する。その前方向きの成分である推進力P2によって、推進効率が向上する。
一軸船の場合は、プロペラの後方に発生する旋回流は左右方向に非対称である。それに対して、近接して配置された二つのプロペラを有する近接二軸船の場合は、プロペラ対の後方に、左右方向に対称に近い水流が発生する。本実施形態における推進装置は、その左右対称に近い旋回流をフィン8で回収することによって、推進効率を向上することができる。
図5は、フィン8の取り付け位置を示す。舵6は固定部分6−1と可動部分6−2とを有する。固定部分6−1は船体1に対して固定される。可動部分6−2は、概ね鉛直方向を向く回動軸を中心にして固定部分6−1に対して回転する。フィン8は、その固定部分6−1に取り付けられるフィン8−1でもよいし、可動部分6−2に取り付けられるフィン8−2でもよい。舵6にフィン8−1、8−2の両方を取り付けてもよい。固定部分6−1に取り付けられるフィン8−1の場合は、左右対称な旋回流をより効率的に回収できる。フィン8−1、8−2の取り付け位置は、プロペラ対の高さに応じて、その旋回流をより受けやすい高さに決められる。
図6A、図6Bは、本発明の第2実施形態における推進装置及び船舶を示す上面図及び側面図である。本実施形態における推進装置は、第1実施形態に加えて、舵6に取り付けられたフィン8の左右方向の両端に翼端板9が形成される。翼端板9は、右舷プロペラ5−1と左舷プロペラ5−2からフィン8に到達した上向きの成分を有する旋回流がフィン8の左右に逃れることを妨げる。このような構成により、更に効率的に旋回流を回収して推進効率を向上することができる。
図7A、図7Bは、本発明の第3実施形態における推進装置及び船舶を示す上面図及び側面図である。本実施形態における推進装置は、第1実施形態と比べて、一対のプロペラがOLPではなく左右並列されている点が異なっている。このような構成においては、右舷プロペラ5−3と左舷プロペラ5−4によって後方に発生する旋回流がより左右対称に近いという点において、舵6によって旋回流のエネルギーをより効率的に回収することが可能である。
1 船体
2 船尾船体
3−1、3−2 主機
4−1 右舷プロペラ軸
4−2 左舷プロペラ軸
5−1 右舷プロペラ
5−2 左舷プロペラ
5−3 右舷プロペラ
5−4 左舷プロペラ
6 舵
6−1 固定部分
6−2 可動部分
7 ボッシング
8、8−1、8−2 フィン
9 翼端板
100 二軸船
103 船尾船体
105 舵
108、109 ブラケットフィン
110 右舷プロペラ
111 右舷船尾管
112 右舷プロペラ軸
120 左舷プロペラ
121 左舷船尾管
122 左舷プロペラ軸
131 右舷主機
132 左舷主機
140−1、140−2 回転方向
141−1、141−2ビルジ渦
142 旋回流
C 旋回流
P1 力
P2 推進力

Claims (6)

  1. 船体の左舷側と右舷側に配置され外回りに回転する一対のプロペラと、
    前記一対のプロペラに対して船尾側に且つ左右方向に前記一対のプロペラの間の位置に配置された舵と、
    前記舵に取り付けられ、船尾側に向って上がる仰角を有するフィン
    とを具備する推進装置。
  2. 請求項1に記載された推進装置であって、
    前記フィンの下端は、前記一対のプロペラの下端以上の高さに位置する
    推進装置。
  3. 請求項1又は2に記載された推進装置であって、
    前記フィンの左端は、左右方向に前記一対のプロペラのうちの左舷側のプロペラの中心と同じ又はより中心側に位置し、
    前記フィンの右端は、左右方向に前記一対のプロペラのうちの右舷側のプロペラの中心と同じ又はより中心側に位置する
    推進装置。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載された推進装置であって、
    前記舵は、左右方向に前記一対のプロペラの中心に位置し、
    前記フィンは左右方向に対称な形状である
    推進装置。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載された推進装置であって、
    前記フィンの左右端には、前記一対のプロペラから前記フィンに到達した水流が左右側に逃れることを妨げる一対の翼端板が形成される
    推進装置。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載された推進装置が発生する推力によって推進する船舶。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014118096A (ja) * 2012-12-19 2014-06-30 Yasuo Ueno 船舶用推進装置

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