JP2012006556A - ツインスケグ船 - Google Patents

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Abstract

【課題】船尾部に設けられプロペラ軸をそれぞれ支持する左右一対のスケグ部を備えるツインスケグ船において、各スケグ部の側方に発生する船尾縦渦に起因する船体抵抗を効果的に低減でき、且つツインスケグ船の推進性能を向上させる。
【解決手段】船体3の船尾部4に船幅方向に間隔を隔てて設けられ、プロペラ軸5をそれぞれ支持する左右一対のスケグ部6と、プロペラ軸5の後端にそれぞれ装着された左右一対のプロペラ8とを備えるツインスケグ船1において、各スケグ部6の内側壁面6bに、各スケグ部6の内側に発生する船尾縦渦Sに対して迎角αを有するフィン10をそれぞれ各スケグ部6の内側に発生する船尾縦渦Sの渦中心Cと同じ高さ位置に設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、船尾部に船幅方向に間隔を隔てて設けられ、プロペラ軸をそれぞれ支持する左右一対のスケグ部と、プロペラ軸の後端にそれぞれ装着された左右一対のプロペラとを備えるツインスケグ船に関する。
船舶を大型化するためには、港湾の水深制限により船舶の幅を大きくせざるを得ない。一方、推進器であるプロペラの直径は水深制限の影響を受けて大きくできないので、1枚のプロペラでは大型化した船舶の航行に必要な推進力を得ることが難しくなる。そこで、プロペラを2枚搭載し、且つ排水量を稼ぐために左右一対のスケグ部(ボッシング)を備えるツインスケグ船によってその課題を解決する方法がある。このようなツインスケグ船の推進効率の改善について、たとえば特許文献1のようなツインスケグ船が提案されている。
特開2008−247322号公報
しかし、ツインスケグ船では、プロペラが装着されるプロペラ軸を支持するスケグ部(ボッシング)が2つあるため、通常では1つの船舶につき2個(1組)の船尾縦渦が4個(2組)発生する。船尾縦渦は船体抵抗の原因となるが、これまでツインスケグ船については船尾縦渦に起因する船体抵抗の低減のための措置がなされてこなかった。
そこで、本発明の目的は、船尾部に設けられプロペラ軸をそれぞれ支持する左右一対のスケグ部を備えるツインスケグ船において、各スケグ部の側方に発生する船尾縦渦に起因する船体抵抗を効果的に低減でき、且つツインスケグ船の推進性能を向上させることにある。
上記目的を達成するために、本発明は、船体の船尾部に船幅方向に間隔を隔てて設けられ、プロペラ軸をそれぞれ支持する左右一対のスケグ部と、前記プロペラ軸の後端にそれぞれ装着された左右一対のプロペラとを備えるツインスケグ船において、前記各スケグ部の内側壁面に、前記各スケグ部の内側に発生する船尾縦渦に対して迎角を有するフィンをそれぞれ前記各スケグ部の内側に発生する船尾縦渦の渦中心と同じ高さ位置に設けたものである。
前記フィンは、水平方向に張り出すように前記各スケグ部の内側壁面に設けられ、且つ、船後方から船前方に向かい前上がりに傾斜されているものであっても良い。
前記フィンは、ダクト形状に形成され、且つ、前記各スケグ部の内側に発生する船尾縦渦の渦中心よりも上方では船後方から船前方に向かい拡径されていると共に、前記各スケグ部の内側に発生する船尾縦渦の渦中心よりも下方では船後方から船前方に向かい縮径されているものであっても良い。
また、本発明は、船体の船尾部に船幅方向に間隔を隔てて設けられ、プロペラ軸をそれぞれ支持する左右一対のスケグ部と、前記プロペラ軸の後端にそれぞれ装着された左右一対のプロペラとを備えるツインスケグ船において、前記各スケグ部の外側壁面に、前記各スケグ部の外側に発生する船尾縦渦に対して迎角を有するフィンをそれぞれ前記各スケグ部の外側に発生する船尾縦渦の渦中心と同じ高さ位置に設けたものである。
前記フィンは、水平方向に張り出すように前記各スケグ部の外側壁面に設けられ、且つ、船後方から船前方に向かい前上がりに傾斜されているものである。
前記フィンは、ダクト形状に形成され、且つ、前記各スケグ部の外側に発生する船尾縦渦の渦中心よりも上方では船後方から船前方に向かい拡径されていると共に、前記各スケグ部の外側に発生する船尾縦渦の渦中心よりも下方では船後方から船前方に向かい縮径されているものである。
また、前記ツインスケグ船において、前記各プロペラの回転方向を、前記各スケグ部の船舷方向外側に発生する縦渦の回転方向と逆向きに設定してもよい。
本発明によれば、船尾部に設けられプロペラ軸をそれぞれ支持する左右一対のスケグ部を備えるツインスケグ船において、各スケグ部の側方に発生する船尾縦渦に起因する船体抵抗を効果的に低減でき、且つツインスケグ船の推進性能を向上させることができるという優れた効果を奏する。
図1(a)は本発明の第一実施形態に係るツインスケグ船の側面図であり、図1(b)はツインスケグ船の背面図である。 図2(a)は第一実施形態の変形例に係るツインスケグ船の側面図であり、図2(b)はツインスケグ船の背面図である。 図3(a)は本発明の第二実施形態に係るツインスケグ船の側面図であり、図3(b)はツインスケグ船の背面図である。 図4(a)は第二実施形態の変形例に係るツインスケグ船の側面図であり、図4(b)はツインスケグ船の背面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
まず、本発明の第一実施形態に係るツインスケグ船1を図1を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るツインスケグ船1は、船体3の船尾部4に船幅方向に間隔を隔てて設けられ、プロペラ軸5をそれぞれ支持する左右一対のスケグ部(ボッシング)6と、左右一対のスケグ部6の間に形成されたフロアトンネル部7と、プロペラ軸5の後端にそれぞれ装着された左右一対のプロペラ8と、船尾部4にプロペラ8の後方に位置させてそれぞれ設けられた左右一対の舵(図示せず)とを備えている。なお、図1(b)においては、プロペラボスを符号8aで示し、プロペラ円を符号8bで示している。
スケグ部6は、排水量を稼ぐために設けられている。スケグ部6は、フロアトンネル部7の天井面7aから下方に延出しており、高さ方向の中間部にてプロペラ軸5を支持している。本実施形態では、スケグ部6の下端6aの高さ位置と船底9の高さ位置とが一致するようにスケグ部6の突出高さ(フロアトンネル部7の天井面7aからの高さ)が設定されている。
フロアトンネル部7は、天井面7aが船前方から船後方に向かい高くなるように形成されている(図1(a)参照)。
プロペラ8は、図示しない駆動装置によって、プロペラ軸5を介して駆動されるようになっている。
舵は、図示しない操舵装置によって、駆動されるようになっている。
本実施形態に係るツインスケグ船1では、各スケグ部6の内側壁面6bに、各スケグ部6の内側(フロアトンネル部7側)に発生する船尾縦渦Sに対して迎角αを有するフィン10を各スケグ部6の内側に発生する船尾縦渦Sの渦中心Cと同じ高さ位置に設けている。具体的には、フィン10は、水平方向に張り出すように各スケグ部6の内側壁面6bに設けられ(図1(b)参照)、且つ、船後方から船前方に向かい前上がりに傾斜されている(図1(a)参照)。また、本実施形態では、フィン10の先端10aが船尾縦渦Sの渦中心Cに位置するように、フィン10の突出長さ(船幅方向の長さ)が設定されている(図1(b)参照)。
また、本実施形態に係るツインスケグ船1では、各プロペラ8の回転方向は、各スケグ部6の外側(舷側側)に発生する船尾縦渦Sの回転方向と逆向きになるように設定されている。即ち、本実施形態では、左右一対のプロペラ8は、互いに外回り(矢印X1方向)に回転されるようになっている(図1(b)参照)。ここで、本明細書において、「外回り」とは、左舷側のプロペラ8が背面視で左回りに回転され、右舷側のプロペラ8が背面視で右回りに回転されることをいう。
本実施形態の作用を説明する。
プロペラ8の前方の流れ場を計測すると、図1(b)に示すように、各スケグ部6を中心として左右対称に2つの船尾縦渦Sが存在する。各船尾縦渦Sは、船尾縦渦Sの渦中心Cよりスケグ部6側では上方から下方へ流れる下降流であり、船尾縦渦Sの渦中心Cより反スケグ部6側(スケグ部6とは反対側)では下方から上方へ流れる上昇流である。
本実施形態では、各スケグ部6の内側壁面6bに設けられたフィン10は、各スケグ部6の内側に発生する船尾縦渦Sに対して迎角αを有するよう設定されており、フィン10には前進方向成分を持つ揚力Lが発生する(図1(a)参照)。このため、フィン10によって各スケグ部6の内側に発生する船尾縦渦Sの回転方向運動エネルギーが弱められると共に、フィン10に生じた揚力Lの前進方向成分が船体3を推進させることとなる。
また、本実施形態では、各スケグ部6の内側に発生した船尾縦渦Sのみ、回転方向運動エネルギーが弱くなるため、各スケグ部6の外側で発生した船尾縦渦Sのみが、各スケグ部6の外側に発生する船尾縦渦Sの回転方向と逆向きに回転するプロペラ8へ流入することになり、プロペラ8には予旋回が与えられる効果が得られるので、プロペラ8の作動効率が向上する効果が得られる。
従って、本実施形態によれば、各スケグ部6の側方(内側)に発生する船尾縦渦Sに起因する船体抵抗を効果的に低減でき、且つツインスケグ船1の推進性能を向上させることが可能となる。
また、本実施形態では、フィン10は、水平方向に張り出すように各スケグ部6の内側壁面6bに設けられ、且つ、船後方から船前方に向かい前上がりに傾斜されている。これにより、フィン10には揚力Lが働いてツインスケグ船1を推進せしめる効果を得ることができるほか、各スケグ部6の内側に発生する船尾縦渦S(下降流)の回転方向運動エネルギーを圧力エネルギー、主流速方向エネルギーに効率良く変換することが可能となり、ツインスケグ船1の推進効率が改善される。
なお、各スケグ部6の内側に発生する船尾縦渦Sの回転方向運動エネルギーを弱めて前進方向成分を持つ揚力Lが得られる構成であれば、例えば図2に示すように、フィン10をダクト形状に形成しても良い。フィン10をダクト形状に形成した場合、フィン10は、各スケグ部6の内側に発生する船尾縦渦Sの渦中心Cよりも上方では船後方から船前方に向かい拡径される形状とされ、各スケグ部6の内側に発生する船尾縦渦Sの渦中心Cよりも下方では船後方から船前方に向かい縮径される形状とされる(図2(a)参照)。また、フィン10の外縁10bが船尾縦渦Sの渦中心Cに位置するように、ダクト形状のフィン10の半径が設定される(図2(b)参照)。
次に、本発明の第二実施形態に係るツインスケグ船2を図3を用いて説明する。なお、図1に示した第一実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
図3に示すように、本実施形態に係るツインスケグ船2では、各スケグ部6の外側壁面6cに、各スケグ部6の外側(舷側側)に発生する船尾縦渦Sに対して迎角αを有するフィン11を各スケグ部6の外側に発生する船尾縦渦Sの渦中心Cと同じ高さ位置に設けている。具体的には、フィン11は、水平方向に張り出すように各スケグ部6の外側壁面6cに設けられ(図3(b)参照)、且つ、船後方から船前方に向かい前上がりに傾斜されている(図3(a)参照)。また、本実施形態では、フィン11の先端11aが船尾縦渦Sの渦中心Cに位置するように、フィン11の突出長さ(船幅方向の長さ)が設定されている(図3(b)参照)。
また、本実施形態に係るツインスケグ船2では、各プロペラ8の回転方向は、各スケグ部6の内側(フロアトンネル部7側)に発生する船尾縦渦Sの回転方向と逆向きになるように設定されている。即ち、本実施形態では、左右一対のプロペラ8は、互いに内回り(矢印X2方向)に回転されるようになっている(図3(b)参照)。ここで、本明細書において、「内回り」とは、左舷側のプロペラ8が背面視で右回りに回転され、右舷側のプロペラ8が背面視で左回りに回転されることをいう。
本実施形態の作用を説明する。
本実施形態では、各スケグ部6の外側壁面6cに設けられたフィン11は、各スケグ部6の外側に発生する船尾縦渦Sに対して迎角αを有するよう設定されており、フィン11には前進方向成分を持つ揚力Lが発生する(図3(a)参照)。このため、フィン11によって各スケグ部6の外側に発生する船尾縦渦Sの回転方向運動エネルギーが弱められると共に、フィン11に生じた揚力Lの前進方向成分が船体3を推進させることとなる。
また、本実施形態では、各スケグ部6の外側に発生した船尾縦渦Sのみ、回転方向運動エネルギーが弱くなるため、各スケグ部6の内側で発生した船尾縦渦Sのみが、各スケグ部6の内側に発生する船尾縦渦Sの回転方向と逆向きに回転するプロペラ8へ流入することになり、プロペラ8には予旋回が与えられる効果が得られるので、プロペラ8の作動効率が向上する効果が得られる。
従って、本実施形態によれば、各スケグ部6の側方(外側)に発生する船尾縦渦Sに起因する船体抵抗を効果的に低減でき、且つツインスケグ船2の推進性能を向上させることが可能となる。
また、本実施形態では、フィン11は、水平方向に張り出すように各スケグ部6の外側壁面6cに設けられ、且つ、船後方から船前方に向かい前上がりに傾斜されている。これにより、フィン11には揚力Lが働いてツインスケグ船2を推進せしめる効果を得ることができるほか、各スケグ部6の外側に発生する船尾縦渦S(下降流)の回転方向運動エネルギーを圧力エネルギー、主流速方向エネルギーに効率良く変換することが可能となり、ツインスケグ船2の推進効率が改善される。
なお、各スケグ部6の外側に発生する船尾縦渦Sの回転方向運動エネルギーを弱めて前進方向成分を持つ揚力Lが得られる構成であれば、例えば図4に示すように、フィン11をダクト形状に形成しても良い。フィン11をダクト形状に形成した場合、フィン11は、各スケグ部6の外側に発生する船尾縦渦Sの渦中心Cよりも上方では船後方から船前方に向かい拡径される形状とされ、各スケグ部6の外側に発生する船尾縦渦Sの渦中心Cよりも下方では船後方から船前方に向かい縮径される形状とされる(図4(a)参照)。また、フィン11の外縁11bが船尾縦渦Sの渦中心Cに位置するように、ダクト形状のフィン11の半径が設定される(図4(b)参照)。
1 ツインスケグ船
2 ツインスケグ船
3 船体
4 船尾部
5 プロペラ軸
6 スケグ部
6b 内側壁面
6c 外側壁面
8 プロペラ
10 フィン
11 フィン
C 渦中心
L 揚力
S 船尾縦渦
α 迎角

Claims (7)

  1. 船体の船尾部に船幅方向に間隔を隔てて設けられ、プロペラ軸をそれぞれ支持する左右一対のスケグ部と、前記プロペラ軸の後端にそれぞれ装着された左右一対のプロペラとを備えるツインスケグ船において、前記各スケグ部の内側壁面に、前記各スケグ部の内側に発生する船尾縦渦に対して迎角を有するフィンをそれぞれ前記各スケグ部の内側に発生する船尾縦渦の渦中心と同じ高さ位置に設けたことを特徴とするツインスケグ船。
  2. 前記フィンは、水平方向に張り出すように前記各スケグ部の内側壁面に設けられ、且つ、船後方から船前方に向かい前上がりに傾斜されている請求項1に記載のツインスケグ船。
  3. 前記フィンは、ダクト形状に形成され、且つ、前記各スケグ部の内側に発生する船尾縦渦の渦中心よりも上方では船後方から船前方に向かい拡径されていると共に、前記各スケグ部の内側に発生する船尾縦渦の渦中心よりも下方では船後方から船前方に向かい縮径されている請求項1に記載のツインスケグ船。
  4. 船体の船尾部に船幅方向に間隔を隔てて設けられ、プロペラ軸をそれぞれ支持する左右一対のスケグ部と、前記プロペラ軸の後端にそれぞれ装着された左右一対のプロペラとを備えるツインスケグ船において、前記各スケグ部の外側壁面に、前記各スケグ部の外側に発生する船尾縦渦に対して迎角を有するフィンをそれぞれ前記各スケグ部の外側に発生する船尾縦渦の渦中心と同じ高さ位置に設けたことを特徴とするツインスケグ船。
  5. 前記フィンは、水平方向に張り出すように前記各スケグ部の外側壁面に設けられ、且つ、船後方から船前方に向かい前上がりに傾斜されている請求項4に記載のツインスケグ船。
  6. 前記フィンは、ダクト形状に形成され、且つ、前記各スケグ部の外側に発生する船尾縦渦の渦中心よりも上方では船後方から船前方に向かい拡径されていると共に、前記各スケグ部の外側に発生する船尾縦渦の渦中心よりも下方では船後方から船前方に向かい縮径されている請求項4に記載のツインスケグ船。
  7. 前記各プロペラの回転方向を、前記各スケグ部の船舷方向外側に発生する縦渦の回転方向と逆向きに設定することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のツインスケグ船。
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