JP2011094849A - 火力発電プラント及びその運転方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】管内面に十分な保護皮膜が形成できて、耐用寿命の長い火力発電プラント及びその運転方法を提供する。
【解決手段】蒸気を用いて回転する発電用蒸気タービンと、その蒸気タービンから排出された蒸気を復水化する復水器2と、その復水器2によって生成された復水を給水として用いる発電ボイラを備えた火力発電プラントにおいて、前記復水器2の真空を利用して酸素含有ガスを吸い込む酸素含有ガス吸い込み経路5と、復水中の溶存酸素濃度計測結果に基づいて、復水中の溶存酸素濃度を調整する溶存酸素濃度調整装置6を備えた。
【選択図】図1

Description

本発明は、火力発電プラントに係り、特に給水中に還元剤を添加しない水処理方式であるAVT(O)〔All Volatile Treatment(Oxidizing)〕に関するものである。
高圧高温のボイラ装置に適用されている給水の水処理方法としては、古くから採用されている、給水にアンモニア等の揮発性のアルカリとヒドラジン等の還元剤を添加するAVT(R)と、最近採用され始めている、給水にアンモニア等の揮発性のアルカリのみを添加するAVT(O)、給水にアンモニア等の揮発性のアルカリと酸素を注入する酸素処理方式OT(複合水処理 CWTとも呼ばれる)がある。
前記還元剤として広く使用されていたヒドラジンは発癌性があるということから使用禁止の方向にあること、及びヒドラジン等の還元剤を復水、または給水に添加すると流れ加速腐食(FAC)を助長することが分かって来ており、ヒドラジン等の還元剤を添加しない水処理方式であるAVT(O)が、今後ドラムボイラの水処理方式として主流になると考えられる。この水処理方式は貫流ボイラプラントにも適用可能である。
なお、給水を酸化雰囲気とする点では前記AVT(O)とOTは同じであるが、AVT(O)ではOTのように、酸素注入装置を設置して積極的に酸素を注入しないという違いがある。
OTを採用する場合、復水器からの海水リークに備え、復水系統に復水脱塩装置を具備しておくことが必須条件であるが、AVT(O)の場合は水中の溶存酸素濃度が低いので、仮に復水器で海水リーク等を発生しても、適切な処置を行えばプラント全体に重大なトラブルを発生することは無い。このようにAVT(O)であれば、復水脱塩装置を具備していないプラントでも適用が可能であるという大きな利点を有している。
AVT(O)を採用した場合、つまり還元剤を添加しない場合に形成される管内面保護皮膜はα-Fe2O3(ヘマタイト)又はγ-FeOOH(オキシ水酸化鉄)と言われている。
還元剤を添加する水処理方式であるAVT(R)を採用した時に形成される保護皮膜Fe3O4(マグネタイト)と比較して、AVT(O)採用により形成される保護皮膜であるα-Fe2O3(ヘマタイト)、又はγ-FeOOH(オキシ水酸化鉄)は水に対する溶解度が小さく良好な防食性能を発揮する。この防食原理は酸素処理OTを採用した場合と同じである。
但し、α-Fe2O3(ヘマタイト)、又はγ-FeOOH(オキシ水酸化鉄)の保護皮膜を形成させるには、還元剤を添加しないだけでは不十分であり僅かの酸素が必要である。
気密性の高い復水器を採用している場合、実運転では復水中の酸素濃度が1〜2μgO/l程度である場合が殆どであり、そのためにα-Fe2O3(ヘマタイト)又はγ-FeOOH(オキシ水酸化鉄)の保護皮膜を形成させるのには給水又は復水中の溶存酸素濃度が不十分であることが多い。
特開平9−209710号公報 特開平10−9505号公報 特開2006−153381号公報 特開平9−33006号公報
前述のように、AVT(O)の防食原理は、水に対する溶解度の非常に小さい保護皮膜であるα-Fe2O3(ヘマタイト)、又はγ-FeOOH(オキシ水酸化鉄)を形成させることであり、α-Fe2O3(ヘマタイト)又はγ-FeOOH(オキシ水酸化鉄)は下記の化学反応で形成される。
3Fe2+ + 1/2O2 + 3H2O → Fe3O4 + 6H+
2Fe3O4 + H2O → 3α-Fe2O3 + 2H+ + 2e-
2Fe3O4 + H2O → 3γ-FeOOH + H+ + e-これら反応式に示すように保護皮膜であるα-Fe2O3又はγ-FeOOHを形成させるには酸素が必要であるが、復水器まわりのように気密性が高い場合には、還元剤の添加を止めただけでは復水の溶存酸素が低すぎて、十分な保護皮膜が形成されない場合がある。
本発明の目的は、このような従来技術の欠点を解消し、管内面に十分な保護皮膜が形成できて、耐用寿命の長い火力発電プラント及びその運転方法を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明の第1の手段は、蒸気を用いて回転する発電用蒸気タービンと、その蒸気タービンから排出された蒸気を復水化する復水器と、その復水器によって生成された復水を給水として用いる発電ボイラを備えた火力発電プラントにおいて、
前記復水器の真空を利用して酸素含有ガスを吸い込む酸素含有ガス吸い込み経路と、
復水中の溶存酸素濃度計測結果に基づいて、復水中の溶存酸素濃度を調整する溶存酸素濃度調整装置を備えたことを特徴とするものである。
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、前記復水中の溶存酸素濃度計測結果により、前記発電ボイラの節炭器入口の給水中の溶存酸素濃度が5〜20μgO/l(但し、「O」は酸素元素)の範囲に収まるように調整されることを特徴とするものである。
本発明の第3の手段は前記第1または第2の手段において、前記酸素含有ガスが空気であって、吸い込む空気中の炭酸ガスを吸収除去する炭酸ガス除去装置を前記酸素含有ガス吸い込み経路に付設したことを特徴とするものである。
本発明の第4の手段は前記第1ないし第3の手段において、前記復水中の溶存酸素濃度が基準値を超えた場合に前記酸素含有ガスの吸い込みを自動で停止できる酸素含有ガス遮断弁を、前記酸素含有ガス吸い込み経路上に設置したことを特徴とするものである。
本発明の第5の手段は前記第1ないし第4の手段において、前記復水中のカチオンパス電気伝導率を計測するカチオンパス電気伝導率計測手段を設け、
そのカチオンパス電気伝導率計測手段によって計測されたカチオンパス電気伝導率が基準値を超えた場合に前記酸素含有ガスの吸い込みを自動で停止できる酸素含有ガス遮断弁を、前記酸素含有ガス吸い込み経路上に設置したことを特徴とするものである。
本発明の第6の手段は前記第1ないし第5の手段において、前記復水器で生成した復水を前記発電ボイラ側に供給する復水管と、その復水管の途中に設けられた復水ポンプとを有し、前記復水管の前記復水器と復水ポンプの間に前記酸素含有ガス吸い込み経路を接続したことを特徴とするものである。
本発明の第7の手段は、蒸気を用いて回転する発電用蒸気タービンと、その蒸気タービンから排出された蒸気を復水化する復水器と、その復水器によって生成された復水を給水として用いる発電ボイラを備えた火力発電プラントの運転方法において、
酸素含有ガスを吸い込む酸素含有ガス吸い込み経路と、
復水中の溶存酸素濃度計測結果に基づいて、復水中の溶存酸素濃度を調整する溶存酸素濃度調整装置を備え、
当該火力発電プラントの運転中における前記復水器の真空を利用して、前記酸素含有ガス吸い込み経路から酸素含有ガスを前記溶存酸素濃度調整装置により調整しながら吸い込むことを特徴とするものである。
本発明の第8の手段は前記第7の手段において、前記復水の溶存酸素濃度計測結果により、前記発電ボイラの節炭器入口の給水中の溶存酸素濃度が5〜20μgO/l(但し、「O」は酸素元素)の範囲に収まるように調整されることを特徴とするものである。
本発明の第9の手段は前記第7または第8の手段において、前記酸素含有ガスが空気であって、前記酸素含有ガス吸い込み経路に炭酸ガス除去装置を付設し、
その炭酸ガス除去装置を通過して炭酸ガスを除去した空気を前記復水に供給することを特徴とするものである。
本発明の第10の手段は前記第7ないし第9の手段において、前記酸素含有ガス吸い込み経路上に酸素含有ガス遮断弁を設置して、
前記復水中の溶存酸素濃度が基準値を超えた場合に、前記酸素含有ガス遮断弁により前記酸素含有ガスの吸い込みを自動で停止することを特徴とするものである。
本発明の第11の手段は前記第7ないし第10の手段において、前記復水中のカチオンパス電気伝導率を計測するカチオンパス電気伝導率計測手段を設けるとともに、前記酸素含有ガス吸い込み経路上に酸素含有ガス遮断弁を設置して、
前記カチオンパス電気伝導率計測手段によって計測されたカチオンパス電気伝導率が基準値を超えた場合に、前記酸素含有ガス遮断弁により前記酸素含有ガスの吸い込みを自動で停止することを特徴とするものである。
本発明の第12の手段は前記第7ないし第11の手段において、前記復水器で生成した復水を前記発電ボイラ側に供給する復水管と、その復水管の途中に設けられた復水ポンプとを有し、前記復水管の前記復水器と復水ポンプの間に前記酸素含有ガス吸い込み経路を接続したことを特徴とするものである。
本発明は前述のような構成になっており、還元剤を使用しない水処理方法であるAVT(O)を採用した場合に、復水の溶存酸素不足により、十分な保護皮膜の生成ができない問題を解決でき、耐用寿命の長い火力発電プラント及びその運転方法を提供することができる。
本発明の第1実施例に係る火力発電プラントの復水器付近の系統図である。 本発明の第2実施例に係る火力発電プラントの復水器付近の系統図である。 本発明の第3実施例に係る火力発電プラントの復水器付近の系統図である。 本発明の実施例で用いられる炭酸ガス吸収装置の概略構造図である。 本発明の実施例に係るコンバインドサイクル発電設備の概略構成図である。
前記特開平10−9505号公報には、発電プラントの停止時に、真空破壊を目的として復水器に空気を導入することが記載されている。従って同公報に記載されている発明は、本発明のように復水中の溶存酸素濃度を調整するために、空気(酸素)を復水中に溶け込ませるのが目的ではなく、復水器内の復水が貯留している部分よりも上側の空間部分に空気を導入する構成になっている。
これに対して本発明は、空気(酸素)を復水中に溶け込ませて復水中の溶存酸素濃度を調整するのが目的である。その目的のため具体的には、復水管に空気吸い込み管を接続したり、あるいは復水器の復水が貯留している部分に空気吸い込み管を接続して、空気(酸素)を復水中に溶け込ませる構成になっている。構造的には、空気吸い込み管を復水器に接続するよりも復水管に接続した方が簡単であることから、後述する各実施例では空気吸い込み管を復水管に接続した例を示している。
また前記公報に記載されている発明は、発電プラントの停止時に、復水器の真空破壊を目的として空気を導入するのであるが、本発明は発電プラントの稼働時に復水器の真空を利用して空気(酸素)吸い込む構成になっている。
次に本発明の実施例を図面と共に説明する。図5は本発明の実施例に係るコンバインドサイクル発電設備の概略構成図である。
コンバインドサイクル発電設備は同図に示すように、ガスタービン23で天然ガスなどを燃焼させて発電を行い、高温のガスタービン排ガスGは排熱回収ボイラ22に送られる。排熱回収ボイラ22では排ガスGからの熱回収により供給した水が蒸気に変換され、発生した蒸気は高圧タービン25や中圧タービン26に送られ、中圧タービン26に連結された発電機24において発電を行なうシステムになっている。
排熱回収ボイラ22は、ガスタービン23からの排ガスGの流れ方向上流側から下流側にかけて、高圧過熱器40、再熱器53、高圧蒸発器39、低圧過熱器50、中圧過熱器45、高圧節炭器34、中圧蒸発器44、中圧節炭器35、低圧蒸発器49、低圧節炭器36などの熱交換器が設置されており、高温排ガスGと各熱交換器との間において熱交換が行なわれる。
一方、復水は、高中圧給水ポンプ30により送られる。高中圧給水ポンプ30により昇圧された、高中圧給水ポンプ30の中間段の水は中圧給水管32を経由して前記中圧節炭器35へ給水される。一方、高中圧給水ポンプ30により昇圧された高中圧給水ポンプ30の出口の水は、高圧給水管31を経由して前記高圧節炭器34へ給水される。また、復水の一部は、高中圧給水ポンプ30の入口で分岐されて、低圧給水管33を経由して前記低圧節炭器36へ直接給水される。
高圧節炭器34に給水された水は排熱により昇温され、高圧給水調節弁37を経由して高圧ドラム38へ給水される。そして高圧ドラム38へ給水された水は高圧蒸発器39で蒸気と水の混合体となり、高圧ドラム38で蒸気と水が分離され、分離された蒸気は高圧過熱器40へ送気されて過熱される。そして過熱された蒸気は、高圧主蒸気管41を経由して高圧タービン25へ送気され、蒸気タービンに動力を与える。
前記中圧節炭器35に給水された水は排熱により昇温され、中圧給水調節弁42を経由して中圧ドラム43へ給水される。そして中圧ドラム43へ給水された水は中圧蒸発器44で蒸気と水の混合体となり、中圧ドラム43で蒸気と水が分離され、分離された蒸気は中圧過熱器45へ送気されて過熱される。過熱された蒸気は、中圧主蒸気管46を経由して再熱器53に接続されている低温再熱蒸気管52に送られる。
高圧タービン25から排出された蒸気は、前記中圧過熱器45から送気された蒸気と低温再熱蒸気管52で合流されて、再熱器53へ送られる。再熱器53で過熱された蒸気は、高温再熱蒸気管54を経由して中圧タービン26へ送気され、蒸気タービンに動力を与える。
低圧節炭器36に給水された水は排熱により昇温され、低圧給水調節弁47を経由して低圧ドラム48へ給水される。そして低圧ドラム48へ給水された水は低圧蒸発器49で蒸気と水の混合体となり、低圧ドラム48で蒸気と水が分離され、分離された蒸気は低圧過熱器50へ送気されて過熱される。そして過熱された蒸気は、低圧主蒸気管51を経由して中圧タービン26の出口側へ送気され、中圧タービン26の排気と合流されて最終的に低圧タービン27に送気される。そして低圧タービン27に動力を与えた蒸気は、復水器2で例えば海水(冷却媒体)との間で熱交換がなされ、凝縮・復水化される。復水化された水は復水管3を経由して、復水ポンプ4により再び排熱回収ボイラへ送られる。
本実施例では海水を用いて復水器2を冷却したが、その他例えば河川水冷却、空気冷却、クーリングタワーで冷却水を作用させて復水器2を冷却するなどの方式も適用可能である。
前述のような水と蒸気の回収サイクルの中で、一部の水はドラムの連続ブロー等により系外に排出される。そして排出された水は、補給水管55により復水器2へ補給される。
復水の一部はサンプリング管28によりサンプリングされて、サンプリング装置29へ送られる。後述する復水(給水)中の溶存酸素濃度ならびにカチオンパス電気伝導率は、このサンプリング装置29内に設置されている溶存酸素濃度計、カチオンイオン交換樹脂筒、電気伝導率計、手分析系統などで計測する。また、アンモニアなどのアルカリ薬品は、薬液注入管56から復水に添加される。
本実施例では復水(給水)中の溶存酸素濃度を溶存酸素濃度計を用いて計測する例を示すが、溶存酸素濃度を手分析で計測することもある。
次に、この火力発電プラントの運転中における復水器2の真空を利用して復水中の溶存酸素濃度を調整する具体的な実施例について、図1ないし図4を用いて説明する。
(第1実施例)
図1は、本発明の第1実施例に係る復水器付近の系統図である。
同図に示すように、低圧蒸気タービン27の蒸気流れ方向下流側に復水器2が接続され、その復水器2の下部に復水管3が接続され、復水管3は排熱回収ボイラの高中圧給水ポンプ30側に延びている(図5参照)。また復水管3の途中には、復水ポンプ4が設置されている。
本実施例の場合は図に示すように、復水器2と復水ポンプ4の間の復水管3の部分に空気吸込み管5が接続され、その空気吸込み管5の途中には吸い込み空気流量調節弁6が設けられ、前記空気吸込み管5の開口端は大気に開放されている。
そして火力発電プラントの運転中における復水器2の真空を利用して空気吸込み管5から空気を吸い込み、その吸い込み空気流量は前記調節弁6の開度により適宜調整することができる。
水質があまり良くない条件で過剰に空気が復水に漏れ込むと孔食を発生する可能性があるので、空気リーク量が過剰にならないようにニードル弁等からなる吸い込み空気流量調節弁6を設置して、過剰な空気の吸い込みが発生しないように調整する。AVT(O)の保護皮膜を形成するために復水中の溶存酸素が少なすぎる場合には、前記空気流量調節弁6の開度を調整することにより、復水中の溶存酸素濃度を適切な値である5〜20μgO/l(但し、「O」は酸素元素)の範囲内、好ましくは5〜10μgO/lの範囲内に調整することができる。復水中の溶存酸素濃度が5μgO/l未満であると、緻密なα-Fe2O3(ヘマタイト)又はγ-FeOOH(オキシ水酸化鉄)の保護皮膜を形成することが難しく、一方、復水中の溶存酸素濃度が20μgO/lを超えると、伝熱管に孔食を発生する可能性があるから、復水中の溶存酸素濃度は5〜20μgO/lの範囲内に調整することが好ましい。
なお、溶存酸素濃度計の検出信号をフィードバック信号として、前記空気流量調節弁6の開度を自動で調整することにより、復水中の溶存酸素濃度を前述の範囲に維持することも可能である。
(第2実施例)
図2は、本発明の第2実施例に係る復水器付近の系統図である。
本実施例において、図1に示す第1実施例と相違する点は、図2に示すように前記空気吸込み管5に炭酸ガス吸収装置7を付設した点である。
本実施例では同図に示すように、空気吸込み管5の開口端部に炭酸ガス吸収装置7が付設されているが、炭酸ガス吸収装置7の付設位置はこれに限られるものではなく、空気吸込み管5上のいずれの位置であっても良い。
空気中には僅かの炭酸ガスが存在しており、空気と共に炭酸ガスが復水に混入する可能性があり、水質を悪化させる。炭酸ガスが復水に溶け込むと炭酸を生成して、復水のカチオンパス電気伝導率を上昇することになり、酸素が存在すると孔食発生の原因になる。
そこで本実施例では、空気吸込み管5の開口端部あるいはその途中に炭酸ガス吸収装置7を設置することにより、空気中の酸素と共に漏れ込む炭酸ガスを除去することが可能となり、炭酸ガスの洩れ込みによる復水のカチオンパス電気伝導率の上昇を防止して、孔食の発生を防止することができる。
(第3実施例)
図3は、本発明の第3実施例に係る復水器付近の系統図である。
前記図2に示す第2実施例と相違する点は、空気吸込み管5上の前記吸い込み空気流量調節弁6と炭酸ガス吸収装置7の間に常開式の遮断弁8を設置した点である。
この遮断弁8は、復水中の溶存酸素濃度を監視して溶存酸素濃度が高くなりすぎた場合、復水器2への補給水の水質が悪化して復水のカチオンパス電気伝導率が上がった場合、又は復水器2で海水リーク等を発生して復水のカチオンパス電気伝導率が上がった場合には、自動で遮断弁8を閉とする構成になっている。このように空気吸込み管5上に遮断弁8を設置することにより、発電プラントをより安全に運転することができる。
本実施例では具体的には、カチオンパス電気伝導率0.02mS/m以下を管理値としており、復水のカチオンパス電気伝導率が0.05mS/mを超えると酸素の漏れ込みを遮断するようになっている。
図4は、前記第2実施例ならびに第3実施例で用いられる炭酸ガス吸収装置7の概略構成図である。
同図に示すように炭酸ガス吸収装置7は、苛性ソーダや苛性カリあるいはエタノールアミンなどのアルカノールアミンを含む炭酸ガス吸収液11、その炭酸ガス吸収液11を収容する吸収液タンク12、その吸収液タンク12から外側に突出した大気吸込み管10、前記炭酸ガス吸収液11内の下部付近に浸漬されて大気吸込み管10と連結した穴明き管9などから構成されている。
吸収液タンク12の上部には空間部13が形成され、その空間部13に空気吸込み管5の開口部が臨んでいる。必要に応じて、前記炭酸ガス吸収液11と導入した空気(気泡)との接触状態を良好にして、炭酸ガス吸収効率を高めるために、炭酸ガス吸収液11の攪拌手段を吸収液タンク12内に設けることもできる。
復水器2の真空を利用して大気吸込み管10から吸い込まれた空気は、穴明き管9を通り、穴明き管9の周壁に開けられた小孔から炭酸ガス吸収液11内に放出される。放出された細かい気泡57は炭酸ガス吸収液11と効率よく接触しながら上昇し、その間で気泡57中の炭酸ガスが吸収・除去され、前記空間部13に溜められる。
この空間部13には空気吸込み管5の開口部が臨んでいるから、炭酸ガスを吸収・除去した空気が空気吸込み管5を通り、復水管3を通る復水に供給される。
2……復水器、3……復水管、4……復水ポンプ、5……空気吸い込み管、6……吸い込み空気流量調節弁、7……炭酸ガス吸収装置、8……遮断弁、9……穴明き管、10……大気吸込み管、11……炭酸ガス吸収液、12……吸収液タンク、13……空間部、G……排ガス。

Claims (12)

  1. 蒸気を用いて回転する発電用蒸気タービンと、その蒸気タービンから排出された蒸気を復水化する復水器と、その復水器によって生成された復水を給水として用いる発電ボイラを備えた火力発電プラントにおいて、
    前記復水器の真空を利用して酸素含有ガスを吸い込む酸素含有ガス吸い込み経路と、
    復水中の溶存酸素濃度計測結果に基づいて、復水中の溶存酸素濃度を調整する溶存酸素濃度調整装置を備えたことを特徴とする火力発電プラント。
  2. 請求項1に記載の火力発電プラントにおいて、前記復水中の溶存酸素濃度計測結果により、前記発電ボイラの節炭器入口の給水中の溶存酸素濃度が5〜20μgO/l(但し、「O」は酸素元素)の範囲に収まるように調整されることを特徴とする火力発電プラント。
  3. 請求項1または2に記載の火力発電プラントにおいて、前記酸素含有ガスが空気であって、吸い込む空気中の炭酸ガスを吸収除去する炭酸ガス除去装置を前記酸素含有ガス吸い込み経路に付設したことを特徴とする火力発電プラント。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の火力発電プラントにおいて、前記復水中の溶存酸素濃度が基準値を超えた場合に前記酸素含有ガスの吸い込みを自動で停止できる酸素含有ガス遮断弁を、前記酸素含有ガス吸い込み経路上に設置したことを特徴とする火力発電プラント。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の火力発電プラントにおいて、前記復水中のカチオンパス電気伝導率を計測するカチオンパス電気伝導率計測手段を設け、
    そのカチオンパス電気伝導率計測手段によって計測されたカチオンパス電気伝導率が基準値を超えた場合に前記酸素含有ガスの吸い込みを自動で停止できる酸素含有ガス遮断弁を、前記酸素含有ガス吸い込み経路上に設置したことを特徴とする火力発電プラント。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の火力発電プラントにおいて、前記復水器で生成した復水を前記発電ボイラ側に供給する復水管と、その復水管の途中に設けられた復水ポンプとを有し、前記復水管の前記復水器と復水ポンプの間に前記酸素含有ガス吸い込み経路を接続したことを特徴とする火力発電プラント。
  7. 蒸気を用いて回転する発電用蒸気タービンと、その蒸気タービンから排出された蒸気を復水化する復水器と、その復水器によって生成された復水を給水として用いる発電ボイラを備えた火力発電プラントの運転方法において、
    酸素含有ガスを吸い込む酸素含有ガス吸い込み経路と、
    復水中の溶存酸素濃度計測結果に基づいて、復水中の溶存酸素濃度を調整する溶存酸素濃度調整装置を備え、
    当該火力発電プラントの運転中における前記復水器の真空を利用して、前記酸素含有ガス吸い込み経路から酸素含有ガスを前記溶存酸素濃度調整装置により調整しながら吸い込むことを特徴とする火力発電プラントの運転方法。
  8. 請求項7に記載の火力発電プラントの運転方法において、前記復水の溶存酸素濃度計測結果により、前記発電ボイラの節炭器入口の給水中の溶存酸素濃度が5〜20μgO/l(但し、「O」は酸素元素)の範囲に収まるように調整されることを特徴とする火力発電プラントの運転方法。
  9. 請求項7または8に記載の火力発電プラントの運転方法において、前記酸素含有ガスが空気であって、前記酸素含有ガス吸い込み経路に炭酸ガス除去装置を付設し、
    その炭酸ガス除去装置を通過して炭酸ガスを除去した空気を前記復水に供給することを特徴とする火力発電プラントの運転方法。
  10. 請求項7ないし9のいずれか1項に記載の火力発電プラントの運転方法において、前記酸素含有ガス吸い込み経路上に酸素含有ガス遮断弁を設置して、
    前記復水中の溶存酸素濃度が基準値を超えた場合に、前記酸素含有ガス遮断弁により前記酸素含有ガスの吸い込みを自動で停止することを特徴とする火力発電プラントの運転方法。
  11. 請求項7ないし10のいずれか1項に記載の火力発電プラントの運転方法において、前記復水中のカチオンパス電気伝導率を計測するカチオンパス電気伝導率計測手段を設けるとともに、前記酸素含有ガス吸い込み経路上に酸素含有ガス遮断弁を設置して、
    前記カチオンパス電気伝導率計測手段によって計測されたカチオンパス電気伝導率が基準値を超えた場合に、前記酸素含有ガス遮断弁により前記酸素含有ガスの吸い込みを自動で停止することを特徴とする火力発電プラントの運転方法。
  12. 請求項7ないし11のいずれか1項に記載の火力発電プラントの運転方法において、前記復水器で生成した復水を前記発電ボイラ側に供給する復水管と、その復水管の途中に設けられた復水ポンプとを有し、前記復水管の前記復水器と復水ポンプの間に前記酸素含有ガス吸い込み経路を接続したことを特徴とする火力発電プラントの運転方法。
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