JP2009168377A - 発電設備及び発電設備の水質管理方法 - Google Patents

発電設備及び発電設備の水質管理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長距離の酸素供給用の配管を敷設することなく、水の電気分解により副生した酸素を、排気蒸気を復水した水の中に注入して溶存させ、前記水の流路を構成する配管の内側に酸化鉄による保護皮膜を形成させる。
【解決手段】蒸気発生装置で発生した蒸気により駆動されるタービンの駆動力によって発電を行い、前記タービンからの排気蒸気を復水器で凝縮し、該復水器で凝縮した水を前記蒸気発生装置に供給する発電設備の水質管理方法において、水の電気分解によって発生した水素で発電機を冷却するとともに、副生した酸素を除湿、昇圧してから圧力容器に貯留し、前記圧力容器を前記復水器で復水した水の中に酸素を注入する注入口近くに搬送し、前記圧力容器から酸素を適時、前記復水器で復水した水の中に注入して溶存させ、前記復水した水が流通する配管の内側に酸化鉄による保護皮膜を形成させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、発電設備及び発電設備の水質管理方法に関するものであり、特に蒸気を発生させる蒸気発生装置と、該蒸気により駆動されるタービンの駆動力によって発電を行う発電機と、前記タービンからの排気蒸気を復水器で凝縮する復水系と、該復水系により凝縮した水を前記蒸気発生装置に供給する給水系とを有する発電設備及び発電設備の水質管理方法に関する。
例えば沸騰水型原子炉(BWR)、加圧水型原子炉(PWR)といった蒸気発生器付帯型の原子力発電設備や、火力発電設備などの汽力発電設備においては、蒸気発生装置で蒸気を発生させ、該蒸気により駆動される蒸気タービンの駆動力によって発電機で発電を行う。例えば、このような汽力発電設備の1つである火力発電設備においては、水は、蒸気発生装置であるボイラーで加熱されて高温・高圧の蒸気となり、該蒸気が蒸気タービンで膨張仕事をした後、復水器で冷却されて凝縮して水となり、該凝縮された水は必要に応じて濾過、脱塩等の処理をされた後、ポンプ等の給水手段により再びボイラーに戻される。
このような発電設備に使用される水は、タービンの機器や配管の腐食による機能低下を防止するために、一定の水質を保持することが必要である。
水質を一定に保持する技術として、従来より複合水処理法(Combined Water Treatment(CWT))が知られている。これは薬品注入により配管等の鋼材の全面腐食を行い、酸素を注入して系内の酸化鉄(Fe 以下マグネタイトという)によるスケールを3価の酸化鉄(α−Fe 以下ヘマタイトという)へ変化させ、該ヘマタイトによって配管等の鋼材の表面に皮膜を形成させ、防食を行うものである。ヘマタイトはマグネタイトに比べて溶解度が小さく、粒子が細かいため、ヘマタイトの保護皮膜は平滑且つ緻密で防食効果が高いという特徴を有する。このような系内に酸素を注入する技術は、例えば特許文献1に開示されている。
一方、原子力発電設備や火力発電設備等の汽力発電設備で用いられる発電機は、界磁や固定子に大きな電流が流れるため、機器の冷却が重要である。事業用の汽力発電設備では、通常冷却効果を高めるために、機内に水素を封入して冷却している。水素は、熱伝導・熱伝達に優れており冷却効果が高い、密度が小さいため風損が小さい、絶縁力が高い、といった特徴を有するため冷却媒体として非常に有用である。このように水素を用いて発電機を冷却する技術は、例えば特許文献2に開示されている。
このような系内に酸素を注入する技術と、発電機を水素で冷却する技術の両方を取り入れた従来の火力発電設備の概要図を図3に示す。図3に示した従来の火力発電設備(従来技術1とする)について説明する。
このような火力発電設備では、ボイラー101で発生した蒸気は、主蒸気107としてタービン102に送られ、該タービン102とこれに直結した発電機104を駆動して発電を行う。タービン102を駆動した後の排気蒸気は、前記タービン102の下方に設けられた復水器103に送られ、該復水器103で冷却され凝縮して水となる。そして、前記復水器103で凝縮した水は、必要に応じて復水系ライン108上に設けた図示しない装置により濾過、脱塩等の処理をされた後、給水ポンプ105によって給水系ライン109を経て前記ボイラー101に戻され、加熱されて再び蒸気として使用される。また、酸素供給ライン130が設けられており、該酸素供給ライン130から復水系ライン108又は給水系ライン109内の水に、外部から導入した酸素を適時注入して溶存させ、前記復水系ライン108又は給水系ライン109を構成する配管の内側に酸化鉄(ヘマタイト)による保護皮膜を形成させる。これにより、配管内側が防食され、配管腐食による水質の悪化を防止することができる。
さらに、水素発生装置106が設けられている。該水素発生装置106は水を電気分解して水素を発生する装置であり、水素を発生するとともに酸素を副生する。前記水素発生装置106で発生した水素は発電機104を冷却するために使用され、一方副生した酸素は大気放出して処分されている。
しかしながら、図3に示した従来技術1は、前記水素発生装置106で副生した酸素を大気放出して処分する一方で、酸素を外部から導入して前記酸素供給ライン130から復水系ライン108及び給水系ライン109に供給しており、酸素に関する無駄が非常に大きい。
そこで、外部から酸素を導入せずに、前記水素発生装置106で副生した酸素を前記復水系ライン108及び給水系ライン109に供給することが考えられる。このような火力発電設備の概要図を図4に示す。図4に示した火力発電設備(中間技術1とする)について説明する。
なお、図4において、図3と同一符号は同一物を示し、図3と同一箇所については説明を省略する。図4に示した中間技術1が、図3に示した従来技術1と異なる箇所は、水素発生装置106で副生した酸素を酸素供給ライン130Bから復水系ライン108及び給水系ライン109に接続している箇所のみである。これにより、酸素の無駄が無くなると考えられる。
特開2002−116291号公報 特開平8−47210号公報
しかしながら、図4に示した中間技術1では、前記復水系ライン108内の圧力は約0.5〜1.0MPa、前記給水系ライン109内の圧力は約3.0〜5.0MPaであって、前記水素発生装置6で副生された酸素は大気圧(0.1MPa)程度であるため、酸素供給ライン130Bを設けただけでは酸素を復水系ライン108及び給水系ライン109に供給することはできない。また、前記酸素供給ライン130B中にコンプレッサ等の酸素を昇圧する手段及びその付帯機器を設けて酸素を供給可能としても、通常前記水素発生装置106と復水系ライン108及び給水系ライン109は離れた場所に配設されており、そのため長い距離の酸素供給ライン130Bを設ける必要があるが、高濃度の酸素雰囲気下では、物質の可燃性が非常に高くなり爆発の危険があるため、酸素供給ライン130B周辺は防爆対策を行う必要があり、そのためのコストが高額となる。
従って、本発明はかかる従来技術の問題に鑑み、長距離の酸素供給用の配管を敷設することなく、水の電気分解により副生した酸素を、復水系又は給水系の水中に注入して溶存させ、前記復水系又は給水系を構成する配管の内側に酸化鉄(ヘマタイト)による保護皮膜を形成させることが可能な発電設備及び発電設備の水質管理方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明においては、
蒸気発生装置で発生した蒸気により駆動されるタービンの駆動力によって発電を行い、前記タービンからの排気蒸気を復水器で凝縮し、該復水器で凝縮した水を前記蒸気発生装置に供給する発電設備の水質管理方法において、水の電気分解によって発生した水素で発電機を冷却するとともに、前記水の電気分解によって副生した酸素を除湿、昇圧してから圧力容器に貯留し、前記圧力容器を前記復水器で復水した水の中に酸素を注入する注入口近くに搬送し、前記圧力容器から酸素を適時、前記復水器で復水した水の中に注入して溶存させ、前記復水した水が流通する配管の内側に酸化鉄による保護皮膜を形成させることを特徴とする。
前記蒸気発生装置としては、例えば火力発電設備で用いられるボイラー、原子力発電設備で用いられる加圧水型原子炉(PWR)、沸騰水型原子炉(BWR)、ガスタービンと蒸気タービンを併設したコンバインドサイクル発電設備で用いられるガスタービンの排熱を利用した排熱ボイラーなどが挙げられる。
また、前記圧力容器としては酸素ボンベなどが挙げられる。
これにより、水素発生装置で副生成物として発生した酸素を、復水系又は給水系に注入する酸素として利用することができるため、外部から酸素を導入する必要がなく、導入する酸素を生産又は購入するためのコストを削減することが可能となる。
また、前記水素発生装置の近隣に酸素を除湿、昇圧するための機器(除湿機、コンプレッサ)を設け、前記水の電気分解によって副生した酸素を除湿、昇圧してから圧力容器に貯留し、前記圧力容器を前記復水器で復水した水の中に酸素を注入する注入口近くまで搬送することで、長距離に亘る酸素用の配管を敷設することなく、酸素を前記復水器で復水した水に注入して溶存させ、前記復水した水が流通する配管の内側に酸化鉄(ヘマタイト)による保護皮膜を形成させることができる。
なお、水素発生装置で副生された段階で、酸素温度は約100〜150℃であり、これが減温されると水分が析出する。そこで、下流機器の腐食性環境の緩和及びコンプレッサ等の昇圧装置に水が混入し昇圧装置が故障するトラブルを防止するために、除湿してから昇圧を行うこととしている。
さらに、前記水の電気分解で副生した酸素のみで、前記酸化鉄による保護皮膜を形成させるために必要な酸素量を確保できるように、前記電気分解を行う水の量を設定することを特徴とする。
水の電気分解により水素及び酸素が発生する水素発生装置では、酸素に対して約2倍の物質量の水素が発生する。また、通常の発電設備では、発電機を冷却するために必要な水素の物質量は、復水系又は給水系で必要な酸素の物質量の2倍未満である。そのため、水素発生装置による酸素発生量を、前記復水系及び給水系で必要な酸素量に合わせておけば、水素量、酸素量の何れも不足することがなくなる。
なお、この場合、水素が必要量以上に発生することになるため、水素を貯留しておくための貯留タンクを設けておくとよい。
さらに、前記水の電気分解によって副生した酸素を除湿、昇圧後、再度除湿してから前記圧力容器に貯留することを特徴とする。
高圧の酸素中に水が混入していると、酸素を貯圧している圧力容器を腐食させる要因となる。圧力容器が腐食すると、圧力容器に悪影響を及ぼすのみならず、腐食して壁面の一部が剥げ落ち、それが酸素注入とともに前記復水した水に混入すると発電設備を構成する他の機器にまで悪影響を及ぼす。
水素発生装置で発生し除湿した酸素を昇圧することにより、酸素中の気体の水分が一部凝縮して水となるが、昇圧後再度除湿を行うことで、昇圧によって凝縮して発生した水を除去することができ、圧力容器の腐食を防止することができる。
さらに、前記水素発生装置で発生した酸素を除湿後、貯留層に貯留してから昇圧することを特徴とする。
これにより、コンプレッサ等の昇圧装置への酸素の供給量を調節することができ、コンプレッサ等の昇圧装置の安定運転が可能となる。
また、課題を実現するための発電設備として、
蒸気を発生させる蒸気発生装置と、該蒸気により駆動されるタービンの駆動力によって発電を行う発電機と、前記タービンからの排気蒸気を復水器で凝縮する復水系と、該復水系により凝縮した水を前記蒸気発生装置に供給する給水系とを有する発電設備において、水の電気分解によって発生した水素で前記発電機を冷却する手段と、前記水の電気分解によって副生した酸素を除湿する除湿機、該除湿後の酸素を昇圧する昇圧手段、及び該昇圧した酸素を貯留する圧力容器とを備え、前記圧力容器を前記復水系又は給水系の水中に酸素を注入する注入口近くに搬送する搬送手段を設け、前記酸素を貯留した圧力容器から、酸素を適時前記復水系又は給水系の水中に注入して溶存させ、復水系又は給水系を構成する配管の内側に酸化鉄による保護皮膜を形成させることを特徴とする。
さらに、前記水の電気分解で副生した酸素のみで、前記酸化鉄による保護皮膜を形成させるために必要な酸素量を確保できるように、前記電気分解を行う水の量を設定することを特徴とする。
さらに、前記昇圧手段によって昇圧した酸素を、前記圧力容器に貯留する前に除湿する第2の除湿機を設けたことを特徴とする。
前記除湿機で除湿した酸素を、前記昇圧手段で昇圧する前に一旦貯留する貯留層を設けたことを設けたことを特徴とする。
以上記載のごとく本発明によれば、長距離の酸素供給用の配管を敷設することなく、水の電気分解により副生した酸素を、復水系又は給水系の水中に注入して溶存させ、前記復水系又は給水系を構成する配管の内側に酸化鉄(ヘマタイト)による保護皮膜を形成させることができるため、外部から酸素を導入する必要がなくなる。そのため、復水系又は給水系に注入するための酸素を生産又は購入するためのコストを削減することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は、実施例1に係る火力発電設備の概要図である。図1に示した実施例1に係る火力発電設備について説明する。
このような火力発電設備では、ボイラー1で発生した蒸気は、主蒸気7としてタービン2に送られ、該タービン2とこれに直結した発電機4を駆動して発電を行う。タービン2を駆動した後の排気蒸気は、前記タービン2の下方に設けられた復水器3に送られ、該復水器3で冷却され凝縮して水となる。そして、前記復水器3で凝縮した水は、必要に応じて復水系ライン8上に設けた図示しない装置により濾過、脱塩等の処理をされた後、給水ポンプ5によって給水系ライン9を経て前記ボイラー1に戻され、加熱されて再び蒸気として使用される。
さらに、水素発生装置6が設けられている。該水素発生装置6は水を電気分解して水素を発生する装置であり、水素を発生するとともに酸素を副生する。前記水素発生装置6で発生した水素は前記発電機4を冷却するために使用され、一方、副生した酸素は前記水素発生装置6の近隣に設置されたボンベ貯留系統10に送られる。該ボンベ貯留系統10に送られた酸素は、約15〜20MPaの状態で圧力容器である酸素ボンベ16に貯留される。なお、ボンベ貯留系統10については後述する。
前記酸素ボンベ16に酸素が貯留されると、該酸素ボンベ16を搬送手段(不図示)によって搬送路Rを通って、前記復水系ライン8及び給水系ライン9に接続された酸素供給ライン30の近くまで搬送し接続する。そして、前記酸素ボンベ16中の酸素を、酸素供給ライン30を介して前記復水系ライン8又は給水系ライン9内の水に適時注入して溶存させ、前記復水系ライン8又は給水系ライン9を構成する配管の内側に酸化鉄(ヘマタイト)による保護皮膜を形成させる。これにより配管内側が防食され、配管腐食による水質の悪化を防止することができる。
なお、前記酸素ボンベ16を搬送する搬送手段は特に限定されるものではなく、酸素ボンベ16を搬送することができれば何でもよい。
また、酸素を流通させる配管近傍は防爆構造とする必要があるため、前記水素発生装置6からボンベ貯留系統10までの配管20の距離と、前記酸素供給ライン30は、可能な限り短くしておくと防爆に係るコストを低額に抑えることができる。
次に前記ボンベ充填系統10について説明する。図2は水素発生装置6で副生された酸素を酸素ボンベ16に貯留するまでの工程の構成図であり、前記水素発生装置6及びボンベ充填系統10の構成図である。
図2を用いて、水素発生装置6で副生された酸素の酸素ボンベ16への貯留について説明する。
水素発生装置6は前述の通り水を電気分解して水素を発生する装置であり、水素が発生するとともに、酸素が副生する。発生した水素は熱交換器11bで冷却され、前記発電機4の冷却に使用される。
一方、前記水素発生装置6で副生した酸素は、温度が約100〜150℃と高温であるため冷却して減温する必要がある。そのため、前記酸素を、熱交換器11aで冷却水と熱交換し、常温付近(約20℃)まで減温する。
また、前記熱交換器11aで酸素を減温することにより、水が発生する。この水は下流機器の腐食性を高めるとともに、この水を含んだまま酸素をコンプレッサで圧縮するとコンプレッサの破損の原因となるため、除湿機12で水を取り除く。このとき発生する水の量は多いため、除湿機12では機械的に水を取り除くことで効率的に水を除去することができる。
除湿機12は例えばデミスターを使用することができる。デミスターでは、上昇気流に伴って上昇してきたミスト分が、デミスターを構成する広範な線表面に慣性衝突し、線の濡れ性や線と線との隙間の毛細管現象により集合・成長しつつデミスター内を流下し、やがて適当な大きさになった液滴は重力の作用により気流の上昇力に抗してデミスターから離れて落下することによりミスト分である水を分離することができる。
前記除湿機12で水を除去された酸素は中間槽13へ導入され貯留される。中間槽13は、上部が開放された下槽13aと、下部か開放された上槽13cと、前記下槽13aと上槽13cを密封しているダイヤフラム13bから構成されており、酸素は前記下槽13a、ダイヤフラム13b及び上槽13cから構成される空間に貯留される。また上槽13cは、中間槽13内に貯留された酸素の圧力と、外部の大気圧との差圧によって上下するように構成されている。
前記中間槽13に貯留された酸素は、機密性の高いダイヤフラム式コンプレッサ14aに導入され、大気圧相当(0.1MPa)から約0.6MPaまで圧縮して昇圧される。
さらに、ダイヤフラム式コンプレッサ14bで約0.6MPaから15〜20MPaまで圧縮して昇圧される。
なお、本実施例においては2台のコンプレッサを用いて酸素を所望の圧力まで昇圧しているが、1台のコンプレッサで所望の圧力まで昇圧してもよく、3台以上使用してもよい。
酸素を前記コンプレッサ14a及び14bで圧縮して昇圧することにより、水が発生する。酸素をこのまま酸素ボンベ16に貯留すると、高圧の酸素中に水が混入した状態で貯留することになるため、酸素ボンベ16の腐食の原因となる。そのため、電気式除湿機15で取り除く。ここで発生する水は少量であり、さらに圧縮によって酸素の体積も小さくなっているため、除湿機は電気により水を加温して蒸発させる電気式除湿機を使用することで効率的に水を除去することができる。
前記電気式除湿機15で水を除去された酸素は、酸素ボンベ16に貯留される。
酸素ボンベ16に貯留された酸素は前述のように、復水系ライン8又は給水系ライン9の水中に注入して溶存させ、復水系ライン8又は給水系ライン9を構成する配管の内側に酸化鉄(ヘマタイト)による保護皮膜を形成させるために使用される。
なお、前記復水系ライン8中の圧力は0.5〜1.0MPa程度であり、また給水系ライン9中の圧力は3.0〜5.0MPa程度であるため、15〜20MPa程度に昇圧して酸素ボンベ16に貯留された酸素を復水系ライン8又は給水系ライン9内の水中に注入することは可能である。
前記水素発生装置6で副生した酸素が、復水系ライン8又は給水系ライン9に注入されるまでの流れをまとめると以下のようになる。
水素発生装置6で酸素が副生される。
熱交換器11aで約100〜150℃から常温(約20℃)まで減温される。
前記減温によって生じた水が除湿機12で除去する。
中間槽13に貯留される。
コンプレッサ14a及び15aで大気圧相当(0.1MPa)から15〜20MPaまで昇圧される。
前記昇圧によって生じた水が電気式除湿機15で除去される。
酸素ボンベ16に貯留される。
酸素ボンベ16ごと酸素供給ライン30近くまで搬送される。
酸素ボンベ16から酸素供給ライン30を介して復水系ライン8又は供給系ライン9内の水中に適時注入して溶存され、復水系ライン8又は給水系ライン9を構成する配管の内側に酸化鉄(ヘマタイト)による保護皮膜を形成する。
以上の構成の発電設備、水質管理方法を使用するため、酸素ボンベ16を搬送することによって長距離の酸素供給用の配管を敷設する必要がなくなり、水の電気分解により副生した酸素を、復水系又は給水系の水中に注入して溶存させ、前記復水系又は給水系を構成する配管の内側に酸化鉄(ヘマタイト)による保護皮膜を形成させることができる。
長距離の酸素供給用の配管を敷設することなく、水の電気分解により副生した酸素を、復水系又は給水系の水中に注入して溶存させ、前記復水系又は給水系を構成する配管の内側に酸化鉄(ヘマタイト)による保護皮膜を形成させることができる発電設備及び発電設備の水質管理方法として利用することができる。
実施例1に係る火力発電設備の概要図である。 水素発生装置で副生された酸素を酸素ボンベに貯留するまでの工程の構成図である。 従来の火力発電設備の概要図である。 中間技術における火力発電所の概略図である。
符号の説明
1 ボイラー(蒸気発生装置)
2 タービン
3 復水器
4 発電機
6 水素発生装置
8 復水系ライン
9 給水系ライン
11 熱交換器
12 除湿機
13 中間槽
14a、14b コンプレッサ(昇圧手段)
15 電気式除湿機(第2の除湿機)
16 酸素ボンベ(圧力容器)

Claims (8)

  1. 蒸気発生装置で発生した蒸気により駆動されるタービンの駆動力によって発電を行い、前記タービンからの排気蒸気を復水器で凝縮し、該復水器で凝縮した水を前記蒸気発生装置に供給する発電設備の水質管理方法において、
    水の電気分解によって発生した水素で発電機を冷却するとともに、
    前記水の電気分解によって副生した酸素を除湿、昇圧してから圧力容器に貯留し、
    前記圧力容器を前記復水器で復水した水の中に酸素を注入する注入口近くに搬送し、
    前記圧力容器から酸素を適時、前記復水器で復水した水の中に注入して溶存させ、前記復水した水が流通する配管の内側に酸化鉄による保護皮膜を形成させることを特徴とする発電設備の水質管理方法。
  2. 前記水の電気分解で副生した酸素のみで、前記酸化鉄による保護皮膜を形成させるために必要な酸素量を確保できるように、前記電気分解を行う水の量を設定することを特徴とする請求項1記載の発電設備の水質管理方法。
  3. 前記水の電気分解によって副生した酸素を除湿、昇圧後、再度除湿してから前記圧力容器に貯留することを特徴とする請求項1又は2記載の発電設備の水質管理方法。
  4. 前記水素発生装置で発生した酸素を除湿後、貯留槽に貯留してから昇圧することを特徴とする請求項1〜3何れかに記載の発電設備の水質管理方法。
  5. 蒸気を発生させる蒸気発生装置と、該蒸気により駆動されるタービンの駆動力によって発電を行う発電機と、前記タービンからの排気蒸気を復水器で凝縮する復水系と、該復水系により凝縮した水を前記蒸気発生装置に供給する給水系とを有する発電設備において、
    水の電気分解によって発生した水素で前記発電機を冷却する手段と、
    前記水の電気分解によって副生した酸素を除湿する除湿機、該除湿後の酸素を昇圧する昇圧手段、及び該昇圧した酸素を貯留する圧力容器とを備え、
    前記圧力容器を前記復水系又は給水系の水中に酸素を注入する注入口近くに搬送する搬送手段を設け、
    前記酸素を貯留した圧力容器から、酸素を適時前記復水系又は給水系の水中に注入して溶存させ、復水系又は給水系を構成する配管の内側に酸化鉄による保護皮膜を形成させることを特徴とする発電設備。
  6. 前記水の電気分解で副生した酸素のみで、前記酸化鉄による保護皮膜を形成させるために必要な酸素量を確保できるように、前記電気分解を行う水の量を設定することを特徴とする請求項5記載の発電設備。
  7. 前記昇圧手段によって昇圧した酸素を、前記圧力容器に貯留する前に除湿する第2の除湿機を設けたことを特徴とする請求項5又は6記載の発電設備。
  8. 前記除湿機で除湿した酸素を、前記昇圧手段で昇圧する前に一旦貯留する貯留槽を設けたことを設けたことを特徴とする請求項5〜7何れかに記載の発電設備。
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