JP2011092835A - 散気装置の運転方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】活性汚泥曝気槽12内に配置する散気管(散気部)21として、上部には、散気用気体を噴出する複数の散気穴23が形成され、下部には、活性汚泥11が散気管21内に出入りする1つ以上の汚泥出入穴24が形成された管を使用し、気体供給部20から散気管21へ散気用気体を供給する供給工程と、散気用気体の供給を停止する停止工程とを繰り返し行う。
【選択図】図1
Description
このような活性汚泥処理においては、処理を継続するにともなって散気管内に活性汚泥が乾燥固結し、散気穴の周辺にも堆積し、散気穴が閉塞して散気が不安定になることなどがあった。
特許文献2には、散気管の下部に噴出口が形成されているとともに、先端が下方に屈曲して開口している散気管が記載されている。また、この散気管とブロワとを接続する空気供給配管には、散気管内の圧力を大気圧に開放するための弁を設けることが記載されている。そして、ブロワから空気の供給を止めて散気を停止するととともに、上述の弁を開放して散気管内の圧力を大気圧に開放することにより、先端の開口等から槽内の汚泥を散気管内に逆流させることが記載されている。この方法によれば、噴出口付近に乾燥して堆積している汚泥を湿潤させることができるため、次に散気を開始した際に、湿潤化された汚泥を流去できるとされている。
特許文献3には、散気管よりも下方に延長する延長管部を設けるとともに、この延長管部に開放部を設けて、散気管内に滞留している汚泥を開放部から排出することが記載されている。また、散気管に水を間欠的に供給することにより、汚泥が乾燥して肥大化する前に、汚泥を洗い流すことも記載されている。
また、特許文献2に記載の方法では、散気を停止した後、空気供給配管に設けられた弁を開放するなどして散気管内の圧力を大気圧まで低下させているために、槽内の汚泥が散気管内だけでなく空気供給配管内にまで大量に流入してしまう。具体的には、槽内の汚泥の液面高さに相当する高さまで、空気供給配管内にも汚泥が流入する。このように空気供給配管内にまで大量の汚泥が流入してしまうと、次に散気を開始した際にブロワに大きな負荷がかかるうえ、空気供給配管内には大量の汚泥が付着して乾燥し、これが散気管に運ばれ、散気穴を閉塞させるという問題も生じる。
また、特許文献3に記載のように、単に散気管よりも下方に位置する開放部から汚泥を排出しようとする方法では、散気孔周辺に強固に付着した汚泥を剥離することは容易ではない。そのため、結局は、散気管に水を間欠的に供給する洗浄法を併用する必要が生じ、水を供給するための設備設置費用を要することになる。
(1)活性汚泥曝気槽内に配置され、散気用気体を噴出する散気部と、前記散気部に前記散気用気体を供給する気体供給部とを備えた散気装置の運転方法であって、
前記散気部の上部には、複数の散気穴が形成され、前記散気部の下部には、1つ以上の汚泥出入穴が形成され、
前記気体供給部から前記散気部へ前記散気用気体を供給する供給工程と、前記散気用気体の供給を停止する停止工程とを繰り返し行う散気装置の運転方法。
(2)前記供給工程を1〜12時間行い、前記停止工程を30〜600秒間行うことを特徴とする、前記(1)に記載の運転方法。
(3)前記散気部は、略水平配置された1本以上の散気管を具備して構成され、
各散気管の下記式(I)により算出される圧力水頭ΔHが、前記散気管の内径d1の0.2〜0.9倍の値となるように、前記供給工程を行うことを特徴とする、前記(1)または前記(2)に記載の散気装置の運転方法。
(5)前記散気穴の直径が1.5〜30mmであることを特徴とする、前記(1)ないし前記(4)のいずれかに記載の散気装置の運転方法。
図1は、本発明で好適に使用される散気装置を備えた排水処理装置の一例を概略的に示す構成図である。
この例の排水処理装置10は、被処理水である活性汚泥11が投入された活性汚泥曝気槽12と、活性汚泥曝気槽12内に浸漬され、固液分離用膜エレメント13を具備した膜分離装置と、活性汚泥曝気槽12内に散気用気体を噴出するための散気装置20とを備えている。固液分離用膜エレメント13は、この例では中空糸膜などの分離膜を備えて構成されている。また、固液分離用膜エレメント13には、吸引配管14および吸引ポンプ15からなる吸引手段16が接続され、吸引濾過が可能に構成されている。
この例の散気管21は、長手方向に垂直な断面(以下、垂直断面という。)が円形の円管からなり、その周壁の上部には、散気用気体を噴出するための円形の散気穴23が複数(図1の例では6つ。)長手方向に沿って一列に形成され、一方、周壁の下部には、活性汚泥11が散気管21内に出入りするための円形の汚泥出入穴24が、この例では1つ形成されている。具体的には、この例の散気穴23および汚泥出入穴24は、散気管21の軸線と交差する鉛直線(鉛直方向の垂線)と、散気管21の周壁との交点に、各穴の中心が位置するように配置されている。散気管21は、例えばポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂や、金属等などからなる。
散気穴は、その中心が、軸線から鉛直上方向に引いた線から、周壁上45°以内の範囲に位置するように形成されることが好適であり、さらに好ましくは30°以内である。
また、汚泥出入穴は、その中心が、軸線から鉛直下方向に引いた線から、周壁上45°以内の範囲に位置するように形成されることが好適であり、さらに好ましくは30°以内である。
具体的には、まず制御装置29により三方バルブ28を操作して、ブロワ25と散気管21とが連通し、排気管27側が閉じるようにする。そして、ブロワ25を作動させ、所定流量の散気用気体を送気管26を通じて散気管21に供給する(供給工程)。
ここで、散気用気体としては、通常は空気を使用するが、必要に応じて酸素などを使用してもよい。また、散気用気体の流量は、通常、活性汚泥処理(生物処理)に必要な流量とされるが、この例の排水処理装置のように、膜分離装置を具備する装置での散気の場合には、膜分離装置の膜面を効果的に洗浄する観点も考慮して散気用気体の流量を決定してもよい。
すなわち、この例のように、散気管21の下部ではなく、上部に散気穴23が設けられていると、供給工程から停止工程に切り替わった際に、散気管21内に残存する散気用気体は、活性汚泥11よりも低比重であるために散気穴23から上方へと排出される。すると、この散気管21の下部には、汚泥出入穴24が形成されているため、このような散気用気体の排出にともなって、汚泥出入穴24からは活性汚泥11が散気管21内に流入する。このように散気管21の上部に散気穴23が形成され、下部に汚泥出入穴24が形成されていると、供給工程から停止工程に切り替わった際に、散気管21内を大気圧に開放するなどして、その管内圧力を低下させなくても、散気管21内の散気用気体は排出され、代わりに活性汚泥11が充満する。そのため、停止工程において散気管21内は活性汚泥11により湿潤状態となり、散気管21内の活性汚泥11の乾燥固結を防止できる。
すなわち、停止工程に切り替わった際に、仮に、三方バルブ28を操作して、排気管27と送気管26とを連通させ、管内圧力を低下させ大気圧とすると、散気管21内だけでなく送気管26内までが大気圧となる。その結果、活性汚泥曝気槽12内の活性汚泥11が散気管21内に流入するだけでなく、送気管26内にも大量に流入してしまう。具体的には、図1中、符号L1で示す位置(活性汚泥曝気槽12における活性汚泥11の液面高さ)まで、送気管26内に活性汚泥11が流入してしまう。このように大量の活性汚泥11が送気管26内に流入すると、次の供給工程で散気用気体の供給を開始する際に、ブロワ25は大量の活性汚泥11を送気管26から押し出す必要があるため、ブロワ25には過剰な負荷がかかる。また、送気管26内に大量の活性汚泥11が付着して乾燥し、この乾燥した活性汚泥11が散気管21に運ばれて散気穴23を閉塞させるおそれもある。これに対して、停止工程に切り替わった際に、管内圧力を維持し、敢えて低下させない場合には、活性汚泥11は送気管26内に流入したとしても、符号L2で示す位置(散気穴23の形成位置に対応する高さ)までしか流入しない。そのため、次の供給工程で散気用気体の供給を再開した際には、ブロワ25には大きな負荷をかけることなく、湿潤状態の散気管21内で剥離しやすくなった活性汚泥11を汚泥出入穴24や散気穴23から散気管21外に排出することができる。
こうして、散気穴23を閉塞するような散気管21への活性汚泥11の乾燥固結を防止することができる。
また、散気用気体の供給を停止する時間、すなわち、1回の停止工程を行う時間は、30〜600秒間であることが好ましい。1回の停止工程を行う時間が30秒間未満であると、散気管21内に活性汚泥11が充分に流入しないうちに、供給工程に切り替わってしまうおそれがある。一方、1回の停止工程を行う時間が600秒間を超えると、活性汚泥11の生物処理に必要な活性汚泥曝気槽12内の散気用気体量が不足するおそれがある。また、この例のように、膜分離装置が浸漬された活性汚泥曝気槽12の場合、停止工程時には膜分離装置による濾過処理も通常は停止する必要があるため、膜分離装置による処理水量を低下させてしまう。
下記式(I)は、オリフィスの流量計算に用いられる式として一般に知られている。
また、散気穴23からの散気用気体の噴出速度v(m/sec)は、1本の散気管21本に供給される散気用気体の流量Qを、この散気管21に形成された散気穴23の総面積(散気穴1個あたりの面積×1本の散気管に形成された散気穴の総数)で除した値である。
また、この例では、散気管21には、垂直断面が円形の円管を使用しているが、垂直断面の形状には特に制限はなく、例えば、楕円形、四角形などの多角形であってもよい。その場合には、式(III)において、各散気穴23の面積A0および散気管21の断面積A1の値からmを求め、このmを用いて圧力水頭ΔHを算出し、その値が内径d1の0.2〜0.9倍の値となるようにすればよい。
なお、式中、mは開口比であり、各散気穴23の面積A0に対する散気管21の断面積A1の比を示す。Cは流出係数である。
なお、各散気穴23の形状は円形に限定されない。
汚泥出入穴24の直径は、3mm以上が好ましい。3mm未満であると、活性汚泥11に含まれる、しさや固形分などの異物により汚泥出入穴24が閉塞しやすくなる。
また、汚泥出入穴24は、散気管21と送気管26の接続位置から最も離れた位置に設けることが好ましい。すなわち、この例のように、送気管26が散気管21の一端21aのみに接続されている場合には、送気管26が接続されていない側の散気管21の端部(他端)21bの近傍に形成されることが好ましい。一般的に、散気管21内において、散気管21と送気管26の接続位置付近は最も管内圧力が高くなるため、この部分に汚泥出入穴24を設けると、汚泥出入穴24から活性汚泥11が出入せず、散気用気体が噴出してしまうおそれがある。
また、図2(b)に示すように、散気管21の両端21a、21bに送気管26を接続して、両端21a、21bから散気用気体を散気管21内に供給する形態の場合には、例えば散気管21の長さが1m以上である場合などでも、散気穴23から均等に散気用気体を噴出させることができ好適である。その場合、汚泥出入穴24は、散気管21の長手方向の中心部付近に形成されることが好ましい。
また、図1の例の送気管26は、分岐部分に三方バルブ28が設けられているが、三方バルブ28を設けるかわりに、図5に示すように、2つの開閉バルブ(二方バルブ)31、32を設置してもよい。この場合、供給工程では、排気管27に設けられたバルブ31を閉じ、分岐部分よりも下流側(散気管21側)の送気管26に設けられたバルブ32を開ける。停止工程では、反対に、排気管27に設けられたバルブ31を開け、分岐部分よりも下流側のバルブ32を閉じる。これにより、停止工程においては、散気管21への散気用気体の供給は停止され、かつ、散気管21内が大気圧に開放されることはない。
なお、以上の例では、活性汚泥曝気槽12内に、固液分離用膜エレメント13を備えた膜分離装置が浸漬された排水処理装置10を示して説明したが、本発明の運転方法は膜分離装置を備えない水処理装置にも好適に適用できる。
図1の構成の排水処理装置において、水処理を行った。
固液分離用膜エレメント13には、ステラポアーSADF(商品名、三菱レイヨン・エンジニアリング(株)製、ポリフッ化ビニリデン製中空糸膜)を使用した。被処理水である活性汚泥11には、MLSS濃度として約9,500mg/Lの活性汚泥を用いた。
散気管21としては、内径d1が20mm(0.02m)で、長さ650mmの塩化ビニル樹脂製円管を使用し、直径φ5mm(0.005m)の散気穴23を散気管21の周壁の上部(散気管の軸線と交差する鉛直線上)に均等な間隔で形成した。散気管の軸方向の勾配は、1/100以内であった。なお、図1では、散気穴23を6つ図示しているが、本実施例1では、5つ形成した。
送気管26は散気管21の一端21aのみに接続し、送気管26が接続されていない側の他端21bの近傍には、周壁の下部に、直径φ10mmの汚泥出入穴24を1つ形成した。ブロワ25としてはルーツブロワを用い、散気管1本あたりに供給される流量Qが60L/min(1.0×10−3 m3/sec)となるように、送気管26を通じて散気管21に散気用気体を供給した。散気用気体には空気を用い、散気用気体の密度ρ’は1.2kg/m3、活性汚泥11の密度ρは1,000kg/m3、重力加速度gは9.8m/sec2とした。
以上の数値を用いて式(I)より算出した管内圧力水頭ΔHは、16mm(0.016m)となり、散気管21の内径d1の0.8倍の値であり、本発明における好ましい範囲内であった。
そして、この装置において、散気用気体を供給する供給工程を6時間行い、ついで、散気用気体の供給を停止する停止工程を180秒間行うことを繰り返しながら、水処理試験を行った。
このような水処理試験を30日間継続した結果、散気管21における5箇所の散気穴23の全てにおいて、活性汚泥11による閉塞は確認されず、汚泥出入穴24においても、活性汚泥11による閉塞は確認されなかった。また、30日間の試験期間中に、固液分離用膜エレメント13への活性汚泥11の付着も確認されず、安定した膜濾過が継続できた。
散気穴23の直径をφ4mm(0.004m)として、散気穴23を13箇所形成した以外は、実施例1と全て同じ条件で水処理試験を実施した。
以上の数値を用いて式(I)より算出した管内圧力水頭ΔHは、5mm(0.005m)となり、散気管21の内径d1の0.25倍の値であり、本発明における好ましい範囲内であった。
このような水処理試験を30日間継続した結果、散気管21における13箇所の散気穴23の全てにおいて、活性汚泥11による閉塞は確認されず、汚泥出入穴24においても、活性汚泥11による閉塞は確認されなかった。また、30日間の試験期間中に、固液分離用膜エレメント13への活性汚泥11の付着も確認されず、安定した膜濾過が継続できた。
散気管1本あたりに供給される散気用気体の流量Qを65L/min(1.08×10−3 m3/sec)とした以外は、実施例1と全て同じ条件で水処理試験を実施した。
以上の数値を用いて式(I)より算出した管内圧力水頭ΔHは、18mm(0.018m)で、散気管21の内径d1の0.9倍の値であり、本発明における好ましい範囲内であった。
このような水処理試験を30日間継続した結果、散気管21における5箇所の散気穴23の全てにおいて、活性汚泥11による閉塞は確認されず、汚泥出入穴24においても、活性汚泥11による閉塞は確認されなかった。また、30日間の試験期間中に、固液分離用膜エレメント13への活性汚泥11の付着も確認されず、安定した膜濾過が継続できた。
直径φ5mm(0.005m)の散気穴23が散気管の周壁の下側に5箇所形成され、汚泥出入穴24が形成されていない散気管を用いた以外は、実施例1と全て同じ条件として、水処理試験を7日間行った結果、5箇所の散気穴23のうち3箇所において閉塞が確認された。また、散気管21の内部において活性汚泥11の固着が確認された。また、試験終了後、閉塞が確認された散気穴23の上部に位置する中空糸膜に活性汚泥11の付着が確認された。
散気用気体を連続して給気し停止しなかった以外は、実施例1と同じ条件として、水処理試験を10日間行った結果、5箇所の散気穴23のうち3箇所において閉塞が確認された。また、散気管21の内部において活性汚泥11の固着が確認された。また、試験終了後、閉塞が確認された散気穴23の上部に位置する中空糸膜に活性汚泥11の付着が確認された。
11:活性汚泥
12:活性汚泥曝気槽
13:固液分離用膜エレメント
14:吸引配管
15:吸引ポンプ
16:吸引手段
20:散気装置
21:散気管(散気部)
22:気体供給部
23:散気穴
24:汚泥出入穴
25:ブロワ
26:送気管
27:排気管
28:三方バルブ
29:制御装置
30:ヘッダー管
31、32:バルブ
Claims (5)
- 活性汚泥曝気槽内に配置され、散気用気体を噴出する散気部と、前記散気部に前記散気用気体を供給する気体供給部とを備えた散気装置の運転方法であって、
前記散気部の上部には、複数の散気穴が形成され、前記散気部の下部には、1つ以上の汚泥出入穴が形成され、
前記気体供給部から前記散気部へ前記散気用気体を供給する供給工程と、前記散気用気体の供給を停止する停止工程とを繰り返し行う散気装置の運転方法。 - 前記供給工程を1〜12時間行い、前記停止工程を30〜600秒間行うことを特徴とする、請求項1に記載の散気装置の運転方法。
- 前記内径d1が10〜100mmであることを特徴とする、請求項3に記載の散気装置の運転方法。
- 前記散気穴の直径が1.5〜30mmであることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の散気装置の運転方法。
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