JP2011090042A - バックライトを備える液晶表示装置および液晶表示装置用光学部材セット - Google Patents

バックライトを備える液晶表示装置および液晶表示装置用光学部材セット Download PDF

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Abstract

【課題】色ムラが少なく視認性に優れ、かつ薄型化を実現し、コストパフォーマンスにも優れる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶パネルは、液晶セル50と該液晶セルの両面に貼合された偏光板とを含み、前記偏光板のうち、液晶セルのバックライト20側に配置される光入射側偏光板30は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルム31と、該偏光フィルムのバックライト側に積層された光学異方性を有する光源側保護フィルム32とを有し、前記バックライトは、直下型またはサイドライト型の面光源10と、前記液晶パネルに最も近い位置に配置された光学異方性を有する光学シート部材12とを含み、前記光源側保護フィルム32の遅相軸と前記光学シート部材12の遅相軸とのなす角度が60度以下となるように、前記光源側保護フィルム32と前記光学シート部材12とが配置されることを特徴とする、液晶表示装置である。
【選択図】図1

Description

本発明は、バックライトを備える液晶表示装置および液晶表示装置用の光学部材セットに関する。
近年、消費電力が低く、低電圧で動作し、軽量でかつ薄型の液晶表示装置が、携帯電話、携帯情報端末、コンピュータ用のモニター、およびテレビ等の情報用表示デバイスとして急速に普及している。さらに、液晶技術の発展に伴い、様々なモードの液晶表示装置が提案され、従来、応答速度、コントラスト、および視野角等の液晶表示装置の問題とされていた点が解消されつつある。
一方で、液晶表示装置のさらなる薄型軽量化を望む強い市場要求を受けて、液晶表示装置を構成する液晶パネル、拡散板、バックライトユニット、および駆動IC等の薄型化や小型化が進められている。このような状況下、液晶パネルを構成する部材である偏光板も10μmの単位で薄型化することが求められている。
同時に、液晶表示装置の普及に伴って、市場からのコストダウン要求も日増しに強くなっており、偏光板においてもさらなるコストダウンや生産性の向上が必須となっている。
これらの要求を満足すべく、これまでに様々な提案がなされてきた。例えば、偏光板は通常、偏光フィルムの片面または両面に透明保護フィルムが設けられた構成を有し、その透明保護フィルムとしてトリアセチルセルロースが一般的に使用されているが、特開平8−43812号公報(特許文献1)のように、その保護フィルムに位相差を持たせて光学補償機能を付与することにより、構成部材の削減と生産工程の簡便化を図る試みが広くなされている。このような構成とすることで、偏光板と位相差板との積層物である複合偏光板を薄型軽量化することができ、さらに液晶表示装置の構成部材点数が削減されることで、生産工程を簡素化し、歩留まりを向上させてコストダウンに繋げることが可能となる。
さらには、保護フィルムをトリアセチルセルロース以外の他の樹脂で置き換える試みも積極的に進められている。例えば、特開平7−77608号公報(特許文献2)には、トリアセチルセルロースに変えて、環状オレフィン系樹脂を使用する手段が開示されている。しかしながら、環状オレフィン系樹脂は一般的に高価であるため、現状は、より付加価値の高い位相差フィルムに用いられており、単なる保護フィルムとして使用するには、コスト削減の点から釣り合いがとれないという問題を有している。
上記要求を満足できる技術として、例えばポリエチレンテレフタレートフィルムを保護フィルムとする手法が提案されている。ポリエチレンテレフタレートは機械的強度に優れることから薄膜化に適しており、偏光板の薄型化を実現できる。さらに、トリアセチルセルロースや環状オレフィン系樹脂と比較して、一般的にコストの面からも優位性を有する。加えて、トリアセチルセルロースと比較して、低透湿性で低吸水性といった特徴を有することから、耐湿熱性や耐冷熱衝撃性にも優れ、環境変化に対して高い耐久性を持つことも期待できる。
しかしながら、一方で、保護フィルムに適する延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは一般的に光学異方性が大きく、高いレタデーションを示す。このような光学異方性を有するフィルムを保護フィルムとして採用した偏光板を液晶表示装置に搭載した場合、トリアセチルセルロースフィルムを保護フィルムとする一般的な偏光板に比べて、斜め方向からの色ムラ(干渉ムラ、虹ムラとも言う)が目立ち、視認性に劣るという問題を有している。この問題について、例えば特開2009−109993号公報(特許文献3)では、ポリエチレンテレフタレートフィルムを保護フィルムとした偏光板と、ヘイズ値を制御した防眩層を付与した偏光板とを組み合わせて液晶表示装置を構成することで、色ムラを低減する手法が開示されている。しかしながら、この手法でも色ムラの低減が必ずしも十分であるとはいえなかったことに加え、保護フィルム自体の物性値に制限が加わることで生産上の制約が生じるため、より簡便で効果的な手法の確立が望まれていた。
特開平8-43812号公報 特開平7−77608号公報 特開2009−109993号公報
そこで、本発明の目的は、バックライトおよびバックライト上に配置される液晶パネルからなる液晶表示装置であって、光学異方性を有するフィルムを光源側保護フィルムとする光入射側偏光板を搭載した場合でも色ムラが少なく視認性に優れ、かつ薄型化を実現し、コストパフォーマンスにも優れる液晶表示装置を提供することにある。
また、本発明のもう一つの目的は、上記の液晶表示装置に好適な光学部材セットを提供することにある。
本発明者らは、上記色ムラ問題を解決するべく、鋭意研究を行ってきた。その結果、バックライトおよびバックライト上に配置される液晶パネルを備えた液晶表示装置において、光学異方性を有するフィルムを光源側保護フィルムとする偏光板が光入射側偏光板として搭載される場合、光学異方性を有する光源側保護フィルムの遅相軸と上記光学異方性を有する光学シート部材の遅相軸とのなす角度(軸ズレ角度)を60°以下とすることで、液晶表示装置の色ムラを効果的に低減できることを見出した。この手法を用いることで、新たな部材を増やすことなく簡便な手法で、高い視認性と薄型化、低コスト化の両立が実現できる。なお、本発明において、光学異方性を有する光源側保護フィルムの遅相軸と上記光学異方性を有する光学シート部材の遅相軸とのなす角度(軸ズレ角度)とは、小さい方の角度、すなわち、90°以下の角度を意味する。
すなわち、本発明は、バックライトおよび該バックライト上に配置された液晶パネルを備えた液晶表示装置であって、
該液晶パネルは、液晶セルと該液晶セルの両面に貼合された偏光板とを含み、
上記偏光板のうち、液晶セルのバックライト側に配置される光入射側偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムと、該偏光フィルムのバックライト側に積層された光学異方性を有する光源側保護フィルムとを有し、
上記バックライトは、直下型またはサイドライト型の面光源と、上記液晶パネルに最も近い位置に配置された光学異方性を有する光学シート部材とを含み、
上記光源側保護フィルムの遅相軸と上記光学シート部材の遅相軸とのなす角度が60度以下となるように、上記光源側保護フィルムと上記光学シート部材とが配置されることを特徴とする、液晶表示装置である。
特に、上記光源側保護フィルムの面内の位相差値が200nm以上である場合に本発明の顕著な効果が得られる。
上記光源側保護フィルムが延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。
上記光学シート部材が、拡散フィルム、マイクロレンズフィルム、レンズシートから選ばれることが好ましい。
上記光源側保護フィルムは、面内の遅相軸方向の屈折率をnx、面内で遅相軸と直交する方向の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnzとしたときに、(nx−nz)/(nx−ny)で表されるNz係数が4以上または2未満であることが好ましい。
上記光学シート部材は、面内の位相差値が1000nm以上であることが好ましい。
さらに、本発明は、液晶セルおよびバックライトを備えた液晶表示装置に用いられる光学部材セットであって、
上記液晶セルの上記バックライト側に配置するための光入射側偏光板と、
上記バックライトの上記液晶セルに最も近い位置に配置するための光学異方性を有する光学シート部材とを含み、
上記光入射側偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムと、上記偏光フィルムの上記バックライト側となる面に積層された光学異方性を有する光源側保護フィルムとを有し、
上記光源側保護フィルムの遅相軸と上記光学シート部材の遅相軸とのなす角度が60°以下となるように、上記光源側保護フィルムと上記光学シート部材とが配置されることを特徴とする、光学部材セットにも関する。
特に、上記光源側保護フィルムの面内の位相差値が200nm以上である場合に本発明の顕著な効果が得られる。
上記光源側保護フィルムが延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。
上記光学シート部材が、拡散フィルム、マイクロレンズフィルム、レンズシートから選ばれることが好ましい。
上記光源側保護フィルムは、面内の遅相軸方向の屈折率をnx、面内で遅相軸と直交する方向の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnzとしたときに、(nx−nz)/(nx−ny)で表されるNz係数が4以上または2未満であることが好ましい。
上記光学シート部材は、面内の位相差値が1000nm以上であることが好ましい。
本発明によれば、光入射側偏光板の光源側保護フィルムの遅相軸に対する、バックライトの液晶パネル側の最表面に配置される光学シート部材の遅相軸のズレ角度を60°以下とすることで、表示時における色ムラが少なく視認性に優れた液晶表示装置を提供することができる。また、本発明によれば、上記の液晶表示装置に好適な光学部材セットも提供することができる。
本発明に関わる液晶表示装置の層構成の一例を示す断面模式図である。
<液晶表示装置>
図1は、本発明に係る液晶表示装置の層構成の一例を示す断面模式図であり、直下型もしくはサイドライト型のバックライトを備える透過型液晶表示装置を示したものである。本発明に係る図1に示される液晶表示装置は、バックライト20およびバックライト20上に配置される液晶パネル80から構成される。
液晶パネル80は、液晶セル50、液晶セル50の一方の面に粘着剤層34を介して積層される光入射側偏光板30および液晶セル50の他方の面に粘着剤層44を介して積層される光出射側偏光板40からなる。液晶パネル80は、通常、偏光板30、40の片面にそれぞれ粘着剤層34、44を形成して、粘着剤層付き光入射側偏光板60および粘着剤層付き光出射側偏光板70とし、これらをその粘着剤層側で液晶セル50に貼合することにより作製される。
光入射側偏光板30は、偏光フィルム31の一方の面(バックライト側となる面)に光源側保護フィルム32が配置され、他方の面(液晶セル側)には”セル側保護フィルムまたは光学補償フィルム”33が配置されてなるものである。粘着剤層34は、光入射側偏光板30のセル側保護フィルムまたは光学補償フィルム33側の表面に積層されている。図1に示されるような光入射側偏光板30の構成は、偏光板の薄型軽量化の観点から有利であり、また、液晶表示装置の構成部材数を低減できるため、生産工程の簡素化及び歩留まりの向上をもたらす。
光出射側偏光板40は、偏光フィルム41の一方の面(液晶セルと反対側の面)に保護フィルム42が配置され、他方の面(液晶セル側)には”セル側保護フィルムまたは光学補償フィルム”43が配置されてなるものである。粘着剤層44は、光出射側偏光板40のセル側保護フィルムまたは光学補償フィルム43側の表面に積層されている。
また、図1に示される例においてバックライト20は、面光源10、面光源10の背面側(液晶パネル80とは反対側)に配置される反射板11、および、面光源10と液晶パネル80の間に配置される光学シート部材12(たとえば拡散フィルムやマイクロレンズシートなど)を備える。
本発明の液晶表示装置は、たとえば図1に示されるような層構成を有する液晶表示装置において、光入射側偏光板30において偏光フィルム31のバックライト20側に配置された光学異方性を有する光源側保護フィルム32の遅相軸と、バックライト20において液晶パネルに最も近い位置に配置された光学異方性を有する光学シート部材12の遅相軸とのなす角度(軸ズレ角度)が60°以下となるように、光源側保護フィルム32と光学シート部材12とが配置されるものである。該軸ズレ角度は、好ましくは45°以下である。軸ズレ角度が0°である場合に色ムラ防止の効果が最も高くなるが、実際の製造においては、色ムラ防止の効果を損なわない範囲の軸ズレ角度が許容される。
また、上記液晶表示装置を構成する上記光入射側偏光板および上記光学シート部材は、それぞれ長方形の形状であり、長方形の長辺に対する上記光入射側偏光板の光源側保護フィルムの遅相軸のズレ角度および上記光学シート部材の遅相軸のズレ角度をそれぞれ45°以内とするか、もしくは、長方形の短辺に対する上記光入射側偏光板の光源側保護フィルムの遅相軸のズレ角度および上記光学シート部材の遅相軸のズレ角度をそれぞれ45°以内とするのが、一般的な液晶表示装置の生産上好ましい。当然、かかる場合においても、光入射側偏光板の光源側保護フィルムの遅相軸に対し、光学シート部材の遅相軸は60°以下となるように配置する。
以下、本発明の液晶表示装置についてより詳細に説明する。
<光入射側偏光板>
本発明に用いる光入射側偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムと、該偏光フィルムの片面(バックライト側となる面)に配置された光学異方性を有する光源側保護フィルムを備えるものである。
また、本発明に用いる光入射側偏光板は、偏光フィルムの液晶セル側(上記光源側保護フィルムが配置された面とは反対側の面)に配置されたセル側保護フィルムまたは光学補償フィルムを備えていてもよい。
なかでも本発明においては、偏光フィルムの片面(バックライト側)にのみ光源側保護フィルムを貼合し、偏光フィルムの他方の面に光学補償フィルムを直接貼合する形態が好ましい。偏光板の薄型軽量化の観点から有利であり、また、液晶表示装置の構成部材数を低減できるため、生産工程の簡素化及び歩留まりの向上をもたらすからである。
また、偏光フィルムの両面に保護フィルム(光源側保護フィルムおよびセル側保護フィルム)を貼合し、セル側保護フィルムの上にさらに光学補償フィルムが積層された構成であってもよい。この際、偏光フィルムの液晶セル側(光学補償フィルム側)に積層されるセル側保護フィルムは、光学異方性の小さいフィルムを採用するのが一般的である。
(偏光フィルム)
本発明に用いる偏光フィルムは、通常、公知の方法によってポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより、二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、およびホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造されるものである。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体との共重合体等が挙げられる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、たとえば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、およびアンモニウム基を有するアクリルアミド類等が挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常、85〜100mol%程度であり、98mol%以上が好ましい。このポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、たとえば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールおよびポリビニルアセタール等も使用することができる。また、ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常、1,000〜10,000程度であり、1,500〜5,000程度が好ましい。
このようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光フィルムの原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系原反フィルムの膜厚は、特に制限されるものではないが、たとえば、10μm〜150μm程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素の染色前、染色と同時、または染色の後に行なうことができる。一軸延伸を染色の後で行なう場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前またはホウ酸処理中に行なってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行なってもよい。
一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、一軸延伸は、大気中で延伸を行なう乾式延伸であってもよいし、溶剤を用い、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行なう湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常、3〜8倍程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色する方法としては、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素が含有された水溶液に浸漬する方法が採用される。二色性色素として、具体的には、ヨウ素や二色性染料が用いられる。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は、通常、水100重量部あたり0.01〜1重量部程度である。また、ヨウ化カリウムの含有量は、通常、水100重量部あたり0.5〜20重量部程度である。染色に用いる水溶液の温度は、通常、20〜40℃程度である。
また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常、20〜1,800秒程度である。
一方、二色性色素として二色性染料を用いる場合は、通常、水溶性二色性染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は、通常、水100重量部あたり1×10-4〜10重量部程度であり、1×10-3〜1重量部程度が好ましい。この水溶液は、硫酸ナトリウム等の無機塩を染色助剤として含有していてもよい。染色に用いる二色性染料水溶液の温度は、通常、20〜80℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常、10〜1,800秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、通常、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬することにより行なうことができる。
ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の量は、通常、水100重量部あたり、2〜15重量部程度であり、5〜12重量部が好ましい。二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、このホウ酸含有水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましい。ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの量は、通常、水100重量部あたり、0.1〜15重量部程度であり、5〜12重量部程度が好ましい。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常、60〜1,200秒程度であり、150〜600秒程度が好ましく、200〜400秒程度がより好ましい。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常、50℃以上であり、50〜85℃が好ましく、60〜80℃がより好ましい。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、たとえば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行なうことができる。水洗処理における水の温度は、通常、5〜40℃程度である。また、浸漬時間は、通常、1〜120秒程度である。
水洗後は乾燥処理が施されて、偏光フィルムが得られる。乾燥処理は、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行なうことができる。乾燥処理の温度は、通常、30〜100℃程度であり、50〜80℃が好ましい。乾燥処理の時間は、通常、60〜600秒程度であり、120〜600秒が好ましい。
乾燥処理によって、偏光フィルムの水分率は実用程度にまで低減される。その水分率は、通常、5〜20重量%であり、8〜15重量%が好ましい。水分率が5重量%を下回ると、偏光フィルムの可撓性が失われ、偏光フィルムがその乾燥後に損傷したり、破断したりする場合がある。また、水分率が20重量%を上回ると、偏光フィルムの熱安定性に劣る場合がある。
こうして得られる偏光フィルムの厚みは、通常、5〜40μm程度とすることができる。
(光学異方性を有する光源側保護フィルム)
偏光フィルムの片面に積層される光学異方性を有する光源側保護フィルムには、透明な各種樹脂フィルムを用いることができる。透明樹脂フィルムを構成する透明樹脂材料としては、例えば、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等の酢酸セルロース系樹脂;ノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂およびその他のポリオレフィン樹脂;ならびにアクリル系樹脂などを挙げることができる。中でも、コスト面や薄膜化が容易であるといったメリットから、ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いることが好ましい。本発明の色ムラ防止の効果は、光源側保護フィルムが高い光学異方性を有する場合、特に面内の位相差値が200nm以上である場合に顕著なものとなる。例えば、高い光学異方性を有する延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用した場合において顕著な効果が得られる。
延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムとは、一種以上のポリエチレンテレフタレート系樹脂を溶融押出によって製膜し、横延伸してなる一層以上の一軸延伸フィルム、または、製膜後引き続いて縦延伸し、次いで横延伸してなる一層以上の二軸延伸フィルムである。ポリエチレンテレフタレートは延伸により屈折率の異方性と、それらで規定される各種光学物性値(遅相軸、面内位相差値、Nz値、等)を任意に制御することができる。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂とは、繰り返し単位の80mol%以上がエチレンテレフタレートで構成される樹脂を意味し、他のジカルボン酸成分とジオール成分を含んでいてもよい。他のジカルボン酸成分としては、特に限定されるものでないが、たとえば、イソフタル酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸、4,4’−ジカルボキシジフェニール、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、アジピン酸、セバシン酸、および1,4−ジカルボキシシクロヘキサン等が挙げられる。
他のジオール成分としては、特に限定されるものではないが、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
これらの他のジカルボン酸成分や他のジオール成分は、必要により2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸を併用することもできる。また、他の共重合成分として、少量のアミド結合、ウレタン結合、エーテル結合、およびカーボネート結合等を含有するジカルボン酸成分、またはジオール成分が用いられてもよい。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂の製造方法としては、テレフタル酸およびエチレングリコール(ならびに必要に応じて他のジカルボン酸または他のジオール)を直接重縮合させる方法、テレフタル酸のジアルキルエステルおよびエチレングリコール(ならびに必要に応じて他のジカルボン酸のジアルキルエステルまたは他のジオール)とをエステル交換反応させた後重縮合させる方法、およびテレフタル酸(および必要に応じて他のジカルボン酸)のエチレングリコールエステル(および必要に応じて他のジオールエステル)を重縮合させる方法等が採用される。
各々の重合反応には、アンチモン系、チタン系、ゲルマニウム系もしくはアルミニウム系化合物からなる重合触媒、または上記の複合化合物からなる重合触媒を用いることができる。
この重合反応条件は、用いるモノマー、触媒、反応装置、および目的とする樹脂物性に合わせて適宜選択すればよく、特に制限されるものではないが、たとえば、反応温度は、通常、約150℃〜約300℃であり、約200℃〜約300℃であることが好ましく、約260℃〜約300℃であることがより好ましい。また、その圧力は、通常、大気圧〜約2.7Paであり、中でも反応の後半には減圧側であることが好ましい。
重合反応は、このような高温・高減圧条件下で攪拌されることにより、ジオール、アルキル化合物または水等の脱離反応物を脱揮することで進行する。
また、重合装置は、反応槽が一つで完結するものでもよく、または複数の反応槽を連結したものでもよい。この場合、通常、重合度に応じて反応物は反応槽間を移送されながら重合される。また、重合後半に横型反応装置を備え、加熱・混練しながら脱揮する方法も採用することができる。
重合終了後の樹脂は、溶融状態で反応槽や横型反応装置から抜き出された後、冷却ドラムや冷却ベルト等で冷却・粉砕されたフレーク状の形態で、または押出機に導入され紐状に押し出された後裁断されたペレット状の形態で得られる。
さらに、必要に応じて固相重合を行ない、分子量を向上させたり、低分子量成分を低減させたりすることもできる。ポリエチレンテレフタレート系樹脂に含まれ得る低分子量成分としては、環状3量体成分が挙げられるが、このような環状3量体成分の樹脂中における含有量は、5000ppm以下が好ましく、3000ppm以下であることがより好ましい。環状3量体成分が5000ppmを超えると、フィルムの光学的物性に悪影響を与える場合がある。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂の分子量は、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒に樹脂を溶解し、30℃で測定した極限粘度で表したとき、通常、0.45〜1.0dL/g、好ましくは0.50〜1.0dL/g、さらに好ましくは0.52〜0.80dL/gの範囲である。極限粘度が0.45dL/g未満のものは、フィルム製造時の生産性が低下したり、フィルムの機械的強度が低下したりする場合がある。また、極限粘度が1.0dL/gを超えるものは、フィルム製造におけるポリマーの溶融押出安定性に劣る場合がある。
また、ポリエチレンテレフタレート系樹脂は、必要に応じて添加剤を含有することができる。添加剤としては、たとえば、滑剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐光剤および耐衝撃性改良剤等が挙げられる。その添加量は、光学物性に悪影響を与えない範囲にとどめることが好ましい。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂は、このような添加剤の配合のため、および後記するフィルム成形のため、通常、押出機によって造粒されたペレット形状で用いられる。ペレットの大きさや形状は、特に制限されるものではないが、通常、高さ、直径ともに5mm以下の円柱状、球状、または扁平球状である。
このようにして得られるポリエチレンテレフタレート系樹脂は、フィルム状に成形し、延伸処理することにより、透明で均質な機械的強度の高いポリエチレンテレフタレートフィルムとすることができる。その製造方法としては、特に限定されるものではないが、たとえば、次に記載する方法が採用される。
まず、乾燥させたポリエチレンテレフタレート樹脂からなるペレットを溶融押出装置に供給し、融点以上に加熱し溶融する。次に、溶融した樹脂をダイから押し出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未延伸フィルムを得る。この溶融温度は、用いるポリエチレンテレフタレート系樹脂の融点や押出機に応じて定められるものであり、特に制限するものではないが、通常、250〜350℃である。
また、フィルムの平面性を向上させるためには、フィルムと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法または液体塗布密着法が好ましく採用される。
静電印加密着法とは、通常、フィルムの上面側にフィルムの流れと直交する方向に線状電極を張り、その電極に約5〜10kVの直流電圧を印加することによりフィルムに静電荷を与え、回転冷却ドラムとフィルムとの密着性を向上させる方法である。また、液体塗布密着法とは、回転冷却ドラム表面の全体または一部(たとえばフィルム両端部と接触する部分のみ)に液体を均一に塗布することにより、回転冷却ドラムとフィルムとの密着性を向上させる方法である。必要に応じ両者を併用してもよい。
用いるポリエチレンテレフタレート系樹脂は、必要に応じ2種以上の樹脂構造や組成の異なる樹脂を混合してもよい。たとえば、ブロッキング防止剤としての粒状フィラー、紫外線吸収剤、または帯電防止剤等の配合されたペレットと、無配合のペレットとを混合して用いること等が挙げられる。
また、押し出すフィルムの積層数は、必要に応じ2層以上にしてもよい。たとえば、ブロッキング防止剤としての粒状フィラーを配合したペレットと無配合のペレットを用意し、異なる押出機から同一のダイへ供給して「フィラー配合/無配合/フィラー配合」の2種3層からなるフィルムを押し出すこと等が挙げられる。
一軸延伸フィルムを得る場合、上記未延伸フィルムは、通常、ガラス転移温度以上の温度において、テンターによってフィルムの巾方向(長尺方向に対して垂直方向)への横延伸が行われる。この延伸温度は、通常、70〜150℃であり、80〜130℃が好ましく、90〜120℃がより好ましい。また、延伸倍率は、通常、2.5〜6倍であり、3〜5.5倍が好ましい。横延伸における延伸倍率が1.1倍未満であると、フィルムの透明性が不良となる場合があり好ましくない。また、6倍を超える延伸倍率は、製造技術上現実的ではない。
この後、熱処理および必要に応じて弛緩処理を行なうことができる。熱処理温度は、通常、150〜250℃であり、180〜245℃が好ましく、200〜230℃がより好ましい。熱処理時間は、通常、1〜600秒間であり、1〜300秒間が好ましく、1〜60秒間がより好ましい。
弛緩処理の温度は、通常、100〜230℃であり、110〜210℃であることが好ましく、120〜180℃がより好ましい。また、弛緩量は、通常、0.1〜20%であり、1〜10%であることが好ましく、2〜5%であることがより好ましい。この弛緩処理の温度および弛緩量は、弛緩処理後のポリエチレンテレフタレートフィルムの150℃における熱収縮率が2%以下になるように、弛緩量および弛緩処理時の温度を設定することがさらに好ましい。
一方、二軸延伸フィルムを得る場合、上記未延伸フィルムは、ガラス転移温度以上の温度において、通常、まず押出方向へ縦延伸される。延伸温度は、通常、70〜150℃であり、80〜130℃が好ましく、90〜120℃がより好ましい。また、延伸倍率は、通常、1.1〜6倍であり、2〜5.5倍が好ましい。この延伸倍率が1.1倍未満であると、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの機械的強度が不足する傾向にあるためである。また、6倍を超えると、横方向の強度が実用に不足する場合がある。この延伸は一回で終えることも、必要に応じて複数回に分けて行なうこともできる。通常、複数回の延伸を行なう場合でも、合計の延伸倍率は上記の範囲であることが好ましい。
こうして得られる縦延伸フィルムは、この後、熱処理を行なうことができる。次いで、必要により弛緩処理を行なうこともできる。この熱処理温度は、通常、150〜250℃であり、180〜245℃が好ましく、200〜230℃がより好ましい。また、熱処理時間は、通常、1〜600秒間であり、1〜300秒間が好ましく、1〜60秒間がより好ましい。
弛緩処理の温度は、通常、90〜200℃であり、120〜180℃であることが好ましい。また、弛緩量は、通常、0.1〜20%であり、2〜5%であることが好ましい。
この弛緩処理の温度および弛緩量は、弛緩処理後のポリエチレンテレフタレートフィルムの150℃における熱収縮率が2%以下になるように、弛緩量および弛緩処理時の温度を設定することがさらに好ましい。
二軸延伸フィルムを得る場合、通常、縦延伸処理の後に、もしくは必要に応じて熱処理または弛緩処理を経た後に、テンターによって横延伸が行なわれる。この延伸温度は、通常、70〜150℃であり、80〜130℃が好ましく、90〜120℃がより好ましい。また、延伸倍率は、通常、1.1〜6倍であり、2〜5.5倍であることが好ましい。横延伸における延伸倍率が1.1倍未満であると、配向によるフィルム強度向上が不足する場合がある。また、6倍を超える延伸倍率は、製造技術上現実的ではない。
この後、熱処理および必要に応じて弛緩処理を行なうことができる。熱処理温度は、通常、150〜250℃であり、180〜245℃が好ましく、200〜230℃がより好ましい。熱処理時間は、通常、1〜600秒間であり、1〜300秒間が好ましく、1〜60秒間がより好ましい。
弛緩処理の温度は、通常、100〜230℃であり、110〜210℃であることが好ましく、120〜180℃がより好ましい。また、弛緩量は、通常、0.1〜20%であり、1〜10%であることが好ましく、2〜5%であることがより好ましい。この弛緩処理の温度および弛緩量は、弛緩処理後のポリエチレンテレフタレートフィルムの150℃における熱収縮率が2%以下になるように、その弛緩量および弛緩処理時の温度を設定することが好ましい。
一軸延伸および二軸延伸フィルムを得る場合、通常、縦延伸処理の後に、もしくは必要に応じて熱処理または弛緩処理を経た後に、テンターによって横延伸が行なわれる。この延伸温度は、通常、70〜150℃であり、80〜130℃が好ましく、90〜120℃がより好ましい。また、延伸倍率は、通常、1.1〜6倍であり、2〜5.5倍であることが好ましい。横延伸における延伸倍率が1.1倍未満であると、配向によるフィルム強度向上が不足する場合がある。また、6倍を超える延伸倍率は、製造技術上現実的ではない。
この後、熱処理および必要に応じて弛緩処理を行なうことができる。熱処理温度は、通常、150〜250℃であり、180〜245℃が好ましく、200〜230℃がより好ましい。熱処理時間は、通常、1〜600秒間であり、1〜300秒間が好ましく、1〜60秒間がより好ましい。
弛緩処理の温度は、通常、100〜230℃であり、110〜210℃であることが好ましく、120〜180℃がより好ましい。また、弛緩量は、通常、0.1〜20%であり、1〜10%であることが好ましく、2〜5%であることがより好ましい。この弛緩処理の温度および弛緩量は、弛緩処理後のポリエチレンテレフタレートフィルムの150℃における熱収縮率が2%以下になるように、その弛緩量および弛緩処理時の温度を設定することが好ましい。
一軸延伸および二軸延伸処理においては、ともに、その延伸処理温度が250℃を超えると、樹脂に熱劣化が生じたり、結晶化が進みすぎたりするために光学性能が低下する場合がある。また、延伸処理温度が70℃未満になると、延伸に過大なストレスがかかったり、フィルムが固化し延伸自体が不可能になったりする場合がある。
また、一軸延伸および二軸延伸処理においては、横延伸の後、ボーイングに代表されるような配向主軸の延伸方向に対する歪みを緩和させるために、再度、熱処理を行なったり、延伸処理を行なったりすることができる。
なお、ここで延伸方向とは、縦延伸または横延伸における延伸倍率の大きい方向をいう。ポリエチレンテレフタレートフィルムの二軸延伸では、通常、横延伸倍率の方が縦延伸倍率より若干大きくなされるので、この場合、延伸方向とは、上記フィルムの長尺方向に対して垂直方向をいう。また、一軸延伸では、通常、上記のように横方向へ延伸されるので、この場合、延伸方向とは、同じく長尺方向に対して垂直方向をいう。
また、ここで配向主軸とは、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上の任意の点における分子配向方向をいい、遅相軸のことを指す。この遅相軸の延伸方向に対する歪みとは、遅相軸と延伸方向との角度差をいう。
上記遅相軸は、たとえば、位相差フィルム・光学材料検査装置RETS(大塚電子株式会社製)または分子配向計MOA(王子計測機器株式会社製)などを用いて測定できる。
延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにおいて、上記縦延伸または横延伸における延伸倍率は、フィルム面内の遅相軸方向の屈折率であるnx、面内で遅相軸と直交する方向の屈折率であるny、厚み方向の屈折率であるnzを制御する上で最も重要な因子であり、一般的に延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの作製において、一軸延伸は(nx−nz)/(nx−ny)で表されるNz係数が比較的小さい、二軸延伸は比較的大きいフィルムを作製することに適している。
本発明に用いる偏光板においては、かかる延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムとして、Nz係数が4以上もしくは2未満であるものが好ましい。Nz係数が4以上の延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは二軸延伸にて、2未満の延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは一軸延伸でそれぞれ好ましく作製できる。このような光学性能の延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを採用することで、かかる偏光板を搭載した液晶表示装置における色ムラをある程度低減することができる。Nz係数は4以上であればより大きいほど、2未満であればより小さいほど色ムラ低減の効果を発揮する。Nz係数が2以上から4未満の場合はかかる偏光板を搭載した液晶表示装置においては色ムラが強くなる傾向にあり好ましくない。
本発明に用いる偏光板においては、偏光フィルムの透過軸に対する延伸ポリエチレンテレフタレートの遅相軸の軸ズレ角度は、目的や生産上の制約に応じて任意に選択することができる。たとえば、本発明の偏光板を、正面方向の偏光性の強いバックライト光源を備える液晶表示装置のバックライト側(光入射側)偏光板として適用する場合、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの面内位相差に由来する正面方向からの干渉色の発現を防ぐため、偏光フィルムと延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの軸ズレ角度は小さい方が好ましい。好ましくは、偏光フィルムの透過軸に対する延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの遅相軸のズレ角度が0度以上15度以下の範囲とするのが良い。かかる場合においても、Nz係数は4以上もしくは2未満とすることが色ムラの低減に効果的である。
偏光性の強いバックライト光源として、たとえば、バックライトユニット内に反射型偏光分離フィルムを備えるもの等が挙げられる。反射型偏光分離フィルムとは、バックライトの光を選択的に反射させ、再利用することで可視範囲の輝度を向上させる機能を有するフィルムである。反射型偏光分離フィルムに相当する市販品としては、米国の3M Company〔日本では住友スリーエム(株)〕から販売されている「DBEF」(商品名)などがある。
一方で、上記以外の場合には、偏光フィルムの透過軸に対する延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの遅相軸のズレ角度が大きいものも好ましく用いることができる。中でも、20度以上50度以下のズレ角度であるものがより好ましい。偏光フィルムと延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの軸ズレ角度を上記の範囲とすることで、より液晶表示装置の色ムラを低減することができる。
本発明における延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにおいて、各種光学物性値(遅相軸、面内位相差値、Nz係数、等)を特定範囲に制御するためには、公知のあらゆる技術が制限なく採用できる。具体的には、上記の延伸処理時における延伸温度、延伸倍率、弛緩処理、ラインスピード等の延伸条件を調整することで制御できる。また、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム原反にはしばしば巾方向(長尺方向に対して垂直方向)において、ボーイングに代表されるような遅相軸の歪みや、面内位相差値、Nz係数のバラツキがある場合が見られる。このような延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムについては、必要に応じて、目的の光学性能を有する巾範囲のみを選択的に使用することもできる。
本発明に用いる偏光板における偏光フィルムの透過軸と延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの遅相軸の軸ズレ角度を制御する方法としては、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム原反自体において延伸方向と遅相軸とが目的の角度範囲内に調整されたものを用いる方法や、上記のように必要に応じて、目的の光学性能を有する巾範囲のみを選択的に使用することもできる。また、偏光フィルムに延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを積層する際に、偏光フィルムの透過軸方向と延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの遅相軸方向とのズレ角度を目的の角度範囲内で調整して貼りあわせてもよい。前者の方法を採用した場合、偏光フィルムと延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムとをロール・ツー・ロールで貼合することが出来るため、生産性およびコスト面で優れる。
本発明に用いる偏光板に用いられる延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みは、15〜75μmの範囲内であることが好ましく、20〜60μm範囲ないであることがより好ましい。延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みが15μm未満である場合には、ハンドリングしにくい(取り扱い性に劣る)傾向にあり、また厚みが75μmを超える場合には、厚膜となるためコスト高となり、さらには、薄肉化のメリットが薄れる傾向にある。
こうして得られる延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、それぞれ商品名で、「ダイアホイル」、「ホスタファン」、「フュージョン」(以上、三菱樹脂株式会社製)、「テイジンテトロンフィルム」、「メリネックス」、「マイラー」、「テフレックス」、(以上、帝人デュポンフィルム株式会社製)、「東洋紡エステルフィルム」、「東洋紡エスペットフィルム」、「コスモシャイン」、「クリスパー」(以上、東洋紡績株式会社製)、「ルミラー」(東レフィルム加工株式会社製)、「エンブロン」、「エンブレット」(ユニチカ株式会社製)、「スカイロール」(エス・ケー・シー社製)、「コーフィル」(株式会社高合製)、「瑞通ポリエステルフィルム」(株式会社瑞通製)、および「太閤ポリエステルフィルム」(フタムラ化学株式会社製)等が挙げられる。
さらに本発明に用いられる延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムには、本発明の効果を妨げない限り、様々な機能層を片面、または両面に積層することができる。積層される機能層には、たとえば、導電層、平滑化層、易滑化層、ブロッキング防止層、および易接着層等が挙げられる。中でも、この延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは偏光フィルムと接着剤層を介して積層されることから易接着層が積層されていることが好ましい。
易接着層を構成する成分は、特に限定されるものではないが、たとえば、極性基を骨格に有し比較的低分子量で低ガラス転移温度である、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、またはアクリル系樹脂等が挙げられる。また、必要に応じて架橋剤、有機または無機フィラー、界面活性剤、および滑剤等を含有することができる。
上記導電層、平滑化層、易滑化層、ブロッキング防止層、および易接着層等の機能層を延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに形成する方法は、特に限定されるものではないが、たとえば、すべての延伸工程が終了したフィルムに形成する方法、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を延伸している工程中、たとえば縦延伸と横延伸工程の間に形成する方法、および偏光フィルムと接着される直前または接着された後に形成する方法等が採用される。例えば、二軸延伸の延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにおいては、生産性の観点からは、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を縦延伸した後に形成し、引き続き横延伸する方法が好ましく採用される。
(光源側保護フィルムの接着)
本発明に用いる光入射側偏光板において、偏光フィルムと光学異方性を有する光源側保護フィルムとは、通常、接着剤を介して貼着される。該接着剤としては、それぞれのフィルムに対する接着性を考慮して、種々公知の接着剤などの中から任意のものを用いることができる。好ましくは、透明で光学的に等方性の接着剤が用いられる。具体的な接着剤としては、たとえば、ポリビニルアルコール系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤などが挙げられる。エポキシ系接着剤の好適な例としては、脂環式エポキシ化合物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物が挙げられる。
また、無溶剤型の接着剤を用いることがより好ましい。かかる接着剤を採用することにより、過酷な環境下における偏光板の耐久性を向上させることが可能になるとともに、接着剤を乾燥させる工程が不要になるため、生産性を向上させることができるという利点がある。
(セル側保護フィルムまたは光学補償フィルム)
本発明に用いる光入射側偏光板は、偏光フィルムの上記光学異方性を有する光源側保護フィルムが積層されている面と反対側の面に積層されたセル側保護フィルムまたは光学補償フィルムを備えていてもよい。
セル側保護フィルムまたは光学補償フィルムは、光学フィルムとしての光学特性を有するものを目的に合わせて適宜使用することができ、特に限定されるものではないが、セル側保護フィルムとしては、たとえば、トリアセチルセルロース(TAC)等からなるセルロース系樹脂フィルム、オレフィン系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、およびポリエステル系樹脂フィルム等の透明樹脂フィルムから構成されるものを用いることができる。
光学補償フィルムとしては、具体的には、上記透明樹脂フィルムを延伸して屈折率異方性を持たせたもの、光学異方性付与添加剤を配合したもの、および表面に光学異方性層を形成したもの等が挙げられる。
光入射側偏光板において、偏光フィルムの液晶セル側にセル側保護フィルムを積層した場合、さらにその液晶セル側に光学補償フィルムを積層してもよい。
また、これらセル側保護フィルムまたは光学補償フィルムには、さらに、後記するように、光学機能性フィルムを積層したり、光学機能層をコーティングしたりすることもできる。
セルロース系樹脂フィルムとは、セルロースの部分または完全エステル化物からなるフィルムであり、たとえば、セルロースの酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、およびそれらの混合エステル等からなるフィルムが挙げられる。中でも、トリアセチルセルロースフィルム、ジアセチルセルロースフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、およびセルロースアセテートブチレートフィルム等が好ましく用いられる。
このようなセルロース系樹脂フィルムは、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、それぞれ商品名で、「フジタックTD」(富士フィルム株式会社製)、および「コニカミノルタTACフィルムKC」(コニカミノルタオプト株式会社製)等が挙げられる。
オレフィン系樹脂フィルムとは、たとえば、エチレンおよびプロピレン等の鎖状オレフィンモノマー、ならびにノルボルネンおよび他のシクロペンタジエン誘導体等の環状オレフィンモノマーを、重合用触媒を用いて重合して得られる樹脂からなるフィルムである。
鎖状オレフィンモノマーからなるオレフィン系樹脂としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン系樹脂が挙げられる。中でも、プロピレンの単独重合体からなるポリプロピレン系樹脂が好ましい。また、プロピレンを主体とし、それと共重合可能なコモノマーを、通常、1〜20重量%の割合で、好ましくは3〜10重量%の割合で共重合させたポリプロピレン系樹脂も好ましい。
プロピレン共重合体からなるポリプロピレン系樹脂を用いる場合、プロピレンと共重合可能なコモノマーとしては、エチレン、1−ブテン、および1−ヘキセンが好ましい。中でも、透明性や延伸加工性に比較的優れることからエチレンを3〜10重量%の割合で共重合させたものが好ましい。エチレンの共重合割合を1重量%以上とすることで、透明性や延伸加工性を上げる効果が現れる。一方、その割合が20重量%を超えると、樹脂の融点が下がりセル側保護フィルムや光学補償フィルムに要求される耐熱性が損なわれる場合がある。
このようなポリプロピレン系樹脂は、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、各々商品名で、「プライムポリプロ」(株式会社プライムポリマー製)、「ノバテック」、「ウィンテック」(以上、日本ポリプロ株式会社製)、「住友ノーブレン」(住友化学株式会社製)、および「サンアロマー」(サンアロマー株式会社製)等が挙げられる。
環状オレフィンを重合してなるオレフィン系樹脂は、一般に、環状(ポリ)オレフィン系樹脂、脂環式(ポリ)オレフィン系樹脂、またはノルボルネン系樹脂と称される。ここでは環状オレフィン系樹脂と称する。
環状オレフィン系樹脂としては、たとえば、シクロペンタジエンとオレフィン類とからディールス・アルダー反応によって得られるノルボルネンまたはその誘導体をモノマーとして開環メタセシス重合を行ない、それに続く水添によって得られる樹脂;ジシクロペンタジエンとオレフィン類またはメタクリル酸エステル類とからディールス・アルダー反応によって得られるテトラシクロドデセンまたはその誘導体をモノマーとして開環メタセシス重合を行ない、それに続く水添よって得られる樹脂;ノルボルネン、テトラシクロドデセン、それらの誘導体類、またはその他の環状オレフィンモノマーを同様に開環メタセシス共重合を行ない、それに続く水添によって得られる樹脂;ならびに、上記のノルボルネン、テトラシクロドデセン、それらの誘導体、およびビニル基を有する芳香族化合物等を付加重合により共重合させて得られる樹脂等が挙げられる。
このような環状オレフィン系樹脂は、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、各々商品名で、「トパス」(Topas Advanced Polymers GmbH製)、「アートン」(JSR株式会社製)、「ゼオノア」、「ゼオネックス」(以上、日本ゼオン株式会社製)、および「アペル」(三井化学株式会社製)等が挙げられる。
アクリル系樹脂フィルムの好ましい具体例としては、メタクリル酸メチル系樹脂からなるフィルムを挙げることができる。メタクリル酸メチル系樹脂とは、メタクリル酸メチル単位を50重量%以上含む重合体である。メタクリル酸メチル単位の含有量は、好ましくは70重量%以上であり、100重量%であってもよい。メタクリル酸メチル単位が100重量%の重合体は、メタクリル酸メチルを単独で重合させて得られるメタクリル酸メチル単独重合体である。
このメタクリル酸メチル系樹脂は、通常、メタクリル酸メチルを主成分とする単官能単量体および必要に応じて使用される多官能単量体を、ラジカル重合開始剤および必要に応じて使用される連鎖移動剤の共存下に重合することにより得ることができる。
メタクリル酸メチルと共重合し得る単官能単量体としては、特に限定されるものではないが、たとえば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、およびメタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸メチル以外のメタクリル酸エステル類; アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、およびアクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアクリル酸エステル類; 2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、3−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、および2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ブチル等のヒドロキシアクリル酸エステル類; メタクリル酸およびアクリル酸等の不飽和酸類; クロロスチレンおよびブロモスチレン等のハロゲン化スチレン類; ビニルトルエンおよびα−メチルスチレン等の置換スチレン類; アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類; 無水マレイン酸および無水シトラコン酸等の不飽和酸無水物類; ならびにフェニルマレイミドおよびシクロヘキシルマレイミド等の不飽和イミド類等を挙げることができる。このような単量体は、それぞれ単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
メタクリル酸メチルと共重合し得る多官能単量体としては、特に限定されるものではないが、たとえば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、およびテトラデカエチレングリコール(メタ)アクリレート等のエチレングリコールまたはそのオリゴマーの両末端水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの; プロピレングリコールまたはそのオリゴマーの両末端水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの; ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、およびブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の2価アルコールの水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの; ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、またはこれらのハロゲン置換体の両末端水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの; トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトール等の多価アルコールをアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの、ならびにこれら末端水酸基にグリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートのエポキシ基を開環付加させたもの; コハク酸、アジピン酸、テレフタル酸、フタル酸、これらのハロゲン置換体等の二塩基酸、およびこれらのアルキレンオキサイド付加物等にグリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートのエポキシ基を開環付加させたもの; アリール(メタ)アクリレート; およびジビニルベンゼン等のジアリール化合物等が挙げられる。中でも、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、およびネオペンチルグリコールジメタクリレートが好ましく用いられる。
メタクリル酸メチル系樹脂は、該樹脂が有する官能基間の反応を行なうことによって変成された変性メタクリル酸メチル系樹脂であってもよい。その反応としては、たとえば、アクリル酸メチルのメチルエステル基と2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの水酸基との高分子鎖内脱メタノール縮合反応、および、アクリル酸のカルボキシル基と2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの水酸基との高分子鎖内脱水縮合反応等が挙げられる。
メタクリル酸メチル系樹脂は、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、各々商品名で、「スミペックス」(住友化学株式会社製)、「アクリペット」(三菱レイヨン株式会社製)、「デルペット」(旭化成株式会社製)、「パラペット」(株式会社クラレ製)、および「アクリビュア」(株式会社日本触媒製)等が挙げられる。
ポリカーボネート系樹脂フィルムを構成するポリカーボネート系樹脂とは、通常、二価フェノールとホスゲンまたはジフェニルカーボネート類等のカーボネート前駆体とを界面重縮合法、または溶融エステル交換法で反応させて得られるものであり、二価フェノールとしてビスフェノールAを用いた芳香族ポリカーボネート樹脂が一般的である。この他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させたもの、または環状カーボネート化合物を開環重合させたもの等も挙げられる。
二価フェノールとしては、光学用透明樹脂としての性能を損なうものでなければ特に限定されるものではないが、たとえば、ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)の他にも、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、および4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル等が挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
また、分子量を適切な範囲に調整したり、高分子鎖の水酸基末端を封止したりするために、一価フェノール化合物が併用されてもよい。この一価フェノールとしては、末端封止剤として機能する化合物であれば特に限定されるものではないが、たとえば、フェノール、4−tert−ブチルフェノール、および1−フェニル−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
また、必要に応じて、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−(2−カルボキシエチル))フェニルベンゾトリアゾール等のUV吸収性を有する化合物を末端封止剤として用いることもできる。
ポリカーボネート系樹脂は、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、各々商品名で、「レキサン」(SABICイノベーティブプラスチックス社製)、「マクロロン」、「アペック」(以上、バイエル マテリアルサイエンス社製)、「ユーピロン」、「ノバックス」(以上、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)、「パンライト」(帝人化成株式会社製)、「カリバー」(ダウケミカル社製)、「SDポリカ」(住友ダウ株式会社製)、および「タフロン」(出光興産株式会社製)等が挙げられる。
こうして得られるオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、メタクリル酸メチル系樹脂、およびポリカーボネート系樹脂等を、セル側保護フィルムに成形する方法としては、その樹脂に応じた方法を適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。たとえば、溶媒に溶解させた樹脂を金属性バンド、またはドラムへ流延し、溶媒を乾燥除去してフィルムを得る溶媒キャスト法、および樹脂をその溶融温度以上に加熱・混練してダイより押し出し、冷却することによりフィルムを得る溶融押出法が採用される。中でも、生産性の観点からは溶融押出法が好ましく採用される。
また、セル側保護フィルムとして用いることができる上記樹脂からなるフィルムは、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、ポリプロピレン系樹脂フィルムなら、それぞれ商品名で、「FILMAX CPPフィルム」(FILMAX社製)、「サントックス」(サン・トックス株式会社製)、「トーセロ」(東セロ株式会社製)、「東洋紡パイレンフィルム」(東洋紡績株式会社製)、「トレファン」(東レフィルム加工株式会社製)、「ニホンポリエース」(日本ポリエース株式会社製)、および「太閤FC」(フタムラ化学株式会社製)等を挙げられる。
また、たとえば、環状オレフィン系樹脂フィルムなら、それぞれ商品名で、「ゼオノアフィルム」(株式会社オプテス製)および「アートンフィルム」(JSR株式会社製)等が挙げられる。
また、たとえば、メタクリル酸メチル系樹脂フィルムなら、それぞれ商品名で、「スミペックス」(住友化学株式会社製)、「アクリライト」、「アクリプレン」(以上、三菱レイヨン株式会社製)、「デラグラス」(旭化成株式会社製)、「パラグラス」、「コモグラス」(以上、株式会社クラレ製)、および「アクリビュア」(株式会社日本触媒製)等が挙げられる。
また、たとえば、ポリカーボネート系樹脂フィルムなら、それぞれ商品名で、「レキサンOQフィルム」(SABICイノベーティブプラスチックス社製)、「マクロホール」、「バイホール」(以上、バイエル マテリアルサイエンス社製)、「ユーピロンシート」(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)、および「パンライトシート」(帝人化成株式会社製)等が挙げられる。
また、偏光フィルムにおける光学異方性を有する光源側保護フィルムが積層される側とは反対側に設けられるセル側保護フィルムとして用いるポリエステル系樹脂フィルムとしては、上記で光学異方性を有する光源側保護フィルムとして例示した延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを構成するポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート系樹脂)と同種のものを用いることができる。この場合、ポリエステル系樹脂フィルムは、延伸されていないものが用いられ、たとえば、上記の溶融押出によって得られたフィルムをそのまま用いることができる。
セル側保護フィルムとして用いることのできる未延伸のポリエステル系樹脂フィルムは、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、それぞれ商品名で、「ノバクリアー」(三菱化学株式会社製)および「帝人A−PETシート」(帝人化成株式会社製)等が挙げられる。
また、セルロース系樹脂フィルムからなる光学補償フィルムとしては、目的に合う屈折率特性を有するものであれば特に限定されるものではないが、たとえば、上記で挙げたセルロース系樹脂フィルムを一軸もしくは二軸延伸して得られるフィルム、またはセルロース系樹脂フィルム等に位相差調整機能を有する化合物を含有させたフィルム、セルロース系樹脂フィルム表面に位相差調整機能を有する化合物を塗布したフィルム、およびそれらのフィルムを、さらに一軸または二軸延伸して得られるフィルム等が挙げられる。
セルロース系樹脂フィルムからなる光学補償フィルムは、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、それぞれ商品名で、「フジタックWV」(富士フィルム株式会社製)および「コニカミノルタTACフィルムKC8UCR」(コニカミノルタオプト株式会社製)等が挙げられる。
また、上記のセル側保護フィルムとして例示した、オレフィン系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、およびポリエステル系樹脂フィルム等を光学補償フィルムとして用いるには、通常、その未延伸フィルムを延伸し、フィルムに屈折率異方性を持たせることによりなされる。延伸方法は、必要とされる屈折率異方性に応じて選択されるものであり、特に限定されるものではないが、通常、縦一軸延伸、横一軸延伸、および縦、横逐次二軸延伸が採用される。
通常、縦一軸延伸されたフィルムは、nx>ny=nzの屈折率異方性を有する。ここで、nxは、フィルムの延伸方向の屈折率であり、nyはフィルムの幅方向の屈折率であり、nzはフィルムの法線方向の屈折率である。
また、通常、横一軸延伸されたフィルムは、nx>ny≒nzの屈折率異方性を有する。
また、通常、逐次二軸延伸されたフィルムは、nx>ny>nzの屈折率異方性を有する。
また、所望の屈折率特性を付与するために、熱収縮性フィルムを目的とするフィルムに貼合し、延伸加工に替えて、または延伸加工とともにフィルムを収縮させることも行なわれる。通常、この操作は、屈折率異方性がnx>nz>nyまたはnz>nx≧nyとなる光学補償フィルムを得るために行なわれる。
これら光学補償フィルムについて、厚みをdとした場合、面内位相差値Rは(nx−ny)×dで、厚み方向の位相差値値Rthは[(nx+ny)/2−nz]×dでそれぞれ表すことが出来る。
光学補償フィルムは、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、環状ポリオレフィン系樹脂からなる光学補償フィルムとしては、それぞれ商品名で、「ゼオノアフィルム」(株式会社オプテス製)、「アートンフィルム」(JSR株式会社製)、「エスシーナ位相差フィルム」(積水化学工業株式会社製)、および「ピュアエースER」(帝人化成株式会社製)等が挙げられる。また、ポリカーボネート系樹脂からなる光学補償フィルムとしては、たとえば、「ピュアエースWR」(帝人化成株式会社製)等が挙げられる。
(セル側保護フィルムまたは光学補償フィルムの接着)
本発明に用いる光入射側偏光板において、偏光フィルムと上記したセル側保護フィルムまたは光学補償フィルムとは、通常、接着剤を介して貼着される。該接着剤としては、それぞれのフィルムに対する接着性を考慮して、種々公知の接着剤などの中から任意のものを用いることができる。好ましくは、透明で光学的に等方性の接着剤が用いられる。具体的な接着剤としては、たとえば、ポリビニルアルコール系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤などが挙げられる。エポキシ系接着剤の好適な例としては、脂環式エポキシ化合物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物が挙げられる。
また、無溶剤型の接着剤を用いることがより好ましい。かかる接着剤を採用することにより、過酷な環境下における偏光板の耐久性を向上させることが可能になるとともに、接着剤を乾燥させる工程が不要になるため、乾燥設備が不要となり、生産性を向上させることができるという利点がある。
また、偏光フィルムとセル側保護フィルムまたは光学補償フィルムとの接着に用いる接着剤として、上述の偏光フィルムと光学異方性を有する光源側保護フィルムとの接着に用いる接着剤と同一の接着剤を用いると、接着剤が一種類ですむため工程が簡便になる。さらに、両者の接着剤が活性エネルギー線硬化性組成物である場合、偏光板製造時にインラインの活性エネルギー線照射で、光源側保護フィルムの接着と、セル側保護フィルムまたは光学補償フィルムの接着を同時に行うことができるため、生産性が向上する利点がある。
また、水系の接着剤を用いてもよい。この水系の接着剤となりえる接着剤成分としては、たとえば、水溶性の架橋性エポキシ系樹脂、およびウレタン系樹脂等が挙げられる。
(粘着剤層)
本発明に用いる光入射側偏光板は、セル側保護フィルムまたは光学補償フィルムの液晶セル側(セル側保護フィルムまたは光学補償フィルムにおける偏光フィルムが積層されている面とは反対側の面)に粘着剤層を有することができる。このような粘着剤層は、液晶セルとの貼合に用いることができる。
粘着剤層を構成する粘着剤は、光学フィルムに用いられる諸特性(透明性、耐久性、リワーク性等)を満たしていれば特に限定されるものではないが、たとえば、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とし、さらに少量の、官能基を有する(メタ)アクリルモノマーを含有するアクリル系単量体組成物を重合開始剤の存在下ラジカル重合してなる、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下のアクリル系樹脂と、架橋剤とを含有するアクリル系粘着剤が用いられる。
ここで、アクリル系樹脂の主成分となる(メタ)アクリル酸エステルは、下記式:
CH2=C(R1)COOR2
で表すことができ、式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は炭素数1〜14のアルキル基、またはアラルキル基を表し、R2のアルキル基の水素原子、またはアラルキル基の水素原子は、炭素数1〜10のアルコキシ基によって置換されていてもよい。
また、官能基を有する(メタ)アクリルモノマーは、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基などの極性官能基と、一つのオレフィン性二重結合(通常は(メタ)アクリロイル基)を分子内に含有する単量体である。
アクリル系樹脂の主成分となる(メタ)アクリル酸エステルの具体例を挙げれば、たとえば、R1がHであり、R2がn−ブチル基であるアクリル酸ブチルや、R1がHであり、R2が2−エチルヘキシル基であるアクリル酸2−エチルヘキシルなどがある。また、官能基を有する(メタ)アクリルモノマーの具体例を挙げれば、たとえば、水酸基を有するものとして、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル;カルボキシル基を有するものとして、アクリル酸などがある。さらにこのアクリル系樹脂の製造にあたっては、分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーを少量共重合させることもでき、その例として、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
アクリル系樹脂の製造にあたり、上記の(メタ)アクリル酸エステルおよび官能基を有する(メタ)アクリルモノマーは、それぞれ一種類のみが用いられてもよいし、複数種類が併用されてもよい。また、(メタ)アクリル酸エステルと官能基を有する(メタ)アクリルモノマーとの共重合体であるアクリル系樹脂を複数種類組み合わせたり、当該共重合体であるアクリル系樹脂に、他のアクリル系樹脂、たとえば官能基を有しない(メタ)アクリルモノマーの単独または共重合体からなるアクリル系樹脂を配合したりして、アクリル系樹脂組成物としたものを粘着剤の樹脂成分として用いることもできる。
アクリル系粘着剤に配合される架橋剤は、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、金属キレート系化合物、アジリジン系化合物などであることができる。イソシアネート系化合物は、分子内にイソシアナト基(−NCO)を少なくとも2個有する化合物それ自体のほか、それをポリオール等に反応させたアダクト体、その2量体、3量体などの形で用いることができる。架橋剤の具体例を挙げれば、ジイソシアネート系化合物として、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体などがあり、それぞれ酢酸エチル等の有機溶剤に溶かした溶液として用いることが多い。これらの架橋剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、複数種類を組み合わせて用いてもよい。
アクリル系粘着剤に含有されるアクリル系樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算で、通常、60万〜200万程度であり、80万〜180万が好ましい。重量平均分子量が60万未満であると、粘着性や耐久性が低下する場合がある。また、重量平均分子量が200万を超えると、粘着剤層が必要以上に固くなり、粘着後の引き剥がしがしにくくなったり、貼合されるセル側保護フィルムまたは光学補償フィルムに不都合な応力複屈折を与えたりする場合がある。
上記アクリル系樹脂は、酢酸エチル等の有機溶剤に溶解され、さらに架橋剤が加えられることにより、アクリル系粘着剤溶液が得られる。また、必要に応じて、シランカップリング剤、耐候安定剤、タッキファイヤー、可塑剤、軟化剤、顔料、および無機フィラーの一種または二種以上、さらには有機ビーズ等の光拡散性微粒子を含有させることができる。
こうして得られるアクリル系粘着剤溶液は、通常、剥離フィルムの上に塗工され、60〜120℃で0.5〜10分間程度加熱して有機溶媒が留去されて、粘着剤層とされる。
次いで、この粘着剤層に、上記のセル側保護フィルムまたは光学補償フィルムを貼合した後、たとえば温度23℃、湿度65%の雰囲気下、5〜20日程度熟成させ、架橋剤(C)を十分反応させる。
また、剥離フィルムの上に粘着剤層を形成した後に、さらに剥離フィルムを貼合して、保護フィルム等の基材に支えられない粘着剤層単独シートを得ることもできる。この場合も剥離フィルムの貼合後、たとえば温度23℃、湿度65%の雰囲気下、5〜20日程度熟成させ、架橋剤を十分反応させる。このような粘着剤単独のシートは、セル側保護フィルムまたは光学補償フィルムの製造において、必要な時期に、片側の剥離フィルムを剥離してセル側保護フィルムまたは光学補償フィルムに貼合して使用される。
上記のようなアクリル系粘着剤の原料は、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、各種アクリルモノマー(株式会社日本触媒製、東亞合成株式会社製)、重合開始剤である2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等(大塚科学株式会社製、株式会社日本ファインケム製)、架橋剤であるヘキサメチレンジイソシアネート、およびそのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネート、およびそのトリメチロールプロパンアダクト体等(三井化学ポリウレタン株式会社製、住化バイエルウレタン株式会社製)が挙げられる。
また、粘着剤シートにも市販品があり、たとえば、「ノンキャリア粘着剤フィルム・シート」(リンテック株式会社製、日東電工株式会社製)が挙げられる。
<光出射側偏光板>
本発明の液晶表示装置において、液晶セルの光出射側に用いられる偏光板(光出射側偏光板40)は、従来公知の偏光板であってもよいし、光入射側偏光板と同じ構成の偏光板、すなわち偏光フィルムの液晶セルとは反対側に光学異方性を有する保護フィルムを備える偏光板であってもよい。光出射側偏光板40に光入射側と同じ偏光板が採用される場合、当該偏光板は、光学異方性を有する保護フィルム42の光出射側の面(偏光フィルム41が積層されている面とは反対の面)に、防眩層、ハードコート層、反射防止層、および帯電防止層から選ばれる少なくとも1つの機能層を備えることが好ましい。この場合でも、液晶表示装置の光入射側に配置される偏光板(光入射側偏光板)は、本発明の偏光板である。
<液晶セル>
上記粘着剤層付き偏光板をその粘着剤層を介して液晶セルの片面または両面に貼合することにより、液晶パネルを得ることができる。液晶セルは、透過光量をスイッチングするために、液晶が2枚の透明基板の間に封入され、電圧印加により液晶の配向状態を変化させる機能を有する部材であって、その中に封入された液晶層の配向状態と、電極間に電圧を印加したときの液晶層の配向状態によって、たとえば、ツイステッドネマティック(TN)モードや垂直配向(VA)モード、横電界(IPS)モードなど、各種方式のものがある。本発明においては、一般的な液晶表示装置に広く使用されている各種モードの液晶セルを用いることができる。
偏光フィルムの液晶セル側に積層されているセル側保護フィルムまたは光学補償フィルムの性能は、上記液晶セルの動作モードや特性に応じて適宜選択することができる。
<バックライト>
本発明の液晶表示装置は、液晶パネルの背後に配置されたバックライトを備える。該バックライトは、少なくとも、面光源と、該面光源上の液晶パネルに最も近い位置に設けられた光学異方性を有する光学シート部材を備えている。そして、該光学シート部材の遅相軸は、隣接する光入射側偏光板の光学異方性を有する光源側保護フィルムの遅相軸とのなす角度が60°以下となるよう配置される。このような構成とすることで、液晶表示装置において発生する光源側保護フィルムに起因する色ムラを顕著に低減することができる。
(面光源)
バックライトに用いる面光源は、光源からの光を前面側(液晶パネル側)に均一に出射するものである。面光源は、例えば、拡散板と、その背後(液晶パネルとは反対側)に配置された光源とを少なくとも備え、光源からの光を拡散板で均一に拡散させた上で前面側に出射する直下型の面光源であってもよく、導光板と、その側方に配置された光源とを少なくとも備え、光源からの光を一旦導光板内に入射し、導光板の液晶パネル側表面から光を前面側に均一に出射するサイドライト型の面光源であってもよい。
上記拡散板および導光板はいずれも、透明な熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂等の透明樹脂から構成することができ、透明樹脂としては、たとえば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂(環状オレフィン樹脂を含む)およびポリカーボネート樹脂などが挙げられる。
拡散板は、光源の像を隠蔽するとともに、光源からの光を均一に拡散させて前面側に出射し、面光源を形成する機能を有する光学部材である。拡散板は、通常、光源と液晶パネルとの間(光源から液晶パネルまでの光路上)に配置される。拡散板としては、上記透明樹脂中に、これとは異なる屈折率を有する光拡散剤を分散させたものが好適に用いられる。光拡散剤としては、透明樹脂に対して非相溶性な粒子であって、透明樹脂との屈折率差が通常0.01〜0.3、好ましくは0.05〜0.2であり、重量平均粒子径が通常1〜15μm、好ましくは2〜10μmである粒子を用いることができる。光拡散剤の具体例を挙げれば、たとえば、ガラスビーズ、シリカ粒子、水酸化アルミニウム粒子、炭酸カルシウム粒子、炭酸バリウム粒子、酸化チタン粒子、タルクなどの無機粒子や、スチレン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリコーン粒子などの有機粒子などである。
拡散板における光拡散剤の含有量は、適用される液晶表示装置における拡散板の要求特性により異なるが、たとえば、透明樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部程度とすることができ、好ましくは0.3〜7重量部である。光拡散剤は、拡散板単位面積あたりの含有量が2〜200g/m2となるように含有されることが好ましく、3〜70g/m2となるように含有されることがより好ましい。
導光板は、サイドライト型のバックライトに用いられる光学部材であり、その側方に配置された光源からの光を面発光に変換する機能を有する。導光板は、上記透明樹脂からなる平板状またはくさび形状部材とすることができる。透明樹脂中には、帯電防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等種々の添加剤が含有されてもよい。また、導光板の背面側(液晶パネルとは反対側)表面に、白色顔料によるドットパターンを設けてもよい。
面光源に用いる光源としては、例えば、蛍光管を使って白色光を発光する冷陰極蛍光ランプ(CCFL)や、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)などを採用することができる。
(光学異方性を有する光学シート部材)
本発明に用いるバックライトは、少なくとも液晶パネルに最も近い表面に光学異方性を有する光学シート部材を有するものである。本発明においては、該光学シート部材の遅相軸は、隣接する光入射側偏光板の光学異方性を有する光源側保護フィルムの遅相軸に対し、60°以下となるよう配置される。
上記光学シート部材として、光学異方性を有するシート状の部材であれば特に限定されないが、中でも光学異方性を示す透光性基材フィルムの片面もしくは両面に光学層を積層して構成されたものが好ましく用いられる。例えば、拡散フィルム、マイクロレンズフィルムは、レンズシート等はかかる構成をとることが一般的であり、本発明に好ましく適用できる。本発明は、これらの液晶表示装置に一般的に備えられる光学シートを利用することで、新たな部材を増やすことなく、効率的に色ムラの少ない液晶表示装置を得ることができる。
本発明において、上記基材フィルムは、光学的異方性を有し、具体的には平面方向で屈折率が異なる複屈折性を有しており、光軸角度およびリタデーション値を有している。また、通常、上記光学異方性を有する基材フィルムを用いた光学シート部材の遅相軸角度、面内位相差値等の光学特性は、基材フィルムの性能をそのまま反映する。
上記基材フィルムの面内の遅相軸方向の屈折率をnx、面内で遅相軸と直交する方向の屈折率をny、厚みをdとした場合、面内位相差値R0は(nx−ny)×dで、厚み方向の位相差値値Rthは[(nx+ny)/2−nz]×dでそれぞれ表すことができる。
上記基材フィルムの形成材料としては、透明性、耐光性、コーティング適性からポリカーボネートないしはポリエチレンテレフタレートを使用することが望ましく、特に無色透明の合成樹脂が用いられている。この合成樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィン、セルロースアセテート、耐候性塩化ビニル等が挙げられる。中でも、透明性、強度が高く、リタデーション値の制御が容易なポリエチレンテレフタレートまたはポリカーボネートが好ましく、撓み性能が改善されたポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
上記基材フィルムの厚み(平均厚み)は、特には限定されないが、好ましくは10μm以上400μm以下とされている。上記基材フィルムの厚みが上記範囲未満であると、光拡散層等の光学層を形成するためのポリマー組成物を塗工した際にカールが発生しやすくなってしまい取扱いが困難になる等の不都合が発生する。逆に、上記基材フィルムの厚みが上記範囲を超えると、液晶表示装置の輝度が低下してしまうことがあり、またバックライトユニットの厚みが大きくなって液晶表示装置の薄型化の要求に反することにもなる。
上記基材フィルムは、面内の位相差値が1000nm以上であることが好ましく、5000nm以上が特に好ましい。かかる範囲のリタデーション値を有する基材フィルムを使用した光学シート部材を採用した場合、液晶表示装置の色ムラをより効果的に低減することができる。
基材フィルムの製造方法としては、上記目的とする範囲の遅相軸角度、面内位相差値等の光学性能を得ることが出来れば特に限定されるものではない。例えばポリエチレンテレフタレートを採用した場合、延伸処理時における延伸温度、延伸倍率、弛緩処理、ラインスピード等の延伸条件を調整することで制御できる。また、原反の巾方向(長尺方向に対して垂直方向)において、光学性能のバラツキがある場合には、目的の光学性能を有する巾範囲のみを選択的に使用することもできる。
かかる基材フィルムの片面もしくは両面に光学層を積層してなる光学シート部材として、上記で例示した拡散フィルム、マイクロレンズシート、レンズシート等が一般的に普及している。
拡散フィルムは、光源からの光を均一に拡散させて前面側に出射する機能および光の角度をコントロールして正面輝度を向上させる機能を有する光学部材であり、通常、光源と液晶パネルとの間(光源から液晶パネルまでの光路上)に配置される。バックライトの面光源が拡散板を備える場合、拡散フィルムは、拡散板と液晶パネルとの間に配置される。拡散フィルムとしては、たとえば、透光性基材フィルムの少なくとも片面に光拡散剤が分散された透明樹脂層(バインダー層)が形成されたものを用いることができる。
マイクロレンズシートは、光源からの光を均一に拡散させて前面側に出射する機能および光線を法線方向側へ屈折することで集光し、正面輝度を高める機能を有するシートであり、一般的に拡散フィルムに比較して高い正面輝度向上能力を示す。マイクロレンズシートとしては、たとえば、透光性基材フィルムの片面に半球状(半球に近似した形状を含む)のマイクロレンズを多数、幾何学的に配置したものを用いることができる。
レンズシートは、光源からの光を集光し、正面輝度を高める機能を有するシートであり、上記透明樹脂の表面に特定形状の微細凹凸を形成したものを用いることができる。レンズシートには、微細凹凸表面の形状により、レンチキュラーシート、プリズムシートなどがある。たとえば、透光性基材フィルムの片面に複数のレンズ列を並列に配置したものを用いることができる。
上記光学シート部材は、本発明の目的を損なわない範囲で、光拡散材、充填材、離型剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの安定剤、難燃化剤などを含んでいてもよい。また表面は平滑であってもよいし、光を拡散させるための細かな凹凸が設けられていてもよい。
本発明においては、上記光学シート部材のいずれも好ましく適用することができるが、中でも拡散フィルムは汎用性やコストの観点から、本発明に特に好ましく適用することができる。
上記拡散フィルムは通常、基材フィルムにおける少なくとも光出射側の表面上に光学層として、光拡散剤が分散されたバインダー層を備えており、かかる光拡散剤によって、光学層を裏側から透過する光線を均一に拡散させることができる。光学層の平均厚みは、特には限定されないが、例えば1μm 以上30μm 以下程度とされている。
光拡散剤は、光線を拡散させる性質を有する粒子であり、無機フィラーと有機フィラーに大別される。無機フィラーとしては、例えばシリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化バリウム、マグネシウムシリケート、またはこれらの混合物を用いることができる。有機フィラーの材料としては、例えばアクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド等を用いることができる。中でも、透明性が高いアクリル樹脂が好ましく、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が特に好ましい。
光拡散剤の形状としては、特に限定されるものではなく、例えば球状、紡錘形状、針状、棒状、立方状、板状、鱗片状、繊維状などが挙げられ、中でも光拡散性に優れる球状のビーズが好ましい。光拡散剤の平均粒子径としては、1〜50μm、より好ましくは3〜10μmである。光拡散剤の平均粒子径が上記範囲を外れる場合、拡散シートとして必要な光拡散性を発現しなくなったり、光拡散剤の基材フィルムへの均一な拡散難しくなることがある。
光拡散剤の配合量(固形分換算)は、マトリックスであるバインダー100部に対し、好ましくは10〜500部、より好ましくは20〜300部、さらに好ましくは50〜200部である。光拡散剤の配合量が上記範囲を外れる場合、光拡散性が不十分となったり、バインダーによる光拡散剤の固定力が低下することがある。
バインダーは、基材ポリマーを含むポリマー組成物を架橋硬化させることで形成される。この透明樹脂を形成するためのポリマー組成物は、基材ポリマーの他に例えば微小無機充填剤、硬化剤、可塑剤、分散剤、各種レベリング剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、粘性改質剤、潤滑剤、光安定化剤等が適宜配合されてもよい。
上記基材ポリマーとしては、特に限定されるものではなく、例えばアクリル系樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミドイミド、エポキシ樹脂、紫外線硬化型樹脂等が挙げられ、これらのポリマーを1種または2種以上混合して使用することができる。また、バインダーに用いられる基材ポリマー自体は、光線の透過性を高める観点から透明が好ましく、無色透明が特に好ましい。
上記拡散フィルムの製造方法としては、公知のあらゆる技術が際限なく採用できる。たとえば、バインダー層を構成するポリマー組成物に光拡散剤を混合して光学層用組成物を製造し、該光学層用組成物を基材フィルムの表面に積層し、硬化させることで光学層を形成し、拡散フィルムを得る方法がある。またこの際、基材フィルムの光学層が形成される側とは反対の面に、スティッキング防止層用組成物を積層し、硬化させることでスティッキング防止層を形成することも好ましい。上記光学層用組成物およびスティッキング防止層用組成物を基材フィルムに積層する手段としては、特に限定されるものではなく、例えばバーコーター、ブレードコーター、スピンコーター、ロールコーター、グラビアコーター、フローコーター、スプレー、スクリーン印刷等を用いたコーティング等が採用され、上記組成物の粘度、目的とする膜厚、基材フィルムの表面状態等を考慮して最適なものを選んで行う。
このようにして作製された拡散フィルムの原反から、必要に応じた寸法にて拡散フィルムが切り出されてバックライトに搭載される。
本発明においては、上記の拡散フィルムに代表される、光学異方性を有する基材フィルムで構成される光学異方性を有する光学シート部材を、バックライトにおける液晶パネル側の最表面に搭載し、その際の該光学シート部材の遅相軸は、隣接する光入射側偏光板の光源側保護フィルムの遅相軸に対し、60°以下となるよう配置する。
本発明において、光学シート部材の遅相軸角度、面内位相差値等の光学性能は基材フィルムの光学性能がそのまま反映されるため、基材フィルムの光学性能を目的とする範囲内に調整すればよい。また、光学シート部材の遅相軸方向については、光学シート原反から光学シート部材の切り出しを行う際の位置および角度の調節により、本発明の範囲に制御可能である。
(光学シート類)
上記面光源と光学シート部材の間には、さらに、光学シート類が設けられていてもよい。該光学シート類は、各種バックライト用の光学部材から選択されるものであり、バックライトにおいて液晶パネルに最も近い表面に配置される光学シート部材と、異なる部材であってもよく、同様の部材であってもよい。光学シート類の具体例としては、拡散フィルム、マイクロレンズシート、レンズシート、反射型偏光分離フィルムなどが挙げられる。
(反射板)
本発明において用いられるバックライトは、さらに、面光源の背面側(液晶パネルとは反対側)に配置される反射板を備えていることが好ましい。反射板は、面光源の背面側に出射された光を反射させて、前面側へ出射される光の量を向上させる機能を有する高反射率を有する光学部材である。反射板としては、たとえば、上記透明樹脂中に、無機フィラー、顔料等の添加剤を分散させたものや、上記透明樹脂を発泡させたものを用いることができる。
<光学部材セット>
本発明は、液晶セルおよびバックライトを備えた液晶表示装置に用いられる光学部材セットにも関する。光学部材セットとは、液晶セルのバックライト側に配置するための上記光入射側偏光板と、バックライトの液晶セルに最も近い位置に配置するための上記光学異方性を有する光学シート部材とを含む、光学部材の組み合わせである。光入射側偏光板と光学シート部材とは一体化されている必要はなく、通常の液晶表示装置の製造工程で用いるためには、別々の部材であることが好ましい。
光学部材セットを構成する光入射側偏光板は、上述した光入射側偏光板と同様に、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムと、上記偏光フィルムの上記バックライト側に積層された光学異方性を有する光源側保護フィルムとを有している。光学部材セットを用いて液晶表示装置を製造方法する際には、光学異方性を有する光源側保護フィルムがバックライト側に位置するように光入射側偏光板が配置され、バックライト上の液晶セルに最も近い表面に光学異方性を有する光学シート部材が配置される。このとき、光入射側偏光板および光学シート部材は、光源側保護フィルムの遅相軸と、光学異方性を有する光学シート部材の遅相軸とのなす角度が60°以下となるように配置される。
上述のように、光入射側偏光板を、長方形の形状を有し、かつ該長方形の長辺または短辺と光学異方性を有する光源側保護フィルムの遅相軸とのなす角度(小さい方の角度、すなわち、90°以下の角度)が45°以下であるものとすることが好ましい。また、光学異方性を有する光学シート部材を、長方形の形状を有し、かつ該長方形の長辺または短辺と上記光学シート部材の遅相軸とのなす角度が45°以下であるものとすることが好ましい。この場合、光入射側偏光板と光学シート部材の長辺または短辺を揃えて配置することが好ましい。一般的な液晶表示装置は長方形の形状を有することから、光入射側偏光板の光源側保護フィルムと光学シート部材についてもかかる配置関係とすることで、バランスよく効果的な色ムラ低減を実現することが出来る。また、一般的な液晶表示装置の生産上好ましい。当然、かかる場合においても、光入射側偏光板の光源側保護フィルムの遅相軸に対し、光学シート部材の遅相軸は60°以下となるように配置する。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
以下の例で用いた光学シート部材は次のとおりであり、以下、それぞれの記号で表示する。いずれも対角寸法40インチ(=約102cm)の長方形の拡散フィルムであり、ポリエチレンテレフタレートを基材フィルムとしている。面内位相差値R0および遅相軸角度はそれぞれ位相差フィルム・光学材料検査装置RETS(大塚電子株式会社製)にて測定した。
(A) 拡散フィルム
面内位相差値R0:10000nm、長辺方向に対する遅相軸のズレ角度:0°
(B) 拡散フィルム
面内位相差値R0:10000nm、長辺方向に対する遅相軸のズレ角度:30°
(C) 拡散フィルム
面内位相差値R0:10000nm、長辺方向に対する遅相軸のズレ角度:45°
(D) 拡散フィルム
面内位相差値R0:10000nm、長辺方向に対する遅相軸のズレ角度:60°
(E) 拡散フィルム
面内位相差値R0:10000nm、長辺方向に対する遅相軸のズレ角度:70°
また、以下の例で用いた延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みは、メーカー呼称値で示した。延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの面内位相差値R0、Nz係数および遅相軸角度はそれぞれ位相差フィルム・光学材料検査装置RETS(大塚電子株式会社製)にて測定した。
また、環状オレフィン系樹脂からなる光学補償フィルムの厚み、面内位相差値R0および厚み方向位相差値Rthはメーカー呼称値で示した。環状オレフィン系樹脂からなる光学補償フィルムの厚み、面内位相差値R0および厚み方向位相差値Rthは位相差フィルム・光学材料検査装置RETS(大塚電子株式会社製)を用いても実測しているが、ほぼ同様の値が得られている。
<実施例1>
(a) 偏光フィルムの作製
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上で厚み75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.02/2/100の水溶液に30℃で浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が12/5/100の水溶液に56.5℃で浸漬した。引き続き8℃の純水で洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。延伸は、主に、ヨウ素染色およびホウ酸処理の工程で行い、トータル延伸倍率は5.3倍であった。
(b) 粘着剤付き偏光板の作製
厚み38μmの延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(面内位相差値R0:1000nm、Nz係数7.0)の貼合面に、コロナ処理を施した後、脂環式エポキシ化合物を含有する無溶剤の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を、チャンバードクターを備える塗工装置によって厚さ2μmで塗工した。また、厚み73μmの環状オレフィン系樹脂からなる光学補償フィルム(面内位相差値R0:63nm、厚み方向位相差値Rth:225nm)の貼合面に、コロナ処理を施した後、上記と同じ接着剤組成物を同様の装置にて厚さ2μmで塗工した。
ついで、直ちに上記(a)にて得られた偏光フィルムの片面に上記延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを、もう一方の面に上記光学補償フィルムを、各々の接着剤組成物の塗工面を介して貼合ロールによって貼合した。この際、偏光フィルムの透過軸と延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの遅相軸のズレは0度とした。その後、この積層物の延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム側から、メタルハライドランプを320〜400nmの波長における積算光量が600mJ/cmとなるように照射し、両面の接着剤を硬化させた。さらに、得られた偏光板の光学補償フィルムの外面に、厚み25μmのアクリル系粘着剤の層(セパレートフィルム付き)を設けた。
(c) 液晶表示装置の作製
ソニー(株)製の垂直配向モードの液晶表示装置“BRAVIA”(対角寸法40インチ=約102cm)の液晶パネルから光出射側偏光板を剥がし、その代わりに、市販の偏光板(スミカランSRW842E−GL5、住友化学(株)製)を、オリジナルの偏光板と同じ軸方向で、その粘着剤層側にて貼り付けた。また、光入射側偏光板も剥がし、その代わりに、上記(b)で作製した粘着剤層付き偏光板からセパレートフィルムを剥がしたものを、オリジナルの偏光板と同じ軸方向で、その粘着剤層側にて貼り付けた(偏光フィルムの吸収軸、および延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの遅相軸がパネルの長辺方向に一致する軸方向)。続いて、同液晶表示装置から、バックライトの拡散板上に配置されている光学シート部材を全て取り除き、その代わりに上記(A)の拡散フィルムを配置した。このようにして、光入射側偏光板の延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの遅相軸に対する、拡散フィルムの遅相軸のズレ角度(軸ズレ角度)が0°となるような液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置について、目視にて観察したところ、斜め方向の色ムラ(干渉ムラ)は弱く、視認性は良好であった。
<実施例2>
上記(B)の拡散フィルムを使用した以外は実施例1と同様にして、軸ズレ角度が30°となるような液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置について、目視にて観察したところ、斜め方向の色ムラ(干渉ムラ)は弱く、視認性は良好であった。
<実施例3>
上記(C)の拡散フィルムを使用した以外は実施例1と同様にして、軸ズレ角度が45°となるような液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置について、目視にて観察したところ、斜め方向の色ムラ(干渉ムラ)は弱く、視認性は良好であった。
<実施例4>
上記(D)の拡散フィルムを使用した以外は実施例1と同様にして、軸ズレ角度が60°となるような液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置について、目視にて観察したところ、斜め方向の色ムラ(干渉ムラ)は比較的弱く、視認性は良好であった。
<比較例1>
上記(E)の拡散フィルムを使用した以外は実施例1と同様にして、軸ズレ角度が70°となるような液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置について、目視にて観察したところ、斜め方向の色ムラ(干渉ムラ)は強く、視認性に劣るものであった。
<実施例5>
偏光フィルムの光源側保護フィルムとして、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(面内位相差値R0:4000nm、Nz係数1.8)を使用した以外は実施例1と同様にして、軸ズレ角度が0°となるような液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置について、目視にて観察したところ、斜め方向の色ムラ(干渉ムラ)は弱く、視認性は良好であった。
<実施例6>
上記(B)の拡散フィルムを使用した以外は実施例5と同様にして、軸ズレ角度が30°となるような液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置について、目視にて観察したところ、斜め方向の色ムラ(干渉ムラ)は弱く、視認性は良好であった。
<実施例7>
上記(C)の拡散フィルムを使用した以外は実施例5と同様にして、軸ズレ角度が45°となるような液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置について、目視にて観察したところ、斜め方向の色ムラ(干渉ムラ)は弱く、視認性は良好であった。
<実施例8>
上記(D)の拡散フィルムを使用した以外は実施例5と同様にして、軸ズレ角度が60°となるような液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置について、目視にて観察したところ、斜め方向の色ムラ(干渉ムラ)は比較的弱く、視認性は良好であった。
<比較例2>
上記(E)の拡散フィルムを使用した以外は実施例5と同様にして、軸ズレ角度が70°となるような液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置について、目視にて観察したところ、斜め方向の色ムラ(干渉ムラ)は強く、視認性に劣るものであった。
各例につき、光入射側偏光板における延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの遅相軸に対する拡散フィルムの遅相軸のズレ角度と試験結果を表1にまとめた。表1における軸ズレ角度とは、液晶表示装置における、光入射側偏光板の延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの遅相軸に対する、拡散フィルムの遅相軸のズレ角度を示している。
Figure 2011090042
表1に示されるように、軸ズレ角度が60°以下である実施例1〜8については、液晶表示装置における色ムラが弱く、視認性に優れる効果が認められた。一方で、軸ズレ角度が60°より高い比較例1および2については、色ムラが強く、視認性に劣るものであった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 面光源、11 反射板、12 光学シート部材、20 バックライト、30 光入射側偏光板、40 光出射側偏光板、31,41 偏光フィルム、32 光源側保護フィルム、42 保護フィルム、33,43 セル側保護フィルムまたは光学補償フィルム、34,44 粘着剤層、50 液晶セル、60 粘着剤層付き光入射側偏光板、70 粘着剤層付き光出射側偏光板、80 液晶パネル。

Claims (12)

  1. バックライトおよび該バックライト上に配置された液晶パネルを備えた液晶表示装置であって、
    該液晶パネルは、液晶セルと該液晶セルの両面に貼合された偏光板とを含み、
    前記偏光板のうち、液晶セルのバックライト側に配置される光入射側偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムと、該偏光フィルムのバックライト側に積層された光学異方性を有する光源側保護フィルムとを有し、
    前記バックライトは、直下型またはサイドライト型の面光源と、前記液晶パネルに最も近い位置に配置された光学異方性を有する光学シート部材とを含み、
    前記光源側保護フィルムの遅相軸と前記光学シート部材の遅相軸とのなす角度が60度以下となるように、前記光源側保護フィルムと前記光学シート部材とが配置されることを特徴とする、液晶表示装置。
  2. 前記光源側保護フィルムの面内の位相差値が200nm以上である、請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記光源側保護フィルムが延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである、請求項1または2に記載の液晶表示装置。
  4. 前記光学シート部材が、拡散フィルム、マイクロレンズフィルム、レンズシートから選ばれる、請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置。
  5. 前記光源側保護フィルムは、面内の遅相軸方向の屈折率をnx、面内で遅相軸と直交する方向の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnzとしたときに、(nx−nz)/(nx−ny)で表されるNz係数が4以上または2未満である、請求項1〜4のいずれかに記載の液晶表示装置。
  6. 前記光学シート部材は、面内の位相差値が1000nm以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の液晶表示装置。
  7. 液晶セルおよびバックライトを備えた液晶表示装置に用いられる光学部材セットであって、
    前記液晶セルの前記バックライト側に配置するための光入射側偏光板と、
    前記バックライトの前記液晶セルに最も近い位置に配置するための光学異方性を有する光学シート部材とを含み、
    前記光入射側偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムと、前記偏光フィルムの前記バックライト側となる面に積層された光学異方性を有する光源側保護フィルムとを有し、
    前記光源側保護フィルムの遅相軸と前記光学シート部材の遅相軸とのなす角度が60°以下となるように、前記光源側保護フィルムと前記光学シート部材とが配置されることを特徴とする、光学部材セット。
  8. 前記光源側保護フィルムの面内の位相差値が200nm以上である、請求項7に記載の光学部材セット。
  9. 前記光源側保護フィルムが延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである、請求項7または8に記載の光学部材セット。
  10. 前記光学シート部材が、拡散フィルム、マイクロレンズフィルム、レンズシートから選ばれる、請求項7〜9のいずれかに記載の光学部材セット。
  11. 前記光源側保護フィルムは、面内の遅相軸方向の屈折率をnx、面内で遅相軸と直交する方向の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnzとしたときに、(nx−nz)/(nx−ny)で表されるNz係数が4以上または2未満である、請求項7〜10のいずれかに記載の光学部材セット。
  12. 前記光学シート部材は、面内の位相差値が1000nm以上である、請求項7〜11のいずれかに記載の光学部材セット。
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