JP2011089752A - 熱交換要素及び熱交換方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】機能流体が混合された熱交換媒体を用いながら、熱交換ロスを抑えることができる熱交換要素及び熱交換方法を得る。
【解決手段】熱交換要素10は、冷媒14と該冷媒14に対する非相溶性の潤滑油16との混合流体12の流路22を形成する流路壁20の表面20Aに形成された微細凸凹構造26に、冷媒14と親和性の高い表面処理28が施されて構成されており、混合流体12中の冷媒14が流路壁20の表面20Aに選択的に付着される。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱交換媒体と機能流体との混合流体の流路壁を挟んで熱交換を行うための熱交換要素、熱交換方法に関する。
エアコンサイクルにおいて、コンプレッサの潤滑用のオイルを冷媒に混合させる技術が知られている(例えば、非特許文献1参照)。また、冷媒流路の内壁面に撥油膜が形成された冷凍サイクルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
尾崎等、「CO2エアコンサイクル内のオイル循環率測定」、 デンソーテクニカルレビュー、Vol.8 No.2、2003
特開平9−210513
しかしながら、上記した前者の従来の技術では、潤滑用のオイルによる熱交換ロスを抑えるために、エアコンサイクル中に冷媒からオイルを分離するオイル分離器を設ける等の対策が必要となり、部品点数やエアコン質量の観点から改善の余地がある。一方、後者の技術についても、熱交換ロスの抑制すなわち熱伝達率の向上の観点から、改善の余地がある。
本発明は、機能流体が混合された熱交換媒体を用いながら、熱交換ロスを抑えることができる熱交換要素及び熱交換方法を得ることが目的である。
請求項1記載の発明に係る熱交換要素は、熱交換媒体と該熱交換媒体に対する非相溶性の機能流体との混合流体の流路を形成する流路壁の表面が微細凸凹構造とされると共に、該表面に前記熱交換媒体と親和性の高い表面処理が施されて構成されている。
請求項1記載の熱交換要素では、流路壁の表面に熱交換媒体と親和性の高い表面処理が施されているため、該流路壁の表面には、混合流体の構成成分のうち熱交換媒体が選択的に付着される。これにより、本熱交換要素では、流路壁の裏面側の物体(裏面に接触する流体や固体、流路壁の裏面側に一体に形成された冷却又は加熱対象)と、機能流体に対し熱伝達率の高い熱交換媒体との間で良好な熱交換が行われる。しかも、この流路壁の表面は微細凸凹構造とされているので、該表面に選択的に付着された熱交換媒体と、流路壁の裏面側の物体との間の熱伝達率が向上し、これらの間で一層良好な熱交換が行われる。
このように、請求項1記載の熱交換要素では、機能流体が混合された熱交換媒体を用いながら、熱交換ロスを抑えることができる。
請求項2記載の発明に係る熱交換要素は、請求項1記載の熱交換要素において、前記機能流体を潤滑油として、冷凍サイクルの熱交換器に適用されている。
請求項2記載の熱交換要素では、機能流体は、例えば冷凍サイクルを構成する圧縮機等の潤滑に寄与する。一方、熱交換媒体は、蒸発器や凝縮器で良好な熱交換が行われ、機能流体として潤滑油が熱交換媒体に混合されて構成された冷凍サイクルの性能確保に寄与する。
請求項3記載の発明に係る熱交換方法は、熱交換媒体と該熱交換媒体に対する非相溶性の機能流体との混合流体の流路を形成する微細凸凹構造とされた流路壁面に、前記熱交換媒体と親和性の高い表面処理を施し、該流路壁の表面に前記熱交換媒体を選択的に付着させつつ、該熱交換媒体と流路壁の裏面側の物体との熱交換を行う。
請求項3記載の熱交換方法では、表面に熱交換媒体と親和性の高い表面処理が施された流路壁を用いて、該流路壁の表面に熱交換媒体を選択的に付着させながら、該熱交換媒体と流路壁の裏面側の物体(裏面に接触する流体や固体、流路壁の裏面側に一体に形成された冷却又は加熱対象)との熱交換を行う。このため、本熱交換方法では、流路壁に裏面側の物体と、機能流体に対し熱伝達率の高い熱交換媒体との間で良好な熱交換が行われる。しかも、流路壁の表面は微細凸凹構造であるため、該表面に選択的に付着された熱交換媒体と、流路壁の裏面側の物体との間の熱伝達率が向上し、これらの間で一層良好な熱交換が行われる。
このように、請求項3記載の熱交換方法では、機能流体が混合された熱交換媒体を用いながら、熱交換ロスを抑えることができる。
以上説明したように本発明に係る熱交換要素及び熱交換方法は、機能流体が混合された熱交換媒体を用いながら、熱交換ロスを抑えることができるという優れた効果を有する。
本発明の実施形態に係る熱交換要素の概略構成を模式的に示す側断面図である。 本発明の実施形態に係る熱交換要素を流れる混合流体中の冷媒、潤滑油の熱伝導特性を示す線図である。 本実施形態に係る熱交換要素による冷媒の選択付着性を比較例と比較しつつ説明するための実験結果を示す線図である。 図3の実験結果を示す実験用の装置の構成を概念的に示す図であって、(A)は断面図、(B)は正面図である。 本実施形態に係る熱交換要素による熱伝達率の向上効果を説明するための実験結果を示す線図である。 図5の実験結果を示す実験用の装置の構成を概念的に示す図である。 本実施形態に係る熱交換要素による沸騰特性を説明するための実験結果を示す線図である。 図7の実験結果を示す実験用の装置の構成を概念的に示す図である。 本実施形態に係る熱交換要素が適用されたカーエアコン装置を示すブロック図である。
本発明の実施形態に係る熱交換要素10について図面に基づいて説明する。図1には、熱交換要素10の概略全体構成が、混合流体12の流れ方向(矢印F参照)に沿った断面図にて示されている。混合流体12について補足すると、混合流体12は、熱交換媒体としての冷媒14と、機能流体としての潤滑油(オイル)16混合されたものとされている。冷媒14と潤滑油16とは、互いに非相溶性(非溶解性)とされており、溶け合うことがない(機械的に分離可能で、分離状態では界面が形成される)。この実施形態では、冷媒14としてフッ素系冷媒が用いられ、潤滑油として鉱物油(に添加剤が適宜添加されたもの)が用いられている。
熱交換要素10は、混合流体12の流路22を成すと共に、該混合流体12の冷媒14と熱交換を行う相手方流体18の流路24を成す流路壁20を備えている。流路壁20は、混合流体12の流路22と相手方流体18の流路24との隔壁として捉えることができる。以下の説明では、流路壁20における混合流体12の流路22側の面を表面20A、相手方流体18の流路24側の面を裏面20Bということとする。
流路壁20の表面20Aには、サブミクロンオーダーの微細凸凹構造26が形成されている。この実施形態における微細凸凹構造26は、そのピッチをP(図1では、隣り合う凹部26Aの最低部間の距離であるが、隣り合う凸部26Bのピーク間距離として捉えても良い)、その深さ(凸部26Bのピークから凹部26Aの最低部までの深さ)をDとすると、D>Pとなるように構成されている。この実施形態では、P≒1.5μm、D≒40μm(D≫P)とされている。これにより、微細凸凹構造26における流路22側に開口する凹部26A内には、混合流体12の一部(後述する如く冷媒14)を保持可能とされている。なお、この微細凸凹構造26は、例えば、エッチング、メッキ、酸化被膜、ピーニング等の方法で形成することができる。なお、ピッチPは、0.1μm〜10μmの範囲内で設定することが好ましい。また、深さDは、10〜50μmの範囲内で設定することが好ましい。
また、熱交換要素10では、微細凸凹構造26(流路壁20の表面20A)に、冷媒14との親和性の高い表面処理28が施されている。表面処理28は、微細凸凹構造26の表面に倣って、(凹部26Aを埋めてしまうことがないように)施されている。これにより、微細凸凹構造26の表面すなわち流路壁20の表面20Aは、冷媒14に対する親和性が向上されている。
上記の通り冷媒14としてフッ素系不活性液体が作用された本実施形態では、表面処理28として、例えばフッ素被膜を形成するフッ素処理(多分子の薄膜を形成するはっ水処理として捉えても良い)を採用することができる。より具体的には、この実施形態(後述の実験例)では、冷媒14としての住友3M(株)製のフロリナートFC−84に対し、表面処理28として住友3M(株)製のフッ素系表面処理剤EGC−1720)が採用されている。
なお、流路22における混合流体12の流れ場FFについて補足すると、この流れ場FFは、流路壁20に対し流れ方向との直交方向に離間するほどせん断速度が大きくなるせん断流れ場とされている。このせん断流れ場FFには、一対の流路壁の直線、回転等の相対変位によるせん断流れ場のほか、平行平板間や配管(断面形状は問わない)等の圧力流れ(ポアズイユ流れ)が含まれる。
次に、本実施形態の作用を説明する。
上記構成の熱交換要素10では、流路壁20における混合流体12の表面20Aに冷媒14との親和性が高い表面処理28が施されているため、流路22を流れる混合流体12のうち冷媒14が選択的に流路壁20の表面20Aに付着される。これにより、熱交換要素10では、相手方流体18と冷媒14とが流路壁20を介して熱交換を行うため、熱交換ロスが少ない。
すなわち、図2に示される如く、冷媒14と潤滑油16とを比較すると、各流速において冷媒14は潤滑油16に対し熱伝達率が高いため、流路壁20の表面20Aに冷媒14を選択的に付着させることで、流路壁20の表面20Aに混合流体12をそのまま付着させたり、潤滑油16のみ付着させたりする場合と比較して、熱交換ロスは低減される。すなわち、熱交換性能が向上する。また、相手方流体18の冷却用途の場合、流路壁20の表面20Aに付着され凹部26Aに保持された冷媒14は、沸騰(蒸発)しやすいので、該冷媒14の沸騰による冷却効果も期待できる。特に、流路壁20の表面20Aに微細凸凹構造26が形成されているので、熱伝達率が向上すると共に、冷媒14の沸騰が生じ易くなり、熱交換性能、沸騰冷却性能が向上される(この点は後に補足する)。
流路壁20の表面20Aに冷媒14が選択的に付着する点につき、図3、図4の実験結果を参照しつつ説明する。図3には、図4に示す装置を用いて行った、流路壁20の表面20Aへの潤滑油16の付着具合の時間変化を示す実験結果が示されている。図4に示される実験装置30は、回転円盤32を短円筒状の透明容器34内に同時期的かつ相対回転可能に設け、回転円盤32の表面に付着する潤滑油16を観察するものである。回転円盤32は、アルミ製とされ、その表面状態として、流路壁20に対応して微細凸凹構造26及び表面処理28が施された実施形態モデル32A、アルミ表面の平坦面に表面処理28が施された第1比較例モデル32B、アルミ表面に微細凸凹構造26のみを採用した第2比較例モデル32C、及び単にアルミ表面の平担面とした第3比較例モデル32Dの4種類をそれぞれ用意した。
そして、透明容器34内に冷媒14(ほぼ透明)、潤滑油16(有色)の混合流体12(図4(A)、図4(B)の如く静止状態では、冷媒14と潤滑油16とに分離している)を該透明容器34の容量の略半分まで容れ、回転円盤32を回転させながら観察した、該回転円盤32の表面への潤滑油16の付着面積の時間変化をプロットしたものが図3の実験結果である。
この図3の結果より、第2、第3比較例では、時間経過に拘わらず、潤滑油16が回転円盤32のほぼ全表面に亘り付着し続けることが解る。一方、実施形態モデル、第1比較例モデルでは、時間経過に伴い回転円盤32の表面への潤滑油16の付着面積が減じられ、最終的には、この付着面積がほぼ無視し得る程度まで減じられることが解る。換言すれば、この実験結果によって、第2、第3比較例においては、回転円盤32の表面に潤滑油16(を含んだ混合流体12)が付着するのに対し、実施形態モデル、第1比較例モデルでは、回転開始の初期を除く定常流れにおいて回転円盤32の表面には冷媒14が選択的に付着することが確かめられた。
そして、第2、第3比較例においては流路壁の表面に潤滑油16が付着されることで相対的に熱交換ロスが大きいのに対し、熱交換要素10では、上記の通り流路壁20の表面20Aには冷媒14が選択的に付着されるので、熱交換ロスが小さく、良好な熱交換性能が得られる。
次に、微細凸凹構造26によって冷却性能が向上する点、より具体的には熱伝達率が向上する点、及び冷媒の沸騰が生じ易くなる点につき補足する。まず、前者について図5及び図6を参照しつつ説明し、その後、後者について図7及び図8を参照しつつ説明することとする。
図5には、図6に示す装置を用いた強制対流試験により得た、流路壁20に対応する実施例モデルの試験片及び比較例に係る試験片の熱伝達率の測定結果が示されている。図6に示す装置は、試験片52を試験片加熱装置50にて加熱しつつ該試験片52に空気流を接触させ、試験片52の温度Tw、熱流束q、及び試験片52に接触する前の空気流の温度Taを計測するものである。試験片加熱装置50は、銅円柱54と、銅円柱54を加熱するヒータ56と、銅円柱54及びヒータ56を覆う断熱材58とを有し、銅円柱54の一端に接触された試験片52のみを選択(直接)的に加熱する構成とされている。銅円柱54と試験片52との間には、温度Tw、熱流束qを計測するための熱電対と熱流束センサとが一体化されたセンサ60が設けられている。温度Taは、熱電対62にて計測されるようになっている。また、試験片52は、アルミ製とされ、その表面状態として、流路壁20に対応して微細凸凹構造26が施された実施形態モデル52A、アルミ表面の平坦面にである比較例モデル52Bを用意した。
そして、この装置にて計測した温度Tw、熱流束q、温度Taを用いて、
熱伝達率α = q/(Tw−Ta)
より熱伝達率を算出する。図5は、強制空気流の風速に対し、算出した熱伝達率をプロットしたものである。なお、図5での計測条件は、風速は2m/s〜8m/sとされ、ヒータ56による投入熱量は8.4W(=0.28A×30V)である。
この図5から、微細凸凹構造26が形成された本実施形態の形態では、微細凸凹構造26のない平坦面である比較例に対し、空気流の各風速において熱伝達率が10%強向上されることが確認された。これにより、表面処理28によって流路壁20の表面20Aに選択的に接触される冷媒14(混合流体12中の相対的に熱伝達率が高い液体)と相手方流体18との熱交換性能が向上する。すなわち、熱交換要素10は、図3の第1比較例の如く冷媒14が選択的に付着される表面が平坦な流路壁を備えたものと比較しても、熱交換性能が高くなる。しかも、冷媒14と親和性の高い表面処理28によって、微細凸凹構造26の凹部26Aすなわち流路壁20の表面20Aに冷媒14を選択的に保持(トラップ)することができるため、該流路壁20の表面20Aには、流れが生じている期間中常に冷媒14の膜を形成しておくことができ、これによっても熱交換性能の向上に寄与する。
また、図7には、図8に示す装置を用いた沸騰特性試験により得た、実施形態モデルの試験片52A、比較例モデルの試験片52Bの実験結果が示されている。図8に示す装置は、試験片52を試験片加熱装置50にて加熱しつつ該試験片52を容器64内の揮発性液体Fv中に浸漬し、沸騰(気泡B)の様子を観察すると共に、センサ60によって熱流速を計測するものである。試験を容易にするため、揮発性液体Fvとして冷媒14よりも沸点の低い(略40℃)冷媒である住友3M(株)製のフロリナートFC−72を使用した。また、ヒータ56による投入熱量は24.5W(=0.49A×50V)とした。さらに、各試験片52での試験は、試験片52の温度Tw=28.1℃±0.2℃、揮発性液体Fvの温度Tf=22.5℃±0.5℃で揃えて測定を開始し、測定開始から30秒後にヒータ56を作動した。
比較例に係る試験片52Bを用いた場合、図7に示す時間tbc(≒460s)後に沸騰を開始した。この際、気泡は、試験片52Bの限られた部分のみから生じていた。一方、実施形態モデルの試験片52Aを用いた場合、図7に示す時間tb(≒190s)後に沸騰を開始した。この際、気泡は、試験片52Aの各部において活発に生じる様子が観測された。これにより、微細凸凹構造26が形成された本実施形態の形態では、微細凸凹構造26のない平坦面である比較例に対し、接触する液体の沸騰を生じさせ易いこと(沸騰開示までの所要時間が短縮されること、及び投入エネルギあたりの蒸発量が多いこと)が確認された。また、図7に示される如く、試験片52Aでは、試験片52Bに対して揮発性液体Fvを沸騰させている状態での熱流束が大であることが確認された。以上により、熱交換要素10では、潜熱による相手方流体18の冷却用途に適用する場合に、表面処理28によって流路壁20の表面20Aに選択的に接触される冷媒14の沸騰による相手方流体18の冷却効果(沸騰冷却性能)が高い。
また、熱交換要素10では、冷媒14と親和性の高い表面処理28によって微細凸凹構造26に冷媒14が保持されるので、混合流体12の流路22を流れる主流(微細凸凹構造26の外側の流れ)は、固体壁でなく冷媒14と接触しつつ断流れ場FFを形成することとなる。このため、熱交換要素10では、混合流体12の流動抵抗を低減させることができる。
次に、熱交換要素10の適用例を説明する。
図9には、熱交換要素10が適用されカーエアコン装置36が模式的なブロック図にて示されている。この図に示される如く、カーエアコン装置36は、圧縮機としてのコンプレッサ38と、凝縮器としてのコンデンサ40と、気液分離器42と、膨張弁44と、蒸発器としてのエバポレータ46と、これらを直列に連通するエアコン冷媒循環路48とを備えている。
カーエアコン装置36は、コンプレッサ38、コンデンサ40、膨張弁44、エバポレータ46の順でエアコン冷媒が循環されることで、圧縮・膨張式の冷凍(ヒートポンプ)サイクルであるエアコンサイクルが実行される構成とされている。具体的には、エアコン冷媒は、コンプレッサ38で圧縮されて高圧気相とされ、コンデンサ40で凝縮されて高圧液相とされ、膨張弁44で膨張されて低圧液相とされ、エバポレータ46で空調用空気との熱交換により蒸発されることで低圧気相とされるエアコンサイクルを繰り返すことで、エバポレータ46で空調用空気を冷却する構成とされている。
すなわち、エバポレータ46は、エアコン冷媒と空調用空気との熱交換器とされており、空調用空気(室外気又は室内気)からエアコン冷媒の蒸発潜熱を奪うことで、該空調用空気を冷却する構成とされている。また、コンデンサ40は、外気とエアコン冷媒との熱交換器とされており、車両走行風や図示しないファンの作動により生じる空気流にエアコン冷媒の凝縮熱を放出する構成とされている。
そして、この実施形態に係る熱交換要素10が適用されたカーエアコン装置36では、エアコン冷媒としてフッ素系冷媒である冷媒14が用いられ、混合流体12がエアコン冷媒循環路48を循環される構成とされている。これにより、混合流体12中の冷媒14によって上記したエアコンサイクルが実行されると共に、混合流体12中の潤滑油16によってコンプレッサ38の潤滑が果たされるようになっている。
ここで、カーエアコン装置36では、エバポレータ46に熱交換要素10が適用されている。具体的には、エバポレータ46は、エアコン冷媒の流路と空調用空気の流路との隔壁として流路壁20が用いられて構成されている。流路壁20は、エアコン冷媒の流路側に表面20A、空調用空気の流路側に裏面20Bを向けて設けられている。
これにより、エバポレータ46におけるエアコン冷媒の流路(混合流体12の流路22)を流れる混合流体12は、冷媒14が流路壁20の表面20Aに選択的に付着されるので、冷媒14と空調用空気との熱交換が良好に行われ、冷媒14は空調用空気から蒸発潜熱を奪って蒸発され、蒸発潜熱を奪われた空調空気は冷却される。
例えば、熱交換要素10が適用されないエバポレータを備えた比較例に係るカーエアコン装置では、混合流体12のうち潤滑油16が流路壁側を流れ、エバポレータの熱交換ロスが大きくなってしまうことが知られている。この対策として、比較例に係るカーエアコン装置では、例えばコンプレッサ38の吐出側にオイルセパレータを設け、該オイルセパレータで分離した潤滑油16をコンプレッサ38の吸入側に戻す等の構成を採ることとなる。このため、比較例に係るカーエアコン装置では、部品点数が多く、質量が大きくなりやすい。
これに対して熱交換要素10が適用されたカーエアコン装置36では、上記の通り混合流体12中の冷媒14が流路壁20の表面20Aに選択的に付着されて熱交換ロスが低減されるので、混合流体12がエアコン冷媒循環路48を循環される構成において、所要のエアコン性能を確保することができる。しかも、流路壁20の表面20Aに微細凸凹構造26が形成されることで、熱伝達性能、沸騰冷却性能が向上するため、潜熱冷却器であるエバポレータ46を用いたエアコン性能(空調用空気の冷却性能)が一層向上する。このため、カーエアコン装置36は、オイルセパレータを不要にすることができ、部品点数の削減、軽量化(適用された自動車全体としての軽量化)が果たされる。
また、熱交換要素10は、上記の通り流動抵抗低減効果を奏するので、カーエアコン装置36の圧力損失低下に寄与する。特に、コンプレッサ38が自動車の駆動源(エンジン等)によって駆動される構成では、燃費の向上に寄与する。
なお、上記適用例では、熱交換要素10がエバポレータ46に適用された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、熱交換要素10がコンデンサ40に適用された構成としても良い。
また、上記適用例では、熱交換要素10がカーエアコン装置36(冷凍サイクル)の熱交換器に適用された例を示したが、本発明はこれに限定されず、熱交換要素10は、熱交換媒体と機能流体との混合流体が流れる各種の熱交換要素(熱交換器の部品等)や被冷却要素、被加熱要素等に適用することが可能である。熱交換要素10が適用可能な被冷却要素として、例えば冷却及び潤滑が要求されるトランスミッションをはじめとする各種ギヤボックス、産業機械等(の潤滑油循環部)、ヒートシンクを挙げることができる。すなわち、冷媒14の熱交換対象は、流路壁20の裏面20Bに接触する流体に限られず、裏面20Bに接触する固体や流路壁20が一体化された機械の構成部品等も冷媒14の熱交換対象になり得る。また、機能流体の機能は、潤滑に限られることはなく、例えば熱交換要素への冷媒の運搬(流量の確保)機能を果たす構成とすることも可能である。
さらに、上記した実施形態では、冷媒14としてフッ素系冷媒を用い、該フッ素系冷媒に対する親和性が高い表面処理28としてフッ素系表面処理が施された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、冷媒14としてのシリコン系冷媒を用い、該シリコン系冷媒に対する親和性が高い表面処理としてシリカ処理を施す構成としても良い。
10 熱交換要素
12 混合流体
14 冷媒(熱交換媒体)
16 潤滑油(機能流体)
20 流路壁
20A 表面
26 微細凸凹構造(凸凹構造)
28 表面処理
36 カーエアコン装置(冷凍サイクル)
46 エバポレータ(熱交換器)

Claims (3)

  1. 熱交換媒体と該熱交換媒体に対する非相溶性の機能流体との混合流体の流路を形成する流路壁の表面が微細凸凹構造とされると共に、該表面に前記熱交換媒体と親和性の高い表面処理が施されて構成された熱交換要素。
  2. 前記機能流体を潤滑油として、冷凍サイクルの熱交換器に適用された請求項1記載の熱交換要素。
  3. 熱交換媒体と該熱交換媒体に対する非相溶性の機能流体との混合流体の流路を形成する微細凸凹構造とされた流路壁面に、前記熱交換媒体と親和性の高い表面処理を施し、該流路壁の表面に前記熱交換媒体を選択的に付着させつつ、該熱交換媒体と流路壁の裏面側の物体との熱交換を行う熱交換方法。
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