JP2011088772A - 磁器及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁器を製造する従来技術では、薄板状磁器の製造は困難であり、磁器質杯土を薄板状に成形した生地の強度は弱く、乾燥―焼成工程で壊れ、各工程で障害となっている。
【解決手段】本発明の磁器は、焼結時に焼失するシート状の原型構造体に磁器質陶土スラリーを含侵させ、それを空気が入らないように所望の厚さまで重ね合わせた後、乾燥することにより、乾燥強度、特に乾燥曲げ強度を、陶土を平らに延ばして薄板状とする方法で得た従来生地の乾燥曲げ強度の数倍に高めるという利点がある。また、製造工程が簡素で、特別な成形装置を必要としないという利点があり、焼成前までに行う工程が簡素で、乾燥後、通常の加熱炉を用いて、1350℃以下の酸化雰囲気で製造でき、透光性に優れた磁器を得ることができる。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の磁器は、焼結時に焼失するシート状の原型構造体に磁器質陶土スラリーを含侵させ、それを空気が入らないように所望の厚さまで重ね合わせた後、乾燥することにより、乾燥強度、特に乾燥曲げ強度を、陶土を平らに延ばして薄板状とする方法で得た従来生地の乾燥曲げ強度の数倍に高めるという利点がある。また、製造工程が簡素で、特別な成形装置を必要としないという利点があり、焼成前までに行う工程が簡素で、乾燥後、通常の加熱炉を用いて、1350℃以下の酸化雰囲気で製造でき、透光性に優れた磁器を得ることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、磁器、特に薄板状磁器及びその製造方法に関するものである。
従来の平板状陶磁器製品の製造方法として、陶磁器質杯土にて薄板状に成形した生地を、吸水性を有する素材からなる下台に該下台と同様に吸水性を有する素材にて成形し前記生地を焼成したときの乾燥収縮分を補助型として分離可能に加えて割り型とした枠型を前記下台上で移動可能に設置してなる型の上面に載置して型面に圧着して成形し、乾燥硬化させたのち補助型を脱型して焼成することを特徴とする下面に下方へ開口した凹部を有する凸条を周設してなる平板状陶磁器製品の製造方法が知られている(特許文献1)。
あるいは、陶土を平らに延ばして薄板状とする方法(特許文献2)、陶磁器原料となる無機物粉体混合物に有機バインダーを添加し、プレスロールによりテープ状に成形した後、所望の形状に加工し、乾燥し、焼成することを特徴とする陶磁器製薄板の製造方法(特許文献3)などが知られている。
また、石英、カオリン、セリサイトからなる陶磁器原料と、パルプ繊維の長さが異なったパルプの組合せたものを、水中で混合・抄造し、乾燥した紙状物を焼成することを特徴とする板状陶磁器も知られている(特許文献4)。
さらに、タイル素地の表面に、該タイル素地の原料と同じ坏土を用いた未焼成粉末にフリットを加えないで顔料を混練した模様用原料を複数回にわたって厚盛塗布し、然る後に焼成することにより前記厚盛塗布した模様部分の表面性状を粗面としたことを特徴とするレリーフタイルの製造方法も知られている(特許文献5)。
解決しようとする問題点は、特許文献1〜3で開示されている陶磁器質杯土を薄板状に成形し、焼成する平板状陶磁器を製造する場合、薄板状に成形した生地の強度が弱く、乾燥―焼成工程で壊れ、各工程で障害となっている点である。また、特許文献4で開示されている紙状物の製造工程では、パルプ繊維の長さが異なったパルプの組合せが重要で、簡素な方法とは言えない。さらに、特許文献5で開示されているレリーフタイルの製造方法は、タイル素地の表面に、該タイル素地の原料と同じ坏土を用いた未焼成粉末にフリットを加えないで顔料を混練した模様用原料を複数回にわたって厚盛塗布する必要があり、簡素な方法とは言えない。
そこで本発明は、陶土スラリーの調製が容易で、パルプの添加も必要なく、焼成前までに行う工程が簡素で、通常の加熱炉を用いて、1350℃以下の酸化雰囲気で製造でき、透光性に優れた磁器を提供することを目的とする。
上記目的を解決するためになされた本発明の磁器は、繊維がシート状に形成され、且つ約1mmの細孔を100平方mm当たり35〜55個有している原型構造体に、平均粒径5μm〜20μm、最大粒径100μmの磁器素地粉体に水を添加した陶土スラリーを含浸させ、含浸させたシート状の原型構造体を、所望の肉厚を得るまで重ねることにより成形体の肉厚を制御し、乾燥後、900℃〜1350℃で焼成する方法により得られる磁器であって、磁器のガラスマトリックスにはムライト、石英の微粒子が点在することを主要な特徴とする。
本発明によれば、陶土スラリーの調製が容易で、パルプの添加も必要なく、焼成前までに行う工程が簡素で、通常の加熱炉を用いて、透光性に優れた磁器を提供できる。そして、その成形時にシート状の原型構造体に陶土スラリーを含侵させ、乾燥することにより、乾燥強度、特に曲げ強度を、陶土を平らに延ばして薄板状とする方法で得た従来生地(特許文献1〜3)の曲げ強度の数倍に高めるという利点がある。また、製造工程が簡素で、特別な成形装置を必要としないという利点があり、磁器の肉厚は、成形工程の重ね合わせ回数を選択することにより、様々な肉厚を得ることができ、焼成前までに行う工程が簡単で、通常の加熱炉を用いて、1350℃以下の酸化雰囲気で製造でき、透光性に優れた磁器の製造方法を提供できる。
また、成形工程の重ね合わせ工程の最後に、切り絵の技法で切り抜いたシートを用いることにより、特別な成形装置あるいは彫刻することなく、レリーフタイルと同様の製品を得ることができる。また、得られた磁器の透光性は切り絵の技法で切り抜いた部分の透光性が優れているため、裏側から光を照射すると切り絵の技法で切り抜いた部分が明るく浮かび上がる特徴を有している。
さらに、シート状の原型構造体が成形体内部に配置されているため、乾燥工程の前に、ひび割れすることなく曲げ加工ができる。
また、成形時に円柱や食器等の型を利用することも可能であり、その肉厚は重ね合わせする回数で制御が可能である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
図1は本発明の磁器の製造工程を示した説明図である。成形工程の第1段階として、焼結時に焼失するシート状の原型構造体として、ウェットティシュの一部に用いられている0.5〜1.5mmの細孔を多数有している綿繊維シートを選択した。図2に選択したシートの顕微鏡写真を示す。黒く点在している部分が0.5〜1.5mmの細孔であり、この細孔を100平方mm当たり45〜55個有していることがわかる。成形工程の第2段階として、縦145mm、横145mmに切断した原型構造体に対して、石英の含有割合が約50質量%、カオリン鉱物の含有割合が約25質量%、セリサイトの含有割合が約25質量%、平均粒径が約10μmの磁器素地粉体100質量部に93質量部の水を添加したスラリーに浸漬した。成形工程の第3段階として、磁器素地スラリーに浸漬したシート状の原型構造体を平板の上に広げた。成形工程の第4段階として、その上に、上記と同様にスラリーに浸漬したシート状の原型構造体を空気が入らないように2回重ね合わせた。この工程により得られた磁器素地は、シート状の原型構造体の細孔を通じて一体化する。
上記の工程により得られた磁器素地を室温乾燥させた。乾燥後、磁器素地の端を切断し、縦140mm、横140mm、厚さ3.0mmの平板を得た。
得られた磁器素地を融着防止材(アルミナ粉)を敷いた磁器焼成用サヤに入れ、大気中で昇温速度10℃/分で1300℃まで昇温、1時間保持した後、室温まで冷却し、縦120mm、横120mm、厚さ2.6mmの磁器を得た。なお、シート状の原型構造体は、900℃までに焼失し、焼失した後の空隙は昇温時の焼結でほぼ消滅する。そのため、焼成収縮率は通常の磁器の10〜12%に比べ、若干大きく約14%であった。
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は、本発明の実施例1で得られた磁器の粉砕物のX線回折図である。磁器がガラスを主成分とし、ガラスマトリックスの中にムライト、石英微粒子が点在していることを示している。
は、本発明の実施例1で得られた磁器の粉砕物のX線回折図である。磁器がガラスを主成分とし、ガラスマトリックスの中にムライト、石英微粒子が点在していることを示している。
図4は本発明の磁器を手で持って後方から光を照射して撮影した写真であり、本発明の磁器が、ガラスマトリックスの中にムライト、石英微粒子が点在するため、透光性を有していることを示している。
なお、磁器質自体の透光性を上げるためには、磁器原料ごとに具体的に、磁器原料中の石英の含有割合を40質量%〜60質量%、カオリン鉱物の含有割合を20質量%〜30質量%、セリサイトの含有割合を20質量%〜30質量%と変化させ、平均粒径は5μm〜20μm(最大粒径100μm)から選び、且つ100質量部に対して70質量部〜130質量部の水を添加し濃度調整して確認するのがよい。
実施例1の成形工程の第1段階として選択した0.5〜1.5mmの細孔を多数有しているシート状の原型構造体を、通常のウェットティシュに用いられている細孔を有しないシートに置き換えて、実施例1と同じ工程で焼成物を得た。しかし、重ね合わせた部分から剥離し、目的の磁器を得ることができなかった。また、通常のティシュペーパーを用いた場合も同様であった。
実施例1の成形工程の第1段階として選択した綿繊維シートを、0.5〜1.5mmの細孔を100平方mm当たり25〜35個有しているレーヨン繊維シートに置き換えて、実施例1と同じ工程で焼成物を得た。このシートを選択した場合は、実施例1の結果とほぼ同等の結果が得られ、目的の磁器を得ることができた。
実施例1の成形時の重ね合わせ回数を5回とし、乾燥、焼成条件は実施例1と同様の工程とし、縦120mm、横120mm、厚さ4.0mmの磁器を得た。透光性は実施例1の磁器に劣っていたが、他の物性はほぼ同様であった。
成形工程、乾燥工程は実施例1と同様の工程とし、乾燥した成形体を融着防止材(アルミナ粉)を敷いた磁器焼成用サヤに入れ、大気中で昇温速度10℃/分で950℃まで昇温し、1時間保持した後、室温まで冷却し、焼成物を得た。得られた焼成物は、実施例1の磁器に比べ、透光性はなく、吸水率は大きく、強度も低下した。しかし、プレス成形・焼成工程で生産されている陶磁器タイル素地の物性と大差ない結果が得られた。
最初に実施例1の成形時の重ね合わせ回数を3回とし、その上に、切り絵の技法で切り抜いた綿繊維シートを実施例1と同様にスラリーに浸漬した後、空気が入らないように重ね合わせた。乾燥、焼成条件は実施例1と同様の工程とした。得られた磁器は、透光性は切り絵の技法で切り抜いた部分の透光性が優れているため、図5に示すように、裏側から光を照射すると切り絵の技法で切り抜いた部分が明るく浮かび上がった。他の物性はほぼ同様であった。なお、図5で観察される細かい網目模様は、成形体の裏全面に加工した凹凸である。
なお、成形工程の第1段階として選択する繊維シートの材質は、実施例1、実施例4〜6で用いた天然繊維の綿、実施例3で用いたレーヨンが適している。また、パルプ等の天然繊維シート(紙)も、0.5〜1.5mmの細孔を100平方mm当たり20〜60個有していれば適用が可能である。ポリエステルなど石油を原料とした化学繊維は、焼成時に有害ガスを発生する可能性があるため好ましくないが、適用は可能である。
本発明の磁器は、製造が容易で、透光性に優れ、安価、軽量であるためインテリア、エクステリアや建材に最適である。また、従来の陶磁器絵付け技術をそのまま利用することができる。さらに、施釉することにより吸水率の低減と強度上昇が図れる。
また、円筒、食器等の製品の製造も可能であり、その肉厚は重ね合わせする回数で制御が可能である。
また、円筒、食器等の製品の製造も可能であり、その肉厚は重ね合わせする回数で制御が可能である。
Claims (2)
- 繊維がシート状に形成され、且つ0.5〜1.5mmの細孔を100平方mm当たり20〜60個有している原型構造体に、平均粒径5μm〜20μm、最大粒径100μmの磁器素地粉体に水を添加した陶土スラリーを含浸させ、含浸させたシート状の原型構造体を、所望の肉厚を得るまで重ねることにより成形体の肉厚を制御し、乾燥後、900℃〜1350℃で焼成することを特徴とする磁器の製造方法。
- 繊維がシート状に形成され、且つ0.5〜1.5mmの細孔を100平方mm当たり20〜60個有している原型構造体に、平均粒径5μm〜20μm、最大粒径100μmの磁器素地粉体に水を添加した陶土スラリーを含浸させ、含浸させたシート状の原型構造体を、所望の肉厚を得るまで重ねることにより成形体の肉厚を制御し、乾燥後、900℃〜1350℃で焼成して得られる磁器であって、その磁器のガラスマトリックス中にムライト、石英の微粒子が点在することを特徴とする磁器。
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