JP2011086713A - 半導体ウエハ研磨用組成物および研磨方法 - Google Patents

半導体ウエハ研磨用組成物および研磨方法 Download PDF

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Abstract

【課題】研磨速度が高く、かつ、濃度の変化に対し研磨速度の変化が小さい半導体ウエハ研磨用組成物を提供することである。また、本発明の他の目的は、それを用いた半導体ウエハの研磨方法を提供することである。また、アルカリ金属の含有量が少ない半導体ウエハ研磨用組成物を提供することも目的のひとつである。
【解決手段】本発明の半導体ウエハ研磨用組成物は、粒子の内部および/または粒子の表面に尿素が固定化された非球状の異形シリカ粒子群からなるコロイダルシリカを含有する半導体ウエハ研磨用組成物である。この半導体ウエハ研磨用組成物のシリカ/尿素のモル比は40〜300であることが好ましく、また、尿素が固定化された非球状の異形シリカ粒子の透過型電子顕微鏡観察による平均短径が7〜30nmであり、長径/短径比が1.2〜10であり、かつ長径/短径比の平均値が1.2〜5であることが好ましい。
【選択図】図2

Description

本発明は、シリコンウエハあるいは表面に金属膜、酸化物膜、窒化物膜等(以下、金属膜等と記載する)が形成された半導体デバイス基板等の半導体ウエハの平面およびエッジ部分に研磨加工を施す研磨用組成物に関する。さらに、本発明は、この研磨用組成物を使用して半導体ウエハの平面およびエッジ部分を研磨する方法に関する。
シリコン単結晶等の半導体素材を原材料としたIC、LSIあるいは超LSI等の電子部品は、シリコンあるいはその他の化合物半導体の単結晶インゴットを薄い円板状にスライスしたウエハに多数の微細な電気回路を書き込み分割した小片状の半導体素子チップを基に製造されるものである。インゴットからスライスされたウエハは、ラッピング、エッチング、更には研磨(以下ポリッシングと記載することもある)という工程を経て、平面およびエッジ面が鏡面に仕上げられた鏡面ウエハに加工される。ウエハは、その後のデバイス工程にてその鏡面仕上げされた表面に微細な電気回路が形成されて行くのであるが、現在、LSIの高速化の観点から、配線材料は従来のAlからより電気抵抗の低いCuに、配線間の絶縁膜は、シリコン酸化膜からより誘電率の低い低誘電率膜に、更にCuと低誘電率膜の間に、Cuが低誘電率膜中に拡散することを防止するためのタンタルや窒化タンタルによるバリア膜を介した構造を有する配線形成プロセスに移行しつつある。こうした配線構造の形成と高集積化のために、層間絶縁膜の平坦化、多層配線の上下配線間の金属接続部(プラグ)形成や埋め込み配線形成などに繰り返し頻繁に研磨工程が行われる。この平面の研磨においては、合成樹脂発泡体あるいはスウェード調合成皮革等よりなる研磨布を展張した定盤上に半導体ウエハを載置し、押圧回転しつつ研磨用組成物溶液を定量的に供給しながら加工を行なう方法が一般的である。
エッジ面は上記の金属膜等が不規則に堆積した状態となっている。半導体素子チップに分割されるまではウエハは最初の円板状の形状を保ったままエッジ部を支えにした搬送等の工程が入る。搬送時にウエハの外周側面エッジが不規則な構造形状であると、搬送装置との接触により微小破壊が起こり微細粒子を発生する。その後の工程で発生した微粒子が散逸して精密加工を施した面を汚染し、製品の歩留まりや品質に大きな影響を与える。この微粒子汚染を防止するために、金属膜等の形成後に半導体ウエハのエッジ部分を鏡面研磨する加工が必要となっている。
上述のエッジ研磨は、研磨布支持体の表面に、合成樹脂発泡体、合成皮革あるいは不織布等からなる研磨布を貼付した研磨加工機に、半導体ウエハのエッジ部分を押圧しながら、シリカ等の研磨砥粒を主成分とする研磨用組成物溶液を供給しつつ、研磨布支持体およびウエハの両方もしくはどちらか一方を回転させて達成される。この際用いられる研磨用組成物の砥粒としては、シリコンウエハのエッジ研磨に用いられるものと同等のコロイダルシリカや、デバイスウエハの平面研磨に用いられるヒュームドシリカやセリア、アルミナなどが提案されている。特にコロイダルシリカやヒュームドシリカは微細な粒子であるため平滑な鏡面を得られ易く注目されている。
このような研磨用組成物は「スラリー」とも呼ばれ、以下にそのように記載することもある。
シリカ砥粒を主成分とする研磨用組成物は、アルカリ成分を含む溶液が一般的で、加工の原理は、アルカリ成分による化学的作用、具体的には酸化珪素膜や金属膜等の表面に対する浸蝕作用とシリカ砥粒の機械的な研磨作用を併用したものである。具体的には、アルカリ成分の侵食作用により、ウエハ等の被加工物の表面に薄い軟質の浸蝕層が形成される。その浸蝕層を微細砥粒粒子の機械的研磨作用により除去する機構と推定されており、この工程を繰り返すことにより加工が進むと考えられている。
また、デバイス配線の微細化は年々顕著になってきており、国際半導体技術ロードマップ(International Technology Roadmap for Semiconductors)によれば、デバイスの配線幅の目標値として2010年50nm、2013年35nmが示されている。デバイスの配線幅の微細化に対応して、配線材料に銅や銅合金が使用されつつある。半導体ウエハの研磨に用いる研磨剤には、アルカリ成分以外に銅の酸化成分や選択的エッチング成分の使用が推奨されている。なかでもアミノ酸は過剰エッチングを起こしにくい薬剤として注目されてきたが、問題の解決には至っていない。半導体ウエハ表面の配線に対する過剰エッチングはデバイスの動作不良をもたらすため、深刻な課題となっている。
従来から半導体ウエハの鏡面研磨では、様々な研磨用組成物が提案されている。
特許文献1には、研磨剤と、モノカルボキシ基またはアミド基を有する化合物である研磨促進剤とを含む半導体プロセス用化学機械的研磨剤組成物が記載されており、アミド基を有する化合物として尿素が挙げられている。また、過酸化水素の使用も記載されている。
特許文献2には、尿素とヒドロキシ芳香族化合物とを必須成分とした銅のエッチングを抑制できる防食剤および防食剤を含む化学的機械的研磨用スラリーが記載されており、実施例ではディッシングやエロージョンの発生が少ないことが記載されている。
特許文献3には、銅やタンタルなどの金属膜用研磨液として、酸化剤、酸化金属溶解剤、研磨摩擦を低減させる水溶性化合物および水を含有するものが記載されており、水溶性化合物として尿素、酸化剤として過酸化水素が挙げられている。実施例では、絶縁膜に対して配線金属のディッシングが少ないことが記載されている。
特許文献4には、銅の酸化防止剤として尿素の使用が好ましいことが記載されている。実施例では、アルカリ性の研磨スラリーに尿素を添加することで、銅膜と有機珪素膜を保護して酸化珪素膜を高レートで研磨できることが記載されている。
このように尿素を用いたときの効果の記載は多様であり、判然としない。一方、尿素は過酸化水素の安定剤(分解抑制剤)として広く用いられており、結晶性付加化合物CO(NH22・H22は固形過酸化水素として商品化されている。また、過酸化水素が、金属膜研磨に有用であることは周知である。そのため尿素は、「過酸化水素尿素」もしくは「尿素−過酸化水素」として、多くの特許文献に記載されている(特許文献5〜7)。
上記特許文献1〜7記載のように、尿素は金属配線研磨に有利な薬剤である
非球状のシリカ粒子からなるコロイダルシリカは、数多く提案されている。特許文献8には、電子顕微鏡観察による5〜40ミリミクロンの範囲内の一様な太さで一平面内のみの伸長を有する細長い形状の非晶質コロイダルシリカ粒子が液状媒体中に分散されてなる安定なシリカゾルが記載されている。特許文献9には、珪酸液の添加工程の前、添加工程中または添加工程後に、アルミニウム塩などの金属化合物を添加する製法によって得られる鎖状(線状)シリカ粒子からなるシリカゾルが記載されている。特許文献10には、アルコキシシランの加水分解による長径/短径比が1.4〜2.2の繭型のシリカ粒子からなるコロイダルシリカが記載されている。特許文献11には、水ガラス法の活性珪酸水溶液に代替して、アルコキシシランの加水分解液を使用し、アルカリには水酸化テトラアルキルアンモニウムを使用して、細長い形状の非晶質シリカ粒子を含有するコロイダルシリカが得られることが記載されている。
一方、研磨方法としては、特許文献12に記載されるようないわゆる両面加工機もしくは片面加工機を使用した半導体基板の表面研磨方法が記載されている。特許文献13および特許文献14には、円形形ワークの外周部研磨装置およびその研磨方法が提案されている。特許文献15には、研磨剤の循環供給方法が開示されている。
特開2000−49124号公報(特許請求の範囲と実施例) 特開2001−207170号公報(特許請求の範囲と実施例) 特開2004−31442号公報(特許請求の範囲と実施例 特開2005−129637号公報(段落[0012]と実施例) 特開平11−21546号公報(特許請求の範囲) 特開2006−511931号公報(特許請求の範囲) 特開2007−150341号公報(特許請求の範囲) 特開平1−317115号公報(特許請求の範囲) 特開平4−187512号公報 特開平11−60232号公報(特許請求の範囲) 特開2001−48520号公報(特許請求の範囲と実施例) 特開平11−302634号公報(第2頁) 特開平3−208550号公報 特開2002−144201号公報 特開2003−297783号公報(第2頁)
上記特許文献1〜7のように尿素は、半導体ウエハ研磨において、いくつかの利点が見出されているが、シリカ砥粒との相互作用などに関する考察や検討がなされたことはなかった。
上記特許文献8〜11のように非球状のシリカ粒子からなるコロイダルシリカは、数多く提案されている。特許文献8に記載のコロイダルシリカは、その製造過程において、水溶性のカルシウム塩、マグネシウム塩またはこれらの混合物を添加する工程があり、製品にはそれらが不純物として残存しているので半導体ウエハ研磨には好ましくない。特許文献9に記載のコロイダルシリカは、その製造過程において、水溶性のアルミニウム塩を添加する工程があり、製品にはそれらが不純物として残存しているので半導体ウエハ研磨には好ましくない。特許文献10および特許文献11に記載のコロイダルシリカは、アルコキシシランをシリカ源とするので製品は高純度であるが、シリカの4倍モル数の大量の副生アルコールの回収工程が必要となる上に、アルコキシシラン自体の価格が高いという問題がある。
研磨方法に関しては、特許文献12に記載されるような両面加工機ならびに片面加工機を用いた研磨方法が広く実施されている。また、特許文献13および特許文献14に記載されるような研磨装置を用いた半導体基板等の外周部の研磨方法が普及している。これらの研磨方法を実施するにあたり、コスト削減の目的で、研磨剤の循環使用が実施されており、特許文献15に記載されるような研磨剤循環供給方法などが提案されている。しかし、例えば、研磨剤を循環使用して特許文献12〜14に記載の研磨方法を実施する場合、研磨後に実施する被研磨物の洗浄工程から純水が研磨剤に混入し研磨剤を希釈してしまい、被研磨物の研磨速度を低下させるという課題を有している。そこで、特許文献15に記載の研磨剤循環供給方法などを用いて研磨剤濃度の管理を実施する必要が生じている。しかしながら、研磨剤濃度の変化に対し研磨速度の変化が大きい研磨剤は、研磨剤濃度の管理幅を狭く設定する必要が生じ、制御が難しいという課題を有している。同時に、前述のように生産性の向上をめざし、高い研磨速度をもつ研磨剤も望まれている。一般に高い研磨速度をもつ研磨剤は、研磨剤濃度の変化に対し研磨速度の変化が大きい欠点を有しており、両機能を併せ持つ研磨用組成物が望まれている。
従って、本発明の目的は、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩等の珪素以外の多価金属化合物を含まず、研磨速度が高く、かつ、濃度の変化に対し研磨速度の変化が小さい半導体ウエハ研磨用組成物を提供することである。また、本発明の他の目的は、それを用いた半導体ウエハの研磨方法を提供することである。また、アルカリ金属の含有量が少ない半導体ウエハ研磨用組成物を提供することも目的のひとつである。
なお、「粒子の内部および/または粒子の表面に尿素が固定化された非球状の異形シリカ粒子」の双方を、以下で「尿素が固定化された非球状の異形シリカ粒子」と記載することがある。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、上記の課題を解決することができた。
すなわち、本発明は、粒子の内部および/または粒子の表面に尿素が固定化された非球状の異形シリカ粒子群からなるコロイダルシリカを含有する半導体ウエハ研磨用組成物である。この半導体ウエハ研磨用組成物のシリカ/尿素のモル比は40〜300であることが好ましく、また、尿素が固定化された非球状の異形シリカ粒子の透過型電子顕微鏡観察による平均短径が7〜30nmであり、長径/短径比が1.2〜10であり、かつ長径/短径比の平均値が1.2〜5であることが好ましい。
また、本発明の半導体ウエハ研磨用組成物は、尿素が固定化された非球状の異形シリカ粒子が水に分散したコロイド溶液であり、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウムおよび水酸化コリンの少なくとも一種を含有し、かつ25℃におけるpHが8〜11となっていることが好ましい。
本発明の半導体ウエハ研磨用組成物は、25℃における酸解離定数の逆数の対数値(pKa)が8.0〜12.5の弱酸および強塩基を組み合わせた緩衝溶液であり、かつpH8〜11の間で緩衝作用を有することが好ましい。その弱酸を構成する陰イオンが、炭酸イオンおよび炭酸水素イオンのうち少なくとも一種であり、かつその強塩基を構成する陽イオンがテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオンおよびコリンイオンのうち少なくとも一種であることが好ましい。
本発明の半導体ウエハ研磨用組成物は、尿素が固定化された非球状の異形シリカ粒子と、尿素が固定化されていない球状シリカ粒子との混合物で構成されたコロイダルシリカであり、尿素が固定化された非球状の異形シリカ粒子の濃度が0.5〜10重量%であり、かつ尿素が固定化された非球状の異形シリカ粒子と尿素が固定化されていない球状シリカ粒子との総濃度が0.5〜50重量%であることが好ましい。
また、本発明は、上記の半導体ウエハ研磨用組成物を用いて、半導体ウエハの平面またはエッジ部分を研磨する半導体ウエハの研磨方法である。
なお、本発明における「尿素を含有」とは、尿素が、シリカ粒子の表面に固定化された状態、シリカ粒子の内部に固定化された状態および水に溶解している状態の少なくとも一つの形態で存在することを意味する。
なお、本発明における「長径/短径比が1.2〜10」という範囲の意味は、この範囲以内でより狭い範囲の場合も含み、例えば、長径/短径比が2〜4の場合も含んでいる。
本発明によれば、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩等の珪素以外の多価金属化合物を含まず、研磨速度が高く、かつ、濃度の変化に対し研磨速度の変化が小さい半導体ウエハ研磨用組成物を提供することができる。
製造例1で得られたコロイダルシリカのTEM写真である。 製造例2で得られたコロイダルシリカのTEM写真である。 製造例3で得られたコロイダルシリカのTEM写真である。 製造例4で得られたコロイダルシリカのTEM写真である。 実施例1〜2および比較例1の結果よりシリカ濃度と研磨速度の関係を示した図である。 実施例5〜6および比較例2の結果よりシリカ濃度と研磨速度の関係を示した図である。
以下、本発明をさらに説明する。
本発明の半導体ウエハ研磨用組成物は、尿素が固定化された非球状の異形シリカ粒子群からなるコロイダルシリカを含有する。本発明の半導体ウエハ研磨用組成物は、球状のシリカ粒子のみを砥粒とした研磨剤に比べ研磨速度が格段に高く、尿素を用いて非球状化しているためウエハ金属汚染の心配もない。また、尿素はシリカ粒子の成長工程で大半が分解して炭酸とアンモニアになり、アンモニアは蒸散して残存しないため臭いもない。
本発明の半導体ウエハ研磨用組成物において、好ましくは、シリカ/尿素のモル比は40〜300である。シリカ/尿素のモル比はシリカ粒子の形状を決める因子であって、シリカ/尿素のモル比が40より小さいと、尿素が多すぎて粒子形成ができずゲル状のシリカが生成する場合があり、シリカ/尿素のモル比が300より大きいと、シリカ粒子の形状が球状に近くなる。ただし、このシリカ/尿素のモル比は、製造工程を経て最終製品に残存する尿素量から求められる値である。液相に溶解している尿素は、シリカ粒子の形成工程およびシリカ粒子の成長工程で、アルカリ成分共存下での加熱によってアンモニアと炭酸とに分解し、更に限外濾過による濃縮工程で水とともに減少する。したがって、製造工程で使用される尿素量は、最終製品に存在する尿素量の2倍以上となる。ただし、有機物の存在は廃水処理などで二次的な弊害を発生することもある。そのような場合を配慮すると尿素量を低減した製品も必要となる。そのため、限外濾過を有効に活用して、シリカ/尿素のモル比を300より大きくした製品も本発明の範疇に含まれる。
研磨加工においては、シリカ粒子の形状は重要なファクターとなる。上記のように、被加工物表面はアルカリによって腐食され水和した薄層が形成されていくが、この薄層の除去速度はシリカ粒子の形状によって大きく変化する。シリカ粒子の粒子径を大きくすれば、除去速度は速くなるが、研磨面にスクラッチが発生しやすくなる。また、形状は真球状よりも異形の粒子の方が除去速度は速くなるが、研磨面にスクラッチが発生しやすくなる。ゆえに、その粒子は適度なサイズを有し、適当な形状であって、容易に破壊したり、あるいは高次に凝集してゲル化するものではないことが望ましい。
良質な研磨面を得るためには、非球状の異形シリカ粒子の電子顕微鏡観察による平均短径は7〜30nmが好ましい。平均短径が7nmより小さいと、研磨速度が低く、シリカ粒子の凝集が起こりやすくコロイドの安定性に欠ける。また、平均短径が30nmより大きいとスクラッチが発生しやすく、研磨面の平坦性も低くなる。長径/短径比の範囲は狭いほうが良いが、本発明では1.2〜10となっている。より好ましくは1.2〜5である。長径/短径比の平均値は1.2〜5が好ましく、2〜4がより好ましい。長径/短径比の平均値が1.2より小さいと研磨速度が低くなる。長径/短径比の平均値が5より大きいとシリカ粒子の凝集が起こりやすくコロイドの安定性に欠ける。本発明における長径/短径比は、得られたコロイダルシリカの透過型電子顕微鏡写真にスケールをあてて、ランダムに選択したシリカ粒子100個について、シリカ粒子の最も長い辺aと最も短い辺bとを測定し、この値(a1、a2、・・・、a100およびb1、b2、・・・、b100)を用いてそれぞれの粒子の長径/短径比(a1/b1、a2/b2、・・・、a100/b100)を算出し、最小値側の5点の値の算術平均値を上限とし、最大値側の5点の値の算術平均値を下限としたものである。また、本発明における長径/短径比の平均値とは、得られたコロイダルシリカの透過型電子顕微鏡写真にスケールをあてて、ランダムに選択したシリカ粒子100個について、シリカ粒子の最も長い辺aと最も短い辺bとを測定し、この値(a1、a2、・・・、a100およびb1、b2、・・・、b100)を用いてそれぞれの粒子の長径/短径比(a1/b1、a2/b2、・・・、a100/b100)を算出し、最大値側および最小値側の5点の値を除いた90点の値の算術平均値である。
本発明の半導体ウエハ研磨用組成物は、尿素が固定化された非球状の異形シリカ粒子が水に分散したコロイド溶液であり、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウムおよび水酸化コリンの少なくとも一種を含有し、25℃におけるpHが8〜11となっていることが好ましい。
上記のように、シリカ砥粒を主成分とする研磨用組成物は、アルカリ成分を含む溶液が一般的である。水酸化ナトリウムのようなアルカリ金属水酸化物は、塩基性が強すぎてウエハ表面へのダメージが大きく、ヘイズまたはシミ(染み)と呼ばれる面荒れを起こしやすい。水酸化第四アンモニウムは強アルカリではあるが、アルカリ金属水酸化物よりも塩基性は弱く面荒れを起こしにくい。アルカリ成分として水酸化第四アンモニウムを使用することでアルカリ金属の含有量を50ppm以下とすることが好ましい。より好ましくは30ppm以下である。このようにアルカリ金属の含有量を少なくすることで、半導体ウエハへの悪影響を低減することができる。水酸化第四アンモニウムとしては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウムおよび水酸化コリンが好ましい。これらの水酸化第四アンモニウムを添加して、25℃におけるpHが8〜11となっていることが好ましい。pHが8未満であると研磨速度は低下し実用の範囲から外れることがある。また、pHが11を超えると、研磨部以外でのエッチングが強くなりすぎ、またシリカ粒子が凝集を始めるため研磨用組成物の安定性が低下しこれも実用の範囲から外れることがある。より好ましくはpHは9.5〜10.5である。
上述のように、研磨加工時に安定な研磨力を持続するために、溶液全体のpHを8〜11の範囲に保つことが好ましい。さらに、このpHは摩擦、熱、外気との接触あるいは他の成分との混合等、外的条件により容易に変化しないことが好ましい。
特にエッジ研磨においては、研磨用組成物は循環流として使用される。すなわち、スラリータンクから研磨部位へ供給された研磨用組成物は、スラリータンクへ戻す方式で使用される。従来技術のアルカリ剤だけを含む研磨用組成物は、使用時に短時間でpHが低下してしまう。これは、被研磨物の溶解や洗浄水の混入によるもので、スラリータンク内の研磨用組成物のpHを一定に保つのは非常に煩わしい作業となり、削り残り品などの発生を起こしやすくなる。
従って、本発明においては半導体ウエハ研磨用組成物自体を、外的条件の変化に対してpH変化の幅が少ない、所謂緩衝作用の強い液とすることが好ましい。液組成を緩衝溶液とすることで、濃度の変化に対し研磨速度の変化が小さい上、スクラッチを発生することもなく良好な鏡面研磨が達成できる。緩衝溶液を形成するためには、25℃における酸解離定数(Ka)の逆数の対数値(pKa)が8.0〜12.5の範囲にある弱酸および強塩基を組み合わせて使用すればよい。25℃における酸解離定数の逆数の対数値(pKa)が8.0未満の場合、pHを上昇させるために、弱酸および強塩基を大量に添加することが必要となるため好ましくない。25℃における酸解離定数の逆数の対数値(pKa)が12.5より大きい場合、pHを8〜11の範囲で安定させる大きな緩衝作用を持つ緩衝溶液を形成しにくいため好ましくない。
緩衝作用を有する半導体ウエハ研磨用組成物溶液の形成に使用する弱酸を構成する陰イオンは、炭酸イオンおよび炭酸水素イオンのうち少なくとも一種であることが好ましい。弱酸の具体例としては、炭酸(pKa=6.35、10.33)、ホウ酸(pKa=9.24)、燐酸(pKa=2.15、7.20、12.35)などの無機酸類および水溶性の有機酸等が挙げられ、これらの混合物であってもかまわない。水溶性の有機酸としては、フェノール(pKa=10.0)、カテコール(pKa=9.25、12.37)、ヒドロキノン(pKa=9.91、11.56)などのフェノール類、グリシン(pKa=2.35、9.78)、α−アミノ酪酸(pKa=2.31、9.66)、アスパラギン酸(pKa=1.94、3.70、9.62)、グルタミン酸(pKa=2.30、4.28、9.67)、リシン(pKa=2.18、9.18、10.72)などのアミノ酸類が挙げられる。なお、炭酸は炭酸水素イオンの形態を含む。また、緩衝作用を有する半導体ウエハ研磨用組成物溶液の形成に使用する強塩基を構成する陽イオンは、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、コリンイオンおよびメチルトリヒドロキシエチルアンモニウムイオンのうち少なくとも一種であることが好ましく、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオンおよびコリンイオンのうち少なくとも一種であることがより好ましい。
本発明で述べる緩衝溶液とは、上述の組み合わせで形成され、溶液の中で弱酸が価数の異なるイオンとして解離している状態、または、解離状態と未解離状態が共存している溶液を示し、少量の酸または塩基が混入してもpHの変化が少ないことが特徴である。
本発明において、非球状の異形シリカ粒子の濃度は、溶液全体に対して0.5〜50重量%であることが好ましい。研磨の対象物が金属であるか、または酸化珪素であるかによって濃度は適宜選定され、一概に限定することはできない。例えば、銅合金膜の平面研磨の場合はシリカ粒子の濃度は、0.5〜2重量%で研磨することができる。一方、酸化珪素膜を有するエッジ研磨の場合には、シリカ粒子の濃度は、2〜25重量%であることが望ましい。スラリーを循環して複数枚のウエハを研磨する工程では、スラリーに純水が混入して希釈されやすいので、希釈されたスラリーの濃度を回復させるには高濃度のスラリーを準備しておき、追加していくのがよい。一般には、30重量%よりも高濃度のスラリーを作製して、使用時に適宜希釈して使用することが好ましい。
本発明の半導体ウエハ研磨用組成物は、尿素が固定化された非球状の異形シリカ粒子と、尿素が固定化されていない球状シリカ粒子との混合物で構成されたコロイダルシリカであって、尿素が固定化された非球状の異形シリカ粒子の濃度が0.5〜10重量%であり、かつ尿素が固定化された非球状の異形シリカ粒子と尿素が固定化されていない球状シリカ粒子との総濃度が0.5〜50重量%である、2種類のシリカ粒子よりなることも好ましい。
本発明の半導体ウエハ研磨用組成物は、シリカ粒子の合計濃度が0.5〜50重量%であるコロイド液であれば、他のシリカ粒子を含有していてもよい。この場合、尿素が固定化された非球状の異形シリカ粒子の濃度が0.5〜10重量%であることが好ましい。他のシリカ粒子としては、尿素を固定化していない球状のシリカ粒子からなるコロイダルシリカや、尿素を固定化していない紐状、繭状、扁平球状などのコロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、半導体ウエハの研磨に通常用いるシリカ粒子等が挙げられる。アルカリ金属の含有量が過度に大きくならない程度で市販の球状のコロイダルシリカとの併用が特に好ましい。
具体的には、尿素が固定化された非球状の異形シリカ粒子1重量部に対して、尿素を固定化していない球状のシリカやヒュームドシリカはシリカ重量で1〜10重量部配合することができる。好ましくは、尿素が固定化された非球状の異形シリカ粒子1重量部に対して、尿素を固定化していない球状コロイダルシリカはシリカ重量で1〜5重量部配合される。
また、本発明は、上記の半導体ウエハ研磨用組成物を用いて、半導体ウエハの平面またはエッジ部分を研磨する半導体ウエハの研磨方法である。
平面研磨の場合、上下面もしくは片面に合成樹脂発泡体あるいはスウェード調合成皮革等よりなる研磨布を貼付した回転可能な定盤に被加工物の研磨面を押圧し、本発明の半導体ウエハ研磨用組成物を定量的に供給しがら、定盤及び被加工物の両方もしくはそのどちらか一方を回転させて被加工物の研磨面を研磨加工する方法で行われる。本発明に用いる平面ポリッシング用加工機としては、例えばスピードファム社製SH−24型片面研磨装置、FAM−20B型両面研磨装置等が挙げられる。
エッジ研磨の場合、一般的には回転可能な研磨布支持体の表面に、合成樹脂発泡体、合成皮革あるいは不織布等からなる研磨布を貼付した研磨加工機に、ワーク(被加工物)であるべべリング(面取り)を施したシリコンウエハ等のエッジ部分を回転させつつ傾斜押圧し、本発明の半導体ウエハ研磨用組成物を供給しながら、エッジ部分の研磨加工を行なう方法で行われる。本発明に用いるエッジポリッシング用加工機とは、例えばスピードファム社製EP−IV型エッジポリッシュ装置、EP−300−X型エッジポリッシュ装置等が挙げられ、表面に研磨布を貼付した回転可能な研磨布支持体と、ワークを把持し回転し任意の角度で傾斜させる把持部とからなり、該把持部に取り付けられたワークのエッジ部分を前記研磨布支持体に押圧し、本発明の半導体ウエハ研磨用組成物を供給しながらワークと研磨布支持体の双方を回転せしめ、ワークのエッジ部分の鏡面研磨加工を行なう。即ち、回転しつつ少しずつ上昇あるいは下降して位置を変えてゆく研磨布支持体に、ワークを回転させながら一定の角度で押しあて、本発明の半導体ウエハ研磨用組成物を加工部分に滴下しながら研磨を行なう。本発明の半導体ウエハ研磨用組成物を用いた半導体ウエハの研磨加工方法は以下の実施例にて詳細に説明する。なお、装置については上記の記載に限定されるものではなく、例えば特開2000−317788号公報、特開2002−36079号公報などに記載のいかなる装置も使用可能である。
本発明で用いられる、尿素が固定化された非球状の異形シリカ粒子を構成成分とするコロイダルシリカは、珪酸アルカリ水溶液をカチオン交換樹脂に接触させて活性珪酸水溶液を調製し、次いでこの活性珪酸水溶液に尿素とアルカリ剤とを添加してアルカリ性とした後、加熱してシリカ粒子(種粒子)を形成させ、続いて加熱下にアルカリ性を維持しつつ、活性珪酸水溶液と尿素とアルカリ剤とを添加するか、または活性珪酸水溶液とアルカリ剤とを添加して粒子成長を行うことにより製造することができる。このため尿素は、(1)粒子形成・成長の過程で粒子内部に固定された形態と、(2)粒子成長後には粒子表面に固定された形態と、(3)液相に溶解した形態との3形態で存在している。
アルカリ剤としては、水酸化ナトリウムのようなアルカリ金属水酸化物が最も好適な材料である。アルカリ金属を好まないときには、アミン類や水酸化第四アンモニウムなどの含窒素有機アルカリ化合物が使用できる。アミン類としては、トリエタノールアミンなどの揮発性の低い3級アミン、ピペラジンなどの2級アミン、エチレンジアミンなどの脂肪族アミンが使用できる。水酸化第四アンモニウムとしては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム(別名、水酸化コリン)が使用できる。
上記の含窒素有機アルカリ化合物を使用することで、シリカ当たりのアルカリ金属含有量を50ppm以下とすることができる。より好ましくは30ppm以下である。このようにアルカリ金属の含有量を少なくすることで、半導体ウエハへの悪影響を低減することができる。
原料として用いる珪酸アルカリ水溶液としては、通常、水ガラス(水ガラス1号〜4号等)と呼ばれる珪酸ナトリウム水溶液が好適に用いられる。このものは比較的安価であり、容易に手に入れることができる。また、Naイオンを嫌う用途では、珪酸ナトリウム水溶液の代わりに珪酸カリウム水溶液を原料として用いることが好ましい。固体状のメタ珪酸アルカリを水に溶かして珪酸アルカリ水溶液を調製する方法もある。メタ珪酸アルカリは晶析工程を経て製造されるため、不純物の少ないものがある。珪酸アルカリ水溶液は、必要に応じて水で希釈して使用する。
カチオン交換樹脂は、公知のものを適宜選択して使用することができ、とくに制限されない。珪酸アルカリ水溶液とカチオン交換樹脂との接触工程は、例えば、珪酸アルカリ水溶液をシリカ濃度3〜10重量%に水希釈し、次いでH型強酸性カチオン交換樹脂に接触させて脱アルカリし、必要に応じてOH型強塩基性アニオン交換樹脂に接触させて脱アニオンすることによって行うことができる。この工程により、活性珪酸水溶液が調製される。接触条件の詳細は、従来から既に様々な提案があり、本発明ではそれら公知のいかなる条件も採用することができる。
次いで、シリカ粒子の形成を行う。この粒子形成工程では、活性珪酸水溶液に尿素を添加する以外は常法の操作が行われる。例えば、pHが8以上となるように活性珪酸水溶液に尿素およびアルカリ剤を添加し、60〜240℃に加熱することで、シリカ粒子(種粒子)を形成させることができる。尿素とアルカリ剤の添加順序は、どちらが先でもよい。また、尿素は、固体のまま添加してもよいが、水に予め溶解させた水溶液の形態で添加することが好ましい。
次いで、上記で形成されたシリカ粒子を種ゾルとするビルドアップの方法を用いた粒子成長を行う。この粒子成長工程では、pHが8以上の種ゾルを60〜240℃に加熱し、pHを8〜10に維持しながら、活性珪酸水溶液と尿素とアルカリ剤とを添加するか、あるいは活性珪酸水溶液とアルカリ剤とを添加して、シリカ粒子を成長させる。このようにして、透過型電子顕微鏡観察によるシリカ粒子の平均短径を好ましくは7〜30nmにする。
上記の粒子形成工程および粒子成長工程を経て得られたコロイダルシリカは、必要に応じて、濃縮を行ってもよい。シリカの濃縮は、水分の蒸発濃縮でもよいが、エネルギー的には限外濾過の方が有利である。
限外濾過によりシリカを濃縮するときに使用される限外濾過膜について説明する。限外濾過膜が適用される分離は、1nmから数ミクロンの粒子を対象とするが、溶解した高分子物質をも対象とするため、ナノメータ域では濾過精度を分画分子量で表現している。本発明では、分画分子量15,000以下の限外濾過膜を好適に使用することができる。この範囲の膜を使用すると1nm以上の粒子は分離することができる。更に好ましくは分画分子量3,000〜15,000の限外濾過膜を使用する。3,000未満の膜では濾過抵抗が大きすぎて処理時間が長くなり不経済であり、15,000を超えると、精製度が低くなる。膜の材質は、ポリスルホン、ポリアクリルニトリル、焼結金属、セラミック、カーボンなどあり、いずれも使用できる。耐熱性や濾過速度などの点からポリスルホン製の膜が使用しやすい。膜の形状は、スパイラル型、チューブラー型、中空糸型などあり、いずれも使用できる。中空糸型膜がコンパクトで使用しやすい。また、限外濾過工程が、余剰の尿素の洗い出し除去をかねている場合、必要に応じて、目標シリカ濃度に達した後も純水を加えるなどして、更に洗い出し除去を行って、尿素の除去率を高める作業を行うこともできる。この工程でシリカの濃度が10〜50重量%となるように濃縮するのがよい。
また、上述のようなビルドアップの手法を用いない製法でもよい。例えば、活性珪酸に尿素とアルカリ剤とを添加して、オートクレーブを用いて120℃以上に加熱して一気に10nmより大きい粒子とすることもでき、あるいは、解膠法を用いてゲル状シリカをゾルにする方法でもよい。
非球状の異形シリカ粒子群となっているコロイダルシリカとは、具体的には、後述する製造例1〜4の図1〜4に示されるような形状のシリカ粒子を含有するコロイダルシリカである。長径/短径比は1.2〜10の範囲にある。そのシリカ粒子は、非直線状に伸長している粒子が大半を占めており、一部は伸長していない粒子も存在する。これは一例であって、製造条件によってその形状はさまざまとなるが、真球状でない粒子が大半を占めている。
本発明においては、半導体ウエハ研磨用組成物溶液の導電率を高くすることにより、研磨加工速度を著しく向上することができる。導電率を上昇させる方法としては、次の二方法がある。一つは緩衝溶液の濃度を高くする方法、もう一つは塩類を添加する方法である。緩衝溶液の濃度を高くするには、酸と塩基とのモル比を変えずに濃度のみを高くすればよい。塩類を添加する方法に用いる塩類は、酸および塩基の組み合わせより構成されるが、酸としては、強酸、弱酸いずれであってもかまわず、鉱酸および、有機酸が使用でき、その混合物でもよい。塩基としては、強塩基、弱塩基いずれであってもよいが、強酸と強塩基の塩が好ましい。水溶性の第4アンモニウムの塩化物、硫酸塩、硝酸塩が好ましく使用できる。例えば、硝酸テトラメチルアンモニウムのような塩が好ましい。弱酸および強塩基、強酸および弱塩基、弱酸および弱塩基の組み合わせで添加する場合は、緩衝溶液のpHを変化させることがあるため、大量に添加することは望ましくない。前述の二方法を併用してもかまわない。
また、本発明の半導体ウエハ研磨用組成物は、シリカ以外の研磨砥粒を含有することも好ましい。シリカ以外の研磨砥粒としては、セリア、アルミナ、ジルコニア、有機砥粒、シリカ有機複合砥粒などが好ましい。セリア、アルミナ、ジルコニアの砥粒は粒子径が20〜100nmであることが好ましい。
また、本発明の半導体ウエハ研磨用組成物は、アミノエチルエタノールアミンのようなモノアミン以外のキレート化剤を含有していることが好ましい。本発明で使用されるキレート化剤としては、金属の多座配位子として結合するものであれば、本発明の効果を損なわない限り、任意のものを用いることができるが、ポリアミン類やアミノポリカルボン酸が好ましく、例えば(1)エチレンジアミン四酢酸およびその塩、(2)ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸およびその塩、(3)ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸およびその塩、(4)ジエチレントリアミン五酢酸およびその塩、(5)トリエチレンテトラミン六酢酸およびその塩、(6)ヒドロキシエチルイミノ二酢酸およびその塩、および(7)ジヒドロキシエチルエチレンジアミンから選ばれることが好ましい。また、ニトリロ三酢酸塩やグリシン、サリチル酸、グルコン酸も好適である。これらのキレート化剤のなかではアルカリ金属を含まない「酸」型のものや「アンモニウム塩」型のものが好ましく使用できる。
さらには、本発明の半導体ウエハ研磨用組成物は、銅と水不溶性のキレート化合物を形成するキレート化剤を含有していることが好ましい。例えば、キレート化剤としては、ベンゾトリアゾールのようなアゾール類やキノリノール、キナルジン酸のようなキノリン誘導体など公知の化合物が好ましい。本発明の半導体ウエハ研磨用組成物におけるキレート化剤の含有量は、用いるキレート化剤の効果により異なるが、半導体ウエハ研磨用組成物の全量に対して、好ましくは0.01〜1重量%、さらに好ましくは0.05〜0.5重量%である。
また、本発明の半導体ウエハ研磨用組成物は、界面活性剤を含有していることも好ましい。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤などが使用できるが、ノニオン性界面活性剤を含有することが好ましい。ノニオン性界面活性剤は過剰エッチングの防止効果がある。ノニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンエステルなどの脂肪酸エステル、ジ(ポリオキシエチレン)ラウリルアミンなどのポリオキシアルキレンアルキルアミン等が使用できるが、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは特に好ましい。本発明の半導体ウエハ研磨用組成物における界面活性剤の濃度はおおむね1ppm〜1,000ppmが適切である。
界面活性剤、特にアニオン性界面活性剤は使い方によっては泡立ちというマイナスの現象を起こしやすい。この抑制には消泡剤を併用するのが通常であるが、シリコーン消泡剤は極めて効果的である。シリコーン消泡剤としては、オイル型、変性油型、溶液型、粉末型、エマルジョン型があり、変性油型とエマルジョン型がコロイド液への分散が良く使用できるが、なかでもエマルジョン型が最も効果が高く持続性もよい。市販品としては、例えば信越化学工業(株)製の信越シリコーンKMグレードがある。消泡剤の使用量は界面活性剤の量により適宜決めなくてはならないが、消泡有効成分として半導体ウエハ研磨用組成物中におおむね1ppm〜1,000ppmが適切である。
また、本発明の半導体ウエハ研磨用組成物には水溶性高分子を配合することで、その効果を高めることができる。分子量5,000以上の水溶性高分子や分子量10万以上の水溶性高分子は、ウエハの金属汚染低減や平坦性の向上に機能するとされているが、このように大きな分子量の高分子を使用する場合には、半導体ウエハ研磨用組成物溶液の粘性を上げ過ぎないよう、少量しか配合できないという欠点がある。平均分子量5,000以下、好ましくは500以上3,000以下の水溶性高分子を半導体ウエハ研磨用組成物中におおむね100ppm〜10,000ppmが適切である。
上記水溶性高分子としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、マレイン酸・ビニル共重合体、キサンタンガム、セルロース誘導体などいずれも使用できるが、セルロース誘導体、ポリビニルアルコールおよびポリエチレングリコールから選ばれた1種以上であるのが好ましく、分子量5,000以下のポリエチレングリコールが更に好ましい。セルロース誘導体としては、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどが使用できるが、ヒドロキシエチルセルロースが好ましい。
また、本発明の半導体ウエハ研磨用組成物には酸化剤を任意で配合することができる。酸化剤としては、過酸化水素水、過硫酸塩、過硼酸塩などが好ましい。尿素は過酸化水素の安定剤として作用するので、組成物を構成しやすい。
本発明の半導体ウエハ研磨用組成物の物性を改良するため、殺菌剤、防カビ剤、pH指示薬、湿潤剤、水混和性有機溶剤、凍結防止剤、防錆剤、研磨終点検出剤、着色剤、沈降防止剤などを適宜配合することができる。分散剤、沈降防止剤としては、水溶性の有機物、無機層状化合物などが挙げられる。また、本発明の半導体ウエハ研磨用組成物は水溶液としているが、有機溶媒を添加してもかまわない。特に、エチレングリコールやグリセリンは凍結防止剤や湿潤剤として好ましい。また、イソプロピルアルコールなどは表面張力を下げる効果が大きい。本発明の半導体ウエハ研磨用組成物は、研磨時にコロイダルシリカ等の他の研磨剤、塩基、添加剤、水等を混合して調製してもよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。以下、水酸化テトラエチルアンモニウムおよび水酸化テトラメチルアンモニウムをそれぞれTEAOHおよびTMAOHと記載することもある。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。実施例での測定は以下の装置を使用した。
(1)TEM観察:(株)日立製作所、透過型電子顕微鏡H−7500型を使用した。
(2)BET法比表面積:(株)島津製作所、フローソーブ2300型を使用した。
(3)全尿素分析:(株)島津製作所、全有機体炭素計TOC−5000A、SSM−5000Aを使用した。炭素量より尿素に換算した。具体的には、全炭素量(TC)と無機体炭素量(IC)を測定後、全有機体炭素量(TOC)は、TOC=TC−ICにより求めた。IC成分は主として珪酸ソーダに溶解していた炭酸であると推定される。TC測定の標準として炭素量1重量%のグルコース水溶液を用い、IC測定の標準として炭素量1重量%の炭酸ナトリウムを用いた。超純水を炭素量0重量%の標準とし、それぞれ先に示した標準を用い、TCは150μlと300μl、またICは250μlで検量線を作成した。サンプルのTC測定ではサンプルを約100mg採取し、900℃燃焼炉で燃焼させた。また、IC測定ではサンプルを約20mg採取し、(1+1)燐酸を約10ml添加し200℃燃焼炉で反応を促進した。
また、水酸化テトラメチルアンモニウムを含有するサンプルでは下記の方法(7)でテトラメチルアンモニウムを定量しTCより減じて尿素量に換算した。
(4)液相尿素分析:限外濾過によりサンプルから液相を取り出し、上記(3)と同じ方法で測定した。
(5)固定化された尿素の算出:全尿素量から液相尿素量を減じて、固定化された尿素量を算出した。
(6)金属元素分析:(株)堀場製作所、ICP発光分析計ULTIMA2を使用した。
(7)テトラメチルアンモニウム(TMA)のイオンクロマト分析:ダイオネクス社、イオンクロマトICS−1500を使用した。具体的には、液相TMAは、サンプルを1,000倍から5,000倍に純水で希釈し測定を行った。また、全TMAの測定には前処理としてサンプル5gに3gの20重量%NaOHと純水を加え、80℃で加熱しシリカを完全に溶解させた。この溶解液を1,000倍から5,000倍に純水で希釈し測定を行い、TMA量を求めた。
実施例での薬品は以下のものを使用した。
(A)TEAOH:市販の35重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液。
(B)TMAOH:市販の25重量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液。
(C)コリン:市販の48重量%水酸化コリン水溶液。
(D)炭酸水素テトラメチルアンモニウム:上記の25重量%TMAOH水溶液に炭酸ガスを吹き込んでpH8.4まで中和して作製した。化学分析による組成は33重量%炭酸水素テトラメチルアンモニウム水溶液であった。以下でTMAHCO3と略記することもある。
(E)炭酸テトラメチルアンモニウム:TMAOHと炭酸水素テトラメチルアンモニウムを実施例記載の所定のモル比となる量で混合して作製した。以下で(TMA)2CO3と略記することもある。
〔製造例1〕
脱イオン水28kgにJIS3号珪酸ソーダ(SiO2:28.8重量%、Na2O:9.7重量%、H2O:61.5重量%)5.2kgを加えて均一に混合しシリカ濃度4.5重量%の希釈珪酸ソーダを作製した。この希釈珪酸ソーダを予め塩酸によって再生したH型強酸性カチオン交換樹脂(オルガノ(株)製アンバーライト(登録商標)IR120B)20リットルのカラムに通して脱アルカリし、シリカ濃度3.7重量%でpH2.9の活性珪酸40kgを得た。別途、尿素(試薬)を純水に加えて10重量%尿素水溶液を調製した。
次いで、得られた活性珪酸水溶液の一部500gに、攪拌下、5重量%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを8.5とし、10重量%尿素水溶液12gを加えた後、加熱して100℃で1時間保った後、2,000gの活性珪酸水溶液を4時間かけて添加した。活性珪酸水溶液の添加中は100℃を維持し、10重量%尿素水溶液と5重量%水酸化ナトリウム水溶液とを同時添加しpH9〜10を維持した。同時添加で使用した10重量%尿素水溶液は24gであった。添加中の水の蒸発により、放冷後には1,700gのコロイダルシリカを得た。シリカ濃度は5.4重量%となっていた。このコロイダルシリカは25℃でのpHが9.4であった。次いで、分画分子量6,000の中空糸型限外濾過膜(旭化成(株)製マイクローザ(登録商標)UFモジュールSIP−1013)を用いてポンプ循環送液による加圧濾過を行い、シリカ濃度17.7重量%までコロイダルシリカを濃縮し、約520gのコロイダルシリカを回収した。このコロイダルシリカは、25℃でのpHが9.0であり、透過型電子顕微鏡(TEM)観察では短径が約12nmで、長径/短径比が1.2〜4の範囲にあり、かつ長径/短径比の平均値が1.5である非球状の異形シリカ粒子群からなるものであった。また、BET法による比表面積換算の粒子径は12.1nmであった。TEM写真を図1に示した。
コロイダルシリカの全尿素濃度は0.0610重量%であり、シリカ/尿素のモル比は290であった。液相尿素濃度は0.0535重量%であったので、固定化されている尿素は0.0171重量%と算出された。尿素がシリカに固定されていることが確認できた。また、シリカ当たりのナトリウム含有量は16,900ppmであった。
〔製造例2〕
上記製造例1で用いたものと同じ活性珪酸水溶液500gに、攪拌下、5重量%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを8.3とし、10重量%尿素水溶液20gを加えた後、加熱して100℃に1時間保った後、1,500gの活性珪酸水溶液を5時間かけて添加した。活性珪酸水溶液の添加中は100℃を維持し、5重量%水酸化ナトリウム水溶液を同時添加しpH9〜10を維持した。添加中の水の蒸発により、放冷後には1,617gのコロイダルシリカを得た。シリカ濃度は4.6重量%となっていた。次いで、分画分子量6,000の中空糸型限外濾過膜(旭化成(株)製マイクローザ(登録商標)UFモジュールSIP−1013)を用いてポンプ循環送液による加圧濾過を行い、シリカ濃度15.0重量%までコロイダルシリカを濃縮し、約493gのコロイダルシリカを回収した。このコロイダルシリカは、25℃でのpHが9.0であり、透過型電子顕微鏡(TEM)観察では短径が約13nmで、長径/短径比が1.5〜5の範囲にあり、かつ長径/短径比の平均値が2である非球状の異形シリカ粒子群からなるものであった。TEM写真を図2に示した。また、BET法による比表面積換算の粒子径は13.4nmであった。TEM写真を図2に示した。
コロイダルシリカの全尿素濃度は0.0635重量%であり、シリカ/尿素のモル比は236であった。液相尿素濃度は0.0610重量%であったので、固定化されている尿素は0.0116重量%と算出された。尿素がシリカに固定されていることが確認できた。また、シリカ当たりのナトリウム含有量は19,300ppmであった。
〔製造例3〕
10重量%尿素水溶液の添加量を28gとした以外は製造例2と同様にして約526gのコロイダルシリカを回収した。シリカ濃度は14.1重量%となっていた。このコロイダルシリカは、25℃でのpHが9.0であり、透過型電子顕微鏡(TEM)観察では短径が約11nmで、長径/短径比が1.5〜6の範囲にあり、かつ長径/短径比の平均値が3である非球状の異形シリカ粒子群からなるものであった。また、BET法による比表面積換算の粒子径は11.1nmであった。TEM写真を図3に示した。
コロイダルシリカの全尿素濃度は0.0889重量%であり、シリカ/尿素のモル比は159であった。液相尿素濃度は0.0898重量%であったので、固定化されている尿素は0.0118重量%と算出された。尿素がシリカに固定されていることが確認できた。また、シリカ当たりのナトリウム含有量は21,300ppmであった。
〔製造例4〕
上記製造例1で用いたものと同じ活性珪酸水溶液500gに、攪拌下、25重量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を16g添加してpHを8.3とし、10重量%尿素水溶液12gを加えた後、100℃に1時間保った後、1,000gの活性珪酸水溶液を2時間かけて添加した。活性珪酸水溶液の添加中は100℃を維持し、25重量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を同時添加しpH9〜10を維持した。添加中の水の蒸発により、放冷後には1,360gのコロイダルシリカを得た。シリカ濃度は4.1重量%となっていた。このコロイダルシリカは、25℃でのpHが9.1であり、透過型電子顕微鏡(TEM)観察では短径が約10nmで、長径/短径比が2〜7の範囲にあり、かつ長径/短径比の平均値が4である非球状の異形シリカ粒子群からなるものであった。また、BET法による比表面積換算の粒子径は9.8nmであった。TEM写真を図4に示した。
このコロイダルシリカは、活性珪酸水溶液の使用量および尿素の分析値から、シリカ/尿素のモル比は69と算出された。コロイダルシリカの全尿素濃度は0.059重量%で、液相尿素濃度は0.050重量%であったので、固定化されている尿素は0.011重量%と算出された。尿素がシリカに固定されていることが確認できた。また、シリカ当たりのナトリウム含有量は19ppmであった。
上記製造例に示したコロイダルシリカの組成と物性を表1にまとめた。
Figure 2011086713
半導体ウエハの平面研磨の実施例について以下に説明する。
<半導体ウエハの平面研磨試験>
実施例および比較例に使用した研磨用組成物は以下の方法で調製した。
〔実施例1の研磨用組成物の調製〕
製造例1で製造したコロイダルシリカに純水を加え希釈して、表2の実施例1の欄に示すSiO2濃度になるようにシリカ濃度の異なる4水準のコロイダルシリカを調製した。次いで、添加成分としてpHを安定させ、かつ研磨速度を高くしpH緩衝溶液組成となるように表2の実施例1の欄に示す量のTMAOHとTMAHCO3とを加えて研磨用組成物を調製した。
〔実施例2の研磨用組成物の調製〕
製造例4で製造したコロイダルシリカに純水を加え希釈して、表2の実施例2の欄に示すSiO2濃度になるようにシリカ濃度の異なる4水準のコロイダルシリカを調製した。次いで、添加成分としてpHを安定させ、かつ研磨速度を高くしpH緩衝溶液組成となるように表2の実施例2の欄に示す量のTMAOHとTMAHCO3とを加えて研磨用組成物を調製した。
〔比較例1の研磨用組成物の調製〕
比較例として、球状のシリカ粒子よりなる市販のコロイダルシリカ(日本化学工業(株)製「シリカドール40L」、シリカ濃度40重量%、BET粒子径20nm、シリカ当たりのナトリウム含有量5,500ppm)に純水を加え希釈して、表3の比較例1の欄に示すSiO2濃度になるようにシリカ濃度の異なる4水準のコロイダルシリカを調製した。次いで、添加成分としてpHを安定させ、かつ研磨速度を高くしpH緩衝溶液組成となるように表3の比較例1の欄に示す量のTMAOHとTMAHCO3とを加えて研磨用組成物を調製した。
上記で調製した研磨用組成物を使用して下記の加工条件で研磨試験を実施した。
〔加工条件〕
研磨装置:スピードファム(株)製 SH−24型
定盤回転数:70rpm
荷重:200g/cm2
プレッシャープレート回転数:60rpm
研磨パッド:スピードファム(株)製
研磨用組成物供給量:100ml/分
研磨加工時間:5分
被研磨物:6インチシリコンウエハ
研磨後洗浄:アンモニア水スクラブ洗浄後、純水スクラブ洗浄30秒
ウエハの研磨後の洗浄は、1重量%アンモニア水溶液および純水を用いてブラシスクラブ洗浄各30秒実施した後、窒素ブローを施しながらスピン乾燥を行った。
上記にて得られたウエハについて、研磨速度は、研磨前後のウエハの重量差より求めた。研磨面に生じるヘイズおよびスクラッチの状態は、集光灯下での目視観察にて実施した。その結果を表2〜3に併記した。
表2および表3の結果より、実施例および比較例とも、ウエハ研磨面のヘイズおよびスクラッチは発生せず、良好な研磨面を得ることができた。また、実施例1〜2および比較例1の結果よりシリカ濃度と研磨速度の関係を図5に示した。
図5の結果より実施例1および2は、比較例に比べ直線の勾配が小さく、濃度変化に対する速度の変化が比較例より小さいことがわかる。また、シリカ濃度が低い領域では、比較例に比べ明らかに研磨速度が高く、実施例の研磨用組成物は低い濃度で能力を発揮することが確認された。
Figure 2011086713
Figure 2011086713
〔実施例3〜4の研磨用組成物の調製〕
製造例2で製造したコロイダルシリカに純水を加え希釈して、表4の実施例3および実施例4の欄に示すSiO2濃度になるようにシリカ濃度の異なる4水準のコロイダルシリカをそれぞれ調製した。次いで、添加成分としてpHを安定させ、かつ研磨速度を高くしpH緩衝溶液組成となるように表4の実施例3および実施例4の欄に示す量のTEAOHまたはコリンとTMAHCO3とを加えて研磨用組成物を調製した。
実施例1と同じ条件で研磨試験を行い、その結果を表4の実施例3および実施例4の欄に記載した。ヘイズおよびスクラッチは発生せず、pHが低いにもかかわらず研磨速度が高く、良好な研磨面を得ることができた。
Figure 2011086713
半導体ウエハのエッジ研磨の実施例について以下に説明する。
<半導体ウエハのエッジ研磨試験>
実施例および比較例に使用した研磨用組成物は以下の方法で調製した。
〔実施例5〜6の研磨用組成物の調製〕
製造例2および製造例3で製造したコロイダルシリカに純水を加え希釈して、表5の実施例5および実施例6の欄に示すSiO2濃度になるようにシリカ濃度の異なる4水準のコロイダルシリカおよび5水準のコロイダルシリカを調製した。次いで、添加成分としてpHを安定させ、かつ研磨速度を高くしpH緩衝溶液組成となるように表5の実施例5および実施例6の欄に示す量のTMAOHとTMAHCO3とを加えて研磨用組成物を調製した。
〔比較例2の研磨用組成物の調製〕
比較例として、球状のシリカ粒子よりなる市販のコロイダルシリカ(日本化学工業(株)製「シリカドール40L」、シリカ濃度40重量%、BET粒子径20nm、シリカ当たりのナトリウム含有量5,500ppm)に純水を加え希釈して、表6の比較例2の欄に示すSiO2濃度になるようにシリカ濃度の異なる5水準のコロイダルシリカを調製した。次いで、添加成分としてpHを安定させ、かつ研磨速度を高くしpH緩衝溶液組成となるように表6の比較例2の欄に示す量のTMAOHとTMAHCO3とを加えて研磨用組成物を調製した。
上記で調製した研磨用組成物を使用して下記の加工条件で研磨試験を実施した。
〔加工条件〕
研磨装置:スピードファム(株)製、EP−200XW型エッジポリッシュ装置
ウエハ回転数:2000回/分
研磨時間:60秒/枚
研磨用組成物流量:3L/分
研磨パッド:スピードファム(株)製、DRP
荷重:40N/ユニット
被研磨物:8インチシリコンウエハ
研磨後洗浄:1重量%アンモニア水30秒の後、純水洗浄30秒
ウエハの研磨後の洗浄は、1重量%アンモニア水溶液および純水を用いてブラシスクラブ洗浄を各30秒実施した後、窒素ブローを施しながらスピン乾燥を行った。
上記にて得られたウエハについて、研磨速度は、研磨前後のウエハの重量差より求めた。吸着面に生じるヘイズおよびシミの状態は、集光灯下での目視観察にて実施した。エッジポリッシュが不完全であることによって発生する削り残りについては、800倍での光学顕微鏡観察をワーク全周に対し実施した。その結果を表5〜6に併記した。
表5〜6の結果より、実施例および比較例とも、ウエハ吸着面のヘイズおよびシミは発生しなかった。なお、実施例5〜6および比較例2で調製した研磨用組成物を用いた際のエッジ研磨におけるシリカ濃度と研磨速度の結果を、図6に図示した。
図6の結果より実施例5〜6は、比較例2に比べ直線の勾配が小さく、濃度変化に対する速度の変化が小さいことがわかる。また、シリカ濃度が低い領域では、比較例に比べ研磨速度が高い傾向にあり、実施例の研磨用組成物は低い濃度で能力を発揮することが確認された。
Figure 2011086713
Figure 2011086713
本発明によれば、シリコンウエハあるいは表面に金属膜等が形成された半導体デバイス基板等の半導体ウエハの平面およびエッジ部分に研磨加工を施す研磨用組成物が提供される。本発明の半導体ウエハ研磨用組成物のシリカ粒子は特異な性状を有し、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩等の珪素以外の多価金属化合物を含まないことにより平面研磨では、ウエハの良好な洗浄性を示し、さらに、エッジ研磨では従来の研磨用組成物に比べ、研磨速度がきわめて大きく、ウエハの洗浄性も改善された。本発明の半導体ウエハ研磨用組成物を使用すれば半導体ウエハ等の表面研磨加工時にウエハの品質を劣化させることがない。

Claims (9)

  1. 粒子の内部および/または粒子の表面に尿素が固定化された非球状の異形シリカ粒子群からなるコロイダルシリカを含有することを特徴とする半導体ウエハ研磨用組成物。
  2. シリカ/尿素のモル比が40〜300であることを特徴とする請求項1に記載の半導体ウエハ研磨用組成物。
  3. 前記尿素が固定化された非球状の異形シリカ粒子の透過型電子顕微鏡観察による平均短径が7〜30nmであり、長径/短径比が1.2〜10であり、かつ長径/短径比の平均値が1.2〜5であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体ウエハ研磨用組成物。
  4. 前記尿素が固定化された非球状の異形シリカ粒子が水に分散したコロイド溶液であり、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウムおよび水酸化コリンの少なくとも一種を含有し、かつ25℃におけるpHが8〜11であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体ウエハ研磨用組成物。
  5. 25℃における酸解離定数の逆数の対数値(pKa)が8.0〜12.5の弱酸および強塩基を組み合わせた緩衝溶液であり、かつpH8〜11の間で緩衝作用を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体ウエハ研磨用組成物。
  6. 前記弱酸を構成する陰イオンが、炭酸イオンおよび炭酸水素イオンのうち少なくとも一種であり、かつ前記強塩基を構成する陽イオンがテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオンおよびコリンイオンのうち少なくとも一種であることを特徴とする請求項5に記載の半導体ウエハ研磨用組成物。
  7. 水に分散した前記尿素が固定化された非球状の異形シリカ粒子の濃度が0.5〜50重量%であり、かつシリカ当たりのアルカリ金属の含有量が50ppm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の半導体ウエハ研磨用組成物。
  8. 前記尿素が固定化された非球状の異形シリカ粒子と、尿素が固定化されていない球状シリカ粒子との混合物で構成されたコロイダルシリカであり、該尿素が固定化された非球状の異形シリカ粒子の濃度が0.5〜10重量%であり、かつ該尿素が固定化された非球状の異形シリカ粒子と該尿素が固定化されていない球状シリカ粒子との総濃度が0.5〜50重量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の半導体ウエハ研磨用組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の半導体ウエハ研磨用組成物を用いて、半導体ウエハの平面またはエッジ部分を研磨することを特徴とする半導体ウエハの研磨方法。
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