JP2011084938A - 山留め壁及びその施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 山留め壁となる鋼矢板壁と型枠パネルとの固定を容易にし、かつ、確実に行うことを可能とし、工期縮減を図る山留め壁及びその施工方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 予め地中に打設された鋼矢板100と、この鋼矢板100の地山部と反対側の面に密接して固定された型枠パネル201と、この型枠パネル201と対向する位置に立設された型枠パネル202とから構成されている。型枠パネル201,202は、予め地面にビス203で固定されたランナー204上に立設されており、上部には、型枠パネル201,202の水平性及び直線性を保持するためのキャップ205が設置されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、山留め壁及びその施工方法に関し、特に、予め打設された鋼矢板と、並設される型枠パネルとの接続固定を容易にする山留め壁及びその施工方法に関する。
従来から行われている建築基礎などの地下構造物を構築するための開削工事は、山留め壁を設けて壁内を掘削、除去した後、コンクリートを打設するための外型枠を山留め壁から80〜90cm程度の間隔を有する余掘を設け、さらに、その内側に内型枠を設けている。この余掘は、内型枠の設置かつコンクリート硬化後の撤去する際の作業スペースを確保するものである。
一方で、余掘を設けるには地下構造物の構築に必要な開削幅よりも余分に開削する必要がある。そのため、狭い敷地での開削工事は困難を極めるほか、工事時間や工事費用が余分に必要になるといった問題がある。従って、このような開削工事は、工期縮減が課題となっている。
そこで、開削する余掘を回避することで開削幅の削減による開削規模の縮減と工期短縮を図った工法がある(特許文献1)。この特許文献1に記載された工法は、外型枠機能も有する水密性かつ非腐食性パネルと、山留め杭に当接又は近接して建て込み、内側に内型枠を設けてコンクリートを打設し、打設したコンクリートとパネルとを一体化して地中に残置して山留め杭を引き抜くものである。
この工法では、摩擦係数の小さいパネルを使用することで山留め杭の引き抜きを容易にするとともに、開削する掘削幅を縮小することができるため工期短縮やコストの低減を図ることができる。
特許2969607号公報
ところで、上記の工法において、接着剤または両面貼付テープを用いて山留め杭に対してパネルを貼り付けているが、開削規模を問わず山留め杭に貼り付ける作業には時間と人員を多く必要とするため、工事費の縮減は困難となる。
本発明は、係る問題に鑑みてなされたものであり、山留め壁となる鋼矢板壁と型枠パネルとの固定を容易にし、かつ、確実に行うことを可能とし、工期縮減を図る山留め壁及びその施工方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の山留め壁は、予め鋼矢板を連続打設することで、凹凸を連続して形成する鋼矢板壁を構築し、該鋼矢板壁の一側面を掘削して構築する山留め壁であって、前記鋼矢板壁の一側面に対して平行方向に密接して並設される第1の型枠パネルと、構築する基礎躯体の幅に合わせた位置に並設する第2の型枠パネルとから構成されていることを特徴とする。
また、本発明の山留め壁は、前記型枠パネルは、密接する前記鋼矢板と固定部材によって固定されていることを特徴とする。
さらに、本発明の山留め壁の施工方法は、山留め壁を構築する区画に予め鋼矢板を連続打設し、凹凸が連続する鋼矢板壁を構築する工程と、前記鋼矢板壁の一側面を掘削する工程と、前記鋼矢板壁の一側面に第1の型枠パネルを密接して並設する工程と、構築する基礎躯体の幅に合わせた位置に第2の型枠を並設する工程と、基礎躯体を構築するためにコンクリートを打設する工程と、前記鋼矢板壁の凹部に土砂を搬入し、埋め戻しする工程と、前記鋼矢板壁を引き抜く工程とを有することを特徴とする。
本発明によれば、打設された鋼矢板壁に対して、型枠パネルを容易に密接しつつ並設することができ、この型枠パネルが外型枠としての機能も有することから余分な開削を必要とせず、工事区画を十分に利用することができるため、工期縮減が可能となる。
本実施形態に係る山留め壁の断面を示した図である。 山留め壁の施工に使用する型枠パネルの構成を示した図である。 図2に示す型枠パネルのA−A断面を示した図である。 図4(a)は、鋼矢板と型枠パネルとの接続箇所を示した拡大図であり、図4(b)は、鋼矢板と型枠パネルとの接続状態を示した断面図である。 本実施形態に係る山留め壁の施工手順を示したフローチャートである。 図6(a)は、地中に鋼矢板を打設する状態を示した図であり、図6(b)は、所定の区画を掘削する状態を示した図である。 図7(a)は、鋼矢板壁に型枠パネルを設置する状態を示した図であり、図7(b)は、対面する型枠パネルを設置する状態を示した図である。 図8(a)は、コンクリートを打設し、埋め戻しする状態を示した図であり、図8(b)は、鋼矢板を引き抜く状態を示した図である。
次に、図面を参照して本実施形態に係る山留め壁の施工方法について説明する。
図1は、本実施形態に係る山留め壁の断面を示した図である。
図1に示すように、山留め壁は、予め地中に打設された鋼矢板100と、この鋼矢板100の地山部と反対側の面に密接して固定された型枠パネル201と、この型枠パネル201と対向する位置に立設された型枠パネル202とから構成されている。型枠パネル201,202は、予め地面にビス203で固定されたランナー204上に立設されており、上部には、型枠パネル201,202の水平性及び直線性を保持するためのキャップ205が設置されている。また、型枠パネル202の片面には、複数のパイプ206が水平方向に固定されており、さらに、コンクリートを打設した際の側圧を補助するためのサポート300が設置されている。
このようにして立設された型枠パネル201,202の間の空間に鉄筋を配設し、コンクリートを打設することにより、コンクリート構造物を構築することができる。なお、コンクリート構造物を構築した後、サポート300を撤去し、鋼矢板100を打設した空隙を埋め戻し、鋼矢板100を垂直方向に抜き取る。
次に、本実施形態の山留め壁の施工で使用する型枠パネル201,202の構成について説明する。
図2及び図3に示すように、鋼製の板形状の材質を、正面略方形状かつ断面略角波形状に折り曲げ、切断加工して成形した埋め殺し型の型枠パネルである。この型枠パネル201、202は、パネル鋼板を断面略角波形状に折り曲げることで、互いに平行な複数の凸条11が所定間隔で並設され、パネル自体の強度を補強している。また、パネル断面の等辺角波型に成形することで、特に表面又は裏面側からの力に対して優れた強度を発揮することができる。
なお、本実施形態において、この凸条11の形成方向を型枠パネル201,202の長さ方向とし、型枠パネル201,202においてその長さ方向に垂直な方向を幅方向とする。
図示するように、この凸条11は、上面31と、この上面31の両幅方向に連設されている2面の側面32とにより構成されている。また、各凸条11間の凹面には、所定間隔ごとに、複数の幅方向の断面凸状のリブ12と、幅方向の断面凹状の溝部16が凸条11に平行に繰り返し形成されている。
さらに、凸条11のパネル幅方向の両端、すなわち、リブ12とそのリブ12に隣接する溝部16との間の境界線上には、所定長の切込み13が、所定間隔で凸条11と平行に破線状に設けられている。この破線状の切込み13の列に沿って型枠パネル201,202を所定の角度に折り曲げることにより、型枠のコーナ部を形成することができる。ようになっている。また、この破線状の切込み13の列に沿って、型枠パネル201,202を正逆方向に繰り返し折り曲げることにより、型枠パネル201,202を所望のサイズに容易に切断することができるようになっている。
また、切込み13は、微小幅、所定長の型枠パネル201,202の表裏に貫通した切込みであり、土砂の埋め戻し、コンクリートの打設後に、その切込み13から液状のコンクリートや余分な水分が排出可能な程度にその切込み13の幅が形成されている。
また、凸条11の上面31側には、複数の蓋状の蓋部14が設けられている。この蓋部14を開蓋させることで、型枠パネル201,202に立設する際に使用する部材を貫通させたりすることができる。
次に、図4を参照して、鋼矢板100と型枠パネル201との固定方法について説明する。
図4(a)は、鋼矢板と型枠パネルとの接続箇所を示した拡大図であり、図4(b)は、鋼矢板と型枠パネルとの接続状態を示した断面図である。
図4(a)に示すように、本実施形態で使用される鋼矢板100は、U形鋼矢板であり、ウェブ部101と、ウェブ部101の両端に傾斜するようにフランジ部102が一体に設けられ、フランジ部102の先端には隣接する鋼矢板100と連結するための継手部103が設けられている。この鋼矢板100を交互に配列し、継手部103同士を連結することで、凹凸を繰り返す形状を形成しつつ地中で連続壁体を構築する。そして、型枠パネル201をウェブ部101に対して密着するように並設する。
この時、型枠パネル201と鋼矢板100で形成された凹状部分との間に空間が形成され、この空間内にさん木104を嵌め込む。さん木104は、空間内に嵌め込まれた際、フランジ部102にさん木104の角部が当接することで空間内に挟み固定される。そして、さん木104と型枠パネル201とを固定用ランナー105で固定する。この固定用ランナー105は、図4(b)に示すように略コ型形状であり、さん木104と型枠パネル201の上端に取り付けられているキャップ205にビス等で固定する。
なお、鋼矢板100と型枠パネル201との固定は、上述した方法に限らず、施工位置によっては、セパレータを用いて鋼矢板と型枠パネルとを固定してもよく、また、他の方法を用いてもよい。一方、鋼矢板100と型枠パネル201とは、必ずしも固定する必要もなく、単に、鋼矢板100に対して密接した状態で型枠パネル201が立設しててもよい。
ところで、鋼矢板100に対して型枠パネル201が接し、かつ固定されているが、型枠パネル201を構成するウェブ部101と溝部16のみが長さ方向に亘って鋼矢板100に密接している。そのため、鋼矢板100と型枠パネル201との接地面を少なくすることができ、鋼矢板100を地中から抜き取る際にもスムーズに抜くことができる。
また、鋼矢板100と型枠パネル201とを固定しているさん木104と固定用ランナー105とは、容易に取り外すことができ、鋼矢板100も容易に抜き取ることができるため、工期短縮を図ることができる。
次に、図5〜図8を参照して、本実施形態に係る山留め壁の施工手順について説明する。
図5は、本実施形態に係る山留め壁の施工手順を示したフローチャートであり、図6(a)は、地中に鋼矢板を打設する状態を示した図であり、図6(b)は、所定の区画を掘削する状態を示した図であり、図7(a)は、鋼矢板壁に型枠パネルを設置する状態を示した図であり、図7(b)は、対面する型枠パネルを設置する状態を示した図であり、図8(a)は、コンクリートを打設し、埋め戻しする状態を示した図であり、図8(b)は、鋼矢板を引き抜く状態を示した図である。
[鋼矢板の打設及び地山の掘削]
まず、図6(a)に示すように、構築する地下構造物の幅に合わせた位置に鋼矢板100を打設して鋼矢板壁100を構築する(ステップS100)。次に、図6(b)に示すように、地山を重機等(図示せず)で掘削し、掘削面を転圧する。この時、凹凸を繰り返す鋼矢板壁100のうち凹部に入り込んだ土砂を撤去する(ステップS101)。
[型枠パネルの並設]
次に、図7(a)に示すように、鋼矢板壁100に型枠パネル201を並設する。この時、予め地面にビス203で固定されたランナー204上に型枠パネル201を立設し、上部にキャップ205を設置する。そして、上述したように、鋼矢板壁100の凹状部分にさん木104を嵌め込み、固定用ランナー105でさん木104と型枠パネル201とを固定する。一方で、図7(b)に示すように、型枠パネル201と対面する位置にも同様に、予め設置されたランナー204上に型枠パネル202を立設させる(ステップS102)。そして、コンクリートを打設した際の側圧に対応するためのサポート300を型枠パネル202に設置する。
また、型枠パネル202の一面に対して水平方向にパイプ(図示せず)を設置してもよい。
[コンクリートの打設及び鋼矢板の引き抜き]
次に、図8(a)に示すように、型枠パネル201と、型枠パネル202との間に鉄筋等を配設した後、コンクリートを打設し、サポート300を撤去する(ステップS103)。そして、鋼矢板壁100の凹状部分の空隙に土砂を搬送して埋め戻しを行う(ステップS104)。次に、図8(b)に示すように、鋼矢板100を従来の方法によって重機を用いて引き抜く(ステップS105)。
以上の説明から、本実施形態に係る山留め壁及びその施工方法は、打設された鋼矢板壁に対して、型枠パネルを容易に密接しつつ並設することができる。また、この型枠パネルが外型枠としての機能も有するため、余分な開削をすることなく工事区画を十分に利用することができるため工期縮減を可能とする。また、型枠パネルが容易にサイズまたは変形が可能であるため、鋼矢板壁の構成に応じて並設を容易にする。また、鋼矢板壁を撤去する際、型枠パネルとの接触面積が小さいことから摩擦抵抗を少なくすることができ基礎躯体に損傷を与えることなく鋼矢板を引き抜くことができる。
100 鋼矢板
101 ウェブ部
102 フランジ部
103 継手部
104 さん木
105 固定用ランナー
201、202 型枠パネル
203 ビス
204 ランナー
205 キャップ
300 サポート

Claims (3)

  1. 予め鋼矢板を連続打設することで、凹凸を連続して形成する鋼矢板壁を構築し、該鋼矢板壁の一側面を掘削して構築する山留め壁であって、
    前記鋼矢板壁の一側面に対して平行方向に密接して並設される第1の型枠パネルと、
    構築する基礎躯体の幅に合わせた位置に並設する第2の型枠パネルとから構成されていることを特徴とする山留め壁。
  2. 前記型枠パネルは、密接する前記鋼矢板と固定部材によって固定されていることを特徴とする請求項1記載の山留め壁。
  3. 山留め壁を構築する区画に予め鋼矢板を連続打設し、凹凸が連続する鋼矢板壁を構築する工程と、
    前記鋼矢板壁の一側面を掘削する工程と、
    前記鋼矢板壁の一側面に第1の型枠パネルを密接して並設する工程と、
    構築する基礎躯体の幅に合わせた位置に第2の型枠を並設する工程と、
    基礎躯体を構築するためにコンクリートを打設する工程と、
    前記鋼矢板壁の凹部に土砂を搬入し、埋め戻しする工程と、
    前記鋼矢板壁を引き抜く工程とを有することを特徴とする山留め壁の施工方法。
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