JP2011084765A - 薄膜製造用焼結体ターゲットとその製造方法 - Google Patents

薄膜製造用焼結体ターゲットとその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】量産時の連続スパッタリング工程においても、非エロージョン部に堆積した付着膜がターゲット表面から剥がれにくく、ノジュールやアーキングの生じにくい焼結体ターゲットの提供。
【解決手段】酸化亜鉛を主成分とした薄膜製造用焼結体ターゲットにおいて、ベースとなる焼結体ターゲットのスパッタ面に、c軸配向した酸化亜鉛を主成分とした薄膜が膜厚20nm以上のシード膜として形成されていることを特徴とする薄膜製造用焼結体ターゲット;酸化亜鉛を主成分とした薄膜製造用焼結体ターゲットの製造方法において、ベースとなる焼結体ターゲットのスパッタ面に、組成が、該焼結体ターゲットの組成と実質的に同じであるシード膜形成用ターゲットを用いて、スパッタリング法で、c軸配向した酸化亜鉛を主成分としたシード膜を20nm以上の厚さに成膜することを特徴とする薄膜製造用焼結体ターゲットの製造方法などによって提供。
【選択図】なし

Description

本発明は、薄膜製造用焼結体ターゲットとその製造方法に関し、より詳しくは、量産時の連続スパッタリング工程においても、非エロージョン部に堆積した付着膜がターゲット表面から剥がれにくく、ノジュールやアーキングの生じにくい酸化亜鉛を主成分とした薄膜製造用焼結体ターゲットとその製造方法に関する。
薄膜形成技術であるスパッタリング法は、液晶表示装置や太陽電池をはじめとする、様々な工業製品の部品製造において広範に用いられている。スパッタリング法とは、一般に真空装置を用い、その内部に、目的の膜の成分となる原料(ターゲットと呼んでいる)を装入し、一旦高真空にした後に、スパッタリングガスとしてアルゴン等の希ガスを導入して、0.1〜10Pa程度のガス圧のもとで、薄膜を形成する基板を陽極とし、上記ターゲットを陰極とし、これらの間にグロー放電を起こしてアルゴンプラズマを発生させ、アルゴンイオンがターゲットに衝突することによって弾き飛ばされるターゲット成分の粒子(主に単原子)を基板上に堆積させて薄膜を形成する技術である。
上記ターゲットの形状は、円板形状もしくは角板形状であるものが多く、面積の大きい面がスパッタされるような形状となっている。一般に、直流電力を用いてグロー放電を発生させる成膜法は、直流スパッタリング法と呼ばれ、高周波電力を用いる成膜法は、高周波スパッタリング法と呼ばれている。直流スパッタリング法では、導電性ターゲットを用いる必要があるが、高周波スパッタリング法では、導電性ターゲットだけでなく、絶縁性ターゲットでも成膜が可能である。
ターゲットとして、導電体の母相の中に高抵抗粒子或いは絶縁性粒子が分散されたものを用いて、直流スパッタリングを行うと、高抵抗粒子或いは絶縁性粒子に帯電が生じてアーキングが発生して正常なグロー放電が不可能となってしまう場合がある。そのようなターゲットでも高周波スパッタリング法では安定に成膜することができる。しかし、直流スパッタリング法は、高周波スパッタリング法と比べて、成膜速度が速く、電源設備が安価であり、成膜操作が簡単であるなど利点が多いため、工業的には有用な方法であり、さまざまな薄膜製造に用いられていることから、ターゲットとしても、直流スパッタリング法で安定に利用できるものが求められている。
更にスパッタリング法の中でも、工業的にはマグネトロンスパッタリング法が主に用いられており、直流電源を用いる場合は直流マグネトロンスパッタリング法と呼ばれ、高周波電源を用いる場合は高周波マグネトロンスパッタリング法と呼ばれている。マグネトロンスパッタリング法とは、ターゲットの背面に極性の異なる磁石をターゲット裏面に対向配置することにより、ターゲット表面上部に磁界を発生させ、プラズマを一定箇所に収束させて安定してグロー放電を持続させながら成膜する方法である。成膜ガス圧が低い場合でも安定に放電が持続できるなどのメリットがある。ターゲットと基板との間に電界が印加されると、その電界方向に対して垂直方向の磁界強度が強い空間にプラズマが強く収束されて発生する。強いプラズマ内で発生したアルゴンなどの希ガスの陽イオンは、電界に引っ張られて陰極であるターゲットに衝突するため、プラズマが強い領域付近のターゲット表面は良くスパッタされるが、逆に、プラズマが発生しにくい領域のターゲット表面はスパッタされにくい。よくスパッタされるターゲット部分をエロージョンと呼び、スパッタされない部分を非エロージョンと呼ぶ。ターゲットは、エロージョン部分がスパッタされて掘りきるときに寿命(ライフエンド)となる。
スパッタリング法によって形成される薄膜は、各種電子部品の透明導電膜などに使われている。透明導電膜は、透明で電気を通す薄膜であり、薄膜太陽電池や、タッチパネル、液晶表示素子や有機EL発光素子などのフラットパネルディスプレイなど、広範に利用されている。上記透明導電膜として、主に、スズ添加酸化インジウム酸化物(In−Sn−O、ITOと略す)薄膜で代表される酸化インジウム系薄膜、アルミニウム添加酸化亜鉛(Zn−Al−O、AZOと略す)やガリウム添加酸化亜鉛(Zn−Ga−O、GZOと略す)で代表される酸化亜鉛系薄膜が一般的に用いられている。
これらの透明導電膜をスパッタリング法で作製するためには、通常、膜組成とほぼ同等組成の酸化物焼結体(ターゲットと呼ぶ)が原料として用いられている。例えば、ITO膜を形成するためには酸化インジウム粉末と酸化スズ粉末を混合して焼成して得たIn−Sn−O系酸化物焼結体がターゲットとして用いられる。また、AZO膜を得るためには、酸化亜鉛と酸化アルミニウムを混合して焼成して得たZn−Al−O系酸化物焼結体が用いられ、GZO膜を得るためには、酸化亜鉛と酸化ガリウムを混合して焼成して得たZn−Ga−O系酸化物焼結体がターゲットとして用いられている。上記透明導電膜は、これらの焼結体ターゲットを用いて、直流マグネトロンスパッタリング法、もしくは、高周波マグネトロンスパッタリング法で成膜することができる。
上記透明導電膜の中で、ITOなどの酸化インジウムを主成分とする透明導電膜は現状幅広く用いられているが、In金属の資源枯渇の問題があり、価格も高価であるのに対し、酸化亜鉛を主成分とする透明導電膜は、資源枯渇の問題がないだけでなく、価格も安価であることから、工業的には将来有望な材料とされている。
マグネトロンスパッタリング法では、ターゲットのエロージョン領域から発生したスパッタ粒子は、大部分は基板に向かって飛行して基板上に堆積して膜が形成される。しかし、残りは、ターゲット−基板間に存在するガス粒子(Arなど)と衝突して、ターゲット表面に戻ってくる(スパッタバックと呼ぶ)。ターゲットの非エロージョン部では、これらの戻ってきた粒子(スパッタバック粒子と呼ぶ)が堆積されて膜(スパッタバック膜と呼ぶ)が形成される。
量産時、スパッタリング法で薄膜を製造する場合は、ターゲットのエロージョン部の掘れ深さがターゲットの厚みに近くなるまで、安定して成膜できることが製造コスト低減のために有効となる。しかし、ターゲットを用いて、例えば、マグネトロンスパッタリング法で薄膜を製造すると、スパッタバックにより非エロージョン部に堆積した付着膜(スパッタバック膜)が厚くなり、付着膜がターゲット表面から剥離すると粉塵となる場合がある。この傾向は酸化亜鉛を主成分とした焼結体ターゲットの場合に特に顕著である。上記粉塵は、エロージョン部に付着するとアーキングの原因となり、正常な成膜が行われず、得られた膜に欠陥が生じてしまう。また、エロージョン部に付着した粉塵は、スパッタされにくい突起物(ノジュールと呼ばれる)の発生要因となり、該突起物は高抵抗な場合が多く、これら高抵抗層でエロージョン部が覆われていくと、アーキングの発生や成膜速度の低減につながってしまい安定な膜製造の妨げとなってしまう。従って、非エロージョン部に堆積した付着膜が、ターゲット表面から剥がれにくいと都合がよい。
これまで、ターゲットのエロージョン部の掘れ深さに伴う問題を改善するために、ターゲットの表面を処理するか膜を付着させる技術が提案されている。
例えば、特許文献1では、アルゴンガスに窒素を添加したガス中でチタン金属板からなるターゲットをスパッタリングさせて窒化チタン(TiN) 薄膜を堆積する、いわゆる反応性スパッタリングの場合.非エロージョン領域に堆積した物質が剥離しやすいことに着目して、ターゲット表面におけるエロージョン部分以外の表面が粗面化されているか、あるいは、該スパッタリング装置に導入される原料ガスと該ターゲット構成材料との反応生成物と同じ物質により被覆されているターゲットを用いることが提案されている。
ところが、その一方で、反応性スパッタリングではなく、ターゲット物質をそのまま被処理基板表面に堆積して所望の薄膜を形成する場合には、エロージョン領域から非エロージョン領域への物質移動が生じても、非エロージョン領域とそこに堆積する物質とが同一であるため、相互の密着性がよく、特に問題は生じないとしている。
また、特許文献2には、Co合金(Co−Cr−Ta等)をターゲット材とし、基板上に下地層を形成後、この下地層上にスパッタリング装置を用いて磁性層を成膜し、更に磁性層の表面に保護層を形成する磁気記録媒体の製造方法が示され、ターゲットの表面となる部分を、内部と同質材料からなる熔射膜で構成することが提案されている。
これによれば、スパッタリング装置内の磁性層用ターゲットから弾き出された原子の一部が、ターゲットに再付着して膜を形成し、この再付着膜がターゲットから剥離すると、塵となって浮遊し、基板表面に付着し、製造した磁気記録媒体における欠陥発生率が高いという課題に対して、前記熔射膜の表面が粗いことから、再付着膜のターゲットからの剥離頻度を低くでき、しかもターゲットの表面となる部分を内部と同質材料からなる熔射膜で構成するため、ターゲット材に不純物は存在せず、高純度の膜形成が可能になると記載されている。
さらに、特許文献3では、インジウム、錫からなる合金金属ターゲットの表面にITOを積層して2層構造としたスパッタリング用ターゲットが提案され、該ITOは、インジウム、錫の合金金属ターゲットと同じ金属組成比の酸化物で、かつ、厚み0.1〜2mmのITO焼結体をボンディングするか、または、該ITOがインジウム、錫の合金金属ターゲットと同じ金属組成比の酸化物で0.1〜100μm厚さのITO膜を蒸着してなるものであり、該ITOの積層箇所がスパッタ成膜時のエロージョンエリア以外であるスパッタリング用ターゲットとすることにより、得られるITO膜質が均一で、しかも耐久力に優れており、ITO焼結体ターゲットを用いた時と同様の生産性が実現できるとしている。
このスパッタリング用ターゲットは、高分子フィルムを基板として用いた時でも、ITO膜の成膜温度を低温にしなくてもよく、成膜中に高分子フィルムからガスが発生せず、基板可とう性があっても曲げ強度が問題にならないだけでなく、焼結体ターゲットでありながらインジウム−錫合金ターゲットと同様に十分な耐久性が得られるとしている。
上記のように合金製あるいはITOターゲットでは、ターゲットのエロージョン部の掘れ深さに起因した問題の解決手段が提案されているが、酸化亜鉛を主成分とした焼結体ターゲットについては、これまで具体的な提案がなされていない。
酸化亜鉛を主成分とした焼結体ターゲットの場合には、例えば、マグネトロンスパッタリング法で薄膜を製造すると、スパッタバックにより非エロージョン部に堆積した付着膜(スパッタバック膜)が厚くなり、付着膜がターゲット表面から剥離すると著しい量の粉塵となり、この粉塵がエロージョン部に付着するとアーキングの原因となり、正常な成膜が行われず、得られた膜に欠陥が生じてしまう。また、エロージョン部に付着した粉塵は、スパッタされにくい突起物(ノジュールと呼ばれる)の発生の要因となり、該突起物は高抵抗な場合が多く、これら高抵抗層でエロージョン部が覆われていくと、アーキングの発生や成膜速度の低減につながってしまい安定な膜製造の妨げとなっていた。
そのため、酸化亜鉛を主成分とした焼結体ターゲットに上記特許文献1〜3の技術を適用しても、マグネトロンスパッタリング法で薄膜を製造すると、スパッタバック膜が厚く付着し、この膜がターゲット表面から剥離して多量の粉塵が発生し、アーキングの原因となり、正常な成膜を行うことができない。
以上のように、酸化亜鉛を主成分とした焼結体ターゲットでは、ターゲットのエロージョン部の掘れ深さに起因した問題について十分な検討がなされておらず、これら課題を解決した焼結体ターゲットの出現が望まれていた。
特開平2−236277号公報 特開平10−237637号公報 特開平9−324263号公報
本発明の目的は、酸化亜鉛を主成分とした薄膜製造用焼結体ターゲットにおいて、量産時の連続スパッタリング工程においても、非エロージョン部に堆積した付着膜がターゲット表面から剥がれにくく、ノジュールやアーキングの生じにくい焼結体ターゲットを提供することにある。
本発明者等は、上記スパッタバック膜が剥離するメカニズムについて鋭意検討し、まず、スパッタバック膜は、ターゲットエロージョン部から弾き飛ばされたスパッタ粒子が、スパッタリングガス分子と衝突する毎に飛行方向を変え、最終的にターゲット表面の非エロージョン部に戻って付着して形成されたものであり、スパッタリングガス分子と衝突を繰り返してターゲット表面に戻ってきたスパッタ粒子が堆積したものであるため、一般的に、膜密度が低く、特に表面凹凸のある下地のターゲット表面に対する物理的吸着力が弱くて低付着膜となることを究明し、次に、下地となる、酸化亜鉛を主成分とした焼結体ターゲットは、ターゲットを構成する結晶粒はランダム配向であり、その上に低速で堆積した、酸化亜鉛を主成分としたスパッタバック膜は、堆積速度が遅いため、下地結晶粒の結晶格子の影響を受けて堆積し、結果として結晶配向は、ランダム配向となることを究明した。さらに、該スパッタバック膜が厚くなると、膜応力が大きくなり、結晶配向はランダム配向であるため、膜厚増加による膜応力の増加は顕著であって、膜応力が増加するとターゲット表面から剥離しやすくなること、さらに、スパッタバック膜の付着力は、スパッタバック膜の結晶構造とターゲットの結晶構造が異なれば格子整合がとれず化学的吸着力が劣り、付着力が更に弱くなるため剥離しやすくなることも究明した。
そして、このスパッタバック膜の剥離メカニズムを念頭において多くの実験を行い、酸化亜鉛を主成分とした薄膜形成用焼結体ターゲットの表面に、膜が緻密で、物理的吸着力の高い、酸化亜鉛を主成分とした薄膜で、その結晶配向がc軸配向となっている膜をシード膜として形成しておくと、該シード膜の上に堆積したスパッタバック膜が剥離しにくくなるという新規な知見を得て、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、酸化亜鉛を主成分とした薄膜製造用焼結体ターゲットにおいて、ベースとなる焼結体ターゲットのスパッタ面に、c軸配向した酸化亜鉛を主成分とした薄膜が膜厚20nm以上のシード膜として形成されていることを特徴とする薄膜製造用焼結体ターゲットが提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、シード膜の膜厚が、20〜1000nmであることを特徴とする薄膜製造用焼結体ターゲットが提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、薄膜製造用焼結体ターゲットが、ガリウム、アルミニウム、マグネシウム、チタン、スズ、又はニオブから選ばれる1種以上の添加元素を含有していることを特徴とする薄膜製造用焼結体ターゲットが提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、シード膜が、スパッタリング法で形成されることを特徴とする薄膜製造用焼結体ターゲットを提供する。
さらに、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、シード膜の膜組成が、ベースとなる焼結体ターゲットの組成と実質的に同じであることを特徴とする薄膜製造用焼結体ターゲットが提供される。
一方、本発明の第6の発明によれば、酸化亜鉛を主成分とした薄膜製造用焼結体ターゲットの製造方法において、ベースとなる焼結体ターゲットのスパッタ面に、組成が、該焼結体ターゲットの組成と実質的に同じであるシード膜形成用ターゲットを用いて、スパッタリング法で、c軸配向した酸化亜鉛を主成分としたシード膜を20nm以上の厚さに成膜することを特徴とする薄膜製造用焼結体ターゲットの製造方法が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第6の発明において、薄膜製造用焼結体ターゲットが、ガリウム、アルミニウム、マグネシウム、チタン、スズ、又はニオブから選ばれる1種以上の添加元素を含有することを特徴とする薄膜製造用焼結体ターゲットの製造方法が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第6又は7の発明において、ベースとなる焼結体ターゲットが、平均粒径1.5μm以下の原料粉末を成形し、成形物を常圧焼成法によって焼結するか、あるいは前記原料粉末をホットプレス法によって成形し焼結することにより得られることを特徴とする薄膜製造用焼結体ターゲットの製造方法が提供される。
さらに、本発明の第9の発明によれば、第6〜8のいずれかの発明において、シード膜が、成膜ガス圧0.1〜1.5Pa、かつ堆積速度45nm/分以上でスパッタリング成膜されることを特徴とする薄膜製造用焼結体ターゲットの製造方法が提供される。
本発明の薄膜製造用焼結体ターゲットは、酸化亜鉛を主成分とした薄膜製造用焼結体ターゲットにおいて、ベースとなる焼結体ターゲットのスパッタ面に、c軸配向した酸化亜鉛を主成分とした特定の厚さの薄膜がシード膜として形成されており、該シード膜は、酸化亜鉛を主成分とした薄膜で、その結晶配向がc軸配向となっているため、膜が緻密で、物理的吸着力が高いことから該シード膜の上に堆積したスパッタバック膜は剥離しにくい。そのため量産時の連続スパッタリング工程において、非エロージョン部に堆積した付着膜がターゲット表面から剥がれにくく、ノジュールやアーキングの生じにくい焼結体ターゲットとして使用することができる。
したがって、酸化亜鉛を主成分とする薄膜の高速かつ安定生産を実現することができ、製造コストの低減につながり、この薄膜は透明導電膜として広範に用いることができるため工業的に極めて有用といえる。
また、本発明の薄膜製造用焼結体ターゲットの製造方法は、ベースとなる酸化亜鉛を主成分とした焼結体ターゲットのスパッタ面に、組成が、該焼結体ターゲットの組成と実質的に同じであるシード膜形成用ターゲットを用いて、特定のスパッタリング条件で、c軸配向した酸化亜鉛を主成分としたシード膜を成膜するため、該シード膜の上に堆積したスパッタバック膜は緻密で、物理的吸着力の高い薄膜で剥離しにくくなり、量産時の連続スパッタリング工程に用いても、非エロージョン部に堆積した付着膜がターゲット表面から剥がれにくく、ノジュールやアーキングの生じにくい焼結体ターゲットを容易に製造することができるから、工業的に極めて有用である。
本発明(実施例2)において、膜厚500nmのシード層のみを形成したときの、シード層のみのX線回折パターンである。 本発明(実施例2)において、膜厚500nmのシード層の上に、膜厚500nmほどスパッタバック膜を堆積したときの、スパッタバック膜のみのX線回折パターンである。 比較用のシード層を形成しない焼結体の上に、スパッタバック膜を500nmほど堆積させたとき(比較例2)のスパッタバック膜のみのX線回折パターンである。
本発明の薄膜製造用焼結体ターゲットとその製造方法について、以下に詳細に説明する。
1.薄膜形成用焼結体ターゲット
本発明の薄膜形成用焼結体ターゲットは、酸化亜鉛を主成分とした、ベースとなる焼結体ターゲットのスパッタ面に、c軸配向した酸化亜鉛を主成分とした薄膜が膜厚20nm以上のシード膜として形成されていることを特徴としている。
本発明において、ベースとなる焼結体ターゲットとは、薄膜形成用焼結体ターゲットのベース材料であって、後述する方法で製造された酸化亜鉛を主成分とした焼結体を加工したものである。酸化亜鉛を主成分とする以外に特に制限はないが、緻密で密度が5.5g/cm以上の焼結体が好ましい。
例えば、アルミニウムを添加した酸化亜鉛の焼結体ターゲットの場合、ターゲット組織は、ウルツ鉱型結晶構造のアルミニウムが固溶した酸化亜鉛(ZnO:Al)の相とスピネル型結晶構造のアルミニウム酸亜鉛(ZnAl)の相で構成される。また、ガリウムを添加した酸化亜鉛の焼結体ターゲットの場合、ターゲット組織は、ウルツ鉱型結晶構造のガリウムが固溶した酸化亜鉛の相と亜鉛とガリウムの複合化合物(ZnGa)の相で構成される。また、チタンを添加した酸化亜鉛の焼結体ターゲットの場合、ターゲット組織は、ウルツ鉱型結晶構造のチタンが固溶した酸化亜鉛の相と亜鉛とチタンの複合化合物(ZnTiO)の相で構成される。
ベースとなる焼結体ターゲットの大きさは特に制限されないが、通常、直径が100〜300mm、厚さが3〜8mm程度である。
そして、ベースとなる焼結体ターゲットのスパッタ面に、c軸配向した酸化亜鉛を主成分としたシード膜が特定の厚さに成膜されている。このシード膜は、以下に詳述するように、スパッタバックによる膜ではなく、専用のシード膜形成用焼結体ターゲットを用いてスパッタリングを行い、高運動エネルギーのスパッタ粒子の高速堆積によって、緻密で物理的吸着力の高い膜として、表面に形成したものである。
スパッタ面の表面粗度Raは、特に制限されないが、0.3〜12μmであり、0.5〜10μmが好ましい。表面粗度Raがこの範囲内であれば、c軸配向した酸化亜鉛を主成分としたシード膜が得られやすい。
(1)シード膜の必要性
焼結体ターゲットの表面をこのような構造にした理由は、スパッタリングの際、スパッタバック膜がターゲットから剥離しにくくするためである。
上記スパッタバック膜は、ターゲットエロージョン部から弾き飛ばされたスパッタ粒子が、スパッタリングガス分子と衝突する毎に飛行方向を変え、最終的にターゲット表面の非エロージョン部に戻って付着して形成されたものである。よって成膜ガス圧が高いほどスパッタリングガス粒子との衝突が多くなり、スパッタバック膜の堆積速度は速くなる。
一般的に、スパッタ粒子の運動エネルギーが高いほど、堆積して膜を形成する際に、マイグレーションの勢いも良好となり、膜の緻密化と下地に対する物理的密着力が増強する。また、スパッタ粒子は、その運動エネルギーを、スパッタリングガス分子と衝突する毎に失う。
スパッタバック膜は、上述のように、スパッタリングガス分子と衝突を繰り返してターゲット表面に戻ってきたスパッタ粒子が堆積したものであるため、一般的に、膜密度が低く、特に表面凹凸のある下地のターゲット表面に対する物理的吸着力が弱く付着力の低い膜となる。
下地となる酸化亜鉛を主成分とした焼結体ターゲットにおいては、該ターゲットを構成する結晶粒はランダム配向であり、その上に低速で堆積した、酸化亜鉛を主成分としたスパッタバック膜は、堆積速度が遅いため、下地結晶粒の結晶格子の影響を受けて堆積し、結果として結晶配向は、ランダム配向となる。
薄膜を成膜する時間が長くなり、スパッタバック膜も厚くなると、膜応力が大きくなる。特に結晶配向はランダム配向であるため、膜厚増加による膜応力の増加は顕著である。膜応力が増加するとターゲット表面から剥離しやすくなる。また、膜応力は膜の結晶性にも依存し、結晶膜ほど膜応力は高くなりやすく、膜は剥離しやすくなる。さらに、スパッタバック膜の付着力は、スパッタバック膜の結晶構造とターゲットの結晶構造が異なると、膜―ターゲット間の格子整合がとれず化学的吸着力が劣り、付着力が更に弱くなるため剥離しやすくなる。
例えば、アルミニウムを添加した酸化亜鉛の焼結体ターゲットの場合、ターゲット組織は、ウルツ鉱型結晶構造のアルミニウムが固溶した酸化亜鉛(ZnO:Al)の相とスピネル型結晶構造のアルミニウム酸亜鉛(ZnAl)の相で構成されるが、スパッタバック膜は、全てウルツ鉱型結晶構造の酸化亜鉛(ZnO:Al)の相で構成される。ターゲット表面に存在するアルミニウム酸亜鉛相の表面に形成された酸化亜鉛のスパッタバック膜は、格子整合がとれない分だけ、化学的吸着力が劣り付着力が更に弱くなり、剥離しやすくなるといえる。上記のように、物理的吸着力と化学的吸着力が共に劣ったスパッタバック膜は、応力が増大すると非常に剥離しやすくなると考えられる。
ところが、酸化亜鉛を主成分とした薄膜形成用焼結体ターゲットの場合、ベースとなる薄膜形成用焼結体ターゲットの表面に、膜が緻密で、物理的吸着力の高い、c軸配向膜をシード膜として形成しておくと、シード膜の上に堆積したスパッタバック膜は剥離しにくくなる。
(2)シード膜のc軸配向について
一般に、スパッタリング法などのエネルギーの高い成膜方法で、基板上に薄膜を形成すると、膜は結晶軸が一方向に揃った構造、すなわち配向性を示す。
基板がガラスなどの非晶質物質であると、その上に形成される膜は、膜自体がなるべく緻密になるような配向をとる。基板が結晶体であれば、堆積速度が遅い場合は、下地の格子配列の影響を受けて格子整合された配向をとり、逆に堆積速度が速い場合は、下地との格子整合性の影響を受けずに、ガラス基板上の成長と同様の膜自体が緻密になるような配向をとる。
ガラス基板上に形成した酸化亜鉛の薄膜は、その結晶の異方性から、膜自体はc軸に配向しやすい傾向を持つ。つまり、c軸がガラス面に垂直に配向することで最も緻密な膜となるのである。
酸化亜鉛の焼結体を研削した面は、構成する結晶粒の結晶軸の方向がランダムである。よって酸化亜鉛を主成分とした焼結体ターゲットのスパッタ面は結晶配向しておらず、各結晶粒子の結晶軸はランダムに向いている。そのような酸化亜鉛の焼結体ターゲットのスパッタ面に、スパッタリング法で酸化亜鉛膜を堆積させるとき、ターゲットのスパッタ面に飛び込んでくるスパッタ粒子の堆積速度が遅い場合は、下地焼結体のランダム配向の結晶格子の影響を受けて、シード膜もランダムに配向してしまう。それに対して、堆積速度が速い場合は、ランダム配向した結晶格子の影響を受けにくくなり、上記したように、シード膜は、膜自体が採りやすいc軸配向をとる。
後で詳述するように、本発明の酸化亜鉛を主成分とした焼結体ターゲットにおいて、シード膜の堆積速度が45nm/分以上では、結晶基板の影響を受けずにシード膜がc軸配向しやすい。しかし、堆積速度が45nm/分未満であると結晶基板の影響を受けた配向となり、下地基板が焼結体であればシード膜はランダム配向となる。
c軸配向の酸化亜鉛を主成分としたシード膜は、スパッタリング成膜時、膜上にスパッタバック膜が堆積するが、厚膜となっても剥がれにくい。
というのは、スパッタバック膜は、堆積速度が遅いため、下地の結晶の影響を受けて堆積しやすい特徴があり、c軸配向の酸化亜鉛を主成分としたシード膜の上に堆積されるスパッタバック膜は、下地のシード層からの格子整合性の影響を受けてc軸配向することになるからである。c軸配向の酸化亜鉛を主成分としたシード膜上のスパッタバック膜は、c軸配向の状態で堆積が続くので、結晶粒がランダム配向している焼結体の上に直接堆積された結晶粒がランダム配向のスパッタバック膜と比べて、厚膜化しても内部応力が増加しないことになる。
これに対して、シード膜がc軸配向でなく、焼結体下地の影響を受けてランダム配向で形成された場合は、その上に堆積されるスパッタバック膜もランダム配向となりやすいため、厚膜化したときに剥がれやすく、効果がない。よって、本発明では、c軸配向した酸化亜鉛を主成分としたシード膜を形成することが重要である。
(3)シード膜の膜厚
本発明において、シード膜の膜厚は、20nm以上であり、20〜1000nmであることが好ましい。シード膜が20nm未満であるとターゲット表面を覆うことができないため効果的でなく、また、シード膜が厚くなりすぎると、シード膜形成の製造コストが嵩むため、1000nm以下が実用的である。シード膜の好ましい膜厚は、20〜800nmであり、より好ましい膜厚は、20〜500nmである。
(4)添加元素
本発明の薄膜製造用焼結体ターゲットは、酸化亜鉛を主成分とするものであるが、これに、ガリウム、アルミニウム、マグネシウム、チタン、スズ、又はニオブから選ばれる1種以上の添加元素を含有した金属酸化物焼結体において、特に有効である。添加元素の含有量は、1〜10重量%が好ましく、3〜6重量%がより好ましい。添加元素が、1重量%以上含有されると、膜の導電性が改善されるだけでなく、焼結体自体の導電性も改善されて成膜時に放電が安定するなどの効果がある。ただし、10重量%を超えて含有されると、焼結体が高密度化しないだけでなく、膜の導電性がさほど改善されないなどの点で好ましくない。
また、本発明の薄膜形成用焼結体ターゲットを実際に膜生産に使用する際には、シード膜もスパッタされて膜に取り込まれることも考慮すると、シード膜の膜組成は、ベースとなる薄膜製造用焼結体ターゲットの組成と実質的に同じであることが好ましい。シード膜に、薄膜製造用焼結体ターゲットの構成元素と異なる元素が含まれると、膜の生産時に膜中に異種元素が含まれてしまい、本来、特性の異なった膜が得られてしまうからである。
上述のように、従来の酸化亜鉛を主成分とした焼結体ターゲットの表面は凹凸が大きいことと、該焼結体ターゲットの表面は、スパッタバック膜とは結晶構造の異なる結晶相の粒子が表面を構成しているため、スパッタバック膜は、物理的密着が弱いため、付着力が弱くなる。これに対して、本発明では、上記シード膜の上に形成されたスパッタバック膜は、表面の凹凸も低減されていて結晶構造も同じであるため、化学的吸着力が高く、付着力が強くなっている。よって、シード膜の上に堆積したスパッタバック膜は、厚膜化しても剥離しにくいのである。
2.薄膜形成用焼結体ターゲットの製造方法
本発明の酸化亜鉛を主成分とした薄膜製造用焼結体ターゲットの製造方法は、ベースとなる焼結体ターゲットのスパッタ面に、組成が、該焼結体ターゲットの組成と実質的に同じであるシード膜形成用ターゲットを用いて、スパッタリング法で、c軸配向した酸化亜鉛を主成分とした特定の厚さのシード膜を成膜することを特徴とする。
すなわち、まず、ベースとなる焼結体ターゲットを用意し、次に、そのスパッタ面に、シード膜形成用ターゲットを用いて、スパッタリング法で、c軸配向した酸化亜鉛を主成分としたシード膜を20nm以上の厚さに成膜する。
(1)ベースとなる焼結体ターゲットの製造方法
本発明においてベースとなる焼結体ターゲット(以下、単に焼結体ともいう)の製造方法は、酸化亜鉛粉末を原料粉末として用い、または、この原料粉末に、さらに、ガリウム、アルミニウム、マグネシウム、チタン、スズ、又はニオブから選ばれる1種以上の金属元素の酸化物粉末を添加して混合した後、混合粉末を成形し、成形物を常圧焼成法によって焼結する。あるいは上記混合粉末をホットプレス法によって成形し焼結する。上記原料粉末の平均粒径は1.5μm以下とし、より好ましくは1μm以下とする。
上記したように、原料粉末の平均粒径を1.5μm以下とすることにより、得られる焼結体の組織は、スパッタリングされやすく、掘れ残りが少なくなる。このためスパッタリングを続けても、ターゲット表面で大きな残留物が発生せず、ノジュールの起点となって、アーキングなど異常放電の原因となることはない。
また、焼結体に添加される元素が、ガリウム、アルミニウム、マグネシウム、チタン、スズ、又はニオブからなる金属元素より選ばれる一種以上の金属元素の酸化物粉末である場合も、酸化亜鉛の場合と同様で、平均粒径1.5μm以下、より好ましくは1μm以下の原料粉末を用いることが必要である。
本発明のベースとなる焼結体ターゲットを得るためには、上記平均粒径を有する酸化亜鉛粉末単独、あるいは酸化亜鉛粉末と酸化ガリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化スズ、又は酸化ニオブ粉末より選ばれる一種以上を含む原料粉末を混合した後、混合粉末を成形し、成形物を常圧焼結法によって焼結するか、あるいは混合粉末をホットプレス法によって成形し焼結する。常圧焼結法は、簡便かつ工業的に有利な方法であって好ましい手段であるが、必要に応じてホットプレス法も用いることができる。
(2)常圧焼結法
本発明の材料となる焼結体を得るために常圧焼結法を用いる場合、まず成形体を作製する。上記原料粉末を樹脂製ポットに入れ、バインダー(例えば、PVAを用いる)などともに湿式ボールミル等で混合する。ボールミル混合は18時間以上行うことが好ましい。この際、混合用ボールとしては、硬質ZrOボールを用いればよい。混合後、スラリーを取り出し、濾過、乾燥、造粒を行う。その後、得られた造粒物を、冷間静水圧プレスで9.8MPa(0.1ton/cm)〜294MPa(3ton/cm)程度の圧力をかけて成形し、成形体とする。
常圧焼結法の焼結工程では、酸素の存在する雰囲気において所定の温度範囲に加熱する。温度範囲は、1250〜1650℃、より好ましくは焼結炉内の大気に酸素ガスを導入する雰囲気において1300〜1500℃で焼結する。焼結時間は10〜30時間であることが好ましく、より好ましくは15〜25時間である。
焼結温度が低すぎると焼結反応が十分進行しない。特に密度5.5g/cm以上の高密度の焼結体を得るためには、1250℃以上が望ましい。
焼結雰囲気は、酸素の存在する雰囲気が好ましく、焼結炉内の大気に酸素ガスを導入する雰囲気であれば、なお一層好ましい。焼結時の酸素の存在によって、焼結体の高密度化が可能となる。焼結温度まで昇温する場合、焼結体の割れを防ぎ、脱バインダーを進行させるためには、昇温速度を0.2〜5℃/分の範囲とすることが好ましい。また、必要に応じて、異なる昇温速度を組み合わせて、焼結温度まで昇温してもよい。昇温過程において、脱バインダーや焼結を進行させる目的で、特定温度で一定時間保持してもよい。焼結後、冷却する際は酸素導入を止め、1000℃までを0.2〜10℃/分、0.2〜5℃/分が好ましく、特に、0.2℃/分以上1℃/分未満の範囲の降温速度で降温することが好ましい。
(3)ホットプレス法
本発明において、焼結体の製造にホットプレス法を採用する場合、混合粉末を不活性ガス雰囲気又は真空中において、2.45〜29.40MPaの圧力下、700〜950℃で1〜10時間成形し焼結する。ホットプレス法は、上記の常圧焼結法と比較して、焼結体の原料粉末を還元雰囲気下で成形、焼結するため、焼結体中の酸素含有量を低減させることが可能である。
次に、ホットプレス法により、本発明に係る焼結体を得る場合の製造条件の一例を挙げる。すなわち、まず、平均粒径1.5μm、より好ましくは1μm以下の酸化亜鉛粉末単独、あるいは酸化亜鉛粉末と酸化ガリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化スズ、又は酸化ニオブ粉末より選ばれる一種以上を、所定の割合になるように調合する。
調合した原料粉末を、常圧焼結法のボールミル混合と同様、好ましくは混合時間を18時間以上とし、十分混合し造粒までを行う。次に、造粒した混合粉末をカーボン容器中に給粉してホットプレス法により焼結する。焼結温度は700〜950℃、圧力は2.45MPa〜29.40MPa(25〜300kgf/cm)、焼結時間は1〜10時間程度とすればよい。ホットプレス中の雰囲気は、アルゴン等の不活性ガス中または真空中が好ましい。より好ましくは、焼結温度は800〜900℃、圧力は9.80〜29.40MPa(100〜300kgf/cm)、焼結時間は1〜3時間とすればよい。
次に、この薄膜製造用焼結体ターゲットのベースとなる焼結体を、所定の大きさに加工し、スパッタ面をカップ砥石で磨き、無酸素銅製などのバッキングプレートに金属インジウムを用いてボンディングして、ターゲットとする。本発明では、こうして複数枚のターゲットを製造し、そのうちの一枚をシード膜形成用ターゲットとし、残り全てを薄膜製造用焼結体ターゲットとすることができる。
(4)シード膜の形成
その後、得られた薄膜製造用焼結体ターゲットと、シード膜形成用ターゲットを別々にスパッタリング装置に装入する。スパッタリング装置は、直流マグネトロンスパッタリング装置が使用できるが、これに限定されるわけではない。例えば、パルス直流電源を装備した直流マグネトロンスパッタリング装置は、ターゲットを構成する物質に高抵抗相が含まれている場合など、高い直流電力を印加すると、帯電してしまいアークが発生して放電が安定しなくなるような場合に対して、パルス電源を装備して直流電源に重畳印加して直流スパッタリング成膜を行うと、アークの発生を抑制することができ好ましい。ただし、周波数が高いほどアーク発生の抑制効果は高まるが、周波数を高めると成膜速度が低下するなどのデメリットもある。
その後、Arなどの不活性ガスを装置に流通してスパッタリングを行う。スパッタ面への付着力が高く、高密度のc軸配向のシード膜を形成するには、スパッタリングガス分子との衝突回数を極力少なくして、高運動エネルギーを有した状態のスパッタ粒子を高速に堆積させて形成することが有効である。
つまり、シード膜形成用ターゲットのスパッタ面と薄膜製造用焼結体ターゲットの被成膜面が対向した状態で、静止もしくは通過しながら、45nm/分以上の高速でスパッタリング成膜することが有効である。
シード膜形成用ターゲットのスパッタ面と薄膜製造用焼結体ターゲットの被成膜面が対向した状態でスパッタリング成膜を行うと、シード膜形成のためのスパッタ粒子の運動エネルギーが低減されず緻密で高付着力の膜が得られやすい。上限は特に制限されないが、300nm/分以下が好ましい。
また、シード膜形成時のガス圧も重要であり、0.1〜1.5Paのガス圧で成膜することが、緻密で高付着力のシード膜を形成するのに効果的である。0.1Pa未満では、放電が安定せず、良質のシード膜が形成されず、1.5Paを超えると、スパッタ粒子のガス分子との衝突回数が多くなり、運動エネルギーの低下に伴って緻密なシード膜が得られない。0.3〜1.0Paのガス圧がより好ましい。
また堆積速度も重要であり、c軸配向のシード膜をランダム配向した焼結体の表面に得るためには、45nm/分以上で高速堆積することが重要である。45nm/分未満では、下地焼結体表面の格子整合の影響を受けて膜が堆積成長するため、ランダム配向をとりやすくなるので好ましくない。
以下、実施例、比較例を用いて、本発明の薄膜製造用焼結体ターゲットを具体的に示すが、本発明は、これらによって何ら限定されるものではない。
(実施例1〜3、比較例1〜2)
<ターゲット焼結体の作製>
平均粒径が1μm以下の酸化亜鉛粉末と平均粒径が1μm以下の酸化アルミニウム粉末を原料粉末として用い、重量比で97:3(酸化亜鉛:酸化アルミニウム)の割合で調合し、水と共に樹脂製ポットに入れて、湿式ボールミルで混合した。この際、硬質ジルコニアボールを用いて、混合時間を18時間とした。混合後、スラリーを取り出し、ろ過、乾燥、造粒した。
造粒物を冷間静水圧プレスで3ton/cmの圧力をかけて成形した。
次に、この成形体を次の手順で焼結した。炉内容積0.1m当たりに5リットル/分の割合で、焼結炉内の大気に酸素を導入する雰囲気で、1250℃で15時間焼結した。この際、1℃/分で昇温し、焼結後の冷却の際は酸素導入を止めて、1000℃までの10℃/分で降温した。
得られた焼結体の端材を粉砕し、粉末X線回折測定を実施したところ、ウルツ鉱型の酸化亜鉛結晶相に起因する回折ピークの他、亜鉛とアルミニウムの複合化合物(ZnAl)に起因する回折ピークが観察された。また、EPMAによるこの焼結体の局所分析から、酸化亜鉛相にはアルミニウムが固溶していることが明らかとなった。
この焼結体を、直径152mm、厚み5mmの大きさに加工し、スパッタ面をカップ砥石で磨いた。磨いた後に測定した焼結体の密度は5.7g/cmであり、比抵抗は6×10−3Ωcm、スパッタ面の表面粗度Raは0.5μmであった。
このように加工した焼結体を、無酸素銅製バッキングプレートに金属インジウムを用いてボンディングして、ターゲットを得た。このようなターゲットを6枚作製し、1枚はシード膜形成用ターゲットとし、残りの5枚は薄膜製造用焼結体ターゲット(実施例1〜3、比較例1〜2)とした。
<シード膜形成>
パルス直流電源(ENI社製RPG−50)を装備した直流マグネトロンスパッタリング装置(トッキ製SPF503K)の非磁性体ターゲット用カソードに、シード膜形成用ターゲットを装着し、その対向面側の基板ホルダーに薄膜製造用焼結体ターゲットを配置し、シード膜形成用ターゲットのスパッタ面と薄膜製造用焼結体ターゲットのスパッタ面が対向するように配置した。
アルミニウムを添加した酸化亜鉛焼結体ターゲットは、上記したように、アルミニウムが固溶した酸化亜鉛相とアルミニウム酸亜鉛(ZnAl)のスピネル相で構成されているが、スピネル相は高抵抗相であるため、高い直流電力を印加すると、帯電してしまい、アークが発生して放電が安定しない。そのため、実施例、比較例では、パルスを印加した直流電源を用いた直流スパッタリング成膜を行った。印加するパルスは、50kHz〜200MHzの範囲内で周波数を設定できる。周波数が高いほどアークの発生を抑制する効果が高まるが、周波数を高めると成膜速度が低下するなどのデメリットもある。上記のようなアルミニウムを添加した酸化亜鉛系焼結体ターゲットの場合は、50kHz程度のパルス印加でアークを完全に抑制することができる。よって、50kHzのパルスを印加した直流電力を用いて成膜実験を行った。
ターゲット(シード膜形成用ターゲット)―基板(薄膜製造用焼結体ターゲット)間距離を70mmとし、基板上に成膜する前にターゲット表面をクリーニングするためにプリスパッタリングを10分ほど行ってから、本スパッタリング成膜を実施した。プリスパッタリング及び本スパッタリング成膜は、純度99.99質量%のArガスを導入して、スパッタリングガス圧を0.3Paとし、ターゲット投入電力DC300W(パルス50kHz印加)の条件で実施し、基板ホルダーに配置した薄膜製造用焼結体ターゲットのスパッタ面にシード膜を形成した。なお、シード膜の堆積速度は、105nm/分であった。
3枚の薄膜製造用焼結体ターゲットでは、成膜時間を制御することで膜厚の異なるシード膜を同一の成膜条件で形成した。1枚の薄膜製造用焼結体ターゲットには、膜厚が1000nmのシード膜を形成し(実施例1)、残りの3枚には夫々、500nm(実施例2)、20nm(実施例3)、15nm(比較例1)のシード膜を形成した。
焼結体ターゲットの上に形成したシード膜の配向性は、CuKα線によるX線回折測定で評価した。すなわち、シード膜を形成した焼結体のX線回折パターンには、シード膜の回折パターンの他、下地の焼結体の回折パターンも含まれる。その回折パターンから下地の焼結体のみの回折パターンを差し引くことにより、シード膜のみの回折パターンを得ることができる。このような方法で測定した実施例1〜3、比較例1のシード膜は全て、ウルツ鉱型結晶構造の酸化亜鉛相のc軸配向であることが確認された。実施例2のシード層のみのX線回折パターンを図1に示すが、002回折ピークが最も強いことから、c軸配向性が強いことを示している。また、シード膜を全く形成しない薄膜製造用焼結体ターゲット(比較例2)も比較のため評価した。なお、基板ホルダーに石英基板を配置して同様の条件で成膜して得たシード膜についてICP発光分光分析を用いて組成分析を行ったところ、ターゲット組成とほぼ同じ組成であることがわかった。
<評価>
上記のように作製した薄膜製造用焼結体ターゲットを、パルス直流電源(ENI社製RPG−50)を装備した直流電源を装備した直流マグネトロンスパッタリング装置(トッキ製SPF503K)の非磁性体ターゲット用カソードに配置してスパッタリング試験を行った。
ターゲット(薄膜製造用焼結体ターゲット)−基板間距離を70mmとし、スパッタリングガスとして純度99.99質量%のArガスを導入して、スパッタリングガス圧を0.3Paとし、ターゲット投入電力DC300W(パルス50kHz印加)の条件でスパッタリング成膜試験を実施した。
ターゲットへの積算投入電力(ターゲット投入電力×成膜時間)が1kWhごとに、ターゲット表面を観察して、薄膜製造用焼結体ターゲットの非エロージョン部におけるスパッタバックによる膜堆積の状況とスパッタバック膜の剥離によるパーティクル発生状況を観察した。
その結果、シード膜を1000nm形成した実施例1、シード膜を500nm形成した実施例2では、非エロージョン部に堆積したスパッタバック膜は、積算投入電力12kWhまで剥離せず、パーティクルは発生しなかった。また、シード膜を20nm形成した実施例3では、非エロージョン部に堆積したスパッタバック膜は、積算投入電力10kWhまで剥離せず、パーティクルは発生しなかった。ターゲット表面にノジュールは発生せず、放電も安定していた。
実施例1〜3のシード膜の上に堆積したスパッタバック膜の配向性についても同様に評価した。すなわち、シード膜とスパッタバック膜が形成された焼結体のX線回折パターンからシード膜のみ形成した焼結体の回折パターンを差し引いたとところ、002回折ピークが最も強いことから、ウルツ鉱型結晶構造の酸化亜鉛相のc軸配向であることがわかった。実施例2のシード層の上に堆積したスパッタバック膜のみのX線回折パターンを図2に示すが、002回折ピークが最も強いことから、c軸配向性が強いことを示している。また、シード膜、スパッタバック膜の配向性は断面TEMにおいても確認されている。
しかし、シード膜が15nmの比較例1、及び、シード膜を全く形成しなかった比較例2では、非エロージョン部に堆積したスパッタバック膜が、積算投入電力4kWhから、剥離してパーティクルが発生した。比較例1及び比較例2では、積算投入電力10kWhまで成膜すると、ターゲット表面がノジュールで覆われ、直流電源に50kHzのパルス印加では、アーキングを抑制できなかった。比較例2において、スパッタバック膜が500nm堆積したときの、スパッタバック膜のみのX線回折パターン(スパッタバック膜が形成された焼結体のX線回折パターンから焼結体の回折パターンを差し引いたもの)を図3に示す。002回折ピークが弱く、100回折ピーク、101回折ピーク、102回折ピークと同程度の強度となっていることから、焼結体の上に直接堆積したスパッタバック膜は、ランダムに近い配向をしていることが良くわかる。
シード膜15nmの比較例1は、焼結体の表面がシード膜で完全に覆われていないことがわかり、シード膜をスパッタ面に20nm形成した実施例3では、焼結体の表面がシード膜で完全に覆われていることが断面TEM観察から明らかとなった。以上より、シード膜をスパッタ面に20nm以上形成することで、長時間使用時のパーティクル発生を抑制でき、安定した成膜を持続できることがわかった。
(実施例4〜7、比較例3)
実施例1〜3において、シード膜を形成するときの成膜ガス圧のみを変えて、それ以外は全て同じの条件で、薄膜製造用焼結体ターゲットのスパッタ面に膜厚500nmのシード膜を形成した。シード膜を形成するときの成膜ガス圧は、0.1Pa(実施例4)、0.5Pa(実施例5)、0.8Pa(実施例6)、1.5Pa(実施例7)、1.8Pa(比較例3)とした。シード膜の成膜速度は95〜105nm/分の範囲内でほぼ一定であった。得られたシード膜の配向性を同様に評価したところ、全てウルツ鉱型結晶構造の酸化亜鉛相のc軸配向であることがわかった。
実施例1〜3と同様の条件でスパッタリング試験を実施したところ、実施例4〜6は、非エロージョン部に堆積したスパッタバック膜は、積算投入電力が10kWhまで剥離せずパーティクルは発生しなかった。また実施例7では、積算投入電力9kWhまでパーティクルは発生しなかった。しかし比較例3は、積算投入電力4kWhから、非エロージョン部に堆積したスパッタバック膜の剥離が見られて、パーティクルも発生し始めた。
<評価>
スパッタリング試験前の実施例4〜7、比較例3のシード膜の組織を走査型電子顕微鏡で観察したところ、実施例4〜7のシード膜は緻密な膜であったが、比較例3の膜は密度の低い膜であった。
シード膜の付着力を見ると、実施例4〜7の膜はテープ剥離試験を実施しても密着性が強かったが、比較例3はテープ剥離試験でシード膜の剥離がみられ、スパッタ面に対する付着力が弱いことがわかった。このことから、比較例3では、非エロージョン部に堆積したスパッタバック膜が、堆積膜厚が少なくても内部応力によって、膜剥離が行われたものと思われる。
よって、シード膜は緻密で下地面に対して付着力が高いことが重要であり、そのようなシード膜を形成するためには、成膜ガス圧を0.1〜1.5Paにおいて成膜する必要があるといえる。
(実施例8〜10、比較例4)
実施例1〜3において、シード膜を形成するときの成膜速度のみを変えて(投入電力を変える)、それ以外は全て同じの条件で、薄膜製造用焼結体ターゲットのスパッタ面に膜厚500nmのシード膜を形成した。シード膜を形成するときの成膜速度は、45nm/分(実施例8)、105nm/分(実施例9)、155nm/分(実施例10)、41nm/分(比較例4)とした。
得られたシード膜の配向性を同様に評価したところ、実施例8〜10は、ウルツ鉱型結晶構造の酸化亜鉛相のc軸配向であったが、比較例4はウルツ鉱型結晶構造の酸化亜鉛相のランダム配向であることがわかった。
実施例1〜3と同様の条件でスパッタリング試験を実施したところ、実施例8〜10は、積算投入電力が10kWhまで、非エロージョン部に堆積したスパッタバック膜は剥離せず、パーティクルは発生しなかった。しかし、比較例4は、積算投入電力4kWhから、非エロージョン部に堆積したスパッタバック膜の剥離が見られて、パーティクルも発生し始めた。シード膜の上に形成されたスパッタバック膜の配向性を同様に評価したところ、実施例8〜10はウルツ鉱型結晶構造の酸化亜鉛相のc軸配向、比較例4はランダム配向であることがわかった。
このことから、45nm/分以上の堆積速度でウルツ鉱型結晶構造である酸化亜鉛相のc軸配向のシード膜を成膜する必要がある。
(実施例11〜13、比較例5〜6)
<ターゲット焼結体の作製>
平均粒径が1μm以下の酸化亜鉛粉末と平均粒径が1μm以下の酸化ガリウム粉末を原料粉末として用い、重量比で94.3:5.7(酸化亜鉛:酸化ガリウム)の割合で調合し、水と共に樹脂製ポットに入れて、湿式ボールミルで混合した。この際、硬質ジルコニアボールを用いて、混合時間を18時間とした。混合後、スラリーを取り出し、ろ過、乾燥、造粒した。
造粒物を冷間静水圧プレスで3ton/cmの圧力をかけて成形した。次に、この成形体を次の手順で焼結した。炉内容積0.1m当たりに5リットル/分の割合で、焼結炉内の大気に酸素を導入する雰囲気で、1250℃で15時間焼結した。この際、1℃/分で昇温し、焼結後の冷却の際は酸素導入を止めて、1000℃までの10℃/分で降温した。
得られた焼結体の端材を粉砕し、粉末X線回折測定を実施したところ、ウルツ鉱型の酸化亜鉛結晶相に起因する回折ピークの他、亜鉛とガリウムの複合化合物(ZnGa)に起因する回折ピークが観察された。また、EPMAによるこの焼結体の局所分析から、酸化亜鉛相にはガリウムが固溶していることが明らかとなった。
この焼結体を、直径152mm、厚み5mmの大きさに加工し、スパッタ面をカップ砥石で磨いた。磨いた後に測定した焼結体の密度は5.6g/cmであり、比抵抗は6×10−3Ωcm、スパッタ面の表面粗度Raは0.5μmであった。このように加工した焼結体を、無酸素銅製バッキングプレートに金属インジウムを用いてボンディングして、ターゲットを得た。このようなターゲットを6枚作製し、1枚はシード膜形成用ターゲットとし、残りの5枚は薄膜製造用焼結体ターゲット(実施例11〜13、比較例5〜6)とした。
<シード膜形成>
パルス直流電源(ENI社製RPG−50)を装備した直流マグネトロンスパッタリング装置(トッキ製SPF503K)の非磁性体ターゲット用カソードに、シード膜形成用ターゲットを装着し、その対向面側の基板ホルダーに薄膜製造用焼結体ターゲットを配置し、シード膜形成用ターゲットのスパッタ面と薄膜製造用焼結体ターゲットのスパッタ面が対向するように配置した。ターゲット(シード膜形成用ターゲット)―基板(薄膜製造用焼結体ターゲット)間距離を70mmとし、基板上に成膜する前にターゲット表面をクリーニングするためにプリスパッタリングを10分ほど行ってから本スパッタリング成膜を実施した。プリスパッタリング及び本スパッタリング成膜は、純度99.99質量%のArガスを導入して、スパッタリングガス圧を0.8Paとし、ターゲット投入電力DC300Wの条件で実施し、基板ホルダーに配置した薄膜製造用焼結体ターゲットのスパッタ面にシード膜を形成した。
3枚の薄膜製造用焼結体ターゲットには、成膜時間を制御することで膜厚の異なるシード膜を同一の成膜条件で形成した。1枚の薄膜製造用焼結体ターゲットには、膜厚が1000nmのシード膜を形成し(実施例11)、残りの3枚には夫々、200nm(実施例12)、22nm(実施例13)、14nm(比較例5)のシード膜を形成した。また、シード膜を全く形成しない薄膜製造用焼結体ターゲット(比較例6)も比較のため評価した。焼結体上に形成されたシード膜の配向性を同様に評価したところ、実施例11〜13、比較例5のシード膜は全てウルツ鉱型結晶構造の酸化亜鉛相のc軸配向であることを確認した。なお、基板ホルダーに石英基板を配置して同様の条件で成膜して得たシード膜についてICP発光分光分析を用いて組成分析を行ったところ、ターゲット組成とほぼ同じ組成であることがわかった。
<評価>
上記のように作製した薄膜製造用焼結体ターゲットを、パルス直流電源(ENI社製RPG−50)を装備した直流電源を装備した直流マグネトロンスパッタリング装置(トッキ製SPF503K)の非磁性体ターゲット用カソードに配置してスパッタリング試験を行った。ターゲット(薄膜製造用焼結体ターゲット)―基板間距離を70mmとし、スパッタリングガスとして純度99.99質量%のArガスを導入して、スパッタリングガス圧を0.3Paとし、ターゲット投入電力DC300Wの条件でスパッタリング成膜試験を実施した。
ターゲットへの積算投入電力(ターゲット投入電力×成膜時間)が1kWhごとに、ターゲット表面を観察して、薄膜製造用焼結体ターゲットの非エロージョン部におけるスパッタバックによる膜堆積の状況とスパッタバック膜の剥離によるパーティクル発生状況を観察した。
その結果、シード膜を1000nm形成した実施例11、200nm形成した実施例12では、12kWhまで非エロージョン部に堆積したスパッタバック膜は剥離せず、パーティクルは発生しなかった。また、シード膜を22nm形成した実施例13では、積算投入電力10kWhまで、非エロージョン部に堆積したスパッタバック膜は剥離せずパーティクルは発生しなかった。ターゲット表面のノジュールは発生せず、放電も安定していた。シード膜上に堆積されたスパッタバック膜の配向性を同様に評価したところ、実施例11〜13の膜は、全てウルツ鉱型結晶構造の酸化亜鉛相のc軸配向であることがわかった。
しかし、シード膜が14nmの比較例5、及び、シード膜を全く形成しなかった比較例6では、積算投入電力5kWhから、非エロージョン部に堆積したスパッタバック膜が剥離してパーティクルが発生した。比較例5及び比較例6では、積算投入電力9kWhまで成膜すると、ターゲット表面がノジュールで覆われ、直流電源ではアーキングを抑制できなかった。
断面TEM観察によると、シード膜が14nmの比較例9は、焼結体表面にシード膜が完全に覆われていなかった。このことから、シード膜をスパッタ面に20nm以上形成することで、長時間使用時のパーティクル発生を抑制でき、安定した成膜を持続できることがわかった。
(実施例14〜17、比較例7)
実施例12において、シード膜を形成するときの成膜ガス圧のみを変えて、それ以外は全て同じの条件で、薄膜製造用焼結体ターゲットのスパッタ面に膜厚200nmのシード膜を形成した。シード膜を形成するときの成膜ガス圧は、0.1Pa(実施例14)、0.8Pa(実施例15)、1.0Pa(実施例16)、1.5Pa(実施例17)、1.8Pa(比較例7)とした。
実施例12と同様の条件でスパッタリング試験を実施したところ、実施例14〜17は、積算投入電力が10kWhまで非エロージョン部に堆積したスパッタバック膜は剥離せずパーティクルは発生しなかった。また実施例17では、9kWhまでパーティクルは発生しなかった。しかし、比較例7は、積算投入電力4.5kWhから、非エロージョン部に堆積したスパッタバック膜の剥離が見られて、パーティクルが発生し始めた。
スパッタリング試験前の実施例14〜17、比較例7のシード膜の組織を走査型電子顕微鏡で観察したところ、実施例14〜17のシード膜は緻密な膜であったが、比較例7の膜は密度の低い膜であった。シード膜の付着力を見ると、実施例14〜17の膜はテープ剥離試験を実施しても密着性が強かったが、比較例7はテープ剥離試験でシード膜の剥離がみられ、スパッタ面に対する付着力が弱いことがわかった。このことから、比較例7では、非エロージョン部に堆積したスパッタバック膜が、堆積膜厚が少なくても内部応力によって、膜剥離が行われたものと思われる。
よって、シード膜は緻密で下地面に対して付着力が高いことが重要であり、そのようなシード膜を形成するためには、成膜ガス圧を0.1〜1.5Paにおいて成膜する必要があるといえる。
(実施例18〜20、比較例4)
実施例12において、シード膜を形成するときの成膜速度のみを変えて(投入電力を変えて)、それ以外は全て同じの条件で、薄膜製造用焼結体ターゲットのスパッタ面に膜厚200nmのシード膜を形成した。シード膜を形成するときの成膜速度は、47nm/分(実施例18)、103nm/分(実施例19)、185nm/分(実施例20)、40nm/分(比較例8)とした。得られたシード膜の配向性を同様に評価したところ、実施例18〜20はウルツ鉱型結晶構造の酸化亜鉛相のc軸配向であったが、比較例8はランダム配向であることがわかった。
実施例12と同様の条件でスパッタリング試験を実施したところ、実施例18〜20は、積算投入電力が10kWhまで非エロージョン部に堆積したスパッタバック膜は剥離せず、パーティクルは発生しなかった。しかし、比較例4は、4kWhから、非エロージョン部に堆積したスパッタバック膜の剥離が見られて、パーティクルが発生し始めた。シード膜の上に形成されたスパッタバック膜の配向性を同様に評価したところ、実施例18〜20はウルツ鉱型結晶構造の酸化亜鉛相のc軸配向であり、比較例8はランダム配向であることがわかった。
このことから、45nm/分以上の堆積速度で、ウルツ鉱型結晶構造の酸化亜鉛相のc軸配向のシード膜を成膜する必要がある。
(実施例21〜23、比較例9〜10)
<ターゲット焼結体の作製>
平均粒径が1μm以下の酸化亜鉛粉末と平均粒径が1μm以下の酸化チタン粉末を原料粉末として用い、重量比で95:5(酸化亜鉛:酸化チタン)の割合で調合し、水と共に樹脂製ポットに入れて、湿式ボールミルで混合した。この際、硬質ジルコニアボールを用いて、混合時間を18時間とした。混合後、スラリーを取り出し、ろ過、乾燥、造粒した。
造粒物を冷間静水圧プレスで3ton/cmの圧力をかけて成形した。次に、この成形体を次の手順で焼結した。炉内容積0.1m当たりに5リットル/分の割合で、焼結炉内の大気に酸素を導入する雰囲気で、1250℃で15時間焼結した。この際、1℃/分で昇温し、焼結後の冷却の際は酸素導入を止めて、1000℃までの10℃/分で降温した。
得られた焼結体の端材を粉砕し、粉末X線回折測定を実施したところ、ウルツ鉱型の酸化亜鉛結晶相に起因する回折ピークの他、亜鉛とチタンの複合化合物(ZnTiO)に起因する回折ピークが観察された。また、EPMAによるこの焼結体の局所分析から、酸化亜鉛相にはガリウムが固溶していることが明らかとなった。
この焼結体を、直径152mm、厚み5mmの大きさに加工し、スパッタ面をカップ砥石で磨いた。磨いた後に測定した焼結体の密度は5.6g/cmであり、比抵抗は2×10−2Ωcm、スパッタ面の表面粗度Raは0.9μmであった。このように加工した焼結体を、無酸素銅製バッキングプレートに金属インジウムを用いてボンディングして、ターゲットを得た。このようなターゲットを6枚作製し、1枚はシード膜形成用ターゲットとし、残りの5枚は薄膜製造用焼結体ターゲット(実施例21〜23、比較例9〜10)とした。
<シード膜形成>
パルス直流電源(ENI社製RPG−50)を装備した直流マグネトロンスパッタリング装置(トッキ製SPF503K)の非磁性体ターゲット用カソードに、シード膜形成用ターゲットを装着し、その対向面側の基板ホルダーに薄膜製造用焼結体ターゲットを配置し、シード膜形成用ターゲットのスパッタ面と薄膜製造用焼結体ターゲットのスパッタ面が対向するように配置した。ターゲット(シード膜形成用ターゲット)―基板(薄膜製造用焼結体ターゲット)間距離を70mmとし、基板上に成膜する前にターゲット表面をクリーニングするためにプリスパッタリングを10分ほど行ってから、本スパッタリング成膜を実施した。プリスパッタリング及び本スパッタリング成膜は、純度99.99質量%のArガスを導入して、スパッタリングガス圧を0.3Paとし、ターゲット投入電力DC300Wの条件で実施し、基板ホルダーに配置した薄膜製造用焼結体ターゲットのスパッタ面にシード膜を形成した。
3枚の薄膜製造用焼結体ターゲットには、成膜時間を制御することで膜厚の異なるシード膜を同一の成膜条件で形成した。1枚の薄膜製造用焼結体ターゲットには、膜厚が1000nmのシード膜を形成し(実施例21)、残りの3枚には夫々、350nm(実施例22)、25nm(実施例23)、15nm(比較例9)のシード膜を形成した。また、シード膜を全く形成しない薄膜製造用焼結体ターゲット(比較例10)も比較のため評価した。なお、基板ホルダーに石英基板を配置して同様の条件で成膜して得たシード膜について、ICP発光分光分析を用いて組成分析を行ったところ、ターゲット組成とほぼ同じ組成であることがわかった。シード膜の配向性を同様の方法で評価したところ、全てウルツ鉱型結晶構造の酸化亜鉛相のc軸配向であることがわかった。
<評価>
上記のように作製した薄膜製造用焼結体ターゲットを、パルス直流電源(ENI社製RPG−50)を装備した直流電源を装備した直流マグネトロンスパッタリング装置(トッキ製SPF503K)の非磁性体ターゲット用カソードに配置して、スパッタリング試験を行った。ターゲット(薄膜製造用焼結体ターゲット)―基板間距離を70mmとし、スパッタリングガスとして純度99.99質量%のArガスを導入して、スパッタリングガス圧を0.3Paとし、ターゲット投入電力DC300Wの条件でスパッタリング成膜試験を実施した。
ターゲットへの積算投入電力(ターゲット投入電力×成膜時間)が1kWh増えるごとに、ターゲット表面を観察して、薄膜製造用焼結体ターゲットの非エロージョン部におけるスパッタバックによる膜堆積の状況と、スパッタバック膜の剥離によるパーティクル発生状況を観察した。
その結果、シード膜を1000nm形成した実施例21と、350nm形成した実施例22では、積算投入電力12kWhまで、非エロージョン部に堆積したスパッタバック膜は剥離せずパーティクルは発生しなかった。また、シード膜を25nm形成した実施例23では、積算投入電力10kWhまで、非エロージョン部に堆積したスパッタバック膜は剥離せず、パーティクルは発生しなかった。ターゲット表面のノジュールは発生せず、放電も安定していた。シード膜の上に堆積されたスパッタバック膜の配向性を同様に評価したところ、実施例21〜23のスパッタバック膜は、全てウルツ鉱型結晶構造の酸化亜鉛相のc軸配向であることがわかった。
しかし、シード膜が15nmの比較例9、及び、シード膜を全く形成しなかった比較例10では、積算投入電力4kWhから、非エロージョン部に堆積したスパッタバック膜が剥離して、パーティクルが発生した。比較例9及び比較例10では、積算投入電力10kWhまで成膜すると、ターゲット表面がノジュールで覆われ、直流電源ではアーキングを抑制できなかった。
比較例9の15nmのシード膜は、焼結体の表面を完全に覆われていないことが断面TEM観察で確認された。このことから、シード膜をスパッタ面に20nm以上形成することで、長時間使用時のパーティクル発生を抑制でき、安定した成膜を持続できることがわかった。
(実施例24〜26、比較例11)
平均粒径が1μm以下の酸化亜鉛粉末と平均粒径が1μm以下の酸化チタン粉末を原料粉末として用い、重量比で90:10(酸化亜鉛:酸化マグネシウム)の割合で調合し、水と共に樹脂製ポットに入れて、湿式ボールミルで混合した。この際、硬質ジルコニアボールを用いて、混合時間を18時間とした。混合後、スラリーを取り出し、ろ過、乾燥、造粒した。
造粒物を冷間静水圧プレスで3ton/cmの圧力をかけて成形した。次に、この成形体を次の手順で焼結した。炉内容積0.1m当たりに5リットル/分の割合で、焼結炉内の大気に酸素を導入する雰囲気で、1250℃で15時間焼結した。この際、1℃/分で昇温し、焼結後の冷却の際は酸素導入を止めて、1000℃までの10℃/分で降温した。
得られた焼結体の端材を粉砕し、粉末X線回折測定を実施したところ、ウルツ鉱型の酸化亜鉛結晶相に起因する回折ピークのみが観察された。また、EPMAによるこの焼結体の局所分析から、酸化亜鉛相にはガリウムが固溶していることが明らかとなった。
この焼結体を、直径152mm、厚み5mmの大きさに加工し、スパッタ面をカップ砥石で磨いた。磨いた後に測定した焼結体の密度は5.3g/cmであり、比抵抗は2×10−2Ωcm、スパッタ面の表面粗度Raは1.0μmであった。このように加工した焼結体を、無酸素銅製バッキングプレートに金属インジウムを用いてボンディングして、ターゲットを得た。このようなターゲットを6枚作製し、1枚はシード膜形成用ターゲットとし、残りの5枚は薄膜製造用焼結体ターゲット(実施例24〜26、比較例11)とした。
上記のシード膜形成用ターゲットを用いて、実施例1〜3と同様の手順で焼結体の表面にシード膜を形成した。その際に、シード膜を形成するときの成膜速度のみを変えて、それ以外は全て同じの条件で、薄膜製造用焼結体ターゲットのスパッタ面に膜厚500nmのシード膜を形成した。シード膜を形成するときの成膜速度は、47nm/分(実施例24)、110nm/分(実施例25)、156nm/分(実施例26)、42nm/分(比較例11)とした。得られたシード膜の配向性を同様に評価したところ、実施例8〜10はウルツ鉱型結晶構造の酸化亜鉛相のc軸配向であったが、比較例11はウルツ鉱型結晶構造の酸化亜鉛相のランダム配向であることがわかった。
実施例1〜3と同様の条件でスパッタリング試験を実施したところ、実施例24〜26は、積算投入電力が10kWhまで非エロージョン部に堆積したスパッタバック膜は剥離せず、パーティクルは発生しなかった。しかし、比較例4は、積算投入電力4kWhから、非エロージョン部に堆積したスパッタバック膜の剥離が見られて、パーティクルは発生し始めた。シード膜の上に形成されたスパッタバック膜の配向性を同様に評価したところ、実施例24〜26はウルツ鉱型結晶構造の酸化亜鉛相のc軸配向であり、比較例11はウルツ鉱型結晶構造の酸化亜鉛相のランダム配向であることがわかった。
このことから、45nm/分以上の堆積速度でc軸配向のシード膜を成膜する必要がある。

Claims (9)

  1. 酸化亜鉛を主成分とした薄膜製造用焼結体ターゲットにおいて、ベースとなる焼結体ターゲットのスパッタ面に、c軸配向した酸化亜鉛を主成分とした薄膜が膜厚20nm以上のシード膜として形成されていることを特徴とする薄膜製造用焼結体ターゲット。
  2. シード膜の膜厚が、20〜1000nmであることを特徴とする請求項1に記載の薄膜製造用焼結体ターゲット。
  3. 薄膜製造用焼結体ターゲットが、ガリウム、アルミニウム、マグネシウム、チタン、スズ、又はニオブから選ばれる1種以上の添加元素を含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の薄膜製造用焼結体ターゲット。
  4. シード膜が、スパッタリング法で形成されることを特徴とする請求項1〜3に記載の薄膜製造用焼結体ターゲット。
  5. シード膜の膜組成が、ベースとなる焼結体ターゲットの組成と実質的に同じであることを特徴とする請求項1〜4に記載の薄膜製造用焼結体ターゲット。
  6. 酸化亜鉛を主成分とした薄膜製造用焼結体ターゲットの製造方法において、
    ベースとなる焼結体ターゲットのスパッタ面に、組成が、該焼結体ターゲットの組成と実質的に同じであるシード膜形成用ターゲットを用いて、スパッタリング法で、c軸配向した酸化亜鉛を主成分としたシード膜を20nm以上の厚さに成膜することを特徴とする薄膜製造用焼結体ターゲットの製造方法。
  7. 薄膜製造用焼結体ターゲットが、ガリウム、アルミニウム、マグネシウム、チタン、スズ、又はニオブから選ばれる1種以上の添加元素を含有することを特徴とする請求項6に記載の薄膜製造用焼結体ターゲットの製造方法。
  8. ベースとなる焼結体ターゲットが、平均粒径1.5μm以下の原料粉末を成形し、成形物を常圧焼成法によって焼結するか、あるいは前記原料粉末をホットプレス法によって成形し焼結することにより得られることを特徴とする請求項6又は7に記載の薄膜製造用焼結体ターゲットの製造方法。
  9. シード膜が、成膜ガス圧0.1〜1.5Pa、かつ堆積速度45nm/分以上でスパッタリング成膜されることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の薄膜製造用焼結体ターゲットの製造方法。
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