JP2011084633A - 拭き取り性に優れた滑水性被膜を得るための処理剤及び滑水性被膜の作製法 - Google Patents

拭き取り性に優れた滑水性被膜を得るための処理剤及び滑水性被膜の作製法 Download PDF

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Abstract

【課題】加熱工程を実施しなくても、処理剤の塗布及び乾燥で撥水性、滑水性及び耐久性に優れる被膜を形成でき、処理後に被膜の形成に関与しなかった成分による余剰な乾固物を乾拭きで容易に除去することが可能な処理剤を提供すること。
【解決手段】少なくとも一つの末端に加水分解可能な官能基を2個又は3個有し、且つジメチルシロキサンユニットの数が30〜400である直鎖状ポリジメチルシロキサン、及び加水分解可能な官能基を有し、且つフルオロカーボンユニットの数が4〜12であるフルオロアルキルシラン、そして有機溶媒、酸、及び水を有する溶液を混合してなる処理剤であり、処理剤の総量に対し、重量濃度で前記直鎖状ポリジメチルシロキサンが0.05〜0.5重量%、前記フルオロアルキルシランが0.05〜0.5重量%、そして、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンと前記フルオロアルキルシランとの総量が0.2〜0.6重量%混入されること。
【選択図】なし

Description

本発明は、基材に塗布後、室温程度の乾燥により、前記基材表面に被膜を形成可能であり、乾燥後に余剰な乾固物を乾拭きで容易に除去することが可能な滑水性被膜を得るための処理剤、及び滑水性被膜を得るための製法に関する。
ガラスや鏡に水滴等が付着し、透視像や反射像が視認しづらくなる現象が日常的に発生している。このような問題点を解消するために、撥水性又は滑水性の高い被膜をガラス等の基材上に形成させる等の手段がとられている。しかしながら、当該被膜の寿命は永久的ではないので、使用中に被膜の撥水性又は滑水性は初期の性能を維持できない場合が発生しうる。このような場合、劣化した被膜上、又は当該被膜を除去した基材上に処理剤を塗布して撥水性又は滑水性の機能を回復させることが要求される。
そして、撥水性、滑水性の機能と耐久性とを満足させるために、処理剤を基材に塗布後、100℃以上で加熱することが望ましいが、車両等に組み付けられた窓ガラスや施工された鏡のように熱処理が実施できない基材に対して室温程度の処理で被膜を形成させる場合には、処理剤を工夫する必要が生じる。
さらに、このような処理剤には、撥水性、滑水性の機能と耐久性に優れることに加え、撥水処理する際の作業負荷が少なく、また作業時間が短いことが作業コストや顧客へのサービスの観点から強く望まれている。通常、撥水処理すると処理後に被膜の形成に関与しなかった撥水性、滑水性等の機能を生じせしめる機能成分が余剰分として乾固するため、得られる被膜の透光性、撥水性、滑水性等の機能に悪影響を与える。したがって、乾固物をウエスや紙タオルなどで除去して透明にする必要がある。しかしながら、この乾固物の除去には、有機溶剤を含浸させたウエスや紙タオルを用いて払拭したり、有機溶剤を使用しない乾拭きでは、長時間払拭する作業が発生し、作業者への負荷が大きい。そこで、撥水性、滑水性の機能と耐久性に優れるとともに、乾固物の除去が乾拭きでかつ簡便な撥水性被膜の形成方法が求められている。
特許文献1では、パーフルオロアルキルシラン、オルガノポリシロキサン等を有する車両ガラス用表面処理剤が開示され、当該処理剤にて室温で乾燥して形成された被膜は、撥水性、滑水性に優れ、ジャダーの発生を抑制することが示されている。
しかしながら、このような処理剤から得られる被膜の撥水性、滑水性及び耐久性は、処理剤中のパーフルオロアルキルシランやオルガノポリシロキサンの濃度や反応性によって大きく変化する。又、このような処理剤を用いると、処理後に被膜の形成に関与しなかった撥水性、滑水性等の機能を生じせしめる機能成分が余剰分として乾固するので、得られる被膜の透光性、撥水性、滑水性等の機能に悪影響を与える。そして、布等の払拭で該余剰分を除去する際、除去のし易さは、パーフルオロアルキルシランやオルガノポリシロキサンの処理剤中の濃度や反応性に依存する。しかしながら、特許文献1ではこれらの点についての検討はなされていない。
特許文献2では、末端に加水分解可能な官能基を有し、他端にフルオロアルキル基を有するシリコーンを酸、水等を含有する溶液に混合してなる処理剤が開示され、当該処理剤にて得られる被膜は、撥水性、滑水性に優れることが示されている。しかしながら、特許文献2で開示されている処理剤は、基材に塗布後、100℃以上の加熱を必要とするので、車両等に組み付けられた窓ガラスに対して被膜を形成させる場合や、すでに処理されている被膜の撥水性、滑水性を回復させる場合には、不向きである。
特許文献3では、撥水剤をガラス基材表面に塗布後、残存物の乱反射によるギラツキをアルコール拭きを必要とせず防止できる処理剤が開示されている。しかしながら、処理剤の材料にはパーフルオロアルキルシラン、オルガノポリシロキサンのほか、アルコキシシランが主成分として用いられており、このようなメチルトリメトキシシランなどのアルコキシランを酸触媒によって加水分解および縮重合した反応性化合物を撥水成分に用いてガラス基材へ塗布すると、撥水成分とガラス基材とが強固に結合するため、余剰な乾固物の除去が困難であると考えられる。さらに、処理剤中の各成分の含有量及び各成分の総量と塗布後の余剰な乾固物の除去性(拭き取り易さ)の関係については何ら言及されていない。
また、本出願人も、特許文献4や非特許文献1で開示してきたようにガラス等の基材に良好な滑水性を呈することができる処理剤を提供してきた。この処理剤で得られた滑水性物品は、滑水性が良好なだけでなく、水垢や油膜などが付着し難く汚れ除去に優れたものであった。
特開平2−233535号公報 特開2000−144056公報 特開2004−51810公報 特願2009−120548号 製品カタログ 「ナノハイブリッド 美滑水コート」 <www.yof-linda.co.jp/semi/car/glass/07.pdf>2009年10月1日検索
本発明は、後付けで被膜を形成できるような、加熱工程を実施しなくても、処理剤の塗布及び乾燥で撥水性、滑水性及び耐久性に優れる被膜を形成でき、さらに乾燥後に被膜の形成に関与しなかった撥水性、滑水性等の機能を生じせしめる機能成分による余剰な乾固物を乾拭きで容易に除去することが可能な処理剤を提供することを課題とする。
本発明では、前記の課題を解決するために、まずは、滑水性被膜を形成するための過程について考察した。車両や建築物に取り付けられた窓ガラスなどに滑水性被膜を形成するには、処理剤を基材に塗布した後、自然乾燥する方法により得られ、さらに被膜の形成に関与しなかった撥水性、滑水性等の機能を生じせしめる機能成分による余剰な乾固物の除去が容易な方法が好ましい。余剰な乾固物の除去を容易にするには、処理剤を基材に塗布した後の余剰な乾固物の残存量を少なくすることが重要である。さらに、処理剤の使用環境を考慮すると、この除去工程は、手作業による払拭である場合が多いので、できるだけ作業負荷が小さく、短時間で実施できることが望ましい。この好ましい条件も考慮に入れ課題を解決する手段を検討したところ、撥水性、滑水性及び耐久性に優れ、かつ被膜の形成に関与しなかった撥水性、滑水性等の機能を生じせしめる機能成分による余剰な乾固物の除去が容易な被膜を形成することが可能な特定の処理剤が最適であるとの知見を得、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の滑水性被膜を得るための処理剤は、少なくとも一つの末端に加水分解可能な官能基を2個又は3個有し、且つジメチルシロキサンユニット(−Si(CH32O−)の数が30〜400である直鎖状ポリジメチルシロキサン、及び加水分解可能な官能基を有し、且つフルオロカーボンユニット(CF2又はCF3)の数が4〜12であるフルオロアルキルシラン、そして有機溶媒、酸、及び水を有する溶液を混合してなる処理剤であり、処理剤の総量に対し、重量濃度で前記直鎖状ポリジメチルシロキサンが0.05〜0.5重量%、前記フルオロアルキルシランが0.05〜0.5重量%、そして、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンと前記フルオロアルキルシランとの総量が0.2〜0.6重量%混入されたことを特徴とする。(以降、本明細書において、直鎖状ポリジメチルシロキサン、フルオロアルキルシランの双方を示す場合、「機能成分」と表記する。また、直鎖状ポリジメチルシロキサンとフルオロアルキルシランとの総量を示す場合、「機能成分の総量」と表記する。)
前記直鎖状ポリジメチルシロキサンは、滑水性に優れたジメチルシロキサン鎖を有するので、得られる被膜の滑水性を向上させる。一方、前記フルオロアルキルシランは、耐久性に優れたフルオロアルキル鎖を有するので、得られる被膜の耐久性を向上させる。
さらに又、前記酸と水は、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンや前記フルオロアルキルシランの加水分解可能な官能基を加水分解させて基材と結合可能なシラノール基を生成させる効果がある。
さらに本発明の滑水性被膜を得るための作製方法は、上記の処理剤を基材に塗布する工程、処理剤が塗布された基材を乾燥する工程、及び乾燥後に遊離状態にある被膜形成に関与しなかった未反応の又は加水分解した若しくは縮合した機能成分(以降「余剰分」と表記する)を乾拭きして除去する工程を有することを特徴とする。
本発明の滑水性被膜を得るための処理剤は、基材に塗布後、乾燥させることで優れた撥水性、滑水性及び耐久性を示す。このため、施工された後や組み付けられた後の窓ガラスや鏡のように熱処理が実施できない基材に対する処理剤として最適である。さらに、処理後の余剰分を乾拭きで容易に除去することが可能であることから、作業性や環境の面での負荷が小さい。
本発明の滑水性被膜を得るための処理剤は、少なくとも一つの末端に加水分解可能な官能基を2個又は3個有し、且つジメチルシロキサンユニット(−Si(CH32O−)の数が30〜400である直鎖状ポリジメチルシロキサン、及び加水分解可能な官能基を有し、且つフルオロカーボンユニット(CF2又はCF3)の数が4〜12であるフルオロアルキルシラン、そして有機溶媒、酸、及び水を有する溶液を混合してなる処理剤であり、処理剤の総量に対し、重量濃度で前記直鎖状ポリジメチルシロキサンが0.05〜0.5重量%、前記フルオロアルキルシランが0.05〜0.5重量%、そして、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンと前記フルオロアルキルシランとの総量が0.2〜0.6重量%混入されたことを特徴とする。
本発明の処理剤に使用される直鎖状ポリジメチルシロキサンは、ジメチルシロキサンユニット(−Si(CH32O−)の数を30〜400とすることが重要である。前記直鎖状ポリジメチルシロキサンのジメチルシロキサンユニット数が400を超えると、直鎖状ポリジメチルシロキサンの加水分解可能な官能基の数がジメチルシロキサンユニットに対して相対的に減少することになり、ポリジメチルシロキサンの反応性が低下する。この結果、得られる滑水性被膜は、基材との結合が弱くなり、滑水性被膜の耐久性が低下する。
一方、本発明の処理剤を基材に処理すると、処理剤中の機能成分の加水分解可能な官能基と基材表面に存在するシラノール基に代表される水酸基等の反応性基が反応して結合することにより機能成分が基材に固定される。従って、該ユニット数が少なくなると、基材上に固定されるジメチルシロキサンユニット数が減少することになる。本発明での検討の結果、形成される滑水性被膜の滑水性は、該ユニット数に影響されることが判明した。そして、該ユニット数を30以上とするとこれら特性が顕著に向上する。そして、撥水性と耐久性とがさらに良好な被膜とするためには、ジメチルシロキサンユニット(−Si(CH32O−)の数を200〜300とすることが好ましい。
また、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンは、少なくとも一つの末端に加水分解可能な官能基を2個又は3個有することが重要である。両末端の加水分解可能な官能基の数が1個以下である場合、該ポリジメチルシロキサンの反応性が大幅に低下し、基材との結合が弱くなる。これにより得られる滑水性被膜の耐久性が低下するので好ましくない。
さらに、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンは、処理剤の総量に対し0.05〜0.5重量%混入されることが重要である。一般的に撥水剤としては、パーフルオロアルキルシランが機能成分に用いられているが、これは滑水性が低く、50μlの水滴が滑落できる最小傾斜角度(以降、「転落角」と表記する)も25〜27°と大きい。
前記直鎖状ポリジメチルシロキサンが、処理剤の総量に対し0.05重量%未満の場合、得られる被膜の転落角が25°を超えるので、被膜の滑水性が低いものとなる。また、処理剤を基材に塗布、そして乾燥後には、余剰分が乾固物となって基材上に残留する。処理剤の総量に対する前記直鎖状ポリジメチルシロキサンの濃度が0.5重量%を超えると、被膜形成の際、余剰分の量が増加し、綿タオルや紙タオルなどで乾拭き除去がしづらくなり、結果として、余剰分を除去しきれず、被膜上に残留する場合が多くなる。余剰分は白くまだらに被膜表面に残留するため、被膜の透光性の低下をもたらす。
そして、滑水性と余剰分の除去性を容易にするためには、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンの混入量を、重量濃度で0.05重量%以上、0.2重量%未満とすることがより好ましい。
前記直鎖状ポリジメチルシロキサンとしては、下記一般式[1]で示されるポリジメチルシロキサンが用いられる。
Figure 2011084633

ここで、X1及びX2は、それぞれ、1価の加水分解可能な官能基であり、A1及びA2は、それぞれ、2価の炭化水素基、-(CH2)i-NH-CO-O-基([i]は0〜9の整数)、若しくは、酸素である。又、[n]は30〜400の整数でジメチルシロキサンユニットの数を表す。さらに、[a]及び[b]は、それぞれ、0〜3の整数であり、[a]又は[b]の少なくとも一方は2又は3である。
また、前記一般式[1]で示されるポリジメチルシロキサンのA1及びA2は、加水分解可能な官能基と撥水性や滑り性を発現するジメチルシロキサン鎖を繋ぐ部位である。従って、この部位の安定性が低下すると、被膜からジメチルシロキサン鎖が容易に脱落するようになり、耐久性が低下する。このことから、前記一般式[1]で示されるポリジメチルシロキサンのA1及びA2は安定性に優れる2価の炭化水素基や酸素が好ましい。
また、前記フルオロアルキルシランとしては、下記一般式[2]で示されるフルオロアルキルシランが用いられる。
Figure 2011084633

ここで、Y1は1価の加水分解可能な官能基である。さらに、[m]は4〜12の整数であり、フルオロカーボンユニット(CF2又はCF3)の数を表す。さらに、[p]は1〜3の整数であり、加水分解可能な官能基の数を表す。
さらにまた、前記フルオロアルキルシランは、その混入量を、処理剤の総量に対し、重量濃度で0.05〜0.5重量%とすることが重要である。0.05重量%未満では耐摩耗性が著しく低下する。また、0.5重量%を超えると被膜形成の際、乾固物の量が増加し、布や紙タオルなどで乾拭き除去がしづらくなる。そして、耐摩耗性と余剰分の除去性を容易にするためには、その混入量を、重量濃度で0.1重量%以上、0.4重量%未満とすることがより好ましい。
前記フルオロアルキルシランとしては、CF3(CF211CH2CH2Si(OCH33、CF3(CF211CH2CH2SiCH3(OCH32、CF3(CF211CH2CH2Si(CH32OCH3、CF3(CF29CH2CH2Si(OCH33、CF3(CF29CH2CH2SiCH3(OCH32、CF3(CF29CH2CH2Si(CH32OCH3、CF3(CF27CH2CH2Si(OCH33、CF3(CF27CH2CH2SiCH3(OCH32、CF3(CF27CH2CH2Si(CH32OCH3、CF3(CF25CH2CH2Si(OCH33、CF3(CF25CH2CH2SiCH3(OCH32、CF3(CF25CH2CH2Si(CH32OCH3、CF3(CF23CH2CH2Si(OCH33、CF3(CF23CH2CH2SiCH3(OCH32、CF3(CF23CH2CH2Si(CH32OCH3、CF3(CF211CH2CH2SiCl3、CF3(CF211CH2CH2SiCH3Cl2、CF3(CF211CH2CH2Si(CH32Cl、CF3(CF29CH2CH2SiCl3、CF3(CF29CH2CH2SiCH3Cl2、CF3(CF29CH2CH2Si(CH32Cl、CF3(CF27CH2CH2SiCl3、CF3(CF27CH2CH2SiCH3Cl2、CF3(CF27CH2CH2Si(CH32Cl、CF3(CF25CH2CH2SiCl3、CF3(CF25CH2CH2SiCH3Cl2、CF3(CF25CH2CH2Si(CH32Cl、CF3(CF23CH2CH2SiCl3、CF3(CF23CH2CH2SiCH3Cl2、CF3(CF23CH2CH2Si(CH32Cl等のものが使用できる。
また、機能成分での加水分解可能な官能基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、クロロ基又はイソシアネート基等を用いることができる。ただし、加水分解可能な官能基の反応性が高すぎると、処理剤を調合する時の取扱いが難しくなるだけでなく、処理剤のポットライフが短くなる。一方、反応性が低すぎると、加水分解反応が十分進行しなくなり、生成するシラノール基の量が十分でなくなるため、基材と得られる滑水性被膜の結合が十分でなくなり、滑水性被膜の耐久性が低くなる。取扱いの容易さ、処理剤のポットライフ、得られる滑水性被膜の耐久性を考慮すると、加水分解可能な官能基としてはアルコキシ基が好ましく、中でもメトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
さらに、前記フルオロアルキルシランの分子中のフルオロカーボンユニット(CF2又はCF3)の数は4〜12が好ましく、特に好ましくは4〜8である。
前記直鎖状ポリジメチルシロキサンと前記フルオロアルキルシランとの総量を0.2〜0.6重量%とすることが重要である。0.2重量%未満では耐摩耗性が著しく低下する。また、0.6重量%を超えると被膜形成の際、乾固物の量が増加し、布や紙タオルなどで乾拭き除去がしづらくなり、結果として、乾固物を除去しきれず、被膜上に残留する場合が多くなる。そして、より高い滑水性、耐久性及び余剰分の除去性を容易にするためには、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンと前記フルオロアルキルシランとの総量を、重量濃度で0.2重量%以上、0.5重量%未満とすることがより好ましい。
直鎖状ポリジメチルシロキサン及びフルオロアルキルシランと、溶媒、酸、水とが混合され塗布液が形成される。該溶媒には、有機溶媒を用いることができ、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ヘキサン、トルエン、ベンゼン、キシレン等の炭化水素溶媒類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類やそれらの混合物を用いることが好ましい。中でも、メチルエチルケトン、酢酸エチル、ヘキサン、ジエチルエーテル及びジイソプロピルエーテルの中から選ばれる一種以上の溶媒とエチルアルコールやイソプロピルアルコール等の低級アルコールの混合溶媒は、直鎖状ポリジメチルシロキサン、フルオロアルキルシラン、水及び酸との溶解性が高いため、特に好ましい。
前記水は、前記直鎖状ポリジメチルシロキサン及び前記フルオロアルキルシランが有する加水分解可能な官能基の数に対して、好ましくは分子数で1〜100倍量に調整される。1倍未満では、加水分解反応が進行しにくく、滑水性被膜の耐摩耗性が低下することがある。また、100倍を超えると、前記直鎖状ポリジメチルシロキサン、前記フルオロアルキルシラン、及び水を、均一に溶解させることが難しくなる。また、水の量が増えると、反応速度が大きくなり、結果として塗布液のポットライフが短くなることにつながるので、ポットライフを考慮すると1〜50倍量とすることが好ましい。
前記酸は、直鎖状ポリジメチルシロキサン、及びフルオロアルキルシランにおける加水分解反応を促進させる触媒的な役割をし、硝酸、塩酸、酢酸、硫酸、その他有機酸等を使用することができる。そして、前記水と混合した状態でpH値が好ましくは0〜5、より好ましくは、0〜3となるように混合される。
次に滑水性被膜を形成せしめるための処理剤の好ましい調製方法を説明する。
滑水性被膜を形成せしめるための処理剤は、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンと前記フルオロアルキルシランと溶媒の混合物に、加水分解反応を起こさせるための水と酸を添加、混合し、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンと前記フルオロアルキルシランとを加水分解させることにより得られる。ここで、直鎖状ポリジメチルシロキサンとフルオロアルキルシランとを先に混合するのは、両成分を処理剤中に均質に混合させるためである。しかしながら、酸、水、直鎖状ポリジメチルシロキサン及びフルオロアルキルシランを同時に混合しても良い。
次に、得られた処理剤を使用して、滑水性被膜を得る方法について説明する。
上記で得られた処理剤を基材表面に塗布する塗布方法としては、刷毛塗り、手塗り、ロボット塗り、ノズルフローコート法、ディッピング法、スプレー法、リバースコート法、フレキソ法、印刷法、フローコート法、スピンコート法、ロールコート法、それらの併用等各種被膜の形成方法が適宜採用し得る。
処理剤が塗布される基材は特に限定されるものではない。例えば、建築物用窓ガラスや鏡に通常使用されているフロ−ト板ガラス、又はロ−ルアウト法で製造されたソーダ石灰ガラス等無機質の透明性がある板ガラスを使用できる。これら板ガラスを用いて形成される鏡等の反射性基材、擦りガラス、模様が刻まれたガラス等の半透明から不透明のガラス基材を使用することができる。
前記ガラス製基材の他にタイル、瓦、衛生陶器、食器等に使用されるセラミックス材料よりなる基材、ガラス窓等の枠体、調理器、メス、注射針等の医療器具、流し、自動車のボディ等に使用されるステンレス鋼、アルミニウム、鉄鋼等の金属材料、プラスチック製の基材、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、その他のプラスチック基材を使用することがある。
次に処理剤を基材に塗布後の処理について述べる。基材に処理剤を塗布後、乾燥させることで、前記ポリジメチルシロキサン及び前記フルオロアルキルシランを基材と結合させる。乾燥手段は、風乾でよく、室温で、例えば、15℃〜30℃、相対湿度30%〜60%の環境で、10〜20分間で放置するだけでよい。乾燥時間を短くするために、汎用のドライヤー等で熱風を吹き付けてもよい。
最後に、余剰分が被膜上に残留するので、この余剰分を乾いた綿タオルや紙タオル等で払拭することにより滑水性被膜が形成された基材が得られる。中でも、紙タオルやティッシュペーパーなどの使い捨てすることもできるペーパー類で拭き取ることが好ましい。
以下に本発明の実施例について説明する。尚、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。滑水性被膜の評価方法を以下に示す。
〔滑水性被膜の評価方法〕
(1)余剰分の除去性
処理剤を塗布して風乾させた後、目視で白くまだらに残留している余剰分を拭き上げて透明なサンプルを作製する際に、乾いたタオル(材質:綿)で拭き取れたものを合格とした(表1で○と表記)。さらに、ティッシュペーパー(王子ネピア株式会社製、商品名:ネピア)で拭き取れたものを余剰分の除去性が特に優れると判断した(表1で◎と表記)。
(2)接触角
滑水性被膜を有するサンプル表面に、純水約2μlを置いたときの水滴とサンプル表面とのなす角を接触角計で測定した。尚、接触角計には協和界面科学製CA−X型を用い、大気中(約25℃)で測定した。
(3)転落角
サンプルを水平に保持した状態で、サンプル表面上に50μlの純水を滴下した後、サンプルを徐々に傾けていき、水滴が動き始める時点の傾斜角度を転落角(°)とした。尚、転落角は協和界面科学製CA−A型を用いて大気中(約25℃)で測定した。転落角の初期性能が、22°以下のものを滑水性の指標に関し合格(表1で○と表記)とした。
(4)耐研磨性
ガラス用研磨剤ミレークA(T)(三井金属鉱業株式会社製)を水道水に分散させたセリア懸濁液(10重量%)を染み込ませた綿布で、サンプル表面を約1.5kg/cm2の強さで研磨した。研磨領域の70%が親水化するまでの研磨回数(往復)を評価した。ここでは、30回以上を合格(表1で○と表記)、50回以上を良(表1で◎と表記)とした。
実施例1
(1)処理剤の調製
サンプルの作製条件を表1に示す。まず、ジメチルシロキサンユニットの数が250の両末端トリアルコキシタイプ直鎖状ポリジメチルシロキサン〔(CH3O)3SiCH2CH2[Si(CH32O]250Si(CH32CH2CH2Si(OCH33〕;0.11g、メチルエチルケトン;49.35g、フルオロカーボンユニットの数が6のフルオロアルキルシラン〔CF3(CF25CH2CH2Si(OCH33〕;0.19gとイソプロピルアルコール;49.35gを混合し、約5分間攪拌した。次いで、0.5N硝酸水溶液;1.0gを添加し、室温で2時間攪拌して、直鎖状ポリジメチルシロキサンとフルオロアルキルシランを加水分解した。以上の方法により、処理剤の総量に対し、混入された直鎖状ポリジメチルシロキサンの重量濃度(以降、「ポリジメチルシロキサン濃度」と記載する)が0.11重量%、処理剤の総量に対し、混入されたフルオロアルキルシランの重量濃度(以降、「フルオロアルキルシラン濃度」と記載する)が0.19重量%、直鎖状ポリジメチルシロキサンとフルオロアルキルシランの総量の濃度(以降、「機能成分の総量の濃度」と記載する)が0.3重量%の処理剤を得た。
(2)ガラス基板の洗浄
300mm×300mm×2mm厚サイズのフロートガラスの表面を研磨液を用いて研磨し、水洗及び乾燥した。なお、ここで用いた研磨液は、ガラス用研磨剤ミレークA(T)(三井金属鉱業株式会社製);20gと水;79.5g、キサンタンガム;0.5gを混合し、室温で30分間撹拌したものとした。
(3)滑水性被膜の形成
上記(1)で調製した処理剤;1.0mlを上記洗浄後のガラス基板上に滴下し、綿布(商品名;ベンコット)でガラス全面に十分引き伸ばした後、5分程度風乾した。最後に、目視で白くまだらに残留している余剰分を綿タオル又はティッシュペーパーで拭き上げて透明なサンプルを得た。
上記[滑水性被膜の評価方法]に記載した要領で評価したところ、表1に示すとおり、余剰分の除去性はティッシュペーパーで容易に拭き取れ、優れていた。また、初期転落角は20°と良好な水滴転落性を示した。さらに、耐研磨性は30回と良好であった。
Figure 2011084633
実施例2
ポリジメチルシロキサン濃度を0.18重量%、フルオロアルキルシラン濃度を0.32重量%、機能成分の総量の濃度を0.5重量%とした以外は、すべて実施例1と同じとした。結果、物性は表1に示すとおり、余剰分の除去性は綿タオルで拭き取れ、良好であった。また、初期転落角は20°と良好な水滴転落性を示した。さらに、耐研磨性は35回と良好であった。
実施例3
フルオロカーボンユニットの数が8のフルオロアルキルシラン〔CF3(CF27CH2CH2Si(OCH33〕を用いた以外はすべて実施例1と同じとした。結果、物性は表1に示すとおり、余剰分の除去性はティッシュペーパーで容易に拭き取れ、優れていた。また、初期転落角は20°と良好な水滴転落性を示した。さらに、耐研磨性は50回と耐久性に優れていた。
実施例4
フルオロカーボンユニットの数が8のフルオロアルキルシラン〔CF3(CF27CH2CH2Si(OCH33〕を用いた以外はすべて実施例2と同じとした。結果、物性は表1に示すとおり、余剰分の除去性は綿タオルで拭き取れ、良好であった。また、初期転落角は20°と良好な水滴転落性を示した。さらに、耐研磨性は55回と耐久性に優れていた。
比較例1
ポリジメチルシロキサン濃度を0.5重量%、フルオロアルキルシラン濃度を0.8重量%、機能成分の総量の濃度を1.3重量%とした以外は、すべて実施例1と同じとした。結果、物性は表1に示すとおり、余剰分の除去性は綿タオル又はティッシュペーパーでは拭き取れず、余剰分が残ったままであった。
比較例2
フルオロカーボンユニットの数が8のフルオロアルキルシラン〔CF3(CF27CH2CH2Si(OCH33〕を用いた以外はすべて比較例1と同じとした。結果、物性は表1に示すとおり、余剰分の除去性は綿タオル又はティッシュペーパーでは拭き取れず、余剰分が残ったままであった。

Claims (3)

  1. 一般式[1]で表される少なくとも一つの末端に加水分解可能な官能基を2個又は3個有し、且つジメチルシロキサンユニット(−Si(CH32O−)の数が30〜400である直鎖状ポリジメチルシロキサン
    Figure 2011084633
    (ここで、X1及びX2は、それぞれ、1価の加水分解可能な官能基であり、A1及びA2は、それぞれ、2価の炭化水素基、-(CH2)i-NH-CO-O-基([i]は0〜9の整数)、若しくは、酸素である。又、[n]は30〜400の整数でジメチルシロキサンユニットの数を表す。さらに、[a]及び[b]は、それぞれ、0〜3の整数であり、[a]又は[b]の少なくとも一方は2又は3である。)、
    及び一般式[2]で表されるフルオロアルキルシラン
    Figure 2011084633
    (ここで、Y1は1価の加水分解可能な官能基である。さらに、[m]は4〜12の整数であり、フルオロカーボンユニット(CF2又はCF3)の数を表す。さらに、[p]は1〜3の整数であり、加水分解可能な官能基の数を表す。)、そして、有機溶媒、酸、及び水を有する溶液を混合してなる処理剤であり、処理剤の総量に対し、重量濃度で前記直鎖状ポリジメチルシロキサンが0.05〜0.5重量%、前記フルオロアルキルシランが0.05〜0.5重量%、そして、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンと前記フルオロアルキルシランとの総量が0.2〜0.6重量%混入されたことを特徴とする滑水性被膜を得るための処理剤。
  2. 前記直鎖状ポリジメチルシロキサンと前記フルオロアルキルシランの加水分解可能な官能基がアルコキシ基であることを特徴とする請求項1に記載の滑水性被膜を得るための処理剤。
  3. 請求項1または2に記載の処理剤を基材に塗布する工程、処理剤が塗布された基材を乾燥する工程、及び乾燥後に遊離状態にある未反応の又は加水分解した若しくは縮合した直鎖状ポリジメチルシロキサン及びフルオロアルキルシランを乾拭きして除去する工程を有することを特徴とする滑水性被膜の作製法。
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