JP2011084562A - 熱塩基発生剤、高分子前駆体組成物、当該組成物を用いた物品 - Google Patents

熱塩基発生剤、高分子前駆体組成物、当該組成物を用いた物品 Download PDF

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Abstract

【課題】より低温で高分子前駆体を高分子に変換可能な高分子前駆体組成物、及びその様な高分子前駆体組成物に利用可能な熱塩基発生剤を提供する。
【解決手段】下記化学式(1)で表わされ、且つ加熱により塩基を発生することを特徴とする、熱塩基発生剤である。
Figure 2011084562

(式中の記号は、明細書に記載したとおりである。)
【選択図】なし

Description

本発明は、加熱により塩基を発生する熱塩基発生剤、及び当該熱塩基発生剤を用いた高分子前駆体組成物、並びに、当該組成物を用いて作製した物品に関するものである。
高分子前駆体組成物は、例えば、電子部品、光学製品、光学部品の成形材料、層形成材料又は接着剤などに用いられてきている。
例えば、高分子材料であるポリイミドは、耐熱性、寸法安定性、絶縁特性といった性能が有機物の中でもトップクラスの性能を示すため、電子部品の絶縁材料等へ広く適用され、半導体素子の中のチップコーティング膜や、フレキシブルプリント配線板の基材などとして盛んに利用されてきている。
また、近年、ポリイミドの有する課題を解決する為に、ポリイミドと類似の加工工程が適用される低吸水性で低誘電率を示すポリベンゾオキサゾールや、基板との密着性に優れるポリベンゾイミダゾール等も精力的に研究されている。
一般にポリイミドやポリベンゾオキサゾールやポリベンゾイミダゾールは、溶媒への溶解性に乏しく、加工が困難なため、このような高分子を所望の形状にする方法として、溶媒溶解性に優れる高分子前駆体の状態で所望の形状とし、その後、350℃〜400℃程度の高温で加熱し、熱的に安定なポリイミドやポリベンゾオキサゾールやポリベンゾイミダゾールとして層や成形品などにする場合が多い。
しかしながら、近年においては、電子部品や半導体装置等に用いられる材料が多様化し、十分な高分子化を達成するための高温プロセス(例えば、350℃)に耐えられない電子部品等がある。例えば、高密度実装の要求を満たすために広く使われているビルドアップ基板や、ガラスエポキシ樹脂やビスマレイミド−トリアジン樹脂をコアの基板材料として用いるパッケージ用基板においては、耐熱性がシリコン基板よりも低く、250℃以上の加熱が行えない。そのため、これらの低耐熱性基板においてもポリイミド等の高分子材料が使えるよう、従来よりも低い温度で高分子前駆体からポリイミド等の高分子に変換できる技術が望まれている。
イミド化の温度を低温化する技術としては、特許文献1において、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸に、200℃以下の温度で加熱することにより熱分解を起こして、2級アミンが発生する中性化合物である熱塩基発生剤を混合する技術が開示されている。しかしながら、特許文献1に具体的に開示されている熱塩基発生剤では、加熱するとアミンと同時に、必ず二酸化炭素(炭酸ガス)が発生し、アウトガスの発生原因となる。高分子塗膜からアウトガスが発生すると、高分子塗膜に“ふくれ”が生じてしまい、硬化膜強度の低下を招くといった問題となる。
また、ポリイミド前駆体のポリアミック酸に、光塩基発生剤を混合し、露光後加熱することで露光によって発生した塩基の作用によって環化を進行させ、現像液に対する溶解性を低下させることで、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくすることでパターン形成を行い、その後にイミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法が報告されている(特許文献2)。
上記のような感光性樹脂組成物として、光の照射により脱炭酸反応を伴うことなくアミン化合物を発生する光環化型の光塩基発生剤と、塩基反応性樹脂とを含む感光性樹脂組成物がある(特許文献3)。しかしながら、特許文献3に記載されている光塩基発生剤は、加熱のみによって塩基が発生しないものである。
特開2007−056196号公報 特開平8−227154号公報 特開2009−80452号公報
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、加熱により塩基を発生し、且つ、アウトガスを発生し難い熱塩基発生剤を提供すること、及び、当該熱塩基発生剤を用いた、保存安定性が良好でありながら、より低温で高分子前駆体から高分子に変換でき、且つ、アウトガスを発生し難い高分子前駆体組成物を提供すること、並びに、当該組成物を用いた物品を提供することにある。
本発明に係る熱塩基発生剤は、下記化学式(1)で表わされ、且つ加熱により塩基を発生することを特徴とする。
Figure 2011084562
(式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素又は有機基であり、同一であっても異なっていても良い。R及びRは、それらが結合して環状構造を形成していても良く、ヘテロ原子の結合を含んでいても良い。但し、R及びRの少なくとも1つは有機基である。Rは、水素、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、又は有機基である。R、R、R及びRは、水素、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基又は有機基であり、同一であっても異なっていても良い。R、R、R及びRは、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していても良く、当該環状構造はヘテロ原子の結合を含んでいても良い。但し、Rが水素である場合には、R、R、R及びRは、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成しており、当該環状構造はヘテロ原子の結合を含んでいても良い。)
前記化学式(1)で表される熱塩基発生剤は、上記特定の構造を有することにより、加熱のみによって塩基性物質を発生するため、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される様々な高分子前駆体に組み合わせて用いると、より低温で高分子化が利用可能で、汎用性の高い熱塩基発生剤である。本発明に係る熱塩基発生剤は、加熱を行わなければ塩基を発生しないので、様々な高分子前駆体に組み合わせて用いると、保存安定性が高い高分子前駆体組成物を得ることができる。さらに、本発明に係る熱塩基発生剤は、後述のように、塩基を発生する際に二酸化炭素等のガスを発生することがないため、アウトガス発生に伴う問題を解決し、硬化膜の強度や外観が良好になる。
また、本発明に係る高分子前駆体組成物は、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体、及び、上記本発明に係る熱塩基発生剤を含有することを特徴とする。
本発明に係る高分子前駆体組成物は、前記化学式(1)で表され且つ加熱により塩基を発生する熱塩基発生剤を、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体に組み合わせたことにより、保存安定性が良好でありながら、より低温で高分子前駆体から高分子に変換でき、且つ、アウトガスを発生し難いものである。
本発明の前記熱塩基発生剤は、熱分解開始温度が40℃以上350℃以下であることが好ましい。熱分解開始温度が高い場合には、高温プロセスに起因する回路配線等の歩留まりの低下等が懸念される。一方で、熱分解開始温度が低すぎると、保存安定性が損なわれる恐れがある。
本発明において、前記熱塩基発生剤は、発生する塩基の構造が下記式(2)で表されることが、塩基性が強く、触媒効果が大きい点から好ましい。
Figure 2011084562
(式(2)中、R及びRは、それぞれ独立に、有機基であり、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数4〜22のシクロアルキル基である。R及びRは、同一であっても異なっていても良い。R及びRは、それらが結合して環状構造を形成していても良く、ヘテロ原子の結合を含んでいても良い。)
本発明に係る高分子前駆体組成物において、前記高分子前駆体としては、エポキシ基、イソシアネート基、オキセタン基、又はチイラン基を有する化合物及び高分子、ポリシロキサン前駆体、ポリイミド前駆体、並びにポリベンゾオキサゾール前駆体よりなる群から選択される1種以上が好適に用いられる。
本発明の一実施形態においては、高分子前駆体組成物の高分子前駆体として、ポリアミック酸のようなポリイミド前駆体、又は、ポリベンゾオキサゾール前駆体を用いることができる。このような高分子前駆体を用いると、耐熱性、寸法安定性、及び絶縁特性等の物性に優れた高分子前駆体組成物を得ることができる。前記ポリイミド前駆体は、ポリアミック酸であることが、原料の入手が容易な点から好ましい。
また、本発明は、上記高分子前駆体組成物又はその硬化物により少なくとも一部分が形成されている、印刷物、塗料、シール剤、接着剤、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム、光造形物、光学部材又は建築材料のいずれかの物品も提供する。
本発明の熱塩基発生剤は、式(1)で表される構造を有することにより、加熱により塩基が発生し、様々な高分子前駆体に組み合わせて保存安定性が高い組成物とすることができ、且つ、アウトガスを発生し難いという効果を奏する。
本発明の高分子前駆体組成物は、前記本発明の熱塩基発生剤を用いることにより、保存安定性が良好でありながら、より低温で高分子前駆体から高分子に変換でき、且つ、アウトガスを発生し難いという効果を奏する。
さらに本発明の高分子前駆体組成物においては、酸と異なり塩基が金属の腐食を起こさないため、より信頼性の高い硬化膜を得ることが出来る。
以下、本発明について詳しく説明する。
なお、本発明において(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル及び/又はメタクリロイルを意味し、(メタ)アクリルとは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
<熱塩基発生剤>
本発明に係る熱塩基発生剤は、下記化学式(1)で表わされ、且つ加熱により塩基を発生することを特徴とする。
Figure 2011084562
(式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素又は有機基であり、同一であっても異なっていても良い。R及びRは、それらが結合して環状構造を形成していても良く、ヘテロ原子の結合を含んでいても良い。但し、R及びRの少なくとも1つは有機基である。Rは、水素、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、又は有機基である。R、R、R及びRは、水素、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基又は有機基であり、同一であっても異なっていても良い。R、R、R及びRは、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していても良く、当該環状構造はヘテロ原子の結合を含んでいても良い。但し、Rが水素である場合には、R、R、R及びRは、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成しており、当該環状構造はヘテロ原子の結合を含んでいても良い。)
本発明の熱塩基発生剤は、常温常圧の通常の条件下では活性を示さないが、外部刺激として加熱されると、塩基を発生する剤をいう。本発明の熱塩基発生剤は加熱されるだけで塩基を発生するが、適宜電磁波が照射されることにより塩基の発生が促進されてもよいものである。
本発明に係る熱塩基発生剤は、上記特定構造を有するため、加熱により、下記式で示されるように、式(1)中の(−CR=CH−C(=O)−)部分がシス体へと異性化し、さらに環化し、塩基(NHR)を生成する。塩基の触媒作用によって、高分子前駆体が最終生成物となる際の反応が開始される温度を下げたり、高分子前駆体が最終生成物となる硬化反応を開始することができる。
Figure 2011084562
前記化学式(1)で表される熱塩基発生剤は、上記特定の構造を有することにより、加熱のみによって塩基性物質を発生するため、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される様々な高分子前駆体に組み合わせて用いると、より低温で高分子化が利用可能で、汎用性の高い熱塩基発生剤である。本発明に係る熱塩基発生剤は、加熱を行わなければ塩基を発生しないので、様々な高分子前駆体に組み合わせて用いると、保存安定性が高い高分子前駆体組成物を得ることができる。さらに、本発明に係る熱塩基発生剤は、上記のように、塩基を発生する際に二酸化炭素等のガスを発生することがないため、アウトガス発生に伴う問題を解決し、硬化膜の強度や外観が良好になる。
及びRは、それぞれ、独立に水素原子又は有機基であるが、R及びRのうち少なくとも1つは有機基である。また、NHRは、塩基(本発明においては、「塩基性物質」を単に、塩基という。)であるが、R及びRは、それぞれ、アミノ基を含まない有機基であることが好ましい。R及びRに、アミノ基が含まれてしまうと、熱塩基発生剤自体が塩基性物質となり、高分子前駆体の反応を促進してしまい、高分子前駆体組成物の安定性が悪くなる恐れがある。但し、例えば、R及びRの有機基中に存在する芳香環にアミノ基が結合している場合のように、加熱後に発生する塩基との塩基性と差が生じる場合には、R及びRの有機基にアミノ基を含まれていても用いることができる場合もある。
有機基としては、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基等が挙げられる。これらの有機基は、当該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでよく、これらは、直鎖状でも分岐状でも良い。
及びRにおける有機基は、通常、1価の有機基であるが、後述する環状構造を形成する場合や、生成するNHRがジアミン等のアミド結合を形成可能なNH基を2つ以上有する塩基性物質の場合等には、2価以上の有機基となり得る。
また、R及びRは、それらが結合して環状構造になっていても良い。
環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環、並びに当該脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環よりなる群から選ばれる2種以上が組み合されてなる構造であっても良い。
前記R及びRの有機基中の炭化水素基以外の結合としては、本発明の効果が損なわれない限り、特に限定されず、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−、ここでRは水素原子又は有機基)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合、アゾ結合等が挙げられる。耐熱性の点から、有機基中の炭化水素基以外の結合としては、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−:ここでRは水素原子又は有機基)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合が好ましい。
前記R及びRの有機基中の炭化水素基以外の置換基としては、本発明の効果が損なわれない限り、特に限定されず、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシル基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ヒドロキシイミノ基、飽和又は不飽和アルキルエーテル基、飽和又は不飽和アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、及びアリールチオエーテル基、アミノ基(−NH2, −NHR, −NRR’:ここで、R及びR’はそれぞれ独立に炭化水素基)等が挙げられる。上記置換基に含まれる水素は、炭化水素基によって置換されていても良い。また、上記置換基に含まれる炭化水素基は、直鎖、分岐、及び環状のいずれでも良い。
前記R及びRの有機基中の炭化水素基以外の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシル基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ヒドロキシイミノ基、飽和又は不飽和アルキルエーテル基、飽和又は不飽和アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、及びアリールチオエーテル基が好ましい。
生成する塩基はNHRであるため、1級アミン、2級アミン、又は複素環式化合物が挙げられる。またアミンには、それぞれ、脂肪族アミン及び芳香族アミンがある。なお、ここでの複素環式化合物は、NHRが環状構造を有し且つ芳香族性を有しているものをいう。芳香族複素環式化合物ではない、非芳香族複素環式化合物は、ここでは脂環式アミンとして脂肪族アミンに含まれる。
更に、生成するNHRは、アミド結合を形成可能なNH基を1つだけ有するモノアミン等の塩基だけでなく、ジアミン、トリアミン、テトラアミン等のアミド結合を形成可能なNH基を2つ以上有する塩基であってもよい。生成するNHRがNH基を2つ以上有する塩基の場合としては、前記式(1)のR及び/又はRの1つ以上の末端に、アミド結合を形成可能なNH基を有する塩基を加熱により発生するような熱潜在性部位が更に結合している構造が挙げられる。上記熱潜在性部位としては、前記式(1)のR及び/又はRの1つ以上の末端に、式(1)のR及び/又はRを除いた残基が更に結合している構造が挙げられる。
生成するNHRのうち、脂肪族1級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、イソアミルアミン、tert−ペンチルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、シクロヘプタンアミン、オクチルアミン、2−オクタンアミン、2,4,4−トリメチルペンタン−2−アミン、シクロオクチルアミン等が挙げられる。
芳香族1級アミンとしては、アニリン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、及び4−アミノフェノール等が挙げられる。
脂肪族2級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、エチルメチルアミン、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、アゾカン、メチルアジリジン、ジメチルアジリジン、メチルアゼチジン、ジメチルアゼチジン、トリメチルアゼチジン、メチルピロリジン、ジメチルピロリジン、トリメチルピロリジン、テトラメチルピロリジン、メチルピペリジン、ジメチルピペリジン、トリメチルピペリジン、テトラメチルピペリジン、ペンタメチルピペリジン等が挙げられ、中でも脂環式アミンが好ましい。
芳香族2級アミンとしては、メチルアニリン、ジフェニルアミン、及びN−フェニル−1−ナフチルアミンが挙げられる。また、アミド結合を形成可能なNH基を有する芳香族複素環式化合物としては、塩基性の点から分子内にイミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−:ここでRは水素原子又は1価の有機基)を有することが好ましく、イミダゾール、プリン、トリアゾール、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
アミド結合を形成可能なNH基を2つ以上有する塩基としてはエチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン等の直鎖状脂肪族アルキレンジアミン;1−ブチル−1,2−エタンジアミン、1,1−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1−エチル−1,4−ブタンジアミン、1,2−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,4−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン等の分岐状脂肪族アルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の一般式NH(CHCHNH)Hで示されるポリエチレンアミン類;クロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン、メンセンジアミン等の脂環式ジアミン;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族ジアミン;ベンゼントリアミン、メラミン、2,4,6−トリアミノピリミジン等のトリアミン;2,4,5,6−テトラアミノピリミジン等のテトラアミンを挙げることができる。
及びRの位置に導入される置換基によって、生成する塩基の熱物性や塩基性度が異なる。
高分子前駆体から最終生成物への反応に対する反応開始温度を低下させる等の触媒作用は、塩基性の大きい塩基性物質の方が触媒としての効果が大きく、より少量の添加で、より低い温度での最終生成物への反応が可能となる。一般に1級アミンよりは2級アミンの方が塩基性は高く、その触媒効果が大きい。
また、芳香族アミンよりも脂肪族アミンの方が塩基性が強いため好ましい。
また、本発明で発生する塩基が、熱塩基発生剤としての感度が高くなる点から2級アミン及び/又は複素環式化合物であることが好ましく、特に2級アミンであることが好ましい。これは、2級アミンや複素環式化合物を用いることで、アミド結合部位の活性水素がなくなり、このことにより、電子密度が変化し、異性化の感度が向上するからではないかと推定される。
また、脱離する塩基の熱物性、及び塩基性度の点から、R及びRの有機基は、それぞれ独立に炭素数1〜20が好ましく、更に炭素数1〜12が好ましく、特に炭素数1〜8であることが好ましい。
発生する2級アミン及び/又は複素環式化合物の構造としては、中でも、下記式(2)で表されることが好ましい。
Figure 2011084562
(式(2)中、R及びRは、それぞれ独立に、有機基であり、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数4〜22のシクロアルキル基である。R及びRは、同一であっても異なっていても良い。R及びRは、それらが結合して環状構造を形成していても良く、ヘテロ原子の結合を含んでいても良い。)
式(2)のR及びRにおいて、アルキル基は直鎖でも分岐でも良い。アルキル基としては更に炭素数1〜12であることが好ましく、シクロアルキル基としては更に炭素数4〜10であることが好ましい。また、R及びRが結合して置換基を有しても良い炭素数4〜14の環状構造となっている脂環式アミンも好ましい。また、R及びRが結合して置換基を有しても良い炭素数2〜12の環状構造となっている複素環式化合物も好ましい。
式(1)において、Rは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、又は有機基である。
本発明においては特に、式(1)中のRが、水素ではなく、上記特定の官能基である場合には、R〜Rの全てが水素であっても、加熱のみによって塩基を発生する。これは、式(1)中のRが、水素ではなく、上記特定の官能基である場合には、Rの立体障害による効果によって、式(1)中の(−CR=CH−C(=O)−)部分がシス体へと異性化しやすくなり、加熱のみによって塩基を発生するのではないかと推定される。式(1)中のRが、水素ではなく、上記特定の官能基である場合には、Rが水素の場合と比べて、有機溶剤に対する溶解性が向上したり、高分子前駆体との親和性が向上するといった効果も期待できる。例えば、Rが、アルキル基やアリール基等の有機基である場合、有機溶剤に対する溶解性が向上する。また、例えばRがフッ素等のハロゲンである場合、フッ素等のハロゲンを含有する高分子前駆体との親和性が向上する。また、例えばRがシリル基やシラノール基を有する場合、ポリシロキサン前駆体との親和性が向上する。
ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素などが挙げられる。
有機基としては、本発明の効果が損なわれない限り、特に制限がなく、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、カルボキシル基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、ヒドロキシイミノ基等が挙げられる。これらの有機基は、当該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでよく、これらは、直鎖状でも分岐状でも良い。Rにおける有機基は、通常、1価の有機基である。
前記Rの有機基中の炭化水素基以外の結合としては、特に限定されず、本発明の効果が損なわれない限り、特に限定されず、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−、ここでRは水素原子又は有機基)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合、アゾ結合等が挙げられる。耐熱性の点から、有機基中の炭化水素基以外の結合としては、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−:ここでRは水素原子又は有機基)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合が好ましい。
前記Rの有機基中の炭化水素基以外の置換基としては、本発明の効果が損なわれない限り、特に限定されず、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシル基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ヒドロキシイミノ基、飽和又は不飽和アルキルエーテル基、飽和又は不飽和アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、及びアリールチオエーテル基、アミノ基(−NH2, −NHR, −NRR’:ここで、R及びR’はそれぞれ独立に炭化水素基)等が挙げられる。上記置換基に含まれる水素は、炭化水素基によって置換されていても良い。また、上記置換基に含まれる炭化水素基は、直鎖、分岐、及び環状のいずれでも良い。
中でも、Rの有機基中の炭化水素基以外の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシル基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ヒドロキシイミノ基、飽和又は不飽和アルキルエーテル基、飽和又は不飽和アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、及びアリールチオエーテル基が好ましい。
としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜10のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数4〜13のシクロアルキル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数4〜13のシクロアルケニル基;フェノキシメチル基、2−フェノキシエチル基、4−フェノキシブチル基等の炭素数7〜16のアリールオキシアルキル基(−ROAr基);ベンジル基、3−フェニルプロピル基等の炭素数7〜20のアラルキル基;シアノメチル基、β−シアノエチル基等のシアノ基をもつ炭素数2〜11のアルキル基;ヒドロキシメチル基等の水酸基をもつ炭素数1〜10のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基、アセトアミド基、ベンゼンスルホナミド基(CHSONH−)等の炭素数2〜11のアミド基、メチルチオ基、エチルチオ基等の炭素数1〜10のアルキルチオ基(−SR基)、アセチル基、ベンゾイル基等の炭素数1〜10のアシル基、メトキシカルボニル基、アセトキシ基等の炭素数2〜11のエステル基(−COOR基及び−OCOR基)、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、トリル基等の炭素数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換した炭素数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換したベンジル基、シアノ基、及びメチルチオ基(−SCH)であることが好ましい。また、上記のアルキル部分は直鎖でも分岐状でも環状でも良い。
次に、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基又は有機基であり、同一であっても異なっていても良い。R、R、R及びRは、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していても良く、当該環状構造はヘテロ原子の結合を含んでいても良い。R〜Rにおける有機基は、通常、1価の有機基であるが、後述する環状構造を形成する場合等には、2価以上の有機基となり得る。
但し、上記Rが水素である場合には、R、R、R及びRは、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成しており、当該環状構造はヘテロ原子の結合を含んでいても良いものである。
上記Rが水素である場合には、R、R、R及びRのいずれかの2つ以上が結合して環状構造を形成することにより、R、R、R及びRが結合しているベンゼン環の電子状態が変化するため、式(1)中の(−CR=CH−C(=O)−)部分がシス体へと異性化しやすくなり、加熱のみによって塩基を発生するのではないかと推定される。
〜Rにおけるハロゲン、有機基、有機基中の炭化水素基以外の結合、及び、有機基中の炭化水素基以外の置換基としては、前記Rで記載したものと同様のものを用いることができる。
また、上記Rが水素である場合には、R〜Rは、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成しているものであるが、当該環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環、並びに当該脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環よりなる群から選ばれる2種以上が組み合されてなる構造であっても良い。例えば、R〜Rは、それらの2つ以上が結合して、R〜Rが結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、インデン等の縮合環炭化水素や、キサンテン、チオキサントン等の縮合複素環化合物を形成していても良い。
〜Rの2つ以上が結合して環状構造を形成している構造としては、例えば、以下の構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2011084562
(式中、R及びR、並びに、R、R、R及びRは、それぞれ式(1)と同様である。Rは、環状構造に更に有していてもよい置換基を表し、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基又は有機基である。mは0又は1以上の整数である。m個のRは、同一であっても異なっていても良い。Xは、2つの酸素原子と結合可能な連結基である。)
上記化学式におけるXは、ヘテロ原子を含んでいてもよく、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状の飽和又は不飽和脂肪族、或いは芳香族炭化水素基、ヘテロ原子を含んでいてもよく、置換基を有していてもよいケイ素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のケイ素−ケイ素二重結合を含んでいてもよいケイ化水素基、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、スルホニル結合、及び、スルフィニル結合よりなる群から選ばれる連結基であることが好ましい。例えば、Xとしては、−CH−、−CHR−、−CR(OR)−(ここで、Rはアルキル基)、−(CH−等の置換基を有していても良いアルキレン基、−CH=CH−、オルトフェニレン基、−SiH−などを挙げることができる。
上記Rが水素である場合には、R〜Rは、それらの2つ以上が結合して、R〜Rが結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、インデン等の縮合環炭化水素や、キサンテン、チオキサントン等の縮合複素環化合物を形成していることが、電子状態の変化が大きくなり塩基発生温度が下がる点から好ましい。
また、上記Rが水素である場合には、R〜Rは、酸素や硫黄等のヘテロ原子を含む、複素環式化合物を形成していることが、電子状態の変化が大きくなり塩基発生温度が下がる点から、好ましい。
一方、上記Rが水素以外の置換基である場合には、R〜Rとしては、全て水素原子でもよく、特に制限されない。R〜Rのいずれかが置換基を有する場合の置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜13のシクロアルキル基、炭素数4〜13のシクロアルケニル基、炭素数7〜16のアリールオキシアルキル基(−ROAr基)、炭素数7〜20のアラルキル基、シアノ基をもつ炭素数2〜11のアルキル基、水酸基をもつ炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜11のアミド基、炭素数1〜10のアルキルチオ基(−SR基)、炭素数1〜10のアシル基、炭素数2〜11のエステル基、炭素数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換した炭素数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換したベンジル基、シアノ基、及びメチルチオ基(−SCH)等が好ましい。また、上記のアルキル部分は直鎖でも分岐状でも環状でも良い。
また、化学式(1)で表される構造は、幾何異性体が存在するが、トランス体のみを用いることが好ましい。しかし、合成および精製工程および保管時などにおいて幾何異性体であるシス体が混ざる可能性もあり、この場合トランス体とシス体の混合物を用いても良いが、溶解性コントラストを高められる点から、シス体の割合が10%未満であることが好ましい。
上記化学式(1)で表される熱塩基発生剤において、熱で一番分解しやすい結合はアミド結合であるため、熱分解がすなわちアミン発生となる。従って、上記化学式(1)で表される熱塩基発生剤は、熱分解開始温度が40℃以上350℃以下であることが好ましい。熱分解開始温度が高い場合には、高温プロセスに起因する回路配線等の歩留まりの低下等が懸念される。一方で、熱分解開始温度が低すぎると、保存安定性が損なわれる恐れがある。
なお、本発明において、化学式(1)で表される熱塩基発生剤の熱分解開始温度は、以下の固体状態、又は溶液中において測定された熱分解温度のうち最も低い温度をいう。
固体状態としては、化学式(1)で表される熱塩基発生剤の5%重量減少温度を指標とする。ここで5%重量減少温度とは、熱重量分析装置を用いて重量減少を測定した時に、サンプルの重量が初期重量から5%減少した時点(すなわち、サンプル重量が初期の95%となった時点)の温度である。
また、溶液中としては、化学式(1)で表される熱塩基発生剤の2mg/mL溶液のNMR測定において、塩基を10モル%発生する温度を指標とする。塩基を10モル%発生する温度は、例えば、熱塩基発生剤を、重DMSO等の重水素化溶媒に2mg/mL溶かしてNMR測定用溶液を調製して、順次加熱した試料を作製する。当該順次加熱した試料を、NMR装置(例えば、400MHzのNMR装置、具体例:日本電子(株)製、JEOL JNM−LA400WB)を用いて、H−NMR測定を行い、熱塩基発生剤から発生した塩基量(モル%)を測定することによって得られる。
上記固体状態での5%重量減少温度は、上記溶液中での熱分解温度よりも高くなる傾向がある。また、上記固体状態での5%重量減少温度は、高分子前駆体と熱塩基発生剤からなる塗膜において発生された塩基により高分子前駆体の反応が開始する温度よりも高くなる傾向がある。これは、式(1)中の(−CR=CH−C(=O)−)部分がシス体へ異性化するための分子の回転には、ある程度の空間が必要だが、単体で固体状態での熱塩基発生剤はその空間が確保され難いためではないかと推定される。高分子前駆体組成物として塗膜中で用いられる際には、熱塩基発生剤は高分子前駆体中に分散されているため、高分子前駆体組成物中での熱塩基発生剤の熱分解温度は、上記単体での固体状態での熱分解温度よりも溶液中の熱分解温度の方により近いのではないかと推定される。
上記化学式(1)で表される熱塩基発生剤において、熱分解開始温度は、組み合わせる高分子前駆体により、適宜調整されることが好ましい。上記化学式(1)で表される熱分解開始温度は、上記置換基R並びにR〜Rを適宜選択することにより、調整することができる。
例えば、高分子前駆体として、ポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体と組み合わせて用いる場合には、上記化学式(1)で表される熱塩基発生剤において、熱分解開始温度が100℃以上350℃以下であることが好ましく、更に150℃以上250℃以下であることが好ましい。ポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体の場合、塗膜を形成する際にN−メチル−2−ピロリドンなどの高沸点溶媒を用いる必要があるが、このように5%重量減少温度が高い場合には残留溶媒の影響が少なくなるような乾燥条件で塗膜を形成することができる。
一方、高分子前駆体として、エポキシ基、イソシアネート基、オキセタン基、又はチイラン基を有する化合物及び高分子、ポリシロキサン前駆体と組み合わせて用いる場合には、上記化学式(1)で表される熱塩基発生剤において、熱分解開始温度が40℃以上200℃以下であることが好ましく、更に50℃以上150℃以下であることが好ましい。エポキシ基、イソシアネート基、オキセタン基、又はチイラン基を有する化合物及び高分子、ポリシロキサン前駆体の場合、上記のポリイミド前駆体等と比べて硬化に必要な温度が低いため、塩基が発生する温度は比較的低温であることが好ましいからである。
また、発生する塩基の沸点が25℃以上であることが、室温での取り扱い性が良好になることから好ましい。発生する塩基の沸点が25℃以上でない場合には、塗膜とした際に、特に乾燥時に生成したアミンが蒸発しやすくなってしまうため作業が困難となる恐れがある。また、発生する塩基を、膜中に残存しない硬化促進剤として用いる場合には、発生する塩基の350℃における重量減少が80%以上であると、硬化後の高分子中に塩基が残存するのを抑制しやすい点から好ましい。但し、発生する塩基を、膜中に残存する架橋剤乃至硬化剤として用いる場合は、発生する塩基の上記重量減少は問題にならない。
前記式(1)で表される熱塩基発生剤を用いる際の、塩基を発生させるための加熱温度としては、組み合わせる高分子前駆体や目的により適宜選択され、特に限定されない。反応速度を高くし、効率よく塩基を発生させる点から、塩基を発生させるための加熱温度としては、30℃以上であることが好ましく、更に好ましくは60℃以上、より更に好ましくは100℃以上、特に好ましくは120℃以上である。
また、前記式(1)で表される熱塩基発生剤の塩基発生以外の分解を防ぐために、300℃以下で加熱することが好ましい。
本発明の前記式(1)で表される熱塩基発生剤の合成方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
前記式(1)のRに置換基を導入する場合、まず、各置換基を導入したヒドロキシフェニル−(C=O)−R(例えば、Rがメチル基の場合は、各置換基を導入した2’−ヒドロキシフェニルメチルケトン)の合成を行う。たとえば、対応する置換基を有するフェノールに、Friedel-Craftsアシル化反応を行うことで、各置換基を導入したヒドロキシフェニル−(C=O)−Rの合成できる。次に、各置換基を導入したヒドロキシフェニル−(C=O)−Rに、wittig反応、Knoevenagel反応、又はPerkin反応を行うことで、各置換基を導入した桂皮酸誘導体の合成を行う。そして、上記各置換基を導入した桂皮酸誘導体に、適宜選択されたアミンや塩基性物質を縮合し、目的物を得ることができる。
また、前記式(1)のRが水素原子の場合、まず、各置換基を導入したヒドロキシベンズアルデヒドの合成を行う。各置換基を導入したヒドロキシベンズアルデヒドの合成は、対応する置換基を有するフェノールにDuff反応やVilsmeier−Haack反応を行うことで合成できる。次に、各置換基を導入したヒドロキシベンズアルデヒドに、上記と同様にして各置換基を導入した桂皮酸誘導体の合成を行う。そして、上記各置換基を導入した桂皮酸誘導体に、適宜選択されたアミンや塩基性物質を縮合し、目的物を得ることができる。
本発明の熱塩基発生剤の合成方法はこれに限定されるものではない。本発明の熱塩基発生剤は、複数の従来公知の合成ルートを組み合わせて合成することができる。
<高分子前駆体組成物>
本発明に係る高分子前駆体組成物は、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体、及び、前記本発明に係る下記化学式(1)で表わされ且つ加熱により塩基を発生する熱塩基発生剤を含有することを特徴とする。
Figure 2011084562
(式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素又は有機基であり、同一であっても異なっていても良い。R及びRは、それらが結合して環状構造を形成していても良く、ヘテロ原子の結合を含んでいても良い。但し、R及びRの少なくとも1つは有機基である。Rは、水素、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、又は有機基である。R、R、R及びRは、水素、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基又は有機基であり、同一であっても異なっていても良い。R、R、R及びRは、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していても良く、当該環状構造はヘテロ原子の結合を含んでいても良い。但し、Rが水素である場合には、R、R、R及びRは、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成しており、当該環状構造はヘテロ原子の結合を含んでいても良い。)
上述のように、前記式(1)で表される熱塩基発生剤は、上記特定の構造を有することにより、加熱により(−CR=CH−C(=O)−)部分がシス体へと異性化し、さらに加熱されることにより塩基(NHR)を発生する。また、高分子前駆体は、前記熱塩基発生剤から発生した塩基の作用によって最終生成物への反応が促進される。その結果、本発明の高分子前駆体組成物は、保存安定性が良好でありながら、より低温で高分子前駆体から高分子に変換でき、且つ、アウトガスを発生し難いという効果を奏する。本発明の高分子前駆体組成物は、反応に要する処理温度を低減できる為、プロセスへの負荷や製品への熱によるダメージを低減することが可能である。また、使用される塩基は、酸と異なり、金属の腐食を起こさないため、より信頼性の高い硬化膜を得ることが出来る。なお、より低温で高分子前駆体から高分子に変換する態様には、塩基の作用のみによって高分子に変換する態様も含まれる。
本発明の高分子前駆体組成物は、典型的には、非感光性樹脂組成物乃至熱硬化性樹脂組成物として用いられる。しかしながら、高分子前駆体自体に感光性部位を有するか、感光性成分を更に添加する場合には、感光性樹脂組成物として機能してもよい。
以下、本発明に係る高分子前駆体組成物の構成成分を説明するが、本発明に係る高分子前駆体組成物に用いられる熱塩基発生剤については、上記本発明に係る熱塩基発生剤と同様のものを用いることができるので、ここでの説明を省略する。従って、高分子前駆体、並びに、必要に応じて適宜含むことができるその他の成分について順に説明する。
熱塩基発生剤及び高分子前駆体としては、1種単独で用いても良いし、2種以上混合して用いても良い。
<高分子前駆体>
本発明の高分子前駆体組成物に用いる高分子前駆体とは、反応により最終的に目的の物性を示す高分子となる物質を意味し、当該反応には分子間反応及び分子内反応がある。高分子前駆体自体は、比較的低分子の化合物であっても高分子化合物であってもよい。
また、本発明の高分子前駆体は、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される化合物である。ここで、高分子前駆体が、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される態様には、高分子前駆体が塩基性物質の作用のみによって最終生成物に変化する態様のみならず、塩基性物質の作用によって高分子前駆体の最終生成物への反応温度が、塩基性物質の作用がない場合に比べて低下するような態様が含まれる。
本発明の高分子前駆体としては、上記の様な塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進されるものであれば特に制限なく使用が可能である。下記に代表的な例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
[分子間反応により高分子となる高分子前駆体]
分子間反応により目的の高分子となる高分子前駆体としては、反応性置換基を有し重合反応をする化合物及び高分子、又は、分子間に結合を形成する反応(架橋反応)をする化合物及び高分子がある。当該反応性置換基としては、エポキシ基、オキセタン基、チイラン基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、シラノール基等が挙げられる。また、高分子前駆体には、分子間で加水分解・重縮合する化合物も含まれ、反応性置換基には、ポリシロキサン前駆体の−SiX(ここで、Xはアルコキシ基、アセトキシ基、オキシム基、エノキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基、及びハロゲンよりなる群から選択される加水分解性基)も挙げられる。
反応性置換基を有し重合反応をする化合物としては、例えば、1個以上のエポキシ基を有する化合物、1個以上のオキセタン基を有する化合物、及び1個以上のチイラン基を有する化合物が挙げられる。
反応性置換基を有し重合反応をする高分子としては、例えば、2個以上のエポキシ基を有する高分子(エポキシ樹脂)、2個以上のオキセタン基を有する高分子、及び2個以上のチイラン基を有する高分子が挙げられる。下記に特にエポキシ基を有する化合物及び高分子について具体的に説明するが、オキセタン基、チイラン基を有する化合物及び高分子についても同様に用いることが可能である。
(エポキシ基を有する化合物及び高分子)
上記1個以上のエポキシ基を有する化合物及び高分子としては、分子内に1個以上のエポキシ基を有するものであれば特に制限なく、従来公知のものを使用できる。
前記熱塩基発生剤は、一般的には分子内に1個以上のエポキシ基を有する化合物の硬化触媒としての機能も有する。
分子内に1個以上のエポキシ基を有する化合物又は分子内に2個以上のエポキシ基を有する高分子(エポキシ樹脂)を用いる場合は、エポキシ基との反応性を有する官能基を分子内に二つ以上有する化合物を併用してもよい。ここでエポキシ基との反応性を有する官能基とは、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、メルカプト基、1級又は2級の芳香族アミノ基等が挙げられる。これらの官能基は、3次元硬化性を考慮して、一分子中に2つ以上有することが特に好ましい。
また、重量平均分子量3,000〜100,000のポリマー側鎖に上記官能基を導入したものを用いることが好ましい。3,000未満では膜強度の低下及び硬化膜表面にタック性が生じ、不純物等が付着しやすくなる恐れがある。また、100,000より大きいと粘度が増大する恐れがあり好ましくない。
分子内に1個以上のエポキシ基を有する高分子としては、例えば、エポキシ樹脂が挙げられ、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから誘導されるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンから誘導されるビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂や4官能型エポキシ樹脂等の多官能型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂等があり、これらのエポキシ樹脂はハロゲン化されていてもよく、水素添加されていてもよい。市販されているエポキシ樹脂製品としては、例えばジャパンエポキシレジン株式会社製のJERコート828、1001、801N、806、807、152、604、630、871、YX8000、YX8034、YX4000、DIC株式会社製のエピクロン830、EXA835LV、HP4032D、HP820、株式会社ADEKA製のEP4100シリーズ、EP4000シリーズ、EPUシリーズ、ダイセル化学株式会社製のセロキサイドシリーズ(2021、2021P、2083、2085、3000等)、エポリードシリーズ、EHPEシリーズ、新日鐵化学社製のYDシリーズ、YDFシリーズ、YDCNシリーズ、YDBシリーズ、フェノキシ樹脂(ビスフェノール類とエピクロルヒドリンより合成されるポリヒドロキシポリエーテルで両末端にエポキシ基を有する;YPシリーズ等)、ナガセケムテックス社製のデナコールシリーズ、共栄社化学社製のエポライトシリーズ等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらのエポキシ樹脂は、2種以上を併用してもよい。これらの中で、他の各種のエポキシ化合物と比較すると分子量の異なるグレードが広く入手可能で、接着性や反応性等を任意に設定できる点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。
一方、分子間で架橋反応をする化合物としては、例えば、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物及び分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する化合物の組み合わせが挙げられ、当該イソシアネート基とヒドロキシル基との反応により、分子間にウレタン結合が形成され高分子となり得る。
分子間で架橋反応をする高分子としては、例えば、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する高分子(イソシアネート樹脂)と分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する高分子(ポリオール)の組み合わせが挙げられる。
また、分子間で架橋反応をする化合物と高分子の組み合わせを用いても良い。例えば、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する高分子(イソシアネート樹脂)と分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する化合物の組み合わせ、及び、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する高分子(ポリオール)の組み合わせ等が挙げられる。
(イソシアネート基を有する化合物及び高分子)
イソシアネート基をもつ化合物及び高分子としては、分子内に2個以上のイソシアネート基を有するものであれば特に制限なく、公知のものを使用できる。このような化合物としては、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等に代表される低分子化合物の他に、オリゴマー、重量平均分子量3,000以上のポリマーの側鎖又は末端にイソシアネート基が存在する高分子を用いてもよい。
(ヒドロキシル基を有する化合物及び高分子)
前記イソシアネート基を持つ化合物及び高分子は、通常、分子内にヒドロキシル基を持つ化合物と組み合わせて用いられる。このようなヒドロキシル基を有する化合物としては、分子内に2個以上のヒドロキシル基を有するものであれば特に制限なく、公知のものを使用できる。このような化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子化合物の他に、重量平均分子量3,000以上のポリマーの側鎖又は末端にヒドロキシル基が存在する高分子を用いてもよい。
(ポリシロキサン前駆体)
分子間で加水分解・重縮合する化合物としては、たとえばポリシロキサン前駆体が挙げられる。
ポリシロキサン前駆体としては、YnSiX(4−n)(ここで、Yは置換基を有していても良いアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、フェニル基、または水素を示し、Xはアルコキシ基、アセトキシ基、オキシム基、エノキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基、及びハロゲンよりなる群から選択される加水分解性基を示す。nは0〜3までの整数である。) で示される有機ケイ素化合物及び当該有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物が挙げられる。中でも、上記式においてnが0〜2であるものが好ましい。また、シリカ分散オリゴマー溶液の調製がし易く入手も容易な点から、上記加水分解性基としては、アルコキシ基であるものが好ましい。
上記有機ケイ素化合物としては、特に制限なく、公知のものを使用できる。例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリクロルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、フッ素系シランカップリング剤として知られたフルオロアルキルシラン、および、それらの加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物;並びに、それらの混合物を挙げることができる。
[分子内閉環反応により高分子となる高分子前駆体]
分子内閉環反応によって最終的に目的の物性を示す高分子となる高分子前駆体としてはポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体等がある。これらの前駆体は2種類以上の別々に合成した高分子前駆体の混合物でもよい。
以下、本発明の好ましい高分子前駆体であるポリイミド前駆体とポリベンゾオキサゾール前駆体について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(ポリイミド前駆体)
ポリイミド前駆体としては、下記化学式(3)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸が好適に用いられる。
Figure 2011084562
(式(3)中、Rは4価の有機基である。R10は2価の有機基である。R11及びR12は、水素原子、又は1価の有機基である。nは1以上の自然数である。)
11及びR12が1価の有機基である場合としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、及び、これらにエーテル結合を含有したC2nOC2m+1などで表される構造等を挙げることができる。
ポリイミド前駆体としては、R11及びR12が水素原子であるようなポリアミック酸が、アルカリ現像性の点から好適に用いられる。
なお、Rの4価は酸と結合するための価数のみを示しているが、他に更なる置換基を有していても良い。同様に、R10の2価はアミンと結合するための価数のみを示しているが、他に更なる置換基を有していても良い。
ポリアミック酸は、酸二無水物とジアミンを溶液中で混合するのみで得られるので、1段階の反応で合成することができ、合成が容易で低コストで入手できるので好ましい。
また、用いる高分子前駆体がポリアミック酸である場合、塩基性物質の触媒効果によりイミド化に要する温度が低くても十分な為、最終キュア温度を300℃未満、更に好ましくは250℃以下まで下げることが可能である。従来のポリアミック酸はイミド化するために最終キュア温度を300℃以上とする必要があった為、用途が制限されていたが、最終キュア温度を下げることが可能になったことによって、より広範囲の用途に適用が可能である。
ポリアミック酸は、酸二無水物とジアミンの反応により得られるが、最終的に得られるポリイミドに優れた耐熱性及び寸法安定性を付与する点から、前記化学式(3)において、R又はR10が芳香族化合物であることが好ましく、R及びR10が芳香族化合物であることがより好ましい。またこのとき、前記化学式(3)のRにおいて、当該Rに結合している4つの基((−CO−)(−COOH))は同一の芳香環に結合していても良く、異なる芳香環に結合していても良い。同様に、前記化学式(3)のR10において、当該R10に結合している2つの基((−NH−))は同一の芳香環に結合していても良く、異なる芳香環に結合していても良い。
また、前記化学式(3)で表されるポリアミック酸は、単一の繰り返し単位からなるものでも、2種以上の繰り返し単位から成るものでもよい。
本発明のポリイミド前駆体を製造する方法としては、従来公知の手法を適用することができる。例えば、(1)酸二無水物とジアミンから前駆体であるポリアミド酸を合成する手法。(2)酸二無水物に1価のアルコールやアミノ化合物、エポキシ化合物等を反応させ合成した、エステル酸やアミド酸モノマーのカルボン酸に、ジアミノ化合物やその誘導体を反応させてポリイミド前駆体を合成する手法などが挙げられるがこれに限定されない。
本発明のポリイミド前駆体を得るための反応に適用可能な酸二無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物;ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、1,4−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、
2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、4,4’−ビス〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、4,4’−ビス〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ぺリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、ピリジンテトラカルボン酸二無水物、スルホニルジフタル酸無水物、m−ターフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、p−ターフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。そして、特に好ましく用いられるテトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物が挙げられる。
併用する酸二無水物としてフッ素が導入された酸二無水物や、脂環骨格を有する酸二無水物を用いると、透明性を損なわずに溶解性や熱膨張率等の物性を調整することが可能である。また、ピロメリット酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などの剛直な酸二無水物を用いると、最終的に得られるポリイミドの線熱膨張係数が小さくなるが、透明性の向上を阻害する傾向があるので、共重合割合に注意しながら併用してもよい。
一方、アミン成分も、1種類のジアミン単独で、または2種類以上のジアミンを併用して用いることができる。用いられるジアミン成分は限定されず、p−フェニレンジアミン、
m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、
ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン等の芳香族アミン;
1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン等の脂肪族アミン;
1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等の脂環式ジアミンが挙げられる。グアナミン類としては、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンなどを挙げることができ、また、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てをフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換したジアミンも使用することができる。
さらに目的に応じ、架橋点となるエチニル基、ベンゾシクロブテン−4’−イル基、ビニル基、アリル基、シアノ基、イソシアネート基、及びイソプロペニル基のいずれか1種又は2種以上を、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てに置換基として導入しても使用することができる。
ジアミンは、目的の物性によって選択することができ、p−フェニレンジアミンなどの剛直なジアミンを用いれば、最終的に得られるポリイミドは低膨張率となる。剛直なジアミンとしては、同一の芳香環に2つアミノ基が結合しているジアミンとして、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2、6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、1,4―ジアミノアントラセンなどが挙げられる。
さらに、2つ以上の芳香族環が単結合により結合し、2つ以上のアミノ基がそれぞれ別々の芳香族環上に直接又は置換基の一部として結合しているジアミンが挙げられ、例えば、下記式(4)により表されるものがある。具体例としては、ベンジジン等が挙げられる。
Figure 2011084562
(化学式(4)中、aは1以上の自然数、アミノ基はベンゼン環同士の結合に対して、メタ位または、パラ位に結合する。)
さらに、上記式(4)において、他のベンゼン環との結合に関与せず、ベンゼン環上のアミノ基が置換していない位置に置換基を有するジアミンも用いることができる。これら置換基は、有機基であるがそれらは互いに結合していてもよい。
具体例としては、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル等が挙げられる。
最終的に得られるポリイミドを光導波路、光回路部品として用いる場合には、芳香環の置換基としてフッ素を導入すると1μm以下の波長の電磁波に対しての透過率を向上させることができる。
一方、ジアミンとして、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンなどのシロキサン骨格を有するジアミンを用いると、最終的に得られるポリイミドの弾性率が低下し、ガラス転移温度を低下させることができる。
ここで、選択されるジアミンは耐熱性の観点より芳香族ジアミンが好ましいが、目的の物性に応じてジアミンの全体の60モル%、好ましくは40モル%を超えない範囲で、脂肪族ジアミンやシロキサン系ジアミン等の芳香族以外のジアミンを用いても良い。
一方、ポリイミド前駆体を合成するには、例えば、アミン成分として4,4’−ジアミノジフェニルエーテルをN−メチルピロリドンなどの有機極性溶媒に溶解させた溶液を冷却しながら、そこへ等モルの3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を徐々に加え撹拌し、ポリイミド前駆体溶液を得ることができる。
このようにして合成されるポリイミド前駆体は、最終的に得られるポリイミドに耐熱性及び寸法安定性を求める場合には、芳香族酸成分及び/又は芳香族アミン成分の共重合割合ができるだけ大きいことが好ましい。具体的には、イミド構造の繰り返し単位を構成する酸成分に占める芳香族酸成分の割合が50モル%以上、特に70モル%以上であることが好ましく、イミド構造の繰り返し単位を構成するアミン成分に占める芳香族アミン成分の割合が40モル%以上、特に60モル%以上であることが好ましく、全芳香族ポリイミドであることが特に好ましい。
<ポリベンゾオキサゾール前駆体>
本発明に用いられるポリベンゾオキサゾール前駆体としては、下記化学式(5)で表される繰り返し単位を有するポリアミドアルコールが好適に用いられる。
ポリアミドアルコールは、従来公知の方法で合成することが可能で、例えば、ジカルボン酸ハロゲン化物などのジカルボン酸誘導体とジヒドロキシジアミンとを有機溶媒中で付加反応することにより得られる。
Figure 2011084562
(化学式(5)中、R13は2価の有機基である。R14は4価の有機基である。nは1以上の自然数である。)
なお、R13の2価は酸と結合するための価数のみを示しているが、他に更なる置換基を有していても良い。同様に、R14の4価はアミン及びヒドロキシル基と結合するための価数のみを示しているが、他に更なる置換基を有していても良い。
前記化学式(5)で表される繰り返し単位を有するポリアミドアルコールは、最終的に得られるポリベンゾオキサゾールに優れた耐熱性及び寸法安定性を付与する点から、前記化学式(5)において、R13及びR14が芳香族化合物であることが好ましく、R13及びR14が芳香族化合物であることがより好ましい。またこのとき、前記化学式(5)のR13において、当該R13に結合している2つの基(−CO−)は同一の芳香環に結合していても良く、異なる芳香環に結合していても良い。同様に、前記化学式(5)のR14において、当該R14に結合している4つの基((−NH−)(−OH))は同一の芳香環に結合していても良く、異なる芳香環に結合していても良い。
また、前記化学式(5)で表されるポリアミドアルコールは、単一の繰り返し単位からなるものでも、2種以上の繰り返し単位からなるものでもよい。
上記ポリベンゾオキサゾール前駆体を得るための反応に適用可能なジカルボン酸およびその誘導体としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸、3,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸、3,3’−ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、3,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、3,3’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、3,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、3,3’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデン二安息香酸、4,4’−ジカルボキシジフェニルアミド、1,4−フェニレンジエタン酸、1,1−ビス(4−カルボキシフェニル)−1−フェニル−2,2,2−トリフルオロエタン、ビス(4−カルボキシフェニル)テトラフェニルジシロキサン、ビス(4−カルボキシフェニル)テトラメチルジシロキサン、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン、ビス(4−カルボキシフェニル)メタン、5−t−ブチルイソフタル酸、5−ブロモイソフタル酸、5−フルオロイソフタル酸、5−クロロイソフタル酸、2,2−ビス−(p−カルボキシフェニル)プロパン、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)二安息香酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、もしくはこれらの酸ハロゲン化物、およびヒドロキシベンゾトリアゾール等との活性エステル体などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらは単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いられる。
また、ヒドロキシジアミンの具体例としては、例えば、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシベンゼン、3−ジアミノ−4,6−ジヒドロキシベンゼンなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いられる。
ポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体等の高分子前駆体の重量平均分子量は、その用途にもよるが、3,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、5,000〜500,000の範囲であることがさらに好ましく、10,000〜500,000の範囲であることがさらに好ましい。重量平均分子量が3,000未満であると、塗膜又はフィルムとした場合に十分な強度が得られにくい。また、加熱処理等を施しポリイミド等の高分子とした際の膜の強度も低くなる。一方、重量平均分子量が1,000,000を超えると粘度が上昇し、溶解性も低下しやすく、表面が平滑で膜厚が均一な塗膜又はフィルムが得られにくい。
ここで用いている分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値のことをいい、ポリイミド前駆体などの高分子前駆体そのものの分子量でも良いし、無水酢酸等で化学的イミド化処理を行った後のものでも良い。
なお、ポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体合成時における溶媒は、極性溶媒が望ましく、代表的なものとして、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルフォスホアミド、ピリジン、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等があり、これらの溶媒は単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いられる。この他にも溶媒として組合せて用いられるものとしてベンゼン、ベンゾニトリル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ブチロラクトン、キシレン、トルエン、シクロヘキサノン等の非極性溶媒が挙げられ、これらの溶媒は、原料の分散媒、反応調節剤、あるいは生成物からの溶媒の揮散調節剤、皮膜平滑剤などとして使用される。
<その他の成分>
本発明に係る高分子前駆体組成物は、前記化学式(1)で表される熱塩基発生剤と、1種類以上の高分子前駆体と、溶媒の単純な混合物であってもよいが、さらに、光又は熱硬化性成分、高分子前駆体以外の非重合性バインダー樹脂、その他の成分を配合して、高分子前駆体組成物を調製してもよい。
高分子前駆体組成物を溶解、分散又は希釈する溶剤としては、各種の汎用溶剤を用いることが出来る。また、前駆体としてポリアミド酸を用いる場合には、ポリアミド酸の合成反応により得られた溶液をそのまま用い、そこに必要に応じて他の成分を混合しても良い。
使用可能な汎用溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールモノエーテル類(いわゆるセロソルブ類);メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、前記グリコールモノエーテル類の酢酸エステル(例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、蓚酸ジメチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;塩化メチレン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、1−クロロプロパン、1−クロロブタン、1−クロロペンタン、クロロベンゼン、ブロムベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド等のアミド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドンなどのピロリドン類;γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等のラクトン類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホンなどのスルホン類、ヘキサメチルフォスホアミド等のリン酸アミド類、その他の有機極性溶媒類等が挙げられ、更には、ベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジン等の芳香族炭化水素類、及び、その他の有機非極性溶媒類等も挙げられる。これらの溶媒は単独若しくは組み合わせて用いられる。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等の極性溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素類、及び、これらの溶媒からなる混合溶媒が好適なものとして挙げられる。
光硬化性成分としては、エチレン性不飽和結合を1つ又は2つ以上有する化合物を用いることができ、例えば、アミド系モノマー、(メタ)アクリレートモノマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、スチレン等の芳香族ビニル化合物を挙げることができる。また、ポリイミド前駆体が、ポリアミック酸等のカルボン酸成分を構造内に有する場合には、3級アミノ基を有するエチレン性不飽和結合含有化合物を用いると、ポリイミド前駆体のカルボン酸とイオン結合を形成し、高分子前駆体組成物としたときの露光部、未露光部の溶解速度のコントラストが大きくなる。
このようなエチレン性不飽和結合を有する光硬化性化合物を用いる場合には、さらに光ラジカル発生剤を添加してもよい。光ラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン等のアセトフェノン;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリ−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン及び2−アミルアントラキノン等のアントラキノン;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン及び2,4−ジイソピルチオキサントン等のチオキサントン;アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケタール等のケタール;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等のモノアシルホスフィンオキシドあるいはビスアシルホスフィンオキシド類;ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;並びにキサントン類等が挙げられる。
本発明の高分子前駆体組成物には、本発明の効果を妨げない限り、本発明の熱塩基発生剤の補助的な役割として、光によって酸又は塩基を発生させる感光性成分を加えても良い。また、塩基増殖剤や増感剤を加えてもよい。
本発明に係る樹脂組成物に加工特性や各種機能性を付与するために、その他に様々な有機又は無機の低分子又は高分子化合物を配合してもよい。例えば、染料、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、微粒子等を用いることができる。微粒子には、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の有機微粒子、コロイダルシリカ、カーボン、層状珪酸塩等の無機微粒子等が含まれ、それらは多孔質や中空構造であってもよい。また、その機能又は形態としては顔料、フィラー、繊維等がある。
本発明に係る高分子前駆体組成物において、前記高分子前駆体(固形分)は、得られるパターンの膜物性、特に膜強度や耐熱性の点から、高分子前駆体組成物の固形分全体に対し、30重量%以上、50重量%以上含有することが好ましい。
前記化学式(1)で表される熱塩基発生剤は、高分子前駆体組成物に含まれる高分子前駆体の固形分に対し、通常、0.1〜95重量%、好ましくは0.5〜60重量%の範囲内で含有させる。0.1重量%未満であると硬化が十分でない恐れがあり、95重量%を超えると最終的に得られる樹脂硬化物の特性が最終生成物に反映されにくい。
エポキシ系化合物と組み合わせる場合など、硬化剤として用いられる場合には、硬化の程度にもよるが通常、0.1〜95重量%、好ましくは0.5〜60重量%の範囲内で含有させる。
一方、硬化促進剤として用いられる場合には、少量の添加で硬化が可能となり、前記化学式(1)で表される熱塩基発生剤は、高分子前駆体組成物に含まれる高分子前駆体の固形分に対し、通常、0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%の範囲内で含有させることが好ましい。
なお、高分子前駆体組成物の固形分とは、溶剤以外の全成分であり、液状のモノマー成分も固形分に含まれる。
また、その他の溶剤以外の任意成分の配合割合は、高分子前駆体組成物の固形分全体に対し、0.1重量%〜95重量%の範囲が好ましい。0.1重量%未満だと、添加物を添加した効果が発揮されにくく、95重量%を超えると、最終的に得られる樹脂硬化物の特性が最終生成物に反映されにくい。
本発明に係る高分子前駆体組成物は、さまざまなコーティングプロセスや成形プロセスに用いられて、フィルムや3次元的形状の成形物を作製することができる。
本発明の高分子前駆体組成物の一実施形態としてポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体を高分子前駆体として用いた場合、得られるポリイミド及びポリベンゾオキサゾールは、耐熱性、寸法安定性、絶縁性等の特性を確保する点から、当該ポリイミド及びポリベンゾオキサゾールの窒素中で測定した5%重量減少温度は、250℃以上が好ましく、300℃以上がさらに好ましい。特に、はんだリフローの工程を通るような電子部品等の用途に用いる場合は、5%重量減少温度が300℃以下であると、はんだリフローの工程で発生した分解ガスにより気泡等の不具合が発生する恐れがある。
本発明の高分子前駆体組成物から得られるポリイミド及びポリベンゾオキサゾールのガラス転移温度は、耐熱性の観点からは高ければ高いほど良いが、光導波路のように熱成形プロセスが考えられる用途においては、120℃〜450℃程度のガラス転移温度を示すことが好ましく、200℃〜380℃程度のガラス転移温度を示すことがさらに好ましい。
ここで本発明におけるガラス転移温度は、高分子前駆体組成物から得られるポリイミド及びポリベンゾオキサゾールをフィルム形状にすることが出来る場合には、動的粘弾性測定によって、tanδ(tanδ=損失弾性率(E”)/貯蔵弾性率(E’))のピーク温度から求められる。動的粘弾性測定としては、例えば、粘弾性測定装置Solid Analyzer RSA II(Rheometric Scientific社製)によって、周波数3Hz、昇温速度5℃/minにより行うことができる。高分子前駆体組成物から得られるポリイミド及びポリベンゾオキサゾールをフィルム形状にできない場合には、示差熱分析(DTA)のベースラインの変曲点の温度で判断する。
本発明の高分子前駆体組成物から得られるポリイミド及びポリベンゾオキサゾールの寸法安定性の観点から、線熱膨張係数は60ppm以下が好ましく、40ppm以下がさらに好ましい。半導体素子等の製造プロセスにおいてシリコンウェハ上に膜を形成する場合には、密着性、基板のそりの観点から20ppm以下がさらに好ましい。
本発明における線熱膨張係数とは、本発明で得られる高分子前駆体組成物から得られるポリイミド及びポリベンゾオキサゾールのフィルムの熱機械分析装置(TMA)によって求めることができる。熱機械分析装置(例えば、Thermo Plus TMA8310((株)リガク製)によって、昇温速度を10℃/min、評価サンプルの断面積当たりの加重が同じになるように引張り加重を1g/25,000μmとして得られる。
以上に述べたように、本発明によれば、高分子前駆体に上記化学式(1)で表される熱塩基発生剤を混合するだけという簡便な手法で、より低温で高分子前駆体から高分子に変換でき、且つ、アウトガスを発生し難い、様々な用途に適用可能な高分子前駆体組成物を得ることができる。
化学式(1)で表される熱塩基発生剤を構成する芳香族成分含有カルボン酸、並びに、塩基性物質は比較的安価に入手することが可能なので、高分子前駆体組成物としての価格も抑えられる。
本発明に係る高分子前駆体組成物は、上記化学式(1)で表される熱塩基発生剤により、多種多様な高分子前駆体の最終生成物への反応促進に適用することができ、最終的に得られる高分子の構造を広範囲から選択することができる。
また、電磁波の照射により発生したアミンなどの塩基性物質の触媒効果により、例えばポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体から最終生成物へのイミド化などの環化等の反応に要する処理温度を低減できる為、プロセスへの負荷や製品への熱によるダメージを低減することが可能である。
更に、アウトガスを発生し難いことから、アウトガス発生に伴う問題を解決し、硬化膜の強度や外観が良好になる。
本発明に係る高分子前駆体組成物は、耐熱性、寸法安定性、絶縁性等の特性が有効とされる広範な分野、製品、例えば、塗料、印刷インキ、シール剤、又は接着剤、或いは、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical System(MEMS))、光学部材又は建築材料の形成材料として好適に用いられる。例えば具体的には、電子部品の形成材料としては、封止材料、層形成材料として、プリント配線基板、層間絶縁膜、配線被覆膜等に用いることができる。また、表示装置の形成材料としては、層形成材料や画像形成材料として、カラーフィルター、フレキシブルディスプレイ用フィルム、レジスト材料、配向膜等に用いることができる。また、半導体装置の形成材料としては、レジスト材料、バッファーコート膜のような層形成材料等に用いることができる。また、光学部品の形成材料としては、光学材料や層形成材料として、ホログラム、光導波路、光回路、光回路部品、反射防止膜等に用いることができる。また、建築材料としては、塗料、コーティング剤等に用いることができる。
また、本発明によれば、前記本発明に係る高分子前駆体組成物又はその硬化物により少なくとも一部分が形成されている、印刷物、塗料、シール剤、接着剤、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム、光学部材又は建築材料のいずれかの物品が提供される。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。尚、実施例中、部は特に特定しない限り重量部を表す。製造された熱塩基発生剤は、H NMR測定(日本電子(株)製、JEOL JNM−LA400WB)により、化学構造を確認した。
また、以下に示す装置を用いて各測定、実験を行った。
5%重量減少温度測定:(株)島津製作所製、示差熱・熱重量同時測定装置DTG−60
赤外線吸収スペクトル測定:バリアン・テクノロジーズ・ジャパン・リミテッド社製、FTS 7000
塗膜の加熱:アズワン(株)製、HOT PLATE EC−1200(本実施例中、ホットプレートと記載することがある)
(合成例1:ポリイミド前駆体の合成)
ジ(4−アミノフェニル)エーテル10.0g(50mmol)を300mLの3つ口フラスコに投入し、105.4mLの脱水されたN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解させ窒素気流下、氷浴で冷却しながら撹拌した。そこへ、少しずつ3,3’,4,4’ −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物14.7g(50mmol)を添加し、添加終了後、氷浴中で5時間撹拌し、その溶液を、脱水されたジエチルエーテルによって再沈殿し、その沈殿物を室温で減圧下、17時間乾燥し、重量平均分子量10,000のポリアミド酸(ポリイミド前駆体(1))を白色固体として定量的に得た。
(製造例1:熱塩基発生剤(1)の合成)
100mLフラスコ中、炭酸カリウム2.00gをメタノール15mLに加えた。50mLフラスコ中、エトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウム ブロミド(東京化成工業(株)製)2.67g(6.2mmol)、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド1.07g(6.2 mmol)(東京化成工業(株)製)をメタノール10mLに溶解し、よく撹拌した炭酸カリウム溶液にゆっくり滴下した。3時間撹拌した後、TLCにより反応の終了を確認したうえでろ過を行い炭酸カリウムを除き、減圧濃縮した。濃縮後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を50mL加え1時間撹拌した。反応終了後、ろ過によりトリフェニルホスフィンオキシドを除いた後、濃塩酸を滴下し反応液を酸性にした。沈殿物をろ過により集め、少量のクロロホルムにより洗浄することで3−(2−ヒドロキシ−1−ナフタレニル)−アクリル酸を1.20g得た。続いて、100 mL三口フラスコ中、3−(2−ヒドロキシ−1−ナフタレニル)−アクリル酸1.00g(4.67mmol)を脱水テトラヒドロキシフラン20mLに溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(東京化成工業(株)製) 1.07g(5.60mmol)を加えた。30分後、ピペリジン0.65ml(5.60mmol)(東京化成工業(株)製)を加え室温で一晩攪拌した。反応液を濃縮し、クロロホルムで抽出、希塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で洗浄し、ろ過することにより、下記化学式(6)で表される熱塩基発生剤(1)を480mg得た。
Figure 2011084562
(製造例2:熱塩基発生剤(2)の合成)
500mLナスフラスコ中、セサモール(東京化成工業(株)製)10.0g(72.4mmol)、ヘキサメチレンテトラミン(東京化成工業(株)製)15.2g(109mmol、1.5eq)をトリフルオロ酢酸(関東化学(株)製)100mlに溶解し、95℃で10時間反応を行った。反応終了後、氷浴下で1規定塩酸200mlを添加し15分間撹拌した。撹拌終了後、クロロホルムで抽出し、塩酸・飽和食塩水で洗浄を行うことにより6−ヒドロキシ−3,4−メチレンジオキシベンズアルデヒドを2.38g(14.3mmol)得た。
続いて、200mLフラスコ中、炭酸カリウム2.00gをメタノール20mLに加えた。100mLフラスコ中、エトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウムブロミド(東京化成工業(株)製)6.15g(14.3mmol)、6−ヒドロキシ−3,4−メチレンジオキシベンズアルデヒドを2.38g(14.3mmol)をメタノール25mLに溶解し、よく撹拌した炭酸カリウム溶液にゆっくり滴下した。3時間撹拌した後、薄層クロマトグラフィーにより反応の終了を確認したうえで、ろ過を行い炭酸カリウムを除き、減圧濃縮した。濃縮後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を30mL加え終夜で撹拌した。反応終了後、沈殿物をろ過により除き、濃塩酸を滴下し反応液を酸性にした。沈殿物をろ過により集め、少量のクロロホルムにより洗浄することで2−ヒドロキシ−4,5−メチレンジオキシケイ皮酸を2.90g(13.9mmol)得た。
続いて、窒素雰囲気下、100mL三口フラスコ中、2−ヒドロキシ−4,5−メチレンジオキシケイ皮酸2.90g(13.9mmol)を脱水テトラヒドロキシフラン40mLに溶解し、氷浴下で1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(東京化成工業(株)製)3.20g(16.7mmol、1.2eq)を加えた。30分後、ピペリジン(東京化成工業(株)製)1.65ml(16.7mmol、1.2eq)を加えたのち終夜で攪拌した。反応終了後、反応溶液を濃縮し、水に溶解した。クロロホルムで抽出した後、炭酸水素水溶液、1N塩酸、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥を行った。シリカゲルカラムクマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール100/1〜50/1)により精製することにより下記化学式(7)で表される熱塩基発生剤(2)を485mg(1.76mmol)得た。
Figure 2011084562
(製造例3:熱塩基発生剤(3)の合成)
100mLフラスコ中、炭酸カリウム2.00gをメタノール15mLに加えた。50mLフラスコ中、エトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウム ブロミド(東京化成工業(株)製)2.67g(6.2mmol)、1−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒド1.07g(6.2 mmol)(東京化成工業(株)製)をメタノール10mLに溶解し、よく撹拌した炭酸カリウム溶液にゆっくり滴下した。3時間撹拌した後、TLCにより反応の終了を確認したうえでろ過を行い炭酸カリウムを除き、減圧濃縮した。濃縮後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を50mL加え1時間撹拌した。反応終了後、ろ過によりトリフェニルホスフィンオキシドを除いた後、濃塩酸を滴下し反応液を酸性にした。沈殿物をろ過により集め、少量のクロロホルムにより洗浄することで3−(1−ヒドロキシ−2−ナフタレニル)−アクリル酸を1.31g得た。続いて、100 mL三口フラスコ中、3−(1−ヒドロキシ−2−ナフタレニル)−アクリル酸1.00g(4.67mmol)を脱水テトラヒドロキシフラン20mLに溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(東京化成工業(株)製) 1.07g(5.60mmol)を加えた。30分後、ピペリジン0.65ml(5.60mmol)(東京化成工業(株)製)を加え室温で一晩攪拌した。反応液を濃縮し、クロロホルムで抽出、希塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で洗浄し、ろ過することにより、下記化学式(8)で表される熱塩基発生剤(3)を520mg得た。
Figure 2011084562
(製造例4:熱塩基発生剤(4)の合成)
Journal of Heterocyclic Chemistry (1987), 24(3), 565-9.に記載の方法に従って、2-ヒドロキシ-1-アントラセンカルボキシアルデヒド(2-hydroxy-1-Anthracenecarboxaldehyde)を合成した。
100mLフラスコ中、炭酸カリウム2.00gをメタノール15mLに加えた。50mLフラスコ中、エトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウム ブロミド(東京化成工業(株)製)2.67g(6.2mmol)、2-ヒドロキシ-1-アントラセンカルボキシアルデヒド1.38g(6.2 mmol)をメタノール10mLに溶解し、よく撹拌した炭酸カリウム溶液にゆっくり滴下した。3時間撹拌した後、TLCにより反応の終了を確認したうえでろ過を行い炭酸カリウムを除き、減圧濃縮した。濃縮後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を50mL加え1時間撹拌した。反応終了後、ろ過によりトリフェニルホスフィンオキシドを除いた後、濃塩酸を滴下し反応液を酸性にした。沈殿物をろ過により集め、少量のクロロホルムにより洗浄することで3−(2−ヒドロキシ−1−アントラセニル)−アクリル酸を1.19g得た。続いて、100 mL三口フラスコ中、3−(2−ヒドロキシ−1−アントラセニル)−アクリル酸1.00g(3.78mmol)を脱水テトラヒドロキシフラン20mLに溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(東京化成工業(株)製) 0.87g(4.54mmol)を加えた。30分後、ピペリジン0.53ml(4.54mmol)(東京化成工業(株)製)を加え室温で一晩攪拌した。反応液を濃縮し、クロロホルムで抽出、希塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で洗浄し、ろ過することにより、下記化学式(9)で表される熱塩基発生剤(4)を380mg得た。
Figure 2011084562
(製造例5:熱塩基発生剤(5)の合成)
Catalysis Communications (2008), 9(5), 645-649を参考にして、2-ヘキシル-1,3-ベンゾジオキソールを合成した。
アルゴン気流下、200 ml四つ口フラスコに2-ヘキシル-1,3-ベンゾジオキソール (10.31 g, 50 mmol)、四酢酸鉛(東京化成工業(株)) (30.5 g, 55.0 mmol、1.1eq)、DMF(100 ml)を入れて撹拌し、80℃で5時間反応させた。反応終了後、放冷し、酢酸エチル、水を加えて抽出した。得られた有機相を全て併せ、水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別後、濃縮した。続いて、1N水酸化ナトリウム水溶液を50 ml加え終夜で撹拌した。反応終了後、酢酸エチル、抽出した。得られた有機相を全て併せ、水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別後、濃縮し、得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することで2−ヘキシルベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−オール(2-hexylbenzo[d][1,3]dioxol-5-ol)を1.3g得た。
100mLナスフラスコ中、2−ヘキシルベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−オール1.0g(4.50mmol)、ヘキサメチレンテトラミン(東京化成工業(株)製)0.94g(6.75mmol、1.5eq)をトリフルオロ酢酸(関東化学(株)製)10mlに溶解し、95℃で10時間反応を行った。反応終了後、氷浴下で1規定塩酸20mlを添加し15分間撹拌した。撹拌終了後、クロロホルムで抽出し、塩酸・飽和食塩水で洗浄を行うことにより2−ヘキシル−6−ヒドロキシベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−カルボアルデヒド(2-hexyl-6-hydroxybenzo[d][1,3]dioxole-5-carbaldehyde)を0.52g得た。
続いて、100mLフラスコ中、炭酸カリウム0.50gをメタノール10mLに加えた。100mLフラスコ中、エトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウムブロミド(東京化成工業(株)製)0.86g(2.0mmol)、2−ヘキシル−6−ヒドロキシベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−カルボアルデヒドを0.5g(2.0mmol)をメタノール25mLに溶解し、よく撹拌した炭酸カリウム溶液にゆっくり滴下した。3時間撹拌した後、薄層クロマトグラフィーにより反応の終了を確認したうえで、ろ過を行い炭酸カリウムを除き、減圧濃縮した。濃縮後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を30mL加え終夜で撹拌した。反応終了後、沈殿物をろ過により除き、濃塩酸を滴下し反応液を酸性にした。沈殿物をろ過により集め、少量のクロロホルムにより洗浄することで桂皮酸誘導体Aを0.45g得た。
続いて、窒素雰囲気下、100mL三口フラスコ中、桂皮酸誘導体A0.40g(1.37mmol)を脱水テトラヒドロキシフラン10mLに溶解し、氷浴下で1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(東京化成工業(株)製)0.30g(1.64mmol、1.2eq)を加えた。30分後、ピペリジン(東京化成(株)製)0.16ml(1.64mmol、1.2eq)を加えたのち終夜で攪拌した。反応終了後、反応溶液を濃縮し、水に溶解した。クロロホルムで抽出した後、炭酸水素水溶液、1N塩酸、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥を行った。シリカゲルカラムクマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール100/1〜50/1)により精製することにより下記化学式(10)で表される熱塩基発生剤(5)を32mg得た。
Figure 2011084562
(製造例6:熱塩基発生剤(6)の合成)
100mLフラスコ中、(トリフェニルホスホラニリデン)酢酸エチル(東京化成工業(株)製)2.56(7.34mmol)、2’−ヒドロキシアセトフェノン(東京化成工業(株)製)2.56g(7.34mmol、1.0eq)をトルエン20mLに溶解し、80℃で3時間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにより反応の終了を確認したうえで、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した後、水、飽和塩化アンモニウム水溶液にて洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用い乾燥した。濃縮後、シリカゲルカラムクロムトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン/酢酸エチル 2/1(体積比))により精製した。
続いて、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を15mL加え終夜で撹拌した。反応終了後、沈殿物をろ過により除き、濃塩酸を滴下し反応液を酸性にしたのち、クロロホルムで抽出し濃縮し、桂皮酸誘導体Bを580mg(3.25mmol)得た。
続いて、窒素雰囲気下、100mL三口フラスコ中、桂皮酸誘導体B0.50g(2.80mmol)を脱水テトラヒドロキシフラン10mLに溶解し、氷浴下で1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(東京化成工業(株)製)0.64g(3.4mmol、1.2eq)を加えた。30分後、ピペリジン(東京化成(株)製)0.33ml(3.4mmol、1.2eq)を加えたのち終夜で攪拌した。反応終了後、反応溶液を濃縮し、水に溶解した。クロロホルムで抽出した後、炭酸水素水溶液、1N塩酸、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥を行ったのち、濃縮することで下記化学式(11)で表される熱塩基発生剤(6)を272mg(1.04mmol)得た。
Figure 2011084562
(製造例7:熱塩基発生剤(7)の合成)
100mLフラスコ中、(トリフェニルホスホラニリデン)酢酸エチル(東京化成工業(株)製)2.56(7.34mmol)、2’−ヒドロキシ−4’−メトキシアセトフェノン(東京化成工業(株)製)1.22g(7.34mmol、1.0eq)をトルエン20mLに溶解し、80℃で3時間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにより反応の終了を確認したうえで、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した後、水、飽和塩化アンモニウム水溶液にて洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用い乾燥した。濃縮後、シリカゲルカラムクロムトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン/酢酸エチル 2/1(体積比))により精製した。
続いて、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を15mL加え終夜で撹拌した。反応終了後、沈殿物をろ過により除き、濃塩酸を滴下し反応液を酸性にしたのち、クロロホルムで抽出し濃縮し、桂皮酸誘導体Cを520mg得た。
続いて、窒素雰囲気下、100mL三口フラスコ中、桂皮酸誘導体C0.49g(2.80mmol)を脱水テトラヒドロキシフラン10mLに溶解し、氷浴下で1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(東京化成工業(株)製)0.64g(3.4mmol、1.2eq)を加えた。30分後、ピペリジン(東京化成(株)製)0.33ml(3.4mmol、1.2eq)を加えたのち終夜で攪拌した。反応終了後、反応溶液を濃縮し、水に溶解した。クロロホルムで抽出した後、炭酸水素水溶液、1N塩酸、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥を行ったのち、濃縮することで下記化学式(12)で表される熱塩基発生剤(7)を152mg得た。
Figure 2011084562
(製造例8:塩基発生剤(8)の合成)
製造例7において、2’−ヒドロキシ−4’−メトキシアセトフェノンを用いる代わりに、1’−ヒドロキシ−2’−アセトナフトン(東京化成工業(株)製)を用いて、製造例7と同様にして、ケイ皮酸の合成を行うことで桂皮酸誘導体Dを得た。続いて、製造例7において、桂皮酸誘導体Cの代わりに桂皮酸誘導体Dを用いることでアミド化反応を行い、シリカゲルカラムクマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール100/1〜50/1)により精製することにより下記化学式(13)で表される塩基発生剤(8)を得た。
Figure 2011084562
[熱塩基発生剤の評価]
合成した熱塩基発生剤(1)〜(8)について、熱分解開始温度について以下の測定を行い評価した。
(1)固体状態の5%重量減少温度
熱塩基発生剤(1)〜(8)について(株)島津製作所製、示差熱・熱重量同時測定装置DTG−60を用いて、昇温速度10℃/minの条件で5%重量減少温度を測定した。各熱塩基発生剤の5%重量減少温度の結果を表1に示す。
(2)溶液中の10モル%塩基発生温度
熱塩基発生剤(1)〜(8)についてそれぞれ1mgを、NMR管中で重ジメチルスルホキシド0.5μLに溶解させ、2mg/mLのNMR測定用溶液をそれぞれ調製した。調製した試料をそれぞれ、温めたオイルバスを用いて10分間加熱したのち、NMR測定を行った。オイルバスは10℃毎に上昇させ、10℃毎にNMR測定を行った。
各熱塩基発生剤の10モル%塩基発生温度を、各熱塩基発生剤の熱分解開始温度と決定した。
Figure 2011084562
(実施例1:高分子前駆体組成物(1)の調製)
下記に示す組成の高分子前駆体組成物(1)を調製した。
・ポリイミド前駆体(1):100重量部
・熱塩基発生剤(1):15重量部
・溶剤(NMP(N−メチルピロリドン)):843重量部
(実施例2〜8:高分子前駆体組成物(2)〜(8)の調製)
実施例1において、熱塩基発生剤(1)の代わりに、熱塩基発生剤(2)〜(8)を用いて、高分子前駆体組成物(2)〜(8)を調製した。
(比較例1:比較高分子前駆体組成物(1)の調製)
実施例1において熱塩基発生剤(1)を加えなかった以外は、実施例1と同様にして、比較高分子前駆体組成物(1)を調製した。
(塗膜の作成)
高分子前駆体組成物(1)〜(8)及び比較高分子前駆体組成物(1)を、それぞれ、クロムめっきされたガラス上に最終膜厚4μmになるようにスピンコートし、80℃のホットプレート上で10分間乾燥させて、高分子前駆体組成物(1)〜(8)及び比較高分子前駆体組成物(1)の塗膜を1枚ずつ得た。その後、それぞれの塗膜について、160℃で10分間加熱した。
<高分子前駆体組成物の評価>
加熱後のサンプルのサンプルに対し赤外線吸収スペクトル測定を行い、イミド化率を求めた。熱塩基発生剤を添加した高分子前駆体組成物(1)〜(8)の塗膜ではイミド化率が下記表2で表されるように高かったのに対し、熱塩基発生剤を添加しなかった比較高分子前駆体組成物(1)の塗膜ではイミド化率が0.40であり、熱塩基発生剤の添加により高分子前駆体から高分子への変換が促進されていることが明らかとなった。
なおイミド化率は、脱水環化によりポリイミド前駆体からポリイミドへ変換された場合に出現する、C=O伸縮運動に由来する1774cm−1の吸収強度と、イミド化後も変化しないベンゼン環のC−C伸縮運動に由来する1500cm−1の吸収強度を用いて、1774cm−1と1500cm−1の吸収強度比から算出される。
Figure 2011084562
(実施例9:高分子前駆体組成物(9)の調製)
本発明に係る熱塩基発生剤(7)を用いて、下記に示す組成の高分子前駆体組成物(9)を調製した。
・エポキシ樹脂(YP50EK35(フェノキシ樹脂)、35重量%メチルエチルケトン溶液 新日鐵化学社製):100重量部
・熱塩基発生剤(7):35重量部
高分子前駆体組成物(9)を、ガラス上に最終膜厚0.5μmになるようにスピンコートし、80℃のホットプレート上で15分間乾燥させて、樹脂組成物の塗膜を得た。その後、150℃で60分間加熱した。加熱した塗膜をイソプロパノールとクロロホルムの混合溶液(イソプロパノール:クロロホルム=4:1(体積比))に室温で10分間浸漬したところ、上記混合溶液に溶解せず、エポキシ樹脂が硬化したことが明らかになった。
(比較例2:比較高分子前駆体組成物(2)の調製)
実施例9において熱塩基発生剤(7)を加えなかった以外は、実施例9と同様にして、比較高分子前駆体組成物(2)を調製した。
調製した比較高分子前駆体組成物(2)を用いて、高分子前駆体組成物(9)と同様に塗膜を作成し、ガラス上に最終膜厚0.5μmになるようにスピンコートし、80℃のホットプレート上で15分間乾燥させて、比較性高分子前駆体組成物(2)の塗膜を得た。その後、150℃で60分間加熱した。加熱した塗膜をイソプロパノールとクロロホルムの混合溶液(イソプロパノール:クロロホルム=4:1(体積比))に室温で10分間浸漬したところ、塗膜が溶解した。
(実施例10:高分子前駆体組成物(10)の調製)
イソシアナート樹脂としてヘキサメチレンジイソシアナート(関東化学製)100重量部、水酸基を持つ樹脂としてポリテトラヒドロフラン(アルドリッチ製)150重量部、塩基発生剤(7)10重量部、テトラヒドロフラン500重量部からなる高分子前駆体組成物(10)を調製した。
高分子前駆体組成物(10)をクロムめっきされたガラス上に最終膜厚が0.5μmになるようにスピンコートし、60℃のホットプレート上で5分間乾燥させて、高分子前駆体組成物の塗膜を1枚得た。得られた塗膜に対し、120℃で10分間加熱し、室温まで冷却したところ、低弾性の固形物が得られ、イソシアナート基と水酸基との硬化が進行したことを確認した。
(合成例2:金属アルコキシド縮合物の合成)
冷却管をつけた100mlのフラスコにフェニルトリエトキシシラン5g、トリエトキシシラン10g、アンモニア水0.05g、水5ml及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50mlを加えた。半円形型のメカニカルスターラーを用いて溶液を撹拌し、マントルヒーターを用いて70℃で6時間反応させた。次いでエバポレーターを用いて水との縮合反応で生成したエタノールと残留水とを除去した。反応終了後、フラスコを室温になるまで放置し、アルコキシシランの縮合物(アルコキシシラン縮合物(1))を調製した。
(実施例11:高分子前駆体組成物(11)の調製)
上記合成例2で得られたアルコキシシラン縮合物(1) 100重量部と、塩基発生剤(7) 10重量部とを混合した後、溶剤であるテトラヒドロフラン500重量部に溶解させ、高分子前駆体組成物(11)を調製した。
高分子前駆体組成物(11)をクロムめっきされたガラス2枚の上に、それぞれ最終膜厚が0.5μmになるようにスピンコートし、80℃のホットプレート上で5分間乾燥させて、高分子前駆体組成物の塗膜を得た。その後、120℃で30分間加熱した。加熱前後のサンプルに対してそれぞれ、赤外線吸収スペクトル測定を行った。その結果、加熱後のサンプルについては、重合したことを示すSi-O-Si結合に帰属される1020cm-1のピークが出現し、原料を示すSi-OCH3に帰属される2850cm-1と850cm-1のピークは加熱前のサンプルよりも減少した。これらにより、本願の熱塩基発生剤を用いて、加熱を行うと塩基が発生し、アルコキシシラン縮合物の重合を促進することが明らかになった。
(比較例3:比較高分子前駆体組成物(3)の調製)
実施例11において熱塩基発生剤(7)を加えなかった以外は、実施例11と同様にして、比較高分子前駆体組成物(3)を調製した。
調製した比較高分子前駆体組成物(3)を用いて、高分子前駆体組成物(11)と同様に塗膜を作成し、ガラス上に最終膜厚0.5μmになるようにスピンコートし、80℃のホットプレート上で5分間乾燥させて、比較性高分子前駆体組成物(3)の塗膜を得た。その後120℃で30分間加熱した。加熱前後のサンプルに対してそれぞれ、赤外線吸収スペクトル測定を行った。その結果、重合したことを示すSi-O-Si結合に帰属される1020cm-1のピークが出現せず、原料を示すSi-OCH3に帰属される2850cm-1と850cm-1のピーク強度は加熱前とほぼ変化がなかった。

Claims (8)

  1. 下記化学式(1)で表わされ、且つ加熱により塩基を発生することを特徴とする、熱塩基発生剤。
    Figure 2011084562
    (式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素又は有機基であり、同一であっても異なっていても良い。R及びRは、それらが結合して環状構造を形成していても良く、ヘテロ原子の結合を含んでいても良い。但し、R及びRの少なくとも1つは有機基である。Rは、水素、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、又は有機基である。R、R、R及びRは、水素、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基又は有機基であり、同一であっても異なっていても良い。R、R、R及びRは、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していても良く、当該環状構造はヘテロ原子の結合を含んでいても良い。但し、Rが水素である場合には、R、R、R及びRは、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成しており、当該環状構造はヘテロ原子の結合を含んでいても良い。)
  2. 熱分解開始温度が40℃以上350℃以下であることを特徴とする、請求項1に記載の熱塩基発生剤。
  3. 発生する塩基の構造が下記式(2)で表される熱塩基発生剤である、請求項1又は2に記載の熱塩基発生剤。
    Figure 2011084562
    (式(2)中、R及びRは、それぞれ独立に、有機基であり、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数4〜22のシクロアルキル基である。R及びRは、同一であっても異なっていても良い。R及びRは、それらが結合して環状構造を形成していても良く、ヘテロ原子の結合を含んでいても良い。)
  4. 塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体、及び、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の熱塩基発生剤を含有することを特徴とする、高分子前駆体組成物。
  5. 前記高分子前駆体が、エポキシ基、イソシアネート基、オキセタン基、又はチイラン基を有する化合物及び高分子、ポリシロキサン前駆体、ポリイミド前駆体、並びにポリベンゾオキサゾール前駆体よりなる群から選択される1種以上を含むことを特徴とする、請求項4に記載の高分子前駆体組成物。
  6. 前記高分子前駆体が、ポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体であることを特徴とする、請求項4又は5に記載の高分子前駆体組成物。
  7. 塗料、印刷インキ、シール剤、又は接着剤、或いは、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム、光学部材又は建築材料の形成材料として用いられる、請求項4乃至6のいずれか一項に記載の高分子前駆体組成物。
  8. 請求項4乃至7のいずれか一項に記載の高分子前駆体組成物又はその硬化物により少なくとも一部分が形成されている、印刷物、塗料、シール剤、接着剤、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム、光学部材又は建築材料のいずれかの物品。
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