JPWO2015199220A1 - 熱硬化性樹脂組成物、硬化膜、硬化膜の製造方法および半導体デバイス - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物、硬化膜、硬化膜の製造方法および半導体デバイス Download PDF

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Abstract

熱硬化性樹脂の環化反応を低温で行うことができ、安定性に優れた熱硬化性樹脂組成物、かかる熱硬化性樹脂組成物を用いた硬化膜、硬化膜の製造方法および半導体デバイスを提供する。この熱硬化性樹脂組成物は、一般式(1)で表される化合物と、環化して硬化する熱硬化性樹脂とを含む。一般式(1)中、Aはp価の有機基を表し、L1は(m+1)価の連結基を表し、L2は(n+1)価の連結基を表し、mは1以上の整数を表し、nは1以上の整数を表し、pは1以上の整数を表す。

Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物、硬化膜、硬化膜の製造方法および半導体デバイスに関する。具体的には、半導体デバイスの絶縁層などの形成に好ましく用いることができる熱硬化性樹脂組成物、かかる熱硬化性樹脂組成物を用いた、硬化膜、硬化膜の製造方法および半導体デバイスに関する。
ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂などの環化して硬化する熱硬化性樹脂は、耐熱性及び絶縁性に優れるため、半導体デバイスの絶縁層などに用いられている。
また、上記の熱硬化性樹脂は、溶媒への溶解性が低いため、環化反応前の前駆体樹脂(ポリイミド前駆体樹脂、ポリアミドイミド前駆体樹脂、ポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂)の状態で使用し、基板などに適用した後、加熱して熱硬化性樹脂を環化して硬化膜を形成している。
例えば、特許文献1、2には、ラジカル重合性基を有するポリイミド前駆体樹脂と、光重合開始剤とを含有する組成物が開示されている。
特許文献3には、エステル基が光重合性オレフィン二重結合を含むポリアミドのエステルを含有する組成物が開示されている。
特許文献4には、ポリイミド前駆体樹脂と放射線により塩基性物質を発生する化合物を含有する組成物が開示されている。
特許文献5には、N−芳香族グリシン誘導体と、高分子前駆体とを含有する感光性樹脂組成物が開示されている。
特許文献6には、ポリイミド前駆体と、200℃以下の温度で加熱することにより熱分解を起こして2級アミンが発生する中性化合物からなる熱塩基発生剤と、溶媒とを含有するポリイミド前駆体樹脂組成物が開示されている。
一方、特許文献7には、赤外線吸収剤、重合開始剤、重合性化合物、疎水性バインダーおよびN−フェニルイミノ二酢酸を含む画像形成層を有する平版印刷版原版が開示されている。
また、特許文献8には、N−フェニルイミノ二酢酸とバインダーポリマーとを含むレーザー分解性樹脂組成物が開示されている。
特開昭63−27834号公報 特開平07−5688号公報 米国特許第4548891号明細書 特開2003−084435号公報 特開2006−282880号公報 特開2007−56196号公報 特開2009−237175号公報 特開2008−63553号公報
ポリイミド前駆体樹脂、ポリアミドイミド前駆体樹脂、ポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂などの、塩基により環化して硬化する熱硬化性樹脂は、耐熱性に優れた硬化膜を形成することができるが、これらの熱硬化性樹脂の環化反応には、高温での熱処理が必要とされていた。このため、このような熱硬化性樹脂を用いて半導体デバイスの絶縁層などを形成する場合、熱硬化性樹脂の環化反応時の加熱により、電子部品などに熱的損傷などが生じる恐れがあり、環化温度のさらなる低減が求められている。
本発明者が、特許文献1〜4に開示された組成物について検討したところ、熱硬化性樹脂の環化反応の温度が高く、低温での硬化性は十分でないことが分かった。
また、特許文献5では、段落番号0014に記載されるように、ポリイミド前駆体樹脂の種類を問わず大きな溶解性コントラストを得られ、結果的に、十分なプロセスマージンを保ちつつ、形状が良好なパターンを得ることができる感光性樹脂組成物を提供することを目的とした発明で、かかる目的を達成するため、N−芳香族グリシン誘導体を光塩基発生剤として用いている。すなわち、特許文献5では、N−芳香族グリシン誘導体に光を照射して発生したアミンを触媒としてポリイミド前駆体樹脂のイミド化を行うことにより、露光部を硬化させて、露光部と未露光部の間に溶解性の差を付与している。
しかしながら、特許文献5には、環化温度を低下させることについての検討はなされておらず、実施例では、300℃で1時間加熱してイミド化を行っている。
また、特許文献6は、200℃以下の温度で加熱することにより熱分解を起こして2級アミンが発生する中性化合物からなる熱塩基発生剤を用いているが、本発明者の検討によれば、この熱塩基発生剤は、組成物中において、解離と非解離の平衡状態にあることが分かった。このため、組成物の保存中にポリイミド前駆体樹脂の環化反応が進行してゲル化などが生じやすく、安定性が悪いことが分かった。
一方、特許文献7、8には、N−フェニルイミノ二酢酸などのカルボン酸化合物を、平版印刷版原版の画像形成層や、レーザー分解性樹脂組成物に用いることが開示されているが、熱硬化性樹脂の環化温度を低下することについての記載や示唆はない。
よって、本発明の目的は、熱硬化性樹脂の環化反応を低温で行うことができ、安定性に優れた熱硬化性樹脂組成物、かかる熱硬化性樹脂組成物を用いた硬化膜、硬化膜の製造方法および半導体デバイスを提供することにある。
本発明者は詳細に検討した結果、下記一般式(1)で表される化合物と、塩基によって環化して硬化する熱硬化性樹脂とを併用することにより、熱硬化性樹脂の環化温度が低く、かつ、安定性に優れた熱硬化性樹脂組成物を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、以下を提供する。
<1> 下記一般式(1)で表される化合物と、塩基によって環化して硬化する熱硬化性樹脂とを含む熱硬化性樹脂組成物;
Figure 2015199220
一般式(1)中、Aはp価の有機基を表し、L1は(m+1)価の連結基を表し、L2は(n+1)価の連結基を表し、mは1以上の整数を表し、nは1以上の整数を表し、pは1以上の整数を表す。
<2> 一般式(1)において、Aが芳香族環基である<1>記載の熱硬化性樹脂組成物。
<3> 一般式(1)において、Aがベンゼン環である<1>または<2>に記載の熱硬化性樹脂組成物。
<4> 一般式(1)において、L1およびL2がそれぞれ独立にアルキレン基である<1>〜<3>のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
<5> 一般式(1)において、m、nおよびpがそれぞれ1である、<1>〜<4>のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
<6> 一般式(1)で表される化合物がN−アリールイミノ二酢酸である<1>〜<5>のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
<7> 熱硬化性樹脂が、ポリイミド前駆体樹脂、ポリアミドイミド前駆体樹脂およびポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂から選ばれる少なくとも1種である<1>〜<6>のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
<8> 熱硬化性樹脂が、エチレン性不飽和結合を有する<1>〜<7>のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
<9> さらに、重合性化合物として、エチレン性不飽和結合を有する化合物を含有する<1>〜<8>のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
<10> さらに、光重合開始剤を含有する<8>または<9>に記載の熱硬化性樹脂組成物。
<11> <1>〜<10>のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜。
<12> 再配線用層間絶縁膜である、<11>に記載の硬化膜。
<13> <1>〜<10>のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を基板に適用する工程と、基板に適用された熱硬化性樹脂組成物を硬化する工程とを有する硬化膜の製造方法。
<14> <11>に記載の硬化膜、または、<13>に記載の方法で製造された硬化膜を有する半導体デバイス。
<15> 下記一般式(1)で表される化合物である熱塩基発生剤;
Figure 2015199220
一般式(1)中、Aはp価の有機基を表し、L1は(m+1)価の連結基を表し、L2は(n+1)価の連結基を表し、mは1以上の整数を表し、nは1以上の整数を表し、pは1以上の整数を表す。
<16> 一般式(1)において、Aが芳香族環基である、<15>に記載の熱塩基発生剤。
<17> 一般式(1)において、Aがベンゼン環である、<15>または<16>に記載の熱塩基発生剤。
<18> 一般式(1)において、L1およびL2が、それぞれ独立にアルキレン基である、<15>〜<17>のいずれかに記載の熱塩基発生剤。
<19> 一般式(1)において、m、nおよびpがそれぞれ1である、<15>〜<18>のいずれかに記載の熱塩基発生剤。
<20> 一般式(1)で表される化合物がN−アリールイミノ二酢酸である、<15>〜<19>のいずれかに記載の熱塩基発生剤。
本発明により、熱硬化性樹脂の環化反応を低温で行うことができ、安定性に優れた熱硬化性樹脂組成物、かかる熱硬化性樹脂組成物を用いた硬化膜、硬化膜の製造方法および半導体デバイスを提供可能となった。
本発明の半導体デバイスの一実施形態の構成を示す概略図である。
以下に記載する本発明における構成要素の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
本明細書における基(原子団)の表記に於いて、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書において、「活性光線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等を意味する。また、本発明において光とは、活性光線または放射線を意味する。本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、EUV光などによる露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」および「メタクリレート」の双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アリル」は、「アリル」および「メタクリル」の双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」および「メタクリル」の双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」および「メタクリロイル」の双方、または、いずれかを表す。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において、固形分濃度とは、組成物の総質量に対する、溶剤を除く他の成分の質量の質量百分率である。また、固形分濃度は、特に述べない限り25℃における濃度をいう。
本明細書において、重量平均分子量は、GPC測定によるポリスチレン換算値として定義される。本明細書において、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC−8220(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel Super AWM―H(東ソー(株)製、6.0mmID×15.0cmを用いることによって求めることができる。溶離液は特に述べない限り、10mmol/L リチウムブロミドNMP(N−メチルピロリジノン)溶液を用いて測定したものとする。
<熱硬化性樹脂組成物>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、一般式(1)で表される化合物と、塩基によって環化して硬化が促進される熱硬化性樹脂とを含有する。
本発明の熱硬化性樹脂組成物により、熱硬化性樹脂の環化反応を低温で行うことができ、安定性に優れた熱硬化性樹脂組成物とすることができる。このような効果は、以下の理由によるものであると推測している。すなわち、一般式(1)で表される化合物は、室温では酸性であるが、加熱により、カルボキシル基が脱炭酸または、脱水環化し失われることで、それまで中和され不活性化していたアミン部位が活性となり、塩基性となる。そして、一般式(1)で表される化合物から発生した塩基により、熱硬化性樹脂の環化反応が促進されたと考えられる。また、前述したとおり、一般式(1)で表される化合物は、室温では酸性であるため、熱硬化性樹脂の環化反応を促進させない。このため、一般式(1)で表される化合物と、塩基によって環化して硬化が促進される熱硬化性樹脂とを混合した状態で、長期保存しても、加熱しなければ反応が進行せず好ましい。
以下本発明を詳細に説明する。
<<一般式(1)で表される化合物>>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、一般式(1)で表される化合物を含有する。この化合物は、加熱されることにより塩基を発生し、熱塩基発生剤として機能するものである。加熱前は、通常、酸性化合物として存在する。なお、本明細書において、酸性化合物とは、化合物を容器に1g採取し、イオン交換水とテトラヒドロフランとの混合液(質量比は水/テトラヒドロフラン=1/4)を50mL加えて、室温で1時間攪拌する。その溶液をpHメーターを用いて、20℃にて測定した値が7未満である化合物を意味する。
Figure 2015199220
一般式(1)中、Aはp価の有機基を表し、L1は(m+1)価の連結基を表し、L2は(n+1)価の連結基を表し、mは1以上の整数を表し、nは1以上の整数を表し、pは1以上の整数を表す。
一般式(1)中、Aはp価の有機基を表す。有機基としては、脂肪族基、芳香族環基などが挙げられ、芳香族環基が好ましい。Aを芳香族環基とすることにより、より低温で、沸点の高い塩基を発生しやすくできる。発生する塩基の沸点を高くすることにより、熱硬化性樹脂の硬化時の加熱によって揮発または分解しにくくし、熱硬化性樹脂の環化をより効果的に進行させることができる。
1価の脂肪族基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基等が挙げられる。
アルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜10が更に好ましい。アルキル基は直鎖、分岐のいずれであってもよい。アルキル基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基などが挙げられる。
シクロアルキル基の炭素数は、3〜30が好ましく、3〜20がより好ましく、3〜10が更に好ましい。シクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。アルキル基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、アダマンチル基等が挙げられる。
アルケニル基の炭素数は、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましく、2〜10が更に好ましい。アルケニル基は直鎖、分岐のいずれであってもよい。アルケニル基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。アルケニル基としては、ビニル基、(メタ)アリル基等が挙げられる。
2価以上の脂肪族基としては、上記の1価の脂肪族基から水素原子を1個以上除いた基が挙げられる。
芳香族環基としては、単環であってもよく、多環であってもよい。芳香族環基は、ヘテロ原子を含むヘテロ芳香族環基であってもよい。芳香族環基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。無置換が好ましい。芳香族環基の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ペンタレン環、インデン環、アズレン環、ヘプタレン環、インデセン環、ペリレン環、ペンタセン環、アセナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環、ナフタセン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオレン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、および、フェナジン環が挙げられ、ベンゼン環が最も好ましい。
芳香族環基は、複数の芳香環が、単結合または後述する連結基を介して連結していてもよい。連結基としては、例えば、アルキレン基が好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐のいずれも好ましい。複数の芳香環が、単結合または連結基を介して連結した芳香族環基の具体例としては、ビフェニル、ジフェニルメタン、ジフェニルプロパン、ジフェニルイソプロパン、トリフェニルメタン、テトラフェニルメタンなどが挙げられる。
Aが表す有機基が有していてもよい置換基の例としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基及びtert−ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基及びp−トリルオキシ基等のアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基及びフェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基及びベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基;アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びメトキサリル基等のアシル基;メチルスルファニル基及びtert−ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基;フェニルスルファニル基及びp−トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基;メチル基、エチル基、tert−ブチル基及びドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、アダマンチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基及びフェナントリル基等のアリール基;ヒドロキシ基;カルボキシ基;ホルミル基;スルホ基;シアノ基;アルキルアミノカルボニル基;アリールアミノカルボニル基;スルホンアミド基;シリル基;アミノ基;モノアルキルアミノ基;ジアルキルアミノ基;アリールアミノ基;及びジアリールアミノ基チオキシ基;又はこれらの組み合わせが挙げられる。
1は(m+1)価の連結基を表し、L2は(n+1)価の連結基を表す。連結基としては特に限定されず、―COO−、−OCO−、−CO−、−O−、−S―、−SO―、―SO2−、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜10の直鎖または分岐アルキレン基)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3〜10のシクロアルキレン基)、アルケニレン基(好ましくは炭素数1〜10の直鎖または分岐アルケニレン基)又はこれらの複数が連結した連結基などを挙げることができる。連結基の総炭素数は、3以下が好ましい。連結基は、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基が好ましく、直鎖または分岐アルキレン基がより好ましく、直鎖アルキレン基が更に好ましく、エチレン基またはメチレ基が特に好ましく、メチレン基が一層好ましい。
mおよびnは1以上の整数を表し、1または2が好ましく、1がより好ましい。mおよびnの上限は、L1およびL2が表す連結基が取りえる置換基の最大数である。mおよびnが1であれば、200℃以下の加熱により、沸点の高い3級アミンを発生しやすい。更には、熱硬化性樹脂組成物の安定性を向上できる。
pは、1以上の整数を表し、1または2が好ましく、1がより好ましい。pの上限は、Aが表す有機基が取りえる置換基の最大数である。pが1であれば、200℃以下の加熱により、沸点の高い3級アミンを発生しやすい。
一般式(1)で表される化合物は、N−アリールイミノ二酢酸であることが好ましい。N−アリールイミノ二酢酸は、一般式(1)におけるAが芳香族環基であり、L1およびL2がメチレン基であり、mが1であり、nが1であり、pが1である化合物である。N−アリールイミノ二酢酸は、200℃以下の加熱により、沸点の高い3級アミンを発生しやすい。
一般式(1)で表される化合物は、120〜230℃に加熱すると塩基を発生する化合物であることが好ましく、120〜200℃で塩基を発生する化合物であることがより好ましい。塩基発生温度は、例えば、示差走査熱量測定を用い、化合物を耐圧カプセル中5℃/分で250℃まで加熱し、最も温度が低い発熱ピークのピーク温度を読み取り、かかるピーク温度を塩基発生温度として測定することができる。
一般式(1)で表される化合物により発生する塩基は、2級アミンまたは3級アミンが好ましく、3級アミンがより好ましい。3級アミンは、塩基性が高いので、熱硬化性樹脂の環化温度をより低下できる。
一般式(1)で表される化合物により発生する塩基の沸点は、80℃以上であることが好ましく、100℃以上であることが好ましく、140℃以上であることがさらに好ましい。また、発生する塩基の分子量は、80〜2000が好ましい。下限は100以上がより好ましい。上限は500以下がより好ましい。なお、分子量の値は、構造式から求めた理論値である。
以下に、一般式(1)で表される化合物の具体例を記載するが、本発明はこれらに限定されるものではない。これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。なお、以下の式中におけるMeは、メチル基を表す。以下に示す化合物のうち、(A−1)〜(A−9)、(A−13)〜(A−17)、(A−19)、(A−20)が好ましく、(A−1)、(A−2)、(A−3)、(A−4)、(A−8)、(A−9)、(A−19)がより好ましい。
Figure 2015199220
一般式(1)で表される化合物の含有量は、本発明の熱硬化性樹脂組成物の全固形分に対し、0.1〜50質量%が好ましい。下限は、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。上限は、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。一般式(1)で表される化合物の含有量が上記範囲であれば、熱硬化性樹脂の環化を低温で行うことができ、耐熱性に優れた硬化膜を低温での熱処理で形成することができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂100質量部に対し、一般式(1)で表される化合物を0.1〜30質量部含有することが好ましく、1〜20質量部含有することが好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、1種または2種以上を用いることができる。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲であることが好ましい。
<<熱硬化性樹脂>>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、塩基によって環化して硬化が促進される熱硬化性樹脂を含有する。熱硬化性樹脂は、加熱により環化反応が生じて複素環含有ポリマーを形成可能な複素環含有ポリマー前駆体樹脂が好ましい。複素環含有ポリマー前駆体樹脂としては、ポリイミド前駆体樹脂、ポリアミドイミド前駆体樹脂、及びポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂から選ばれる1種以上であることが好ましく、ポリイミド前駆体樹脂またはポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂であることがより好ましく、ポリイミド前駆体樹脂が更に好ましい。この態様によれば、より耐熱性に優れた硬化膜を形成しやすい。また、これらの熱硬化性樹脂は、環化温度が高く、従来は300℃以上に加熱して環化を行っていたが、本発明によれば、これらの熱硬化性樹脂であっても300℃以下(好ましくは200℃以下、更に好ましくは180℃以下)での加熱で環化反応を十分に進行させることができ、本発明の効果がより顕著に得られる。
本発明において、熱硬化性樹脂は、エチレン性不飽和結合を有することが好ましく、エチレン性不飽和結合を有するポリイミド前駆体樹脂であることがより好ましい。熱硬化性樹脂がエチレン性不飽和結合を有することにより、より耐熱性に優れた硬化膜を形成しやすい。更には、フォトリソグラフィによるパターン形成を行う場合においては、感度を高めることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物における熱硬化性樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全固形分に対し30〜90質量%が好ましい。下限は、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましい。
<<<ポリイミド前駆体樹脂、ポリアミドイミド前駆体樹脂>>>
ポリイミド前駆体樹脂としては、ポリイミド化可能な化合物であれば、特に限定はないが、エチレン性不飽和結合を有するポリイミド前駆体樹脂であることが好ましい。
また、ポリアミドイミド前駆体樹脂は、ポリアミドイミド化可能な化合物であれば、特に限定はないが、エチレン性不飽和結合を有するポリアミドイミド前駆体樹脂であることが好ましい。
ポリイミド前駆体樹脂およびポリアミドイミド前駆体樹脂は、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を含む化合物であることが最も好ましい。
Figure 2015199220
一般式(2)中、A1およびA2は、それぞれ独立に酸素原子または−NH−を表し、R111は、2価の有機基を表し、R112は、4価の有機基を表し、R113およびR114は、それぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表す。
1およびA2は、それぞれ独立に酸素原子または−NH−を表し、酸素原子が好ましい。
111は、2価の有機基を表す。2価の有機基としては、ジアミンのアミノ基の除去後に残存するジアミン残基が挙げられる。ジアミンとしては、脂肪族、環式脂肪族または芳香族ジアミンなどが挙げられる。
具体的には、以下のジアミンのアミノ基の除去後に残存するジアミン残基などが挙げられる。
1,2−ジアミノエタン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタンおよび1,6−ジアミノヘキサン;1,2−または1,3−ジアミノシクロペンタン、1,2−、1,3−または1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−、1,3−または1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス−(3−アミノシクロヘキシル)メタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルシクロヘキシルメタンおよびイソホロンジアミン;m−およびp−フェニレンジアミン、ジアミノトルエン、4,4’−および3,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−および3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−および3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−および3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−および3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−および3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノパラテルフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(2−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニルエーテル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニル、3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルエーテル、1,4−ジアミノアントラキノン、1,5−ジアミノアントラキノン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(2−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、3,3−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ジメチル−3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,4−および2,5−ジアミノクメン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン、アセトグアナミン、2,3,5,6−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、2,4,6−トリメチル−m−フェニレンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、2,7−ジアミノフルオレン、2,5−ジアミノピリジン、1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、ジアミノベンズアニリド、ジアミノ安息香酸のエステル、1,5−ジアミノナフタレン、ジアミノベンゾトリフルオライド、ジアミノアントラキノン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)オクタフルオロブタン、1,5−ビス(4−アミノフェニル)デカフルオロペンタン、1,7−ビス(4−アミノフェニル)テトラデカフルオロヘプタン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(2−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、p−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス(3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロトリデンおよび4,4’’’−ジアミノクアテルフェニルから選ばれる少なくとも1種のジアミンのアミノ基の除去後に残存するジアミン残基。
112は、4価の有機基を表す。4価の有機基としては、テトラカルボン酸二無水物から無水物基の除去後に残存するテトラカルボン酸残基などが挙げられる。
具体的には、以下のテトラカルボン酸二無水物から無水物基の除去後に残存しているテトラカルボン酸残基などが挙げられる。
ピロメリト酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルフィドテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、オキシ二フタル酸の二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルオキシドテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシ二フタル酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ジフェニルヘキサフルオロプロパン−3,3,4,4−テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,8,9,10−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、および、これらのC1−C6アルキルならびにC1−C6アルコキシ誘導体から選ばれる少なくとも1種のテトラカルボン酸二無水物から無水物基の除去後に残存しているテトラカルボン酸残基。
113およびR114は、それぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表す。
113およびR114が表す1価の有機基としては、現像液の溶解度を向上させる置換基が好ましく用いられる。
水性現像液への溶解度の観点からは、R113およびR114は、水素原子または1価の有機基が好ましい。1価の有機基としては、アリール炭素に結合している1、2または3つの、好ましくは1つの酸性基を有する、アリール基およびアラルキル基などが挙げられる。具体的には、酸性基を有する炭素数6〜20のアリール基、酸性基を有する炭素数7〜25のアラルキル基が挙げられる。より具体的には、酸性基を有するフェニル基および酸性基を有するベンジル基が挙げられる。酸性基は、HO基が好ましい。
113、R114が、水素原子、2−ヒドロキシベンジル、3−ヒドロキシベンジルおよび4−ヒドロキシベンジルである場合、水性現像液に対する溶解性が良好で、ネガ型熱硬化性樹脂組成物として特に好適に用いることができる。
有機溶剤への溶解度の観点からは、R113およびR114は、1価の有機基であることが好ましい。1価の有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、芳香族環基であることが特に好ましい。
アルキル基としては具体的には、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1−エチルペンチル基、及び2−エチルヘキシル基が挙げられる。
シクロアルキル基としては具体的に、単環のシクロアルキル基であってもよく、多環のシクロアルキル基であってもよい。単環のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基が挙げられる。多環のシクロアルキル基としては、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボルニル基、カンフェニル基、デカヒドロナフチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、カンホロイル基、ジシクロヘキシル基及びピネニル基が挙げられる。中でも、高感度化との両立の観点から、シクロヘキシル基が最も好ましい。
芳香族環基としては、具体的には、置換または無置換のベンゼン環、ナフタレン環、ペンタレン環、インデン環、アズレン環、ヘプタレン環、インデセン環、ペリレン環、ペンタセン環、アセタフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環、ナフタセン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオレン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環又はフェナジン環である。ベンゼン環が最も好ましい。
一般式(2)において、R113およびR114の少なくとも一方は、重合性基を表すことが好ましい。これによれば、感度および解像性をより良好にできる。
113およびR114が表す重合性基としては、エポキシ基、オキセタニル基、エチレン性不飽和結合を有する基、ブロックイソシアネート基、アルコキシメチル基、メチロール基、アミノ基などが挙げられる。なかでも、感度が良好であるという理由からエチレン性不飽和結合を有する基が好ましい。エチレン性不飽和結合を有する基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、下記式(III)で表される基などが挙げられる。
Figure 2015199220
式(III)において、R200は、水素またはメチルを表し、メチルがより好ましい。
式(III)において、R201は、炭素数2〜12のアルキレン基、−CH2CH(OH)CH2−または炭素数4−30のポリオキシアルキレン基を表す。
好適なR201の例は、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、1,2−ブタンジイル、1,3−ブタンジイル、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ドデカメチレン、−CH2CH(OH)CH2−が挙げられ、エチレン、プロピレン、トリメチレン、−CH2CH(OH)CH2−がより好ましい。
特に好ましくは、R200がメチルで、R201がエチレンである。
一般式(2)中のR113およびR114が、重合性基である割合は、モル比で、重合性基:非重合性基が、好ましくは100:0〜5:95であり、より好ましくは100:0〜20:80であり、最も好ましくは100:0〜50:50である。
ポリイミド前駆体樹脂およびポリアミドイミド前駆体樹脂は、すべてが1種のR111またはR112に基づく上記一般式(2)の繰り返し構造単位に加え、これらの基の2つ以上の異なる種類に基づく繰り返し単位を含んでもよい。また、ポリイミド前駆体樹脂およびポリアミドイミド前駆体樹脂は、互いに構造異性体となる繰り返し単位を含んでいてもよい。一般式(2)の単位の構造異性体対の現れ方としては、例えば、ピロメリト酸から誘導された、R112がピロメリト酸残基で表される式(2)の単位の例について以下に示す(A1およびA2=−O−)。
また、ポリイミド前駆体樹脂およびポリアミドイミド前駆体樹脂は、上記の一般式(2)の繰り返し単位のほかに、他の種類の繰り返し構造単位も含んでよい。
Figure 2015199220
ポリイミド前駆体樹脂およびポリアミドイミド前駆体樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000〜100,000であり、より好ましくは3,000〜50,000であり、最も好ましくは5,000〜30,000である。ポリイミド前駆体樹脂およびポリアミドイミド前駆体樹脂の重量平均分子量(Mw)は、例えばポリスチレンで較正したゲル濾過クロマトグラフィーにより測定できる。
<<<ポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂>>>
ポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂としては、ポリベンゾオキサゾール化可能な化合物であれば、特に限定はないが、エチレン性不飽和結合を有するポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂であることが好ましい。特に、下記一般式(3)で表される化合物であることが最も好ましい。
Figure 2015199220
一般式(3)中、R121は、2価の有機基を表し、R122は、4価の有機基を表し、R123およびR124は、それぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表す。
121は、2価の有機基を表す。2価の有機基としては、芳香族環基が好ましい。芳香族環基の例としては、下記が挙げられる。
Figure 2015199220
式中、Aは−CH2−、−O−、−S−、−SO2−、−CO−、−NHCO−、−C(CF32−からなる群から選択される2価の基を表す。
122は、4価の有機基を表す。4価の有機基としては、下記一般式(A)で表されるビスアミノフェノールの残基であることが好ましい。
Ar(NH22(OH)2 ・・・(A)
式中、Arはアリール基である。
上記一般式(A)のビスフェノールとしては、例えば、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス−(3−アミノ−4-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(3−アミノ−4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3−アミノ−4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス−(4−アミノ−3-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(4−アミノ−3-ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジアミノ−4,6−ジヒドロキシベンゼンなどが挙げられる。これらのビスアミノフェノールは単独あるいは混合して使用してもよい。
一般式(A)で表されるビスアミノフェノールのうち、下記から選ばれる芳香族環基を有するビスアミノフェノールが特に好ましい。
Figure 2015199220
式中、X1は−O−、−S−、−C(CF32−、−CH2−、−SO2−、−NHCO−を表す。また、上記構造において、一般式(A)の構造中に含まれる−OHと−NH2とは互いにオルト位(隣接位)に結合する。
123およびR124は、水素原子または1価の有機基を表し、R123およびR124の少なくとも一方が、重合性基を表すことが好ましい。重合性基としては、上述した一般式(2)のR113およびR114で説明した態様は同一であり、好ましい範囲も同様である。
ポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂は上記の一般式(3)の繰り返し単位のほかに、他の種類の繰り返し構造単位も含んでよい。
ポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜100,000が好ましく、3,000〜50,000がより好ましく、5,000〜30,000が特に好ましい。ポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂の重量平均分子量(Mw)は、例えばポリスチレンで較正したゲル濾過クロマトグラフィーにより測定できる。
<<重合性化合物>>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上述した一般式(1)で表される化合物および熱硬化性樹脂以外の重合性化合物を含有しても良い。重合性化合物を含有させることにより、より耐熱性に優れた硬化膜を形成することができる。更には、フォトリソグラフィによるパターン形成を行うこともできる。
重合性化合物は、重合性基を有する化合物であって、ラジカルにより重合可能な公知の化合物を用いることができる。重合性基とは、活性光線、放射線、または、ラジカルの作用により、重合することが可能な基であって、例えば、エチレン性不飽和結合を有する基などが挙げられる。エチレン性不飽和結合を有する基としては、スチリル基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基および(メタ)アリル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がさらに好ましい。すなわち、本発明で用いる重合性化合物は、エチレン性不飽和結合を有する化合物が好ましく、(メタ)アクリレート化合物がより好ましく、アクリレート化合物が更に好ましい。
重合性化合物は産業分野において広く知られているものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、オリゴマー又はそれらの混合物並びにそれらの多量体などの化学的形態のいずれであってもよい。
本発明において、モノマータイプの重合性化合物(以下、重合性モノマーともいう)は、高分子化合物とは異なる化合物である。重合性モノマーは、典型的には、低分子化合物であり、分子量2000以下の低分子化合物であることが好ましく、1500以下の低分子化合物であることがより好ましく、分子量900以下の低分子化合物であることがさらに好ましい。なお、重合性モノマーの分子量は、通常、100以上である。
また、オリゴマータイプの重合性化合物(以下、重合性オリゴマーともいう)は、典型的には比較的低い分子量の重合体であり、10個から100個の重合性モノマーが結合した重合体であることが好ましい。分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算の重量平均分子量が、2000〜20000であることが好ましく、2000〜15000がより好ましく、2000〜10000であることが最も好ましい。
本発明における重合性化合物の官能基数は、1分子中における重合性基の数を意味する。
重合性化合物は、解像性の観点から、重合性基を2個以上含有する2官能以上の重合性化合物を少なくとも1種含むことが好ましく、3官能以上の重合性化合物を少なくとも1種含むことがより好ましい。
また、本発明における重合性化合物は、三次元架橋構造を形成して耐熱性を向上できるという点から、3官能以上の重合性化合物を少なくとも1種含むことが好ましい。また、2官能以下の重合性化合物と3官能以上の重合性化合物との混合物であってもよい。
重合性化合物の具体例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類、並びにこれらの多量体が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と多価アルコール化合物とのエステル、および不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミド類、並びにこれらの多量体である。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物や、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等のビニルベンゼン誘導体、ビニルエーテル、アリルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリアクリレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926号公報、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号公報、特開昭59−5241号公報、特開平2−226149号公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
また、多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有するものをあげることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性モノマーも好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(A)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R4)COOCH2CH(R5)OH ・・・(A)
(ただし、R4およびR5は、HまたはCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
また、重合性化合物としては、特開2009−288705号公報の段落番号0095〜段落番号0108に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
また、重合性化合物としては、常圧下で100℃以上の沸点を持つ化合物も好ましい。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号各公報に記載されているようなウレタン(メタ)アクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレートおよびこれらの混合物を挙げることができる。また、特開2008−292970号公報の段落番号0254〜0257に記載の化合物も好適である。また、多官能カルボン酸にグリシジル(メタ)アクリレート等の環状エーテル基とエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させ得られる多官能(メタ)アクリレートなども挙げることができる。
また、その他の好ましい重合性化合物として、特開2010−160418号公報、特開2010−129825号公報、特許第4364216号等に記載される、フルオレン環を有し、エチレン性不飽和結合を有する基を2個以上有する化合物、カルド樹脂も使用することが可能である。
さらに、重合性化合物のその他の例としては、特公昭46−43946号公報、特公平1−40337号公報、特公平1−40336号公報記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等もあげることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会誌 vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
上記のほか、下記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される、重合性化合物も好適に用いることができる。なお、式中、Tがオキシアルキレン基の場合には、炭素原子側の末端がRに結合する。
Figure 2015199220
Figure 2015199220
一般式において、nは0〜14の整数であり、mは1〜8の整数である。一分子内に複数存在するR、T、は、各々同一であっても、異なっていてもよい。
上記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される重合性化合物の各々において、複数のRの内の少なくとも1つは、−OC(=O)CH=CH2、または、−OC(=O)C(CH3)=CH2で表される基を表す。
上記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される、重合性化合物の具体例としては、特開2007−269779号公報の段落番号0248〜0251に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
また、特開平10−62986号公報において一般式(1)および(2)としてその具体例と共に記載の、多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化した化合物も、重合性化合物として用いることができる。
重合性化合物としては、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としては KAYARAD D−330;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては KAYARAD D−320;日本化薬株式会社製)ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD D−310;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD DPHA;日本化薬株式会社製)、およびこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介している構造が好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。
重合性化合物は、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の酸基を有する多官能モノマーであっても良い。酸基を有する多官能モノマーは、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルが好ましく、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能モノマーがより好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及び/又はジペンタエリスリトールであるものである。市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製の多塩基酸変性アクリルオリゴマーとして、M−510、M−520などが挙げられる。
酸基を有する多官能モノマーは、1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。また、必要に応じて酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用してもよい。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1〜40mgKOH/gであり、特に好ましくは5〜30mgKOH/gである。多官能モノマーの酸価が上記範囲であれば、製造や取扱性に優れ、更には、現像性に優れる。また、硬化性が良好である。
重合性化合物は、カプロラクトン構造を有する重合性化合物を用いることもできる。
カプロラクトン構造を有する重合性化合物としては、分子内にカプロラクトン構造を有する限り特に限定されるものではないが、例えば、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、トリメチロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸およびε−カプロラクトンをエステル化することにより得られる、ε−カプロラクトン変性多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。なかでも下記一般式(B)で表されるカプロラクトン構造を有する重合性化合物が好ましい。
一般式(B)
Figure 2015199220
(式中、6個のRは全てが下記一般式(C)で表される基であるか、または6個のRのうち1〜5個が下記一般式(C)で表される基であり、残余が下記一般式(D)で表される基である。)
一般式(C)
Figure 2015199220
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、mは1または2の数を示し、「*」は結合手であることを示す。)
一般式(D)
Figure 2015199220
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、「*」は結合手であることを示す。)
このようなカプロラクトン構造を有する重合性化合物は、例えば、日本化薬(株)からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されており、DPCA−20(上記一般式(B)〜(D)においてm=1、一般式(C)で表される基の数=2、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA−30(同式、m=1、一般式(C)で表される基の数=3、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA−60(同式、m=1、一般式(C)で表される基の数=6、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA−120(同式においてm=2、一般式(C)で表される基の数=6、R1が全て水素原子である化合物)等を挙げることができる。
本発明において、カプロラクトン構造を有する重合性化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
重合性化合物は、下記一般式(i)または(ii)で表される化合物の群から選択される少なくとも1種であることも好ましい。
Figure 2015199220
一般式(i)および(ii)中、Eは、各々独立に、−((CH2yCH2O)−、または−((CH2yCH(CH3)O)−を表し、yは、各々独立に0〜10の整数を表し、Xは、各々独立に、(メタ)アクリロイル基、水素原子、またはカルボキシル基を表す。
一般式(i)中、(メタ)アクリロイル基の合計は3個または4個であり、mは各々独立に0〜10の整数を表し、各mの合計は0〜40の整数である。但し、各mの合計が0の場合、Xのうちいずれか1つはカルボキシル基である。
一般式(ii)中、(メタ)アクリロイル基の合計は5個または6個であり、nは各々独立に0〜10の整数を表し、各nの合計は0〜60の整数である。但し、各nの合計が0の場合、Xのうちいずれか1つはカルボキシル基である。
一般式(i)中、mは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。
また、各mの合計は、2〜40の整数が好ましく、2〜16の整数がより好ましく、4〜8の整数が特に好ましい。
一般式(ii)中、nは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。
また、各nの合計は、3〜60の整数が好ましく、3〜24の整数がより好ましく、6〜12の整数が特に好ましい。
一般式(i)または一般式(ii)中の−((CH2yCH2O)−または−((CH2yCH(CH3)O)−は、酸素原子側の末端がXに結合する形態が好ましい。特に、一般式(ii)において、6個のX全てがアクリロイル基である形態が好ましい。
一般式(i)または(ii)で表される化合物は、従来公知の工程である、ペンタエリスリト−ルまたはジペンタエリスリト−ルにエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドを開環付加反応により開環骨格を結合する工程と、開環骨格の末端水酸基に、例えば(メタ)アクリロイルクロライドを反応させて(メタ)アクリロイル基を導入する工程と、から合成することができる。各工程は良く知られた工程であり、当業者は容易に一般式(i)または(ii)で表される化合物を合成することができる。
一般式(i)、(ii)で表される化合物の中でも、ペンタエリスリトール誘導体および/またはジペンタエリスリトール誘導体がより好ましい。
具体的には、下記式(a)〜(f)で表される化合物(以下、「例示化合物(a)〜(f)」ともいう。)が挙げられ、中でも、例示化合物(a)、(b)、(e)、(f)が好ましい。
Figure 2015199220
Figure 2015199220
一般式(i)、(ii)で表される重合性化合物の市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ鎖を4個有する4官能アクリレートであるSR−494、日本化薬株式会社製のペンチレンオキシ鎖を6個有する6官能アクリレートであるDPCA−60、イソブチレンオキシ鎖を3個有する3官能アクリレートであるTPA−330などが挙げられる。
重合性化合物としては、特公昭48−41708号、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。さらに、重合性化合物として、特開昭63−277653号公報、特開昭63−260909号公報、特開平1−105238号公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性モノマー類を用いることもできる。
重合性化合物の市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(山陽国策パルプ社製)、NKエステルM−40G、NKエステル4G、NKエステルM−9300、NKエステルA−9300、UA−7200(新中村化学社製)、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社製)、ブレンマーPME400(日油(株)社製))などが挙げられる。
重合性化合物は、耐熱性の観点から、下記式で表される部分構造を有することが好ましい。
Figure 2015199220
式中の*は連結手である。
上記部分構造を有する重合性化合物の具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、本発明においてはこれらの重合性化合物を特に好ましく用いることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物において、重合性化合物の含有量は、良好な硬化性と耐熱性の観点から、熱硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、1〜50質量%が好ましい。下限は5質量%以上がより好ましい。上限は、30質量%以下がより好ましい。重合性化合物は1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
また、熱硬化性樹脂と重合性化合物との質量割合(熱硬化性樹脂/重合性化合物)は、98/2〜10/90が好ましく、95/5〜30/70がより好ましく、90/10〜50/50が最も好ましい。熱硬化性樹脂と重合性化合物との質量割合は、上記範囲であれば、硬化性および耐熱性により優れた硬化膜を形成できる。
<<熱重合開始剤>>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は熱重合開始剤を含んでいてもよい。熱重合開始剤としては、公知の熱重合開始剤を用いることができる。
熱重合開始剤は、熱のエネルギーによってラジカルを発生し、重合性化合物の重合反応を開始又は促進させる化合物である。熱重合開始剤を添加することによって、熱硬化性樹脂の環化反応を進行させる際に、重合性化合物の重合反応を進行させることができる。また、熱硬化性樹脂がエチレン性不飽和結合を含む場合は、熱硬化性樹脂の環化と共に、熱硬化性樹脂の重合反応を進行させることもできるので、より高耐熱化が達成できることとなる。
熱重合開始剤としては、芳香族ケトン類、オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アゾ系化合物等が挙げられる。中でも、有機過酸化物又はアゾ系化合物がより好ましく、過酸化物が特に好ましい。
具体的には、特開2008−63554号公報の段落0074〜0118に記載されている化合物が挙げられる。
市販品では、パーブチルZ(日油(株)製)を好適に用いることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物が熱重合開始剤を有する場合、熱重合開始剤の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全固形分に対し0.1〜50質量%が好ましく、0.1〜30質量%がより好ましく、0.1〜20質量%が特に好ましい。また、重合性化合物100質量部に対し、熱重合開始剤を0.1〜50質量部含有することが好ましく、0.5〜30質量部含有することが好ましい。この態様によれば、より耐熱性に優れた硬化膜を形成しやすい。
熱重合開始剤は1種類のみでもよいし、2種類以上であってもよい。熱重合開始剤が2種類以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<<増感色素>>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、増感色素を含んでも良い。増感色素は、特定の活性放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感色素は、一般式(1)で表される化合物、熱重合開始剤、光重合開始剤などと接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用が生じる。これにより、一般式(1)で表される化合物、熱重合開始剤、光重合開始剤は化学変化を起こして分解し、ラジカル、酸或いは塩基を生成する。
好ましい増感色素の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ300nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。例えば、多核芳香族類(例えば、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、9.10−ジアルコキシアントラセン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、チオキサントン類、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)、フェノチアジン類、スチリルベンゼン類、ジスチリルベンゼン類、カルバゾール類等などが挙げられる。
中でも本発明においては、多核芳香族類(例えば、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、チオキサントン類、ジスチリルベンゼン類、スチリルベンゼン類と組み合わせるのが開始効率の観点で好ましく、アントラセン骨格を有する化合物を使用することがより好ましい。特に好ましい具体的な化合物としては9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセンなどが挙げられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物が増感色素を含有する場合、増感色素の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全固形分に対し、0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜15質量%がより好ましく、0.5〜10質量%が更に好ましい。増感色素は、一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<光重合開始剤>>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤を含有しても良い。本発明の熱硬化性樹脂組成物が光重合開始剤を含有することにより、熱硬化性樹脂組成物を半導体ウエハなどに適用して層状の組成物層を形成した後、光を照射することで、ラジカルまたは酸による硬化が起こり、光照射部における溶解性を低下させることができる。このため、例えば、電極部のみをマスクしたパターンを持つフォトマスクを介して上記組成物層を露光することで、電極のパターンにしたがって、溶解性の異なる領域を簡便に作成できるという利点がある。
光重合開始剤としては、重合性化合物の重合反応(架橋反応)を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましい。また、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよい。
光重合開始剤は、約300〜800nm(好ましくは330〜500nm)の範囲内に少なくとも約50の分子吸光係数を有する化合物を、少なくとも1種含有していることが好ましい。化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いることができるが、具体的には、例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Cary−5 spctrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
光重合開始剤としては、公知の化合物を制限なく使用できるが、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有するもの、オキサジアゾール骨格を有するもの、トリハロメチル基を有するものなど)、アシルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体等のオキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル、アミノアセトフェノン化合物、ヒドロキシアセトフェノン、アゾ系化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、有機ホウ素化合物、鉄アレーン錯体などが挙げられる。
トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、英国特許1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許3337024号明細書記載の化合物、F.C.SchaeferなどによるJ.Org.Chem.;29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物、特開平5−34920号公報記載化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物、などが挙げられる。
米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物としては、例えば、オキサジアゾール骨格を有する化合物(例えば、2−トリクロロメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール;2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−n−ブトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリプロモメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾールなど)などが挙げられる。
また、上記以外の光重合開始剤として、アクリジン誘導体(例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタンなど)、N−フェニルグリシンなど、ポリハロゲン化合物(例えば、四臭化炭素、フェニルトリブロモメチルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトンなど)、クマリン類(例えば、3−(2−ベンゾフラノイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾフロイル)−7−(1−ピロリジニル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−メトキシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(2−フロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−メトキシ−3−(3−ピリジルカルボニル)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン、7−ベンゾトリアゾール−2−イルクマリン、また、特開平5−19475号公報、特開平7−271028号公報、特開2002−363206号公報、特開2002−363207号公報、特開2002−363208号公報、特開2002−363209号公報などに記載のクマリン化合物など)、アシルホスフィンオキサイド類(例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルホスフィンオキサイド、LucirinTPOなど)、メタロセン類(例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフロロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフロロホスフェート(1−)など)、特開昭53−133428号公報、特公昭57−1819号公報、同57−6096号公報、及び米国特許第3615455号明細書に記載された化合物などが挙げられる。
ケトン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン、2−エトキシカルボニルベンゾフェノン、ベンゾフェノンテトラカルボン酸又はそのテトラメチルエステル、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン類(例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビスジシクロヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジヒドロキシエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、フェナントラキノン、キサントン、チオキサントン、2−クロル−チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、フルオレノン、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノールオリゴマー、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類(例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール)、アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、N−ブチル−クロロアクリドンなどが挙げられる。
市販品では、カヤキュアーDETX(日本化薬製)も好適に用いられる。
光重合開始剤としては、ヒドロキシアセトフェノン化合物、アミノアセトフェノン化合物、及び、アシルホスフィン化合物も好適に用いることができる。より具体的には、例えば、特開平10−291969号公報に記載のアミノアセトフェノン系開始剤、特許第4225898号公報に記載のアシルホスフィンオキシド系開始剤も用いることができる。
ヒドロキシアセトフェノン系開始剤としては、IRGACURE−184、DAROCUR−1173、IRGACURE−500、IRGACURE−2959、IRGACURE−127(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
アミノアセトフェノン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE−907、IRGACURE−369、及び、IRGACURE−379(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
アミノアセトフェノン系開始剤として、365nmまたは405nm等の長波光源に吸収波長がマッチングされた特開2009−191179公報に記載の化合物も用いることができる。
アシルホスフィン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE−819やDAROCUR−TPO(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
光重合開始剤として、より好ましくはオキシム系化合物が挙げられる。オキシム系開始剤の具体例としては、特開2001−233842号記載の化合物、特開2000−80068号記載の化合物、特開2006−342166号記載の化合物を用いることができる。
好ましいオキシム化合物としては、例えば、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン−2−オン、及び2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オンなどが挙げられる。
オキシム化合物としては、J.C.S.Perkin II(1979年)p p.1653−1660)、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年)pp.202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報、特開2006−342166号公報の各公報に記載の化合物等が挙げられる。
市販品ではIRGACURE−OXE01(BASF社製)、IRGACURE−OXE02(BASF社製)、N−1919(ADEKA社製)も好適に用いられる。
また、カルバゾールN位にオキシムが連結した特表2009−519904号公報に記載の化合物、ベンゾフェノン部位にヘテロ置換基が導入された米国特許7626957号公報に記載の化合物、色素部位にニトロ基が導入された特開2010−15025号公報および米国特許公開2009−292039号記載の化合物、国際公開特許2009−131189号公報に記載のケトオキシム系化合物、トリアジン骨格とオキシム骨格を同一分子内に含有する米国特許7556910号公報に記載の化合物、405nmに吸収極大を有しg線光源に対して良好な感度を有する特開2009−221114号公報記載の化合物などを用いてもよい。
また、特開2007−231000号公報、及び、特開2007−322744号公報に記載される環状オキシム化合物も好適に用いることができる。環状オキシム化合物の中でも、特に特開2010−32985号公報、特開2010−185072号公報に記載されるカルバゾール色素に縮環した環状オキシム化合物は、高い光吸収性を有し高感度化の観点から好ましい。
また、オキシム化合物の特定部位に不飽和結合を有する化合物である、特開2009−242469号公報に記載の化合物も好適に使用することができる。
最も好ましいオキシム化合物は、特開2007−269779号公報に示される特定置換基を有するオキシム化合物や、特開2009−191061号公報に示されるチオアリール基を有するオキシム化合物などが挙げられる。
光重合開始剤は、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、フォスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体及びその塩、ハロメチルオキサジアゾール化合物、3−アリール置換クマリン化合物からなる群より選択される化合物が好ましい。
さらに好ましくは、トリハロメチルトリアジン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、フォスフィンオキサイド化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物であり、トリハロメチルトリアジン化合物、α−アミノケトン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、ベンゾフェノン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が最も好ましく、オキシム化合物を用いるのが最も好ましい。
また、光重合開始剤は、pKaが4以下の酸を発生する化合物も好ましく用いることができ、pKaが3以下の酸を発生する化合物がより好ましい。
酸を発生する化合物の例として、トリクロロメチル−s−トリアジン類、スルホニウム塩やヨードニウム塩、第四級アンモニウム塩類、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物、及び、オキシムスルホネート化合物などを挙げることができる。これらの中でも、高感度である観点から、オキシムスルホネート化合物を用いることが好ましい。これら酸発生剤は、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
具体的には、特開2012−8223号公報の段落番号〔0073〕〜〔0095〕記載の酸発生剤を挙げることができる。
熱硬化性樹脂組成物が光重合開始剤を含有する場合、光重合開始剤の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全固形分に対し0.1〜30質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜20質量%であり、更に好ましくは0.1〜10質量%である。また、重合性化合物100質量部に対し、光重合開始剤を1〜20質量部含有することが好ましく、3〜10質量部含有することがより好ましい。
光重合開始剤は1種類のみでもよいし、2種類以上であってもよい。光重合開始剤が2種類以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<<連鎖移動剤>>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、連鎖移動剤を含有してもよい。連鎖移動剤は、例えば高分子辞典第三版(高分子学会編、2005年)683−684頁に定義されている。連鎖移動剤としては、例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、もしくは、酸化された後、脱プロトンすることによりラジカルを生成しうる。特に、チオール化合物(例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類、2−メルカプトベンズチアゾール類、2−メルカプトベンズオキサゾール類、3−メルカプトトリアゾール類、5−メルカプトテトラゾール類等)を好ましく用いることができる。
熱硬化性樹脂組成物が連鎖移動剤を有する場合、連鎖移動剤の好ましい含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全固形分100質量部に対し、好ましくは0.01〜20質量部、さらに好ましくは1〜10質量部、特に好ましくは1〜5質量部である。
連鎖移動剤は1種類のみでもよいし、2種類以上であってもよい。連鎖移動剤が2種類以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<<重合禁止剤>>
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、製造中または保存中において熱可塑性樹脂および重合性化合物の不要な熱重合を防止するために、少量の重合禁止剤を添加するのが好ましい。
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩が好適に挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物が重合禁止剤を有する場合、重合禁止剤の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、0.01〜5質量%が好ましい。
重合禁止剤は1種類のみでもよいし、2種類以上であってもよい。重合禁止剤が2種類以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<<高級脂肪酸誘導体等>>
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で熱硬化性樹脂組成物の表面に偏在させてもよい。
熱硬化性樹脂組成物が高級脂肪酸誘導体を有する場合、高級脂肪酸誘導体の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、0.1〜10質量%が好ましい。
高級脂肪酸誘導体等は1種類のみでもよいし、2種類以上であってもよい。高級脂肪酸誘導体等が2種類以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<<溶剤>>
本発明の熱硬化性樹脂組成物を塗布によって層状にする場合、溶剤を配合することが好ましい。溶剤は、熱硬化性樹脂組成物を層状に形成できれば、公知のものを制限なく使用できる。
エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ―ブチロラクトン、ε-カプロラクトンδ-バレロラクトン、オキシ酢酸アルキル(例:オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等))、2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル))、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチルおよび2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(例えば、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等、並びに、エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等、並びに、ケトン類として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、N−メチル−2−ピロリドン等、並びに、芳香族炭化水素類として、例えば、トルエン、キシレン、アニソール、リモネン等、スルホキシド類としてジメチルスルホキシドが好適に挙げられる。
溶剤は、塗布面状の改良などの観点から、2種以上を混合する形態も好ましい。この場合、特に好ましくは、上記の3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、γ―ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、およびプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
熱硬化性樹脂組成物が溶剤を有する場合、溶剤の含有量は、塗布性の観点から、熱硬化性樹脂組成物の全固形分濃度が5〜80質量%になる量とすることが好ましく、5〜70質量%がさらに好ましく、10〜60質量%が特に好ましい。
溶剤は1種類のみでもよいし、2種類以上であってもよい。溶剤が2種類以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<<界面活性剤>>
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
特に、フッ素系界面活性剤を含有することで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上することから、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。
フッ素系界面活性剤を含有する塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
フッ素系界面活性剤のフッ素含有率は、3〜40質量%が好適であり、より好ましくは5〜30質量%であり、特に好ましくは7〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、溶解性も良好である。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)、PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(OMNOVA社製)等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤として具体的には、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレートおよびプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセリンエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製「トーレシリコーンDC3PA」、「トーレシリコーンSH7PA」、「トーレシリコーンDC11PA」,「トーレシリコーンSH21PA」,「トーレシリコーンSH28PA」、「トーレシリコーンSH29PA」、「トーレシリコーンSH30PA」、「トーレシリコーンSH8400」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−4460」、「TSF−4452」、信越シリコーン株式会社製「KP341」、「KF6001」、「KF6002」、ビックケミー社製「BYK307」、「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物が界面活性剤を有する場合、界面活性剤の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、0.001〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005〜1.0質量%である。
界面活性剤は1種類のみでもよいし、2種類以上であってもよい。界面活性剤が2種類以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<<その他の添加剤>>
本発明における熱硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、各種添加物、例えば、硬化剤、硬化触媒、シランカップリング剤、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等、腐食防止剤を配合することができる。これらの添加剤を配合する場合、その合計配合量は熱硬化性樹脂組成物の固形分の3質量%以下とすることが好ましい。
<熱硬化性樹脂組成物の調製>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記各成分を混合して調製することができる。混合方法は特に限定はなく、従来公知の方法で行うことができる。
<熱硬化性樹脂組成物の用途>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、耐熱性及び絶縁性に優れる硬化膜を形成できるので、半導体デバイスの絶縁膜、再配線用層間絶縁膜などに好ましく用いることができる。特に、3次元実装デバイスにおける再配線用層間絶縁膜などに好ましく用いることができる。
また、エレクトロニクス用のフォトレジスト(ガルバニック(電解)レジスト(galvanic resist)、エッチングレジスト、ソルダートップレジスト(solder top resist))などに用いることもできる。
また。オフセット版面またはスクリーン版面などの版面の製造、成形部品のエッチングへの使用、エレクトロニクス、特にマイクロエレクトロニクスにおける保護ラッカーおよび誘電層の製造などに用いることもできる。
<硬化膜の形成方法>
次に、本発明の硬化膜の形成方法について説明する。
本発明の硬化膜の形成方法は、本発明の熱硬化性樹脂組成物を基板に適用する工程と、基板に適用された熱硬化性樹脂組成物を硬化する工程とを有する。
<<熱硬化性樹脂組成物を基板に適用する工程>>
熱硬化性樹脂組成物の基板への適用方法としては、スピニング、浸漬、ドクターブレード塗布、懸濁キャスティング(suspended casting)、塗布、噴霧、静電噴霧、リバースロール塗布などが挙げられ、静電噴霧およびリバースロール塗布が基板上に均一に適用できるという理由から好ましい。例えば積層による層の移動による銅被膜プリント回路基板のように、感光性層を一時的な、柔軟性のある担体上に導入し、次いで最終的な基板を塗布することも可能である。
基板としては、無機基板、樹脂、樹脂複合材料などが挙げられる。
無機基板としては、例えばガラス、石英、シリコーン、シリコンナイトライド、および、それらのような基板上にモリブデン、チタン、アルミニウム、銅などを蒸着した複合基板が挙げられる。
樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アリルジグリコールカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリベンズアゾール、ポリフェニレンサルファイド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂、液晶ポリマー、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アイオノマー樹脂、シアネート樹脂、架橋フマル酸ジエステル、環状ポリオレフィン、芳香族エーテル、マレイミドーオレフィン、セルロース、エピスルフィド化合物等の合成樹脂からなる基板が挙げられる。これらの基板は、上記の形態のまま用いられる場合は少なく、通常、最終製品の形態によって、例えばTFT素子のような多層積層構造が形成されている。
熱硬化性樹脂組成物を適用する量(層の厚さ)および基板の種類(層の担体)は、望まれる用途の分野に依存する。熱硬化性樹脂組成物が広範囲に変化可能な層の厚さで使用できることが特に有利である。層の厚さの範囲は、0.5〜100μmが好ましい。
熱硬化性樹脂組成物を基板へ適用した後、乾燥することが好ましい。乾燥は、例えば、60〜150℃で、10秒〜2分行うことが好ましい。
<<加熱する工程>>
基板に適用した熱硬化性樹脂組成物を加熱することにより、熱硬化性樹脂の環化反応が進み、耐熱性に優れた硬化膜を形成できる。
加熱温度は、50〜300℃が好ましく、100〜200℃がより好ましく、100〜180℃が特に好ましい。
本発明によれば、一般式(1)で表される化合物から発生したアミン種が、熱硬化性樹脂の環化反応の触媒として働き、熱硬化性樹脂の環化反応を促進できるため、熱硬化性樹脂の環化反応をより低温で行うこともできる。このため、200℃以下の低温処理でも、耐熱性に優れた硬化膜を形成することもできる。
本発明では、上記熱硬化性樹脂組成物を基板に適用する工程と、上記加熱する工程との間に、パターン形成工程を行ってもよい。パターン形成工程は、例えば、フォトリソグラフィ法により行うことができる。例えば、露光する工程と現像処理を行う工程を経て行う方法が挙げられる。フォトリソグラフィ法によりパターン形成する場合について説明する。
<<露光する工程>>
露光する工程では、基板に適用された熱硬化性樹脂組成物に対して、所定のパターンの活性光線または放射線を照射する。
活性光線または放射線の波長は、熱硬化性樹脂組成物の組成により異なるが、200〜600nmが好ましく、300〜450nmがより好ましい。
光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、LED光源、エキシマレーザー発生装置などを用いることができ、i線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)などの波長300nm以上450nm以下の波長を有する活性光線が好ましく使用できる。また、必要に応じて長波長カットフィルター、短波長カットフィルター、バンドパスフィルターのような分光フィルタを通して照射光を調整することもできる。露光量は好ましくは1〜500mJ/cm2である。
露光装置としては、ミラープロジェクションアライナー、ステッパー、スキャナー、プロキシミティ、コンタクト、マイクロレンズアレイ、レンズスキャナ、レーザー露光、など各種方式の露光機を用いることができる。
なお、(メタ)アクリレートおよび類似のオレフィン不飽和化合物の光重合は、公知のとおり、特に薄層中では空気中の酸素により防止される。この効果は、例えばポリビニルアルコールの一時的な被膜層導入や、不活性ガス中での前露光または前調整などの公知の従来法により緩和できる。
<<現像処理を行う工程>>
現像処理を行う工程では、熱硬化性樹脂組成物の未露光の部分を、現像液を用いて現像する。現像液としては、水性アルカリ性現像液、有機溶剤などを用いることができる。
水性アルカリ性現像液に使用するアルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、アンモニアまたはアミンなどが挙げられる。アミンとしては、例えば、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、アルカノールアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、四級アンモニウム水酸化物、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)または水酸化テトラエチルアンモニウムなどが挙げられる。なかでも金属を含まないアルカリ化合物が好ましい。好適な水性アルカリ性現像液は、一般的にアルカリに関して0.5規定までであるが、使用前に適当に希釈してもよい。例えば、約0.15〜0.4規定、好ましくは0.20〜0.35規定の水性アルカリ性現像液も適切である。アルカリ化合物は1種類のみでもよいし、2種類以上であってもよい。アルカリ化合物が2種類以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
有機溶剤としては、上述した熱硬化性樹脂組成物に用いることができる溶剤と同様のものを用いることができる。
本発明の硬化膜の形成方法が適用可能な分野には、半導体デバイスの絶縁膜、再配線用層間絶縁膜などに好ましく用いることができる。特に、解像性が良好であるため、3次元実装デバイスにおける再配線用層間絶縁膜などに好ましく用いることができる。
また、エレクトロニクス用のフォトレジスト(ガルバニック(電解)レジスト(galvanic resist)、エッチングレジスト、ソルダートップレジスト(solder top resist))などに用いることもできる。
また。オフセット版面またはスクリーン版面などの版面の製造、成形部品のエッチングへの使用、エレクトロニクス、特にマイクロエレクトロニクスにおける保護ラッカーおよび誘電層の製造などに用いることもできる。
<半導体デバイス>
次に、本発明の熱硬化性樹脂組成物を再配線用層間絶縁膜に用いた半導体デバイスの一実施形態について説明する。
図1に示す半導体デバイス100は、いわゆる3次元実装デバイスであり、複数の半導体素子(半導体チップ)101a〜101dが積層した積層体101が、配線基板120に配置されている。
なお、この実施形態では、半導体素子(半導体チップ)の積層数が4層である場合を中心に説明するが、半導体素子(半導体チップ)の積層数は特に限定されるものではなく、例えば、2層、8層、16層、32層等であってもよい。また、1層であってもよい。
複数の半導体素子101a〜101dは、いずれもシリコン基板等の半導体ウエハからなる。
最上段の半導体素子101aは、貫通電極を有さず、その一方の面に電極パッド(図示せず)が形成されている。
半導体素子101b〜101dは、貫通電極102b〜102dを有し、各半導体素子の両面には、貫通電極に一体に設けられた接続パッド(図示せず)が設けられている。
積層体101は、貫通電極を有さない半導体素子101aと、貫通電極102b〜102dを有する半導体素子101b〜101dとをフリップチップ接続した構造を有している。
すなわち、貫通電極を有さない半導体素子101aの電極パッドと、これに隣接する貫通電極102bを有する半導体素子101bの半導体素子101a側の接続パッドが、半田バンプ等の金属バンプ103aで接続され、貫通電極102bを有する半導体素子101bの他側の接続パッドが、それに隣接する貫通電極102cを有する半導体素子101cの半導体素子101b側の接続パッドと、半田バンプ等の金属バンプ103bで接続されている。同様に、貫通電極102cを有する半導体素子101cの他側の接続パッドが、それに隣接する貫通電極102dを有する半導体素子101dの半導体素子101c側の接続パッドと、半田バンプ等の金属バンプ103cで接続されている。
各半導体素子101a〜101dの間隙には、アンダーフィル層110が形成されており、各半導体素子101a〜101dは、アンダーフィル層110を介して積層している。
積層体101は、配線基板120に積層されている。
配線基板120としては、例えば樹脂基板、セラミックス基板、ガラス基板等の絶縁基板を基材として用いた多層配線基板が使用される。樹脂基板を適用した配線基板120としては、多層銅張積層板(多層プリント配線板)等が挙げられる。
配線基板120の一方の面には、表面電極120aが設けられている。
配線基板120と積層体101との間には、再配線層105が形成された絶縁層115が配置されており、配線基板120と積層体101とは、再配線層105を介して電気的に接続されている。絶縁層115は、本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いて形成してなるものである。
すなわち、再配線層105の一端は、半田バンプ等の金属バンプ103dを介して、半導体素子101dの再配線層105側の面に形成された電極パッドに接続されている。また、再配線層105の他端は、配線基板の表面電極120aと、半田バンプ等の金属バンプ103eを介して接続している。
そして、絶縁層115と積層体101との間には、アンダーフィル層110aが形成されている。また、絶縁層115と配線基板120との間には、アンダーフィル層110bが形成されている。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」および「部」は質量基準である。
(一般式(1)で表される化合物の合成例)[A−1〜A−10]
水5mlを50mlナスフラスコに入れ、5℃以下で5分攪拌した。水酸化ナトリウムを23ミリモル加え、クロロ酢酸23ミリモルを滴下した。対応するアリールアミン、またはアリルアミン10ミリモルを滴下し、4.6ミリモルのヨウ化カリウムを加えた。90℃に昇温し、5時間攪拌した。室温まで放冷した後、析出した固体をろ過した。得られた固体を水2ml中でリスラリーし、風乾して目的物を得た。
(比較化合物の合成例)[X−7、X−8]
水5mlとアニリン10ミリモルとグルタコン酸またはマレイン酸10ミリモルを50mlナスフラスコに入れ5分間攪拌した。水酸化ナトリウムを23ミリモル加え、100℃で24時間加熱し続けた。室温まで放冷した後、析出した固体をろ過した。得られた固体を水2ml中でリスラリーし、風乾して目的物を得た。
(合成例1)[ピロメリト酸二無水物、4,4’−オキシジアニリンおよび3−ヒドロキシベンジルアルコールからのポリイミド前駆体樹脂(B−1;エチレン性不飽和結合を有さないポリイミド前駆体樹脂)の合成]
14.06g(64.5ミリモル)のピロメリト酸二無水物(140℃で12時間乾燥)と、16.33g(131.58ミリモル)の3−ヒドロキシベンジルアルコールとを、50mlのN−メチルピロリドンに懸濁させ、モレキュラーシーブで乾燥させた。懸濁液を100℃で3時間加熱した。加熱してから数分後に透明な溶液が得られた。反応混合物を室温に冷却し、21.43g(270.9ミリモル)のピリジンおよび90mlのN−メチルピロリドンを加えた。次いで、反応混合物を−10℃に冷却し、温度を−10±4℃に保ちながら16.12g(135.5ミリモル)のSOCl2を10分かけて加えた。SOCl2を加えている間、粘度が増加した。50mlのN−メチルピロリドンで希釈した後、反応混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、100mlのN−メチルピロリドンに11.08g(58.7ミリモル)の4,4’−オキシジアニリンを溶解させた溶液を、20〜23℃で20分かけて反応混合物に滴下した。次いで、反応混合物を室温で1晩撹拌した。次いで、5リットルの水の中でポリイミド前駆体樹脂を沈殿させ、水−ポリイミド前駆体樹脂混合物を5000rpmの速度で15分間撹拌した。ポリイミド前駆体樹脂を濾過して除き、4リットルの水の中で再度30分間撹拌し再び濾過した。次いで、得られたポリイミド前駆体樹脂を減圧下で、45℃で3日間乾燥した。
(合成例2)[ピロメリト酸二無水物、4,4’−オキシジアニリンおよびベンジルアルコールからのポリイミド前駆体樹脂(B−2;エチレン性不飽和結合を有さないポリイミド前駆体樹脂)の合成]
14.06g(64.5ミリモル)のピロメリト酸二無水物(140℃で12時間乾燥)と、14.22g(131.58ミリモル)のベンジルアルコールを、50mlのN−メチルピロリドンに懸濁させ、モレキュラーシーブで乾燥させた。懸濁液を100℃で3時間加熱した。加熱してから数分後に透明な溶液が得られた。反応混合物を室温に冷却し、21.43g(270.9ミリモル)のピリジンおよび90mlのN−メチルピロリドンを加えた。次いで、反応混合物を−10℃に冷却し、温度を−10±4℃に保ちながら16.12g(135.5ミリモル)のSOCl2を10分かけて加えた。SOCl2を加えている間、粘度が増加した。50mlのN−メチルピロリドンで希釈した後、反応混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、100mlのN−メチルピロリドンに11.08g(58.7ミリモル)の4,4’−オキシジアニリンを溶解させた溶液を、20〜23℃で20分かけて反応混合物に滴下した。次いで、反応混合物を室温で1晩撹拌した。次いで、5リットルの水の中でポリイミド前駆体樹脂を沈殿させ、水−ポリイミド前駆体樹脂混合物を5000rpmの速度で15分間撹拌した。ポリイミド前駆体樹脂を濾過して除き、4リットルの水の中で再度30分間撹拌し再び濾過した。次いで、得られたポリイミド前駆体樹脂を減圧下で、45℃で3日間乾燥した。
(合成例3)[ピロメリト酸二無水物、4,4’−オキシジアニリンおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレートとからのポリイミド前駆体樹脂(B−3;エチレン性不飽和結合を有するポリイミド前駆体樹脂)の合成]
14.06g(64.5ミリモル)のピロメリト酸二無水物(140℃で12時間乾燥した)と、18.6g(129ミリモル)の2−ヒドロキシエチルメタクリレートと、0.05gのハイドロキノンと、10.7gのピリジンと、140gのダイグライムと混合し、60℃の温度で18時間撹拌して、ピロメリト酸と2−ヒドロキシエチルメタクリレートのジエステルを製造した。次いで、得られたジエステルをSOCl2により塩素化した後、合成例1と同様の方法で4,4’−オキシジアニリンでポリイミド前駆体樹脂に変換し、合成例1と同様の方法でポリイミド前駆体樹脂を得た。
(合成例4)[ピロメリト酸二無水物、4,4’−オキシジアニリン、3−ヒドロキシベンジルアルコールおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレートからのポリイミド前駆体樹脂(B−4;エチレン性不飽和結合を有するポリイミド前駆体樹脂)の合成]
14.06g(64.5ミリモル)のピロメリト酸二無水物(140℃で12時間乾燥した)と、18.6g(129ミリモル)の2−ヒドロキシエチルメタクリレートと、0.05gのハイドロキノンと、10.7gのピリジンと、140gのダイグライムとを混合し、60℃の温度で18時間撹拌してピロメリト酸と2−ヒドロキシエチルメタクリレートのジエステルを製造した。
また、14.06g(64.5ミリモル)のピロメリト酸二無水物(140℃で12時間乾燥)と、16.33g(131.58ミリモル)の3−ヒドロキシベンジルアルコールとを、50mlのN−メチルピロリドンに懸濁させ、モレキュラーシーブで乾燥したのち、懸濁液を100℃で3時間加熱して、ピロメリト酸と3−ヒドロキシベンジルアルコールのジエステルを製造した。
ピロメリト酸と2−ヒドロキシエチルメタクリレートのジエステルと、ピロメリト酸と3−ヒドロキシベンジルアルコールのジエステルとの等モル混合物をSOCl2により塩素化した後、合成例1と同様の方法で4,4’−オキシジアニリンでポリイミド前駆体樹脂に変換し、合成例1と同様の方法でポリイミド前駆体樹脂を得た。
(合成例5)[ピロメリト酸二無水物、4,4’−オキシジアニリン、ベンジルアルコールおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレートからのポリイミド前駆体樹脂(B−5;エチレン性不飽和結合を有するポリイミド前駆体樹脂)の合成]
14.06g(64.5ミリモル)のピロメリト酸二無水物(140℃で12時間乾燥した)と、18.6g(129ミリモル)の2−ヒドロキシエチルメタクリレートと、0.05gのハイドロキノンと、10.7gのピリジンと、140gのダイグライムとを混合し、60℃の温度で18時間撹拌して、ピロメリト酸と2−ヒドロキシエチルメタクリレートのジエステルを製造した。
また、14.06g(64.5ミリモル)のピロメリト酸二無水物(140℃で12時間乾燥)と、14.22g(131.58ミリモル)のベンジルアルコールを、50mlのN−メチルピロリドンに懸濁させ、モレキュラーシーブで乾燥した後、懸濁液を100℃で3時間加熱して、ピロメリト酸とベンジルアルコールのジエステルを製造した。
ピロメリト酸と2−ヒドロキシエチルメタクリレートのジエステルと、ピロメリト酸とベンジルアルコールのジエステルとの等モル混合物をSOCl2により塩素化した後、合成例1と同様の方法で4,4’−オキシジアニリンでポリイミド前駆体樹脂に変換し、合成例1と同様の方法でポリイミド前駆体樹脂を得た。
<塩基発生温度>
示差走査熱量測定(Q2000 TA社製)を用い(A)特定化合物を耐圧カプセル中5℃/分で250℃まで加熱し、最も温度が低い発熱ピークのピーク温度を読み取り、かかるピーク温度を塩基発生温度として測定した。
<試験例1>
[実施例1〜20、比較例1〜9]
下記記載の成分を混合し、熱硬化性樹脂組成物の塗布液を調製した。
<熱硬化性樹脂組成物の組成>
(A)特定化合物:表1記載の質量%
(B)ポリイミド前駆体樹脂:表1記載の質量%
(C)重合性化合物:表1記載の質量%
(D)熱重合開始剤:表1記載の質量%
(その他の成分)
γ−ブチロラクトン:60質量%
各熱硬化性樹脂組成物を、細孔の幅が0.8μmのフィルタを通して加圧濾過した後、シリコンウエハ上にスピニング(3500rpm、30秒)して適用した。熱硬化性樹脂組成物を適用したシリコンウエハをホットプレート上で、100℃で5分間乾燥し、シリコンウエハ上に厚さ10μmの均一な樹脂層を形成した。
[実施例21]
<熱硬化性樹脂組成物の組成>
(A)特定化合物:表1記載の質量%
(B)ポリイミド前駆体樹脂:表1記載の質量%
(C)重合性化合物:表1記載の質量%
(E)光重合開始剤:表1記載の質量%
(その他の成分)
γ−ブチロラクトン:60質量%
熱硬化性樹脂組成物を、細孔の幅が0.8μmのフィルタを通して加圧濾過した後、シリコンウエハ上にスピニング(3500rpm、30秒)して適用した。熱硬化性樹脂組成物を適用したシリコンウエハをホットプレート上で、100℃で5分間乾燥し、シリコンウエハ上に厚さ10μmの均一な膜を形成し、アライナー(Karl−Suss MA150)を用いて500mJで露光した。露光は高圧水銀ランプで行い、波長365nmでの露光エネルギーを測定した。
<評価>
[硬化性]
熱硬化性樹脂組成物を、細孔の幅が0.8μmのフィルタを通して加圧濾過した後、シリコンウエハ上にスピニング(1200rpm、30秒)して適用した。熱硬化性樹脂組成物を適用したシリコンウエハをホットプレート上で、100℃で5分間乾燥し、シリコンウエハ上に厚さ10μmの均一な膜を形成した。
シリコンウエハから上記膜を掻きとり、窒素中、250℃に維持した状態での熱重量分析(TGA測定)を行い、環化時間を評価した。ポリイミド前駆体樹脂は環化反応の進行にともない、質量減少が起こるので、質量減少が発生しなくなるまでの時間を以下の基準で評価した。時間が短ければ短いほど環化速度が速くなっていることを表し、好ましい結果となる。
A:10分を超えて30分以下
B:30分を超えて60分以下
C:60分を超えて120分以下
D:120分を超えた。もしくは環化しなかった。
[安定性]
熱硬化性樹脂組成物を調製した後、熱硬化性樹脂組成物が10g入った容器を密閉し、25℃、湿度65%の環境下に静置した。熱硬化性樹脂組成物の環化が進行し、固体が析出するまでの時間で安定性を評価した。時間が長ければ長いほど、組成物の安定性が高く、好ましい結果となる。固体の析出は、孔径0.8μmのメッシュで濾過し、メッシュ状の異物の有無を目視で観察した。
A:30日を超えても固体の析出が見られなかった
B:20日を超えて、30日以内に固体が析出した
C:10日を超えて、20日以内に固体が析出した
D:5日を超えて、10日以内に固体が析出した
E:5日以内に固体が析出した
[耐熱性]
シリコンウエハから上記膜を掻きとり、窒素中、350℃に3時間維持した状態での熱重量分析(TGA測定)を行い、質量減少率を評価した。耐熱性を以下の基準で評価した。3時間後の質量減少率が小さいほど耐熱性が高くなっていることを表し、好ましい結果となり、評価結果としてはA〜Cであることが実用上好ましい。
A:1質量%以下
B:1質量%を超えて5質量%以下
C:5質量%を超えて10質量%以下
D:10質量%を超えたもの
Figure 2015199220
上記結果より、実施例1〜21の熱硬化性樹脂組成物は、硬化性および安定性に優れていることがわかる。
これに対し、比較例1〜9の熱硬化性樹脂組成物は、硬化性および安定性の少なくとも一方が、実施例の熱硬化性樹脂組成物よりも劣るものであった。
表1に記載した略称は以下の通りである。
(A)特定化合物
・A−1〜A−12:下記構造(式中Meはメチル基を表す)。
Figure 2015199220
・X−1〜X−8(比較用化合物):下記構造(式中Meはメチル基を表す)。
Figure 2015199220
(B)ポリイミド前駆体樹脂
B−1〜B−5:合成例1〜5で合成したポリイミド前駆体樹脂B−1〜B−5
(C)重合性化合物
C−1:NKエステル M−40G (新中村化学工業(株)製 単官能メタクリレート 下記構造)
Figure 2015199220
C−2:NKエステル 4G (新中村化学工業(株)製 2官能メタリレート 下記構造)
Figure 2015199220
(C−3) NKエステル A−9300 (新中村化学工業(株)製 3官能アクリレート 下記構造)
Figure 2015199220
(D)熱重合開始剤
D−1:パーブチルZ(日油(株)製、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、分解温度(10時間半減期温度=104℃))
(E)光重合開始剤
E−1:IRGACURE OXE−01(BASF社製)
Figure 2015199220
<実施例100>
実施例1の熱硬化性樹脂組成物を、細孔の幅が0.8μmのフィルタを通して加圧濾過した後、銅薄層が形成された樹脂基板にスピニング(3500rpm、30秒)して適用した。樹脂基板に適用した熱硬化性樹脂組成物を、100℃で5分間乾燥した。
次いで、180℃で20分加熱した。このようにして、再配線用層間絶縁膜を形成した。
この再配線用層間絶縁膜は、絶縁性に優れていた。
また、この再配線用層間絶縁膜を使用して半導体デバイスを製造したところ、問題なく動作することを確認した。
なお、ポリイミド前駆体樹脂をポリアミドイミド前駆体樹脂、ポリベンゾオキサゾール前駆体に変更しても、同様の効果が得られた。
100 :半導体デバイス
101a〜101d:半導体素子
101:積層体
102b〜10d:貫通電極
103a〜103e:金属バンプ
105:再配線層
110、110a、110b:アンダーフィル層
115:絶縁層
120:配線基板
120a:表面電極

Claims (14)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物と、塩基によって環化して硬化する熱硬化性樹脂とを含む熱硬化性樹脂組成物;
    Figure 2015199220
    一般式(1)中、Aはp価の有機基を表し、L1は(m+1)価の連結基を表し、L2は(n+1)価の連結基を表し、mは1以上の整数を表し、nは1以上の整数を表し、pは1以上の整数を表す。
  2. 前記一般式(1)において、Aが芳香族環基である請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 前記一般式(1)において、Aがベンゼン環である請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 前記一般式(1)において、L1およびL2がそれぞれ独立にアルキレン基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. 一般式(1)において、m、nおよびpがそれぞれ1である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  6. 前記一般式(1)で表される化合物がN−アリールイミノ二酢酸である請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  7. 前記熱硬化性樹脂が、ポリイミド前駆体樹脂、ポリアミドイミド前駆体樹脂およびポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  8. 前記熱硬化性樹脂が、エチレン性不飽和結合を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  9. さらに、重合性化合物として、エチレン性不飽和結合を有する化合物を含有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  10. さらに、光重合開始剤を含有する請求項8または9に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜。
  12. 再配線用層間絶縁膜である、請求項11に記載の硬化膜。
  13. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物を基板に適用する工程と、基板に適用された熱硬化性樹脂組成物を硬化する工程とを有する硬化膜の製造方法。
  14. 請求項11に記載の硬化膜、または、請求項13に記載の方法で製造された硬化膜を有する半導体デバイス。
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