JP2011083925A - 筆記具用インキ逆流防止体組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 インキ収容管内に直接収容されたインキ端面に配設される筆記具用インキ逆流防止体組成物であって、正立状態或いは横置き状態で静置されたときに十分なインキ逆流防止性能を備え、筆記の際インキの減少に伴って、ペン先方向へスムースに移動するインキ追従性能に優れた筆記具用インキ逆流防止体組成物を提供する。
【解決手段】 ポリブテンをベースオイルとし、増粘剤として一般式で示されるポリアミド樹脂を含有してなる筆記具用インキ逆流防止体組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は筆記具用インキ逆流防止体組成物に関する。更に詳細には、インキ収容管内に直接収容されたインキ端面に配設される筆記具用インキ逆流防止体組成物に関する。
この種の筆記具用インキ逆流防止体組成物は、正立(チップ上向き)或いは横置き状態で保管又は運搬された時に、インキがインキ収容管後端から漏出することを防止するインキ逆流防止性能、筆記の際インキの減少に伴って、ペン先方向へスムースに移動するインキ追従性能、インキに追従する際にインキ収容管壁面へのインキ及び筆記具本体を落下させたときのインキ飛び散りやインキ流出を防ぐ耐衝撃性能等が要求される。
従来、高粘度の油性インキを用いた油性ボールペン用のインキ逆流防止体としては鉱油と金属石鹸の混合物であるグリース等が適用されている又、中粘度或いはゲル状の水性インキを用いた水性ボールペンに前記油性ボールペン用インキ逆流防止体を適用すると、インキへの追従不良や温度変化による粘度変化が大きいことによって水性インキの逆流を抑止できない等の不具合を生じるため、液状ポリブテン、鉱油、シリコーンオイル等の難揮発性有機液体に増粘剤を添加してゲル状体としたインキ逆流防止体が多数提案され、広く実用化されており、前記増粘剤としてジベンジリデンソルビトール或いはトリベンジリデンソルビトールを用いること(例えば特許文献1参照)、前記増粘剤としてN‐アシル化アミノ酸誘導体を用いること(例えば特許文献2参照)、前記増粘剤として微粒子シリカを用いること(例えば特許文献3参照)等が提案されている。
特公昭64−10554号公報 特開昭57−200472号公報 特開平7−242093号公報
しかしながら、前記従来のインキ逆流防止体は正立状態或いは横置き状態で静置されたときに十分なインキ逆流防止性能を備えていなかったり、筆記の際インキの減少に伴って、ペン先方向へスムースに移動(インキ追従性能)できない等の不具合があり、実用性を満足するものではなかった。
本発明は、前記したインキ逆流防止性能、インキ追従性を共に満足した実用性の高いインキ逆流防止体組成物を提供するものである。
本発明の筆記具用インキ逆流防止体組成物は、筆記具のインキ収容筒内に直接収容されたインキの後端面に配設され、インキの消費に従い前進するインキ逆流防止体であって、前記インキ逆流防止体がポリブテンに下記一般式で示されるポリアミド樹脂からなることを要件とする。
更に、前記ポリアミド樹脂がインキ逆流防止体組成物全量中5〜30質量%の範囲で添加されること及び前記ポリアミド樹脂中の不飽和脂肪酸がリノール酸ジオクタデシルであることを要件とする。
本発明の筆記具用インキ逆流防止体組成物は、ポリブテンに特定構造のポリアミド樹脂を添加することにより、インキ逆流防止体に適度な粘性と流動抵抗が付与され、インキ収容管に直接収容されたインキの後端に接触配置されたときに、インキ逆流防止性能と筆記時のインキ追従性を共に満足するものである。
本発明のインキ逆流防止体がどのようなメカニズムで上記した効果を発現するのかは定かではないが、ポリアミド樹脂構造中の酸素原子或いは窒素原子とベースオイルであるポリブテン中の水素原子の間で水素結合が発現し、三次元網目構造が形成されるため、良好なインキ逆流防止効果を発揮すると推測される。
本発明の筆記具用インキ逆流防止体組成物は、ベースオイルであるポリブテン中に、前記一般式で示されるポリアミド樹脂を添加することにより得ることができる。
ポリブテンは市販されているものを用いればよく、具体的にはポリブテンLV−7、同LV−10、同LV−25、同LV−50、同LV−100、同HV−15、同HV−35、同HV−35、同HV−50、同HV−100、同HV−300(以上、新日本石油化学(株)製)、ポリブテン0H、同5H、同10H−T、同15H、同300H、同15R、同35R、同100R、同100R、同300R(以上、出光石油化学(株)製)等を例示することができる。
又、増粘剤として用いられるポリアミド樹脂は下記一般式で示される。
Figure 2011083925
(ここでR1は不飽和脂肪酸或いはその二量体を示す。)
前記式において、不飽和脂肪酸がリノール酸ジオクタデシルであるポリアミド樹脂が好適に用いられるが、高級アルコール工業株式会社からハイマレートPAMの商品名で市販されている。
前記ポリアミド樹脂は筆記具用インキ逆流防止体組成物全量に対して5〜30質量%の範囲で配合される。5質量%未満ではインキ逆流防止体組成物に適度な粘性を付与することが難しく、十分なインキ逆流防止性能を得られない。又、30質量%を超えて添加された場合、インキ逆流防止体組成物の粘度が高くなりすぎるため、筆記時のインキ消費によるインキ後端液面の移動に追従することができず、筆記不良を発生させてしまう。
前記ポリアミド樹脂は筆記具用インキ逆流防止体組成物全量に対して5〜30質量%の範囲で配合されるが好ましくは10〜25質量%、更に好ましくは10〜20質量%の範囲で添加される。
本発明の筆記具用インキ逆流防止体組成物は前記ポリブテンと前記ポリアミド樹脂を混合し、ポリアミド樹脂が完全に溶解するまで加熱撹拌し、その後室温まで冷却することにより得られる。
本発明の効果を詳細に説明するための実施例及び比較例の組成を表1に示す。尚、表中の数字は質量%を表す。
Figure 2011083925
表中の原料の内容を注番号に従って説明する。
(1)日油(株)製、商品名:ポリブテン5N、数平均分子量780
(2)日油(株)製、商品名:ポリブテン10N、数平均分子量1000
(3)高級アルコール工業(株)製、商品名:ハイマレートPAM、有効成分50%
(4)新日本理化(株)製、商品名:ゲルオールD
(5)味の素(株)製、商品名:GP−1
(6)日本アエロジル(株)製、商品名:AEROSIL
380
実施例1、2及び比較例1、2はベースオイル(ポリブテン)中に増粘剤(ポリアミド樹脂等)を所定量投入し、ディスパーで撹拌しながら加温し、140℃になった時点で撹拌及び加温を停止し、室温まで自然放冷することによりインキ逆流防止体組成物を得た。
比較例3はベースオイル(ポリブテン)中に微粒子シリカを所定量投入し、予備撹拌をした後三本ロール処理を行いインキ逆流防止体組成物を得た。
〔性能テスト用試料ボールペンの作成〕
直径0.5mmの超硬合金製ボールを備えたステンレスパイプチップを先端に嵌着した、内径3.8mmのポリプロピレン製パイプに、20℃における粘度が100mPa・sの水性赤インキを1g充填し、インキ後端部に実施例及び比較例のインキ逆流防止体組成物をそれぞれ0.1g接触配置して試料ボールペンを得た。
上記の試料ボールペンを用いて以下の性能テストを実施し、それぞれの評価基準で評価した。結果を表2に示す。
Figure 2011083925
〔落下衝撃試験〕
前記試料ボールペンを正立状態(チップ上向き状態)で4フィートの高さから3回落下し、インキ逆流防止体組成物の状態を目視で観察した。
○:インキ逆流防止体組成物の状態に変化が認められない
△:インキ逆流防止体組成物の形状が崩れている
×:インキ逆流防止体組成物の形状が著しく崩れ、インキが後方に漏れている
〔追従性試験〕
前記試料ボールペンを自動筆記試験機(筆記角度70度、筆記荷重100g、筆記速度4m/分)でJIS P3201筆記用紙Aに螺旋状にインキを全量消費するまで筆記させ、筆跡の状態を目視で観察した。
○:最初から最後まで良好な筆跡で筆記できる
△:筆跡にカスレが生じている
×:筆記線が途切れる、或いは筆記できない

Claims (3)

  1. 筆記具のインキ収容筒内に直接収容されたインキの後端面に配設され、インキの消費に従い前進するインキ逆流防止体であって、前記インキ逆流防止体がポリブテンと下記一般式で示されるポリアミド樹脂からなることを特徴とする筆記具用インキ逆流防止体組成物。
    Figure 2011083925
    (ここでR1は不飽和脂肪酸又はその二量体を示す)
  2. 前記ポリアミド樹脂がインキ逆流防止体組成物全量中5〜30質量%の範囲で添加されることを特徴とする請求項1記載の筆記具用インキ逆流防止体組成物。
  3. 前記ポリアミド樹脂中の不飽和脂肪酸がリノール酸ジオクタデシルであることを特徴とする請求項1又は2記載の筆記具用インキ逆流防止体組成物。
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