JP5868657B2 - 筆記具用インキ逆流防止体組成物 - Google Patents
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また、特許文献3に記載される脂肪酸アマイドを用いた場合、耐衝撃性能が得られるものの、それのみで難揮発性有機液体に添加した際、長期保存後に分離することがある。また、キシレン溶媒に膨潤させて格子状結晶化して添加することで、長期保存性が良化するものの、経時後の追従性が充分には得られ難くなってしまう。更に、キシレン溶媒を用いるため、特有の臭気を発するものとなる。
本発明は、前記した耐衝撃性能やインキ逆流防止性能を共に満足し、臭気を発することなく経時安定性やインキ追従性能も充分発揮できる、実用性の高いインキ逆流防止体組成物を提供するものである。
更に、前記液状キシレン樹脂で膨潤した脂肪酸アマイドにおいて、脂肪酸アマイドが組成物全量中5〜50重量%の範囲であること、前記難揮発性液体が、鉱油、ポリブテンのいずれかであることを要件とする。
脂肪酸アマイドが膨潤、分散されている液状キシレン樹脂との親和性が高く、高いインキ追従性能を長期的に発現できる点からポリブテンや精製鉱油が好適である。
前記ポリブテンの市販品として具体的には、ポリブテンLV−7、同LV−10、同LV−25、同LV−50、同LV−100、同HV−15、同HV−35、同HV−35、同HV−50、同HV−100、同HV−300(以上、新日本石油化学(株)製)、ポリブテン0H、同5H、同10H−T、同15H、同300H、同15R、同35R、同100R、同100R、同300R(以上、出光石油化学(株)製)、015N、06N、3N、5N、10N、ニューグライドM、ニューグライドμ(以上、日油(株)製)等を例示することができる。
前記精製鉱油の市販品として具体的には、三菱石油(株)製:ダイヤモンドSN150ブライトストック、出光興産(株)製:ダイナフレシアW380等を例示することができる。
尚、前記難揮発性液体は逆流防止体組成物全量に対し、70〜98.9重量%の範囲で使用できる。
脂肪酸アマイドを液状キシレン樹脂(室温において液体状態であるキシレン樹脂)で膨潤させることで網目状膨潤粒子となる。その際、膨潤媒体としてキシレン樹脂を用いるため、キシレン溶媒のような臭気を発することなく、安定した膨潤粒子を形成できる。
尚、前記膨潤時の液状キシレン樹脂と脂肪酸アマイドとは、脂肪酸アマイドが組成物全量中5〜50重量%の範囲になるように調整されることで、より安定性の高い膨潤状態を維持できる。更に、前記二成分の他、メタノール、エタノール、酸化ポリエチレン等の添加剤を所望により加えることもできる。
また、N,N´−エチレンビスラウリン酸アマイド、N,N´−メチレンビスステアリン酸アマイド、N,N´−エチレンビスステアリン酸アマイド、N,N´−エチレンビスオレイン酸アマイド、N,N´−エチレンビスベヘン酸アマイド、N,N´−エチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アマイド、N,N´−ブチレンビスステアリン酸アマイド、N,N´−ヘキサメチレンビスステアリン酸アマイド、N,N´−ヘキサメチレンビスオレイン酸アマイド等も例示できる。
前記脂肪酸アマイド等のゲル化剤は、インキ逆流防止体組成物全量に対し0.5〜30重量%、好ましくは1.0〜15重量%の範囲で用いられる。添加量が0.5重量%未満では所望の耐逆流性能及びインキ追従性能を発現し難く、また、30重量%を超えると、インキ逆流防止体組成物が分離し易くなる。
(1)日油(株)製、商品名:ポリブテン3N
(2)日油(株)製、商品名:ポリブテン5N
(3)出光鉱油(株)製、商品名:ダイアナフレシアW380
(4)楠本化成(株)製、商品名:ディスパロンF−9050(有効成分20%)
(5)楠本化成(株)製、商品名:ディスパロン6900−20X(有効成分20%)
(6)楠本化成(株)製、商品名:ディスパロン6900
(7)日本アエロジル工業(株)製、商品名:アエロジルR974
実施例1乃至3、比較例1,2,4
オイル成分中にゲル化剤を所定量投入してディスパー2000rpmで30分間攪拌した後、三本ロール処理(2pass)後に遠心脱泡することでインキ逆流防止体組成物を得た。
オイル成分中にゲル化剤を所定量投入してディスパーで撹拌しながら加温し、160℃になった時点から30分間撹拌した後に加温を停止し、室温で12時間自然放冷した後、三本ロール処理(2pass)後に遠心脱泡することでインキ逆流防止体組成物を得た。
直径0.5mmの超硬合金製ボールを備えたステンレスパイプチップ(ボールペンチップ)を先端に嵌着した、内径3.8mmのポリプロピレン製パイプ(インキ収容管)に、25℃における粘度が200mPa・s〔3.5(1/sec)〕の水性黒インキ(剪断減粘性染料インキ)を1.0g充填し、インキ後端に実施例及び比較例のインキ逆流防止体組成物をそれぞれ0.12g接触配置した後に遠心処理し、キャップ式筆記具外装に組み込むことで試料ボールペンを得た。
前記インキ逆流防止体組成物の初期状態、及び、前記試料ボールペンをチップ上向き状態で50℃の環境下に60日間静置した後のインキ逆流防止体組成物の状態を目視で観察した。
○:インキ逆流防止体組成物が均一であり、状態に変化が認められない。
△:インキ逆流防止体組成物が白濁している。
×:インキ逆流防止体組成物の一部が分離(離油)している。
インキ追従性試験
前記試料ボールペンを50℃の環境下に60日間静置した後、5℃の環境下で旧JIS P3201筆記用紙Aに、手書きにより45秒間に120個の直径10mmの螺旋状の丸を連続筆記した。その際のインキに対する追従性及び筆跡の状態を目視により観察した。
○:インキ逆流防止体組成物がインキの消費に伴って良好に追従しており、良好な筆跡が得られる。
×:インキ逆流防止体組成物が追従せず収容管内壁に付着して残り、途中で筆跡にカスレを生じる、または筆記不能となる。
臭気の有無
前記試料ボールペン20本をガラス瓶に封入し、40℃の環境下に7日間静置した後、蓋を開けて臭気を確認した。
○:臭気なし。
×:キシレン臭がある。
Claims (3)
- 筆記具のインキ収容筒内に直接収容したインキの後端面に配設され、前記インキの消費に従って前進するインキ逆流防止体であって、前記インキ逆流防止体が、難揮発性液体に、液状キシレン樹脂で膨潤した脂肪酸アマイドを添加してなることを特徴とする筆記具用インキ逆流防止体組成物。
- 前記液状キシレン樹脂で膨潤した脂肪酸アマイドにおいて、脂肪酸アマイドが組成物全量中5〜50重量%の範囲であることを特徴とする請求項1記載の筆記具用インキ逆流防止体組成物。
- 前記難揮発性液体が、鉱油、ポリブテンのいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の筆記具用インキ逆流防止体組成物。
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