JP2011080376A - スクロールコンプレッサ - Google Patents
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Abstract
【課題】可動スクロール部材の固定スクロール部材への押し付け力を常に最適にすることができるスクロールコンプレッサを提供する。
【解決手段】可動スクロール部材45の基板65の背面65a側には弾性体71に対し摺動かつ離間可能に当接する環状の凸状部65bが形成され、凸状部65bより外周側に吸入室51が区画されるとともに、凸状部65bより内周側には背圧空間Sが形成されている。弾性体71に対して可動スクロール部材45と反対側には対向壁64bが設けられ、この対向壁64bと弾性体71との間には変形許容凹部64cが形成されるとともに、この変形許容凹部64cが吸入圧力領域とされている。背圧空間Sの圧力が変形許容凹部64cの圧力より大きくなるのに伴い弾性体71が変形許容凹部64cで弾性変形が許容されつつ凸状部65bから離間することで背圧空間Sと吸入室51とが連通される。
【選択図】図2
【解決手段】可動スクロール部材45の基板65の背面65a側には弾性体71に対し摺動かつ離間可能に当接する環状の凸状部65bが形成され、凸状部65bより外周側に吸入室51が区画されるとともに、凸状部65bより内周側には背圧空間Sが形成されている。弾性体71に対して可動スクロール部材45と反対側には対向壁64bが設けられ、この対向壁64bと弾性体71との間には変形許容凹部64cが形成されるとともに、この変形許容凹部64cが吸入圧力領域とされている。背圧空間Sの圧力が変形許容凹部64cの圧力より大きくなるのに伴い弾性体71が変形許容凹部64cで弾性変形が許容されつつ凸状部65bから離間することで背圧空間Sと吸入室51とが連通される。
【選択図】図2
Description
本発明は、例えば、車両用空調装置に用いられるスクロールコンプレッサに関する。
従来、スクロールコンプレッサにおいては、ハウジング内に固定された基板及び渦巻壁からなる固定スクロール部材と、該固定スクロール部材の渦巻壁に噛み合わされる基板及び渦巻壁からなる可動スクロール部材とが備えられている。そして、可動スクロール部材の公転により、両渦巻壁間に形成された圧縮室が渦巻壁の中心側に容積を減少しながら移動されて冷媒ガスの圧縮が行われる。
スクロールコンプレッサにおいては、可動スクロール部材に作用するスラスト方向の圧縮反力に抗して圧縮室の密閉性を高めるために、可動スクロール部材が固定スクロール部材に向けて押し付けられている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1では、ハウジングと可動スクロール部材の基板との間に弾性体が介在されるとともに、可動スクロール部材の基板の背面側には背圧室(背圧空間)が区画形成されている。弾性体は円環状でかつ平板状をなすとともに、その摺動領域が可動スクロール部材の基板の背面側と摺動可能に当接するようにハウジング内に固定されている。また、弾性体に対して可動スクロール部材と反対側には対向壁が設けられ、対向壁と弾性体との間には、弾性体の弾性変形を許容する許容空間が形成されている。
そして、弾性体が可動スクロール部材の圧接によって対向壁側に弾性変形することで、可動スクロール部材が固定スクロール部材に向けて付勢されるとともに、背圧室の圧力に基づく付勢力によっても固定スクロール部材に向けて付勢され、可動スクロール部材が固定スクロール部材に向けて押し付けられている。
ところが、特許文献1において、弾性体の弾性変形により可動スクロール部材を固定スクロール部材に向けて付勢しているため、可動スクロール部材の固定スクロール部材への押し付け力に不足はないが、背圧室の圧力は変化するため、背圧室の圧力が過大となると押し付け力が過大になる虞があった。
本発明は、可動スクロール部材の固定スクロール部材への押し付け力を常に最適にすることができるスクロールコンプレッサを提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ハウジング内に固定された基板及び渦巻壁からなる固定スクロール部材と、該固定スクロール部材の渦巻壁に噛み合わされる基板及び渦巻壁からなる可動スクロール部材とを備え、前記可動スクロール部材の公転により両渦巻壁間に形成された圧縮室が渦巻壁の中心側に容積を減少しながら移動されて冷媒ガスの圧縮が行われるスクロールコンプレッサに関する。前記ハウジング内において前記可動スクロール部材の基板の背面側には、環状でかつ平板状をなす弾性体が配設されるとともに、前記可動スクロール部材の基板の背面側には前記弾性体に対して摺動かつ離間可能に当接する環状の当接部が形成されている。そして、前記ハウジング内において前記当接部より外周側に吸入圧力領域が区画されるとともに、前記当接部より内周側には前記可動スクロール部材を前記固定スクロール部材に向けて付勢する圧力をもつ背圧空間が形成されていることを要旨とする。
これによれば、弾性体に対して可動スクロール部材の背面側に背圧空間を設けるとともに可動スクロール部材と反対側に変形許容空間を設け、この変形許容空間を吸入圧力領域とするとともに、背圧空間を、可動スクロール部材を前記固定スクロール部材に向けて付勢する圧力をもつようにした。このため、背圧空間の圧力が吸入圧力より大きくなると、弾性体を変形許容空間に向けて弾性変形させ、弾性体を当接部から離間させることができる。すると、当接部より内周側の背圧空間が、当接部より外周側の吸入圧力領域に連通し、背圧空間の圧力を吸入圧力領域へ漏らし、背圧空間の圧力が過大となることを防止することができる。その結果として、可動スクロール部材の固定スクロール部材への押し付け力を常に最適にすることができる。
また、前記ハウジング内には区画部材によって前記可動スクロールを駆動させるモータを収容するモータ収容室が区画されるとともに、該モータ収容室は吸入圧力領域とされており、前記区画部材が前記対向壁を備えるとともに該区画部材に前記モータ収容室と前記変形許容空間とを連通させる連通路が形成されていてもよい。
これによれば、区画部材に連通路を形成するだけで、変形許容空間とモータ収容室とを連通させ、変形許容空間を吸入圧力領域とすることができる。また、モータ収容室を吸入圧力領域とすることで、吸入圧力の低温の冷媒ガスによりモータを冷却することができる。
また、前記弾性体が前記可動スクロール部材の圧接によって前記対向壁側に弾性変形することで、前記可動スクロール部材が前記固定スクロール部材に向けて付勢されていてもよい。これによれば、可動スクロール部材は、背圧空間の圧力に基づく付勢力のみならず、弾性体の弾性変形に基づく付勢力によっても固定スクロール部材に向けて付勢される。
本発明によれば、可動スクロール部材の固定スクロール部材への押し付け力を常に最適にすることができる。
以下、本発明のスクロールコンプレッサを電動コンプレッサ10に具体化した一実施形態を図1〜図2にしたがって説明する。なお、以下の説明において、電動コンプレッサ10の「前」及び「後」は、図1に示す矢印Yの方向を前後方向とする。
図1に示すように、電動コンプレッサ10のハウジング11は、第1ハウジング構成体21と第2ハウジング構成体22の二つのハウジング構成体を接合固定することで構成されている。第1ハウジング構成体21は、円筒部23の後端(一端)に底部24を有する有底円筒状をなし、アルミニウム合金のダイカスト鋳物によって構成されている。第2ハウジング構成体22は有蓋円筒状をなし、アルミニウム合金のダイカスト鋳物によって構成されている。
第1ハウジング構成体21において、底部24の内壁面の中央部には、円筒状の軸支部24aが一体に突設されるとともに、この軸支部24aにはベアリング34が支持されている。第1ハウジング構成体21内において円筒部23の前端(他端)側には、中央部に挿通孔32aが貫通形成された軸支部材32が固定されるとともに、軸支部材32にはベアリング35が支持されている。第1ハウジング構成体21内には回転軸33が収容されている。この回転軸33は後端側がベアリング34を介して軸支部24aに回転可能に支持されるとともに、前端側がベアリング35を介して軸支部材32によって回転可能に支持されている。軸支部材32の内周面には、回転軸33の周面と軸支部材32の内周面との間をシールするシール部材38が配置されている。そして、ハウジング11内では、第1ハウジング構成体21における軸支部材32より後側にモータ収容室12aが区画されており、軸支部材32がハウジング11内にモータ収容室12aを区画する区画部材を形成している。
モータ収容室12a内において、第1ハウジング構成体21の円筒部23の内周面には、ステータ36が設けられている。モータ収容室12a内において回転軸33には、ステータ36の内周側に位置するようにしてロータ37が固定されている。ステータ36及びロータ37によって電動モータ13(モータ)が構成されている。電動モータ13は、ステータ36への給電によって、ロータ37と回転軸33とを一体的に回転させる。
第1ハウジング構成体21内において円筒部23の前端側(開口端側)には固定スクロール部材41が収容配置されている。固定スクロール部材41は、円板状をなす基板61の外周側に円筒状の外周壁62が立設されてなるとともに、基板61において外周壁62の内周側に固定渦巻壁63が立設されてなる。図2(a)に示すように、固定スクロール部材41は、外周壁62の先端面62aを以て、軸支部材32の円環状をなす外周部64に接合されている。そして、図1に示すように、ハウジング11内には、固定スクロール部材41の基板61、固定スクロール部材41の外周壁62及び軸支部材32によって囲まれるとともに、回転軸33がシール部材38によって封止されることで、スクロール収容室58が区画形成されている。すなわち、ハウジング11内では、軸支部材32によってモータ収容室12aとスクロール収容室58とが区画されている。
回転軸33において、スクロール収容室58内に位置する固定スクロール部材41側の端面には、回転軸33の軸線Lに対して偏心した位置に偏心軸43が設けられている。偏心軸43にはブッシュ44が外嵌固定されている。ブッシュ44には、スクロール収容室58内に収容配置された可動スクロール部材45が、固定スクロール部材41と対向するようにベアリング46を介して相対回転可能に支持されている。可動スクロール部材45は、円板状をなす基板65に、固定スクロール部材41へ向かって可動渦巻壁66が立設されてなる。図2(a)に示すように、可動スクロール部材45の基板65において背面65aの外周縁部には、円環状をなす凸状部65bが設けられている。凸状部65bの先端面は、内周縁部が外周縁部よりも若干高くされている。
図1に示すように、固定スクロール部材41と可動スクロール部材45とは、スクロール収容室58内において渦巻壁63,66を以って互いに噛み合わされているとともに、各渦巻壁63,66の先端面が相手のスクロール部材41,45の基板61,65に直接接触されている。したがって、固定スクロール部材41の基板61及び固定渦巻壁63、可動スクロール部材45の基板65及び可動渦巻壁66は、スクロール収容室58内において圧縮室47を区画形成する。
可動スクロール部材45の基板65とそれに対向する軸支部材32との間には、自転阻止機構48が配設されている。自転阻止機構48は、可動スクロール部材45において基板65の背面65aの外周部に複数設けられた円環孔48aと、軸支部材32の外周部64に複数(図面においては一つのみ示す)突設され円環孔48aに遊嵌されたピン48bとからなっている。
スクロール収容室58内において、固定スクロール部材41の外周壁62と可動スクロール部材45の可動渦巻壁66の最外周部との間には、吸入圧力領域としての吸入室51が区画形成されている。また、固定スクロール部材41において外周壁62の外周面には、凹部62bが形成されている。固定スクロール部材41の外周壁62が第1ハウジング構成体21の開口端側の内周面に接合した状態にて、凹部62bと第1ハウジング構成体21の内周面とによって囲まれて、吸入室51につながる吸入通路39が形成されている。
第1ハウジング構成体21の円筒部23において、モータ収容室12aに対応した外周面には、吸入口50が形成されている。吸入口50には、図示しない外部冷媒回路の蒸発器につながる外部配管が接続されている。吸入口50はモータ収容室12aと連通されている。モータ収容室12aは、軸支部材32の外周部64に貫通形成された透孔40を介して吸入通路39に接続されている。したがって、外部冷媒回路からの低圧の冷媒ガスは、吸入口50、モータ収容室12a、透孔40及び吸入通路39を介して吸入室51へと導入されるようになっており、モータ収容室12a、透孔40、吸入通路39及び吸入室51は吸入圧力領域となっている。
ハウジング11内において、第2ハウジング構成体22と固定スクロール部材41との接合によって区画された空間には吐出室52が形成されている。第2ハウジング構成体22には、吐出室52に連通する吐出口53が形成されている。吐出口53には、図示しない外部冷媒回路の凝縮器につながる外部配管が接続されている。そして、吐出室52の高圧の冷媒ガスは、吐出口53を介して外部冷媒回路へと導出される。
固定スクロール部材41の中心には吐出孔41aが形成されるとともに、この吐出孔41aを介して中心側の圧縮室47と吐出室52とが接続されている。吐出室52内において固定スクロール部材41には、吐出孔41aを開閉するためのリード弁よりなる吐出弁55が配設されている。吐出弁55の開度は、固定スクロール部材41に固定配置されたリテーナ56によって規制される。
そして、電動モータ13によって回転軸33が回転駆動されると、可動スクロール部材45が偏心軸43を介して固定スクロール部材41の軸心(回転軸33の軸線L)の周りで公転される。このとき、可動スクロール部材45は、自転阻止機構48によって自転が阻止されて、公転運動のみが許容される。この可動スクロール部材45の公転運動により、圧縮室47が両スクロール部材41,45の渦巻壁63,66の外周側から中心側へ容積を減少しつつ移動されることで、吸入室51から圧縮室47内に取り込まれた冷媒ガスの圧縮が行われる。圧縮済みの冷媒ガスは、吐出孔41aから吐出弁55を介して吐出室52に吐出される。
図1及び図2(a)に示すように、スクロール収容室58内において可動スクロール部材45の基板65の背面65a側には、背圧室75が区画形成されている。背圧室75と吐出圧力領域としての吐出室52とは、途中に絞り(図示せず)を有する圧力供給通路76(図1のみ図示)を介して接続されている。よって、吐出室52から背圧室75に供給された高圧の冷媒ガスによって、可動スクロール部材45が固定スクロール部材41に向けて付勢されている。
図2(a)に示すように、スクロール収容室58内において可動スクロール部材45の基板65の背面65a側には、中央に円孔73aを有する円環状でかつ平板状をなす弾性体71(バネプレート)が配設されている。背圧室75は、弾性体71の円孔73aを介して、凸状部65bの内周側で基板65の背面65aと弾性体71との間に形成される隙間T、及び円環孔48aと連通しており、円環孔48aと、隙間Tと、背圧室75との圧力が同じとなっているとともに、円環孔48aと、隙間Tと、背圧室75とから背圧空間Sが形成されている。そして、背圧室75には吐出室52から高圧の冷媒ガスが供給されている。このため、背圧室75に円環孔48a及び隙間Tが連通してなる背圧空間Sは、可動スクロール部材45を固定スクロール部材41に向けて付勢する圧力をもっている。
弾性体71の材質としては、例えばSK材等の金属材料が使用されており、弾性体71は弾性変形可能であるとともにバネ性を有している。弾性体71は、その外周部72が、軸支部材32と固定スクロール部材41との接合部分において円環状領域で狭持されることにより、ハウジング11内に固定されている。軸支部材32と固定スクロール部材41との接合面間、詳しくは、軸支部材32の外周部64の外周縁部64aと、固定スクロール部材41の外周壁62の先端面62aとの間は、弾性体71の外周部72の介在によってシールされている。つまり、弾性体71の外周部72は、軸支部材32と固定スクロール部材41との接合部分のシールの役目も兼ねている。
弾性体71の外周部72には、固定スクロール部材41の凹部62b(吸入通路39)と、軸支部材32の透孔40とを接続する透孔71bが複数貫通形成されている。弾性体71の外周部72には、自転阻止機構48のピン48bが挿通されるピン孔(図示せず)が複数貫通形成されている。軸支部材32の外周部64において、固定スクロール部材41が接合される外周縁部64aよりも内周側の円環状領域は、弾性体71の内周部73に対して可動スクロール部材45と反対側で対向する対向壁64bをなしている。この対向壁64bには、回転軸33の軸線Lを中心とした円環状をなす変形許容凹部64cが形成されている。
この変形許容凹部64cの形成によって、対向壁64bにおいて弾性体71の内周部73と対向する位置には、回転軸33の軸線Lを中心とした円環凸状に、支持部64dが残存されている。支持部64dの先端面は、軸支部材32の外周縁部64aと同一平面上に存在する。したがって、弾性体71は、外周部72が軸支部材32と固定スクロール部材41によって狭持保持されるのみならず、内周部73が支持部64dによって当接支持されている。そして、変形許容凹部64cは、外周縁部64aと支持部64dによって円環状に囲まれるとともに、外周縁部64aと支持部64dが弾性体71に圧接することにより背圧室75、隙間T、吸入室51及び円環孔48aに対しシールされている。
変形許容凹部64cの形成によって、弾性体71の対向壁64b側への弾性変形が許容され、変形許容凹部64cが変形許容空間として機能する。なお、変形許容凹部64cにおいて、回転軸33の軸線Lに沿った深さ(変形許容凹部64cの内底面からの外周縁部64a及び支持部64dの高さ)は、弾性体71が対向壁64b側へ最大に変形しても、弾性体71が変形許容凹部64cの内底面に接触しないように設定されている。
変形許容凹部64cは、軸支部材32に形成された連通路77によってモータ収容室12aと連通されている。このため、変形許容凹部64cにはモータ収容室12aの圧力が導入され、変形許容凹部64cは吸入圧力領域とされている。
また、電動コンプレッサの組立済の状態では、可動スクロール部材45の凸状部65bの最先端が、固定スクロール部材41の外周壁62の先端面62aよりも軸支部材32側に必ず突出するように、各スクロール部材41,45の寸法が設計されている。よって、図2(a)に示すように、電動コンプレッサの組立済の状態では、可動スクロール部材45の凸状部65bが弾性体71の内周部73に円環状領域で圧接され、該内周部73が軸支部材32の対向壁64b側に弾性変形されることとなる。よって、凸状部65bが弾性体71に当接する当接部を形成するとともに、凸状部65bと弾性体71の圧接により、背圧空間Sと吸入室51との間がシールされている。また、凸状部65bは、可動スクロール部材45の公転時には弾性体71に対して摺動かつ離間可能に当接する。また、ハウジング11内では、凸状部65bより外周側に吸入圧力領域としての吸入室51が区画されるとともに、凸状部65bより内周側には、円環孔48a、隙間T、及び背圧室75よりなり、吸入圧力より大きな圧力となり得る背圧空間Sが区画されている。
ここで、弾性体71において内周部73は、軸支部材32の支持部64dによって、円環状領域で当接支持されている。よって、前述した弾性体71の内周部73の弾性変形は、内周部73が支持部64dに圧接されつつ、内周部73と外周部64に挟まれた部位が変形許容凹部64c内へ膨らみ出るようにして行われる。
そして、弾性体71が、可動スクロール部材45の圧接によって対向壁64b側に弾性変形することで、可動スクロール部材45が固定スクロール部材41に向けて付勢されることとなる。よって、固定スクロール部材41と可動スクロール部材45とは、弾性体71の弾性変形に基づく付勢力及び背圧空間Sの圧力に基づく付勢力によって、各渦巻壁63,66の先端面が相手のスクロール部材41,45の基板61,65に圧接され、圧縮室47の密閉性が確保されることとなる。
さて、上記構成の電動コンプレッサ10において、例えば、その停止状態のとき背圧空間Sに液冷媒が溜まっていると、電動コンプレッサ10が起動されたとき、起動に伴う発熱により背圧空間Sの温度が上昇し、背圧空間S内の圧力が上昇する。又は、電動コンプレッサ10の運転中、吐出室52の圧力が過大になると背圧空間S内の圧力が上昇する。そして、背圧空間S内の圧力が変形許容凹部64cの圧力より大きくなると、弾性体71が対向壁64bに向けて膨らむように弾性変形する。このとき、変形許容凹部64cにより弾性体71の対向壁64bに向けた弾性変形が許容される。
すると、図2(b)に示すように、弾性体71の弾性変形に伴い弾性体71が凸状部65bの先端から離間する。このとき、凸状部65bの外周側には吸入室51が位置しているため、弾性体71が凸状部65bから離間すると背圧空間S(円環孔48a)と吸入室51とが連通する。すると、背圧空間Sと吸入室51との圧力差により、背圧空間Sの冷媒ガスが吸入室51へ漏れ、背圧空間Sが吸入室51の圧力と同じになるとともに、背圧空間Sの圧力が低下し、背圧空間Sの圧力が過大になることが防止される。そして、背圧空間Sの圧力が低下し、背圧空間Sの圧力に基づいた弾性体71の弾性変形が無くなると、弾性体71が凸状部65bに圧接し、背圧空間Sと吸入室51の連通が解除される。
上記構成の本実施形態においては次のような効果を奏する。
(1)ハウジング11内において、弾性体71と、この弾性体71に対して可動スクロール部材45と反対側に設けられた対向壁64bとの間に変形許容凹部64cを形成するとともに、この変形許容凹部64cを吸入圧力領域とした。また、可動スクロール部材45の背面側に形成された凸状部65bに弾性体71を圧接させ、凸状部65bより外周側に吸入圧力領域の吸入室51を区画するとともに、凸状部65bより内周側に背圧空間Sを区画した。そして、背圧空間Sの圧力が大きくなったときに、変形許容凹部64cと背圧空間Sとに圧力差を生じさせ、弾性体71を変形許容凹部64cに向けて弾性変形させるようにした。このため、弾性体71の弾性変形により凸状部65bから弾性体71を離間させて背圧空間Sの圧力を吸入室51へ漏らすことができる。したがって、背圧空間Sの圧力が過大になることが防止され、可動スクロール部材45の固定スクロール部材41への押し付け力を常に最適にすることができる。その結果として、可動スクロール部材45が過大な力で固定スクロール部材41に押し付けられることが防止され、さらには、弾性体71の過大な弾性変形に起因した、弾性体71の塑性変形や破断等を防止できる。
(1)ハウジング11内において、弾性体71と、この弾性体71に対して可動スクロール部材45と反対側に設けられた対向壁64bとの間に変形許容凹部64cを形成するとともに、この変形許容凹部64cを吸入圧力領域とした。また、可動スクロール部材45の背面側に形成された凸状部65bに弾性体71を圧接させ、凸状部65bより外周側に吸入圧力領域の吸入室51を区画するとともに、凸状部65bより内周側に背圧空間Sを区画した。そして、背圧空間Sの圧力が大きくなったときに、変形許容凹部64cと背圧空間Sとに圧力差を生じさせ、弾性体71を変形許容凹部64cに向けて弾性変形させるようにした。このため、弾性体71の弾性変形により凸状部65bから弾性体71を離間させて背圧空間Sの圧力を吸入室51へ漏らすことができる。したがって、背圧空間Sの圧力が過大になることが防止され、可動スクロール部材45の固定スクロール部材41への押し付け力を常に最適にすることができる。その結果として、可動スクロール部材45が過大な力で固定スクロール部材41に押し付けられることが防止され、さらには、弾性体71の過大な弾性変形に起因した、弾性体71の塑性変形や破断等を防止できる。
(2)回転軸33の軸線Lに沿った変形許容凹部64cの深さは、弾性体71が背圧空間Sと変形許容凹部64cとの圧力差によって弾性変形しても、弾性体71が変形許容凹部64cに接触しないように設定されている。よって、弾性体71を確実に弾性変形させて、弾性体71を凸状部65bから確実に離間させることができ、背圧空間Sを吸入室51に確実に連通させることができる。
(3)軸支部材32の対向壁64bにおいて、弾性体71の内周部73と対向する位置には、この内周部73を当接支持する円環状の支持部64dが設けられている。そして、弾性体71は、外周部72がハウジング11によって固定支持されているとともに、内周部73が支持部64dによって当接支持された、両持ちの板バネ様をなしている。よって、例えば、弾性体71が外周部72のみ支持された片持ちの場合と比べて弾性体71の変形許容凹部64cに向けた弾性変形は安定的に行われ、弾性体71を凸状部65bから確実に離間させることができる。
(4)可動スクロール部材45は、背圧空間Sに供給された冷媒ガスによって、固定スクロール部材41に向けて付勢されている。つまり、可動スクロール部材45は、弾性体71の弾性変形に基づく付勢力のみならず、背圧空間Sの圧力に基づく付勢力によっても固定スクロール部材41に向けて付勢されている。従って、例えば、電動コンプレッサ10の通常運転状態では、可動スクロール部材45に作用するスラスト方向の圧縮反力に確実に対抗することができ、各渦巻壁63,66の先端面にシール部材(例えばチップシール)を配置しなくとも、圧縮室47の密閉性を確実に維持することが可能となる。
(5)ハウジング11内では、軸支部材32によってモータ収容室12aとスクロール収容室58とが区画されるとともに、軸支部材32に形成された変形許容凹部64cは、軸支部材32に形成された連通路77によってモータ収容室12aと連通されている。モータ収容室12aは、圧縮室47へ吸入するための冷媒ガスの吸入通路の一部を形成しているため、軸支部材32に連通路77を形成することで、変形許容凹部64cを吸入圧力領域とすることができる。したがって、変形許容凹部64cを吸入圧力領域とするための構成を簡単に形成することができる。また、モータ収容室12aを吸入圧力領域としたため、低温の冷媒ガスにより電動モータ13を冷却することができる。
(6)可動スクロール部材45に作用するスラスト方向の圧縮反力に確実に対抗するためには、可動スクロール部材45を固定スクロール部材41に押し付けることが必要であるが、その押し付け力を弾性体71の強度及び背圧空間Sの圧力で常に最適になるように設定することは容易ではない。特に、押し付け力が過大にならないように、背圧空間Sの大きさや弾性体71の剛性等を設定するのは容易ではない。よって、本実施形態のように、圧力差を利用して弾性体71を弾性変形させて過大な押し付け力が可動スクロール部材45に作用することを防止することで、精緻な設定を必要とせず、可動スクロール部材45や弾性体71の変形等を防止することができる。
なお、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で以下の態様でも実施できる。
○ 実施形態においてスクロールコンプレッサは、電動コンプレッサ10に具体化されていたが、車両のエンジンによって駆動されるタイプのスクロールコンプレッサや、電動モータ及びエンジンの両方を駆動源とする所謂ハイブリッドタイプのスクロールコンプレッサにおいて具体化してもよい。スクロールコンプレッサが電動モータを有しない場合には、変形許容凹部64cが吸入室51と連通するように軸支部材32に連通路を形成して、変形許容凹部64cを吸入圧力領域にさせてもよい。
○ 実施形態においてスクロールコンプレッサは、電動コンプレッサ10に具体化されていたが、車両のエンジンによって駆動されるタイプのスクロールコンプレッサや、電動モータ及びエンジンの両方を駆動源とする所謂ハイブリッドタイプのスクロールコンプレッサにおいて具体化してもよい。スクロールコンプレッサが電動モータを有しない場合には、変形許容凹部64cが吸入室51と連通するように軸支部材32に連通路を形成して、変形許容凹部64cを吸入圧力領域にさせてもよい。
○ 凸状部65bと弾性体71とが当接し、背圧空間Sと吸入室51とがシールされていれば、凸状部65bはその最先端が、固定スクロール部材41の外周壁62の先端面62aよりも軸支部材32側に必ず突出していなくてもよい。
○ 背圧空間S(背圧室75)と吐出室52とは、途中に絞り(図示せず)を有する圧力供給通路76を介して接続されているが、これに限らず背圧空間Sと吐出室52との接続態様は任意に変更してもよい。
○ 実施形態では、変形許容凹部64cを連通路77を介してモータ収容室12aと連通させたが、変形許容凹部64cが吸入室51に連通するように軸支部材32に連通路を形成して、変形許容凹部64cを吸入圧力領域とさせてもよい。
○ 実施形態では、背圧空間Sを、背圧室75と、隙間Tと、円環孔48aとから形成したが、可動スクロール部材45に円環孔48aが形成されていなくても、凸状部65bより内周側で可動スクロール部材45の基板65の背面65a側の隙間Tが背圧室75と連通して背圧空間Sを形成してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記対向壁において、前記弾性体の内周部と対向する位置には、該弾性体の内周部を当接支持する環状の支持部が設けられている請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のスクロールコンプレッサ。
(イ)前記対向壁において、前記弾性体の内周部と対向する位置には、該弾性体の内周部を当接支持する環状の支持部が設けられている請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のスクロールコンプレッサ。
(ロ)前記弾性体は、該弾性体の外周部を介してハウジング内に固定されている技術的思想(イ)に記載のスクロールコンプレッサ。
S…背圧空間、10…スクロールコンプレッサとしての電動コンプレッサ、11…ハウジング、12a…モータ収容室、13…モータとしての電動モータ、32…区画部材としての軸支部材、41…固定スクロール部材、45…可動スクロール部材、47…圧縮室、51…吸入圧力領域としての吸入室、61,65…基板、63,66…渦巻壁、64b…対向壁、64c…変形許容空間としての変形許容凹部、65a…背面、65b…当接部としての凸状部、71…弾性体、77…連通路。
Claims (3)
- ハウジング内に固定された基板及び渦巻壁からなる固定スクロール部材と、該固定スクロール部材の渦巻壁に噛み合わされる基板及び渦巻壁からなる可動スクロール部材とを備え、前記可動スクロール部材の公転により両渦巻壁間に形成された圧縮室が渦巻壁の中心側に容積を減少しながら移動されて冷媒ガスの圧縮が行われるスクロールコンプレッサであって、
前記ハウジング内において前記可動スクロール部材の基板の背面側には、環状でかつ平板状をなす弾性体が配設されるとともに、前記可動スクロール部材の基板の背面側には前記弾性体に対して摺動かつ離間可能に当接する環状の当接部が形成され、前記ハウジング内において前記当接部より外周側に吸入圧力領域が区画されるとともに、前記当接部より内周側には前記可動スクロール部材を前記固定スクロール部材に向けて付勢する圧力をもつ背圧空間が形成され、
前記ハウジング内において、前記弾性体に対して前記可動スクロール部材と反対側には対向壁が設けられ、該対向壁と前記弾性体との間には該弾性体の前記対向壁側への弾性変形を許容する変形許容空間が形成されるとともに、該変形許容空間が吸入圧力領域とされていることを特徴とするスクロールコンプレッサ。 - 前記ハウジング内には区画部材によって前記可動スクロールを駆動させるモータを収容するモータ収容室が区画されるとともに、該モータ収容室は吸入圧力領域とされており、前記区画部材が前記対向壁を備えるとともに該区画部材に前記モータ収容室と前記変形許容空間とを連通させる連通路が形成されている請求項1に記載のスクロールコンプレッサ。
- 前記弾性体が前記可動スクロール部材の圧接によって前記対向壁側に弾性変形することで、前記可動スクロール部材が前記固定スクロール部材に向けて付勢される請求項1又は請求項2に記載のスクロールコンプレッサ。
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2009
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