JP2011080099A - 肌焼鋼部品およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】浸炭または浸炭窒化して得られる肌焼鋼部品であって、疲労特性(特に、耐ピッチング性)に優れた肌焼鋼部品、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】C:0.1〜0.5%、Si:0.03〜2%、Mn:0.2〜1.8%、Al:0.1〜0.5%、B:0.0005〜0.008%、N:0.002〜0.015%を含有し、P:0.03%以下(0%を含まない)、S:0.03%以下(0%を含まない)、O:0.002%以下(0%を含まない)を満足し、残部が鉄および不可避不純物からなる鋼を浸炭または浸炭窒化した肌焼鋼部品について、部品表面に析出しているBNとAlNの質量比(BN/AlN)が0.01以下とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、部品形状に切削加工した後、浸炭または浸炭窒化して得られる肌焼鋼部品、およびその製造方法に関するものである。
自動車用変速機や差動装置をはじめとする各種歯車伝達装置に利用される歯車、シャフト、プーリーや等速ジョイント等、更にはクランクシャフト、コンロッド等の機械構造部品には、疲労特性(特に、耐ピッチング性)に優れていることが望まれる。そこで機械構造部品は、機械構造用鋼に鍛造等の加工を施した後、切削加工することによって最終形状(部品形状)に仕上げられ、その後、疲労特性を高めるために、浸炭処理や浸炭窒化処理(大気圧、低圧、真空、プラズマ雰囲気を含む)等の表面硬化処理が施されて製造される。
表面硬化処理が施された肌焼鋼を提供する技術として特許文献1が知られている。この技術では、熱間圧延後のAlN析出量を0.01%以下に制限しており、浸炭時に結晶粒の粗大化を防止するために、ピン止め粒子としてAlNやNbNを活用するのではなく、TiCやTiCSを主体とするTi系析出物を活用している。そして疲労特性(この文献では転動疲労特性)を改善するために、Ti析出物の最大サイズを小さくしている。しかしこの技術ではAl量を0.005〜0.05%と少ない範囲で規定しており、Alを0.1%以上の範囲で含有する肌焼鋼部品の疲労特性を改善する技術ではない。
ところで、切削加工に要するコストは製作費全体中に占める割合が大きいことから、肌焼鋼部品を構成する上記機械構造用鋼には被削性の良いことが要求される。
上記機械構造部品のうち特に歯車を製造するときの切削加工においては、ホブによる歯切りを行うのが一般的であり、この場合の切削は断続切削と呼ばれている。ホブ加工に用いられる工具としては、高速度工具鋼にAlTiNなどのコーティングを施したもの(以下、「ハイス工具」と略称することがある)が現状の主流である。しかしハイス工具を用いたホブ加工(断続切削)による歯切りは、低速(具体的には、切削速度150m/min程度以下)・低温(具体的には、200〜600℃程度)であるが、断続切削のため空気と接触し易く、工具が酸化・摩耗し易くなるという弊害がある。そのためホブ加工等の低速断続切削に供される機械構造用鋼は、被削性のなかでも特に工具寿命を伸ばすことが求められている。
断続切削性を改善する技術として、特許文献2に、Al:0.04〜0.20%、O:0.0030%以下を含有する断続高速切削用鋼が提案されている。この技術では、Al含有量を高めた鋼を高速で断続切削することで、工具面上にAl酸化物を付着させており、これにより工具寿命を向上させている。しかしこの断続高速切削用鋼は、切削速度200m/min以上の高速断続切削が念頭に置かれることが多く、ホブ加工のような低速断続切削されることは意図されていない。
一方、切削加工に用いられる工具としては、上記ハイス工具の他、超硬合金にAlTiNなどのコーティングを施したもの(以下、「超硬工具」と略称することがある)もある。この超硬工具は、焼きならし材に対して適用すると「欠け」が発生し易いという問題があることから、旋削等の連続切削に適用されることが多い。
このように上記断続切削と連続切削とでは切削機構が異なり、夫々の切削に応じた工具が選ばれる。しかし被削材としての機械構造用鋼には、いずれの切削においても良好な被削性を発揮することが望まれる。
低速から高速までの幅広い切削速度域に対して有効な切削性能を得るための機械構造用鋼が特許文献3に提案されている。この技術では、0.1%を超え0.3%以下の範囲でAlを含有させており、この文献には、固溶N量を低減することによって被削性と衝撃特性を向上できることや、Al含有量を適正化して被削性向上効果に有効な固溶AlおよびAlNを適量確保することによって切削性能を高められることが記載されている。しかしこの文献では、浸炭処理や浸炭窒化処理等の表面硬化処理を施した後の疲労特性向上について着目されていない。
特開2005−240175号公報 特開2001−342539号公報 特開2008−13788号公報
本発明の目的は、浸炭または浸炭窒化して得られる肌焼鋼部品であって、疲労特性(特に、耐ピッチング性)に優れた肌焼鋼部品、およびその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、浸炭または浸炭窒化する前に、鋼を部品形状に切削加工する際に、ハイス工具を用いた低速での断続切削(例えば、ホブ加工)において優れた被削性(特に、工具寿命)を発揮し、しかも超硬工具を用いた高速での連続切削(例えば、旋削)においても優れた被削性(特に、工具寿命)を発揮する肌焼鋼部品、およびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係る肌焼鋼部品は、C:0.1〜0.5%(質量%の意味、以下同じ)、Si:0.03〜2%、Mn:0.2〜1.8%、Al:0.1〜0.5%、B:0.0005〜0.008%、N:0.002〜0.015%を含有し、P:0.03%以下(0%を含まない)、S:0.03%以下(0%を含まない)、O:0.002%以下(0%を含まない)を満足し、残部が鉄および不可避不純物からなる鋼を浸炭または浸炭窒化した肌焼鋼部品であって、部品表面に析出しているBNとAlNの質量比(BN/AlN)が0.01以下(0を含まない)である点に要旨を有している。
上記肌焼鋼部品は、更に他の元素として、
(a)Cr:3%以下(0%を含まない)、
(b)Mo:1%以下(0%を含まない)、
(c)Nb:0.15%以下(0%を含まない)、
(d)Zr:0.02%以下(0%を含まない)、Hf:0.02%以下(0%を含まない)、Ta:0.02%以下(0%を含まない)、およびTi:0.02%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、
(e)V:0.5%以下(0%を含まない)、Cu:3%以下(0%を含まない)、およびNi:3%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、
等を含有してもよい。
本発明に係る肌焼鋼部品は、上記成分組成を満足する鋼を部品形状に切削加工した後、浸炭処理または浸炭窒化処理し、その後冷却するに際し900℃から800℃までの平均冷却速度を0.10℃/秒以下(0℃/秒を含まない)とすることによって製造できる。
上記肌焼鋼部品を製造するにあたっては、部品形状に切削加工する際の被削性(特に、工具寿命)を改善するために、上記成分組成を満足する鋼をいったん1100℃以上に加熱した後、900〜1050℃の温度域で150秒以上保持し、その後冷却するに際し900℃から700℃までの平均冷却速度を0.05〜10℃/秒とすることが好ましい。
本発明によれば、浸炭処理または浸炭窒化処理条件を適切に制御して部品表面に析出しているBNとAlNの質量比(BN/AlN)を0.01以下に抑えているため、疲労特性(特に、耐ピッチング性)に優れた肌焼鋼部品を提供できる。また本発明によれば、上記肌焼鋼部品を製造するにあたって、成分組成を調整した鋼に適切な熱処理を施してから部品形状に切削加工しているため、低速での断続切削と高速での連続切削の両方で優れた被削性(特に、工具寿命の延長)が発揮される。
図1は、コマツ式ローラーピッチング試験を行なっているときの試験片の様子を示した説明図である。
本発明者らは、浸炭または浸炭窒化して得られる肌焼鋼部品の疲労特性(特に、耐ピッチング性)を改善するために様々な角度から検討を重ねてきた。その結果、鋼の化学成分組成を適切に調整しつつ浸炭処理または浸炭窒化処理の条件を調整して部品表面に析出しているBNとAlNの質量比(BN/AlN)を0.01以下に抑えれば、肌焼鋼部品の疲労特性を高めることができることを見出し、本発明を完成した。
また、本発明者らは、こうした肌焼鋼部品を製造するにあたって、切削加工工程で低速で断続切削したときと、高速で連続切削したときの両方で優れた被削性(特に、工具寿命)を発揮させるには、化学成分組成を調整した上記鋼に適切な熱処理を施せばよいことも明らかにした。
まず、本発明に係る肌焼鋼部品の化学成分組成について説明した後、本発明を特徴付けるBNとAlNの質量比について説明する。
本発明の肌焼鋼部品は、C:0.1〜0.5%、Si:0.03〜2%、Mn:0.2〜1.8%、Al:0.1〜0.5%、B:0.0005〜0.008%、およびN:0.002〜0.015%を含有し、P:0.03%以下(0%を含まない)、S:0.03%以下(0%を含まない)、およびO:0.002%以下(0%を含まない)を満足するものである。このような範囲を規定した理由は次の通りである。
Cは、強度(特に肌焼鋼部品の内部強度)を確保するために必要な元素であり、0.1%以上含有する必要がある。好ましくは0.15%以上である。しかしC含有量が過剰になると、硬さが上昇し過ぎて被削性や靭性が低下する。従ってC量は0.5%以下とする。好ましくは0.4%以下であり、より好ましくは0.25%以下である。
Siは、脱酸元素として作用し、内部品質を向上させる元素であり、0.03%以上含有させる必要がある。好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.15%以上である。しかしSi含有量が過剰になると、浸炭処理時や浸炭窒化処理時に異常組織が生成し、疲労特性が低下することがある。また、Siを過剰に含有すると、部品形状に加工するときの熱間加工性や冷間加工性が劣化する。従ってSi量は2%以下とする必要があり、好ましくは1.5%以下、より好ましくは1%以下、更に好ましくは0.6%以下である。
Mnは、焼入れ性を向上させて強度を高める元素であり、0.2%以上含有させる必要がある。好ましくは0.4%以上であり、より好ましくは0.5%以上である。しかしMn含有量が過剰になると、焼入れ性が向上し過ぎて、焼きならし後でも過冷組織が生成して被削性が低下する。従ってMn量は、1.8%以下とする必要がある。好ましくは1.5%以下、より好ましくは1%以下である。
Alは、Nと結合してAlNを析出することでBNの生成を抑え、肌焼鋼部品の疲労特性を高めるのに寄与する元素である。またAlは、脱酸作用を有する元素であり、内部品質を向上させるために必要な元素である。またAlは、鋼中に固溶状態で存在させることによって断続切削したときの被削性向上にも作用する元素である。またAlは、浸炭処理時や浸炭窒化処理時には結晶粒が異常成長するのを抑制し、靱性低下による衝撃特性の悪化防止にも寄与する。従って本発明ではAlを0.1%以上、好ましくは0.13%以上含有させる。しかし過剰に含有してAlNが多く析出すると、部品形状に加工するときの熱間加工性を低下させる。また過剰なAlNは、連続切削したときの被削性を劣化させる。従ってAl量は0.5%以下、好ましくは0.4%以下、更に好ましくは0.35%以下とする。
Bは、浸炭処理や浸炭窒化処理後に焼入れ焼戻し等を行うときの焼入れ性を向上させて粒界強度を高め、肌焼鋼部品の強度向上に寄与する元素である。またBは、Nと結合して鋼中にBNを析出し、鋼中の固溶N量を少ない方向に調整して部品形状に加工するときの熱間加工性を改善する元素である。また、BNを析出させることで断続切削したときの被削性と連続切削したときの被削性の両方を改善するのに寄与元素である。従ってB量は、0.0005%以上含有させる必要がある。好ましくは0.0007%以上、より好ましくは0.0010%以上である。しかし過剰に含有すると硬くなり過ぎるため被削性が低下する。従ってB量は0.008%以下とする必要があり、好ましくは0.006%以下、より好ましくは0.0035%以下である。
Nは、Alと結合して鋼中にAlNを析出し、BNの生成を抑えることで、肌焼鋼部品の疲労特性(特に、耐ピッチング性)を高めるのに寄与する元素である。また析出したAlNは、浸炭処理や浸炭窒化処理時に結晶粒が異常成長するのを防止するのに寄与し、靱性の低下が抑制される結果、肌焼鋼部品の衝撃特性を向上させるのに作用する。また、Bと結合して鋼中にBNを析出し、上述したように、断続切削時と連続切削時の被削性向上に寄与する元素である。こうした作用を発揮させるために、N量は0.002%以上とする。好ましくは0.003%以上、より好ましくは0.004%以上である。しかし過剰に含有してAlNが多く析出し過ぎると、連続切削したときの被削性が劣化する。また、AlNの析出量が多くなると、熱間加工性が低下する。従ってN量は0.015%以下、好ましくは0.010%以下、より好ましくは0.008%以下である。
Pは、不可避的に含まれる不純物元素であり、熱間加工時に割れが発生するのを助長するため、できるだけ低減する。従って本発明では、P量は0.03%以下、好ましくは0.02%以下、より好ましくは0.015%以下とする。なお、P量を0%とすることは工業的に困難である。
Sは、鋼中にMnS系介在物を生成させて被削性を向上させるのに寄与する元素であるが、MnS系介在物を過剰に含有すると延性や靭性が低下する。MnS系介在物は、圧延時に圧延方向に伸展し易いため、圧延方向に対して特に直角方向の靭性(横目の靭性)を劣化させる。従ってS量は0.03%以下、好ましくは0.02%以下である。なお、Sは、不可避的に含まれる不純物元素であるため、S量を0%とすることは工業的に困難である。
Oは、不可避的に含まれる不純物元素であり、粗大な酸化物系介在物を形成して、被削性や延性、靭性、熱間加工性などに悪影響を及ぼす元素である。従ってO量は0.002%以下、好ましくは0.0015%以下である。
本発明の肌焼鋼部品は、上記成分組成を満足するものであり、残部は、鉄および不可避不純物である。
本発明の肌焼鋼部品は、更に他の元素として、
(a)Cr:3%以下(0%を含まない)、
(b)Mo:1%以下(0%を含まない)、
(c)Nb:0.15%以下(0%を含まない)、
(d)Zr:0.02%以下(0%を含まない)、Hf:0.02%以下(0%を含まない)、Ta:0.02%以下(0%を含まない)、およびTi:0.02%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、
(e)V:0.5%以下(0%を含まない)、Cu:3%以下(0%を含まない)、およびNi:3%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、
等を含有してもよい。
(a)Crは、焼入性を向上させ、強度を高める元素である。またAlと複合添加することによって、断続切削したときの被削性を改善するのにも作用する元素である。こうした効果を発揮させるには、Crは0.1%以上含有することが好ましい。好ましくは0.3%以上であり、より好ましくは0.7%以上である。しかし過剰に含有すると、粗大な炭化物を生成させたり、過冷組織を生成させて被削性を劣化させる。従ってCr量は3%以下とすることが好ましい。より好ましくは2%以下であり、更に好ましくは1.6%以下である。
(b)Moは、焼入れ性を高め、不完全焼入れ組織が生成するのを抑制する元素である。こうした効果はMo含有量が増加するにつれて増大するが、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.05%以上、更に好ましくは0.1%以上含有するのがよい。しかし過剰に含有すると、焼きならし後でも過冷組織が生成して被削性が低下する。従ってMo量は1%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.8%以下、更に好ましくは0.5%以下である。
(c)Nbは、浸炭処理時または浸炭窒化処理時に結晶粒が異常成長するのを抑制する元素であり、肌焼鋼部品の衝撃特性向上に寄与する。こうした効果はNb量を増加するにつれて増大するが、有効に発揮させるには0.05%以上含有させることが好ましい。しかし過剰に含有させると、硬質の炭化物が生成して被削性が低下する。従ってNb量は0.15%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.13%以下である。
(d)Zr、Hf、Ta、およびTiは、上記Nbと同様に、結晶粒が異常成長するのを抑制する元素であり、肌焼鋼部品の衝撃特性向上に寄与する。こうした効果は、これらの元素の含有量が増加するにつれて増大するが、有効に発揮させるには、各元素とも、夫々単独で、0.002%以上含有させることが好ましい。より好ましくは各元素とも、夫々単独で、0.005%以上である。しかし過剰に含有させると、硬質の炭化物が生成して被削性が低下する。従って各元素とも、夫々単独で、0.02%以下であることが好ましい。より好ましくは0.015%以下である。なお、Zr、Hf、Ta、Tiは、任意に選ばれる2種以上の元素を含有してもよい。2種以上の元素を含有する場合は、合計量を0.02%以下とすることが好ましい。合計量は、より好ましくは0.015%以下である。
(e)V、CuおよびNiは、焼入れ性を向上させて強度を高めるのに有効な元素である。こうした効果は、これらの元素の含有量が増加するにつれて増大するが、有効に発揮させるには、Vは0.05%以上、Cuは0.1%以上、Niは0.3%以上含有させることが好ましい。しかし過剰に含有させると過冷組織が生成したり、延性や靭性が低下するので、Vは0.5%以下、Cuは3%以下、Niは3%以下とすることが好ましい。より好ましくはVは0.3%以下、Cuは2%以下、Niは2%以下である。
本発明では、肌焼鋼部品の化学成分組成を上記規定範囲に調整することに加えて、部品表面に析出しているBNとAlNの質量比(BN/AlN)が0.01以下であることが重要である。
即ち本発明では、Bを0.0005〜0.008%の範囲で含有させているが、BがNと結合して析出するBNは粗大化し易いため、肌焼鋼部品の表面に粗大なBNが析出すると、粗大なBNが疲労破壊の起点となり、表面剥離を起して耐ピッチング性(疲労特性)が低下する原因となる。また、BNが多く析出すると、鋼中の固溶B量が減少するため、焼入れ性が低下する結果、肌焼鋼部品の強度が低下する。
そこで本発明では、鋼中のNをAlと積極的に結合させてAlNを析出させることでBNの析出を抑制し、部品表面に析出しているBNとAlNの質量比(BN/AlN)を0.01以下とする。好ましくは0.0080以下、より好ましくは0.0070以下、更に好ましくは0.0060以下である。BN/AlNの下限は、0.0040程度であることが好ましい。
部品表面に析出しているBNは、例えば、電解抽出と酸溶解と吸光光度法とを組み合わせることで定量できる。一方、部品表面に析出しているAlNは、例えば、臭素−酢酸メチル法で定量できる。
本発明において部品表面とは、部品の最表面から深さ1mm位置までの領域を意味する。従って部品表面のBN量とAlN量は、部品表面から深さ1mm位置までの部分を切削加工して削り取ったものについて上記方法で定量すればよい。
次に、本発明に係る肌焼鋼部品を製造できる方法について説明する。
本発明の肌焼鋼部品は、上記成分組成を満足する鋼を部品形状に切削加工した後、浸炭処理または浸炭窒化処理し、その後冷却するに際し900℃から800℃までの平均冷却速度を0.10℃/秒以下(0℃/秒を含まない)とすれば製造できる。
即ち、AlNの析出温度はおおよそ750〜900℃、BNの析出温度はおおよそ600〜1050℃であるが、800〜900℃の温度域では、BNよりもAlNの方が熱力学的に安定であるため、この温度域を通過するときの時間を長くすることで、鋼中に析出しているBNはAlNに変化させることができる。その結果、BNを析出させずにAlNを選択的に析出させることができるため、BN/AlN比を0.01以下に制御できる。従って本発明では、900℃から800℃までの平均冷却速度を0.10℃/秒以下とする。好ましくは0.08℃/秒以下、より好ましくは0.05℃/秒以下である。
900℃から800℃へ冷却するにあたっては、900℃から800℃へ向けて一定の速度で冷却してもよいし、途中で冷却速度を変化させてもよい。また、900〜800℃の温度域で一旦保持してから800℃を下回る温度に冷却してもよく、900℃から800℃までの平均冷却速度が上記範囲を満足していればよい。
上記平均冷却速度以外の浸炭処理条件または浸炭窒化処理条件は特に限定されないが、浸炭(または浸炭窒化)するときの温度は、900〜950℃程度とするのがよい。浸炭(または浸炭窒化)温度が950℃を超えるとAlNが固溶し易くなり、異常粒成長を起して疲労特性が低下することがある。上記浸炭(または浸炭窒化)温度での保持時間は、例えば、30分〜8時間程度とすればよい。なお、上記浸炭(または浸炭窒化)温度に加熱する際の雰囲気は、浸炭(または浸炭窒化)雰囲気とすればよい。
浸炭または浸炭窒化の種類は特に限定されず、ガス浸炭(ガス浸炭窒化)、真空浸炭(真空浸炭窒化)、高濃度浸炭(高炭素浸炭)など公知の方法を採用できる。真空浸炭(真空浸炭窒化)するときの真空度は、例えば、0.01MPa程度以下とすればよい。
浸炭処理または浸炭窒化処理した後は、900℃から800℃までの平均冷却速度を0.10℃/秒以下とする以外は、常法に従って焼入れ焼戻し処理を行えばよい。
焼入れ焼戻し条件は、機械構造部品を製造するときに通常採用される条件であればよく、例えば、浸炭(または浸炭窒化)後、800〜850℃程度の温度域で保持した後、焼入れを行ない、次いで150〜400℃程度で、20分〜1時間程度保持して焼戻しを行えばよい。浸炭(または浸炭窒化)後、800〜850℃程度の温度域で保持する時間を調整することで、900℃から800℃までの平均冷却速度を0.10℃/秒以下に制御すればよい。
ところで上記肌焼鋼部品を製造するにあたり、切削加工時の被削性(特に、工具寿命)を改善するには、上記成分組成を満足する鋼を所定の条件で熱処理すればよい。具体的には、上記成分組成を満足する鋼を1100℃以上に加熱した後、900〜1050℃の温度域で150秒以上保持し、その後冷却するに際し900℃から700℃までの平均冷却速度を0.05〜10℃/秒とすればよい。こうした条件で熱処理することで、鋼中のAlN量を低減し、BN量を増加させることができるため、低速で断続切削したときの被削性と、高速で連続切削したときの被削性の両方を改善できる。以下、詳細に説明する。
[1100℃以上に加熱]
低速で断続切削したときの被削性と高速で連続切削したときの被削性の両方を改善するには、まず上記成分組成を満足する鋼をいったん1100℃以上に加熱し、鋼中に含まれるAlNやBNなどの析出物を再固溶させるのがよい。即ち、Alを0.1%以上含有する鋼は、その製造条件によって、AlやB、Nの固溶状態と析出状態が大きく変化するため、1100℃以上に加熱することで、鋼中に含まれるAlNとBNを鋼中に再固溶させることができる。
[900〜1050℃の温度域で150秒以上保持]
1100℃以上に加熱した後は、900〜1050℃の温度域で150秒以上保持することで、BNを選択的に析出させることができる。
但し、保持時間が150秒未満では、BNの析出が充分に進まず、BN不足となり、連続切削したときの被削性を改善できない。従って保持時間は150秒以上とし、好ましくは170秒以上、より好ましくは200秒以上とする。保持時間の上限は特に限定されないが、長時間保持すると生産性が悪くなるため、600秒以下とするのがよい。
900〜1050℃の温度域での保持は、恒温で行ってもよいし、この温度域内で加熱および/または冷却してもよく、該温度域での保持時間が150秒以上であればよい。
[900℃から700℃までの平均冷却速度が0.05〜10℃/秒]
900〜1050℃で保持してBNを析出させた後は、900〜700℃の温度域を通過する時間を短くすることで、AlNの析出を抑制すると共に、BNがAlNに変化するのを防止し、BNの析出量を確保できる。即ち、900〜700℃の温度域では、BNよりもAlNの方が熱力学的に安定なため、900〜1050℃の高温域でBNを選択的に析出させても、900〜700℃の低温域を通過する時間が長くなると、BNがAlNに変化し、BNの析出量が減少する。AlNは、上述したように、疲労特性向上には寄与するが、被削性に対しては劣化させる方向に作用する。従ってこの低温域の平均冷却速度は0.05℃/秒以上とするのがよい。より好ましくは0.1℃/秒以上、更に好ましくは0.5℃/秒以上、特に好ましくは1℃/秒以上である。しかし上記低温域の平均冷却速度が大き過ぎると、マルテンサイトやベイナイト等の過冷組織が生成して被削性が却って低下する。従って900℃から700℃までの平均冷却速度は10℃/秒以下とする。好ましくは9.5℃/秒以下、より好ましくは8℃/秒以下、更に好ましくは5℃/秒以下、特に好ましくは3℃/秒以下である。
冷却した後は、部品形状に切削加工してから、上述したように、浸炭処理または浸炭窒化処理を施せばよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
下記表1に示す化学成分組成の鋼150kgを真空誘導炉で溶解し、上面:φ245mm×下面:φ210mm×長さ:480mmのインゴットに鋳造し、鍛造(ソーキング:1250℃×3時間程度、鍛造加熱:1100℃×1時間程度)および切断し、一辺150mm×長さ680mmの四角材形状を経由して、下記(a)、(b)の2種類の鍛造材に加工した。
(a)板材 :厚さ30mm、幅155mm、長さ100mm
(b)丸棒材:φ80mm、長さ350mm
Figure 2011080099
得られた(a)板材と(b)丸棒材は、所定の温度に加熱した後、冷却した。このとき冷却するに際して、900〜1050℃の温度域で所定時間保持した。また、保持後、900℃から700℃までの平均冷却速度を変化させた。下記表2に加熱温度(℃)、900〜1050℃の温度域での保持時間(秒)、900℃から700℃までの平均冷却速度(℃/秒)を夫々示す。
Figure 2011080099
冷却後の板材と丸棒材を用い、下記条件で断続切削したときの被削性と連続切削したときの被削性を評価した。
[断続切削時の被削性評価(エンドミル切削試験)]
断続切削時の被削性を評価するために、エンドミル加工したときの工具摩耗量を測定した。エンドミル切削試験には、上記板材をスケール除去した後、表面を約2mm研削したものを試験片(被削材)として用いた。具体的には、マニシングセンタ主軸にエンドミル工具を取り付け、上記のようにして製造した厚さ25mm×幅150mm×長さ100mmの試験片をバイスにより固定し、乾式の切削雰囲気下でダウンカット加工を行った。詳細な加工条件を下記表3に示す。断続切削を200カット行った後、工具表面を光学顕微鏡下、100倍で観察して平均逃げ面摩耗量(工具摩耗量)Vbを測定した。結果を上記表2に示す。本発明では、断続切削後のVbが80μm以下のものを「断続切削時の被削性が優れる」と評価した。
Figure 2011080099
[連続切削時の被削性評価(旋削試験)]
連続切削時の被削性を評価するために、上記丸棒材(φ80mm×長さ350mm)をスケール除去した後、表面を約2mm研削したものを旋削試験片(被削材)として用い、外周旋削加工を行なった。外周旋削加工の条件は、下記の通りである。
(外周旋削加工条件)
工具 :超硬合金P10(JIS B4053)
切削速度:200m/min
送り :0.25mm/rev
切り込み:1.5mm
潤滑方式:乾式
外周旋削加工後、工具表面を光学顕微鏡下、100倍で観察して平均逃げ面摩耗量(工具摩耗量)Vbを測定した。結果を上記表2に示す。本発明では、連続切削後のVbが100μm以下のものを「連続切削時の被削性が優れる」と評価し、Vbが70μm以下のものを「連続切削時の被削性が特に優れる」と評価した。
次に、冷却後の丸棒材を、図1に示す試験片1の形状に切削加工した後、浸炭処理または浸炭窒化処理を施し、肌焼鋼部品を製造した。
図1は、コマツ式ローラーピッチング試験を行なっているときの試験片の様子を示した説明図である。図1中、1は試験片、2は相手材を示している。試験片1は、小ローラーであり、相手材2と接触する部分の直径は26mm、接触部の幅は28mmである。相手材2は、大ローラーであり、直径130mm、幅8mmで、幅方向には150Rのクラウニング加工が施されている。相手材2は、JIS G4805に規定されるSUJ2を焼入れ焼戻ししたものである。
切削加工して得られた試験片1は、次の条件で浸炭処理または浸炭窒化処理を施した。
《ガス浸炭》
切削加工して得られた試験片1を930℃に昇温し、この温度で5時間保持してガス浸炭した後、820℃で10〜90分間保持してから60℃の油浴に入れて焼入れ、190℃で30分間焼戻した。ガス浸炭した後、900℃から800℃までの平均冷却速度を上記表2に示す。なお、ガス浸炭するときのカーボンポテンシャルは0.85とした。
《高濃度浸炭(高炭素浸炭)》
切削加工して得られた試験片1を945℃に昇温し、この温度で7時間保持して高濃度浸炭した後、820℃で30分間保持してから60℃の油浴に入れて焼入れ、190℃で30分間焼戻した。高濃度浸炭した後、900℃から800℃までの平均冷却速度を上記表2に示す。なお、高濃度浸炭するときのカーボンポテンシャルは1.2とした。
《真空浸炭》
切削加工して得られた試験片1を930℃に昇温し、この温度で4時間保持して真空浸炭した後、820℃で30分間保持してから60℃の油浴に入れて焼入れ、190℃で30分間焼戻した。真空浸炭した後、900℃から800℃までの平均冷却速度を上記表2に示す。なお、真空浸炭するときのカーボンポテンシャルは0.85、圧力は0.005MPa以下とした。
《浸炭窒化》
切削加工して得られた試験片1を900℃に昇温し、この温度で5時間保持して浸炭窒化した後、820℃で30分間保持してから60℃の油浴に入れて焼入れ、190℃で30分間焼戻した。浸炭窒化した後、900℃から800℃までの平均冷却速度を上記表2に示す。なお、浸炭窒化するときのカーボンポテンシャルは0.5とした。
得られた肌焼鋼部品の表面に析出しているBN量とAlN量を下記条件で定量すると共に、コマツ式ローラーピッチング試験を行ない、剥離するまでの肌焼鋼部品の寿命を測定し、疲労特性を評価した。
[BN/AlN比]
肌焼鋼部品の表面(最表面から深さ1mm位置までの領域)を切削加工によって削り取ったものをサンプルとした。同じ部位から採取したサンプルを2つ用意し、サンプルに含まれるBN量とAlN量を次の手順で定量した。
サンプルに含まれるBN量は、電解抽出と酸溶解と吸光光度法とを組み合わせて定量した。具体的には、AA系電解液(10質量%のアセチルアセトンと1質量%の塩化テトラメチルアンモニウムを含むメタノール溶液)を用いてサンプルを電気分解した後、濾過して未溶解残渣を採取し、この残渣を塩酸と硝酸で分解した後、硫酸とリン酸を加えて加熱分解した。その後、JIS G1227に準じてホウ素をホウ酸メチルとして蒸留し、水酸化ナトリウムに吸収させる。吸収させたホウ酸メチルに含まれるホウ素量を、JIS G1227に準じてホウ酸メチル蒸留分離クルクミン吸光光度法で定量した。定量したホウ素が全量BNを生成しているものとしてこのホウ素に結合するN量を計算し、定量したホウ素量に計算された結合N量を加えたものをBN量とした。
また、サンプルに含まれるAlN量は、臭素−酢酸メチル法で定量した。具体的には、サンプルをフラスコに入れ、臭素と酢酸メチル中で70℃に加熱して溶解した後、濾過して未溶解残渣を採取し、この残渣を酢酸メチルで充分に洗浄した後、乾燥させる。乾燥させた残渣を、JIS G1228に準じてアンモニア蒸留器に水酸化ナトリウムを加えて蒸留し、0.1%ホウ酸を吸収液として吸収させ、得られた吸収液をJIS G1228に準じてアミド硫酸標準液で滴定し、吸収液中のN量およびサンプルの計り取り量からAlN量を定量した。
定量結果に基づいて、質量比でBN/AlN比を算出した。算出結果を上記表2に示す。
[疲労特性の評価]
肌焼鋼部品の疲労特性は、コマツ式ローラーピッチング試験を行ない、表面剥離を発生するまでの寿命(回転数)を測定することによって評価した。試験条件は、面圧2.5GPa、すべり率−30%とし、潤滑油として市販のATオイルを用い、振動センサーによって試験片表面における剥離の有無を検出し、表面剥離が発生するまでの寿命(試験片1の回転数)を測定し、肌焼鋼部品の疲労特性を評価した。表面剥離が発生するまでの試験片1の回転数を上記表2に示す。本発明では、回転数が200万回以上の場合を合格とし、疲労特性に優れていると評価した。
上記表2から次のように考察できる。
No.1〜18は、本発明で規定する要件を満足する例であり、部品表面に析出しているBNとAlNの質量比(BN/AlN)を適切な範囲に調整しているため、面疲労強度が向上し、疲労特性(特に、耐ピッチング性)に優れている。特にNo.1〜16は、切削加工前の熱処理条件を適切に制御しているため、低速で断続切削したときと、高速で連続切削したときの両方で優れた被削性(特に、工具寿命の延長)を発揮している。
これに対しNo.19は、ガス浸炭後、焼入れ前の820℃での保持時間が10分と短くしたため、900℃から800までの平均冷却速度が0.10℃/秒を超えており、BN/AlN比が0.01を超えている。従って肌焼鋼部品の疲労特性を改善できていない。No.20は、Al量が少ない例であり、固溶Al量が不足しているため、断続切削時の被削性が劣っている。また、Al量が少ないため、部品表面のBN/AlNが0.01を超えて大きくなっており、疲労特性に劣っている。No.21は、B量が少ない例であり、Bによる焼入れ性向上効果が発揮されなかったため、疲労特性が劣化している。また、連続切削したときの被削性が劣っている。

Claims (8)

  1. C :0.1〜0.5%(質量%の意味、以下同じ)、
    Si:0.03〜2%、
    Mn:0.2〜1.8%、
    Al:0.1〜0.5%、
    B :0.0005〜0.008%、
    N :0.002〜0.015%を含有し、
    P :0.03%以下(0%を含まない)、
    S :0.03%以下(0%を含まない)、
    O :0.002%以下(0%を含まない)を満足し、
    残部が鉄および不可避不純物からなる鋼を浸炭または浸炭窒化した肌焼鋼部品であって、
    部品表面に析出しているBNとAlNの質量比(BN/AlN)が0.01以下であることを特徴とする肌焼鋼部品。
  2. 更に他の元素として、
    Cr:3%以下(0%を含まない)を含有する請求項1に記載の肌焼鋼部品。
  3. 更に他の元素として、
    Mo:1%以下(0%を含まない)を含有する請求項1または2に記載の肌焼鋼部品。
  4. 更に他の元素として、
    Nb:0.15%以下(0%を含まない)を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の肌焼鋼部品。
  5. 更に他の元素として、
    Zr:0.02%以下(0%を含まない)、
    Hf:0.02%以下(0%を含まない)、
    Ta:0.02%以下(0%を含まない)、および
    Ti:0.02%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の肌焼鋼部品。
  6. 更に他の元素として、
    V :0.5%以下(0%を含まない)、
    Cu:3%以下(0%を含まない)、および
    Ni:3%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の肌焼鋼部品。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の肌焼鋼部品を製造する方法であって、
    上記成分組成を満足する鋼を部品形状に切削加工した後、浸炭処理または浸炭窒化処理し、その後冷却するに際し900℃から800℃までの平均冷却速度を0.10℃/秒以下(0℃/秒を含まない)とすることを特徴とする肌焼鋼部品の製造方法。
  8. 上記成分組成を満足する鋼を1100℃以上に加熱した後、
    900〜1050℃の温度域で150秒以上保持し、
    その後冷却するに際し900℃から700℃までの平均冷却速度を0.05〜10℃/秒とした後、部品形状に切削加工してから浸炭処理または浸炭窒化処理する請求項7に記載の製造方法。
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