JP2011080099A - 肌焼鋼部品およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】C:0.1〜0.5%、Si:0.03〜2%、Mn:0.2〜1.8%、Al:0.1〜0.5%、B:0.0005〜0.008%、N:0.002〜0.015%を含有し、P:0.03%以下(0%を含まない)、S:0.03%以下(0%を含まない)、O:0.002%以下(0%を含まない)を満足し、残部が鉄および不可避不純物からなる鋼を浸炭または浸炭窒化した肌焼鋼部品について、部品表面に析出しているBNとAlNの質量比(BN/AlN)が0.01以下とする。
【選択図】なし
Description
(a)Cr:3%以下(0%を含まない)、
(b)Mo:1%以下(0%を含まない)、
(c)Nb:0.15%以下(0%を含まない)、
(d)Zr:0.02%以下(0%を含まない)、Hf:0.02%以下(0%を含まない)、Ta:0.02%以下(0%を含まない)、およびTi:0.02%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、
(e)V:0.5%以下(0%を含まない)、Cu:3%以下(0%を含まない)、およびNi:3%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、
等を含有してもよい。
(a)Cr:3%以下(0%を含まない)、
(b)Mo:1%以下(0%を含まない)、
(c)Nb:0.15%以下(0%を含まない)、
(d)Zr:0.02%以下(0%を含まない)、Hf:0.02%以下(0%を含まない)、Ta:0.02%以下(0%を含まない)、およびTi:0.02%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、
(e)V:0.5%以下(0%を含まない)、Cu:3%以下(0%を含まない)、およびNi:3%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、
等を含有してもよい。
低速で断続切削したときの被削性と高速で連続切削したときの被削性の両方を改善するには、まず上記成分組成を満足する鋼をいったん1100℃以上に加熱し、鋼中に含まれるAlNやBNなどの析出物を再固溶させるのがよい。即ち、Alを0.1%以上含有する鋼は、その製造条件によって、AlやB、Nの固溶状態と析出状態が大きく変化するため、1100℃以上に加熱することで、鋼中に含まれるAlNとBNを鋼中に再固溶させることができる。
1100℃以上に加熱した後は、900〜1050℃の温度域で150秒以上保持することで、BNを選択的に析出させることができる。
900〜1050℃で保持してBNを析出させた後は、900〜700℃の温度域を通過する時間を短くすることで、AlNの析出を抑制すると共に、BNがAlNに変化するのを防止し、BNの析出量を確保できる。即ち、900〜700℃の温度域では、BNよりもAlNの方が熱力学的に安定なため、900〜1050℃の高温域でBNを選択的に析出させても、900〜700℃の低温域を通過する時間が長くなると、BNがAlNに変化し、BNの析出量が減少する。AlNは、上述したように、疲労特性向上には寄与するが、被削性に対しては劣化させる方向に作用する。従ってこの低温域の平均冷却速度は0.05℃/秒以上とするのがよい。より好ましくは0.1℃/秒以上、更に好ましくは0.5℃/秒以上、特に好ましくは1℃/秒以上である。しかし上記低温域の平均冷却速度が大き過ぎると、マルテンサイトやベイナイト等の過冷組織が生成して被削性が却って低下する。従って900℃から700℃までの平均冷却速度は10℃/秒以下とする。好ましくは9.5℃/秒以下、より好ましくは8℃/秒以下、更に好ましくは5℃/秒以下、特に好ましくは3℃/秒以下である。
(a)板材 :厚さ30mm、幅155mm、長さ100mm
(b)丸棒材:φ80mm、長さ350mm
断続切削時の被削性を評価するために、エンドミル加工したときの工具摩耗量を測定した。エンドミル切削試験には、上記板材をスケール除去した後、表面を約2mm研削したものを試験片(被削材)として用いた。具体的には、マニシングセンタ主軸にエンドミル工具を取り付け、上記のようにして製造した厚さ25mm×幅150mm×長さ100mmの試験片をバイスにより固定し、乾式の切削雰囲気下でダウンカット加工を行った。詳細な加工条件を下記表3に示す。断続切削を200カット行った後、工具表面を光学顕微鏡下、100倍で観察して平均逃げ面摩耗量(工具摩耗量)Vbを測定した。結果を上記表2に示す。本発明では、断続切削後のVbが80μm以下のものを「断続切削時の被削性が優れる」と評価した。
連続切削時の被削性を評価するために、上記丸棒材(φ80mm×長さ350mm)をスケール除去した後、表面を約2mm研削したものを旋削試験片(被削材)として用い、外周旋削加工を行なった。外周旋削加工の条件は、下記の通りである。
(外周旋削加工条件)
工具 :超硬合金P10(JIS B4053)
切削速度:200m/min
送り :0.25mm/rev
切り込み:1.5mm
潤滑方式:乾式
切削加工して得られた試験片1を930℃に昇温し、この温度で5時間保持してガス浸炭した後、820℃で10〜90分間保持してから60℃の油浴に入れて焼入れ、190℃で30分間焼戻した。ガス浸炭した後、900℃から800℃までの平均冷却速度を上記表2に示す。なお、ガス浸炭するときのカーボンポテンシャルは0.85とした。
切削加工して得られた試験片1を945℃に昇温し、この温度で7時間保持して高濃度浸炭した後、820℃で30分間保持してから60℃の油浴に入れて焼入れ、190℃で30分間焼戻した。高濃度浸炭した後、900℃から800℃までの平均冷却速度を上記表2に示す。なお、高濃度浸炭するときのカーボンポテンシャルは1.2とした。
切削加工して得られた試験片1を930℃に昇温し、この温度で4時間保持して真空浸炭した後、820℃で30分間保持してから60℃の油浴に入れて焼入れ、190℃で30分間焼戻した。真空浸炭した後、900℃から800℃までの平均冷却速度を上記表2に示す。なお、真空浸炭するときのカーボンポテンシャルは0.85、圧力は0.005MPa以下とした。
切削加工して得られた試験片1を900℃に昇温し、この温度で5時間保持して浸炭窒化した後、820℃で30分間保持してから60℃の油浴に入れて焼入れ、190℃で30分間焼戻した。浸炭窒化した後、900℃から800℃までの平均冷却速度を上記表2に示す。なお、浸炭窒化するときのカーボンポテンシャルは0.5とした。
肌焼鋼部品の表面(最表面から深さ1mm位置までの領域)を切削加工によって削り取ったものをサンプルとした。同じ部位から採取したサンプルを2つ用意し、サンプルに含まれるBN量とAlN量を次の手順で定量した。
肌焼鋼部品の疲労特性は、コマツ式ローラーピッチング試験を行ない、表面剥離を発生するまでの寿命(回転数)を測定することによって評価した。試験条件は、面圧2.5GPa、すべり率−30%とし、潤滑油として市販のATオイルを用い、振動センサーによって試験片表面における剥離の有無を検出し、表面剥離が発生するまでの寿命(試験片1の回転数)を測定し、肌焼鋼部品の疲労特性を評価した。表面剥離が発生するまでの試験片1の回転数を上記表2に示す。本発明では、回転数が200万回以上の場合を合格とし、疲労特性に優れていると評価した。
Claims (8)
- C :0.1〜0.5%(質量%の意味、以下同じ)、
Si:0.03〜2%、
Mn:0.2〜1.8%、
Al:0.1〜0.5%、
B :0.0005〜0.008%、
N :0.002〜0.015%を含有し、
P :0.03%以下(0%を含まない)、
S :0.03%以下(0%を含まない)、
O :0.002%以下(0%を含まない)を満足し、
残部が鉄および不可避不純物からなる鋼を浸炭または浸炭窒化した肌焼鋼部品であって、
部品表面に析出しているBNとAlNの質量比(BN/AlN)が0.01以下であることを特徴とする肌焼鋼部品。 - 更に他の元素として、
Cr:3%以下(0%を含まない)を含有する請求項1に記載の肌焼鋼部品。 - 更に他の元素として、
Mo:1%以下(0%を含まない)を含有する請求項1または2に記載の肌焼鋼部品。 - 更に他の元素として、
Nb:0.15%以下(0%を含まない)を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の肌焼鋼部品。 - 更に他の元素として、
Zr:0.02%以下(0%を含まない)、
Hf:0.02%以下(0%を含まない)、
Ta:0.02%以下(0%を含まない)、および
Ti:0.02%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の肌焼鋼部品。 - 更に他の元素として、
V :0.5%以下(0%を含まない)、
Cu:3%以下(0%を含まない)、および
Ni:3%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の肌焼鋼部品。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の肌焼鋼部品を製造する方法であって、
上記成分組成を満足する鋼を部品形状に切削加工した後、浸炭処理または浸炭窒化処理し、その後冷却するに際し900℃から800℃までの平均冷却速度を0.10℃/秒以下(0℃/秒を含まない)とすることを特徴とする肌焼鋼部品の製造方法。 - 上記成分組成を満足する鋼を1100℃以上に加熱した後、
900〜1050℃の温度域で150秒以上保持し、
その後冷却するに際し900℃から700℃までの平均冷却速度を0.05〜10℃/秒とした後、部品形状に切削加工してから浸炭処理または浸炭窒化処理する請求項7に記載の製造方法。
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CN201080044768.9A CN102686759B (zh) | 2009-10-02 | 2010-09-30 | 机械结构用钢及其制造方法和表面硬化钢部件及其制造方法 |
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