次に、本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の気孔連続性解析装置の第1実施形態であるユーザーパソコン(PC)20の構成の概略を示す構成図である。このユーザーPC20は、各種処理を実行するCPU22と、解析処理プログラム23a,仮想球体配置プログラム23b,連続性導出プログラム23cなどの各種処理プログラムを記憶するROM23、データを一時的に記憶するRAM24などを備えたコントローラー21と、多孔質体の3次元の画素データなどの各種データを記憶する大容量メモリであるHDD25と、を備えている。なお、ユーザーPC20は、各種情報を画面表示するディスプレイ26やユーザーが各種指令を入力するキーボード等の入力装置27を備えている。このユーザーPC20は、HDD25に記憶された多孔質体の3次元の画素データに基づいて、解析処理を行うことができる。なお、詳しくは後述するが、解析処理とは、多孔質体の3次元の画素データに基づいて、主に多孔質体中の気孔の連続性についての解析を行う処理である。
ここで、ユーザーPC20が解析する多孔質体について説明する。図2は、多孔質体である多孔質隔壁44を含むハニカムフィルタ30の正面図、図3は図2のA−A断面図である。
ハニカムフィルタ30は、ディーゼルエンジンの排ガス中の粒子状物質(パティキュレート・マター(PM))をろ過する機能を持つディーゼル・パティキュレート・フィルタ(DPF)である。このハニカムフィルタ30は、多孔質隔壁44によって区画された多数のセル34を備えている(図3参照)。多孔質隔壁44の材料としては、強度、耐熱性の観点から、Si結合SiCやコージェライトなどのセラミックス材料が好ましい。多孔質隔壁44の厚さは、200μm以上600μm未満であることが好ましく、第1実施形態では300μmである。多孔質隔壁44の平均気孔径(水銀圧入法による)は、10μm以上60μm未満、気孔率は、40%以上65%未満であることが好ましい。ハニカムフィルタ30に形成された多数のセル34には、図3に示すように、入口36aが開放され出口36bが出口封止材38により封止された入口開放セル36と、入口40aが入口封止材42により封止され出口40bが開放された出口開放セル40とがある。これらの入口開放セル36と出口開放セル40とは、隣接するように交互に設けられている。セル密度は、15セル/cm2以上65セル/cm2未満であることが好ましい。
このハニカムフィルタ30は、例えば図示しないディーゼルエンジンの下流側に搭載し、PMを含む排ガスを浄化して大気へ放出するために使用される。なお、図3の矢印はこのときの排ガスの流れを示している。ディーゼルエンジンからのPMを含む排ガスは、このハニカムフィルタ30の入口36aから入口開放セル36に流入したあと、多孔質隔壁44を通過して隣接する出口開放セル40に流入し、出口開放セル40の出口40bから大気へ放出される。ここで、PMを含む排ガスは、入口開放セル36から多孔質隔壁44を通過して出口開放セル40に流入するときにPMが捕集されるため、出口開放セル40に流入した排ガスは、PMを含まないクリーンな排ガスになる。また、多孔質隔壁44中の気孔内部には図示しない白金などの酸化触媒がコーティングされており、捕集したPMを酸化することで多孔質隔壁44の気孔率の低下や圧力損失の急上昇を防止している。
ハニカムフィルタ30は、例えば基材と造孔材と分散材とを混合して調製した坏土やスラリーを原料として製造することができる。基材としては、上述したセラミックス材料を用いることができる。例えばSiCを基材とするものにおいてはSiC粉末及び金属Si粉末を80:20の質量割合で混合したものを用いることができる。造孔材としては、のちの焼成により燃焼するものが好ましく、例えば澱粉、コークス、発泡樹脂などを用いることができる。分散材としては、エチレングリコールなど界面活性剤を用いることができる。坏土を調製する手段には、特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。この坏土を、例えば、セル34が並んで配設される形状の金型を用いて図2,3に示した形状に押出成形し、出口封止材38及び入口封止材42でセル34を封止した後、乾燥処理・仮焼処理・焼成処理を行うことで多孔質隔壁44を含むハニカムフィルタ30を製造することができる。出口封止材38及び入口封止材42は、多孔質隔壁44を形成する原料を用いるものとしてもよい。また、仮焼処理は、焼成温度よりも低い温度でハニカムフィルタ30に含まれる有機物成分を燃焼除去する処理である。焼成温度は、コージェライト原料では、1400℃〜1450℃とし、Si結合SiCでは、1450℃とすることができる。このような工程を経て、多孔質隔壁44を含むハニカムフィルタ30を得ることができる。
ユーザーPC20のHDD25には、このハニカムフィルタ30に対してCTスキャンを行うことによって得た多孔質隔壁44の3次元の画素データが記憶されている。第1実施形態では、図3に示すX方向及びY方向で表されるXY平面を撮影断面とし、該撮影断面を図2に示すZ方向に複数撮影することでCTスキャンを行って画素データを得ている。X,Y,Zの各方向の解像度はそれぞれ1μmであり、これにより得られる1辺が1μmの立方体が3次元の画素データの最小単位すなわち画素となる。各画素はX,Y,Z座標により位置が表されるとともに、その画素が空間(気孔)であるか物体(多孔質隔壁44の構成物質)であるかを特定する種別情報が併せて付加されてHDD25に記憶されるようになっている。第1実施形態では、空間を表す画素(空間画素)は種別情報として値0,物体を表す画素(物体画素)は種別情報として値9が付加されている。なお、実際にはCTスキャンによって得られるデータは例えばX,Y,Zの座標毎の輝度データである。第1実施形態で使用する画素データは、この輝度データを所定の閾値で2値化して空間画素か物体画素かを座標毎に求めることにより得ることができる。所定の閾値は、例えば、計測により得られる多孔質隔壁44の気孔率と、2値化後の画素データにおける気孔率とが略等しくなるように定めればよい。また、このようなCTスキャンは例えば株式会社島津製作所製のSMX−160CT−SV3を用いて行うことができる。
画素データの一例を図4に示す。図4(a)は、図3の領域50における多孔質隔壁44をCTスキャンして得られた画素データとしての多孔質体データ60の概念図である。この多孔質体データ60は、多孔質隔壁44の画素データから一辺が300μmの立方体部分の画素データを抜き出したものであり、後述する解析処理はこの多孔質体データ60に対して行われる。多孔質体データ60は、立方体の6面のうち2面が多孔質隔壁44と入口開放セル36との境界面である流入面61(図3参照)と、領域50における多孔質隔壁44と出口開放セル40との境界面である流出面62(図3参照)とになっており、残りの4面が多孔質隔壁44の断面となっている。図4(b)は、多孔質体データ60のうちZ座標が値3の位置におけるXY平面(撮影断面)63及びその一部の拡大図64である。拡大図64に示すように、XY平面63は1辺が1μmの画素の配列で構成されており、それぞれの画素が空間画素又は物体画素のいずれかで表されている。なお、CTスキャンで得られる撮影断面は、図4(b)に示すようにZ方向の厚みのない平面のデータであるが、各撮影断面は撮影断面のZ方向の間隔分(1μm)の厚みがあるものとして、すなわち上述したように各画素は1辺が1μmの立方体であるものとして扱われる。なお、多孔質体データ60は、図5に示すように画素毎にXYZ座標と種別情報とを対応づけた多孔質体テーブル71と、流入面61及び流出面62を表す流入流出テーブル72とを含むデータファイル70としてHDD25に記憶されている。なお、流入流出テーブル72の「X=1」とはXYZ座標系におけるX=1の平面のことであり、図4(a)に示すように流入面61を表している。「X=300」も同様に流出面62を表している。また、HDD25には、データファイル70だけでなく、上述した領域50以外の多孔質隔壁44の画素データを表す別のデータファイルも複数記憶されている。
次に、ユーザーPC20がこのデータファイル70に対して行う解析処理について説明する。図6は解析処理ルーチンのフローチャートである。この解析処理ルーチンは、ユーザーが入力装置27を介して解析処理を行うよう指示したときにCPU22がROM23に記憶された解析処理プログラム23aを実行することで行われる。なお、以降はデータファイル70の解析処理を行う場合について説明するが、他のデータファイルについても同様に解析処理を行うことができる。いずれのデータファイルについての解析を行うかは予め定められていてもよいし、ユーザーが指定してもよい。
解析処理ルーチンが実行されると、CPU22は、まず、HDD25に記憶されたデータファイル70を読み出してRAM24に記憶する(ステップS100)。そして、読み出したデータファイル70で表される多孔質体データ60の仮想壁面の設定を行う(ステップS110)。具体的には、1辺が300μmの立方体である多孔質体データ60からその周囲を覆う仮想壁面までの距離をユーザーが入力装置27を介して指定し、CPU22がそれを受け付けてRAM24に記憶する。例えば仮想壁面までの距離を1μmと指定すると、CPU22は、多孔質体データ60の各面からX,Y,Z方向にそれぞれ1μm外側に仮想壁面があり、その外側は全て物体画素が配置されているものとみなす。すなわち、多孔質体データ60は1辺が300μmであるので、1辺が302μmの立方体状の仮想壁面に覆われたものとみなされる。続いて、ステップS110で設定した仮想壁面の内側の空間画素に仮想球体を配置する処理である仮想球体配置処理を実行する(ステップS120)。
ここで、解析処理ルーチンの説明を中断して仮想球体配置処理について説明する。図7は仮想球体配置処理のフローチャートである。この仮想球体配置処理はCPU22がROM23に記憶された仮想球体配置プログラム23bを実行することで行われる。
仮想球体配置処理が実行されると、CPU22は、まず、仮想球体の直径Rを最大値Rmaxに設定し(ステップS200)、ステップS110で設定した仮想壁面の内側の空間画素のうち直径Rの仮想球体の配置可能な位置を検索する(ステップS210)。直径Rの仮想球体とは、直径がRμmの大きさを持ち、中心がいずれかの画素の中心にある仮想的な球体のことである。この直径Rの仮想球体の配置可能な位置は、例えば次のようにして検索する。まず、その時点における空間画素(種別情報が値0である画素)のうちいずれかの画素を選択する。そして、選択した画素を中心とする直径Rの仮想球体を配置すると仮想球体が物体画素又は既に配置した仮想球体と重なる場合には、再度他の空間画素を中心として選択する。そして順次空間画素のいずれかを選択していき、仮想球体が物体画素と重ならず且つ既に配置した仮想球体とも重ならない場合には、その位置が直径Rの仮想球体を配置可能な位置であると判定する。また、その時点における全ての空間画素のいずれを中心として選択しても仮想球体が物体画素又は既に配置した仮想球体と重なる場合には、直径Rの仮想球体を配置可能な位置はないと判定する。なお、中心となる画素を選択する順序はランダムであってもよいし流入面61上の画素から流出面62上の画素に向けて順番に行ってもよい。また、Rmaxの値は、多孔質隔壁44に通常存在する気孔径の最大値以上の値であればよく、例えば実験により求める数値を参考にして値を設定することができる。ステップS210で配置可能な場所があると判定されると、そこに直径Rの仮想球体を1つ配置する(ステップS220)。具体的には、ステップS100でRAM24に記憶した多孔質体テーブル71のうち、直径Rの仮想球体を配置したときに仮想球体に占有される画素に対応する種別情報を、仮想球体に占有されている球体画素であることを表す値5に更新する。なお、第1実施形態では画素のうち50%以上の体積が仮想球体に占有されるときにその画素を球体画素とするが、完全に仮想球体内に含まれた画素のみを球体画素としてもよいし、画素の一部でも仮想球体内に占有されたときにその画素を球体画素としてもよい。続いて、CPU22は、ステップS220で配置した仮想球体の中心座標と直径Rと球体識別符号とを対応づけて仮想球体テーブルとして記憶する(ステップS230)。なお、球体識別符号は仮想球体テーブルに記憶された複数の仮想球体を個別に識別するための符号であり、例えば番号など、どのような符号を用いてもよい。また、仮想球体テーブルは、RAM24の所定の領域に記憶される。
そして、CPU22は、空間画素の99%以上が球体画素に置換されたか否かを判定する(ステップS240)。この判定は、具体的には、RAM24に記憶された多孔質体テーブル71に含まれる各画素の種別情報を参照して、種別情報が値0である画素の数と値5である画素の数との合計数に対して種別情報が値5である画素の数が99%以上であるか否かによって行う。なお、判定の閾値は99%に限らず、他の値を用いてもよい。ステップS240で否定的な判定がなされると、ステップS210に戻り、直径Rの仮想球体が配置可能な限りステップS210〜S240の処理を繰り返す。そして、直径Rの仮想球体が配置可能でない場合にはステップS210で否定的な判定がなされ、直径Rを値1減少させて(ステップS250)、同様にステップS210〜S240の処理を繰り返す。そして、ステップS240で肯定的な判定がなされると、ステップS230で仮想球体テーブルとして記憶した各仮想球体について、隣接する他の仮想球体の球体識別符号を隣接情報として仮想球体テーブルに記憶して(ステップS260)、仮想球体配置処理を終了する。ここで隣接するとは、当該仮想球体の直径を1μm(1画素)だけ増加させた仮想球体が他の仮想球体に由来する球体画素(種別情報が値5の画素)を占有してしまう状態のことであり、その占有される球体画素に由来する仮想球体を隣接する仮想球体とする。
この仮想球体配置処理により、配置した仮想球体の球体識別符号,その仮想球体の中心座標及び直径,その仮想球体の隣接情報(その仮想球体に隣接する仮想球体の球体識別符号)が対応づけられた仮想球体テーブルがRAM24に記憶されるとともに、配置した仮想球体により空間画素が球体画素に置換される。図8に作成された仮想球体テーブルの一例を示す。図8の仮想球体テーブルでは、例えば球体識別符号が値1の仮想球体は、中心座標が(X1,Y1,Z1)であり、直径がR1μmであり、球体識別符号が値3,8の仮想球体と隣接している(球体識別符号が値1の仮想球体の直径を1μm増加させると球体識別符号が値3,8の仮想球体の球体画素を占有する状態である)ことがわかる。また、仮想球体を配置する前の多孔質体データ60の一例を図9(a)に、仮想球体配置後の多孔質体データ60の一例を図9(b)に、それぞれ示す。ここで、図9では多孔質体データ60の一断面について示しており、図9(b)中では仮想球体(球体画素)は円で示されているが、実際は球体としてXYZ座標系内に立体的に配置されているものである。図9(b)に示すように、仮想球体配置処理によって仮想球体が物体画素及び他の仮想球体と重ならないように配置される。また、仮想壁面65は上述したステップS110で設定されたものであり、仮想球体はこの仮想壁面65より外側に飛び出さない範囲で配置される。なお、図9(b)では図示していないが、実際には空間画素の99%以上が球体画素に置換されており、図9(b)に示した仮想球体よりも直径の小さい仮想球体が多数配置されている。ただし、便宜上、図9(b)に示した仮想球体のみが配置されているものとして以降の説明を行う。
図6の解析処理ルーチンの説明に戻る。ステップS120の仮想球体配置処理が終了すると、CPU22は、配置した仮想球体に基づいて多孔質隔壁44内の気孔の連続性を導出する連続性導出処理を実行する(ステップS130)。
ここで、解析処理ルーチンの説明を中断して連続性導出処理について説明する。図10は連続性導出処理のフローチャートである。この連続性導出処理はCPU22がROM23に記憶された連続性導出プログラム23cを実行することで行われる。
連続性導出処理が実行されると、CPU22は、まず、流入面61を含む未選択の仮想球体を1つ選択する(ステップS300)。なお、仮想球体が流入面61を含むか否かは、仮想球体配置処理で作成した仮想球体テーブルで記憶されている各仮想球体の中心座標及び直径と、流入流出テーブル72として記憶されている流入面61を表す数式(X=1)とにより判定することができる。続いて、選択した仮想球体と連続している仮想球体を順次たどりその全てを選択する(ステップS310)。具体的には、仮想球体テーブルに記憶された隣接情報に基づいて、選択した仮想球体に隣接している他の仮想球体を、連続している仮想球体としてすべて選択する。そして、新たに選択した仮想球体に連続している仮想球体も同様にすべて選択していき、これを連続している仮想球体が他にないと判定されるまで行う。ステップS310の処理を行うと、選択した仮想球体の中に流出面62を含む仮想球体があるか否かを判定する(ステップS320)。仮想球体が流出面62を含むか否かの判定方法は、上述した流入面61を含むか否かの判定と同様である。そして、否定的な判定をすると、ステップS310で選択した仮想球体を全て選択不可とする(ステップS330)。
一方、ステップS320で肯定的な判定をすると、選択した仮想球体のうち、流入面61を含む仮想球体から流出面62を含む仮想球体までの経路上に存在する仮想球体のみを気孔の連続性が確保された通路として連続気孔テーブルに記憶する(ステップS340)。ここで、流入面61を含む仮想球体から流出面62を含む仮想球体までの経路とは、流入面61を含む仮想球体の中心点から連続する仮想球体の中心点を順次仮想の直線で結んでいき、流出面62を含む仮想球体の中心点に到達したときの、流入面61を含む仮想球体の中心点から流出面62を含む仮想球体の中心点までの仮想の直線の経路としてイメージされる。したがって、仮想球体が経路上に存在するか否かの判定は、例えば次のように行う。まず、ステップS310で選択した仮想球体について、流入面61を含む仮想球体の中心点から隣接情報に基づいて連続する仮想球体のみの中心点を仮想の直線で繋げていく。そして、流入面61を含む仮想球体から流出面62を含む仮想球体までを結んだ経路を描くことが可能なときには、その経路上に中心点が存在する仮想球体は全て経路上に存在する仮想球体と判定し、それらの仮想球体を気孔の連続性が確保された通路として連続気孔テーブルに記憶する。なお、連続気孔テーブルは、RAM24の所定の領域に記憶されるものであり、通路を識別するための通路識別符号と、気孔の連続性が確保された通路として判定された複数の仮想球体の球体識別符号とを対応付けたものである。なお、球体識別符号は、仮想球体がどのように通路を構成しているかを特定できるようなデータとして連続気孔テーブルに記憶される。連続気孔テーブルの一例を図11に示す。図11の詳細については後述する。
ステップS330又はS340の処理を行うと、流入面61を含む仮想球体であり、かつ連続気孔テーブルに記憶した仮想球体以外の選択可能な仮想球体が他にもあるか否かを判定する(ステップS350)。そして、肯定的な判定をすると、ステップS300に進んでステップS300〜S350の処理を繰り返す。また、ステップS350で否定的な判定をすると、本ルーチンを終了する。
ここで、図9(b)のように配置した仮想球体について連続性導出処理を行う様子を図12を用いて説明する。図12は、図9(b)の各仮想球体,流入面61,流出面62のみを示したものであり、各仮想球体には図示するようにA1〜A17,B1〜B32,C1〜C3の球体識別符号が付されているものとして以下説明する。まず、ステップS300においては、流入面61を含む仮想球体である仮想球体A1,B1〜B3,C1,C2のいずれか1つを選択する。ここで仮想球体C1を選択したとすると、ステップS310では仮想球体C1と連続している仮想球体C2,C3も選択状態となる。続いて、この仮想球体C1〜C3はいずれも流出面62を含まないためステップS320で否定的な判定がなされる。そして、ステップS330で仮想球体C1〜C3は選択不可の状態となり、以降の連続性導出処理で選択されることがなくなる。
続いて、ステップS300に戻り仮想球体A1,B1〜B3のうち仮想球体B1を選択したとすると、ステップS310では仮想球体B1に連続する仮想球体を順次たどりその全てを選択する。すなわち仮想球体B1〜B32が選択されることになる。続いて、選択した仮想球体には流出面62を含む仮想球体B31,B32が含まれているため、ステップS320で肯定的な判定がなされる。そして、ステップS340で流入面61から流出面62までの経路上に存在する仮想球体のみを連続気孔テーブルに記憶する。ここで、流入面61から流出面までの経路は、仮想球体B1〜B3のいずれかから仮想球体B32,33のいずれかまでの連続する仮想球体同士の中心線を直線で結ぶことで描くことができるため、この経路上に存在する仮想球体が連続気孔テーブルに記憶されることになる。例えば、仮想球体B9は仮想球体B3から仮想球体B31又はB32までの経路上にあるため、連続気孔テーブルに記憶される。また、仮想球体B5,B6については、仮想球体B5,B6の中心点を通過しつつ流入面61から流出面62までを結ぶ経路を描くことはできない。したがって仮想球体B5,B6は気孔の連続性が確保された通路とはみなされず、連続気孔テーブルには記憶されない。仮想球体B14〜B16も同様である。また、仮想球体B27,B28については、仮想球体B27,B28の中心点を通過しつつ流入面61から流出面62までを結ぶ経路を描こうとすると、仮想球体B26を2回通過することとなる。第1実施形態では、このような1つの経路において同じ仮想球体を2回以上通過するような場合でも、流入面61から流出面62までを結ぶ経路と判定することとしており、仮想球体B27,B28についても連続気孔テーブルに記憶される。なお、このような仮想球体は流入面61から流出面62までを結ぶ経路と判定しないこととしてもよい。ステップS340では、このようにして、選択した仮想球体B1〜B32の全てについて流入面61から流出面62までを結ぶ経路上に存在する仮想球体であるか否かを判定している。これにより、仮想球体B1〜B32のうち仮想球体B5,B6,B14〜B16以外の仮想球体が連続気孔テーブルに記憶される。
そして、ステップS350に進み、流入面61を含む選択可能な仮想球体A1がまだあるため肯定的な判定がなされて、ステップS300で仮想球体A1が選択される。以降は上述した説明と同様に、ステップS310で仮想球体A1〜A17が全て選択され、流出面62を含む仮想球体A15,17が選択されているためステップS320で肯定的な判定がなされ、ステップS340で仮想球体A1〜A17のうち仮想球体A9〜A12以外の仮想球体が連続気孔テーブルに記憶される。そして、ステップS350で否定的な判定がなされて連続性導出処理が終了する。これにより作成された連続気孔テーブルの一例が図11である。図示するように、一連の連続する仮想球体B1〜B32(仮想球体B5,B6,B14〜B16は除く)の球体識別符号が通路識別符号「1」と対応づけて記憶され、別の連続する仮想球体A1〜A17(仮想球体A9〜A12は除く)の球体識別符号が通路識別符号「2」と対応付けられている。また、上述したように球体識別符号は仮想球体がどのように通路を構成しているかを特定できるように連続気孔テーブルに記憶されている。なお、図11では通路の構成を概念的に示しているが、実際のデータ構造は、通路を構成する仮想球体の球体識別符号毎にその仮想球体と連続する仮想球体の識別符号を対応づけておくなど、どのようなデータ構造であってもよい。
図6の解析処理ルーチンの説明に戻る。ステップS130の連続性導出処理が終了すると、CPU22は、上述した処理でRAM24に記憶したデータファイル,仮想球体テーブル,連続気孔テーブルに基づいて必要なデータの算出を行う(ステップS140)。例えば、連続気孔テーブルに記憶された仮想球体の体積を仮想球体テーブルに基づいて算出して合計することで、多孔質体データ60における流入面61から流出面62までの気孔の連続性が確保された通路の容積である通路気孔容積を導出したり、連続気孔テーブルに記憶された仮想球体の直径の平均値を仮想球体テーブルに基づいて算出することで、多孔質体データ60における流入面61から流出面62までの気孔の連続性が確保された通路の平均気孔径である通路平均気孔径を算出したりすることができる。また、データファイルの多孔質体テーブルにおける球体画素の数を合計することで得られる仮想球体の体積の合計値を、多孔質体データ60における気孔の容積の合計値である気孔容積として算出したり、仮想球体テーブルとして記憶された全ての仮想球体の直径の平均値として多孔質体データ60の平均気孔径を算出したりすることもできる。他にも、多孔質体データ60の全画素数と球体画素数とに基づいて多孔質体データ60における気孔の割合である気孔率を算出したり、多孔質体データ60の全画素数に基づいて算出した多孔質体データ60の全体積と通路気孔容積とに基づいて通路のみの気孔率である通路気孔率を算出したりすることができる。なお、通路気孔容積や通路平均気孔径は、異なる通路毎すなわち異なる通路識別符号毎に導出することもできる。
そして、上述した処理でRAM24に記憶したデータファイル,仮想球体テーブル,連続気孔テーブル及びステップS140で算出した各種データをまとめて解析結果ファイルとしてHDD25に記憶し(ステップS150)、本ルーチンを終了する。これにより、ユーザーは解析結果ファイルの内容に基づいて、多孔質隔壁44の性能評価などを行うことができる。例えば、多孔質隔壁44は通過する排ガスを浄化するものであるため、気孔の全てが排ガスの浄化に影響するとは限らず、流入面61から流出面62へ排ガスが実際に通過する通路の容積や気孔径によって排ガスの浄化性能を評価する必要がある。この解析処理ルーチンで算出した通路気孔容積,通路平均気孔径,通路気孔率の値は、このような浄化性能の評価に用いることができる。
また、通路気孔容積が所望の値である多孔質隔壁を製造するにあたり、この解析結果ファイルを利用することもできる。例えば、まず所定の粒径の基材と所定の粒径の造孔材とを所定の配合重量割合で混合して上述した方法により多孔質隔壁を製造し、この製造した多孔質隔壁にCTスキャンを行うことで得た3次元の画素データについて、上述した解析処理ルーチンを行う。そして、得られた解析結果ファイルに含まれる通路気孔容積に基づいて、基材の粒径,造孔材の粒径,配合重量割合を適宜変更して再度多孔質隔壁を製造し、これを繰り返すことで通路気孔容積が所望の値である多孔質隔壁を得ることができる。この場合、例えば解析ファイルから得られた通路気孔容積が所望の値より小さいときには造孔材の配合重量割合を大きくするなど、解析で得られた通路気孔容積に基づいて基材の粒径,造孔材の粒径,配合重量割合を適宜変更することで、通路気孔容積が所望の値である多孔質隔壁を効率的に製造することができる。また、上述したように通路気孔容積に基づいて通路気孔率を算出することができるため、通路気孔率が所望の値である多孔質隔壁を製造したい場合にも、同様の方法で効率的に製造することができる。
上述の解析結果ファイルを利用してフィルターに用いる所望の通路気孔率を持った多孔質隔壁を製造する例として、平均気孔径が13μm、通路気孔率が50%の多孔質隔壁を製造する場合について表1を用いて説明する。まず、平均粒径が40μmのSiC粉末と平均粒径が4μmの金属Si粉末とを80:20の質量割合で混合したものを基材とし、その基材と平均粒径30μmの造孔材A(澱粉)とを100:30の質量割合で混合したものを用いて、上述した方法により表1の多孔質体1を製造した。そして、水銀ポロシメーターでこの多孔質体1の平均気孔径及び気孔率を測定したところ、表1に示すように平均気孔径13μm、気孔率50%であった。また、多孔質体1をCTスキャンして得られた画素データのうち1辺が300μmの多孔質体データを1つ抜き出して上述したデータファイルを作成し、このデータファイルについて上述した解析処理ルーチンを実行したところ、表1に示すように通路気孔容積は12.7×106μm3、通路気孔率は47%(=通路気孔容積/3003μm3×100)であった。水銀ポロシメーターで気孔率が50%であるのに対し通路気孔率が50%に満たないのは、水銀ポロシメーターによる気孔率は全ての開気孔(気孔の一部が露出面に向け開かれている気孔)の気孔率を算出しているのに対し、通路気孔率では開気孔のうち一の露出面から他の露出面までの連続性が確保された通路を構成する気孔のみの気孔率を算出しているためである。続いて、多孔質体1の通路気孔率が目標値50%より低かったため、多孔質体1と同量の基材及び造孔材Aに、平均粒径20μmの造孔材B(澱粉)を基剤:造孔材B=100:10の質量割合でさらに混合して、表2の多孔質体2を製造した。そして、多孔質体2についても多孔質体1と同様に平均気孔径,通路気孔容積,通路気孔率を導出したところ、表1に示すように平均気孔径,通路気孔率ともに目標値より大きい値となった。そのため、造孔材Aを減らすべく基材と造孔材Aとの質量割合を100:25とし、それ以外は多孔質体2と同様の条件で基材,造孔材A,Bを混合して表1の多孔質体3を製造した。そして、多孔質体1,2と同様に平均気孔径,通路気孔容積,通路気孔率を導出したところ、表1に示すように平均気孔径が13μm,通路気孔率が50%となり、所望の多孔質隔壁を得ることができた。このように、解析結果ファイルから得られる数値に基づいて造孔材の粒径や配合重量割合を適宜変更していくことで、所望の多孔質隔壁を効率的に製造することができる。なお、多孔質体3における水銀ポロシメーターによる気孔率は53%であった。このように、フィルターに代表される通路気孔率が重要なファクターである多孔質隔壁においては、水銀ポロシメーターによる気孔率が一の露出面から他の露出面に連通していない開気孔も含んだ値となってしまうという弊害を排除できない。すなわち従来のフィルター特性と気孔率との関係性にはこのような避けがたい誤差を含んでおり、より精密な計測をして所望のフィルター特性を得るには、上述した解析結果ファイルを利用して所望の通路気孔率を持った多孔質隔壁を製造する方法が最適であることがわかる。なお、上述の通り、適宜変更するのは造孔材の粒径や配合重量割合に限らず、基材の粒径やSiC粉末と金属Si粉末との配合重量割合を適宜変更して所望の多孔質隔壁を得ることもできる。また、上記の例では製造した多孔質体から得られる画素データのうち1辺が300μmの多孔質体データを1つ抜き出して通路気孔率を導出しているが、多孔質体データを複数抜き出してそれぞれの通路気孔率の平均値が所望の値になるように多孔質体の製造を繰り返してもよい。
以上詳述した第1実施形態によれば、多孔質隔壁44の3次元スキャンにより得られた画素の位置を表すX,Y,Z座標と画素が空間画素か物体画素かを表す種別情報とを対応づけた多孔質体データ60としてのデータファイル70がHDD25に記憶されている。そして、仮想球体配置処理により、このデータファイル70を参照して、物体画素と重ならず且つ空間画素が埋まるように種々の径を持つ仮想球体を配置する。そして、連続性導出処理により、配置された仮想球体に関する情報である仮想球体テーブルに基づいて多孔質隔壁44の流入面から流出面への気孔の連続性を導出する。このように多孔質体内の気孔を3次元の仮想球体の集まりとみなすため、その仮想球体が連なっているか否かによって気孔が連続しているか否かを容易に判定することができる。また、仮想球体配置処理は仮想球体を直径の大きいものから優先して配置する処理であるため、空間画素をなるべく直径の大きい仮想球体で埋めることができる。すなわち、直径の小さい仮想球体で空間画素を埋めてしまうと、仮想球体の直径から導出した平均気孔径と実際の平均気孔径との誤差が大きくなる可能性があるが、このようなことを防止できる。さらに、仮想球体配置処理では、球体画素が互いに重ならないように各仮想球体を配置するため、仮想球体の配置可能な位置がより制限され、球体画素の重なりを許す場合と比べて仮想球体配置処理に要する時間を短縮できる。さらにまた、流入面から連続する仮想球体をたどって流出面に到達する経路が存在するか否かをステップS320で判定し、肯定判定の場合にはその経路上に存在する複数の仮想球体を気孔の連続性が確保されている通路とみなすため、気孔の連続性を容易に判断することができる。さらにまた、仮想球体の体積に基づいて気孔容積及び通路気孔容積も算出することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の気孔連続性解析装置の第2実施形態について説明する。図13は、第2実施形態のユーザーパソコン(PC)120の構成の概略を示す構成図である。なお、第2実施形態のユーザーPC120のうち、第1実施形態のユーザーPC20と同じ構成要素については同じ符号を付し、その説明を省略する。
図13に示すように、ユーザーPC120は、CPU22,各種処理プログラムを記憶するROM123,RAM24を備えたコントローラー121と、HDD25と、ディスプレイ26と、入力装置27とを備えている。ROM123には、解析処理プログラム123aと、仮想球体配置プログラム23bと、連続性導出プログラム123cと、有効通路特定プログラム123dと、表面積算出プログラム123eとが記憶されている。詳しくは後述するが、このユーザーPC120は、HDD25に第1実施形態と同様に記憶された多孔質体の3次元の画素データ(データファイル70など多孔質隔壁44の画素データを表すデータファイル)に基づいて、多孔質対中の気孔の連続性についての解析や、連続した気孔のうちの有効通路の判定及び有効通路の表面積の算出を行うことができる。
続いて、このユーザーPC120がHDD25に記憶されたデータファイル70に対して行う解析処理について説明する。図14は解析処理ルーチンのフローチャートである。なお、図14において、第1実施形態の図6の解析処理ルーチンと同じ処理については同じステップ番号を付し、その説明を省略する。この解析処理ルーチンは、ユーザーが入力装置27を介して解析処理を行うよう指示したときにCPU22がROM123に記憶された解析処理プログラム123aを実行することで行われる。なお、以降はデータファイル70の解析処理を行う場合について説明するが、他のデータファイルについても同様に解析処理を行うことができる。いずれのデータファイルについての解析を行うかは予め定められていてもよいし、ユーザーが指定してもよい。
この解析処理ルーチンが実行されると、CPU22は、まず、ステップS100〜S120の処理を実行する。これは第1実施形態で説明した処理と同じである。これにより、HDD25からデータファイル70を読み出して仮想壁面を設定し、仮想球体配置プログラム23bを実行することにより仮想壁面の内側の空間画素に仮想球体を配置する処理や図8の仮想球体テーブルを作成する処理が行われる。仮想球体配置後の多孔質体データ60の一例を図15に示す。なお、図15では多孔質体データ60のうち、図9とは異なる一断面について示している。なお、図15においても、図9(b)と同様に実際には空間画素の99%以上が球体画素に置換されているが、説明の便宜上、図15に示した仮想球体のみが配置されているものとして以降の説明を行う。
ステップS120の処理が終了すると、CPU22は、連続性導出処理を実行する(ステップS130a)。
ここで、解析処理ルーチンの説明を中断して連続性導出処理について説明する。図16は連続性導出処理のフローチャートである。この連続性導出処理はCPU22がROM123に記憶された連続性導出プログラム123cを実行することで行われる。なお、図16において、第1実施形態の図10の連続性導出処理と同じ処理については同じステップ番号を付し、その説明を省略する。
図16に示すように、第2実施形態の連続性導出処理は、上述したステップS340の代わりにステップS340aを行う点と、ステップS350で否定判定をしたときにそれまでの仮想球体の選択を全て解除するステップS360を行ってから連続性導出処理を終了する点以外は図10の連続性導出処理と同じである。ステップS340aでは、流入面61を含む仮想球体から流出面62を含む仮想球体までの経路上に存在する仮想球体と、その仮想球体に連続している仮想球体とを気孔の連続性が確保された通路として連続気孔テーブルに記憶する処理を行う。すなわち、ステップS340では、流入面61を含む仮想球体から流出面62を含む仮想球体までの経路上に存在する仮想球体のみを気孔の連続性が確保された通路としていた。これに対し、ステップS340aでは、流入面61を含む仮想球体から流出面62を含む仮想球体までの経路上に存在しない仮想球体(例えば、分岐先が行き止まりであるような通路内の仮想球体)であっても、その経路上の仮想球体に連続している仮想球体は気孔の連続性が確保された通路とするのである。言い換えると、このステップS340aの処理は、ステップS320で肯定的な判定をしたときに、直前のステップS310で選択した仮想球体を全て気孔の連続性が確保された通路とする処理である。
ここで、図15のように配置した仮想球体について図16の連続性導出処理を行う様子を図17を用いて説明する。図17は、図15の各仮想球体,流入面61,流出面62のみを示したものであり、各仮想球体には図示するようにa1〜a14,b1〜b16の球体識別符号が付されているものとして以下説明する。まず、ステップS300で流入面61を含む仮想球体である仮想球体a1,b1,b2のいずれか1つを選択し、ステップS310で選択した仮想球体に連続する仮想球体を全て選択する。例えばステップS300で仮想球体a1を選択したときは、ステップS310で仮想球体a1〜a14が選択されることになる。そして、選択した仮想球体には流出面62を含む仮想球体a14が含まれているため、ステップS320で肯定的な判定がなされる。続いて、ステップS340aでは、流入面61を含む仮想球体から流出面62を含む仮想球体までの経路上に存在する仮想球体すなわち仮想球体a1〜a9,a12〜a14と、その仮想球体に連続している仮想球体すなわち仮想球体a10,a11とを気孔の連続性が確保された通路として連続気孔テーブルに記憶する。そして、ステップS350では、流入面61を含む選択可能な仮想球体b1,b2がまだあるため肯定的な判定がなされて、ステップS300以降の処理を行う。以降は同様に、ステップS300で仮想球体b1又は仮想球体b2を選択し、ステップS310で仮想球体b1〜b16を選択する。続いて、流出面62を含む仮想球体b16が選択されているためステップS320で肯定的な判定をし、ステップS340aで仮想球体b1〜b16を連続気孔テーブルに記憶する。そして、ステップS350で否定的な判定をし、ステップS360の処理を行って連続性導出処理を終了する。これにより作成された連続気孔テーブルの一例が図18である。図示するように、一連の連続する仮想球体a1〜a14の球体識別符号が通路識別符号「1」と対応づけて記憶され、別の連続する仮想球体b1〜b16の球体識別符号が通路識別符号「2」と対応付けられている。なお、この連続気孔テーブルは、図11の連続気孔テーブルと同様に通路の構成を概念的に示したものであり、実際のデータ構造はどのようなデータ構造であってもよい。
図14の解析処理ルーチンの説明に戻る。ステップS130aの連続性導出処理が終了すると、CPU22は、連続気孔テーブルに記憶した通路のうち有効通路を特定する有効通路特定処理を行う(ステップS132)。なお、有効通路とは、連続気孔テーブルに記憶された通路のうち、直径が閾値Rrefの大きさの物体が流入面61及び流出面62から進入したときに、その物体が到達できる通路のことである。第2実施形態では、閾値Rrefの値は、多孔質隔壁44中の気孔内部にコーティングする酸化触媒としての白金を担持させたアルミナ(Al2O3)の粒径分布の最大値(例えば、2μm)としている。この理由については後述する。
ここで、解析処理ルーチンの説明を中断して有効通路特定処理について説明する。図19は、 有効通路特定処理のフローチャートである。この有効通路特定処理はCPU22がROM123に記憶された有効通路特定プログラム123dを実行することで行われる。
この有効通路特定処理が実行されると、CPU22は、まず、ステップS130aの連続性導出処理で連続気孔テーブルに記憶された通路のうち、未選択の通路を1つ選択する(ステップS600)。そして、選択した通路のうち流入面61を含む仮想球体について、直径Rが閾値Rrefより大きい未選択の仮想球体があるか否かを判定する(ステップS610)。なお、選択した通路のうちいずれが流入面61を含む仮想球体であるかについては、選択した通路を構成する仮想球体を連続気孔テーブルにより特定し、この仮想球体についてステップS300と同様に仮想球体テーブル及び流入流出テーブル72により判定することができる。あるいは、ステップS340aにおいて連続気孔テーブルをRAM24に記憶する際に、通路を構成する仮想球体のうち流入面61を含む仮想球体がいずれであるかを示す情報も併せて記憶しておくものとしてもよい。
ステップS610で肯定的な判定をすると、CPU22は、ステップS610で肯定的な判定をした流入面61を含む未選択の仮想球体のうちから1つを選択する(ステップS620)。続いて、選択した仮想球体と連続している仮想球体のうち、直径Rが閾値Rrefよりも大きい未選択の仮想球体のみを順次たどって到達することのできる仮想球体を選択する(ステップS630)。この処理は、直径Rが閾値Rrefよりも大きい仮想球体のみを順次たどっていく点以外はステップS310の処理と同様にして行う。そして、ステップS630の処理を行うと、ステップS610に戻り、ステップS610で否定的な判定をするまでステップS610〜S630の処理を繰り返す。
ステップS610で否定的な判定をすると、CPU22は、選択した通路のうち流出面62を含む仮想球体について、直径Rが閾値Rrefより大きい未選択の仮想球体があるか否かを判定する(ステップS640)。この処理は、流出面62を含む仮想球体について行う点以外は上述したステップS610と同様である。続いて、ステップS640で肯定的な判定をすると、ステップS640で肯定的な判定をした流出面62を含む未選択の仮想球体のうちから1つを選択する(ステップS650)。そして、選択した仮想球体と連続している仮想球体のうち、直径Rが閾値Rrefよりも大きい未選択の仮想球体のみを順次たどって到達することのできる仮想球体を選択する(ステップS660)。このステップS660の処理は、たどっていく起点となる仮想球体が流出面62を含む仮想球体である点以外は、上述したステップS630と同様である。ステップS660の処理を行うと、ステップS640に戻り、ステップS640で否定的な判定をするまでステップS640〜S660の処理を繰り返す。
ステップS640で否定的な判定をすると、CPU22は、ステップS610〜S660の少なくともいずれかで選択した仮想球体を有効通路内の仮想球体として記憶する(ステップS670)。具体的には、仮想球体テーブルに記憶された仮想球体のうち、ステップS610〜S660の少なくともいずれかで選択した仮想球体の球体識別符号に有効通路内の仮想球体であることを示す有効符号(例えば値1)を対応付ける処理を行う。続いて、他に未選択の通路があるか否かを判定し(ステップS680)、肯定的な判定をすると、ステップS600に戻りステップS600〜S680の処理を繰り返す。そして、ステップS680で否定的な判定をすると、仮想球体の選択を全て解除して(ステップS690)、有効通路特定処理を終了する。
ここで、有効通路特定処理を行う様子を図18を用いて説明する。なお、仮想球体a1〜a14,b1〜b16のうち、仮想球体a10,b10,b13は直径Rが閾値Rref以下であり、それ以外の仮想球体は直径Rが閾値Rrefより大きいものとする。有効通路特定処理を実行すると、図18の連続気孔テーブルに記憶された通路(通路識別符号が「1」の通路と「2」の通路)はいずれも選択されていないため、ステップS600でそのいずれかを選択する。例えば通路識別符号が「1」の通路を選択したとすると、ステップS610では、通路識別符号が「1」の通路のうち流入面61を含む仮想球体である仮想球体a1は直径Rが閾値Rrefより大きいため、肯定的な判定をする。続いて、ステップS620では、ステップS610で肯定的な判定をした仮想球体a1を選択する。そして、ステップS630で、仮想球体a1と連続している仮想球体のうち、直径Rが閾値Rrefよりも大きい未選択の仮想球体のみを順次たどって到達することのできる仮想球体を選択する。ここで、図18からわかるように、仮想球体a2〜a9,a12〜a14については、いずれも仮想球体a1から直径Rが閾値Rrefよりも大きい仮想球体のみを順次たどって到達することのできる仮想球体である。一方、仮想球体a10は直径Rが閾値Rref以下であるため選択しない。また、仮想球体a11は、直径Rは閾値Rrefより大きいものの、仮想球体a10とのみ連続している。そのため、仮想球体a1から直径Rが閾値Rrefよりも大きい仮想球体のみをたどって仮想球体a11に到達することはできず、仮想球体a11も選択しない。以上により、ステップS630では、仮想球体a1〜a9,a12〜a14を選択する。そして、通路識別符号が「1」の通路には既に選択された仮想球体a1以外に流入面61を含む仮想球体がないためステップS610で否定的な判定をする。続くステップS640でも、既に選択された仮想球体a14以外に流出面62を含む仮想球体がないため否定的な判定をする。ステップS640で否定的な判定をすると、ステップS670では、選択した仮想球体a1〜a9,a12〜a14を有効通路内の仮想球体として、これらの仮想球体の球体識別符号に有効通路内の仮想球体であることを示す有効符号を対応付ける。ステップS670の処理を行うと、連続気孔テーブルの通路識別符号が「2」の通路は未選択であるためステップS680で肯定的な判定をする。
ステップS680で肯定的な判定をすると、ステップS600で通路識別符号が「2」の通路が未選択であるためこれを選択する。続いて、ステップS610では選択した通路のうち流入面61を含む仮想球体である仮想球体b1,b2はいずれも直径Rが閾値Rrefより大きいため、肯定的な判定をする。そして、ステップS620では未選択の仮想球体b1又は仮想球体b2を選択し、いずれの場合でもステップS630で仮想球体b3〜b9を選択する。なお、仮想球体b10は直径Rが閾値Rref以下であるため、仮想球体b10〜b16は直径Rが閾値Rrefよりも大きい未選択の仮想球体のみを順次たどって到達することはできず、ステップS630では選択されない。このステップS630により流入面61を含む仮想球体b1,b2はいずれも選択されたため、次のステップS610では否定的な判定をする。続くステップS640では、流出面62を含む未選択の仮想球体b16が存在するため肯定的な判定をして、ステップS650で仮想球体b16を選択する。続いて、ステップS660では、仮想球体b13の直径Rが閾値Rref以下であるため、仮想球体b14〜b16を選択する。そして、既に選択された仮想球体a16以外に流出面62を含む仮想球体がないためステップS640で否定的な判定をする。続くステップS670では、選択した仮想球体b1〜9,b14〜b16の球体識別符号に有効符号を対応づけて、ステップS680で否定的な判定をする。そして、ステップS690で仮想球体の選択を全て解除して、有効通路特定処理を終了する。
以上のように有効通路特定処理を行うことで、仮想球体a1〜a14,b1〜b16のうち、仮想球体a10,a11,b10〜b13以外の仮想球体には有効符号が対応づけられ、有効通路内の仮想球体として特定される。一方、仮想球体a10,a11,b10〜b13については有効通路内にない仮想球体として特定される。多孔質隔壁44における通路の形状(空間画素と物体画素との境界の形状)は複雑であるが、このように有効通路特定処理により仮想球体の直径Rと閾値Rrefとを比較して有効通路内の仮想球体か否かを判定することで、有効通路を容易に特定することができる。
図14の解析処理ルーチンの説明に戻る。ステップS132の有効通路特定処理が終了すると、CPU22は、有効通路の表面積を算出する表面積算出処理を行う(ステップS134)。
ここで、解析処理ルーチンの説明を中断して表面積算出処理について説明する。図20は、 表面積算出処理のフローチャートである。この表面積算出処理は、CPU22がROM123に記憶された表面積算出プログラム123eを実行することで行われる。
この表面積算出処理が実行されると、CPU22は、まず、ステップS130aの連続性導出処理で連続気孔テーブルに記憶された通路について、有効通路と有効通路以外の通路との仮想的な境界面である仮想境界面を設定する(ステップS700)。この仮想境界面は、有効通路内にある仮想球体に隣接し且つ有効通路内にない仮想球体を特定し、この仮想球体の中心点を通る平面として設定する。例えば、図18における通路識別符号が「1」の通路においては、有効通路内にある仮想球体に隣接し且つ有効通路内にない仮想球体は、仮想球体a9に隣接する仮想球体a10である。したがって、仮想球体a10の中心点を通る仮想境界面を設定することになる。このときの様子を図21に示す。図21は、図15のうち仮想球体a10周辺の拡大図である。図示するように、仮想球体a10は有効通路内の仮想球体a9,a11に隣接している。このとき、仮想境界面は、仮想球体a9,a11の中心点を結ぶ直線と垂直に交わり、且つ仮想球体a10の中心を通る面として設定する。同様に、通路識別符号が「2」の通路においては、仮想境界面として、仮想球体b9,b11の中心点を結ぶ直線と垂直に交わり且つ仮想球体b10の中心点を通る面と、仮想球体b12,b14の中心点を結ぶ直線と垂直に交わり且つ仮想球体b13の中心点を通る面とを設定する。なお、仮想境界面の設定は、具体的には、多孔質体テーブル71のうち、仮想境界面と重なる位置にある空間画素又は球体画素の種別情報を、仮想境界面であることを表す値3に更新することで行う。
続いて、CPU22は、有効通路を構成する球体画素及び空間画素を全て選択する(ステップS710)。ここで、有効通路を構成する球体画素又は空間画素の選択は、以下のように行う。まず、有効符号が対応づけられた仮想球体を構成する球体画素を選択する。次に、選択した球体画素と連続している空間画素又は球体画素を順次たどっていき、たどることのできた空間画素及び球体画素を選択する。これにより、有効通路の周囲の物体画素と仮想境界面とで囲まれた球体画素及び空間画素が全て有効通路として選択される。図15において有効通路を構成する球体画素及び空間画素を選択したときの様子を図22に示す。
ステップS710の処理を行うと、CPU22は、通路毎に有効通路の表面積を算出し(ステップS720)、算出した表面積を連続気孔テーブルの通路識別符号と対応づけて記憶して(ステップS730)、表面積算出処理を終了する。有効通路の表面積は、例えば、ステップS710で選択した球体画素,空間画素とその周囲の物体画素との接する面の数を算出し、算出した面数に画素の1面あたりの面積(本実施形態では1μm2)を乗ずることで算出することができる。なお、ステップS710で選択した球体画素,空間画素とその周囲の物体画素との接する面の形状を、実際の多孔質隔壁44の表面に近い形状になるように近似し、近似した面の面積を表面積としてもよい。
図14の解析処理ルーチンの説明に戻る。ステップS134の表面積算出処理が終了すると、CPU22は、上述した処理でRAM24に記憶したデータファイル,仮想球体テーブル,連続気孔テーブルに基づいて必要なデータの算出を行う(ステップS140a)。この処理では、第1実施形態の解析処理ルーチンのステップS140と同様に通路気孔容積や通路平均気孔径などを算出する他、表面積算出処理により連続気孔テーブルに記憶した通路毎の有効通路の表面積の合計値を算出する。
そして、上述した処理でRAM24に記憶したデータファイル,仮想球体テーブル,連続気孔テーブル及びステップS140aで算出した各種データをまとめて解析結果ファイルとしてHDD25に記憶し(ステップS150a)、本ルーチンを終了する。これにより、ユーザーは解析結果ファイルの内容に基づいて、第1実施形態と同様に多孔質隔壁44の性能評価などを行うことができる。また、算出した有効通路の表面積により、多孔質隔壁44の性能評価を行うこともできる。これについて以下説明する。多孔質隔壁44への酸化触媒のコーティングは、酸化触媒を担持させたアルミナ(Al2O3)中に多孔質隔壁44を浸すことで行われる。このため、多孔質隔壁44のうち、アルミナが流入面61及び流出面62から進入したときに到達できる通路にしかコーティングがなされない。第2実施形態では、閾値Rrefの値をこのコーティングに用いるアルミナの粒径分布の最大値としているため、有効通路特定処理によって、アルミナが到達できる通路を有効通路として特定することができる。そして、表面積算出処理によって、コーティング可能な面積を有効通路の表面積として算出することができる。この表面積の多寡によって、多孔質隔壁44の捕集したPMを酸化する能力(再生能力)を評価することができる。
以上詳述した第2実施形態によれば、連続性導出処理において、流入面から連続する仮想球体をたどって流出面に到達する経路が存在するか否かを判定する。そして、肯定判定の場合にはその経路を構成する複数の仮想球体と該経路を構成する複数の仮想球体から連続する仮想球体をたどって到達することのできる仮想球体とを気孔の連続性が確保されている通路とみなす。このため、一方の露出面から他方の露出面に到達する経路を構成する仮想球体だけでなく、その経路を構成する仮想球体から分岐しているがその先が行き止まりであるような仮想球体についても気孔の連続性が確保された通路とみなすことができる。
また、第2実施形態の有効通路特定処理では、連続性導出処理で気孔の連続性が確保されているとみなされた通路内に存在する複数の仮想球体について、流入面から連続する仮想球体のうち閾値Rrefより大きい直径Rを持つ仮想球体のみをたどって到達することのできる仮想球体を選択するステップS610〜S630の処理を行う。また、流出面から連続する仮想球体のうち閾値Rrefより大きい直径Rを持つ仮想球体のみをたどって到達することのできる仮想球体を選択するステップS640〜S660の処理とを行う。そして、ステップS610〜S660の少なくともいずれかで選択された仮想球体の存在する通路を有効通路として特定する。これにより、気孔の連続性が確保されているとみなされた通路に存在する仮想球体のうち、閾値Rrefの大きさの粒子が流入面及び流出面から侵入したときに到達できる通路のみを有効通路として特定できる。さらに、第2実施形態の表面積算出処理により、有効通路を構成する空間画素及び球体画素とこれに隣接する物体画素とに基づいて有効通路の表面積を算出することができる。
ここで、第1実施形態及び第2実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。第1実施形態及び第2実施形態のHDD25が本発明のデータ記憶手段に相当し、第1実施形態及び第2実施形態における仮想球体配置プログラム23bを実行して仮想球体配置処理を行うCPU22が仮想球体配置手段に相当し、連続性導出プログラム23c,123cを実行して連続性導出処理を行うCPU22が連続性導出手段に相当し、解析処理プログラム23a,123aを実行して解析処理ルーチンのステップS140を実行するCPU22が気孔容積算出手段及び通路気孔容積算出手段に相当する。また、第2実施形態における有効通路特定プログラム123dを実行して有効通路特定処理を行うCPU22が有効通路特定手段に相当し、第2実施形態における表面積算出プログラム123eを実行して表面積算出処理を行うCPU22が表面積算出手段に相当する。
なお、第1実施形態及び第2実施形態では、ユーザーPC20,120の動作を説明することにより本発明の気孔連続性解析方法の一例も明らかにしている。
なお、本発明は上述した第1実施形態や第2実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実現し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した第1実施形態及び第2実施形態では、空間画素に直径の大きい仮想球体から配置していくことにより仮想球体配置処理を行ったが、図23に示す仮想球体配置処理の別のフローチャートにより仮想球体配置処理を行ってもよい。図23の仮想球体配置処理が実行されると、CPU22は、まず、仮想球体の直径Rを最小値Rminに設定し(ステップS400)、多孔質体データ60のうちランダムに選択したいずれかの画素を中心とする直径Rの仮想球体を仮配置する(ステップS410)。具体的には、ステップS100でRAM24に記憶した多孔質体テーブル71の種別情報は変更せずに、仮想球体の中心座標と直径Rと球体識別符号とを対応づけてRAM24の仮想球体テーブルに記憶する。なお、Rminの値は、多孔質隔壁44に通常存在する気孔径の最小値よりも小さい値であり、実験により求めることができる(例えば、3μm)。続いて、ステップS410で仮配置した仮想球体に占有される画素が物体画素又は既に配置した仮想球体の球体画素と重なるか否かを判定する(ステップS420)。この判定は、ステップS410で記憶した中心座標と直径Rとに基づいて行うことができる。そして、肯定的な判定をすると、仮配置した位置に仮想球体を置くことはできないため、仮配置した仮想球体の中心座標及び直径RをRAM24の仮想球体テーブルから削除して(ステップS430)、ステップS410に戻る。一方、ステップS420で否定的な判定をしたときは、仮配置した仮想球体の中心座標は変えずに直径Rを値1増加すると物体画素又は既に配置した仮想球体の球体画素と重なるか否かを判定する(ステップS440)。この判定は、例えば、直径Rを1増加したときに仮想球体が占有することになる画素を中心座標及び直径Rから算出しその中に物体画素又は球体画素が含まれるか否か判定することによって行うことができる。そして、否定的な判定をすると、仮想球体テーブルに記憶されている仮配置した仮想球体の直径Rを値1増加して(ステップS450)、ステップS440に戻る。これにより、ステップS440で肯定的な判定をするまでステップS440〜S450の処理を繰り返し、中心座標を変えずに物体画素と重ならない範囲で配置可能な大きさまで、仮配置した仮想球体の直径Rを値1ずつ増加させる処理が行われる。そして、ステップS440で肯定的な判定をすると、仮配置した仮想球体の直径Rを値1増加し且つ中心座標を1画素分移動した場合に物体画素又は既に配置した仮想球体の球体画素と重なるか否かを判定する(ステップS460)。なお、中心座標を1画素分移動させる方向はX,Y,Z方向(計6方向)のいずれの方向でもよく、直径Rを値1増加すると仮想球体をいずれの方向に移動しても物体画素又は既に配置した仮想球体の球体画素と重なるとみなされるときのみステップS460で肯定的な判定をする。そして、ステップS460で否定的な判定をすると、仮配置した仮想球体の直径Rを値1増加するとともに、仮配置した仮想球体の中心座標を、物体画素又は既に配置した仮想球体の球体画素と重ならない方向に1画素分ずらした値とする(ステップS470)。なお、このような方向の候補が複数ありうるときには、そのうちのいずれの1方向としてもよく、例えばランダムに方向が選ばれるものとしてもよい。そして、ステップS440に戻り、ステップS460で肯定的な判定をするまでステップS440〜S470の処理を繰り返す。ステップS460で肯定的な判定をすると、物体画素又は既に配置した仮想球体の球体画素と重ならないようにしながら仮想球体の直径Rを大きくすることはこれ以上できないとみなして、仮配置した仮想球体の配置を確定する(ステップS480)。具体的には、ステップS100でRAM24に記憶した多孔質体テーブル71のうち、仮配置した仮想球体に占有される座標の画素に対応する種別情報を、球体画素であることを表す値5に更新する。そして、図7のステップS240と同様の判定を行い(ステップS490)、否定的な判定がなされるとステップS400に戻って上述したステップS400〜S490の処理を繰り返す。そして、ステップS490で肯定的な判定がなされると、図7のステップS260と同様に隣接情報を仮想球体テーブルに記憶して(ステップS500)、仮想球体配置処理を終了する。この仮想球体配置処理では、最小値Rminの直径を持つ仮想球体を物体画素及び既に配置した仮想球体の球体画素と重ならないように仮配置する処理がステップS400〜S430で行われ、仮配置した仮想球体を物体画素及び既に配置した仮想球体の球体画素と重ならない範囲で、可能な限り直径Rを拡大する処理がステップS440〜S450で行われ、それを交互に繰り返していくことで複数の仮想球体を空間画素中に配置している。こうすることで、空間画素をなるべく直径の大きい仮想球体で埋めることができる。また、ステップS460で否定的な判定をしたとき、すなわち、中心座標を1画素分移動すればまだ直径Rを拡大可能であるときには、ステップS470で中心座標を移動しつつ直径Rを拡大するので、空間画素をより直径の大きい仮想球体で埋めることができる。なお、上述した図7又は図23以外にも、他の手法で仮想球体配置処理を行ってもよい。
上述した第1実施形態及び第2実施形態では、図7の仮想球体配置処理において、物体画素とも既に配置した仮想球体の球体画素とも重ならないように仮想球体を配置していくものとしたが、物体画素と重ならず空間画素を埋めるように仮想球体を配置すればどのように配置してもよい。例えば、仮想球体同士が重なることを許容するものとしてもよい。このようにしても、上述した第1実施形態と同様に、データファイルの多孔質体テーブルにおける球体画素の数を合計すれば気孔容積を算出することは可能である。また、仮想球体テーブルに基づいて気孔容積を導出する場合には、仮想球体の中心座標及び直径から仮想球体同士の重複部分の体積を算出しておき、各仮想球体の体積の単純合計値から重複部分の体積を減ずることで、同様に気孔容積を算出することができる。また、連続性導出処理においても、隣接している仮想球体だけでなく占有する球体画素が重複している仮想球体についても連続している仮想球体とみなすことで、同様に気孔の連続性が確保された通路を特定することができる。また、このように仮想球体同士が重なることを許容する場合において、各仮想球体の中心が同一とならないように仮想球体を配置するものとしてもよい。こうすれば、効率よく仮想球体を配置することができる。
上述した第1実施形態及び第2実施形態では、ユーザーPC20は、排ガスの浄化に用いるハニカムフィルタ30の多孔質隔壁44をCTスキャンして得られた画素データに対して上述した処理を行って気孔の連続性を解析するものとしたが、これに限られない。多孔質体の3次元スキャンにより得られ、画素の位置を表す位置情報と該画素が空間を表す空間画素と物体を表す物体画素とのいずれであるかを表す画素種別情報とを対応づけた多孔質体データであればどのようなものに対して気孔の連続性を解析するものとしてもよい。また、第1実施形態及び第2実施形態では排ガスが通過する際の流入面61から流出面62へ向かう気孔の連続性を解析するものとしたが、外部に露出した一方の面から他方の露出した面への気孔の連続性を導出するものであればよい。また、ユーザーPC20(120)が一台で気孔の連続性を解析するものとしたが、複数台のコンピュータに処理を分散させて行うものとしてもよい。
上述した第1実施形態及び第2実施形態では、多孔質体データ60は1辺が300μmの立方体であるものとしたが、1辺の長さはどのような値であってもよいし、立方体ではなく直方体や円柱など、どのような形状であってもよい。また、多孔質体データ60における各画素は1辺が1μmの立方体であるものとしたが、これに限らず1辺の長さは1μmより小さくとも大きくともよい。各画素のXY方向は1μmでZ方向が2μmであるなど、各画素は立方体でなくともよい。さらに、ステップS110において多孔質体データ60から仮想壁面までの距離は1μmとしたが、これに限らずどのような値であってもよく、XYZの各方向や多孔質体データ60の各面で異なる値であってもよい。例えば、多孔質体データ60の1辺の長さは10μm〜1mm、各画素の1辺の長さは0.1〜5μmの範囲から選択してもよい。
上述した第1実施形態では、ステップS140において、連続気孔テーブル及び仮想球体テーブルに基づいて通路気孔容積,通路平均気孔径,通路気孔率などのデータを算出するものとしたが、上述した以外にも連続気孔テーブル及び仮想球体テーブルに基づいて他のデータを算出するものとしてもよい。例えば、連続気孔テーブル及び仮想球体テーブルに基づいて、流入面61から流出面62までの気孔の連続性が確保された通路の表面積である通路表面積を算出するものとしてもよい。この場合、仮想球体テーブルに記憶された物体画素のうち、空間画素又は球体画素と隣接しており且つ気孔の連続性が確保された通路上にある物体画素を特定して、特定した物体画素の画素数に物体画素の1面の面積を乗じることで得られる値を通路表面積として算出してもよい。また、第1実施形態の連続性導出処理のあとに、第2実施形態の有効通路特定処理及び表面積算出処理を行って、有効通路の表面積を導出してもよい。
上述した第1実施形態において、ステップS340で連続気孔テーブルに記憶した経路が途中で分岐している場合すなわち分岐経路がある場合に、分岐経路のうちから主要な分岐経路を特定するものとしてもよい。以下、図24を用いて主要な分岐経路を特定する手法の例について説明する。図24は、図9(b)と同様に仮想球体配置後の多孔質体データの断面の一例を示したものである。この図24では流入面161を含む仮想球体E1と流出面162を含む仮想球体F6,G3,H5,I6とが存在し、流入面161から流出面162に向かう経路が途中の仮想球体E3から分岐している。そのため、仮想球体E3から流出面162までの経路には、仮想球体F1〜F6を経由する分岐経路(以下、分岐経路F)と、仮想球体G1〜G3を経由する分岐経路(以下、分岐経路G)と、仮想球体H1〜H5を経由する分岐経路(以下、分岐経路H)と、仮想球体I1〜I6を経由する分岐経路(以下、分岐経路I)とが存在する。なお、分岐経路Fの最小径は仮想球体F1〜F6のうち仮想球体F1の球径であり、分岐経路Gの最小径は仮想球体G1〜G3のうち仮想球体G1の球径であり、分岐経路Hの最小径は仮想球体H1〜H5のうち仮想球体H1の球径であり、分岐経路Iの最小径は仮想球体I1〜I6のうち仮想球体I1の球径であるものとする。また、仮想球体F1,G1,H1,I1の球径はそれぞれ7μm,10μm,5μm,8μmとする。
主要な分岐経路は、次のように特定してもよい。すなわち、各分岐経路の比較用直径を導出し、比較用直径の最も大きい分岐経路を主要な分岐経路に特定してもよい。ここで、分岐経路の比較用直径は、分岐経路を構成する仮想球体の球径の平均値や最小径値としてもよいし、分岐直後の仮想球体すなわち分岐経路を構成する最初の仮想球体(例えば分岐経路Fの場合は仮想球体F1)の球径として導出もよい。例えば、分岐経路の比較用直径として分岐経路の最小径値を用いる場合には、分岐経路F〜Iの最小径のうち最も大きな値は仮想球体G1の球径値10μmであるから、分岐経路Gが主要な分岐経路として特定される。
主要な分岐経路は、次のように特定してもよい。すなわち、比較用直径の大きい分岐経路から順に分岐経路を選択していき、選択した分岐経路の比較用直径の合計値が分岐前の経路の比較用直径を超えるまでに選択されていた分岐経路を主要な分岐経路と特定してもよい。ここで、分岐前の経路の比較用直径は、分岐直前の仮想球体(例えば図24の場合は仮想球体E3)の球径として導出してもよいし、分岐前の経路における分岐直前の仮想球体の1つ手前の仮想球体(例えば図24の場合は仮想球体E2)の球径として導出してもよいし、分岐前の経路を構成する仮想球体(例えば図24の場合は仮想球体E1〜E3)の球径の平均値や最小値として導出してもよい。例えば図24において、分岐前の経路の比較用直径を分岐直前の仮想球体である仮想球体E3の球径(値24μmとする)とし、分岐経路F〜Iの比較用直径をそれぞれ分岐直後の仮想球体F1,G1,H1,I1の球径とした場合について説明する。この場合には、比較用直径の大きい分岐経路から順に分岐経路を選択していくと、分岐経路G,I,Fの順に分岐経路を選択したところで選択した分岐経路の直径の合計値が25μmとなり分岐前の経路の直径24μmを超える。そのため、分岐経路F,G,Iが主要な分岐経路として特定される。
主要な分岐経路は、次のように特定してもよい。すなわち、仮想球体の中心点を結んだ直線の方向により分岐経路毎の分岐方向を特定し、分岐方向に基づいて主要な分岐経路を特定してもよい。例えば、分岐方向とX軸(流入面から流出面へ向かう方向の軸)方向とのなす角が最も0°に近い分岐経路を主要な分岐経路として特定してもよい。ここで分岐方向は、例えば分岐直前の仮想球体の中心点から分岐直後の仮想球体の中心点へ向かう直線の方向としてもよい。この場合、図24における分岐経路F〜Iでは、仮想球体E3の中心点から仮想球体F1の中心点へ向かう直線の方向が分岐経路Fの分岐方向となり、仮想球体E3の中心点から仮想球体G1の中心点へ向かう直線の方向が分岐経路Gの分岐方向となり、仮想球体E3の中心点から仮想球体H1の中心点へ向かう直線の方向が分岐経路Hの分岐方向となり、仮想球体E3の中心点から仮想球体I1の中心点へ向かう直線の方向が分岐経路Iの分岐方向となる。そして、分岐方向とX軸方向とのなす角が最も0°近いのは図24からわかるように分岐経路Gの分岐方向であるため、分岐経路Gが主要な分岐経路と特定される。また、分岐前の経路の方向及び分岐方向に基づいて分岐前の経路の方向と分岐方向とのなす角である分岐角度を導出して、分岐角度が0°に最も近い分岐経路を主要な分岐経路と特定してもよい。ここで分岐前の経路の方向は、例えば分岐前の経路における分岐直前の仮想球体の1つ手前の仮想球体の中心点から分岐直前の仮想球体の中心点へ向かう直線の方向としてもよい。この場合、図24では、分岐前の経路の方向は仮想球体E2の中心点から仮想球体E3の中心点へ向かう直線の方向となり、分岐経路Fの分岐方向は仮想球体E3の中心点から仮想球体F1の中心点へ向かう直線の方向となり、分岐経路Gの分岐方向は仮想球体E3の中心点から仮想球体G1の中心点へ向かう直線の方向となり、分岐経路Hの分岐方向は仮想球体E3の中心点から仮想球体H1の中心点へ向かう直線の方向となり、分岐経路Iの分岐方向は仮想球体E3の中心点から仮想球体I1の中心点へ向かう直線の方向となる。したがって、分岐経路F〜Iの分岐角度Fd〜Idは、図25に示すようになる。なお、図25は、図24における仮想球体E2,E3,F1,G1,H1を拡大して示したものである。そして、図25からわかるように分岐角度Fd〜Idのうち分岐角度が0°に最も近いのは分岐角度Gdであるため、分岐経路Gが主要な分岐経路として特定されることになる。さらに、分岐角度と所定の閾値とを比較して主要な分岐経路であるか否かを判定することにより主要な分岐経路を特定してもよい。例えば、分岐角度Fd〜Idがそれぞれ130°,15°,30°,70°であり、閾値が120°であったときに、分岐角度が閾値未満である分岐経路G,H,Iを主要な分岐経路と特定してもよい。なお、閾値は120°に限らず適宜設定してもよい。
なお、ここまで図24を用いて主要な分岐経路の特定について説明したが、図9の仮想球体B10からの分岐経路(仮想球体B11で構成される分岐経路,仮想球体B12で構成される分岐経路,仮想球体B13で構成される分岐経路,仮想球体B17〜B23で構成される分岐経路)のように、分岐経路が後に合流する場合においても同様に上述した主要な分岐経路を特定する手法を用いてもよい。また、主要な分岐経路の特定は、上述した例に限らずどのような手法により行ってもよい。例えば上述した手法を組み合わせて主要な分岐経路の特定をするものとしてもよい。さらに、流入面から流出面へ向けて流れる流体のレイノルズ数に応じて上述したいずれの手法により分岐経路を選択するかを決定するなど、流入面から流出面へ向けて流れる流体の性質によって主要な分岐経路を特定する手法を選択するものとしてもよい。
以上のように主要な分岐経路を特定した場合において、上述したステップS140で主要な分岐経路のみの通路気孔容積,通路平均気孔径,通路気孔率及び通路表面積の少なくともいずれかを算出してもよいし、主要な分岐経路以外の分岐経路を除いた通路の通路気孔容積,通路平均気孔径,通路気孔率及び通路表面積の少なくともいずれかを算出してもよい。また、主要な分岐経路を特定した場合において、主要な分岐経路を構成する仮想球体を気孔の連続性が確保されている通路とみなしてステップS340で連続気孔テーブルに記憶すると共に、主要な分岐経路以外の分岐経路を構成する仮想球体は気孔の連続性が確保されている通路とみなさないものとしてステップS340で連続気孔テーブルに記憶しないものとしてもよい。
上述した第2実施形態の有効通路特定処理において、仮想球体の直径Rと閾値Rrefとを比較するだけでなく、仮想境界面の大きさも考慮するものとしてもよい。例えば、ステップS630,S660において、選択した仮想球体と連続している仮想球体のうち、直径Rが閾値Rrefよりも大きい未選択の仮想球体のみを順次たどって到達することのできる仮想球体を選択すると共に、選択した仮想球体と連続している仮想球体のうち、直径Rが閾値Rref以下の仮想球体について、この仮想球体の仮想境界面を想定した場合にこの仮想境界面を閾値Rref以上の直径の物体が通過可能であるときにはその仮想球体も選択するものとしてもよい。以下、この変形例のステップS630,S660について図26を用いて説明する。図26(a)は、図15と同様に仮想球体配置後の多孔質体データの断面の一例を示したものである。この図26(a)では、図示するように仮想球体c1〜c6が配置されている。なお、仮想球体c1,c2,c4〜c6の直径Rは閾値Rrefより大きく、仮想球体c3の直径Rは閾値Rref以下である。この多孔質体データについて有効通路特定処理を行うと、ステップS610で肯定的な判定をしてステップS620で仮想球体c1を選択した後、変形例のステップS630を実行する。この変形例のステップS630では、仮想球体c1に連続し、且つ直径Rが閾値Rrefより大きい仮想球体c2,c6が選択される。ここで、仮想球体c3の直径Rは閾値Rref以下であるので、図26(a)に示すように仮想球体c3の仮想境界面を想定する。なお、仮想境界面の想定は、上述したステップS700と同様にして行う。すなわち、仮想球体c3は仮想球体c2,c4と連続しているため、仮想球体c2,c4の中心点を結ぶ直線と垂直に交わり、且つ仮想球体c3の中心を通る面として仮想境界面を想定する。そして、この仮想境界面を閾値Rref以上の直径の物体が通過可能か否かを判定する。図26(a)の多孔質体データを仮想球体c3の仮想境界面に沿って切断したときの断面図(B視図)を図26(b)に示す。図26(b)に示すように、想定した仮想境界面を占める最大の内接円の直径を算出し、この直径が閾値Rrefより大きいか否かを判定することで、仮想境界面を閾値Rref以下の直径の物体が通過可能か否かを判定することができる。なお、仮想境界面を占める最大の内接円は、例えば図7の仮想球体配置処理と同様にして算出することができる。すなわち、仮想境界面上に直径Rの円を配置可能か否かを、直径Rを最大値Rmaxから順に値1ずつ減じながら判定していき、初めて肯定判定したときの直径Rの値として算出することができる。そして、仮想境界面を閾値Rref以下の直径の物体が通過可能であると判定をしたときには、この仮想球体c3も、直径Rが閾値Rrefより大きい仮想球体と同様に選択する。この場合、仮想球体c3からさらに連続した未選択の仮想球体について順次たどっていく。すなわち直径Rが閾値Rrefより大きい仮想球体c4,c5についても選択される。一方、仮想境界面を閾値Rref以下の直径の物体が通過可能でないと判定したときには、仮想球体c3は選択せず、仮想球体c2に連続する仮想球体c4,c5を順次たどることはない。このように、変形例のステップS630では、仮想球体の直径Rが閾値Rref以下であっても、閾値Rref以下の直径の物体が通過可能か否かを仮想境界面の大きさにより判定するのである。これにより、実際に通路内を閾値Rref以下の直径の物体が通過可能かをより適切に判定することができる。この変形例のステップS630では、仮想境界面を想定して閾値Rref以下の直径の物体が通過可能か否かを判定するが、ステップS700とは異なり、仮想境界面と重なる位置にある空間画素又は球体画素の種別情報を値3に更新することは行わない。ただし、想定した仮想境界面を閾値Rref以下の直径の物体が通過可能でないと判定したときに、その仮想境界面と重なる位置にある空間画素又は球体画素の種別情報を値3に更新するものとしてもよい。なお、変形例のステップS660についても、たどっていく起点となる仮想球体が流出面262を含む仮想球体である点以外は、変形例のステップS630と同様である。
上述した第2実施形態では、表面積算出処理のステップS700において、仮想境界面は、有効通路通路内にある仮想球体に隣接し且つ有効通路内にない仮想球体を特定し、この仮想球体の中心点を通る平面として設定するものとしたが、他の手法により仮想境界面を設定してもよい。例えば、有効通路通路内にある仮想球体に隣接し且つ有効通路内にない仮想球体を特定し、その仮想球体と隣接した有効通路内の仮想球体との接点を通過する平面として設定してもよい。例えば、図18の通路識別符号が「1」の通路においては、仮想球体a9と仮想球体a10との接点を通過する仮想境界面を設定してもよい。この場合、仮想球体a9と仮想球体a10との中心点を結ぶ直線と垂直に交わるように仮想境界面を設定してもよい。