JP2011079262A - 両面印刷装置 - Google Patents

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芳弘 野口
Kazuki Ogasawara
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Abstract

【課題】両面印刷装置において、用紙の挙動を規制し、用紙の位置ずれに起因する搬送不良を防止する。
【解決手段】貯留部が、一面が印刷された用紙が第1の印刷手段から搬入される搬入位置と、貯留されている用紙が第2の印刷手段へ搬出される搬出位置とを所定間隔を空けて有し、開閉可能な把持爪対を有し、一面が印刷された複数枚の用紙を、各用紙の下端部を把持爪対で把持して、互いに所定間隔を空けて重ねた状態で搬入位置から搬出位置に向けて移動させる把持手段と、搬出位置に到来した用紙が、該用紙を把持していた把持爪対が開くことにより該把持爪から開放されたときに、該開放された用紙の下端部を把持爪対の一方に対して押し付けた状態で該用紙の下端部に対して搬出方向と直交する方向の断面が湾曲するカールを付与する姿勢規制手段と、搬出位置に到来した用紙を順次吸引保持して第2の印刷手段に向けて搬送する吸引搬送手段とを備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、用紙の一面及び他面に印刷を行う両面印刷装置に関し、特に一面が印刷された用紙を所定時間貯留し、その後搬送して他面を印刷する両面印刷装置に関するものである。
近年、環境問題の観点等から印刷に使用する用紙の使用量を低減することが望まれており、用紙の一面及び他面に印刷を行う両面印刷が盛んである。この両面印刷装置の一例として、穿孔製版された孔版原紙を外周面に巻装した円筒状の第1ドラムと第2ドラムを隣接して配設し、第1ドラムで用紙の一面を印刷し、一面が印刷された用紙を搬送して第2ドラムで他面を印刷する両面孔版印刷装置が知られている。
このような両面印刷装置の場合、一面に印刷されたインクが十分に乾く前に他面への印刷を行なうと、用紙が汚れてしまう虞がある。これに対して、特許文献1には、一面が印刷された用紙を積載台に順次積載し、所定時間貯留させた後、その積載された順に用紙を搬送して他面を印刷することにより、積載台にてインクを乾燥させる両面印刷装置が提案されている。
しかしながら、上記特許文献1の両面印刷装置では、一面のインクがまだ乾燥していない複数枚の用紙を積載台に積み重ねているため、印刷面の擦れや裏移り等により用紙が汚れてしまう虞がある。
これに対して、一面が印刷された用紙を貯留する貯留部に、一面が印刷された複数枚の用紙を互いに所定間隔を空けて重ねた状態で把持する把持機構を備えることにより、印刷された面つまりインクが転写された面を他の用紙に接触させることなく複数枚の用紙を貯留可能とし、印刷面の擦れや裏移りを防止することが考えられる。
特開2005−29375
上記把持機構を備えた両面印刷装置としては、たとえば貯留部において、一面が印刷された用紙が搬入される搬入位置と、貯留されている前記用紙が搬出される搬出位置とを所定間隔を空けて有し、搬入された複数枚の用紙を、各用紙の下端部を開閉可能な把持爪対で把持して、互いに所定間隔を空けて重ねた状態で搬入位置から搬出位置に向けて移動させるようにしたものが考えられる。この両面印刷装置では、用紙が搬出位置に到来すると、その用紙を把持していた把持爪を開くことにより用紙を把持爪から開放する。その後、その開放された用紙を再び吸引保持して第2ドラムへ搬出する。
しかしながら、この両面印刷装置では、搬出位置に移動された用紙は、把持爪から開放されてから第2ドラムへの再給紙のため吸引保持されるまでの間、どこも抑えられていないフリーな状態となるため、再給紙の吸引が開始される時などにその用紙の位置が不意にずれてしまう場合があり、そのまま斜行して第2ドラムに搬送されると、搬送不良や印刷位置ずれにつながってしまう。
本発明は、上記事情に鑑み、把持爪から開放された用紙の挙動を規制できる両面印刷装置を提供することを目的とするものである。
本発明の両面印刷装置は、用紙の一面に印刷する第1の印刷手段と、一面が印刷された用紙を複数枚貯留する貯留部と、該貯留部から搬出された用紙の他面に印刷する第2の印刷手段とを備え、貯留部が、一面が印刷された用紙が搬入される搬入位置と、貯留されている用紙が搬出される搬出位置とを所定間隔を空けて有し、開閉可能な把持爪対を有し、一面が印刷された複数枚の用紙を、各用紙の下端部を把持爪対で把持して、互いに所定間隔を空けて重ねた状態で搬入位置から搬出位置に向けて移動させる把持手段と、搬出位置に到来した用紙が、該用紙を把持していた把持爪対が開くことにより該把持爪から開放されたときに、該開放された用紙の下端部を把持爪対の一方に対して押し付けた状態で該用紙の下端部に対して搬出方向と直交する方向の断面が湾曲するカールを付与する姿勢規制手段と、搬出位置に到来した用紙を順次吸引保持して第2の印刷手段に向けて搬送する吸引搬送手段とを備えていることを特徴とするものである。
上記装置において、把持爪対は、用紙の下端部の、搬入位置側に位置する把持爪と搬出位置側に位置する把持爪とからなるものであり、一方の把持爪は、搬入位置側に位置する把持爪であり、カールは、用紙の下端部が一方の把持爪に押し付けられた部分の近傍において搬入位置側の面を内側にして湾曲するカールであってもよい。
また、姿勢規制手段は、一方の把持爪の両側に、該一方の把持爪における用紙が押し付けられる部分よりも搬入位置側に突出した部分が存在するように位置する押付体であってもよい。
本発明の両面印刷装置によれば、貯留部が、一面が印刷された用紙が搬入される搬入位置と、貯留されている用紙が搬出される搬出位置とを所定間隔を空けて有し、開閉可能な把持爪対を有し、一面が印刷された複数枚の用紙を、各用紙の下端部を把持爪対で把持して、互いに所定間隔を空けて重ねた状態で搬入位置から搬出位置に向けて移動させる把持手段と、搬出位置に到来した用紙が、該用紙を把持していた把持爪対が開くことにより該把持爪から開放されたときに、該開放された用紙の下端部を把持爪対の一方に対して押し付けた状態で該用紙の下端部に対して搬出方向と直交する方向の断面が湾曲するカールを付与する姿勢規制手段と、搬出位置に到来した用紙を順次吸引保持して第2の印刷手段に向けて搬送する吸引搬送手段とを備えているので、姿勢規制手段により把持爪から開放された用紙の挙動を規制でき、用紙の位置ずれに起因する搬送不良を防止できる。
両面印刷装置の概略構成図 貯留部の概略構成図 貯留部の一部斜視図 貯留部の一部斜視図 図3の矢印A方向から見た上面図 図3の矢印B方向から見た側面図 図6の部分拡大図 姿勢規制手段の変形例を示す側面図 姿勢規制手段の変形例を示す上面図 姿勢規制手段の変形例を示す斜視図
以下、本発明の一実施形態である両面印刷装置1について図を参照しながら説明する。図1は、両面印刷装置1の概略構成図である。
両面印刷装置1は、両面孔版印刷装置であり、未印刷の用紙P1を給紙して一面に印刷し、その一面印刷後の用紙P2を所定時間貯留し、用紙P2を再給紙して他面に印刷し、その他面印刷後の用紙P3を排紙するものである。
両面印刷装置1は、未印刷の用紙P1を給紙する給紙部2と、給紙部2から給紙された用紙P1の一面に印刷する第1印刷部3と、第1印刷部3で一面に印刷された用紙P2を反転させる反転搬送部4と、反転された用紙P2を所定時間貯留する貯留部5と、貯留部5に貯留された用紙P2を再給紙する再給紙部6と、再給紙部6から再給紙された用紙P2の他面に印刷する第2印刷部7と、第2印刷部7で他面に印刷された用紙P3を排紙する排紙部8とから構成されている。
給紙部2は、未印刷の用紙P1を第1印刷部3に給紙するものであり、用紙P1を積載する給紙台21と、この給紙台21から用紙P1を一枚ずつ取り出す給紙ローラ22と、紙捌きローラ23と、用紙P1を第1印刷部3に送り込むタイミングローラ対24から構成されている。
給紙部2は、給紙台21に積載された用紙P1を給紙ローラ22および紙捌きローラ23によって取り出し、タイミングローラ対24によって所定のタイミングで第1印刷部3へ送り込む。
第1印刷部3は、用紙P1の一面に印刷するものであり、第1版胴31を備えている。この第1版胴31は、インク透過性の周壁31aを有し、図示しない駆動手段により回転駆動される。第1版胴31の内部には、周壁31aの内周面に接するインク供給ローラ32と、このインク供給ローラ32へインクを所定量供給するドクターローラ33と、インクが充填されたインクボトル34が設けられている。
また、第1版胴31の外周面には穿孔された孔版原紙Mが巻装されている。第1版胴31の下方には、プレスローラ35が設けられ、このプレスローラ35が第1版胴31と近接離間するように移動することで、用紙P1を所定の押圧力で挟持して印刷する。第1版胴31の右下方には、第1印刷部3で一面が印刷された用紙P2を原紙Mから分離させる分離爪36が設けられている。
第1印刷部3は、給紙部2から所定のタイミングで用紙P1が送り込まれると、第1版胴31とプレスローラ35とで用紙P1を挟持搬送し、原紙Mに用紙P1を押圧して印刷する。一面が印刷された用紙P2は、分離爪36によって原紙Mから分離される。
反転搬送部4は、一面が印刷された用紙P2を貯留部5へ搬送するとともに、その印刷された面が下方となるように反転させるものであり、下方へ回り込むような円弧状の反転搬送経路に沿って配設された4個のプーリー41と、表面に複数の孔が形成されており、4個のプーリー41の外周に架け渡されてプーリー41の回転に伴って動く搬送ベルト42と、吸引ファン43とを備えている。
この反転搬送部4は、プーリー41を回転させて搬送ベルト42を動かすとともに、吸引ファン43で搬送ベルト42に形成されている複数の孔に吸引力を発生させることにより、用紙P2を吸引保持して搬送する。
貯留部5は、反転搬送部4により搬送されてきた用紙P2をその内部に搬入し、用紙P2を乾燥させるために所定時間貯留し、再給紙のために搬出するものである。図2は貯留部5の構成図であり、図3および図4は貯留部5の一部斜視図、図5は図3の矢印A方向から見た上面図、図6は図3の矢印B方向から見た側面図、図7は図6の部分拡大図である。
貯留部5は、図2に示すように、用紙P2を斜め下方から支持する支持板5aと、この支持板5aの両側で支持板5aに対して略垂直に立設する側板5bと、この支持板5aに対して斜め上に傾いて位置する覆板5cと、この覆板5cの内面で搬入時に用紙P2がその上を移動する搬入面5dと、支持板5aの内面で搬出時に用紙P2がその上を移動する搬出面5eとを有している。
また、貯留部5は、一面が印刷された用紙P2が搬入される搬入位置と、貯留されている用紙P2が搬出される搬出位置とを所定間隔を空けて有し、反転搬送部4からの用紙P2を搬入位置に搬入する第1搬送手段51と、搬入位置まで搬入された用紙P2に対して印刷された一面を内側にして湾曲するカールを付与するカール付与手段52と、搬入位置に搬入された用紙P2の下端部P2Lを把持して搬出位置へ移動させる把持手段53と、搬出位置に到来して把持手段53から開放された用紙の挙動を規制する姿勢規制手段54と、搬出位置に到来した用紙を順次吸引保持して第2印刷部7に向けて搬送する第2搬送手段56とから構成されている。
ここで、搬入位置は、用紙P2が搬入面5dに沿って搬入されてきて保持移動手段53の後述する凹部535に挿入されたときにその用紙P2が存在する位置をいい、搬出位置は、用紙P2が保持移動手段53により搬出面5e側に移動されて搬出面5eに到来したときにその用紙P2が存在する位置をいう。
第1搬送手段51は、反転搬送部4からの用紙P2を貯留部5内の最下方位置まで搬入面5d上を移動させて搬入するものであり、図2に示す通り、覆板5cに固定されて略密閉状態のハウジング511と、ハウジング511内で所定間隔を空けて配置された一対のプーリー512と、一対のプーリー512に掛け渡され、不図示の駆動手段によるプーリー512の回転に伴って移動する環状ベルト513とを備えている。
覆板5cには、環状ベルト513が露出するようにスロットが形成され、一対のプーリー512は、露出する環状ベルト513の面が搬入面5dと略平坦となるように、ハウジング511内で配置されている。環状ベルト513には、複数の貫通孔513aが形成されている。
また、第1搬送手段51は、回転軸514a回りに回転することによって搬入面5dから突出可能な強制剥離爪514と、ハウジング511外に配置され、ハウジング511内を吸気してハウジング511内を負圧状態にさせる吸気ファン515と、ハウジング511と吸気ファン515との間に設けられ、吸気ファン515による吸気を制御する吸気シャッター516と、負圧状態となったハウジング511内に外気を給気して大気圧に戻す給気シャッター517を備えている。
上記構成により、第1搬送手段51は、予め吸気ファン515を回転させておき、吸気シャッター516を開き、ハウジング511内を吸気して負圧状態にすることにより、貫通孔513に吸引力を発生させる。反転搬送部4から貯留部5内に搬入された用紙P2は、貫通孔513aから環状ベルト513に向けて吸引され、プーリー512の回転に応じて環状ベルト513と略平坦な搬入面5d上を移動する。
用紙P2が貯留部5内の最下方位置まで搬入されると、吸気シャッター516を閉じて給気シャッター517を開き、ハウジング511内を大気圧に戻し、強制剥離爪514を回転軸514a回りに回転させて搬入面5d上に突出させることにより、搬入面5dから用紙P2を剥離する。
カール付与手段52は、貯留部5に搬入された用紙P2にその印刷された一面を内側にして湾曲するカールを付与するものであり、図3に示すように、第1搬送手段51の両側で搬入面5d上に立設された不図示の取付板によって両端を固定された支点軸521と、この支点軸521を中心にして矢印C方向に回転可能に取り付けられた支持板522と、支持板522から斜め下方に羽根状に延出したガイド板523とから構成されている。
カール付与手段52は、予めガイド板523が搬入面5dに対して斜め下方を向くように、支点軸521を中心にして支持板522およびガイド板523を回転させる。これにより、搬入面5d上を移動して搬入された用紙P2の左右部が、搬入面5dからガイド板523上に移り、この用紙P2の左右部が、搬入面5d上を移動する用紙P2の中央部よりも斜め下方に移動し、用紙P2が最下方位置まで搬入されると、用紙P2には印刷された一面を内側にして湾曲するカールが付与される。
このようにカールを付与することにより、後述する把持手段53において用紙P2の下端を支持して立たせた状態にして把持・移動させる際に、上下方向の断面が湾曲する腰折れが生じ難くなり、その立った状態を維持させることができる。
把持手段53は、搬入位置に1枚ずつ搬入された各用紙P2を順次把持して互いに所定間隔を空けて重ねた状態で搬入位置から搬出位置に向けて移動させるものであり、図2に示すように、一方が搬入面5d近傍に配置され、他方が搬出面5e近傍に配置された一対のプーリー531と、この一対のプーリー531の外周に掛け渡されて、不図示の駆動手段によるプーリー531の回転に伴って動く環状ベルト532とを備えている。
また、この環状ベルト532の全外周面には、複数のプレート状の受爪533(把持爪)が互いに所定間隔を空けて略垂直に立設している。この各受爪533は、隣接する受爪533に向けて延びる弾性変形可能な弾性爪534(本実施形態では板ばね)を備えている。弾性爪534は、環状ベルト532が直線走行状態にある部分、すなわち隣接する受爪533同士が互いに平行になっている部分では、隣接する受爪533に弾性変形した状態で押し付けられ、環状ベルト532が曲線走行状態にある部分、即ち受爪533同士の間が広がっている部分では、隣接する受爪533から離れた状態となるように構成されている。
把持手段53は、用紙P2が搬入位置に搬入される毎の所定タイミングで動作する間欠動作を行う。搬入位置に順次搬入される用紙P2は、弾性爪534と隣接する受爪533間の凹部535に一枚ずつ挿入される。搬入位置の近傍では、上流側の受爪533がプーリー531の周方向を向き、下流側の受爪533が搬送ベルト532に対して略垂直を向くため、凹部535の寸法環状ベルト532は曲線走行状態にあるので受爪533同士の間は開いており、受爪533と弾性爪534との間が用紙P2の厚みよりも広がり、用紙P2の下端部を受爪533間の凹部535に受け入れることができる。なお、本実施形態においては、搬入位置側を上流、搬出位置側を下流として説明する。
用紙P2が受爪533間の凹部535に搬入された後、不図示の駆動手段によりプーリー531を回転されると、上流側の受爪533も搬送ベルト532に対して略垂直を向くため、凹部535の寸法が用紙P2の厚みよりも狭くなり、用紙P2の下端部が、下流側の弾性爪534が弾性変形することで用紙P2を受け入れた受爪533が位置する環状ベルト532部分は直線走行状態となり、受爪533同士は平行となるため、用紙P2の下端部が、下流側の弾性爪534が弾性変形した状態で該弾性爪534により上流側の受爪533に向けて押し付けられ、えと下流側の弾性爪534とにより保持される。
プーリー531が更に回転し、下流側の受爪533が搬出位置の近傍まで移動すると、下流側の受爪533がプーリー531の周方向を向き、再び凹部535の寸法が用紙P2の厚みよりも広くなり搬出位置近傍では環状ベルト532は曲線走行状態にあるので受爪533同士が開き、上流側の受爪533と下流側の弾性爪534との間が開き、用紙P2の下端部の保持が解除される。
姿勢規制手段54は、把持手段53により搬出位置に到来した用紙P2が把持爪から開放されたときに、開放された用紙P2下端部P2Lを把持爪対の一方に対して押し付けた状態でその用紙P2の下端部P2Lに対して搬出方向と直交する方向の断面が湾曲するカールを付与するものである。
姿勢規制手段54は、図3および図4に示すように、搬出位置付近の受爪533a(把持爪)の両側に、それぞれ受爪533aから所定間隔をおいて配設された、円盤にギザギザがある一対の拍車541から構成されている。
拍車541は、より具体的には、図5から図7に示すように、用紙P2が搬出位置に到来したときにおける、その用紙P2を搬入位置側と搬出位置側から挟み込んで把持していた把持爪対(受爪対553aと弾性爪534)のうち搬入位置側の受爪553aの両側に、受爪553aの把持等のときに用紙P2が押付けられる部分よりも搬入位置側に突出した部分が存在するよう位置づけられている。
本実施の形態では、図5および図7に示すように、直径が22mmである拍車541を、そのギザギザの突起部分が受爪553aの用紙P2が押付けられる部分よりも搬入位置側に突出するような位置であって、環状ベルト513から搬出方向に18mm、環状ベルト513の中心から左右方向にそれぞれ20mm離れた位置に設けている。
上記構成により、用紙P2が把持爪対に把持された状態で搬出位置に移動されると、その用紙を把持していた把持爪対(受爪対553aと弾性爪534)が徐々に開くとともに、用紙の把持されていた部分は受爪553aに押付けられたまま、用紙P2の把持爪で把持された部分の両側が拍車541にそれぞれ押付けられて把持爪で把持された部分よりも搬入位置側へ押し出され、用紙P2の下端部は受爪553aと1対の拍車541で保持された状態になる。
用紙P2の下端部が、把持爪553aの両側から搬入位置側に押し出されるようにして把持爪553aに押付けられた状態になることによって、用紙P2の下端部P2Lには把持爪533aに押し付けられた部分の近傍において搬入位置側の面を内側にして湾曲するカールが付与される。また、用紙P2の左右端部は重力により搬出位置側に湾曲するので、用紙P2下端部の全体的な形状はM字状になる。
このように開放された用紙P2下端部を把持爪対の一方に対して押し付けた状態でその用紙P2の下端部に対して搬出方向と直交する方向の断面が湾曲するカールを付与することにより、把持爪から開放された用紙の挙動を規制でき、用紙の位置ずれに起因する搬送不良を防止できる。特に、把持爪から開放された用紙の搬送方向と直交する方向への動きが制限でき、用紙が斜行することなく安定して搬送されるようにすることができる。
また、拍車541は用紙P2の搬送方向に回転可能に設けているので、用紙P2の印刷面を傷めることはない。また、拍車541は用紙P2にあたる端部をギザギザ状にしているので、用紙P2の印刷面に触れる面積を最小限に抑えられる。
第2搬送手段56(吸引搬送手段)は、把持手段53により搬出位置に移動された用紙P2を順次吸引保持して貯留部5内から再給紙部6へ搬出するものであり、ハウジング561が支持板5aに固定されている点および搬出面5eから用紙P2を強制剥離させる必要がないため剥離爪を有さない点において第1搬送手段51と相違するが、他の構成は第1搬送手段51と略同様であり、その詳細な説明は省略する。
第2搬送手段56は、後述する第2印刷部7の第2版胴71が所定の回転位置にあるタイミングで搬出面5e上の用紙P2を搬出面5e上で移動させて貯留部5内から搬出させる。すなわち、第1搬送手段51における環状ベルト513と同様の環状ベルト563により、該ベルト563の表面である吸引搬送面に用紙P2を吸引保持して該ベルト563とともに用紙P2を上方に移動させ貯留部5内から搬出させる。用紙P2を搬出させる動作は、第1搬送手段51と略同様であり、その詳細な説明は省略する。
再給紙部6は、貯留された用紙P2を第2印刷部7へ再給紙するものであり、貯留部5から搬出された用紙P2をピックアップするピックアップローラ対61と、ピックアップした用紙P2を所定のタイミングで第2印刷部7へ送り込むタイミングローラ対62とから構成されている。
再給紙部6では、ピックアップローラ対61が第2搬送手段56から搬出された用紙P2を順次ピックアップし、タイミングローラ対62がピックアップされた用紙P2を所定のタイミングで第2印刷部7へ送り込む。
第2印刷部7は、貯留された用紙P2の他面に印刷するものである。この第2印刷部7の構成および動作は、第1印刷部3と同様であり、その詳細な説明は省略する。
排紙部8は、他面が印刷された用紙P3を排紙するものであり、第2印刷部7によって他面が印刷された用紙P3を搬送する排紙搬送手段81と、装置本体11の側方に設けられ、用紙P3を積載する排紙台82とから構成されている。排紙搬送手段81は、駆動ローラ81aと、従動ローラ81bと、搬送ベルト81cと、吸引ファン81dとから構成されている。
排紙部8は、第2印刷部7によって他面が印刷された用紙P3が搬送ベルト81c上に供給されると、吸引ファン81dにより用紙P3を吸着搬送して排紙台82に積載する。
なお、上記実施の形態では、姿勢規制手段54として搬出位置付近の受爪533aの両側に配設された一対の拍車541を備えた場合について説明したが、姿勢規制手段54は、開放された用紙P2下端部を把持爪対の一方に対して押し付けた状態でその用紙P2の下端部に対して搬出方向と直交する方向の断面が湾曲するカールを付与する機能を果たせることにより、用紙の位置ズレを防止できるものであればよく、上記実施の形態に限られるものではない。
たとえば、上記実施の形態では、用紙P2下端部を把持爪対の一方に対して押し付ける押付体として、回転自在でかつギザギザがある2つの拍車を受爪533aの両側に設けた場合を例示しているが、押付体は必ずしも回転自在である必要も、ギザギザがある必要もない。また、単一の拍車を、受爪533aの片側に、あるいは図8から図10に示すように受爪533aから搬出方向側に所定間隔離れた位置に設け、姿勢規制手段54として機能させるようにしてもよい。なお、単一の拍車541aを受爪533aから搬出方向側に所定間隔離れた位置に設けた場合には、用紙P2の下端部は、図8に示すように、拍車541aと受爪553a、さらに弾性爪534とで保持された状態になる。
また、上記実施の形態における拍車541の位置は、姿勢規制手段54として用紙P2の挙動を規制でき、用紙P2の位置ズレを防止できる範囲であれば、上記の位置から多少ずれても構わない。
なお、本実施形態では、両面印刷装置1を両面孔版印刷装置として説明したが、特にこれに限定されるものではなく、未印刷の用紙P1の一面および他面に印刷が可能なインクジェットプリンタ等であっても構わない。また、本発明における把持手段は、各用紙を互いに所定間隔を空けて重ねた状態で搬入位置から搬出位置に向けて移動させるものであればよく、その際の「互いに所定間隔を空けて重ねた状態で」とは、必ずしも各用紙の全面が所定間隔を空けている必要はなく、一部は間隔を空けることなく重なっている態様、例えば上記実施の形態のように印刷領域は間隔を空けているが非印刷領域である上縁部は間隔を開けることなく重なっている態様も含むものである。
また、本発明における姿勢規制手段は、用紙の下端部に対して搬出方向と直交する方向の断面から湾曲するカールを付与するものであればよく、その際の「下端部に対してカールを付与する」とは、少なくとも下端部にカールを付与することを意味するものであり、下端部にのみカールを付与する態様に限らず、下端部を含む用紙全面に亘ってカールを付与する態様も含むものである。なお、姿勢規制手段により下端部を含む用紙全面に亘ってカールを付与するようにした場合には、把持爪から開放された用紙の挙動をより確実に規制できるという効果が得られる。
P1、P2、P3 用紙
1 両面印刷装置
3 第1印刷部
5 貯留部
5d 搬入面
5e 搬出面
7 第2印刷部
51 第1搬送手段
52 カール付与手段
53 把持手段
54 姿勢規制手段
56 第2搬送手段
533 受爪
534 弾性爪
541 拍車(押付体)

Claims (3)

  1. 用紙の一面に印刷する第1の印刷手段と、
    前記一面が印刷された用紙を複数枚貯留する貯留部と、
    該貯留部から搬出された用紙の他面に印刷する第2の印刷手段とを備え、
    前記貯留部が、
    前記一面が印刷された用紙が搬入される搬入位置と、貯留されている前記用紙が搬出される搬出位置とを所定間隔を空けて有し、
    開閉可能な把持爪対を有し、前記一面が印刷された複数枚の用紙を、各用紙の下端部を前記把持爪対で把持して、互いに所定間隔を空けて重ねた状態で前記搬入位置から前記搬出位置に向けて移動させる把持手段と、
    前記搬出位置に到来した用紙が、該用紙を把持していた把持爪対が開くことにより該把持爪から開放されたときに、該開放された用紙の下端部を前記把持爪対の一方に対して押し付けた状態で該用紙の下端部に対して前記搬出方向と直交する方向の断面が湾曲するカールを付与する姿勢規制手段と、
    前記搬出位置に到来した用紙を順次吸引保持して前記第2の印刷手段に向けて搬送する吸引搬送手段と
    を備えていることを特徴とする両面印刷装置。
  2. 前記把持爪対が、前記用紙の下端部の、前記搬入位置側に位置する把持爪と前記搬出位置側に位置する把持爪とからなるものであり、
    前記一方の把持爪が、前記搬入位置側に位置する把持爪であり、
    前記カールが、前記用紙の下端部が前記一方の把持爪に押し付けられた部分の近傍において前記搬入位置側の面を内側にして湾曲するカールであることを特徴とする請求項1記載の両面印刷装置。
  3. 前記姿勢規制手段が、前記一方の把持爪の両側に、該一方の把持爪における前記用紙が押し付けられる部分よりも前記搬入位置側に突出した部分が存在するように位置する押付体であることを特徴とする請求項2記載の両面印刷装置。
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