JP2011079003A - めっき処理製品のろう付方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フラックス焼けによる付着物の発生がなく、且つろう材の浸透性及びろう盛りの形成が良好なめっき処理製品のろう付方法を提供する。
【解決手段】接合部材のろう付部2a,2bにフラックスを塗布した後、不活性ガス雰囲気下において前記ろう付部2aを加熱しつつろう付し、次いで後処理としてめっき処理を施すめっき処理製品のろう付方法において、前記フラックスが有効成分濃度10wt%〜40wt%に希釈されてなる。また、前記ろう付部2a,2bのろう付温度を、ろう材9の液相線温度以上、前記フラックスの活性温度上限値以下の範囲とする。
【選択図】図2
【解決手段】接合部材のろう付部2a,2bにフラックスを塗布した後、不活性ガス雰囲気下において前記ろう付部2aを加熱しつつろう付し、次いで後処理としてめっき処理を施すめっき処理製品のろう付方法において、前記フラックスが有効成分濃度10wt%〜40wt%に希釈されてなる。また、前記ろう付部2a,2bのろう付温度を、ろう材9の液相線温度以上、前記フラックスの活性温度上限値以下の範囲とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、例えば、油圧作動油用ホース、パワーステアリング配管用ホース等のホース継手金具等を構成する接合部材のろう付部にフラックスを塗布した後ろう付し、次いで後処理としてめっき処理を施すめっき処理製品のろう付方法に関するものである。
ホース継手金具を構成するパイプとニップル、或いはパイプとフランジ等の構成部材をろう付して接合する際、溶融したろう材の接合部への浸透性を向上させるために、事前にフラックスを塗布した上、ろう付されている。このとき、大気下でろう付けされると、大気中の酸素と反応して、構成部材の母材に酸化物が発生したり、塗布した前記フラックスが過熱により焼け(フラックス焼け)、製品のろう付部に付着物として残留することがある。
この様な問題を解決し、酸化膜の形成を避けるために炉内を不活性ガス雰囲気とすると共に、フラックス焼けによる付着物発生を解消するため、微粉末状のフッ化物系フラックスをその濃度が5〜100g/m3となる様に供給してろう付する、アルミニウム材の塗装処理製品のろう付方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、前記ニップル、パイプ或いはフランジ等の構成部材が鋼製である場合、錆発生防止のため後工程で電気亜鉛めっき等のめっき処理を施すが、めっき処理工程内にある酸洗工程だけではフラックス焼けによる付着物を除去しきれず、めっき処理膜の形成が阻害されることから、めっき処理工程内の酸洗とは別の工程(前工程)として、研磨または酸洗を実施しており、ろう付のコストアップ要因となっていた。
また、フラックス有効成分の濃度が低過ぎると、付着物は減少或いは発生しないが、ろう材の浸透性が低下してろう引け(ろう材が部分的にしか浸透しないため、所定のろう付が完了されていない状態)を生じ、接合された隅部におけるろう盛り(フィレット)形成の不良や、継手金具内を流れる流体漏れを発生する恐れがある。
従って、本発明の目的は、フラックス焼けによる付着物の発生がなく、且つろう材の浸透性及びろう盛りの形成が良好なめっき処理製品のろう付方法を提供することである。
即ち、上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るめっき処理製品のろう付方法が採用した手段は、接合部材のろう付部にフラックスを塗布した後、不活性ガス雰囲気下において前記ろう付部を加熱しつつろう付し、次いで後処理としてめっき処理を施すめっき処理製品のろう付方法において、前記フラックスが有効成分濃度10wt%〜40wt%に希釈されてなることを特徴とするものである。
本発明の請求項2に係るめっき処理製品のろう付方法が採用した手段は、請求項1に記載のめっき処理製品のろう付方法において、前記ろう付部のろう付温度を、ろう材の液相線温度以上、前記フラックスの活性温度以下の範囲とすることを特徴とするものである。
本発明の請求項3に係るめっき処理製品のろう付方法が採用した手段は、請求項1または2に記載のめっき処理製品のろう付方法において、前記ろう付が、前記ろう材を予めろう付部に装着する置きろうとされると共に、高周波ろう付により施工されることを特徴とするものである。
本発明の請求項4に係るめっき処理製品のろう付方法が採用した手段は、請求項2または3に記載のめっき処理製品のろう付方法において、前記ろう材が銀ろうであって、前記ろう材の液相線温度が800℃、前記フラックスの活性温度上限値が900℃であることを特徴とするものである。
本発明の請求項5に係るめっき処理製品のろう付方法が採用した手段は、請求項1乃至4の何れか一つの項に記載のめっき処理製品のろう付方法において、前記接合部材が鋼製であることを特徴とするものである。
本発明の請求項6に係るめっき処理製品のろう付方法が採用した手段は、請求項1乃至5の何れか一つの項に記載のめっき処理製品のろう付方法において、前記めっき処理製品がホース継手金具であることを特徴とするものである。
本発明の請求項1に係るめっき処理製品のろう付方法によれば、接合部材のろう付部にフラックスを塗布した後、不活性ガス雰囲気下において前記ろう付部を加熱しつつろう付し、次いで後処理としてめっき処理を施すめっき処理製品のろう付方法において、前記フラックスが有効成分濃度10wt%〜40wt%に希釈されてなるので、ろう付施工後のろう付部に、前記フラックスの有効成分不足に起因するろう引けやろう盛りの形成不良、或いはフラックス焼けによる付着物が生じたりすることがない。
また、本発明の請求項2に係るめっき処理製品のろう付方法によれば、前記ろう付部のろう付温度を、ろう材の液相線温度以上、前記フラックスの活性温度以下の範囲とするので、ろう材の溶融不良に起因する浸透不良や、母材表面の濡れ状態悪化に伴うろう引けを生じることがない。
更に、本発明の請求項3に係るめっき処理製品のろう付方法によれば、前記ろう付が、前記ろう材を予めろう付部に装着する置きろうとされると共に、高周波ろう付により施工されるので、前記ろう付部のみ局部的に加熱し、前記ろう材を均一に溶融してろう付部全体に浸透させ得る点から好ましい。
また更に、本発明の請求項4に係るめっき処理製品のろう付方法によれば、前記ろう材が銀ろうであって、前記ろう材の液相線温度が800℃、前記フラックスの活性温度上限値が900℃であるので、ろう材の溶融不良に起因する浸透不良を生じず、フラックスが焼付き、付着物が発生することがない。
一方、本発明の請求項5に係るめっき処理製品のろう付方法によれば、前記接合部材が鋼製であるので、従来はめっき処理工程内の酸洗工程だけではフラックス焼けによる付着物を除去しきれず、別工程として実施していた研磨や酸洗が省略可能となる。
また、本発明の請求項6に係るめっき処理製品のろう付方法によれば、前記めっき処理製品がホース継手金具であるので、めっき処理するホース継手金具のろう付がコストアップを伴うことなく可能となる。
先ず、本発明の実施の形態に係るめっき処理製品のろう付方法を適用したホース継手金具を、パワーステアリング用ホース継手金具を実施例として、以下添付図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るめっき処理製品のろう付方法を適用したパワーステアリング用ホース継手金具を示す部分断面図である。
本発明の実施の形態に係るめっき処理製品のろう付方法を適用したパワーステアリング用ホース継手金具(以下、ホース継手金具とも言う)1は、図1に示す如く、パイプ2の一端側にパワーステアリング等機器類の接続部に接続するためのフランジ部材3がろう付して接合されると共に、他端側にニップル4がろう付して接合されている。そして、このホース継手金具1は、前記ニップル4と、このニップル4の外周にパイプ側の端部を加締めて締結されたソケット5とによって、両者の間に画成された環状の隙間空間にホース6を嵌合して、前記ソケット5の中央部を外周から加締めて接合するために用いられる。
更に、前記ホース継手金具1につき詳細に説明するならば、前記フランジ部材3の先端には、パワーステアリング等の機器類の接続部に接続するための凸状の接続部7が設けられると共に、この接続部7の外周には、シールリングを装着するための円周溝7aが周設されている。一方、前記ニップル4の外周部にも、ホース6の抜け止め用の複数条の円周溝4bが周設され、ニップル4の内部に同心円状に形成されたオイル通路8は、前記パイプ2及びフランジ部材3に夫々形成されたオイル通路8,8と連通され、ソケット5に加締めて接合されるホース6と接続部7に接続される機器類との間に、オイル圧が伝達される様に形成されている。
尚、本実施の形態に係るめっき処理製品のろう付方法を適用したホース継手金具1においては、パイプ2は、機械構造用炭素鋼鋼管(STKM材;JIS G3445)、自動車構造用電気抵抗溶接炭素鋼鋼管(STAM材;JIS G3472)または油圧配管用精密炭素鋼鋼管(OST材;日本フルードパワー工業会JFPS1006)等を用いることができる。また、フランジ部材3には、機械構造用炭素鋼鋼材(JIS記号:S45C等)、ニップル4には、冷間圧造用炭素鋼(JIS記号:SWCH12〜20)、機械構造用炭素鋼鋼材(JIS記号:S45C等)等から削り出しや鍛造によって一体的に形成されている。
次に、本発明の実施の形態に係るパワーステアリング用ホース継手金具のろう付方法につき、以下工程に沿って添付図2を参照しながら説明する。
図2は本発明の実施の形態に係り、パワーステアリング用ホース継手金具のろう付工程を示す工程図であって、図(a)はパイプ一端部へのフラックス塗布工程、図(b)はフランジ部のろう付装置装着工程、図(c)はフランジ部接合工程、図(d)はパイプ他端部へのフラックス塗布工程、図(e)はニップルのろう付装置装着工程、図(f)はニップル接合工程を夫々示す。
図2は本発明の実施の形態に係り、パワーステアリング用ホース継手金具のろう付工程を示す工程図であって、図(a)はパイプ一端部へのフラックス塗布工程、図(b)はフランジ部のろう付装置装着工程、図(c)はフランジ部接合工程、図(d)はパイプ他端部へのフラックス塗布工程、図(e)はニップルのろう付装置装着工程、図(f)はニップル接合工程を夫々示す。
先ず、水やアルコール等の希釈液で、後述する所定の有効成分濃度に溶解したフラックス希釈液10を、事前に容器10aに準備しておき、パイプ一端部(ろう付部)2aへろう材9を予め装着した後、このパイプ一端部2aを前記フラックス希釈液10に浸漬して塗布する(図2(a)参照)。ここで、前記フラックスとは、ろう付部2a母材とろう材9の酸化物の除去、母材表面の保護等を行う化学的に活性のある薬剤であって、一般的には硼化物系と弗化物系の2種類がある。但し、何れも主成分として、硼酸(H3BO3)や硼酸カリウム(K2B4O7・4H2O)等の硼酸塩が含まれており、弗化物系には更に弗化水素酸カリウム(KHF2)等が含有されている。
そして、前記フラックス希釈液10の有効成分濃度は、10wt%〜40wt%とされている。前記フラックス希釈液の有効成分濃度とは、フラックス希釈液10の重量に対する硼酸、硼酸カリウム及び弗化水素酸カリウム等の有効成分の重量割合を百分率で示すものである。前記フラックス希釈液10の有効成分濃度が10wt%未満であると、フラックスの有効成分が不足することから、溶融したろう材9がろう付部に部分的にしか浸透しない「ろう引け」が生じ、結果的に内部のオイル通路8からオイル漏れに至る恐れがある。また、前記有効成分濃度が40wt%を越えると、フラックスの有効成分濃度が高いため、ろう付部2aに焼けによる付着物が生じたりする。
その後、フラックス希釈液10を塗布した前記パイプ一端部2aを、フランジ部材3の嵌入孔3aに嵌入した状態で、図示しないろう付装置にセットする(図2(b)参照)。ここで、ろう付は、前記ろう材9をパイプ一端部(ろう付部)2aに予め装着する「置きろう」とされると共に、前記ろう付が高周波ろう付装置による高周波ろう付されるのが、パイプ一端部2a(ろう付部)のみ局部的に加熱し、ろう材9を均一に溶融してろう付部2a全体に浸透させ得る点から好ましい。
因みに、前記「置きろう」に対し、加熱されたろう付部にろう材を当て、必要量を溶融して浸透させる「差しろう」によるめっき処理製品のろう付方法があるが、高周波ろう付の場合は、ろう付部2aを誘導加熱コイル内に収納して自己発熱させるため、差しろうによる対応が困難であることから好ましくない。
また、前記フラックス希釈液10を、接合部材である前記パイプ一端部2aに塗布する方法としては、刷毛にフラックス希釈液10を浸潤させて刷毛塗りする方法もあるが、図2(a)に示す様に、パイプ一端部(ろう付部)2aへろう材9を予め装着した後、パイプ一端部2aをフラックス希釈液10に浸漬して塗布するのが好ましい。
この様な浸漬塗布によれば、パイプ一端部(ろう付部)2aをフラックス希釈液10に浸漬して、ろう付部2a周囲に前記フラックス希釈液10を付着し得る上、前記パイプ一端部2aとこのパイプ一端部に装着されたろう材9との間にフラックス希釈液が溜まり、次工程のフランジ部のろう付装置装着工程(図2(b))に至る時点で、ろう材9がフランジ部材3に押し上げられてろう付部2a外周を摺動し、前記フラックス希釈液10がパイプ一端部(ろう付部)2aへ均一膜として塗布されるためである。また、この様な浸漬塗布によれば、刷毛塗りの場合塗布し辛い複雑なろう付部形状であっても、一瞬にしてフラックス希釈液を塗布可能なためである。
次いで、前記ろう付部2aの周囲にカバーを被せて、内部を窒素等の不活性ガス雰囲気に維持しつつ、前記ろう付部2aを高周波ろう付装置等により加熱してろう材9を溶融させ、溶融したろう材9をろう付部2aに浸透して接合する(図2(c)参照)。ここで、前記ろう付部2aのろう付温度は、ろう材9の液相線温度以上、前記フラックスの活性温度上限値以下の範囲とする。ろう付部のろう付温度とは、ろう付直前のろう付部の表面温度を言う。不活性ガス雰囲気下でろう付する理由は、大気中の酸素とろう付部母材とが酸化反応して、酸化被膜等を形成するのを防止するためである。
前記ろう材の液相線温度とは、ろう材が完全な液体に溶融される温度或いは溶融状態から固まり始める温度を言う。また、前記フラックスの活性温度とは、ろう付部母材とろう材の酸化物の除去、母材表面の保護等を行う効果を発揮し得る温度範囲をいい、ろう付部温度が低過ぎると、酸化物の除去等が行われないためろうが浸透せず、ろう付部温度が高過ぎると、フラックスが焼付き、付着物が発生する。従って、フラックスの活性温度上限値とは、前記効果を発揮し得る上限温度をいう。
そのため、ろう付部のろう付温度がろう材の液相線温度以上であれば、ろう材の溶融不良に起因する浸透不良を生じず、ろう付部のろう付温度がフラックスの活性温度上限値以下であれば、フラックスが焼付き、付着物が発生することがない。
更に、前記ろう材9が銀ろうであれば、ろう付部2aのろう付温度を前記銀ろうの液相線温度800℃以上、前記フラックスの活性温度上限値900℃以下とするので、ろう材9の溶融不良に起因する浸透不良を生じず、フラックスが焼付き、付着物が発生することがない。
パイプ一端部2aへのフランジ部3の接合が完了した後、次は、パイプ他端部(ろう付部)2bにニップル4を、フランジ部3と同様にしてろう付する。即ち先ず、パイプ他端部(ろう付部)2bへろう材9を予め装着した後、このパイプ他端部2bを前記フラックス希釈液10に浸漬して塗布する(図2(d)参照)。
その後、フラックス希釈液10を塗布した前記パイプ他端部2bを、ニップル4の嵌入孔4aに嵌入した状態で、図示しないろう付装置にセットする(図2(e)参照)。次いで、前記ろう付部2bの周囲にカバーを被せて、内部を窒素等の不活性ガス雰囲気に維持しつつ、前記ろう付部2bを高周波ろう付装置等により加熱してろう材9を溶融させ、溶融したろう材9をろう付部2bに浸透して接合する(図2(f)参照)。
パイプ他端部(ろう付部)2bにニップル4をろう付する場合においても、図2(a)〜図2(c)を参照しながら説明したパイプ一端部2aへのフランジ部3のろう付と同様、前記フラックス希釈液10の有効成分濃度、ろう付部のろう付温度及び施工方法等の好ましい諸条件は全く同一である。
上記の如く、パイプ一端部2aへのフランジ部3のろう付工程とパイプ他端部2bへのニップル4のろう付工程を別々に行う理由は、前記パイプ一端部2aとパイプ他端部2bへのフラックス希釈液10の塗布を続けて行なった後、パイプ一端部2aへのフランジ部3のろう付とパイプ他端部2bへのニップル4のろう付とを続けて行うと、パイプ一端部2aへのフランジ部3のろう付加工を行っている間、フラックス希釈液10を塗布したまま、パイプ他端部2bを長時間放置することになり、錆発生の原因となるためである。但し、自動機を用いて大量生産する場合は、短時間で処置可能となるためこの限りではない。
パイプ一端部2a及び他端部2bへ、夫々フランジ部3及びニップル4の接合が終了した後、本発明の実施の形態に係るパワーステアリング用ホース継手金具のめっき処理製品のろう付方法においては、電気亜鉛めっき等のめっき処理を施す。次いで、図1に示すソケット5のパイプ側端部を加締めて取り付け、ニップル4にホース6を嵌合した後、ソケット5の中央部外周を求心状に加締めてホース6と接合する。
ここで、前記パイプ2に曲げ加工が施されることが多々ある。このパイプ曲げ加工は、長尺パイプの場合は、パイプ両端へのフランジ部3やニップル4の接合前に、またはめっき処理が施される前に施工され、短尺パイプの場合は、めっき処理後に施工されることもあるが、一般的には、パイプ両端への接合部材接合後、めっき処理前に施工されることが多い。
以上の通り、本発明の実施の形態に係るパワーステアリング用ホース継手金具のろう付方法によれば、ろう付部にフラックスを塗布した後、不活性ガス雰囲気下において前記ろう付部を加熱しつつろう付し、次いで後処理としてめっき処理を施すホース継手金具のろう付方法において、前記フラックスが有効成分濃度10wt%〜40wt%に希釈されてなるので、ろう付施工後のろう付部に、前記フラックスの有効成分不足に起因するろう引けやフラックス焼けによる付着物が生じたりすることがない。
尚、本発明に係るめっき処理製品のろう付方法に使用されるろう材は、銀ろうの他、ろう付される母材の材料、ろう付温度等の条件により、金ろう、黄銅(真鍮)ろう、りん銅ろうまたはニッケルろう等を適宜用いることも可能である。
上述した本発明の実施の形態に係るパワーステアリング用ホース継手金具のろう付方法に従い、下記条件によるホース継手金具(以下、実施例と称する)と、フラックスの有効成分濃度または/及びろう付部のろう付温度を本発明の範囲外としたホース継手金具(以下、比較例と称する)を試作した。試作条件は下記の通りである。また、個別のフラックスの有効成分濃度及びろう付部ろう付温度は、表1,2に示す通りであり、前者をx軸、後者をy軸とする実施例及び比較例の各条件を図3に示す。
尚、ろう付部のろう付温度は、ろう付直前のろう付部のろう付温度を赤外線サーモグラフィーによって測定したものである。また、使用したフラックスは弗化物系からなり、活性温度上限値は900℃である。一方、使用した銀ろう材は、銀約40%、銅約30%、亜鉛約30%を主成分とするものであり、液相線温度は800℃である。
(1)ホース継手金具の形状‥‥図1に示す通り(ソケット、ホースは取付けず)
(2)パイプ材質‥‥‥‥‥‥‥OST−2(外径18mm、肉厚1.3mm)
(3)接合部材材質‥‥‥‥‥‥フランジ部:S45C
ニップル :S45C
(4)フラックス‥‥‥‥‥‥‥ハンディフラックス(水野ハンディーハーマン株式会社製)
(5)ろう材‥‥‥‥‥‥‥‥‥銀ろう材
(6)雰囲気ガス‥‥‥‥‥‥‥窒素
(7)ろう付装置‥‥‥‥‥‥‥高周波ろう付装置(出力:30kW,発振周波数:
50kHz)
(8)高周波ろう付条件‥‥‥‥第1加熱:出力85%×5秒
第2加熱:出力65%×6秒
第3加熱:出力40%×5秒
冷 却 :第3加熱後90秒放置
(2)パイプ材質‥‥‥‥‥‥‥OST−2(外径18mm、肉厚1.3mm)
(3)接合部材材質‥‥‥‥‥‥フランジ部:S45C
ニップル :S45C
(4)フラックス‥‥‥‥‥‥‥ハンディフラックス(水野ハンディーハーマン株式会社製)
(5)ろう材‥‥‥‥‥‥‥‥‥銀ろう材
(6)雰囲気ガス‥‥‥‥‥‥‥窒素
(7)ろう付装置‥‥‥‥‥‥‥高周波ろう付装置(出力:30kW,発振周波数:
50kHz)
(8)高周波ろう付条件‥‥‥‥第1加熱:出力85%×5秒
第2加熱:出力65%×6秒
第3加熱:出力40%×5秒
冷 却 :第3加熱後90秒放置
試作後の各試料を表3に記載の判定基準、即ち、ろう盛り形成、ろう材浸透性、焼付き部有無の外観に基づき検査した結果を、表1,2に判定記号で示す。ここで、「ろう材浸透性」については、試作した試料を軸方向に分割して、ろう付部におけるろう材の浸透性を目視検査した。また、外観における「加熱部」とは、高周波ろう付装置の加熱によって試料表面が黒紫色に変色した部位を言う。
上記判定結果に基づき、フラックスの有効成分濃度及びろう付部ろう付温度の好ましい範囲を、図3中にハッチングで示す。即ち、フラックス希釈後の有効成分濃度を10wt%〜40wt%とすれば、ろう付施工後のろう付部に、前記フラックスの有効成分不足に起因するろう引けや、フラックス焼けによる付着物が生じないことが分かった。更には、ろう付部のろう付温度を銀ろう材の液相線温度(800℃)以上、フラックスの活性温度上限値(900℃)以下の範囲とするのが、ろう材の溶融不良に起因する浸透不良や、フラックス焼けによる付着物が発生しないことも分かった。
以上説明した通り、本発明に係るめっき処理製品のろう付方法によれば、接合部材のろう付部にフラックスを塗布した後、不活性ガス雰囲気下において前記ろう付部を加熱しつつろう付し、次いで後処理としてめっき処理を施すめっき処理製品のろう付方法において、前記フラックスが有効成分濃度10wt%〜40wt%に希釈されてなるので、ろう付施工後のろう付部に、前記フラックスの有効成分不足に起因するろう引けやフラックス焼けによる付着物が生じたりすることがない。また、前記ろう付部のろう付温度を、ろう材の液相線温度以上、前記フラックスの活性温度以下の範囲とするので、ろう材の溶融不良に起因する浸透不良やろう材成分の気化に伴うろう引けを生じることがない。
尚、上記実施の形態に係るめっき処理製品のろう付方法を適用したホース継手金具としては、フランジ部材、ニップル及びパイプ等を接続部材とするパワーステアリング用ホース継手金具を実施例として説明したが、この様な構成に限定されることなく、他の形態を有する接合部材や構成部材等、用途に応じて適宜選択できる。
1:パワーステアリング用ホース継手金具,
2:パイプ, 2a:パイプ一端部(ろう付部),
2b:バイプ他端部(ろう付部),
3:フランジ部材, 3a:嵌入孔,
4:ニップル, 4a:嵌入孔, 4b:円周溝,
5:ソケット, 6:ホース,
7:接続部, 7a:円周溝,
8:オイル通路,
9:ろう材,
10:フラックス希釈液, 10a:容器,
11:ろう盛り
2:パイプ, 2a:パイプ一端部(ろう付部),
2b:バイプ他端部(ろう付部),
3:フランジ部材, 3a:嵌入孔,
4:ニップル, 4a:嵌入孔, 4b:円周溝,
5:ソケット, 6:ホース,
7:接続部, 7a:円周溝,
8:オイル通路,
9:ろう材,
10:フラックス希釈液, 10a:容器,
11:ろう盛り
Claims (6)
- 接合部材のろう付部にフラックスを塗布した後、不活性ガス雰囲気下において前記ろう付部を加熱しつつろう付し、次いで後処理としてめっき処理を施すめっき処理製品のろう付方法において、前記フラックスが有効成分濃度10wt%〜40wt%に希釈されてなることを特徴とするめっき処理製品のろう付方法。
- 前記ろう付部のろう付温度を、ろう材の液相線温度以上、前記フラックスの活性温度上限値以下の範囲とすることを特徴とする請求項1に記載のめっき処理製品のろう付方法。
- 前記ろう付が、前記ろう材を予めろう付部に装着する置きろうとされると共に、高周波ろう付により施工されることを特徴とする請求項1または2に記載のめっき処理製品のろう付方法。
- 前記ろう材が銀ろうであって、前記ろう材の液相線温度が800℃、前記フラックスの活性温度上限値が900℃であることを特徴とする請求項2または3に記載のめっき処理製品のろう付方法。
- 前記接合部材が鋼製であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つの項に記載のめっき処理製品のろう付方法。
- 前記めっき処理製品がホース継手金具であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一つの項に記載のめっき処理製品のろう付方法。
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