JP2011078251A - 電動機駆動装置の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電圧制御部による内部処理に関する演算周期が最適化され、交流電動機を制御する際の処理負荷の低減が図られた制御装置を提供する。
【解決手段】直流電圧を交流電圧に変換して交流電動機に供給する直流交流変換部を備えた電動機駆動装置を、ベクトル制御法により制御する制御装置。交流電動機を駆動するための電圧指令値から直流交流変換部を制御するための制御信号を生成する電圧制御部として、電圧指令値と直流交流変換部に供給される実際の直流電圧とに基づいて、変調率と電圧指令位相とを導出する第一電圧制御部と、変調率と電圧指令位相と磁極位置とに基づいて、制御信号を生成する第二電圧制御部と、を備え、第一電圧制御部の演算周期(第二演算周期T2)が、第二電圧制御部の演算周期(第一演算周期T1)よりも長く設定されている。
【選択図】図7

Description

本発明は、直流電圧を交流電圧に変換して交流電動機に供給する直流交流変換部を備えた電動機駆動装置を、ベクトル制御法により制御する制御装置に関する。
直流電源からの直流電圧を直流交流変換部としてのインバータにより交流電圧に変換して交流電動機を駆動する電動機駆動装置が一般的に用いられている。このような電動機駆動装置では、交流電動機の各相のコイルに正弦波状の交流電圧を供給して効率的にトルクを発生させるために、ベクトル制御(field oriented control:FOC)が行われる場合がある。このようなベクトル制御では、交流電動機の三相のそれぞれのステータコイルに流れる電流が、ロータに配置された永久磁石が発生する磁界の方向であるd軸と、d軸に直交するq軸との2つのベクトル成分に座標変換され、フィードバック制御が行われる。
特許文献1には、1つの演算処理ユニットを用いて2つの交流電動機のベクトル制御を共通に行なうことができるように構成された電動機駆動装置の制御装置が記載されている。特許文献1の制御装置では、まず電流制御部により交流電動機を駆動する電流の指令値である電流指令値id*、iq*と交流電動機を流れる実際の電流id、iqとに基づいて電圧指令値vd’*、vq’*が導出される。次に、非干渉演算により、導出された電圧指令値vd’、vq’に基づいて、干渉項が補正された二相電圧指令値vd*、vq*が導出される。その後、電圧制御部により、二相電圧指令値vd*、vq*と交流電動機のロータの回転位置を表す磁極位置θreとに基づいて、三相電圧指令値vu*、vv*、vw*が導出されると共に、三相電圧指令値vu*、vv*、vw*に応じてインバータを制御するための制御信号が生成される。
ところで、上記のようにして交流電動機を駆動するに際しては、より精密に交流電動機の出力トルク及び回転速度を制御しようとすれば、それぞれの指令値及び実際の値を極力短い周期毎に取得してフィードバック制御を行なうように構成することが好ましい。しかし、短い周期毎に多くの演算を行わせようとすれば、それに合わせて演算処理ユニットによる処理負荷が増大してしまう。演算処理ユニットの数を増やすことや高性能の演算処理ユニットを用いることも考えられるが、電動機駆動装置及びその制御装置の小型化や低価格化の観点からは好ましくない。
この点、特許文献1の制御装置では、電流制御部が電圧指令値vd’*、vq’*を導出し、これらに基づいて更に二相電圧指令値vd*、vq*を導出するための演算周期(以下、電流制御周期と称する場合がある)を、電圧制御部が三相電圧指令値vu*、vv*、vw*を導出し、これらに基づいて更にインバータを制御するための制御信号を生成するための演算周期(以下、電圧制御周期と称する場合がある)よりも長く(具体的には、2倍又は整数n倍に)設定している。このように、電圧指令値vd’*、vq’*及び二相電圧指令値vd*、vq*の導出を一部間引くことにより、演算処理ユニットの処理負荷が低減されている。そして、特許文献1の制御装置では、1電流制御周期毎に2つの交流電動機それぞれについての次回の電圧指令値vd’*(vd*)、vq’*(vq*)の導出を交互に行うと共に、それぞれの交流電動機における磁極位置の取り込みタイミングからの遅れ時間を考慮しつつ、1電圧制御周期毎にそれぞれインバータを制御するための制御信号を出力する。これにより、演算処理ユニットの処理負荷の低減を図りつつ、極力高分解能な出力を得ることが可能とされている。
特許第3890907号公報
電圧制御部が、二相電圧指令値vd*、vq*と磁極位置θreとに基づいて三相電圧指令値vu*、vv*、vw*を導出するための手法に関しては、特許文献1には特段の開示はないものの、所定の演算式に基づいて導出するか、又は予め記憶して備えられた所定のマップに基づいて導出することが一般的であると考えられる。前者の場合、演算式自体が極めて複雑となるため、演算を行うための処理負荷は非常に高くなる。後者の場合は、所定のマップは3つのパラメタ(vd*、vq*、θre)に基づく三次元マップとなるため、当該マップに基づいて三相電圧指令値vu*、vv*、vw*を導出するための処理負荷は、前者に比べると多少は改善されるものの比較的高くなる。
また、上記いずれの場合にも、電流制御周期が電圧制御周期よりも長く設定されているので、1電圧制御周期が完了しても二相電圧指令値vd*、vq*が変化しない場合がある。この場合には、前回と等しい値の二相電圧指令値vd*、vq*を用いて再度三相電圧指令値vu*、vv*、vw*の導出及び制御信号の生成処理が行われることになる。すなわち、特許文献1の制御装置では一部冗長な演算処理が行われていることになるため、この点からも電圧制御部による処理負荷は不必要に高くなっている。従って、電圧制御部による内部処理に関する演算周期の最適化に関して、改善の余地が残されていた。
そこで、電圧制御部による内部処理に関する演算周期が最適化され、交流電動機を制御する際の処理負荷の低減が図られた制御装置の実現が望まれる。
本発明に係る、直流電圧を交流電圧に変換して交流電動機に供給する直流交流変換部を備えた電動機駆動装置を、ベクトル制御法により制御する制御装置の特徴構成は、前記交流電動機を駆動するための二相の電圧の指令値である電圧指令値から前記直流交流変換部を制御するための制御信号を生成する電圧制御部として、前記電圧指令値と前記直流交流変換部に供給される実際の直流電圧とに基づいて、直流電圧に対する前記電圧指令値の実効値の比率を表す変調率と前記電圧指令値が表す電圧ベクトルの位相角である電圧指令位相とを導出する第一電圧制御部と、前記変調率と前記電圧指令位相と前記交流電動機の回転子の回転角を表す磁極位置とに基づいて、前記制御信号を生成する第二電圧制御部と、を備え、前記第一電圧制御部の演算周期が、前記第二電圧制御部の演算周期よりも長く設定されている点にある。
上記の特徴構成によれば、従来技術において1つの演算周期内で行なわれていた、電圧指令値と磁極位置とに基づいて直流交流変換部を制御するための制御信号を生成するまでの一連の演算処理が、電圧指令値と実際の直流電圧とに基づいて変調率と電圧指令位相とを導出する演算処理(以下、第一電圧制御処理と称する場合がある)と、変調率と電圧指令位相と磁極位置とに基づいて直流交流変換部を制御するための制御信号を生成する演算処理(以下、第二電圧制御処理と称する場合がある)と、に分けられている。第二電圧制御部による第二電圧制御処理に関しては、交流電動機の実際の磁極位置に応じてできるだけ高い分解能で演算処理を行うことが好ましく、この観点からは、極力短い演算周期で第二電圧制御処理を行なうように構成することが好ましい。一方、第一電圧制御部による第一電圧制御処理に関しては、電圧指令値が導出される演算周期よりも短くする必要はないため、電圧指令値が導出される演算周期が制御信号が生成される演算周期よりも長く設定される場合が多いことを考慮して、その演算周期を第二電圧制御処理の演算周期よりも長く設定している。よって、電圧指令値が前回の指令値から変化していない場合に不必要な演算処理が行われることを回避して、処理負荷の低減を図ることが容易となっている。その結果、電圧指令値と磁極位置とに基づいて直流交流変換部を制御するための制御信号を生成するまでの一連の演算処理の処理負荷を、全体として低減することが容易となっている。
また、上記の特徴構成によれば、第二電圧制御部による第二電圧制御処理は、変調率と電圧指令位相と磁極位置とに基づいて行われる。ここで、電圧指令位相及び磁極位置は、制御信号を生成するための基準波形の位相に関する同次元のパラメタであるので、第二電圧制御処理を所定の演算式に基づいて行なうように構成する場合には、当該演算式を比較的単純化することができる。また、第二電圧制御処理を所定のマップに基づいて行なうように構成する場合には、当該マップを2つのパラメタ(変調率と位相)に基づく二次元マップとすることができる。よって、いずれの場合にも、第二電圧制御処理に係る処理負荷を低減することができる。
なお、第一電圧制御部による第一電圧制御処理においても、電圧指令値と直流電圧とから、所定の演算式やマップに基づいて変調率及び電圧指令位相を容易に導出することができる。よって、第一電圧制御処理に係る処理負荷を低減することができる。その結果、この点からも、制御信号を生成するまでの一連の演算処理の処理負荷を全体として低減することが可能となっている。
従って、上記の特徴構成によれば、電圧制御部による内部処理に関する演算周期を最適化することができ、これにより、交流電動機を制御する際の処理負荷の低減が図られた制御装置を提供することができる。
ここで、前記交流電動機を駆動する二相の電流の指令値である電流指令値と前記交流電動機を流れる実際の電流と前記回転子の回転速度とに基づいて、前記電圧指令値を導出する電流制御部を備え、前記第一電圧制御部の演算周期が、前記電流制御部の演算周期に等しく設定されている構成とすると好適である。
第一電圧制御部が変調率と電圧指令位相とを導出するための演算周期が、電流制御部が電圧指令値を導出するための演算周期よりも短い場合には、電圧指令値が前回から変化していない場合にも変調率と電圧指令位相とを導出するための不必要な演算処理が行われ得る。一方、第一電圧制御部が変調率と電圧指令位相とを導出するための演算周期が、電流制御部が電圧指令値を導出するための演算周期よりも長い場合には、電圧指令値の変化に適切に追従して変調率と電圧指令位相とを精度良く導出することができない可能性がある。上記の構成によれば、電圧指令値が導出される演算周期に合わせて、最適な演算周期で変調率と電圧指令位相とを適切に導出することができる。
また、前記電流制御部及び前記第一電圧制御部の演算周期が、前記第二電圧制御部の演算周期のN倍(Nは2以上の整数)に設定されている構成とすると好適である。
この構成によれば、電流制御部、第一電圧制御部、及び第二電圧制御部のそれぞれの制御周期を適切な関係に維持して、交流電動機を制御する際の処理負荷の低減と制御応答性との両立を図ることが容易となる。
また、所定のモード決定用入力変数に基づいて、前記電動機駆動装置を制御するために予め設定された複数の制御モードの中から1つの制御モードを決定するモード決定部を更に備え、前記第二電圧制御部は、前記モード決定部により決定された制御モードに応じた前記制御信号を生成し、前記モード決定用入力変数の更新周期が前記第一電圧制御部の演算周期よりも長く設定され、前記モード決定部の演算周期が、前記モード決定用入力変数の更新周期に等しく設定されている構成とすると好適である。
制御モードの決定を行うための演算は、直流交流変換部を制御するための制御信号を生成する第二電圧制御処理や、第二電圧制御処理を行うための元情報となる変調率及び電圧指令位相を導出する第一電圧制御処理と比べて緊急性が低い。よって、制御モードを決定するための処理の優先度を、第一電圧制御処理や第二電圧制御処理よりも低くしたとしてもほとんど問題は生じない。
そこで、上記の構成のように、緊急性の低い演算処理である制御モードを決定するための演算周期を、モード決定用入力変数の更新周期に合わせて第一電圧制御処理及び第二電圧制御処理のうち演算周期の長い方の処理である第一電圧制御処理よりも長く設定することで、制御モードを決定するための処理を行う回数を適宜減少させて、交流電動機を制御する際の処理負荷を低減することができる。
なお、前記モード決定用入力変数が、少なくとも前記交流電動機の目標トルクと前記回転子の回転速度とを含んで構成されていると好適である。この構成によれば、電圧指令値の導出に直接的に関与する、目標トルク及び回転子の回転速度の情報を利用して、制御モードを簡易かつ適切に決定することができる。
また、所定のキャリア周波数決定用入力変数に基づいて、前記直流交流変換部のキャリア周波数を決定するキャリア周波数決定部を更に備え、前記キャリア周波数決定用入力変数の更新周期が前記第一電圧制御部の演算周期よりも長く設定され、前記キャリア周波数決定部の演算周期が、前記キャリア周波数決定用入力変数の更新周期に等しく設定されている構成とすると好適である。
キャリア周波数の決定を行うための演算は、直流交流変換部を制御するための制御信号を生成する第二電圧制御処理や、第二電圧制御処理を行うための元情報となる変調率及び電圧指令位相を導出する第一電圧制御処理と比べて緊急性が低い。よって、キャリア周波数を決定するための処理の優先度を、第一電圧制御処理や第二電圧制御処理よりも低くしたとしてもほとんど問題は生じない。
そこで、上記の構成のように、緊急性の低い演算処理であるキャリア周波数を決定するための演算周期を、キャリア周波数決定用入力変数の更新周期に合わせて第一電圧制御処理及び第二電圧制御処理のうち演算周期の長い方の処理である第一電圧制御処理よりも長く設定することで、キャリア周波数を決定するための処理を行う回数を適宜減少させて、交流電動機を制御する際の処理負荷を低減することができる。
なお、前記キャリア周波数決定用入力変数が、少なくとも前記変調率と前記回転子の回転速度とを含んで構成されていると好適である。この構成によれば、電圧指令値の導出に直接的又は間接的に関与する、変調率及び回転子の回転速度の情報を利用して、キャリア周波数を簡易かつ適切に決定することができる。
これまで説明してきた電動機駆動装置の制御装置において、前記第一電圧制御部の演算周期が、前記第二電圧制御部の演算周期のN倍(Nは2以上の整数)に設定されると共に、N個の前記交流電動機を制御対象とする前記電動機駆動装置を、単一の演算処理ユニットを用いて制御するように構成され、所定時間に設定された基準演算周期毎に、前記第二電圧制御部は、各交流電動機に対応した前記制御信号を生成する生成処理をそれぞれ完了させ、前記基準演算周期のN回に1回、前記第一電圧制御部は、N個の前記交流電動機のうちの1つについて前記変調率と前記電圧指令位相とを導出する導出処理を完了させると共に、当該1つの交流電動機についての前記導出処理を実行していない間に、他の交流電動機についての前記導出処理を完了させる構成とすると好適である。
この構成によれば、基準演算周期ごとに各交流電動機に対応した制御信号が生成されるので、複数の交流電動機のそれぞれを円滑に駆動させることができる。また、基準演算周期の複数回に1回ずつ、複数の交流電動機のそれぞれについて変調率と電圧指令位相とが順次導出されるので、処理負荷を低減しつつ、各交流電動機についての導出処理を適切に行うことができる。従って、単一の演算処理ユニットを用いて、最適な演算周期で複数の交流電動機を適切に制御することができる。
第一の実施形態に係る制御装置を含む車両のシステム構成の一例を模式的に示すブロック図である。 第一の実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。 制御モードを決定する際に参照するマップの一例を示す図である。 第一制御モードにおける交流電圧指令値の一例を示す図である。 第三制御モードにおける交流電圧指令値の一例を示す図である。 第一の実施形態に係る電動機制御処理の処理手順を示すフローチャートである。 第一の実施形態に係る電動機制御処理を行った場合のタイムチャートである。 第二の実施形態に係る電動機制御処理の処理手順を示すフローチャートである。 第二の実施形態に係る電動機制御処理を行った場合のタイムチャートである。
1.第一の実施形態
本発明に係る電動機駆動装置1の制御装置2の第一の実施形態について、図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態においては、電動機駆動装置1が、三相交流により動作する交流電動機としての埋込磁石構造の2つの同期電動機MG1、MG2(IPMSM、以下、これらを総称して単に「電動機MG」という場合がある。)を駆動制御する装置として構成されている場合を例として説明する。これらの電動機MGは、必要に応じて発電機としても動作するように構成されている。これらの電動機MGは、例えば、電動車両やハイブリッド車両等の駆動力源として用いられる。電動機駆動装置1は、直流電圧Vdcを交流電圧に変換して電動機MGに供給するインバータ6を有して構成されている。そして、本実施形態では、図2に示すように、制御装置2はベクトル制御法を用いて電動機駆動装置1の制御を行う。
このような構成において、本実施形態に係る制御装置2は、電動機MGを駆動するための電圧指令値Vd、Vqからインバータ6を制御するためのスイッチング制御信号Pu、Nu、Pv、Nv、Pw、Nwを生成する電圧制御部21として、電圧指令値Vd、Vqと直流電圧Vdcとに基づいて変調率Mと電圧指令位相θvとを導出する第一電圧制御部22と、変調率Mと電圧指令位相θvと磁極位置θとに基づいてスイッチング制御信号Pu、Nu、Pv、Nv、Pw、Nwを生成する第二電圧制御部23と、を備え、第一電圧制御部22の演算周期(第二演算周期T2)が、第二電圧制御部23の演算周期(第一演算周期T1)よりも長く設定されている(図7を参照)点に特徴を有する。これにより、電圧制御部21による内部処理に関する演算周期が最適化され、電動機MGを制御する際の処理負荷の低減が図られた制御装置2が実現されている。以下、本実施形態に係る電動機駆動装置1及びその制御装置2について詳細に説明する。
1−1.電動機駆動装置及び制御装置のハードウエア構成
まず、本実施形態に係る電動機駆動装置1及び制御装置2のハードウエア構成について、図1に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態では、2つの三相同期電動機MG1、MG2を制御対象として備えている。電動機MG1、MG2は、同じ性能の電動機であっても良いし、異なる性能の電動機であっても良い。電動機MG1、MG2は、それぞれインバータ6a、6b(以下、これらを総称して単に「インバータ6」という場合がある。)を介して、直流電圧Vdcを発生させる直流電源3に接続されている。直流電源3としては、例えば、ニッケル水素二次電池やリチウムイオン二次電池等の各種二次電池、キャパシタ、或いはこれらの組合せ等が用いられる。直流電源3の電圧である直流電圧Vdcは、不図示の電圧センサにより検出されて制御装置2へ出力される。なお、直流電源3とインバータ6との間に、直流電源3からの直流電圧Vdcを平滑化する平滑コンデンサや直流電源3からの直流電圧Vdcを昇圧するコンバータ等を介挿して備えた構成としても好適である。
インバータ6は、直流電源3からの直流電圧Vdcを三相交流電圧に変換して電動機MGに供給する。このように供給された三相交流電圧によって電動機MGが駆動される。すなわち、インバータ6は「直流交流変換部」として機能する。インバータ6は、複数のスイッチング素子(不図示)を有して構成される。スイッチング素子には、例えば、IGBT(insulated gate bipolar transistor)やMOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistor)等を適用すると好適である。以下、スイッチング素子としてIGBTを用いる場合を例として説明する。
インバータ6(6a、6b)は、三相のブリッジ回路により構成される。インバータ6の入力プラス側と入力マイナス側との間に2つのIGBTが直列に接続され、この直列回路が3回線並列接続される。つまり、電動機MG(MG1、MG2)のu相、v相、w相に対応するステータコイルMu(Mu1、Mu2)、Mv(Mv1、Mv2)、Mw(Mw1、Mw2)のそれぞれに一組の直列回路が対応したブリッジ回路が構成される。各相の上段側のIGBTのコレクタはインバータ6の入力プラス側に接続され、エミッタは各相の下段側のIGBTのコレクタに接続される。また、各相の下段側のIGBTのエミッタは、インバータ6の入力マイナス側(例えば、グラウンド)に接続される。対となる各相のIGBTによる直列回路の中間点、つまり、IGBTの接続点は、電動機MGのステータコイルMu、Mv、Mwにそれぞれ接続される。
なお、IGBTには、それぞれフリーホイールダイオード(回生ダイオード)が並列に接続される。フリーホイールダイオードは、カソード端子がIGBTのコレクタ端子に接続され、アノード端子がIGBTのエミッタ端子に接続される形態でIGBTに対して並列に接続される。各IGBTのゲートは、ドライバ回路76を介して制御装置2に接続されており、それぞれ個別にスイッチング制御される。
制御装置2は、電動機駆動装置1に備えられた複数(ここでは2個)のインバータ6(6a、6b)を制御する。制御装置2は、マイクロコンピュータなどの論理回路を中核として構成されたECU(electronic control unit)として構成されている。本実施形態では、制御装置2は、シングルタスクのマイクロコンピュータであるCPU(central processing unit)61と、インターフェース回路70と、その他の周辺回路等とを有して構成される。CPU61は、後述する電動機制御処理を実行するコンピュータである。インターフェース回路70は、EMI(electro-magnetic interference)対策部品やバッファ回路などにより構成される。高電圧をスイッチングするスイッチング素子としてのIGBTやMOSFET等のゲートに入力される駆動信号であるスイッチング制御信号は、マイクロコンピュータなどの一般的な電子回路の駆動電圧よりも高い電圧を必要とするため、ドライバ回路76を介して昇圧された後、インバータ6に入力される。
CPU61は、少なくとも、CPUコア62と、プログラムメモリ63と、パラメータメモリ64と、ワークメモリ65と、タイマ66と、A/Dコンバータ67と、通信制御部68と、ポート69と、を有して構成される。CPUコア62は、CPU61の中核であり、命令レジスタや命令デコーダ、種々の演算の実行主体となるALU(arithmetic logic unit)、フラグレジスタ、汎用レジスタ、割り込みコントローラ等を有して構成される。本実施形態では、CPU61は単一のCPUコア62を備えており、この単一のCPUコア62が本発明における単一の演算処理ユニットに相当する。このCPUコア62は、シリアルにプログラムを実行するシングルタスクのコンピュータの中核を担う。
プログラムメモリ63は、電動機制御プログラムが格納された不揮発性のメモリである。パラメータメモリ64は、プログラムの実行の際に参照される種々のパラメータが格納された不揮発性のメモリである。パラメータメモリ64は、プログラムメモリ63と区別することなく構築されてもよい。プログラムメモリ63やパラメータメモリ64は、例えばフラッシュメモリなどによって構成されると好適である。ワークメモリ65は、プログラム実行中の一時データを一時記憶するメモリである。ワークメモリ65は、揮発性で問題なく、高速にデータの読み書きが可能なDRAM(dynamic RAM)やSRAM(static RAM)により構成される。
タイマ66は、CPU61のクロック周期を最小分解能として、時間を計測する。例えば、タイマ66は、プログラムの実行周期を監視し、CPUコア62の割り込みコントローラに通知する。A/Dコンバータ67は、アナログの電気信号をデジタルデータに変換する。本実施形態では、A/Dコンバータ67は、電動機MGの各ステータコイルMu、Mv、Mwに流れる電流の検出値である電流検出値Iur(Iur1、Iur2)、Ivr(Ivr1、Ivr2)、Iwr(Iwr1、Iwr2)を、電流センサ7(7a、7b)から受け取ってデジタル値に変換する。なお、u相、v相、w相の三相は平衡しており、その瞬時値はゼロであるので、二相分のみの電流を検出し、残る一相はCPU61において演算により求めてもよい。本実施形態では、三相の全てが検出される場合を例示している。なお、二相分のみの電流を検出し、残る一相はCPU61において演算により求めるのであれば、A/Dコンバータ67は、4つのアナログ入力を有していれば足りる。
通信制御部68は、車両内の他のシステムとの通信を制御する。本実施形態では、不図示の車両内のCAN(controller area network)を介して、走行制御システムやセンサ等との通信を制御する。例えば、CPU61は、通信制御部68を介して、走行制御システムから、電動機MGの目標トルクTMを含むモータ制御指令を受け取り、これに基づいて電動機MGを制御する。本実施形態では、CPU61は、第一電動機MG1の目標トルクTM1及び第二電動機MG2の目標トルクTM2をそれぞれ受け取る(以下、これらを総称して単に「目標トルクTM」という場合がある。)。また、CPU61は、通信制御部68を介してブレーキシステムやパワーステアリングシステム等と接続され、これらを制御する構成としても好適である。
ポート69は、インバータ6のスイッチング制御信号等をCPU61の端子を介して出力したり、CPU61に入力される回転センサ8(8a、8b)からの回転検出信号を受け取ったりする端子制御部である。図1においてインターフェース回路70からドライバ回路76に入力される信号の符号P*は、インバータ6の上段側のIGBTの制御信号を示し、符号N*は、下段側のIGBTの制御信号を示す。また、符号*u,*v,*wは、インバータ6のu相、v相、w相それぞれのIGBTの制御信号を示す。また、符号*1,*2は、それぞれ第一電動機MG1のインバータ6a、第二電動機MG2のインバータ6bのスイッチング制御信号としてのIGBT制御信号を示す。回転センサ8は、電動機MGの近傍に設置されて電動機MGの回転子としてのロータの回転角を表す磁極位置θを検出するセンサであり、例えばレゾルバ等を用いて構成される。ここでは、磁極位置θは、ロータの回転角を電気角として表すものとする。
このように、本実施形態に係る電動機駆動装置1は、2個の電動機MG1、MG2を制御対象とすると共に、2個の電動機MG1、MG2のそれぞれに対応する2個のインバータ6a、6bを備えており、制御装置2は、これら2個のインバータ6a、6bを制御することにより、2個の電動機MG1、MG2を制御するように構成される。この際、制御装置2は、単一の演算処理ユニットとしてのCPUコア62を用いて2個のインバータ6a、6bを制御するように構成されている。
1−2.制御装置のソフトウエア構成
次に、制御装置2のソフトウエア構成について説明する。なお、本実施形態では電動機駆動装置1が2個の電動機MG1、MG2を駆動制御の対象とすると共に各電動機MG1、MG2に対応する2個のインバータ6a、6bを備えていることに対応して、制御装置2は2個のインバータ6a、6b及び2個の電動機MG1、MG2のそれぞれに対応する各機能部を備えているが、これらは同様の構成であるため、以下では、一方のインバータ6及び電動機MGを制御する機能部についてのみ説明することとする。図2に示すように、制御装置2はベクトル制御法を用いた電流フィードバック制御により電動機MG及びインバータ6を備えた電動機駆動装置1の制御を行う。ベクトル制御では、交流電動機MGの三相のそれぞれのステータコイルに流れるコイル電流を、ロータに配置された永久磁石が発生する磁界の方向であるd軸と、d軸に直交するq軸との2相のベクトル成分に座標変換して電流フィードバック制御を行う。
ベクトル制御における座標変換に際しては、電動機MGの回転状態を常に検出する必要がある。従って、図1に示すように、電動機MGの近傍にレゾルバなどの回転センサ8が備えられる。その検出結果である磁極位置θは制御装置2に入力される。上記のとおり、磁極位置θは電気角である。制御装置2には、更に目標トルクTMが入力される。そして、制御装置2は、これらの目標トルクTM、磁極位置θ、及び磁極位置θから導出される電動機MGの回転速度ωに応じて電動機MGを駆動するためのスイッチング制御信号Pu、Nu、Pv、Nv、Pw、Nwを生成して出力し、インバータ6を駆動制御する。スイッチング制御信号Pu、Nu、Pv、Nv、Pw、Nwは、インバータ6の各スイッチング素子に後述する複数の制御モードのいずれかに従ったスイッチング動作を行わせるための制御信号であり、具体的には、各スイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動信号である。
d軸電流指令値導出部11には、目標トルクTMが入力される。d軸電流指令値導出部11は、入力された目標トルクTMに基づいて基本d軸電流指令値Idbを導出する。ここで、基本d軸電流指令値Idbは、最大トルク制御を行う場合におけるd軸電流の指令値に相当する。なお、最大トルク制御とは、同一電流に対して電動機MGの出力トルクが最大となるように電流位相を調節する制御である。本実施形態では、d軸電流指令値導出部11は、目標トルクTMの値と基本d軸電流指令値との関係を規定したテーブルを用いて、目標トルクTMの値に応じた基本d軸電流指令値Idbを導出するように構成されている。導出された基本d軸電流指令値Idbは、減算器14へ入力される。減算器14には、更に、後述する電流調整指令値導出部16により導出されたd軸電流調整指令値ΔIdが入力される。減算器14は、下記の式(1)に示すように、基本d軸電流指令値Idbからd軸電流調整指令値ΔIdを減算し、最終的なd軸電流指令値Idを導出する。
Id=Idb−ΔId・・・(1)
q軸電流指令値導出部12には、目標トルクTM及びd軸電流調整指令値ΔIdが入力される。q軸電流指令値導出部12は、入力された目標トルクTMとd軸電流調整指令値ΔIdとに基づいてq軸電流指令値Iqを導出する。本実施形態では、q軸電流指令値導出部12は、少なくとも目標トルクTMの値とd軸電流調整指令値ΔIdとの関係を規定したテーブルを用いて、目標トルクTM及びd軸電流調整指令値ΔIdに応じたq軸電流指令値Iqを導出する。このようにして導出されたd軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqは、電動機MGを駆動する、互いに直交するベクトル成分を有する二相の電流の指令値である。従って、本実施形態においては、d軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqが本発明における「電流指令値」に相当する。
電流制御部13には、d軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqが入力される。更に、電流制御部13には、三相二相変換部36からd軸電流検出値Idr及びq軸電流検出値Iqrが入力され、回転速度導出部31から電動機MGの回転速度ωが入力される。d軸電流検出値Idr及びq軸電流検出値Iqrは、電動機MGのステータコイル(Mu、Mv、Mw)を実際に流れる電流の電流センサ7(図1を参照)による電流検出値(三相の電流検出値:u相電流検出値Iur、v相電流検出値Ivr、及びw相電流検出値Iwr)と回転センサ8(図1を参照)により検出された磁極位置θとに基づいて、三相二相変換部36により三相二相変換を行って導出される。また、電動機MGの回転速度ωは、回転センサ8(図1を参照)により検出された磁極位置θに基づいて回転速度導出部31により導出される。
電流制御部13は、二相の電流指令値であるd軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqと、電流検出値Iur、Ivr、Iwrを三相二相変換して得られる二相の電流検出値(d軸電流検出値Idr及びq軸電流検出値Iqr)と、電動機MGのロータの回転速度ωとに基づいて、電圧指令値Vd、Vqを導出する電流制御演算を行なう。この際、電流制御部13は、前記偏差に基づいて少なくとも比例制御及び積分制御を行って二相の電圧指令値Vd、Vqを決定する。具体的には、電流制御部13は、d軸電流指令値Idとd軸電流検出値Idrとの偏差であるd軸電流偏差δId、及びq軸電流指令値Iqとq軸電流検出値Iqrとの偏差であるq軸電流偏差δIqを導出する。そして、電流制御部13は、d軸電流偏差δIdに基づいて比例積分制御演算(PI制御演算)を行って電圧降下のd軸成分であるd軸電圧降下Vzdを導出すると共に、q軸電流偏差δIqに基づいて比例積分制御演算を行って電圧降下のq軸成分であるq軸電圧降下Vzqを導出する。
そして、電流制御部13は、下記の式(2)に示すように、d軸電圧降下Vzdからq軸電機子反作用Eqを減算してd軸電圧指令値Vdを導出する。
Vd=Vzd−Eq
=Vzd−ω・Lq・Iqr・・・(2)
この式(2)に示されるように、q軸電機子反作用Eqは、電動機MGの回転速度ω、q軸電流検出値Iqr、及びq軸インダクタンスLqに基づいて導出される。
更に、電流制御部13は、下記の式(3)に示すように、q軸電圧降下Vzqにd軸電機子反作用Ed及び永久磁石の電機子鎖交磁束による誘起電圧Emを加算してq軸電圧指令値Vqを導出する。
Vq=Vzq+Ed+Em
=Vzq+ω・Ld・Idr+ω・MIf・・・(3)
この式(3)に示されるように、d軸電機子反作用Edは、電動機MGの回転速度ω、d軸電流検出値Idr、及びd軸インダクタンスLdに基づいて導出される。また、誘起電圧Emは、永久磁石の電機子鎖交磁束の実効値により定まる誘起電圧定数MIf及び電動機MGの回転速度ωに基づいて導出される。
このようにして導出されたd軸電圧指令値Vd及びq軸電圧指令値Vqは、電動機MGを駆動する、互いに直交するベクトル成分を有する二相の電圧の指令値である。従って、本実施形態においては、d軸電圧指令値Vd及びq軸電圧指令値Vqが本発明における「電圧指令値」に相当する。そして、制御装置2は、d軸電圧指令値Vd及びq軸電圧指令値Vqからインバータ6を制御するためのスイッチング制御信号Pu、Nu、Pv、Nv、Pw、Nwを生成する電圧制御部21として、第一電圧制御部22及び第二電圧制御部23の2つの機能部を備えている。
第一電圧制御部22には、d軸電圧指令値Vd及びq軸電圧指令値Vqが入力される。更に、第一電圧制御部22には、不図示の電圧センサにより検出される直流電圧Vdcが入力される。第一電圧制御部22は、入力されたd軸電圧指令値Vd及びq軸電圧指令値Vqと直流電圧Vdcとに基づいて、変調率Mと電圧指令位相θvとを導出する第一電圧制御演算を行なう。ここで、変調率Mは、直流電圧Vdcに対するインバータ6の出力電圧波形の基本波成分の実効値の比率を表し、本例では直流電圧Vdcに対する二相の電圧指令値Vd、Vqの実効値の比率とされている。具体的には、変調率Mは、以下の式(4)に従って算出される。
M=√(Vd+Vq)/Vdc・・・(4)
電圧指令位相θvは、二相の電圧指令値Vd、Vqが表す電圧ベクトルの位相角であり、d軸電圧指令値Vdに係るd軸電圧ベクトルとq軸電圧指令値Vqに係るq軸電圧ベクトルとを合成して生成される合成電圧ベクトルと、d軸電圧指令値Vdに係るd軸電圧ベクトルとの成す角に相当する。本例では、電圧指令位相θvは、以下の式(5)に従って算出される。
θv=tan−1(Vq/Vd)・・・(5)
この電圧指令位相θvは、磁極位置θの原点(θ=0°)を基準としたu相電圧指令値Vuの原点の位相に相当する。
ところで、電動機MGは、回転速度ωが高くなるに従って誘起電圧が高くなり、電動機MGを駆動するために必要となる交流電圧(以下「必要電圧」という。)も高くなる。そして、この必要電圧が、そのときの直流電圧Vdcを変換してインバータ6から出力し得る最大の交流電圧(以下「最大出力電圧」という。)を超えると、ステータコイルに必要な電流を流すことができなくなり、電動機MGを適切に制御することができない。そのため、制御装置2は、電動機MGの界磁磁束を弱める方向の磁束がステータコイルから発生するように電流位相を調節する(最大トルク制御よりも進める)、所謂弱め界磁制御を行なうように構成されている。そこで、本実施形態では、第一電圧制御部22により導出された変調率Mに基づいて、d軸電流調整指令値ΔIdが導出され、導出されたd軸電流調整指令値ΔIdに基づいて基本d軸電流指令値Idb及びq軸電流指令値Iqが調整される構成となっている。
より具体的には、減算器17には、変調率M、及び当該変調率Mの理論上の最大値である「0.78」の値が入力される。減算器17は、下記の式(6)に示すように、変調率Mから「0.78」を減算した変調率偏差ΔMを導出する。
ΔM=M−0.78・・・(6)
電流調整指令値導出部16には、導出された変調率偏差ΔMが入力される。電流調整指令値導出部16は、この変調率偏差ΔMを所定のゲインを用いて積分し、当該積分値をd軸電流調整指令値ΔIdとして導出する。上記の式(1)に示すように、このd軸電流調整指令値ΔIdが基本d軸電流指令値Idbから減算されて最終的なd軸電流指令値Idが導出される。すなわち、このd軸電流調整指令値ΔIdが、電動機MGの界磁磁束を弱めるための弱め界磁指令値となる。
本実施形態に係る制御装置2は、電動機駆動装置を制御するための制御モードを決定するモード決定部51と、インバータ6のキャリア周波数を決定するキャリア周波数決定部52と、を更に備えている。モード決定部51には、入力変数として少なくとも目標トルクTM及び回転速度ωが入力される。モード決定部51は、入力された目標トルクTMと回転速度ωとに基づいて、電動機駆動装置1を制御するために予め設定された複数の制御モードの中から1つの制御モードを決定する。制御装置2はパラメータメモリ64等に制御モード決定用のマップを記憶して備えている。本実施形態においては、図3に示すように、このマップには電動機MGの動作可能領域として、第一領域A1、第二領域A2、及び第三領域A3の3つの領域が設定されている。そして、これに対応して、モード決定部51が選択可能な3つの制御モードが設定されている。すなわち、モード決定部51は、目標トルクTMと回転速度ωとの関係が第一領域A1内にある場合には第一制御モードを選択し、第二領域A2内にある場合には第二制御モードを選択し、第三領域A3内にある場合には第三制御モードを選択する。
ところで、電動機駆動装置1を制御するための制御モードに係る制御方法には、インバータ6から電動機MGに供給する交流電圧の波形に関してPWM制御及び矩形波制御の2つがあり、インバータ6から電動機MGに供給する交流電流の位相に関して最大トルク制御及び弱め界磁制御の2つがある。更に本実施形態では、PWM制御には、正弦波PWM制御と過変調PWM制御の2つの制御方式が含まれている。モード決定部51が選択可能な3つのモードは、これらを組み合わせて構成されている。
第一制御モードは、インバータ6における直流−交流変換に際して、インバータ6に最大トルク制御と共に正弦波PWM制御を行わせるモードである。正弦波PWM制御では、インバータ6の各スイッチング素子のオンオフを、正弦波状の交流電圧指令値Vu、Vv、Vwとキャリア(搬送波)との比較に基づいて制御する。正弦波状の交流電圧指令値Vu、Vv、Vwは、後述する第二電圧制御部23の三相指令値導出部35により導出される。
第二制御モードは、インバータ6における直流−交流変換に際して、インバータ6に最大トルク制御と共に過変調PWM制御を行わせるモードである。過変調PWM制御では、インバータ6の出力電圧波形の基本波成分の波形を歪ませて、正弦波PWM制御における正弦波状の交流電圧指令値Vu、Vv、Vwよりも振幅を大きくする。その状態で、正弦波PWM制御と同様にインバータ6の各スイッチング素子のオンオフを、歪んだ正弦波状の交流電圧指令値Vu、Vv、Vwとキャリアとの比較に基づいて制御する。これにより、交流電圧指令値Vu、Vv、Vwが搬送波の振幅を超える部分において連続的にハイレベル又はローレベルとなるPWM制御が行われる。歪んだ正弦波状の交流電圧指令値Vu、Vv、Vwは、後述する第二電圧制御部23の三相指令値導出部35により導出される。
第三制御モードは、インバータ6における直流−交流変換に際して、インバータ6に弱め界磁制御と共に矩形波制御を行わせるモードである。矩形波制御では、インバータ6の各スイッチング素子のオンオフを電気角1周(磁極位置θの360°)につき1回ずつ行わせるように制御する。このとき、各相の交流電圧指令値Vu、Vv、Vwは、1周期につきハイレベル期間とローレベル期間とが1回ずつ交互に表れる矩形波となる。従って、本実施形態では、第三制御モードでは、各相の交流電圧指令値Vu、Vv、Vwは、単にインバータ6の各スイッチング素子のオン又はオフを切り替えるタイミングを表す磁極位置θの位相であるオンオフ切替位相の指令値とされる。
なお、矩形波制御が行われる第三制御モードでは、磁極位置θとして検出される電動機MGの電気角の周期とインバータ6のスイッチング素子のオンオフタイミングの周期とを同期させる同期制御が行われる。一方、正弦波PWM制御が行われる第一制御モード及び過変調PWM制御が行われる第二制御モードでは、交流電圧指令値Vu、Vv、Vwの周期とスイッチング制御信号Pu、Nu、Pv、Nv、Pw、Nwのキャリアの周期とを同期させない非同期制御が行なわれる。すなわち、本実施形態においては、第三制御モードが「同期制御モード」に含まれ、第一制御モード及び第二制御モードが「非同期制御モード」に含まれる。モード決定部51は、このような同期制御モードと非同期制御モードとのいずれかを選択する機能を有している。そして、後述するように、モード決定部51が同期制御モードと非同期制御モードとのいずれを選択するかに応じて、第二電圧制御部23内の制御ブロックが電圧制御切替部46により切り替えられ、交流電圧指令値Vu、Vv、Vw及びスイッチング制御信号Pu、Nu、Pv、Nv、Pw、Nwを生成する方式が切り替えられる構成となっている。詳細については後述する。
本実施形態では更に、モード決定部51には、電流調整指令値導出部16により導出されたd軸電流調整指令値ΔIdが入力される。そして、モード決定部51は、入力されるd軸電流調整指令値ΔIdに基づいて、第三制御モードを選択することの可否を判定する。より具体的には、モード決定部51は、d軸電流調整指令値ΔIdが所定の第三制御モード移行許可閾値以上である場合には第三制御モードを選択することを許可し、一方、d軸電流調整指令値ΔIdが第三制御モード移行許可閾値未満である場合には第三制御モードを選択することを禁止する。従って、本実施形態に係るモード決定部51は、入力される目標トルクTMと回転速度ωとに基づいて制御モードを決定することを前提としつつ、更に入力されるd軸電流調整指令値ΔIdに基づいて制御モードの選択に一定の制限を課すように構成されている。より具体的には、モード決定部51は、d軸電流調整指令値ΔIdが第三制御モード移行許可閾値以上である場合には、目標トルクTMと回転速度ωとに基づいて第一制御モード、第二制御モード及び第三制御モードの中から制御モードを決定し、d軸電流調整指令値ΔIdが第三制御モード移行許可閾値未満である場合には、目標トルクTMと回転速度ωとに基づいて第一制御モード及び第二制御モードの中から制御モードを決定する。なお、本実施形態においては、目標トルクTM及び回転速度ω、更にはd軸電流調整指令値ΔIdが、本発明における「モード決定用入力変数」に相当する。
キャリア周波数決定部52には、入力変数として少なくとも回転速度ω及び第一電圧制御部22により導出された変調率Mが入力される。キャリア周波数決定部52は、入力された変調率Mと回転速度ωとに基づいて、インバータ6のスイッチング制御信号Pu、Nu、Pv、Nv、Pw、Nwのキャリア(搬送波)の周波数であるキャリア周波数Fcを決定する。本実施形態においては、制御装置2はパラメータメモリ64等にキャリア周波数決定用のマップを記憶して備えている。キャリア周波数決定部52は、変調率M及び回転速度ω等に応じて、インバータ6における損失や電動機MGにおける損失を低減するための最適なキャリア周波数Fcを決定する。この際、キャリア周波数決定部52は、例えば、予め定められた複数の選択可能なキャリア周波数の中から前記マップに基づいて最適なキャリア周波数を選択して決定する。なお、本実施形態においては、変調率M及び回転速度ωが本発明における「キャリア周波数決定用入力変数」に相当する。
第二電圧制御部23には、第一電圧制御部22により導出された変調率M及び電圧指令位相θvが入力される。更に、第二電圧制御部23には、回転センサ8(図1を参照)により検出された磁極位置θ及びキャリア周波数決定部52により決定されたキャリア周波数Fcが入力される。第二電圧制御部23は、入力された変調率M、電圧指令位相θv、磁極位置θ、及びキャリア周波数Fcに基づいて、交流電圧指令値Vu、Vv、Vwを決定し、インバータ6のスイッチング制御信号Pu、Nu、Pv、Nv、Pw、Nwを生成する第二電圧制御演算を行う。本実施形態においては、第二電圧制御部23は、三相指令値導出部35及び非同期制御信号生成部41、並びにオンオフ切替位相導出部43及び同期制御信号生成部42を備えている。
また、第一電圧制御部22と第二電圧制御部23との間には、電圧制御切替部46が設けられている。電圧制御切替部46は、モード決定部51により選択された制御モードに応じて第二電圧制御部23内の制御ブロックを切り替える。具体的には、非同期制御モードに含まれる第一制御モード又は第二制御モードが選択された場合には、第一電圧制御部22により導出された変調率M及び電圧指令位相θvを三相指令値導出部35へ入力し、三相指令値導出部35及び非同期制御信号生成部41に第二電圧制御演算を行わせる。一方、同期制御モードに含まれる第三制御モードが選択された場合には、第一電圧制御部22により導出された変調率M及び電圧指令位相θvをオンオフ切替位相導出部43へ入力し、オンオフ切替位相導出部43及び同期制御信号生成部42に第二電圧制御演算を行わせる。電圧制御切替部46は、モード決定部51により選択された制御モードに応じて、このような変調率M及び電圧指令位相θvの入力先の切り替えを行う。これにより、第二電圧制御部23は、モード決定部51により決定された制御モードに応じたスイッチング制御信号Pu、Nu、Pv、Nv、Pw、Nwを生成する。
三相指令値導出部35は、入力された変調率M及び電圧指令位相θvに基づいて、三相の正弦波状の交流電圧指令値Vu、Vv、Vwを生成する。図4は、三相指令値導出部35により生成される交流電圧指令値Vu、Vv、Vwの一例を示す図である。この図は、交流電圧指令値Vu、Vv、Vwが正弦波状の第一制御モードの電圧指令値である場合の例を示している。この場合、u相電圧指令値Vuは、磁極位置θの原点(θ=0°)に対して電圧指令位相θvだけ遅れた位相を有し、振幅が変調率Mに等しく、1周期が磁極位置θの1周(電気角1周、360°)に等しい正弦波状の電圧指令値となる。v相電圧指令値Vvはu相電圧指令値Vuに対して120°、w相電圧指令値Vwはu相電圧指令値Vuに対して240°、それぞれ位相が遅れた正弦波状の電圧指令値となる。また、第二制御モードが選択された場合には、交流電圧指令値Vu、Vv、Vwの波形は歪んだ正弦波状となるが、各指令値の位相及び振幅は図4と同様となる。
ここで、三相指令値導出部35は、交流電圧指令値Vu、Vv、Vwの波形を規定した交流電圧指令値マップを制御モード毎に備えており、モード決定部51により決定された制御モードに応じて、この交流電圧指令値マップに基づいて交流電圧指令値Vu、Vv、Vwを生成して出力する。交流電圧指令値マップは、例えば、第一制御モード用のマップでは、原点が磁極位置θの原点(θ=0°)に一致し、振幅が1である正弦波状の電圧波形を規定している。三相指令値導出部35は、このマップに規定された電圧波形の原点を電圧指令位相θvだけ遅らせると共に、振幅を変調率M倍にすることによりu相電圧指令値Vuを生成し、当該u相電圧指令値Vuの位相を120°、240°遅らせることにより相電圧指令値Vvとw相電圧指令値Vwを生成することができる。三相指令値導出部35は、制御モード毎に、異なる電圧波形のマップを備えている。
非同期制御信号生成部41には、三相指令値導出部35により生成された交流電圧指令値Vu、Vv、Vw及びキャリア周波数決定部52により決定されたキャリア周波数Fcが入力される。非同期制御信号生成部41は、この交流電圧指令値Vu、Vv、Vwに基づいて、インバータ6のスイッチング制御信号Pu、Nu、Pv、Nv、Pw、Nwを生成する。具体的には、非同期制御信号生成部41は、交流電圧指令値Vu、Vv、Vwとキャリア(搬送波)との比較を行い、インバータ6のu相上段、u相下段、v相上段、v相下段、w相上段、w相下段の各スイッチング素子のそれぞれをPWM制御するための6つのスイッチング制御信号Pu、Nu、Pv、Nv、Pw、Nwを生成する。この際、キャリア周波数Fcは交流電圧指令値Vu、Vv、Vwの周波数の整数倍とはなっておらず、よって、キャリア周波数Fcから求まるキャリア周期と交流電圧指令値Vu、Vv、Vwの周期とは同期していない。
オンオフ切替位相導出部43は、入力された変調率M及び電圧指令位相θvに基づいて、交流電圧指令値Vu、Vv、Vwとしてのインバータ6の各スイッチング素子のオンオフ切替位相の指令値を生成する。この指令値は、各スイッチング素子のオンオフ制御信号に対応し、各スイッチング素子のオン又はオフを切り替えるタイミングを表す磁極位置θの位相を表す指令値である。図5は、オンオフ切替位相導出部43により生成される交流電圧指令値Vu、Vv、Vwが表す内容を図示したものであり、各スイッチング素子のオン又はオフが切り替えられる位相を、横軸としての磁極位置θ上に示している。この例では、u相電圧指令値Vuは、磁極位置θの原点(θ=0°)に対して電圧指令位相θvだけ遅れた位相を有しており、磁極位置θの1周(電気角1周、360°)が1周期となっている。そして、電圧指令位相θvでu相上段のスイッチング素子に対応するスイッチング制御信号Puがオン、u相下段のスイッチング素子に対応するスイッチング制御信号Nuがオフされ、電圧指令位相θvから磁極位置θの半周(電気角半周、180°)でu相上段のスイッチング素子に対応するスイッチング制御信号Puがオフ、u相下段のスイッチング素子に対応するスイッチング制御信号Nuがオンされる。v相電圧指令値Vvはu相電圧指令値Vuに対して120°、w相電圧指令値Vwはu相電圧指令値Vuに対して240°、それぞれ位相が遅れる以外は同様の電圧指令値となる。なお、オンオフ切替位相導出部43から実際に出力する交流電圧指令値Vu、Vv、Vwは、u相、v相、w相のそれぞれについての各スイッチング素子のオン又はオフを切り替えるタイミングを表す磁極位置θの位相の情報のみにより構成することができる。従って、このようなオンオフ切替位相の指令値は、u相、v相、w相の指令値を一連の情報としてまとめて出力してもよい。
ここで、オンオフ切替位相導出部43は、交流電圧指令値Vu、Vv、Vwを構成する各スイッチング素子のオンオフ切替位相を規定したオンオフ切替位相マップを制御モード毎に備えており、このオンオフ切替位相マップに基づいて交流電圧指令値Vu、Vv、Vwを生成して出力する。オンオフ切替位相マップは、例えば、原点が磁極位置θの原点(θ=0°)に一致し、u相、v相、w相の各相について上段のスイッチング素子がオン、下段のスイッチング素子がオフの状態と、上段のスイッチング素子がオフ、下段のスイッチング素子がオンの状態とが切り替わる位相を規定するものとする。オンオフ切替位相導出部43は、このマップに規定されたオンオフ位相の原点を電圧指令位相θvだけ遅らせることによりu相電圧指令値Vuを生成し、当該u相電圧指令値Vuの位相を120°、240°遅らせることにより相電圧指令値Vvとw相電圧指令値Vwを生成することができる。
同期制御信号生成部42には、オンオフ切替位相導出部43により生成された交流電圧指令値Vu、Vv、Vwが入力される。同期制御信号生成部42は、この交流電圧指令値Vu、Vv、Vwに基づいて、インバータ6のスイッチング制御信号Pu、Nu、Pv、Nv、Pw、Nwを生成する。具体的には、同期制御信号生成部42は、インバータ6の各スイッチング素子のオンオフ切替位相の指令値に従い、インバータ6のu相上段、u相下段、v相上段、v相下段、w相上段、w相下段の各スイッチング素子のそれぞれのオン又はオフの状態を制御するための6つのスイッチング制御信号Pu、Nu、Pv、Nv、Pw、Nwを生成する。この際、同期制御信号生成部42を含む第二電圧制御部23は、所定の演算周期で電圧制御演算を行っており、各スイッチング制御信号Pu、Nu、Pv、Nv、Pw、Nwが所定の演算周期毎に出力され、各スイッチング素子のオンオフを切り替えるタイミングが変更される。従って、各スイッチング素子のオンオフを切り替えるタイミングは所定の演算周期毎に変更されるが、インバータ6は各スイッチング素子を電動機MGの回転速度ωに同期して制御される。
1−3.各機能部の演算周期の関係
次に、本発明の要部である、制御装置2に備えられた各機能部の演算周期の関係について説明する。ここでは特に、電流制御部13、第一電圧制御部22、第二電圧制御部23、モード決定部51、及びキャリア周波数決定部52の間の演算周期の関係について説明する。これらの機能部による一連の制御処理(電動機制御処理)は、CPU61のタイマ66(図1を参照)により計測される基準演算周期T0(基準となる制御周期)毎に、CPU61の割り込み機能の実行により開始される。なお、本例では、基準演算周期T0として300〔μs〕が設定されている場合を例として説明する。
また、以下の説明では、電流制御部13、第一電圧制御部22、第二電圧制御部23、モード決定部51、及びキャリア周波数決定部52による演算処理を、それぞれ電流制御処理、第一電圧制御処理、第二電圧制御処理、モード決定処理、及びキャリア周波数決定処理と称する。また、第二電圧制御部23による第二電圧制御処理の演算周期を第一演算周期T1、第一電圧制御部22による第一電圧制御処理の演算周期を第二演算周期T2、電流制御部13による電流制御処理の演算周期を第三演算周期T3、モード決定部51によるモード決定処理の演算周期を第四演算周期T4、及びキャリア周波数決定部52によるキャリア周波数決定処理の演算周期を第五演算周期T5とする。
各機能部の演算周期の説明に先立ち、まず、電流制御処理、第一電圧制御処理、第二電圧制御処理、モード決定処理、及びキャリア周波数決定処理を実行する際の各種の入力変数の更新周期について説明する。これまで説明してきたように、本実施形態では各種の入力変数には、目標トルクTM、磁極位置θ、電流検出値Idr、Iqr(Iur、Ivr、Iwr)、d軸電流調整指令値ΔId、回転速度ω、直流電圧Vdc、及び変調率Mが含まれる。本例では、これらの更新周期は、下記表1のようにそれぞれ所定の値が設定されている。なお、これらは説明を容易にするための一例である。
Figure 2011078251
表1に示すように、電動機MGを円滑に回転させることを可能とするべく、磁極位置θの更新周期は最短の演算周期となる基準演算周期T0(=300〔μs〕)に等しく設定されている。つまり、回転センサ8による磁極位置θの検出は、基準演算周期T0(=300〔μs〕)毎に行われる。一方、電流検出値Idr、Iqr(三相の電流検出値Iur、Ivr、Iwr)の更新周期は、基準演算周期T0の2倍(=600〔μs〕)に設定されている。つまり、電流センサ7による三相の電流検出値Iur、Ivr、Iwrの検出、及び三相二相変換部36による電流検出値Iur、Ivr、Iwrからのd軸電流検出値Idr及びq軸電流検出値Iqrへの変換は、磁極位置θが2回検出される毎に1回行われる。また、目標トルクTM、d軸電流調整指令値ΔId、回転速度ω、及び直流電圧Vdcの更新周期は、磁極位置θや電流検出値Idr、Iqrの更新周期に対して更に長い、基準演算周期T0の20倍(=6.0〔ms〕)に設定されている。なお、変調率Mの更新周期は、後述する第一電圧制御処理の第二演算周期T2である600〔μs〕となる。
入力変数の更新周期が上記のように設定されていることに対応して、電動機駆動装置1の制御装置2にとって、第二電圧制御処理、第一電圧制御処理、電流制御処理、モード決定処理、及びキャリア周波数決定処理の実行が完了し、それぞれの結果を得たい好適な周期は、例えば、下記表2に示すようにそれぞれ異なる。なお、各処理の周期は説明を容易にするための一例である。
Figure 2011078251
表2に示すように、本実施形態においては、第二電圧制御処理の結果が最も短い周期で必要とされる。電動機MGを円滑に回転させるためには、電動機MGの磁極位置θの変化に常に対応して、できるだけ高い分解能でインバータ6を制御するためのスイッチング制御信号Pu、Nu、Pv、Nv、Pw、Nwを生成して出力することが好ましいからである。つまり、第二電圧制御処理は、磁極位置θの更新周期に等しい周期で実行されることが好ましい。従って、本例では、第二電圧制御処理の演算周期T1は、磁極位置θの更新周期である300〔μs〕に等しく設定されている。上記のとおり、磁極位置θの更新周期は基準演算周期T0に等しく、これにより第二電圧制御処理も、CPU61による割り込み処理の周期である基準演算周期T0毎に実行されることになる。
本実施形態においては、電流制御処理の結果が、第二電圧制御処理に次いで短い周期で必要とされる。第二電圧制御処理を含む電圧制御部21による演算処理に用いられるd軸電圧指令値Vd及びq軸電圧指令値Vqを導出する演算処理である電流制御処理も、電動機MGに実際に流れる電流の検出値である電流検出値Idr、Iqr(Iur、Ivr、Iwr)の変化に応じて、短い周期で実行されることが好ましいからである。但し、最大トルク制御等、一般的な通常の電動機制御においては、スイッチング制御信号Pu、Nu、Pv、Nv、Pw、Nwを生成して出力する第二電圧制御処理よりも、電流制御処理の優先度を下げることができる。例えば、電流制御処理は、第二電圧制御処理が2回実行される間に1回実行されるようにすることもできる。従って、本例では、電流制御処理の第三演算周期T3は、第二電圧制御処理の第一演算周期T1よりも長く設定されており、より具体的には、第一演算周期T1の2倍(=600〔μs〕)に設定されている。これにより電流制御処理は、CPU61による割り込み処理の周期である基準演算周期T0の2回に1回実行され、第二電圧制御処理が2回実行される間に1回実行されることになる。なお本例では、電流制御処理の第三演算周期T3は、電流検出値Idr、Iqr(Iur、Ivr、Iwr)の更新周期に等しくなっている。
このとき、本実施形態のように2つの電動機MG1、MG2を電動機駆動装置1の制御対象として備えている場合には、図7によく示されているように、CPU61は、電動機MG1、MG2のそれぞれの電流制御処理を、第三演算周期T3の半周期(=基準演算周期T0)毎に交互に行うことができる。例えば、繰り返し実行される基準演算周期T0が奇数回目であるか偶数回目であるかが監視され、その結果に応じて第一電動機MG1に係る電流制御処理及び第二電動機MG2に係る電流制御処理のいずれか一方が実行される構成とすると好適である。
本実施形態においては、第一電圧制御処理の結果も、第二電圧制御処理に次いで短い周期で必要とされる。第二電圧制御処理に用いられる変調率M及び電圧指令位相θvを導出する演算処理である第一電圧制御処理も、極力短い周期で実行されることが好ましいからである。本実施形態では、第一電圧制御処理の第二演算周期T2は、600〔μs〕に設定されている。第一電圧制御処理では、第一電圧制御部22は、d軸電圧指令値Vd及びq軸電圧指令値Vqに基づいて変調率Mと電圧指令位相θvとを導出することから、第一電圧制御処理の第二演算周期T2を電流制御処理の第三演算周期T3よりも短くしても、d軸電圧指令値Vd及びq軸電圧指令値Vqが前回から変化していない場合には同じ変調率M及び電圧指令位相θvの値が導出されることになる。この場合、前回の第一電圧制御処理と同一の演算処理が繰り返され、不必要な演算処理が行われることになる。よって、本実施形態では、そのような不必要な演算処理を回避するべく、第一電圧制御処理の第二演算周期T2が、電流制御処理の第三演算周期T3に等しい600〔μs〕に設定されているのである。この場合、第一電圧制御処理の第二演算周期T2は、第二電圧制御処理の第一演算周期T1よりも長く、より具体的には、第二電圧制御処理の第一演算周期T1の2倍となっている。これにより第一電圧制御処理は、CPU61による割り込み処理の周期である基準演算周期T0の2回に1回実行され、第二電圧制御処理が2回実行される間に1回実行されることになる。また、電流制御処理が1回実行される間に1回実行されることになる。
このとき、本実施形態のように2つの電動機MG1、MG2を電動機駆動装置1の制御対象として備えている場合には、図7によく示されているように、電流制御処理の場合と同様、CPU61は、電動機MG1、MG2のそれぞれの第一電圧制御処理を、第二演算周期T2の半周期(=基準演算周期T0)毎に交互に行うことができる。例えば、繰り返し実行される基準演算周期T0が奇数回目であるか偶数回目であるかが監視され、その結果に応じて第一電動機MG1に係る第一電圧制御処理及び第二電動機MG2に係る第一電圧制御処理のいずれか一方が実行される構成とすると好適である。
なお、第一電圧制御部22が変調率Mと電圧指令位相θvとを導出するに際しては、直流電圧Vdcも参照されるが、直流電圧Vdcの変化速度はd軸電圧指令値Vd及びq軸電圧指令値Vqの変化速度に比べて十分に緩慢である。よって、直流電圧Vdcの更新周期は6.0〔ms〕と長く設定されているので、直流電圧Vdcの更新周期を考慮する必要性は低い。
本実施形態においては、モード決定処理やキャリア周波数決定処理の結果は、それ程短い周期では必要とされない。従って、これらの演算処理は、それぞれの入力変数の更新周期毎に実行される構成としておけば十分である。ここで、入力変数が複数存在する場合には、これらの演算処理は、当該複数の入力変数の更新周期の中で最も長い更新周期毎に実行される構成としておけば良い。上記のとおり、モード決定処理におけるモード決定用入力変数には、目標トルクTM、回転速度ω、及びd軸電流調整指令値ΔIdが含まれている。本例では、表1に示したように、これらの更新周期はいずれも第一電圧制御処理の第二演算周期T2(=600〔μs〕)よりも長い6.0〔ms〕に設定されている。よって、それに応じてモード決定処理の第四演算周期T4も6.0〔ms〕に設定されている。このように、モード決定処理の第四演算周期T4は、第一電圧制御処理の第二演算周期T2や第二電圧制御処理の第一演算周期T1よりも十分に長い。そして、本例では、モード決定処理は、第二電圧制御処理が20回(第一電圧制御処理及び電流制御処理が10回)実行される間に1回実行されることになる。
また、キャリア周波数決定処理におけるキャリア周波数決定用入力変数には、変調率M及び回転速度ωが含まれている。本例では、これらの中で更新周期の長い方である回転速度ωの更新周期は、第一電圧制御処理の第二演算周期T2(=600〔μs〕)よりも長い6.0〔ms〕に設定されている。よって、それに応じてキャリア周波数決定処理の第五演算周期T5も6.0〔ms〕に設定されている。このように、キャリア周波数決定処理の演算周期T5は、第一電圧制御処理の第二演算周期T2や第二電圧制御処理の第一演算周期T1よりも十分に長い。そして、本例では、キャリア周波数決定処理は、第二電圧制御処理が20回(第一電圧制御処理及び電流制御処理が10回)実行される間に1回実行されることになる。
1−4.電動機制御処理の手順
次に、本実施形態に係る電動機制御処理の手順について、図6のフローチャート及び図7のタイムチャートを参照して説明する。以下に説明する電動機制御処理の手順は、制御装置2の各機能部により実行される。なお、本実施形態では、制御装置2の各機能部はプログラムメモリ63(図1を参照)に格納された電動機制御プログラムにより構成されており、制御装置2が備える演算処理ユニットとしてのCPUコア62は、電動機制御プログラムを実行するコンピュータとして動作する。
本実施形態に係る電動機制御処理では、図7に示すように、その前提としてCPU61による割り込み処理の周期である基準演算周期T0毎に、第一電動機MG1の磁極位置サンプリング(PS1)と第二電動機MG2の磁極位置サンプリング(PS2)とが実行されている。この基準演算周期T0は、第二電圧制御処理の第一演算周期T1に等しい。また、基準演算周期T0の2倍の周期毎に、第一電動機MG1の電流値サンプリング(IS1)と第二電動機MG2の電流値サンプリング(IS2)とが実行されている。この基準演算周期T0の2倍の周期は、第一電圧制御処理の第二演算周期T2に等しい。このとき、第一電動機MG1の電流値サンプリング(IS1)の周期と、第二電動機MG2の電流値サンプリング(IS2)の周期とは、第一電圧制御処理の第二演算周期T2の半周期(基準演算周期T0に等しい)だけずれている。これにより、第一電動機MG1の電流値サンプリング(IS1)と第二電動機MG2の電流値サンプリング(IS2)とは、異なる基準演算周期T0内において交互に実行される。これらのサンプリング結果は、不図示のアナログメモリ等に一時的に記憶される。なお、磁極位置サンプリングにより各電動機MGの磁極位置θが検出され、電流値サンプリングにより各電動機MGを流れる電流の電流検出値Iur、IVr、Iwrが検出される。
CPU61の割り込み処理が実行されると(ステップ#01)、まず、第一演算周期T1(=基準演算周期T0)の実行回数が奇数回目であるか否かが判定される(ステップ#02)。第一演算周期T1の実行回数が奇数回目であると判定された場合には(ステップ#02:Yes)、例えば図7における1回目の第一演算周期T11に示すように、アナログメモリに一時的に記憶された第一電動機MG1の磁極位置θと電流検出値Iur、IVr、Iwrとが、A/Dコンバータ67(図1を参照)によりデジタルデータに変換されて取り込まれる(PT1+IT1、ステップ#03)。次に、第一電動機MG1についての電流制御処理が実行される(IC1、ステップ#04)。電流制御処理では、d軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqと、d軸電流検出値Idr及びq軸電流検出値Iqrと、電動機MGのロータの回転速度ωとに基づいて、d軸電圧指令値Vdとq軸電圧指令値Vqとが導出される。なお、本例では、この電流制御処理には、電流検出値Iur、Ivr、Iwrを三相二相変換してd軸電流検出値Idr及びq軸電流検出値Iqrを得る処理も含まれるものとする。次に、第一電動機MG1についての第一電圧制御処理が実行される(MC1、ステップ#05)。第一電圧制御処理では、d軸電圧指令値Vd及びq軸電圧指令値Vqと直流電圧Vdcとに基づいて、変調率Mと電圧指令位相θvとが導出される。次に、第一電動機MG1についての第二電圧制御処理が実行される(VC1、ステップ#06)。第二電圧制御処理では、変調率Mと電圧指令位相θvと磁極位置θとに基づいて、交流電圧指令値Vu、Vv、Vwが決定され、更にインバータ6のスイッチング制御信号Pu、Nu、Pv、Nv、Pw、Nwが生成される。
その後、アナログメモリに一時的に記憶された第二電動機MG2の磁極位置θが、A/Dコンバータ67によりデジタルデータに変換されて取り込まれる(PT2、ステップ#07)。次に、第二電動機MG2についての第二電圧制御処理が実行される(VC2、ステップ#08)。この第二電動機MG2についての第二電圧制御処理(VC2)で用いられる変調率M及び電圧指令位相θvとしては、1演算周期前(例えば図7における、第一演算周期T13から見た第一演算周期T12)に実行された第二電動機MG2についての第一電圧制御処理(MC2)で導出された情報がそのまま利用される。なお、図6及び図7には示されていないが、その後、第一演算周期T11が経過するまでの空き時間を利用して、モード決定処理やキャリア周波数決定処理等が実行される。これらモード決定処理やキャリア周波数決定処理は、複数の第一演算周期T1(例えば、第一演算周期T11〜T13等)に亘って実行されても良い。これらが複数の第一演算周期T1に亘って実行される場合には、各第一演算周期T1が経過した時点でCPU61の割り込み処理が実行されて上記演算は中断され、再度ステップ#01からの処理が実行される。中断される演算の途中結果は、ワークメモリ65等に一時的に記憶される。
一方、第一演算周期T1の実行回数が奇数回目ではない、すなわち偶数回目であると判定された場合には(ステップ#02:No)、例えば図7における2回目の第一演算周期T12に示すように、アナログメモリに一時的に記憶された第二電動機MG2の磁極位置θと電流検出値Iur、IVr、Iwrとが、A/Dコンバータ67によりデジタルデータに変換されて取り込まれる(PT2+IT2、ステップ#13)。次に、第二電動機MG2についての電流制御処理が実行される(IC2、ステップ#14)。次に、第二電動機MG2についての第一電圧制御処理が実行される(MC2、ステップ#15)。次に、第二電動機MG2についての第二電圧制御処理が実行される(VC2、ステップ#16)。
その後、アナログメモリに一時的に記憶された第一電動機MG1の磁極位置θが、A/Dコンバータ67によりデジタルデータに変換されて取り込まれる(PT1、ステップ#17)。次に、第一電動機MG1についての第二電圧制御処理が実行される(VC1、ステップ#18)。この第一電動機MG1についての第二電圧制御処理(VC1)で用いられる変調率M及び電圧指令位相θvとしては、1演算周期前(例えば図7における、第一演算周期T12からみた第一演算周期T11)に実行された第一電動機MG1についての第一電圧制御処理(MC1)で導出された情報がそのまま利用される。その後、上記と同様に、第一演算周期T1が経過するまでの空き時間を利用して、モード決定処理やキャリア周波数決定処理等が実行される。なお、当然ながら、偶奇においていずれの電動機MGに関する電流制御処理及び第一電圧制御処理を実施するかについては、適宜設定変更が可能である。
以上説明したような電動機制御処理を実行することにより、図7における第一演算周期T1(T11〜T14、基準演算周期T0に等しい)毎に、第一電動機MG1についての第二電圧制御処理(VC1)と第二電動機MG2についての第二電圧制御処理(VC2)とが1回ずつ実行される。上記のとおり、第二電圧制御処理(VC2)では、変調率Mと電圧指令位相θvと磁極位置θとに基づいて、第二電圧制御部23がインバータ6を制御するためのスイッチング制御信号Pu、Nu、Pv、Nv、Pw、Nwを生成する。従って、本実施形態では、各電動機MG1、MG2に対応する第二電圧制御部23は、各電動機MG1、MG2に対応するスイッチング制御信号Pu、Nu、Pv、Nv、Pw、Nwを生成する処理を、基準演算周期T0毎にそれぞれ完了させる。
一方、第一電動機MG1に対応する第一電圧制御部22は、図7における第二演算周期T2(基準演算周期T0の2倍に等しい)毎に、第一電動機MG1についての第一電圧制御処理(MC1)を1回ずつ実行する。より具体的には、第一電動機MG1に対応する第一電圧制御部22は、基準演算周期T0の2回に1回、第一電動機MG1についての変調率Mと電圧指令位相θvとを導出する第一電圧制御処理(MC1)を完了させると共に、2回の基準演算周期T0の中の他の1回については、第一電圧制御処理(MC1)を実行しない。同様に、第二電動機MG2に対応する第一電圧制御部22は、第二演算周期T2毎に、第二電動機MG2についての第一電圧制御処理(MC2)を1回ずつ実行する。より具体的には、第二電動機MG2に対応する第一電圧制御部22は、基準演算周期T0の2回に1回、第二電動機MG2についての変調率Mと電圧指令位相θvとを導出する第一電圧制御処理(MC2)を完了させると共に、2回の基準演算周期T0の中の他の1回については、第一電圧制御処理(MC2)を実行しない。このとき、第一電動機MG1に対応する第一電圧制御部22が第一電圧制御処理(MC1)を実行する第二演算周期T2(図7における、第二演算周期T21及びT23)と、第二電動機MG2に対応する第一電圧制御部22が第一電圧制御処理(MC2)を実行する第二演算周期T2(図7における、第二演算周期T22及びT24)とは、半周期(基準演算周期T0に等しい)ずれている。これにより、第一電動機MG1についての第一電圧制御処理(MC1)と第二電動機MG2についての第一電圧制御処理(MC2)とは、異なる基準演算周期T0内において交互に実行される。
従って、本実施形態では、基準演算周期T0の2回に1回、第一電動機MG1に対応する第一電圧制御部22は、第一電動機MG1についての第一電圧制御処理(MC1)を完了させると共に、当該第一電動機MG1についての第一電圧制御処理(MC1)を実行していない間である他の1回の基準演算周期T0に、第二電動機MG2に対応する第一電圧制御部22は、第二電動機MG2についての第一電圧制御処理(MC2)を完了させることになる。このような電動機制御処理によれば、基準演算周期T0毎に各電動機MG1、MG2に対応する第二電圧制御処理(VC1、VC2)が1回ずつ実行されて、スイッチング制御信号Pu、Nu、Pv、Nv、Pw、Nwがそれぞれ生成されるので、2つの電動機MG1、MG2のそれぞれを円滑に駆動させることができる。また、基準演算周期T0の2回に1回ずつ、各電動機MG1、MG2に対応する第一電圧制御処理(MC1、MC2)が交互に実行されて、2つの電動機MG1、MG2のそれぞれについて変調率Mと電圧指令位相θvとが順次導出される。よって、各電動機MG1、MG2についての変調率M及び電圧指令位相θvを適切な周期で更新させ、各電動機MG1、MG2についての第二電圧制御処理(VC1、VC2)を適切に行わせることができる。従って、単一のCPUコア62を用いて、最適な演算周期で2つの電動機MG1、MG2を適切に制御することが可能となっている。
このとき、本実施形態では、従来1つの演算周期(本例における第一演算周期T1)内で一括して行なわれていた、d軸電圧指令値Vd及びq軸電圧指令値Vqと磁極位置θとに基づいてスイッチング制御信号Pu、Nu、Pv、Nv、Pw、Nwを生成するまでの一連の電圧制御処理が、第一電圧制御処理と第二電圧制御処理とに分けられている。上記のとおり、第一電圧制御処理は、d軸電圧指令値Vd及びq軸電圧指令値Vqと直流電圧Vdcとに基づいて変調率Mと電圧指令位相θvとを導出する演算処理である。また、第二電圧制御処理は、第一電圧制御処理で導出された変調率M及び電圧指令位相θvと、磁極位置θとに基づいてスイッチング制御信号Pu、Nu、Pv、Nv、Pw、Nwを生成する演算処理である。本実施形態では、電流制御部13による電流制御処理の第三演算周期T3(=基準演算周期T0の2倍)及び電流検出値Idr、Iqrの更新周期(=基準演算周期T0の2倍)に合わせて、基準演算周期T0の2回に1回ずつ、第一電圧制御処理が実行される。よって、従来のように基準演算周期T0毎に1回ずつ一連の電圧制御処理の全体が実行される場合と比較して、CPUコア62による処理負荷の低減が図られている。一方、第二電圧制御処理は、基準演算周期T0毎に1回ずつ実行されるので、刻々と変化する磁極位置θに応じて基準演算周期T0毎に1回ずつスイッチング制御信号Pu、Nu、Pv、Nv、Pw、Nwを生成及び出力させて、電動機MGを適切に制御することができる。よって、本実施形態に係る電動機駆動装置1の制御装置2によれば、CPUコア62の処理負荷を低減しつつ、電動機MGを適切に制御して電動機MGを円滑に駆動させることができる。
2.第二の実施形態
本発明に係る電動機駆動装置1の制御装置2の第二の実施形態について説明する。本実施形態においても、電動機駆動装置1が、三相交流により動作する交流電動機としての埋込磁石構造の同期電動機MGを駆動制御する装置として構成されている場合を例として説明する。本実施形態に係る電動機駆動装置1及びその制御装置2のハードウエア構成、制御装置2のソフトウエア構成、並びに制御装置2の各機能部の演算周期の関係については、上記第一の実施形態と同様である。但し、本実施形態においては、図示は省略しているが、電動機駆動装置1の制御対象となる電動機MGが1つだけ備えられた構成とされている点で、上記第一の実施形態と相違している。また、それに伴い、電動機制御処理の手順が上記第一の実施形態と一部相違している。以下では、上記第一の実施形態との主要な相違点である、本実施形態に係る電動機制御処理の手順について説明する。
2−1.電動機制御処理の手順
本実施形態に係る電動機制御処理の手順について、図8のフローチャート及び図9のタイムチャートを参照して説明する。本実施形態に係る電動機制御処理では、図9に示すように、その前提としてCPU61による割り込み処理の周期である基準演算周期T0基準演算周期T0毎に、電動機MGの磁極位置サンプリング(PS)が実行されている。この基準演算周期T0は、第二電圧制御処理の第一演算周期T1に等しい。また、基準演算周期T0の2倍の周期毎に、電動機MGの電流値サンプリング(IS)が実行されている。この基準演算周期T0の2倍の周期は、第一電圧制御処理の第二演算周期T2に等しい。これらのサンプリング結果は、不図示のアナログメモリ等に一時的に記憶される。
CPU61の割り込み処理が実行されると(ステップ#21)、まず、第一演算周期T1(=基準演算周期T0)の実行回数が奇数回目であるか否かが判定される(ステップ#22)。第一演算周期T1の実行回数が奇数回目であると判定された場合には(ステップ#22:Yes)、例えば図9における1回目の第一演算周期T11に示すように、アナログメモリに一時的に記憶された電動機MGの磁極位置θと電流検出値Iur、IVr、Iwrとが、A/Dコンバータ67(図1を参照)によりデジタルデータに変換されて取り込まれる(PT+IT、ステップ#23)。次に、電流制御処理が実行される(IC、ステップ#24)。次に、第一電圧制御処理が実行される(MC、ステップ#25)。次に、第二電圧制御処理が実行される(VC、ステップ#26)。なお、図6及び図7には示されていないが、その後、第一演算周期T11が経過するまでの空き時間を利用して、モード決定処理やキャリア周波数決定処理等が実行される。この点に関しては上記第一の実施形態と同様である。
一方、第一演算周期T1の実行回数が奇数回目ではない、すなわち偶数回目であると判定された場合には(ステップ#22:No)、例えば図9における2回目の第一演算周期T12に示すように、アナログメモリに一時的に記憶された電動機MGの磁極位置θのみが、A/Dコンバータ67によりデジタルデータに変換されて取り込まれる(PT、ステップ#33)。次に、第二電圧制御処理が実行される(VC、ステップ#26)。この偶数回目の演算周期であるT12における第二電圧制御処理(VC)で用いられる変調率M及び電圧指令位相θvとしては、1演算周期前(例えば図7における、第一演算周期T12から見た第一演算周期T11)に実行された第一電圧制御処理(MC)で導出された情報がそのまま利用される。その後、上記と同様に、第一演算周期T1が経過するまでの空き時間を利用して、モード決定処理やキャリア周波数決定処理等が実行される。
〔その他の実施形態〕
(1)上記の各実施形態においては、第一電圧制御処理の第二演算周期T2が、電流制御処理の第三演算周期T3に等しく設定されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、第一電圧制御処理の第二演算周期T2が、電流制御処理の第三演算周期T3よりも短く、或いは電流制御処理の第三演算周期T3よりも長く設定された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。例えば、第一電圧制御処理の第二演算周期T2を、第二電圧制御処理の第一演算周期T1よりも長く、かつ、電流制御処理の第三演算周期T3よりも短く設定しても好適である。この場合であっても、不必要な演算処理が多少は行われる可能性があるが、少なくともCPUコア62の処理負荷を低減しつつ電動機MGについての変調率M及び電圧指令位相θvを適切な周期で更新させることができる。
(2)上記の各実施形態においては、第一電圧制御処理の第二演算周期T2及び電流制御処理の第三演算周期T3が等しい場合において、これらがいずれも第二電圧制御処理の第一演算周期T1の2倍に設定されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、これらの演算周期T2、T3は少なくとも第二電圧制御処理の第一演算周期T1の、2以上の整数倍に設定されていれば好適であり、例えばこれらの演算周期T2、T3が第二電圧制御処理の第一演算周期T1の3倍、4倍、・・・等に設定された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(3)上記の各実施形態においては、第一電圧制御処理の第二演算周期T2及び電流制御処理の第三演算周期T3が、いずれも第二電圧制御処理の第一演算周期T1の整数倍(ここでは、2倍)に設定されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、これらの演算周期T2、T3が第二電圧制御処理の第一演算周期T1よりも長い場合において、これらの演算周期T2、T3が第二電圧制御処理の第一演算周期T1の整数倍とはされていない構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。例えば、第一電圧制御処理の第二演算周期T2に関して、第一電圧制御処理の第二演算周期T2と第二電圧制御処理の第一演算周期T1との比を、T2:T1=5:2等に設定することも可能である。電流制御処理の第三演算周期T3についても同様である。
(4)上記の各実施形態においては、モード決定部51が選択可能な複数の制御モードとして、インバータ6に最大トルク制御と共に正弦波PWM制御を行わせる第一制御モード、インバータ6に最大トルク制御と共に過変調PWM制御を行わせる第二制御モード、及びインバータ6に弱め界磁制御と共に矩形波制御を行わせる第三制御モード、の3つの制御モードが設定されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えばこれらのうちのいずれか2つの制御モードのみが設定された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。或いは、これらに加えて(又はこれらに代えて)、一又は二以上の他の制御モードを更に選択可能に備えた構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、モード決定部51が選択可能な複数の制御モードには、例えばインバータ6から電動機MGに供給する交流電圧の波形に関して、正弦波PWM制御、過変調PWM制御、二相変調PWM制御、及び空間ベクトルPWM制御等、インバータ6から電動機MGに供給する交流電流の位相に関して、最大トルク制御、弱め界磁制御、及び強め界磁制御等、を組み合わせることにより実現可能な制御モードが含まれる構成とすると好適である。
(5)上記の各実施形態においては、モード決定部51がd軸電流調整指令値ΔIdに基づいて制御モードの選択に一定の制限を課すように構成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、そのような一定の制限が課されることなく、モード決定部51が目標トルクTMと回転速度ωとに基づいて自由に制御モードを決定可能な構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、目標トルクTM及び回転速度ωのみが、本発明における「モード決定用入力変数」に相当することになる。
(6)上記の各実施形態においては、モード決定部51が目標トルクTMと回転速度ωとd軸電流調整指令値ΔIdとに基づいて制御モードを決定するように構成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、少なくとも制御モードが適切に決定されるのであれば、例えばモード決定部51が回転速度ωと第一電圧制御部22により導出される変調率Mとに基づいて制御モードを決定するように構成することも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、回転速度ω及び変調率Mが、本発明における「モード決定用入力変数」に相当することになる。
(7)上記の各実施形態においては、キャリア周波数決定部52が変調率Mと回転速度ωとに基づいてキャリア周波数Fcを決定するように構成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、少なくともキャリア周波数Fcが適切に決定されるのであれば、例えばキャリア周波数決定部52が目標トルクTMと回転速度ωとに基づいてキャリア周波数Fcを決定するように構成することも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、目標トルクTM及び回転速度ωが、本発明における「キャリア周波数決定用入力変数」に相当することになる。
(8)上記の各実施形態においては、基準演算周期T0が300〔μs〕に設定されると共に、各入力変数の更新周期が表1のように設定され、更に各演算処理の演算周期が表2のように設定されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、これらの設定値はあくまで一例であり、適宜設定変更が可能である。但し、その場合においても、上記の各実施形態において説明した技術的思想に従って、各入力変数の更新周期や各演算処理の演算周期の相互間の関係が決定される。
(9)上記の第一の実施形態においては、電動機駆動装置1が、2個の電動機MG1、MG2を制御対象とすると共に、2個の電動機MG1、MG2のそれぞれに対応する2個のインバータ6a、6bを備えており、制御装置2は、これら2個のインバータ6a、6bを制御することにより2個の電動機MG1、MG2を制御するように構成されている場合を例として説明した。そして、その場合において、2個の電動機MG1、MG2を単一のCPUコア62を用いて制御するように構成されている場合を例として説明した。また、上記の第二の実施形態においては、電動機駆動装置1の制御対象となる電動機MGを1つだけ備えて構成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれらに限定されない。すなわち、例えば電動機駆動装置1が、Nを3以上の整数として、N個の電動機MGを制御対象とすると共に、N個の電動機MGのそれぞれに対応するN個のインバータ6を備えており、制御装置2は、これらN個のインバータ6を制御することによりN個の電動機MGを制御するように構成することも、本発明の好適な実施形態の一つである。
そして、この場合においても、N個の電動機MGを制御対象とする電動機駆動装置1を、単一のCPUコア62を用いて制御するように構成すると好適である。この場合、第一電圧制御処理の第二演算周期T2を第二電圧制御処理の第一演算周期T1のN倍以上に設定することにより、そのような構成が適切に実現できる。すなわち、上記のような周期設定を採用することにより、N個の電動機MGに対応するそれぞれの第二電圧制御部23が、各電動機MGに対応するスイッチング制御信号Pu、Nu、Pv、Nv、Pw、Nwを生成する処理を第一演算周期T1毎にそれぞれ完了させると共に、N個の電動機MGに対応するそれぞれの第一電圧制御部22が、第一演算周期T1のN回に1回、対応する電動機MGについての第一電圧制御処理を順次完了させる構成を適切に実現できる。
(10)上記の各実施形態においては、電動車両やハイブリッド車両等の駆動力源として用いられる電動機MGを制御対象とする電動機駆動装置1の制御装置2に、本発明を適用した場合を例として説明した。しかし、本発明の適用範囲はこれに限定されない。すなわち、交流電動機を制御対象とするあらゆる装置や機器を制御するために、本発明を適用することが可能である。
本発明は、直流電圧を交流電圧に変換して交流電動機に供給する直流交流変換部を備えた電動機駆動装置を、ベクトル制御法により制御する制御装置に好適に利用することができる。
1 電動機駆動装置
2 制御装置
6 インバータ(直流交流変換部)
13 電流制御部
21 電圧制御部
22 第一電圧制御部
23 第二電圧制御部
51 モード決定部
52 キャリア周波数決定部
62 CPUコア(演算処理ユニット)
MG 電動機(交流電動機)
MG1 第一電動機(交流電動機)
MG2 第二電動機(交流電動機)
Id d軸電流指令値(電流指令値)
Iq q軸電流指令値(電流指令値)
Vd d軸電圧指令値(電圧指令値)
Vq q軸電圧指令値(電圧指令値)
M 変調率
θv 電圧指令位相
Pu スイッチング制御信号(制御信号)
Pv スイッチング制御信号(制御信号)
Pw スイッチング制御信号(制御信号)
Nu スイッチング制御信号(制御信号)
Nv スイッチング制御信号(制御信号)
Nw スイッチング制御信号(制御信号)
θ 磁極位置
ω 回転速度
Vdc 直流電圧
Fc キャリア周波数
T0 基準演算周期
T1 第一演算周期(第二電圧制御処理の演算周期)
T2 第二演算周期(第一電圧制御処理の演算周期)
T3 第三演算周期(電流制御処理の演算周期)
T4 第四演算周期(モード決定処理の演算周期)
T5 第五演算周期(キャリア周波数決定処理の演算周期)

Claims (6)

  1. 直流電圧を交流電圧に変換して交流電動機に供給する直流交流変換部を備えた電動機駆動装置を、ベクトル制御法により制御する制御装置であって、
    前記交流電動機を駆動するための二相の電圧の指令値である電圧指令値から前記直流交流変換部を制御するための制御信号を生成する電圧制御部として、
    前記電圧指令値と前記直流交流変換部に供給される実際の直流電圧とに基づいて、直流電圧に対する前記電圧指令値の実効値の比率を表す変調率と前記電圧指令値が表す電圧ベクトルの位相角である電圧指令位相とを導出する第一電圧制御部と、
    前記変調率と前記電圧指令位相と前記交流電動機の回転子の回転角を表す磁極位置とに基づいて、前記制御信号を生成する第二電圧制御部と、を備え、
    前記第一電圧制御部の演算周期が、前記第二電圧制御部の演算周期よりも長く設定されている電動機駆動装置の制御装置。
  2. 前記交流電動機を駆動する二相の電流の指令値である電流指令値と前記交流電動機を流れる実際の電流と前記回転子の回転速度とに基づいて、前記電圧指令値を導出する電流制御部を備え、
    前記第一電圧制御部の演算周期が、前記電流制御部の演算周期に等しく設定されている請求項1に記載の電動機駆動装置の制御装置。
  3. 前記電流制御部及び前記第一電圧制御部の演算周期が、前記第二電圧制御部の演算周期のN倍(Nは2以上の整数)に設定されている請求項2に記載の電動機駆動装置の制御装置。
  4. 所定のモード決定用入力変数に基づいて、前記電動機駆動装置を制御するために予め設定された複数の制御モードの中から1つの制御モードを決定するモード決定部を更に備え、
    前記第二電圧制御部は、前記モード決定部により決定された制御モードに応じた前記制御信号を生成し、
    前記モード決定用入力変数の更新周期が前記第一電圧制御部の演算周期よりも長く設定され、前記モード決定部の演算周期が、前記モード決定用入力変数の更新周期に等しく設定されている請求項1から3のいずれか一項に記載の電動機駆動装置の制御装置。
  5. 所定のキャリア周波数決定用入力変数に基づいて、前記直流交流変換部のキャリア周波数を決定するキャリア周波数決定部を更に備え、
    前記キャリア周波数決定用入力変数の更新周期が前記第一電圧制御部の演算周期よりも長く設定され、前記キャリア周波数決定部の演算周期が、前記キャリア周波数決定用入力変数の更新周期に等しく設定されている請求項1から4のいずれか一項に記載の電動機駆動装置の制御装置。
  6. 前記第一電圧制御部の演算周期が、前記第二電圧制御部の演算周期のN倍(Nは2以上の整数)に設定されると共に、N個の前記交流電動機を制御対象とする前記電動機駆動装置を、単一の演算処理ユニットを用いて制御するように構成され、
    所定時間に設定された基準演算周期毎に、前記第二電圧制御部は、各交流電動機に対応した前記制御信号を生成する生成処理をそれぞれ完了させ、
    前記基準演算周期のN回に1回、前記第一電圧制御部は、N個の前記交流電動機のうちの1つについて前記変調率と前記電圧指令位相とを導出する導出処理を完了させると共に、当該1つの交流電動機についての前記導出処理を実行していない間に、他の交流電動機についての前記導出処理を完了させる請求項1から5のいずれか一項に記載の電動機駆動装置の制御装置。
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