JP2011074522A - エアバッグ用コート布 - Google Patents

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Abstract

【課題】ASTM D−5427で規定されるサイクルエージングテスト後でも優れた接着性を有するエアバッグ用コート布を提供する。
【解決方法】少なくとも片面にシリコーン樹脂組成物を塗布してなる合成繊維織物から構成されたエアバッグ用コート布であって、乾燥後の樹脂組成物の塗布量が35g/m2以下であり、ISO5981で規定されるスクラブテストにおいて、初期の達成回数が1,500回以上であり、かつASTM D−5427で規定されるサイクルエージングテスト後の達成回数が700回以上であることを特徴とするエアバッグ用コート布。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車用エアバッグに用いるコート布に関し、更に詳しくは特にナイロン66等の合成繊維織物からなる基布の少なくとも片面に合成樹脂を塗布してなる、サイクルエージング処理した後でも優れた接着性を有するエアバッグ用コート布に関する。
自動車用エアバッグは、衝突の際、衝撃を受けてセンサーが作動し、高温、高圧のガスを発生させ、このガスにより、エアバッグを瞬間的に膨張させ、衝突時に乗員の顔面、前頭部などの人体を保護する目的で使用される。近年、安全装備の一つとして幅広く普及しており、運転席、助手席のみならず、ニーバッグ、サイドバッグ、カーテンエアバッグ等の実用化が進み、複数のエアバッグが標準装備として装着される自動車も増加している。
エアバッグは、軽量化、収納性向上の観点より、運転席、助手席用のエアバッグにはノンコート化が進められている。一方、とりわけ内圧保持性が要求されるサイドエアバッグ、カーテンエアバッグ等には、シリコーンなどの合成ゴムや樹脂を被覆したコーティング織物が、耐熱性、空気遮断性(低通気度)、難燃性が高いという点から使用されている。
また、上記以外のエアバッグの要求品質として、長期耐久性がある。エアバッグは、温度や湿度が大きく変化する環境下で長期間車内に保管されるため、一定条件下での高温・高湿度条件下における長期耐久性のみならず、車内の温湿度環境の変化を考慮し、マイナス温度領域から100℃以上の高温度領域までの温度変化を繰り返し行う、サイクル耐久性が重要な特性の一つとなっている。そのため、エアバッグ用布帛には、車内で長期間保管された後でも、バッグ展開時における高温、高伸長に耐える必要があるため、サイクルエージング後の接着性の変化が小さいことが要望されている。
そのため、長期間の高温・高湿度の条件下で保管した後においても、エアバッグの展開時における高温、高伸張に耐える、優れた接着性を有する、シリコーンゴムコーティング組成物の硬化皮膜が形成されてなるエアバッグが提案されている(例えば、特許文献1、2を参照)。
特開2005−82669号公報 特開2006−348410号公報
特許文献1には、1分子中にウレイド基を含有する有機ケイ素化合物、及び有機ケイ素化合物で変性されたイソシアヌル酸エステル及び/又はその(部分)加水分解縮合物から選ばれる1種又は2種以上の有機ケイ素化合物を用いるシリコーンゴム組成物の硬化皮膜をナイロン66織物に形成させたコート布が開示されている。温度80℃、湿度95%の湿熱条件下で、240時間放置後のスコットもみ試験による接着性は改善されている。しかしながら、サイクルエージング後の接着性については何ら記載がない。
また、特許文献2には、有機チタン化合物及び/又は有機ジルコニウム組成物を有するシリコーンゴム組成物の硬化皮膜をナイロン66織物に形成させたコート布が開示されている。特許文献1と同様に、湿熱試験後の接着性は改善されているものの、サイクルエージング後の接着性については何ら記載がない。
したがって、車内の温湿度環境の変化を考慮したサイクルエージング後でも接着性を確保する観点から、最適な基布の設計がこれまでなされていなかったのが実状である。
本発明の目的は、ASTM D−5427で規定されるサイクルエージングテスト後でも優れた接着性を有するエアバッグ用コート布を提供することにある。
前記の課題を解決することができる本発明のエアバッグ用コート布は、以下の構成よりなる。
すなわち、本発明は、少なくとも片面にシリコーン樹脂組成物を塗布してなる合成繊維織物から構成されたエアバッグ用コート布であって、乾燥後の樹脂組成物の塗布量が35g/m2以下であり、ISO5981で規定されるスクラブテストにおいて、初期の達成回数が1,500回以上であり、かつASTM D−5427で規定されるサイクルエージングテスト後の達成回数が700回以上であることを特徴とするエアバッグ用コート布である。
また、前記のシリコーン樹脂組成物は、下記(A)〜(D)を含有し、ケイ素原子に結合した水素原子のモル比(B1/B2)が1.0〜15.0であることが好ましい。
(A)1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上含有するオルガノポリシロキサン
(B1)平均分子量が2,000〜10,000である1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン
(B2)平均分子量が1,000以下である1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン
(C)付加反応触媒
(D)接着助剤
また、織物を構成する糸条の総繊度は、200〜470dtexであることが好ましい。さらに、織物のカバーファクターは、1,800〜2,500であることが好ましい。
本発明のエアバッグ用コート布は、サイクルエージング後であっても優れた接着性を有するため、車内で長期間保管した後でも、エアバッグの展開時における高温、高伸長の条件下でも接着性に優れている。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、分子量の大きいB1成分と分子量の小さいB2成分をそれぞれ単独で用いた場合における、基布とシリコーン樹脂組成物層との間の結合状態を示す説明図である。
以下本発明を詳述する。
<合成繊維織物>
本発明において、合成繊維織物とは、合成繊維糸条を用いて製織される織物を意味する。織物は、機械的強度に優れ、厚さを薄くできるという点で優れている。織物の組織は、特に限定されるものでなく、平織、綾織、朱子織およびこれらの変化織、多軸織などを用いることができる。これらの中でも、優れた機械的強度を有する平織物が特に好ましい。
合成繊維としては、特にナイロン66、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン12等の脂肪族ポリアミド繊維、アラミド繊維のような芳香族ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維が使用される。
他には、全芳香族ポリエステル繊維、ポリパラフェニン・ベンゾビス・オキサゾール繊維(PBO繊維)、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリエーテルケトン繊維等が挙げられる。ただし、経済性を勘案すると、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維が好ましく、特に好ましくはポリアミド6,6である。また、これらの繊維はその一部または全部が再利用された原材料より得られるものでもよい。
また、これらの合成繊維には、原糸製造工程や後加工工程での工程通過性を向上させるために、各種添加剤を含有させてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、平滑剤、帯電防止剤、増粘剤、難燃剤等が挙げられる。また、この合成繊維は原着糸や製糸後染色したものでもよい。また、単糸の断面は、通常の丸断面のほか、異形断面のどのようなものであってもよい。合成繊維は、マルチフィラメント糸を用いることが、柔軟性、コート面の平滑性の点から好ましい。
<コート布>
本発明で得られるコート布は、基布(織物)の両面にコートされた両面コート布であってもよいが、収納性の点から、片面にのみにコートされる片面コート布がより好ましい。
本発明のコート布の乾燥後の樹脂組成物の塗布量は、35g/m2以下が好ましく、より好ましくは、5〜30g/m2であり、更に好ましくは10〜25g/m2である。塗布量が35g/m2を超える場合、コート布全体の質量が増大し、軽量化の点から好ましくない。また、塗布層も硬くなり、収納性の点でも好ましくない。一方、塗布量が5g/m2より小さい場合には、軽量性及び収納性の点で好ましいが、燃焼性の点で好ましくない。
本発明におけるエアバッグ用コート布の接着性は、ISO5981で規定されるスクラブテストにおいて、初期の達成回数が1,500回以上であり、かつASTM D−5427で規定されるサイクルエージングテスト後の達成回数が700回以上であることが、車内で長期保管された後でも、エアバッグの展開時における高温、高伸長に耐えることを確認した。
サイクルエージングテスト後の達成回数が700回未満の場合、コンパクトに折り畳まれているエアバッグを急速に展開する際に、周りの固定物あるいはエアバッグ同士が擦れて、剥がれやすくなる。その結果、剥がれにより、エアバッグ内の空気保持時間が低減する、すなわち空気遮断性が低下する。より好ましくは、サイクルエージングテスト後の達成回数が1,000回以上である。
従来のコート布では、初期の接着性は十分満足するが、一般的に合成繊維にシリコーン樹脂を塗布したコート布では、例えば、ナイロン66繊維からなる合成繊維とシリコーン樹脂の熱膨張係数が大きく異なるため、マイナス温度領域から100℃以上の高温度領域への大幅な温度変化時に収縮、膨張が起こった際に、合成繊維とシリコーン樹脂間の界面での結合が切断され、接着性が低下するという問題がある。特に、サイクル試験ではこの温度変化が数回起こるために、特に接着性の低下が顕著に現れる。
このような問題に対し、本出願人は、平均分子量が2,000〜10,000のオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と、平均分子量が1,000以下のオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)を含む2種類以上のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用し、かつケイ素原子に結合した水素原子のモル比(B1/B2)を1.0〜15.0の範囲に調整することで、驚くべきことに、サイクルエージングテスト後の接着性が劇的に改善されることを見出した。
出願人は、サイクルエージングテスト後の接着性が劇的に改善される理由を以下のように考察している。
本発明のエアバッグ用コート布は、シリコーン樹脂組成物からなる硬化被膜と織物基布とを結合させ、それらの間の接着性を向上させるために、「シリコーン樹脂A−架橋剤(B1、B2)−接着助剤(例えば、エポキシ貴を有する有機ケイ素化合物)−織物基布」となるように塗布層を構成するシリコーン樹脂組成物の設計を行っている。
本発明では、これらの中でも、特に平均分子量が異なる2種類のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用し、それらのケイ素原子に結合した水素原子のモル比を特定の範囲とすることにより、シリコーン樹脂組成物からなる硬化被膜と織物基布とを接着させるエポキシ基を均一に配置させることができるという点に、特別な技術特徴を有する。
平均分子量が小さい架橋剤を使用すると、硬化被膜と織物基布との界面近くに存在させることができる。そのため、多くの接着点を設けることが可能となり、初期接着性向上に非常に有効である。
ところが、激しい温度変化が起こり、シリコーン樹脂組成物からなる硬化被膜と織物基布が膨張、収縮を繰り返す環境負荷を与えると、接着点が多い部分はそれらの変化よりも結合力が高いため結合は切れないが、接着点が少ない部分は結合が切れてしまう。
そこで、平均分子量が大きい架橋剤を併用することにより、接着点がある程度の間隔を有することができるため、サイクルエージングテスト後でも優れた接着性を得ることが可能になる。
本発明のコート層に用いられるシリコーン樹脂組成物は、以下の(A)〜(D)の成分を少なくとも含有する。以下、各成分について詳細に説明する。
(1)オルガノポリシロキサン(A)
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、本発明のコート布のコート層を構成する主剤となる成分であり、樹脂が硬化後、ゴム弾性を有するシリコーン樹脂膜になるために、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上含有する。また、(A)成分のオルガノポリシロキサンは、単独で用いても二種以上を併用してもよい。
(A)成分の分子構造としては、例えば、直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網状が挙げられるが、主鎖が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなる直鎖状であることが好ましい。また、(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子構造が直鎖状または分岐鎖状である場合、該オルガノポリシロキサンの分子中においてアルケニル基が結合するケイ素原子の位置は、分子鎖末端、分子鎖非末端のどちらか一方でも両方でもよい。架橋促進のためには、分子鎖末端、分子鎖非末端の両方にアルケニル基が存在する方が好ましい。
前記のケイ素原子結合アルケニル基は、炭素原子数が、通常2〜8、好ましくは2〜4であり、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等が挙げられる。これらのアルケニル基のなかでも、ビニル基が好適である。
(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子中において、前記のケイ素原子結合アルケニル基以外にケイ素原子に結合する有機基は、脂肪族不飽和結合を有しないものであれば特に限定されず、例えば、非置換または置換の炭素原子数が、通常1〜12、好ましくは1〜10の一価炭化水素基等が挙げられる。この非置換または置換の一価炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基等が挙げられるが、好ましくはアルキル基、アリール基であり、より好ましくはメチル基、フェニル基である。
(A)成分の25℃における粘度は、硬化物の繊維に対する接着性、ゴム強度、耐ブロッキング性等の物理的特性や作業性の点から、10,000〜50,000mPa・secが好ましく、特に好ましくは15,000〜45,000mPa・secである。
(2)オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1、B2)
本発明において、(B1)成分及び(B2)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(A)成分のオルガノポリシロキサンとヒドロシリル化付加反応し、架橋成分として作用するばかりでなく、シリコーン樹脂組成物からなる硬化被膜と基布(織物)との接着成分であるエポキシ基をつなぐ役割を果たす。そのため、本発明のコート布において接着性を向上させる点で重要な成分である。
本発明では、平均分子量の異なる2種類のオルガノハイドロジェンシロキサンを使用することが好ましい。平均分子量の大きい(B1)成分は、その平均分子量が2,000〜10,000であり、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
一方、平均分子量の小さい(B2)成分は、その平均分子量が1,000以下で、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
本発明において、(B1)成分及び(B2)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを、ある一定のケイ素原子に結合した水素原子のモル比で併用することが、初期の接着性及びサイクルエージングテスト後の接着性を向上させる点で極めて重要である。
平均分子量が2,000〜10,000のオルガノハイドロジェンシロキサン(B1)のみを用いた場合には、反応性が低減し、シリコーン樹脂膜の三次元網状構造の形成しにくくなり、シリコーン樹脂膜の機械的強度が低減する(図1の右側の模式図を参照)。また、エポキシ基を有するケイ素原子化合物との反応も十分に進まず、接着性が低下しやすくなる。
一方、平均分子量が1,000以下のオルガノハイドロジェンシロキサン(B2)のみを用いた場合には、エポキシ基を有するケイ素原子化合物との反応は進むが、ケイ素原子に結合した水素原子が分子鎖の中で密集した構造となる。そのため、エポキシ基と基布(織物)との結合点が局所的に集中し、サイクルエージング等の温度変化時に結合が切れやすい部分が生じる(図1の左側の模式図を参照)。
エポキシ基と基布(織物)との結合点を、ある程度の間隔を空けて均一にし、かつ必要十分なシリコーン樹脂膜の三次元網状構造を形成させるためには、平均分子量が異なる上記の2種類のオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1及びB2)を併用し、かつケイ素原子に結合した水素原子のモル比(B1/B2)を1.0〜15.0に調整することが大変重要であり。前記のモル比(B1/B2)は、1.5〜13.5がより好ましい。上記のモル比となるように調整すれば、B1及びB2をそれぞれ単独で用いてもよいし、また二種以上を併用してもよい。
ケイ素原子に結合した水素原子のモル比(B1/B2)は、下記のように算出することができる。なお、数値は、小数第2位を四捨五入して、小数第1位の桁に揃える。
モル比(B1/B2)=ケイ素原子に結合した水素原子のモル数(B1)
/ケイ素原子に結合した水素原子のモル数(B2)
ケイ素原子に結合した水素原子のモル数(B1)
=(B1においてケイ素原子に結合した水素原子の数(個)/B1の平均分子量)
×B1の配合量(質量%)
ケイ素原子に結合した水素原子のモル数(B2)
=(B2においてケイ素原子に結合した水素原子の数(個)/B2の平均分子量)
×B2の配合量(質量%)
(B1)成分及び(B2)成分の分子構造は、例えば、直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網目構造などの各種のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用することができる。
(B1)成分及び(B2)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1分子中に少なくとも2個以上のケイ素原子に結合した水素原子を有する。(B1)成分及び(B2)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが直鎖状構造を有する場合、これらのケイ素原子に結合した水素原子は、分子鎖末端及び分子鎖途中(すなわち、分子鎖非末端)のどちらか一方にのみ位置していても、その両方に位置していてもよい。
(B1)成分及び(B2)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、メチルフェニルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、環状メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルハイドロジェンシロキサン単位とSiO4/2単位からなる共重合体が用いられる。
特に、(B2)成分は、ケイ素原子に結合した水素原子のみ分子中に含有する、分子鎖の両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたオルガノポリシロキサンを使用することが好ましい。
分子鎖の両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたオルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記の一般式で示されるメチルハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
また、(B1)成分及び(B2)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、25℃における粘度が0.1〜1,000mPa・secであることが好ましく、特に好ましくは0.1〜500mPa・secである。
(B1)成分及び(B2)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの全配合量は、(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1個に対して[(B1)成分+(B2)成分]中のケイ素原子に結合した水素原子が、通常1〜20個、より好ましくは1〜10個、特に好ましくは1〜5個の範囲となる量である。
該配合量が、(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1個に対して[(B1)成分+(B2)成分]中のケイ素原子結合水素原子が1個未満となる量であると、得られたシリコーン樹脂組成物は十分に硬化しない場合がある。
一方、(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1個に対して(B)成分中のケイ素原子結合水素原子が20個を超える量であると、得られるシリコーン樹脂組成物の耐熱性が極端に低下する場合がある。
(3)付加反応触媒(C)
(C)成分の付加反応触媒は、(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基と(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子とのヒドロシリル化反応を、進行・促進させるたに使用される成分である。
付加反応触媒としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の白金族金属、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィン類、ビニルシロキサンまたはアセチレン化合物との配位化合物、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等の白金族金属化合物等が挙げられる。これらの中でも、白金化合物が好ましい。
(C)成分の配合量は、触媒としての有効量であればよいが、通常、(A)成分と(B)成分との合計量に対して、白金族金属の質量換算で、0.1〜1,000ppmであり、好ましくは1〜500ppmであり、更に好ましくは10〜100ppmである。付加反応触媒の配合量を前記の範囲内に調整することにより、付加反応により効果的に促進させることができる。
(4)接着助剤(D)
(D)成分の接着助剤は、シリコーン硬化膜と基布(織物)との接着性をさらに向上させる目的で使用される。代表的な接着助剤は、エポキシ基とケイ素原子結合アルコキシ基とを有する有機ケイ素化合物である。前記の有機ケイ素化合物の平均分子量は1,000以下であることが好ましく、より好ましくは800以下であり、更に好ましくは500以下である。接着助剤の平均分子量が大きすぎると、反応が迅速に進まない。
そこで、接着性を向上させるためには、加工温度をより高くするか、加工時間を長くする必要があり、コストが上昇するという問題がある。公知の化合物が使用可能であるが、接着性の観点より、少なくとも1個のエポキシ基と少なくとも1個のケイ素原子結合アルコキシ基とを有する化合物が好適である。
また、前記の有機ケイ素化合物は、シリコーン樹脂全量に対し0.3〜1.0質量%含有させることが好ましい。前記の有機ケイ素化合物の含有量が0.3質量%未満であれば、得られる組成物が十分な接着力を有しない場合がある。一方、有機ケイ素化合物の含有量が1.0質量%以上を超える場合には、接着性は向上するものの、(B)成分のポリハイドロジェンシロキサンのヒドロシリル基との反応が過剰に進み、シリコーン皮膜の網目構造の形成を阻害するため、膜強度が低下する。(D)成分は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
(D)成分としては、例えば、(a)アルコキシ基およびビニル基を有するエポキシ基含有オルガノポリシロキサン、(b)ケイ素原子結合水素原子を持つエポキシ基含有オルガノポリシロキサン、(c)ケイ素原子結合水素原子とアルコキシ基を有するエポキシ基含有オルガノポリシロキサン等のエポキシ基含有オルガノポリシロキサン、(d)ケイ素原子が結合した水素原子を有するアルコキシ基含有オルガノポリシロキサン、(e)γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロへキシルエチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシランなどのアルコキシ基またはアセトキシ基含有オルガノシラン等があげられる。これらは、1種または2種以上を併用して用いられる。これらの有機ケイ素化合物のうち、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシランまたはこれらの混合物が好ましい。
(5)その他
本発明のコート布のコート層を構成するシリコーン樹脂組成物には、前記(A)〜(D)成分以外にも、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の任意の成分を配合することができる。その具体例としては、反応制御剤、微粉末シリカ等の無機充填剤、可塑剤、チクソ性付与剤、顔料、染料、防カビ剤等が挙げられる。これらその他の成分は、各々、単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
シリコーン樹脂組成物に含有させる無機質充填剤は、従来からシリコーンゴムの補強、粘度調整、耐熱性向上、難燃性向上などを目的とする充填剤として使用されている。
最も代表的な充填剤は、微粉末シリカ粒子である。このシリカ粒子は、比表面積が、通常、50m2/g以上、好ましくは50〜400m2/g、特に好ましくは100〜300m2/gである。シリカ粒子の比表面積が前記の範囲にあると、得られた硬化物に優れた引裂強力を付与しやすい。比表面積は、BET法により測定される。
シリカ粒子は、単独で用いても二種以上を併用してもよい。シリカ粒子としては、例えば、石英、水晶、珪砂、珪藻土等の天然品、乾式シリカ、シリカヒューム、湿式シリカ、シリカゲル、コロイダルシリカ等の合成品が挙げられる。
これらのシリカはそのまま使用してもよいが、本発明のコート布のコート層を構成するシリコーン樹脂組成物に対して、より良好な流動性を付与させるために、シリカ粒子の表面を有機ケイ素化合物で疎水化処理した疎水性微粉末シリカ粒子を使用することが好ましい。前記の有機ケイ素化合物としては、例えば、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン等のメチルクロロシラン類、ジメチルポリシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ジメチルテトラビニルジシラザン等のヘキサオルガノジシラザンなどが挙げられる。
シリカ粒子の含有量は、シリコーン樹脂組成物に対して10〜20質量%、より好ましくは12〜20質量%である。10質量%未満であればシリコーンゴムの機械的強度が低下する。一方、シリカ粒子の含有量が20質量%を超える場合には、シリコーン樹脂組成物の流動性が低下しやすくなり、コーティング時の作業性が悪化するばかりでなく、樹脂が脆くなり、接着性が低下しやすくなる。
(4)塗布方法
シリコーン樹脂組成物の粘度は、10,000〜50,000mPa・secが好ましく、より好ましくは1,5000〜40,000mPa・secであり、更に好ましくは20,000〜35,000mPa・secである。粘度が10,000mPa・sec未満では、樹脂が織物内部に入りこむために、一定の塗布量を確保することが困難となり、通気性及び難燃性の観点より不利になる。一方、粘度が50,000mPa・secを超える場合には、塗布量を35g/m2以下に調整しようとすると、著しく塗工性が悪化する。上記の粘度範囲に調整できるのであれば、シリコーン樹脂は溶剤系、無溶剤系どちらでも構わないが、環境への影響を考慮し、無溶剤系が好ましく用いられる。
本発明において、シリコーン樹脂組成物を塗布する方法は、従来の公知の付与方法が用いられる。コート法としては、例えば、ナイフコート、コンマコート、ダイコート、グラビアロールコート、キスロールコート、スプレー法、Dip法等が挙げられる。
長尺の織物基布にシリコーン樹脂組成物をナイフコーティングで連続的に塗布する際、基布の進行方向における基布の張力を300〜700N/m、好ましくは400〜650N/mに制御することが好ましい。基布の張力が300N/m未満では、基布織物の耳部が嵩高くなり、基布の中央部と端部の塗布量に大きな差が生じ、幅方向の厚み変動が大きくなる。一方、基布の張力が700N/mを超える場合には、経緯のクリンプ率のバランスが崩れ、経方向及び緯方向共に塗布量を特定範囲に維持することが困難となり、防炎性が低下する。
塗布後のコーティング剤を乾燥、硬化させる方法としては、熱風、赤外光、マイクロウェーブ等など、一般に用いられる加熱方法が使用される。加熱温度、時間については、塗布したシリコーン樹脂が硬化するのに十分な温度に達していれば問題ないが、好ましくは加熱温度が150〜220℃、加熱時間が0.2〜5分であることが好ましい。
織物を構成する糸条の総繊度は、200〜470dtexであることが好ましい。総繊度が470dtexを超えると、基布の厚さが増大して剛性が高くなるため、エアバッグの収納性が悪くなる。一方、総繊度が200dtex未満の場合には、コート布の引張強力や引裂強力などのエアバッグ作動時の機械特性が不十分となりやすい。
織物を構成するカバーファクターは1,800〜2,500が好ましく、より好ましくは1,900〜2,450である。カバーファクターが1,800未満であると、エアバッグとして必要な物理特性(引張強力や引裂強力)が低下する傾向がある。一方、カバーファクターが2,500を超える場合には、製織性が困難になり、剛性が高くなるため収納性が悪化する傾向がある。なお、カバーファクター(CF)は、下記式により算出できる。なお、総繊度の単位は「デシテックス」であり、織密度の単位は「本/2.54cm」である。
CF=(経糸の総繊度)1/2×経糸密度+(緯糸の総繊度)1/2×緯糸密度
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、実施例における各種物性の評価は、下記の方法を用いた。
(1)シリコーン剤の分子量
1H−NMR、29Si−NMRで末端基を観測し、末端基と主鎖との積分比から平均分子量を求めた。該方法による平均分子量の算出法は、例えば、下記の刊行物に紹介されている。
井上 陽太郎、大阪府立産業技術総合研究所、テクニカルシートNo.8019、「核磁気共鳴法を用いた高分子材料の構造解析」、2009年3月31日発行
http://www2.tri.pref.osaka.jp/servlet/TechnicalSheet?type=Download&pid=8019
(2)総繊度
JIS L−1095 9.4.1記載の方法で測定した。
(3)フィラメント数
繊維糸条の断面写真よりフィラメント数を数えた。
(4)織物の密度
JIS L−1096 8.6.1記載の方法で測定した。
(5)樹脂の粘度
JIS K−7117記載の方法を用い、B型粘度計で測定する。
(6)塗布量
JIS L 1096 8.4.2記載の方法でコート布の質量を測定した。次に、ブランク試料として、樹脂を塗布せずにコーティング時と同じ条件で加工処理を行った後、JIS L 1096 8.4.2記載の方法に準拠し、ブランク試料の質量を測定した。その後、コート布の質量とブランク試料の質量との差を塗布量とした。なお、塗布量の単位は、1m2当たりの質量(g/m2)で表した。
(7)接着性
ISO5981に準拠し、コーティング面同士を合わせて、揉み試験機(井本製作所(株)製、IMC−15D7−A型)で測定を行った。なお、荷重は98N(10kgf)、架台とサンプル挟み部の下面との距離dは、6mm±0.1mmに調整した。
(実施例1)
総繊度が470dtex、72フィラメントのポリアミド66マルチフィラメント糸を平織りにてウォータージェットルームにて製織後、沸水にて収縮加工し、110℃で乾燥仕上げを行った。得られた織物は、経密度が46本/2.54cm、緯密度が46本/2.54cm、カバーファクターが1,994であった。
次に、下記の組成物からなり、粘度が20,000mPa・secである無溶剤系シリコーン樹脂組成物を調合した。上記の無溶剤系シリコーン樹脂組成物は、ケイ素原子に結合した水素原子のモル比(B1/B2)が2.2であった。
(無溶剤系シリコーン樹脂組成物の配合)
(a)ビニル基含有ジメチルポリシロキサン(A):100質量部
(平均分子量:26,000)
(b)メチルハイドロジェンポリシロキサン(B1):2.95質量部
(平均分子量:6,500、ケイ素原子に結合した水素原子数:47個)
(c)メチルハイドロジェンポリシロキサン(B2):0.75質量部
(平均分子量:760、ケイ素原子に結合した水素原子数:10個)
(d)白金触媒(C):50ppm(シリコーン樹脂組成物に対して)
(e)有機ケイ素化合物(D):0.5質量部
(平均分子量が240、エポキシ基とケイ素原子結合ビニル基とを有する)
(f)乾式シリカ粒子:14.6質量%(シリコーン樹脂組成物に対して)
(g)ベンガラ顔料:0.3質量部
前記の織物に、このシリコーン樹脂組成物をナイフコートにて塗布し、乾燥後の樹脂組成物の塗布量を25g/m2に調整した。次に、得られたコート布をASTM D−5427で規定されるサイクルエージング条件で処理を行った。得られたコート布は、表1に示すように、初期及びサイクルエージング後の接着性がいずれも極めて優れていた。
(実施例2)
乾燥後の樹脂組成物の塗布量を14g/m2に調整した以外は、実施例1同様にしてエアバッグ用コート布を得た。
得られたコート布は、表1に示すように、初期及びサイクルエージング後の接着性がいずれも極めて優れていた。
(実施例3)
実施例1において、(B1)成分を、メチルハイドロジェンポリシロキサン(平均分子量:6,600、ケイ素原子に結合した水素原子数:48個)に変更し、かつその配合量を2.70質量部に変更し、かつ(B2)成分の配合量を1.0質量部に変更した無溶剤系シリコーン樹脂組成物を用い、さらに乾燥後の樹脂組成物の塗布量を35g/m2に調整した以外は、実施例1と同様に実施してエアバッグ用コート布を得た。
上記の無溶剤系シリコーン樹脂組成物は、ケイ素原子に結合した水素原子のモル比(B1/B2)が1.5であった。得られたコート布は、表1に示すように、初期及びサイクルエージング後の接着性がいずれも極めて優れていた。
(実施例4)
総繊度が470dtex、144フィラメントのポリアミド66マルチフィラメント糸を平織りにてウォータージェットルームにて製織後、沸水にて収縮加工し、110℃で乾燥仕上げを行った。得られた織物は、経密度が54本/2.54cm、緯密度が54本/2.54cm、カバーファクターが2,341であった。
実施例1において、(B1)成分を、メチルハイドロジェンポリシロキサン(平均分子量:3,000、ケイ素原子に結合した水素原子数:50個)に変更した無溶剤系シリコーン樹脂組成物を、上記の織物に塗布した以外は、実施例1と同様にしてエアバッグ用コート布を得た。
上記の無溶剤系シリコーン樹脂組成物は、ケイ素原子に結合した水素原子のモル比(B1/B2)が5.0であった。得られたコート布は、表1に示すように、初期及びサイクルエージング後の接着性がいずれも極めて優れていた。
(実施例5)
実施例1において、(B1)成分を、メチルハイドロジェンポリシロキサン(平均分子量:8,500、ケイ素原子に結合した水素原子数:50個)に変更した無溶剤系シリコーン樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にしてエアバッグ用コート布を得た。
上記の無溶剤系シリコーン樹脂組成物は、ケイ素原子に結合した水素原子のモル比(B1/B2)が1.8であった。得られたコート布は、表1に示すように、初期及びサイクルエージング後の接着性がいずれも極めて優れていた。
(実施例6)
実施例1において、(B2)成分を、メチルハイドロジェンポリシロキサン(平均分子量:900、ケイ素原子に結合した水素原子数:10個)に変更した無溶剤系シリコーン樹脂組成物を用い、さらに乾燥後の樹脂組成物の塗布量を26g/m2に調整した以外は、実施例1と同様にしてエアバッグ用コート布を得た。
上記の無溶剤系シリコーン樹脂組成物は、ケイ素原子に結合した水素原子のモル比(B1/B2)が2.6であった。得られたコート布は、表1に示すように、初期及びサイクルエージング後の接着性がいずれも極めて優れていた。
(実施例7)
実施例1において、下記の3点の変更を行った以外は、実施例1と同様にしてエアバッグ用コート布を得た。
第1の変更点は、(B1)成分を2種類用いた点である。具体的には、(B1−1)成分として、メチルハイドロジェンポリシロキサン(平均分子量:6,900、ケイ素原子に結合した水素原子数:50個)を使用し、(B1−2)成分として、メチルハイドロジェンポリシロキサン(平均分子量:5,600、ケイ素原子に結合した水素原子数:40個)を使用した点である。
第2の変更点は、配合比の変更である。具体的には、(B1−1)成分を2.20質量部に、(B1−2)成分を1.25質量部に、(B2)成分を0.25質量部に変更した点である。
第3の変更点は、乾燥後の無溶剤系シリコーン樹脂組成物の塗布量を26g/m2に変更した点である。
上記の無溶剤系シリコーン樹脂組成物は、ケイ素原子に結合した水素原子のモル比(B1/B2)が7.6であった。得られたコート布は、表1に示すように、初期及びサイクルエージング後の接着性がいずれも極めて優れていた。
(実施例8)
実施例1において、下記の2点の変更を行った以外は、実施例1と同様にしてエアバッグ用コート布を得た。
第1の変更点は、(B1)成分を2種類用いた点である。具体的には、(B1−1)成分として、メチルハイドロジェンポリシロキサン(平均分子量:6,900、ケイ素原子に結合した水素原子数:50個)を使用し、(B1−2)成分として、メチルハイドロジェンポリシロキサン(平均分子量:5,600、ケイ素原子に結合した水素原子数:40個)を使用した点である。
第2の変更点は、配合比の変更である。具体的には、(B1−1)成分を2.20質量部に、(B1−2)成分を2.00質量部に、(B2)成分を0.175質量部に変更した点である。
上記の無溶剤系シリコーン樹脂組成物は、ケイ素原子に結合した水素原子のモル比(B1/B2)が13.2であった。得られたコート布は、表1に示すように、初期及びサイクルエージング後の接着性がいずれも極めて優れていた。
(比較例1)
実施例1において、(B1)成分を、メチルハイドロジェンポリシロキサン(平均分子量:11,300、ケイ素原子に結合した水素原子数:139個)に変更した無溶剤系シリコーン樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にしてエアバッグ用コート布を得た。
上記の無溶剤系シリコーン樹脂組成物は、ケイ素原子に結合した水素原子のモル比(B1/B2)が3.7であった。得られたコート布は、表1に示すように、初期の接着性が良好であったものの、サイクルエージング後の接着性が極めて劣っていた。
(比較例2)
実施例1において、(B1)成分を使用せず、乾燥後の樹脂組成物の塗布量を26g/m2に調整した以外は、実施例1と同様にしてエアバッグ用コート布を得た。得られたコート布は、表1に示すように、初期の接着性が良好であったものの、サイクルエージング後の接着性が極めて劣っていた。
(比較例3)
実施例1において、(B2)成分を使用せず、乾燥後の樹脂組成物の塗布量を15g/m2に調整した以外は、実施例1と同様にしてエアバッグ用コート布を得た。得られたコート布は、表1に示すように、初期及びサイクルエージング後の接着性がいずれも極めて劣っていた。
(比較例4)
実施例1において、(B1)成分を、メチルハイドロジェンポリシロキサン(平均分子量:6,900、ケイ素原子に結合した水素原子数:50個)に変更し、かつその配合量を2.20質量部に変更し、かつ(B2)成分の配合量を1.50質量部に変更した無溶剤系シリコーン樹脂組成物を用い、乾燥後の樹脂組成物の塗布量を26g/m2に調整した以外は、実施例1と同様にしてエアバッグ用コート布を得た。
上記の無溶剤系シリコーン樹脂組成物は、ケイ素原子に結合した水素原子のモル比(B1/B2)が0.8であった。得られたコート布は、表1に示すように、初期の接着性が良好であったものの、サイクルエージング後の接着性が極めて劣っていた。
(比較例5)
実施例1において、(B1)成分を、メチルハイドロジェンポリシロキサン(平均分子量:6,400、ケイ素原子に結合した水素原子数:46個)に変更し、かつその配合量を3.57質量部に変更し、かつ(B2)成分の配合量を0.11質量部に変更した無溶剤系シリコーン樹脂組成物を用い、乾燥後の樹脂組成物の塗布量を15g/m2に調整した以外は、実施例1と同様にしてエアバッグ用コート布を得た。
上記の無溶剤系シリコーン樹脂組成物は、ケイ素原子に結合した水素原子のモル比(B1/B2)が17.7であった。得られたコート布は、表1に示すように、初期及びサイクルエージング後の接着性がいずれも極めて劣っていた。
(比較例6)
実施例1において、(B2)成分を、メチルハイドロジェンポリシロキサン(平均分子量:1,100、ケイ素原子に結合した水素原子数:10個)に変更した無溶剤系シリコーン樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にしてエアバッグ用コート布を得た。
上記の無溶剤系シリコーン樹脂組成物は、ケイ素原子に結合した水素原子のモル比(B1/B2)が3.1であった。得られたコート布は、表1に示すように、初期の接着性が良好であったものの、サイクルエージング後の接着性が極めて劣っていた。
本発明によるエアバッグ用コート布は、サイクルエージング後であっても優れた接着性を有するため、車内で長期間保管された後であっても、エアバッグの展開時における高温、高伸長に耐えるエアバッグ用コート布を提供することができ、産業上の寄与は大である。

Claims (4)

  1. 少なくとも片面にシリコーン樹脂組成物を塗布してなる合成繊維織物から構成されたエアバッグ用コート布であって、乾燥後の樹脂組成物の塗布量が35g/m2以下であり、ISO5981で規定されるスクラブテストにおいて、初期の達成回数が1,500回以上であり、かつASTM D−5427で規定されるサイクルエージングテスト後の達成回数が700回以上であることを特徴とするエアバッグ用コート布。
  2. 前記のシリコーン樹脂組成物は、下記(A)〜(D)を含有し、ケイ素原子に結合した水素原子のモル比(B1/B2)が1.0〜15.0であることを特徴とする請求項1記載のエアバッグ用コート布。
    (A)1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上含有するオルガノポリシロキサン
    (B1)平均分子量が2,000〜10,000である1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン
    (B2)平均分子量が1,000以下である1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン
    (C)付加反応触媒
    (D)接着助剤
  3. 織物を構成する糸条の総繊度が、200〜470dtexである請求項1または2に記載のエアバッグ用コート布。
  4. 織物のカバーファクターが1,800〜2,500である請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアバッグ用コート布。
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