JP2011073380A - 加飾シート及びそれを用いてなる加飾樹脂成形品 - Google Patents

加飾シート及びそれを用いてなる加飾樹脂成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】三次元成形性と耐薬品性と耐傷付き性とを鼎立し得る表面保護層を有する加飾シートを提供すること。
【解決手段】基材上に少なくとも表面保護層を有する加飾シートであって、表面保護層が、少なくともアクリルシリコーン(メタ)アクリレート(A)と多官能(メタ)アクリレート(B)とを含有し、質量比(A)/(B)が(50/50)〜(95/5)である電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする加飾シート及びそれを用いてなる加飾樹脂成形品である。
【選択図】図1

Description

本発明は特定の電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる表面保護層を有する加飾シートに関する。
成形品の表面に加飾シートを積層することで加飾した加飾樹脂成形品が、車両内装部品などの各種用途で使用されている。このような加飾樹脂成形品の成形方法としては、加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形しておき、該成形シートを射出成形型に挿入し、流動状態の樹脂を型内に射出して樹脂と成形シートを一体化するインサート成形法(例えば、特許文献1参照)と射出成形の際に金型内に挿入された加飾シートを、キャビティ内に射出注入された溶融樹脂と一体化させ、樹脂成形品表面に加飾を施す射出成形同時加飾法(例えば、特許文献2、特許文献3参照)とがある。
ところで、アクリルシリコン樹脂は、アクリルポリマー鎖をシロキサン結合によって強固に架橋した構造を有し、耐候性、耐熱性、耐薬品性、耐水性に優れた特性を持ち、外装用塗料に広く使用されている。しかし、樹脂成形品の表面の耐傷付き性を向上させる目的で表面保護層として用いる場合、形成される皮膜が硬く脆くなりクラックが発生することがある。このクラックを防止するため、アクリルシリコン樹脂を表面保護層として用いる場合は、真空成形後のインサート成形用シート、あるいは射出成形後の樹脂成形品に紫外線硬化等の硬化処理を行っていた(例えば、特許文献4〜6参照)。
しかしながら、三次元加工後の成形品に硬化処理するのは煩雑であり経済性に劣り、均一な硬化処理もしにくい。
そこで、アクリルシリコン樹脂の優れた耐薬品性を維持しつつ、三次元成形性と耐傷付き性とを両立し得る表面保護層が要望されている。
特開2004−322501号公報 特公昭50−19132号公報 特公昭61−17255号公報 特開平6−57199号公報 特開平6−100799号公報 特開平6−287470号公報
本発明は、このような状況下で、三次元成形性と耐薬品性と耐傷付き性とを鼎立し得る表面保護層を有する加飾シートを提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、加飾シートの表面保護層を特定の電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物とすることにより、前記課題を解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)基材上に少なくとも表面保護層を有する加飾シートであって、表面保護層が、少なくともアクリルシリコーン(メタ)アクリレート(A)と多官能(メタ)アクリレート(B)とを含有し、質量比(A)/(B)が(50/50)〜(95/5)である電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする加飾シート、
(2)前記アクリルシリコーン(メタ)アクリレート(A)の重量平均分子量が、2,000〜100,000であることを特徴とする上記(1)に記載の加飾シート、
(3)前記アクリルシリコーン(メタ)アクリレート(A)の架橋点間平均分子量が、100〜2,500であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の加飾シート、及び
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の加飾シートを用いてなる加飾樹脂成形品を提供するものである。
本発明の加飾シートは、その表面保護層が優れた耐薬品性及び耐傷付き性と良好な三次元成形性とを同時に満足するので、インサート成形法及び射出成形同時加飾法のいずれにおいても、表面保護層にクラック等が入ることがなく、かつ三次元成形し易い加飾樹脂成形品を得ることができる。
本発明の加飾シートの一態様の断面を示す模式図である。
本発明の加飾シートは、基材上に少なくとも表面保護層を有する加飾シートであって、表面保護層が、少なくともアクリルシリコーン(メタ)アクリレート(A)と多官能(メタ)アクリレート(B)とを含有し、質量比(A)/(B)が(50/50)〜(95/5)である電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする。
ここで、電離放射線硬化性樹脂組成物とは、電離放射線硬化性樹脂を含有する組成物をいう。電離放射線硬化性樹脂とは、電磁波又は荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線又は電子線などを照射することにより、架橋、硬化する樹脂を指す。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂として、少なくともアクリルシリコーン(メタ)アクリレート(A)と多官能(メタ)アクリレート(B)とが用いられる。質量比(A)/(B)が(50/50)より小さいと(即ち、(A)及び(B)の合計量中、(A)の量が50質量%未満であると)、耐薬品性及び耐傷付き性が低下する。一方、質量比(A)/(B)が(95/5)より大きいと(即ち(A)及び(B)の合計量中、(A)の量が95質量%を超えると)、耐傷付き性及び三次元成形性が低下してしまう。
本発明において、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味し、他の類似するものも同様の意である。
本発明に用いられるアクリルシリコーン(メタ)アクリレート(A)は、特に限定されず、1分子中に、アクリル樹脂の構造の一部がシロキサン結合(Si−O)に置換しており、かつ官能基としてアクリル樹脂の側鎖及び/又は主鎖末端に(メタ)アクリロイルオキシ基(アクリロイルオキシ基又はメタアクリロイルオキシ基)を2個以上有しているものであれば良い。
このアクリルシリコーン(メタ)アクリレート(A)の例としては、例えば、特開2007−070544号公報に開示されるような側鎖にシロキサン結合を有するアクリル樹脂の構造が好ましく挙げられる。
本発明に用いられるアクリルシリコーン(メタ)アクリレート(A)は、例えばラジカル重合開始剤の存在下、シリコーンマクロモノマーを(メタ)アクリレートモノマーとラジカル共重合させることにより合成することができる。
(メタ)アクリレートモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これら(メタ)アクリレートモノマーは1種を単独で又は2種を組み合わせて用いられる。
シリコーンマクロモノマーは、例えば、n−ブチルリチウム又はリチウムシラノレートを重合開始剤として、ヘキサアルキルシクロトリシロキサンをリビングアニオン重合し、更にラジカル重合性不飽和基含有シランでキャッピングして合成される。シリコーンマクロモノマーとしては、下記式(1);
Figure 2011073380
で表される化合物が好適に用いられる。ここで、式(1)中、R1は、炭素数1〜4のアルキル基を示し、メチル基又はn−ブチル基が好ましい。R2は、1価の有機基を示し、−CH=CH2、−C64−CH=CH2、−(CH23O(CO)CH=CH2又は−(CH23O(CO)C(CH3)=CH2が好ましい。R3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜6の炭化水素基を示し、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基が好ましく、メチル基がより好ましい。また、nの数値は特に制限されず、例えばシリコーンマクロモノマーの数平均分子量が1000〜30000が好ましく、1000〜20000がより好ましい。
上述の原料を用いて得られるアクリルシリコーン(メタ)アクリレート(A)は、例えば、下記式(2)、(3)及び(4)で表される構造単位を有する。
Figure 2011073380
式(2)、(3)及び(4)中、R1、R3は式(1)におけるものと同義であり、R4は水素原子又はメチル基を示し、R5は上記(メタ)アクリレートモノマー中のアルキル基又はグリシジル基あるいは上記(メタ)アクリレートモノマー中のアルキル基又はグリシジル基等の官能基を有していてもよいアルキル基を示し、R6は(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基を示す。
上述のアクリルシリコーン(メタ)アクリレート(A)は、1種を単独で又は2種を組み合わせて用いられる。
上記のアクリルシリコーン(メタ)アクリレート(A)の分子量は、GPC分析によって測定され、かつ標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が、1,000以上であることが好ましく、2,000以上であることがより好ましい。アクリルシリコーン(メタ)アクリレート(A)の重量平均分子量の上限は特に制限されないが、粘度が高くなり過ぎないように制御する観点から150,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましい。三次元成形性と耐薬品性と耐傷付き性とを鼎立させる観点から、2,000〜100,000であることが特に好ましい。
また、アクリルシリコーン(メタ)アクリレート(A)の架橋点間平均分子量は、100〜2,500であることが好ましい。架橋点間平均分子量が100以上であれば、三次元成形性の観点から好ましく、2,500以下であれば、耐薬品性及び耐傷付き性の観点から好ましい。
本発明に用いられる多官能(メタ)アクリレートは、2官能以上の(メタ)アクリレートであれば良く、特に制限はない。ただし、硬化性を高める必要のある場合は3官能以上の(メタ)アクリレートが好ましく、三次元成形性を高める必要のある場合は2官能の(メタ)アクリレートが好ましい。ここで、n官能とは、分子内にエチレン性不飽和結合{(メタ)アクリロイル基又は(メタ)アクリロイルオキシ基}をn個有することをいう。
また、多官能(メタ)アクリレートは、オリゴマー及びモノマーのいずれでも良いが、三次元成形性向上の観点から多官能(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
上記の多官能(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えばウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーなどが挙げられる。ここで、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、他の多官能(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマーなどが挙げられる。
また、上記の多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
以上述べた多官能性(メタ)アクリレートオリゴマー及び多官能性(メタ)アクリレートモノマーは1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明に用いられる多官能(メタ)アクリレートは、三次元成形性と耐傷付き性とを両立させる観点から、後述する試験方法におけるヤング率が60〜2,000MPaであることが好ましく、100〜1,500MPaであることがより好ましい。
本発明においては、前記多官能性(メタ)アクリレートとともに、その粘度を低下させるなどの目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
電離放射線硬化性樹脂組成物として紫外線硬化性樹脂組成物を用いる場合には、光重合用開始剤を紫外線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されず、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタールなどが挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂組成物として電子線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂組成物は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、かつ、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
また本発明における表面保護層を構成する電離放射線硬化性樹脂組成物には、得られる硬化樹脂層の所望物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤などが挙げられる。
ここで、耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでも良く、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが挙げられる。一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。また、本発明のポリマーの表面保護層としての性能(耐傷付き性と三次元成形性)を損なわない程度に共重合して使用することもできる。
耐摩耗性向上剤としては、例えば無機物ではα−アルミナ、シリカ、カオリナイト、酸化鉄、ダイヤモンド、炭化ケイ素などの球状粒子が挙げられる。粒子形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形などが挙げられ、特に制限はないが、球状が好ましい。有機物では架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの合成樹脂ビーズが挙げられる。粒径は、通常膜厚の30〜200%程度とする。これらの中でも球状のα−アルミナは、硬度が高く、耐摩耗性の向上に対する効果が大きいこと、また、球状の粒子を比較的得やすい点で特に好ましいものである。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコールなどが、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどが用いられる。
着色剤としては、例えばキナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラックなどの公知の着色用顔料などが用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物などが用いられる。
次に、本発明の加飾シートの構成について図1を用いて詳細に説明する。
図1はインサート成形に用いる場合の本発明の加飾シート10の一態様の断面を示す模式図である。図1に示す例では、基材11上に絵柄層12、プライマー層及び表面保護層14が順次積層されている。ここで、表面保護層14は上述の電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化して形成されるものである。
基材11としては、真空成形適性を考慮して選定され、代表的には熱可塑性樹脂からなる樹脂シートが使用される。該熱可塑性樹脂としては、一般的には、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(以下「ABS樹脂」という)、アクリル樹脂、ポリプロピレン,ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂などが使用される。また、基材11は、これら樹脂の単層シート、あるいは同種又は異種樹脂による複層シートとして使用することができる。
基材の厚さは、用途に応じて選定されるが、通常、0.1〜1.0mm程度であり、コスト等を考慮すると0.3〜0.7mm程度が一般的である。
これらの基材はその上に設けられる層との密着性を向上させるために、所望により、片面又は両面に酸化法や凹凸化法などの物理的又は化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
また該基材はプライマー層を形成するなどの処理を施しても良いし、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていても良い。
図1に示される絵柄層12は加飾樹脂成形品に装飾性を与えるものであり、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される。模様としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)などの岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様などがあり、これらを複合した寄木、パッチワークなどの模様もある。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷などによっても形成される。
絵柄層12に用いる絵柄インキとしては、バインダーに顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂などの中から任意のものが、1種単独で又は2種以上を混合して用いられる。
着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルーなどの無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルーなどの有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮などの鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛などの鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料などが用いられる。
本発明の加飾シート10は、所望により、基材11と絵柄層12との間に隠蔽層(図示しない。)を設けても良い。基材11表面の色の変化、ばらつきにより、加飾シート10の柄の色に影響を及ぼさないようにする目的で設けられる。通常不透明色で形成することが多く、その厚さは1〜20μm程度の、いわゆるベタ印刷層が好適に用いられる。
本発明の加飾シート10は、表面保護層14の延伸部に微細な割れや白化を生じにくくするため、所望により、絵柄層12と表面保護層14との間にプライマー層13を設けることができる。プライマー層13を構成するプライマー組成物は、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル・ウレタン共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレンなどが用いられる。
(メタ)アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、2種以上の異なる(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体、又は(メタ)アクリル酸エステルと他のモノマーとの共重合体が挙げられ、具体的には、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体などの(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなる(メタ)アクリル樹脂が好適に用いられる。ここで(メタ)アクリルとはアクリル又はメタクリルを意味する。
ウレタン樹脂としては、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするポリウレタンを使用できる。ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例えばポリエステルポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオールなどが使用される。前記イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、或いはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂肪族(又は脂環族)イソシアネートが用いられる。また、ウレタン樹脂とブチラール樹脂を混ぜて構成することも可能である。
(メタ)アクリル・ウレタン共重合体樹脂としては、例えばアクリル/ウレタン(ポリエステルウレタン)ブロック共重合系樹脂が好ましい。硬化剤としては、上記の各種イソシアネートが用いられる。アクリル/ウレタン(ポリエステルウレタン)ブロック共重合系樹脂は所望により、アクリル/ウレタン比(質量比)を好ましくは(9/1)〜(1/9)、より好ましくは(8/2)〜(2/8)の範囲で調整し、種々の加飾シートに用いることができるので、プライマー組成物に用いられる樹脂として特に好ましい。
本発明の加飾シート10は射出樹脂との密着性を向上させるため、所望により、加飾シート10の裏面(表面保護層14とは反対側の面)接着剤層(図示しない。)を設けることができる。接着剤層には、射出樹脂に応じて、熱可塑性樹脂又は硬化性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂などが挙げられ、これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。また、熱硬化性樹脂としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
表面保護層14の形成は上述の電離放射線硬化性樹脂組成物を含有する塗工液を調製し、これを塗布し、架橋硬化することで得ることができる。なお、塗工液の粘度は、後述の塗工方式により、基材の表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であれば良く、特に制限はない。
本発明においては、調製された塗工液を、絵柄層12又はプライマー層13の表面に、硬化後の厚さが1〜1000μmになるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。
本発明においては、このようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線、紫外線などの電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させる。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材11として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材11への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈などが用いられる。
このようにして、形成された硬化樹脂層には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐傷付き性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能などを付与することもできる。
本発明においては、表面保護層14の硬化後の厚さが1〜1000μmであることが好ましい。表面保護層14の硬化後の厚さが1μm以上であれば、耐傷付き性、耐候性などの保護層としての十分な物性が得られる。一方、表面保護層14の硬化後の厚さが1000μm以下であれば、電離放射線を均一に照射し易く、均一な硬化が得られ易く、経済的にも有利となる。
また、表面保護層14の硬化後の厚さをより好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは1〜30μmとすることにより、三次元成形性が向上し、自動車内装用途などの複雑な3次元形状への高い追従性を得ることができる。従って、本発明の加飾シートにおいて、硬質な電離放射線硬化性樹脂を配合しても優れた三次元成形性を発現させることができ、三次元成形性を損なうことなく、塗膜を硬くすることができるため、加工や実用面で好ましい優れた耐傷付き性を持たせることができる。
本発明の加飾シートは、表面保護層14の厚さを従来のものより厚くしても、十分に高い三次元成形性が得られることから、特に表面保護層に高い膜厚を要求される部材、例えば車両外装部品などの加飾シートとしても有用である。
絵柄層12はグラビア印刷などの通常の印刷方法により形成される。隠蔽層はグラビア印刷などの通常の印刷方法やグラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコートなどの通常の塗工方法により形成される。
プライマー層13や接着層は、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコートなどの通常の塗工方法や転写コーティング法により形成される。転写コーティング法は、一旦、薄いシート(フィルム基材)にプライマー層13や接着層の塗膜を形成し、しかる後に加飾シート10中の対象となる層表面に被覆する方法である。
絵柄層12の厚さはその絵柄により適宜選択される。隠蔽層の厚さは1〜20μm程度である。
プライマー層13の厚さは0.1〜10μm程度であることが好ましい。0.1μm以上であると、表面保護層の割れ、破断、白化などを防ぐ効果を十分に発揮させることができる。一方、プライマー層の厚さが10μm以下であれば、プライマー層を塗工した際、塗膜の乾燥、硬化が安定であるので三次元成形性が変動することが無く好ましい。以上の点からプライマー層の厚さは1〜10μmであることがより好ましい。接着層の厚さも同様に0.1〜10μm程度であることが好ましい。
本発明の加飾シートは、インサート成形法、射出成形同時加飾法、ブロー成形法、ガスインジェクション成形法などの各種射出成形法に用いることができ、インサート成形法及び射出成形同時加飾法に好適に用いられる。
インサート成形法では、真空成形工程において、本発明の加飾シートを真空成形型により予め成形品表面形状に真空成形(オフライン予備成形)し、次いで必要に応じて余分な部分をトリミングして成形シートを得る。この成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を型締めし、流動状態の樹脂を型内に射出し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に加飾シートを一体化させ、加飾樹脂成形品を製造する。
射出樹脂は用途に応じた樹脂が使用され、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂が代表的である。また、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂なども用途に応じ用いることができる。
次に、射出成形同時加飾法においては、本発明の加飾シートを射出成形の吸引孔が設けられた真空成形型との兼用雌型に配置し、この雌型で予備成形(インライン予備成形)を行った後、射出成形型を型締めして、流動状態の樹脂を型内に射出充填し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に加飾シートを一体化させ、加飾樹脂成形品を製造する。
なお、射出成形同時加飾法では、射出樹脂による熱圧を加飾シートが受けるため、平板に近く、加飾シートの絞りが小さい場合には、加飾シートは予熱してもしなくても良い。
なお、ここで用いる射出樹脂としてはインサート成形法で説明したものと同様のものを用いることができる。
以上のようにして製造された加飾樹脂成形体は、その表面保護層に成形過程でクラックが入ることがなく三次元成形性が良好であり、その表面は高い耐傷付き性及び耐薬品性を有する。さらに本発明の製造方法では、加飾シートの製造段階で表面保護層が完全硬化されるので、加飾樹脂成形体を製造した後に表面保護層を架橋硬化する工程が不要である。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
評価方法
(1)三次元成形性(真空成形)
各実施例及び比較例で得た加飾シートについて以下に示す方法で真空成形を行い、成形後の外観にて評価する。評価基準は以下のとおりである。
○;表面保護層に塗膜割れや白化が全く見られず、良好に型の形状に追従した。
△;三次元形状部又は最大延伸部の一部に軽微な塗膜割れ又は白化が発生した。
×;型の形状に追従できずに表面保護層に塗膜割れや白化が見られた。
<真空成形>
加飾シートを赤外線ヒーターで160℃に加熱し、軟化させる。次いで、真空成形用型を用いて真空成形を行い(最大延伸倍率100%)、型の内部形状に成形する。シートを冷却後、型より加飾シートを離型する。
(2)耐薬品性
各実施例及び比較例で得た加飾シートの表面保護層にエタノールを滴下する。時計皿で滴下部分を被覆し室温(25℃)で1時間経過後、時計皿を外し、外観を確認し、以下の評価基準により評価する。
○;塗膜に著しい変化なし。
×;塗膜の膨潤又は剥離があった。
(3)耐傷付き性
テスター産業(株)製「学振型摩擦堅牢度試験機」を用い、摩擦用白綿布としてカナキン3号を用いて荷重500gfで1,000回往復後の試験片の外観を評価する。評価基準は以下のとおりである。
◎;ほとんど傷は認められなかった。
○;表面に微細な傷が認められたが、塗膜の削れや白化はなかった。
×;全面にわたり塗膜の削れ又は白化を伴う著しい傷が生じた。
(4)重量平均分子量及び数平均分子量
東ソー(株)製高速GPC装置を用いた。用いたカラムは東ソー(株)製、商品名「TSKgel αM」であり、溶媒はN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)を用い、カラム温度40℃、流速0.5cc/minで測定を行なった。尚、本発明における重量平均分子量及び数平均分子量は標準ポリスチレン換算を行った。
(5)架橋点間平均分子量
上記で得た数平均分子量を官能基数で割った値を架橋点間平均分子量とした。
(6)ヤング率
JIS K 7127に準拠した引張試験を行ない、多官能(メタ)アクリレートの硬化塗膜の試料片に荷重をかけた際の伸びから、以下の式により求めた。
E=(W×L)/(A×△t)
ここで、Wは荷重(kg)、Lは試験前の標線間距離(cm)、Aは試験片の断面積、及び△tは荷重Wにおける標線間距離(cm)である。
表面処理をしていないポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」という)フィルムの上に各実施例及び比較例で製造した樹脂組成物を架橋硬化後の膜厚が約15μmになるように塗布した。この未硬化樹脂層に加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を硬化させた。硬化膜をPETフィルムから剥がして、幅25mm、長さ120mmの試験片を切り出した。
試験条件は、引張速度50mm/分、チャック間距離80mm、標線間距離50mmとした。
実施例1〜5及び比較例1〜4
基材としてABS樹脂フィルム(曲げ弾性率;2000MPa、厚さ;400μm)を用い、該フィルムの表面に、アクリル系樹脂インキを用いグラビア印刷により木目柄の絵柄層を形成した。次いで、絵柄層の表面にアクリル樹脂からなるプライマー層をグラビアコートにより塗工した。プライマー層の厚さは3μmであった。
次に、プライマー層の表面に、第1表に示す組成の電子線硬化性樹脂組成物を樹脂組成物の硬化後の厚さ(μm)が第1表に示す値となるようにグラビアコートにより塗工した。この未硬化樹脂層に加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を硬化させて、9種類の加飾シートを得た。
該加飾シートについて上記方法にて評価した。評価結果を第1表に示す。
Figure 2011073380
[注]
電子線硬化性樹脂A;アクリルシリコーンアクリレート、重量平均分子量:20,000、架橋点間平均分子量:100
電子線硬化性樹脂B;アクリルシリコーンアクリレート、重量平均分子量:20,000、架橋点間平均分子量:200
電子線硬化性樹脂C;アクリルシリコーンアクリレート、重量平均分子量:20,000、架橋点間平均分子量:400
電子線硬化性樹脂D;6官能のウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量:5,000、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化塗膜のヤング率:800MPa
電子線硬化性樹脂E;2官能のウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量:15,000、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化塗膜のヤング率:200MPa
本発明の加飾シートは、通常のインサート成形法や射出成形同時加飾法において、160℃程度の加熱温度から金型に接触時の温度まで急激な温度低下と急激な伸張速度、高伸張度の条件であってもクラックや割れが発生することがなく、三次元成形性が良好であった。さらに、製造された加飾樹脂成形品の表面は高い耐薬品性及び耐傷付き性を有することが確認された。
本発明の加飾シートは各種加飾樹脂成形品に用いられ、例えば、自動車などの車両の内装材又は外装材、幅木、回縁等の造作部材、窓枠、扉枠等の建具、壁、床、天井等の建築物の内装材、テレビ受像機、空調機等の家電製品の筐体、容器などの用途の加飾樹脂成形品に好適に用いられる。
10.加飾シート
11.基材
12.絵柄層
13.プライマー層
14.表面保護層

Claims (4)

  1. 基材上に少なくとも表面保護層を有する加飾シートであって、表面保護層が、少なくともアクリルシリコーン(メタ)アクリレート(A)と多官能(メタ)アクリレート(B)とを含有し、質量比(A)/(B)が(50/50)〜(95/5)である電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする加飾シート。
  2. 前記アクリルシリコーン(メタ)アクリレート(A)の重量平均分子量が、2,000〜100,000であることを特徴とする請求項1に記載の加飾シート。
  3. 前記アクリルシリコーン(メタ)アクリレート(A)の架橋点間平均分子量が、100〜2,500であることを特徴とする請求項1又は2に記載の加飾シート。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の加飾シートを用いてなる加飾樹脂成形品。
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