JP2011070621A - 凶器類判別装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】判別装置KSは、鉄類からなる金属類が凶器類に該当するか否かを判別することができる。判別装置KSは、金属類が形成する残留磁化をピコテスラオーダーの検出分解能で検出できるMIセンサSSを備えている。判別装置KSの制御装置CPは、MIセンサSSが検出した残留磁化による磁場分布を判別することで、凶器類になりえるか否かを推定することができる。制御装置CPはこの推定結果を報知することができる。
【選択図】図1
Description
従って、凶器類等を隠し持った者から、身体を守るための技術開発は社会的に要請され、特に、警備関係の現場担当者から強い要請がある。平成20年度犯罪白書によれば、犯罪被害者4万弱のうち、死亡者が千数百人であり、重傷者が3千人弱であるが、犯罪事件の発生件数を減らし、死亡者数及び重傷者数等を減らせることができれば、社会的に大きな効果がある。
従来、刃物、銃器等の凶器類等の検出は、ハイジャック防止のため空港などで行われており、空港には例えば磁気センサを用いた金属探知機が設置されている。その金属探知機は、被検査者がゲート型検出部を通り抜ける際に検出するものであり、カバン等に隠し持つ凶器などの金属を発見できる(特許文献1参照)。しかし、空港の金属探知機の場合、硬貨、コイン、鍵、ズボンのベルト等の凶器以外の金属まで探知するため、被検査者はベルト等をわざわざ外してゲート型検出部を通り抜ける必要がある。このような金属探知は、被検査者に大きな負担を与えるとともに、被検査者を管理する警備関係者の負担も大きい。また、携帯型金属探知機の場合、関係者がハンドルを持ってカバン、ポケット等に探知部を近づけて金属探知を行うが、探知作業に協力を要請するものであり、被検査者に不快感を与える虞がある。
かかる目的を達成するため、本発明によれば、鉄類からなる金属類が凶器類に該当するか否かを判別する判別装置であって、前記金属類によって形成される残留磁化をピコテスラオーダーの検出分解能で検出できる磁気検出部と、前記金属類から前記磁気検出部がある距離だけ離れた検出位置において、前記磁気検出部が検出した残留磁化による磁場分布を判別することで、前記凶器類になりえるか否かを推定する凶器類推定手段(以下単に、推定手段という)と、この推定手段の推定結果を報知する報知手段とを設けたことを特徴とする。
この判別装置の場合、推定手段はピコテスラオーダーの検出分解能の磁気検出部が検出した残留磁化による磁場分布を判別することで、金属類が凶器類になりえるか否かを推定する。金属類を隠し持った人が接近した場合、金属類が凶器類になりえるか否かを推定し、凶器類になりえると推定した場合、報知手段はその旨を報知する。一方、金属類であっても凶器類になりえないと推定した場合はその旨を報知する。報知を受けた者は凶器を隠し持った人が接近するのを、事前に察知することができるので、その者からの攻撃に対し防御することが可能になる。
鉄製の工具、刃物、銃器等が凶器類になるか否かを判別する判別装置は、鉄製の凶器類の残留磁化による磁場分布を測定している。この磁場分布を測定は、MIセンサの計測結果から、磁性体に生ずる磁極の分布範囲を求める手法であり、凶器類の大きさから推定し、凶器類になりえるか否かを判別できる。
なお、残留磁化を検出して磁極の分布範囲を求める場合、例えば、凶器類により形成される磁場と、携帯電話内などに含まれる強い磁石により形成される磁場との判別が困難であると予想していた。しかし、携帯電話内の磁石の大きさは、凶器類等に比べて著しく小さく、小さな磁石から離れた位置の磁場を計測する場合、磁石に生ずる正と負の磁極の影響を相殺して、計測地点での磁場は非常に小さくなった。実測結果によると、検出距離が50cmの場合、20cm長の工具(炭素鋼)により形成される磁場の方が、携帯電話内の磁石が形成する磁場の4倍程度の強度があることが確認できた。そして、携帯電話内の磁石からの磁場の強度が、凶器類からの磁場の強度に比べて小さくなる検出距離の条件を設定して、鉄製の凶器類からの磁場分布を優先的に計測できる場合、凶器類の大きさや形状を高精度に推定できると考える。このような形状推定による凶器等の判定技術が確立すれば、凶器になりにくい鉄製の部品や器具を凶器として誤判定する確率は低下する。
各MIセンサSSは、メモリ、CPU等を内蔵した判別装置KSの制御装置CPに接続されている。判別装置KSの制御装置CPは、MIセンサSSが検出した残留磁化の磁場分布を判別することで、金属類が凶器類になりえるか否かを推定するので、凶器類推定手段として機能する。さらに制御装置CPは、その推定結果をドアATの制御装置(図示せず)に報知するので、不審者情報を報知する報知手段として機能する。
このような構成の場合、ドアATが閉まった状況下で、ドアATに人が近づき赤外線センサASが検出した段階で、判別装置KSは、MIセンサSSの検出結果に基づき、その人が刃物類等の凶器類を持っているか否かを判別できる。そして、制御装置CPはその人物が凶器類を持っていないと判別した場合、ドアATの制御装置(図示しない)にその旨を報知するので、ドアATの制御装置はドアATを開放する(閉じた状態を維持しない)。一方、制御装置CPは、凶器類を持っていると判別した場合は、ドアATの制御装置にその旨を報知するので、ドアATの制御装置は、ドアATを閉じた状態を維持する。その後、ドアATの監視員は、防犯カメラKAで確認してドアATを開放するか否かを判断する。監視員がドアATを開放しても良いと判断した場合、監視員の指令で、ドアATを開放する。なお、監視員が、その人物の危険度が高いと判断した場合、ドアATを閉じた状態に維持できる。その結果、その人物がドアATを通って店内に入るのを防止できるので、店内で犯罪が発生するのを未然に防止できる。
なお、MIセンサSSはその検出距離が長いので、1対のポールPAを立てる場合、1対のポールPAの間隔を広くとれる。すなわち、このMIセンサSSは広い範囲を検出できるので、設置するポールPAの設置本数は少なくてすみ、経済的な効率は高いといえる。このようなポールPAは必ずしも据え置き設置型である必要はなく、例えばイベント会場等に来場する要人等の警護のため、一時的なスタンディングポールとして設置してもよい。また、小学校等の学校の玄関や、商店の入口等に、MIセンサSSを装着したポールPAを設置し、凶器を持った人物の侵入の有無を確認して、安全管理を行うようにしても良い。この判別装置KSは、凶器を持った者が侵入するのを防止でき、例えば深夜営業を行う商店の安全管理に有効である。
このような自動ドアATのポールPA内にMIセンサSSを設置する判別装置KSによれば、犯罪者が侵入するのを阻止できる一方で、一般の利用者の利便性が保たれる。また、防犯カメラKAは、事件等があった場合に警察等の捜査に役立たせるための、また犯人特定手段の一つであるが、監視員が四六時中カメラを通して監視しているわけではないので、監視漏れをなくすには、長時間通して録画することが必要である。しかし、防犯カメラKAが長時間録画を行うには、ある程度、画質を落とす必要がある。そこで、MIセンサSSでもって、不審者の凶器の所持を判別できれば、防犯カメラKAの制御装置はその人物についての映像のみ高画質で録画することも可能となる。この判別装置KSは、犯罪を抑止し社会の安全を確保するといった大きな社会貢献を果たすものと考える。
図2はMIセンサSSに内部に設けられた磁気ヘッドHDおよびセンサ回路S1の構成を示す。磁気ヘッドHDはアモルファス磁性金属線JK(以下単に金属線JKという)と、その金属線JKにパルス電流を通電し、高周波磁界を印加する高周波磁界の印加部分と、金属線JKにパルス電流を通電したときその金属線JKのインピーダンスを検出するためその金属線JKに巻回されたピックアップコイルJLを備える磁気検出部分とからなる。また、センサ回路S1は、発信器B1から出力されるクロック信号に基づいて金属線JKにパルス電流を付与するアンプA1と、金属線JKに巻回されているピックアップコイルJLに誘導される電圧信号を発振回路に同期して保持するサンプルホールド回路SHと、サンプルホールド回路SHから出力される電圧信号と基準電圧を比較し出力する差動増幅器A2を備えている。以上、磁気ヘッドHD及びセンサ回路S1は、前記磁気検出部分の磁界によるインピーダンスの変化を直流電圧に変換して出力することが可能となるので、高感度MIセンサとして構成される。上記金属線JKはたとえば520℃で2秒アニールを施した1cm長のアモルファスワイヤであり、ピックアップコイルJLはたとえば巻き数が600ターンのソレノイドである。なお、磁気ヘッドHDおよびセンサ回路S1を一対備えた場合、環境磁場を相殺するように構成するのが良い。
次に、MIセンサSSの検出結果の波形について図3を参照して説明する。図3はMIセンサSSの検出結果の波形例(2本の波形線)を示す(検出距離は1mであり、1m離れた位置で検出する)。1本の波形線では金属類を持たない人がMIセンサSSにより検出された際には、検出結果の波形例において磁場は大きく変動しない。それに対し、別の波形線では、30cm長の大型のスパナをもった人が、MIセンサSSにより検出された際に、検出結果の波形例において磁場が大きく変動した箇所が一部にあった。それにより、MIセンサSSの検出結果の波形線に、磁場が大きく変動した箇所があるときは、制御装置CPはその人物が凶器類となりえる金属類(30cm長のスパナ)を持っていると判別した。この場合、制御装置CPが、MIセンサSSが検出した残留磁化による磁場分布を判別することで、金属類が凶器類になりえるか否かを推定する。そして、大型のスパナが凶器類になりえると推定している。なお、MIセンサSSと金属類との間の距離が同じである場合、MIセンサSSの検出結果の波形線が分かれば、金属類の大きさが大体分かることになる。即ち波形におけるPEAK−PEAKの距離が長くなることに比例して、検出される金属類の長さも長くなる。金属類の長さが長い場合は、金属類のサイズが大きくなって危険度が高いので、凶器類と判別される。
次に、MIセンサSSの検出結果の波形につき図5を参照して説明する。この場合、MIセンサSSが検出した残留磁化による磁場分布を制御装置CPが判別することで、制御装置CPは検出した金属類が凶器類になりえるか否かを推定する。図5はMIセンサSSの検出結果の波形例を示す(MIセンサSSと検査対象物との間の検出距離は50cmであり、50cm離れた位置において検出する)。図5(a)は、30cm長の大型のスパナを持った人が、MIセンサSSにより検出された例を示す。この場合、MIセンサSSの検出結果の波形線において、磁場が大きく変動した箇所があり、その人物は凶器類となりえる金属類(この場合30cm長のスパナ)を持っていると判別された。図5(b)は、10cm長の小型のはさみを持った人が、MIセンサSSにより検出された例を示す。この場合、MIセンサSSの検出結果の波形線において、磁場が中程度に変動した箇所があったので、凶器類となりえる金属類(10cm長の小型はさみ)を持っていると判別された。図5(c)は、20cm長の中型ドライバーを持った人が、MIセンサSSにより検出された例を示す。この場合、MIセンサSSの検出結果の波形線において、磁場が中程度に変動した箇所があったので、凶器類となりえる金属類(20cm長の中型ドライバー)を持っていると判別された。図5(d)は、中型のはさみをジュラルミンケース(即ち、アルミニウム合金性の収納物)に入れて持った人が、MIセンサSSにより検出された例を示す。この場合、MIセンサSSの検出結果の波形線において、磁場が大きく変動した箇所があったので、ジュラルミンケースの影響を受けずに、凶器類となりえる金属類(中型はさみ)を持っていると判別された。図5(e)は、ジュラルミンケース(即ち、アルミニウム合金性の収納物)に、金属類を入れないケースを持った人が、MIセンサSSにより検出された例を示す。この場合、ジュラルミンケースを持っていても磁場が大きく変動した箇所がないので、凶器類となりえる金属類を持っていないと判別された。ここで、図5(d)、図5(e)のMIセンサSSの検出結果の波形線の対比において、中型はさみをジュラルミンケースに入れた場合でも、磁場が大きく変動したことは特筆すべき事項である。これは超低周波の磁場は、ジュラルミンケース(アルミニウム合金の収納物)を通過するからである。ジュラルミンケースに鉄製の凶器を隠蔽しても、MIセンサSSが、鉄製の凶器からの信号を検出できることは、電波・光を使った技術との大きな相違を示すものといえる。この結果、ジュラルミンケース等の収納物内に収納された金属類が、凶器類になりえるか否かをジュラルミンケース外から判別できることが分かる。このような判別装置KSは、アルミ製ケース等に凶器類を隠し持つ者を検出する関係者にとって入手したいものとなる。
以上の実施例によれば、SQUID型磁気センサに匹敵する超高感度で小型のMIセンサSSを利用した鉄製の工具、刃物等の凶器類等の判別装置は、鉄製の工具、刃物等の凶器類等を隠し持った人の接近を察知することができる。この場合、鉄製の工具・刃物等から生ずる磁場分布の測定結果により、制御装置CPが鉄製の工具・刃物等の磁極分布に基づき、高精度に凶器類になりえるか否かを推定できる。鉄製の工具・刃物等に生じる磁極分布は、主にそのものの形状に依存している(形状異方性に依存している)と推察される。そして、鉄製の工具・刃物の材質が、鉄製の工具・刃物に生じる磁極分布に与える影響について把握することができると考える。それにより、鉄製の工具・刃物等に生じる磁極分布の推定結果から、刃物等の長さや形状、材質を判別することも可能となる。形状の推定による凶器等の判定ができれば、凶器になりにくい鉄製の部品や器具を凶器として誤判定することを回避できる。また、銃刀法では、業務その他正当な理由なく、刃体の長さが、6cmをこえる刃物の携帯は禁止されているため、刃体の長さや形状を判別することは、実用性のニーズがあると考えられる。
さらに、小型の凶器類判別装置に、更にメモリ及び送信機等を装備し、市街の多くの支柱に配備する場合、例えば凶器類を持った者の位置を検出して通信することができる。本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、その実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、本発明の範囲内に含まれることは言うまでもない。
Claims (6)
- 鉄類からなる金属類が凶器類に該当するか否かを判別する凶器類判別装置にあって、
前記金属類によって形成される残留磁化を、ピコテスラオーダーの検出分解能で検出できる磁気検出部と、
前記金属類から前記磁気検出部がある距離だけ離れた検出位置において、前記磁気検出部が検出した残留磁化による磁場分布を判別することで、前記凶器類になりえるか否かを推定する凶器類推定手段と、
この凶器類推定手段の推定結果を報知する報知手段とを設けたことを特徴とする凶器類判別装置。 - 前記凶器類推定手段は、前記金属類の形状または大きさに起因する残留磁化による磁場分布に基づき、凶器類になりえるか否かを推定することを特徴とする請求項1記載の凶器類判別装置。
- 前記凶器類推定手段は、大型の工具等を凶器類と推定する一方、非磁性や弱磁性の金属類を凶器類と推定しないように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の凶器類判別装置。
- 前記凶器類推定手段は、前記磁気検出部からの検出結果を、時間間隔を開けて複数回検出して凶器類になりえるか否かの推定を行うように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の凶器類判別装置。
- 前記磁気検出部は、ポール・支柱等の立設物に装着されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の凶器類判別装置。
- 前記凶器類推定手段は、アルミニウム合金性の収納物内に入れられた鉄類からなる金属類が、凶器類になりえるか否かを収納物外から判別できるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の凶器類判別装置。
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