JP2011070019A - 反射材 - Google Patents

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智彦 田中
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Taketomo Tsutsumi
健智 堤
Takayuki Watanabe
孝之 渡辺
Miki Nishida
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Abstract

【課題】優れた反射性を実現することができ、しかも耐熱性にも優れた反射材を提供する。
【解決手段】本発明の反射材は、特定の構造を有するポリカーボネートと、有機充填剤及び/又は無機充填剤とを主たる構成成分とする樹脂組成物からなり、反射材内部に空隙率が5%以上70%以下の範囲である微細な空洞を有することを特徴とするものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶ディスプレイ、照明器具、照明看板などの構成部材として好適に使用することができる特定の樹脂組成物を用いてなる反射材に関する。
液晶表示装置をはじめ、照明器具、照明看板など、多くの分野で反射材が使用されている。最近では、特に液晶表示装置の分野において装置の大型化及び表示性能の高度化が進み、少しでも多くの光を液晶に供給してバックライトユニットの性能を向上させることが求められ、そのため、反射材に対して、より一層優れた光反射性(単に「反射性」ともいう)が求められるようになってきている。
フィルムに反射性を発現させる方法としては、フィルムに白色顔料を含有させる方法のほか、フィルム構成樹脂にこれと非相溶な熱可塑性樹脂を混合することにより、フィルム中に微細な空洞を形成する方法などが知られている。(特許文献1又は2参照)。
さらに、近年LEDなどの高温発熱を伴う光源を備えた液晶表示装置、照明器具、及び照明看板などが使用されており、そのため、反射材にはより一層優れた耐熱性も求められている。
また特許文献3〜6には、新規な種々のポリカーボネートについて開示され、これらは耐熱性に優れ、フィルム状成型体として使用することができる旨も開示されている。
特開平4−239540号公報 特開平11−174213号公報 国際公開第04/111106号パンフレット 国際公開第07/148604号パンフレット 特開2006−232897号公報 特開2004−67990号公報
上記特許文献1には、内部に微細な気泡を含有する白色ポリエステルフィルムについて開示されているが、該フィルムを構成するベース樹脂は、ポリエステル樹脂であって、その分子鎖中に含まれる芳香環が紫外線を吸収するため、液晶表示装置の光源から発せられる紫外線によってフィルムが劣化、黄変して、反射フィルムの反射率が低下するという欠点があった。
また上記特許文献2には、無機充填剤を添加して形成された反射フィルムについて開示されているが、耐熱性が十分ではないので、耐熱性が要求される反射材として使用する場合には問題があった。
一方で、上記特許文献3〜6には、耐熱性に優れた各種のポリカーボネート系樹脂が開示されているが、これらの樹脂を反射材用途として用いるための検討はなされておらず、未だ好適な反射材は見出されていなかった。
そこで本発明の課題は、優れた反射性を実現することができ、しかも耐熱性に優れ、使用により経時的に黄変しない、耐候性優れた反射材を提供せんとするものである。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定構造のポリカーボネート共重合体と、有機充填剤及び/又は無機充填剤とを主たる構成成分とする樹脂組成物からなり、反射材内部に特定の微細な空洞を有する反射材により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、分子内に下記構造式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリカーボネートと、有機充填剤及び/又は無機充填剤とを主たる構成成分とする樹脂組成物からなり、反射材内部に空隙率が5%以上70%以下の範囲である微細な空洞を有することを特徴とする反射材に存する。
Figure 2011070019
(但し、構造式(1)中の酸素原子に水素原子は結合しない。)
本発明においては、前記有機充填剤が、前記ポリカーボネートに非相溶な熱可塑性樹脂であることが好ましい。また、前記無機充填剤が、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、及び酸化チタンからなる群より選ばれる1種又は2種以上であることが好ましく、前記有機充填剤及び/又は無機充填剤の含有量が、反射材の全体質量に対して10質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
さらに、本発明においては、前記ジヒドロキシ化合物が、下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物であることが好ましく、更に該一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位として、イソソルビド、イソマンニド及びイソイデットよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を含むことが好ましい。
Figure 2011070019
また本発明は、液晶ディスプレイ、照明器具或いは照明看板の構成部材として使用されることが好ましい。
さらに、本発明においては、本発明の反射材を、金属板又は樹脂板に積層してなる構成を備えることが好ましく、これは液晶ディスプレイ、照明器具或いは照明看板の構成部材として使用されることが好ましい。
本発明によれば、特定構造のポリカーボネート共重合体と有機充填剤及び/又は無機充
填剤との屈折率差による屈折散乱のほか、特定構造のポリカーボネート共重合体と有機充填剤及び/又は無機充填剤の周囲に形成される空洞との屈折率差による屈折散乱、さらに有機充填剤及び/又は無機充填剤の周囲に形成される空洞と有機充填剤及び/又は無機充填剤との屈折率差による屈折散乱などから光反射性を得ることができるので、薄肉でも優れた反射性を得ることができる。
よって、本発明が提案する反射材は、例えば、液晶ディスプレイ、照明器具、照明看板等の構成部材として好適に利用することができる。また、本発明の反射材を、金属板や樹脂板に積層(ラミネート)して反射板とすることでも、液晶ディスプレイ、照明器具、照明看板等の構成部材として好適に利用することができる。
ここで、本発明の反射材のとり得る形態としては、特に限定されるものではないが、フィルム状、あるいはシート状であることが好ましい。
なお、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいい(日本工業規格JISK6900)、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
また、本明細書において「主たる構成成分(以下「主成分」という」と表現した場合、特に記載しない限り、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含する。この際、当該主成分の含有割合を特定するものではないが、主成分(2成分以上が主成分である場合には、これらの合計量)は組成物中の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100%含む)を占めるものである。
本発明において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含するものである。
以下、本発明の実施形態の一例として、液晶ディスプレイ、照明器具、照明看板等の構成部材として使用される反射材及びそれを用いた反射板について説明する。
<反射材>
本実施形態に係る反射材(以下「本反射材」ともいう)は、特定のポリカーボネートと、有機充填剤及び/又は無機充填剤を主たる構成成分とする樹脂組成物から形成されたものである。
(ポリカーボネート)
本反射材の主たる構成成分であるポリカーボネートとしては、分子内に下記構造式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリカーボネートが用いられる。但し、構造式(1)中の酸素原子に水素原子は結合しない。
Figure 2011070019
本発明における構造式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物としては、分子内に構造式(1)で表される構造を有していれば特に限定されるものではないが、具体的には、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)フルオレン9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等、側鎖に芳香族基を有し、主鎖に芳香族基に結合したエーテル基を有する化合物、下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に代表される無水糖アルコール、下記一般式(3)で表されるスピログリコール等の環状エーテル構造を有する化合物が挙げられ、これらは単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
Figure 2011070019
これらの中でも特に上記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物が好適であり、該ジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
上記の中でもイソソルビドが最も好ましく、これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のポリカーボネートを構成する、上記構造式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物以外の共重合成分としては、例えば、国際公開第2004/111106号に記載の脂肪族ジヒドロキシ化合物や、国際公開第2007/148604号に記載の脂環式ジヒドロキシ化合物を挙げることができる。
上記脂肪族ジヒドロキシ化合物の中でも、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、及び1,6−ヘキサンジオールから選ばれる少なくとも1種以上を用いることが好ましい。
上記脂環式ジヒドロキシ化合物の中でも、5員環構造又は6員環構造を含むものであることが好ましい。6員環構造は共有結合によって椅子形又は舟形に固定されていてもよい。脂環式ジヒドロキシ化合物が5員環又は6員環構造であることにより、得られるポリカーボネートの耐熱性を高くすることができる。脂環式ジヒドロキシ化合物に含まれる炭素原子数は通常70以下であり、好ましくは50以下、さらに好ましくは30以下である。
前記5員環構造又は6員環構造を含む脂環式ジヒドロキシ化合物としては、上述の国際公開第2007/148604号に記載のものを挙げることができ、中でも、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール及びペンタシクロペンタデカンジメタノールを好適に例示することができ、中でもシクロヘキサンジメタノール又はトリシクロデカンジメタノールが最も好ましく、これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ポリカーボネートにおける一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位と脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位との含有割合としては、一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位:脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位=1:99〜99:1(モル%)、特に一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位:脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位=10:90〜90:10(モル%)であることが好ましい。このような範囲とすることによって、ポリカーボネートに由来する着色を抑え、反射率を向上させることができるとともに、高い加工性を維持することが可能となる。
上記ポリカーボネートには、一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物、脂肪族ジヒドロキシ化合物及び脂環式ジヒドロキシ化合物以外のジヒドロキシ化合物に由来する構成単位が含まれていてもよいが、上記ポリカーボネートは、ジヒドロキシ化合物として、一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物と、脂肪族ジヒドロキシ化合物又は脂環式ジヒドロキシ化合物とから構成されることが好ましい。
上記ポリカーボネートは、通常、示差走査熱量測定(DSC)により、単一のガラス転移温度を有するが、一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物と、脂肪族ジヒドロキシ化合物又は脂環式ジヒドロキシ化合物の種類や配合比を調整することで、45℃程度〜155℃程度のガラス転移温度をもつ重合体として得られる。
中でも、反射材の用途としては、80〜155℃に調整することが好ましく、100〜155℃に調整することが好ましい。このような範囲とすることで、反射材に耐熱性を付与することができ、液晶ディスプレイや照明器具用途での安定性を確保することが可能となる。
上記ポリカーボネートは、一般に用いられる重合方法で製造することができ、ホスゲンを用いた溶液重合法、炭酸ジエステルと反応させる溶液重合法のいずれでもよい。
(YI値の改善)
本発明に係るポリカーボネートは、反射材として利用可能な程度に好適な透明性を有するものであるが、以下のような特徴を持たせることにより更に着色を抑えることができる。
具体的には、ポリカーボネートの末端二重結合濃度、末端フェニル濃度、製品ペレット中のフェノール含有量、蟻酸含有量を特定範囲にすること、あるいは、還元粘度、5%熱減量温度が特定範囲であること、あるいは、リン酸化合物や亜リン酸化合物又はこれらの金属塩を重合時に添加すること、熱安定剤等を配合することであり、それぞれについて以下で説明する。
(末端基濃度)
上記ポリカーボネートの末端には、副反応、恐らくは分子内脱水反応で生成した二重結合が存在することがあり、特に上記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物をモノマー成分の少なくとも1つとする場合、このユニットが脱水して生成したと考えられる下記構造式(A)で表される二重結合を有する末端が存在する(以下、末端二重結合基ということがある)。
Figure 2011070019
このような二重結合は、好まざる分岐反応の基点になったり、着色の原因になったりするため、上記ポリカーボネートの上記末端二重結合基の濃度は10μeq/g以下、中でも8μeq/g以下、特には5μeq/g以下であることが好ましい。この副反応は、より低温、短時間、高真空で重合反応させることにより低減することができ、横型反応器の使用は、蒸発界面積が大きく取れ、表面更新性を向上することができ、より低温、短時間で重合反応が進行するため、このような末端二重結合の低減に有効である。なお、末端二重結合基の濃度は、以下の記載のようにH−NMRにより定量することができる。
上記ポリカーボネートの末端フェニル基濃度に特に制限はないが、少なすぎると、重合反応の速度が小さくなり、結果的に触媒を増やしたり、余計な熱履歴をかけたりする必要があるだけでなく、熱滞留時の着色が大きくなり、特に成型時に品質の悪化を招くため、通常30μeq/g以上、中でも50μeq/g以上、特には80μeq/g以上が好ましい。また、末端フェニル基濃度が大きすぎても、重合速度が小さくなる傾向にあり、結果的に熱履歴の増大を招き、ポリマー品質の悪化を招くことがあるため、好ましくは200μeq/g以下、より好ましくは150μeq/g以下、中でも120μeq/g以下が好適である。
上記ポリカーボネートは、重合反応により副生するフェノールを微量含むが、製品ペレット中のフェノール含有量が多いと、成形時の臭気や、着色の原因となるため、通常500重量ppm以下、好ましくは300重量ppm以下、より好ましくは100重量ppm以下、特に好ましくは50重量ppm以下である。バッチ式の重合反応ではフェノールを低減することが困難であるが、横型反応器の使用は、蒸発界面積が大きく取れ、表面更新性を向上することができるため、残存フェノールの低減に有効である。また、重合反応終了後に一軸または二軸の押出機を用いて脱揮処理することによっても低減できる。
イソソルビドは酸素によって徐々に酸化されやすいので、保管や、製造時の取り扱いの際には、酸素による分解を防ぐため、脱酸素剤を用いたり、窒素雰囲気下にしたりすることが肝要である。イソソルビドが酸化されると、蟻酸をはじめとする分解物が発生する。例えば、これら分解物を含むイソソルビドを用いてポリカーボネートを製造すると、得られるポリカーボネートに着色が発生したり、物性を著しく劣化させたりする原因となる。また、重合反応に影響を与え、高分子量の重合体が得られないこともある。また、蟻酸の発生を防止するような安定剤を添加してあるような場合、安定剤の種類によっては、得ら
れるポリカーボネートに着色が発生したり、物性を著しく劣化させたりする。安定剤としては還元剤や制酸剤が用いられ、このうち還元剤としては、ナトリウムボロハイドライド、リチウムボロハイドライドなどが挙げられ、制酸剤としては水酸化ナトリウム等のアルカリが挙げられる。このようなアルカリ金属塩の添加は、アルカリ金属が重合触媒ともなるので、過剰に添加し過ぎると重合反応を制御できなくなることもある。
酸化分解物を含まないイソソルビドを得るために、必要に応じてイソソルビドを蒸留しても良い。また、イソソルビドの酸化や、分解を防止するために安定剤が配合されている場合も、これらを除去するために、必要に応じて、イソソルビドを蒸留しても良い。この場合、イソソルビドの蒸留は単蒸留であっても、連続蒸留であっても良く、特に限定されない。雰囲気はアルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲気にした後、減圧下で蒸留を実施する。
例えばイソソルビドについて、このような蒸留を行うことにより、蟻酸含有量が20ppm未満、さらに10ppm以下、特に5ppm以下であるような高純度とすることができる。本発明においては、これら高純度のイソソルビドを用いることが好ましい。なお、イソソルビド中の蟻酸含有量の測定方法は、以下で詳述する。
上記ポリカーボネートの粘度は、還元粘度として、通常0.20dl/g以上、好ましくは0.40dl/g以上、より好ましくは0.42dl/g以上であり、また、通常2.00dl/g以下、好ましくは1.60dl/g以下、特に好ましくは1.00dl/g以下であることが好ましい。ここで、「還元粘度」とは、ポリカーボネートのフェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンの重量比1:1混合溶媒を用い、温度30.0℃±0.1℃において、濃度1.00g/dlで測定した値(ηsp/c)である。
また、本発明のポリカーボネートの5%熱減量温度は、好ましくは340℃以上、より好ましくは345℃以上である。5%熱減量温度が高いほど、熱安定性が高くなり、より高温での使用に耐えるものとなる。また、製造温度も高くでき、より製造時の制御幅が広くできるので、製造し易くなる。低くなるほど、熱安定性が低くなり、高温での使用がしにくくなる。また、製造時の制御許容幅が狭くなり作りにくくなる。従って、5%熱減量温度の上限は特に限定されず、高ければ高いほど良く、共重合体の分解温度が上限となる。
(末端二重結合基および末端フェニル基の定量)
本発明に係るポリカーボネートの有する末端フェニル基および末端二重結合基の量は、測定溶媒としてTMSを添加した重クロロホルムを使用し、H−NMRスペクトルを測定することで算出することができる。
具体的には例えば、TMS(テトラメチルシラン)基準にて化学シフト6.6ppm〜6.7ppmに検出されるピークを前述した末端二重結合基に帰属することとする。同様に、化学シフト7.3ppm〜7.5ppmに検出されるピークを、前述した末端フェニル基に帰属することとする。
その他の全末端についてそれぞれ帰属したピークの各面積比からポリマー繰り返しユニットあたりの各末端数を算出した後、全末端存在数に対する、末端二重結合基の割合および末端フェニル基の割合を算出した。
より具体的には、例えば共重合ジオールとしてトリシクロデカンジメタノール(以下、TCDDMということがある)を用いた場合のを例にすると、以下の方法で定量することが可能である。
1.H−NMRの測定
・サンプル調製
ポリマーを25mgから30mg秤量し、重クロロホルム0.7mLに室温で溶解する。重クロロホルムは銀箔の安定剤が入っているものを使用し、基準物質としてTMS(テトラメチルシラン)を少量添加する。
・測定条件
溶解した液を外径5mmのNMR管に詰め、Bruker社製NMR(AVANCE400)を用いて、400MHz、45°パルス、照射時間4秒、待ち時間6秒、積算256回で測定を行う。
2.解析
4.70ppmから4.46ppmのイソソルビドの主鎖に由来するシグナルの積分値を100とする。次に2.70ppmから0.50ppmのトリシクロデカンジメタノール(TCDDM)の主鎖に由来するシグナルの積分値を求め、積分値(1)とする。この領
域に重なる水の積分値は補正する。
7.44ppmから7.34ppmの末端フェニル基に由来するシグナルの積分値を求め、積分値(2)とする。6.63ppmから6.60ppmの末端二重結合基に由来する
シグナルの積分値を求め、積分値(3)とする。
これらの積分値から次の式を用いて末端フェニル基および末端二重結合基の量を算出する。
末端フェニル基濃度={(積分値(2)/2)/(100×イソソルビド主鎖ユニットの式量+積分値(1)/14×TCDDM主鎖ユニットの式量+積分値(2)/2×末端フェニル基ユニットの式量+積分値(3)×末端二重結合基ユニットの式量)}×10(単位:μeq
/g)
末端二重結合基濃度={積分値(3)/(100×イソソルビド主鎖ユニットの式量+積分値(1)/14×TCDDM主鎖ユニットの式量+積分値(2)/2×末端フェニル基ユニットの式量+積分値(3)×末端二重結合基ユニットの式量)}×10(単位:μeq/g)
(ポリカーボネート中に含まれるフェノールの定量)
本発明に係るポリカーボネートの有するフェノールの量は、具体的には例えば以下の方法で定量することが可能である。
試料1.25gを塩化メチレン7mlに溶解した後、総量が25mlになるようにアセトンを添加して再沈殿処理を行う。溶液を0.2μmディスクフィルターでろ過して、液体クロマトグラフィーにてフェノールの定量を行った後、残留量を算出する。
用いた装置や条件は、次のとおりである。
・装置:島津製作所製
システムコントローラ CBM−20A
ポンプ LC−10AT
カラムオーブン CTO−10Avp
検出器 SPD−10Avp
分析カラム:SUPELCO Ascentis Express C18(5cm×3.0mm、粒子サイズ2.7μm)
オーブン温度:40℃
・検出器:UV213nm
・溶離液:A)0.1%リン酸水溶液/アセトニトリル=5/1
B)アセトニトリル
(B液を3%から95%までグラジエント)
・試料注入量:3μl
(ポリカーボネート中に含まれる蟻酸の定量)
本発明に係るポリカーボネートの有する蟻酸の量は、具体的には例えば以下の方法で定
量することが可能である。
試料1gを精秤した後、クロロホルム10mlに溶解し、純水20mlを添加して十分攪拌して得られた水相を、フェノールの定量同様の方法でイオンクロマトグラフィーを測定し、求める。
(還元粘度の測定法)
本発明に係るポリカーボネートの還元粘度は、具体的には例えば以下の方法で定量することが可能である。
中央理化社製DT−504型自動粘度計にてウベローデ型粘度計を用い、溶媒として、フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンの重量比1:1混合溶媒を用い、温度30.0℃±0.1℃で測定する。濃度は1.00g/dlになるように、精密に調整する。
サンプルを120℃で攪拌しながら、30分で溶解し、冷却後測定に用いる。
溶媒の通過時間t0、溶液の通過時間tから、下記式:
ηrel=t/t0
より相対粘度ηrelを求め、 相対粘度ηrelから、下記式:
ηsp=(η−η0)/η0=ηrel−1
より比粘度ηspを求める。
比粘度ηspを濃度c(g/dl)で割って、下記式:
ηred=ηsp/c
より還元粘度(換算粘度)ηredを求める。この数値が高いほど分子量が大きい。
(5%熱減量温度の測定方法)
本発明に係るポリカーボネートの5%熱原料温度は、具体的には例えば以下の方法で定量することが可能である。
セイコー電子社製「TG−DTA」(SSC−5200、TG/DTA220)を用い、試料10mgをアルミニウム製容器に載せ、窒素雰囲気下(窒素流量200ml/分)で昇温速度10℃/分で30℃から450℃まで測定し、5%重量が減少した際の温度を求める。 この温度が高いほど、熱分解しにくい。
<リン系化合物>
上記ポリカーボネートを溶融重合法で製造する際に、着色を防止する目的で、リン系化合物であるリン酸化合物や亜リン酸化合物又はこれらの金属塩を重合時に添加することができる。
リン酸化合物としては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等のリン酸トリアルキルの1種又は2種以上が好適に用いられる。これらは、反応に用いる全ジヒドロキシ化合物に対して、0.0001モル%以上0.005モル%以下添加することが好ましく、0.0003モル%以上0.003モル%以下添加することがより好ましい。リン化合物の添加量が上記下限より少ないと、着色防止効果が小さく、上記上限より多いと、ヘイズが高くなる原因となったり、逆に着色を促進させたり、耐熱性を低下させたりすることもある。
亜リン酸化合物を添加する場合は、下記に示す熱安定剤を任意に選択して使用できる。
特に、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトの1種又は2種以上が好適に使用できる。
これらの亜リン酸化合物は、反応に用いる全ジヒドロキシ化合物に対して、0.0001モル%以上0.005モル%以下添加することが好ましく、0.0003モル%以上0.003モル%以下添加することが好ましい。亜リン酸化合物の添加量が上記下限より少ないと、着色防止効果が小さく、上記上限より多いと、ヘイズが高くなる原因となったり、逆に着色を促進させたり、耐熱性を低下させたりすることもある。
リン酸化合物と亜リン酸化合物又はこれらの金属塩は併用して添加することができるが、その場合の添加量はリン酸化合物と亜リン酸化合物又はこれらの金属塩の総量で、先に記載した、全ジヒドロキシ化合物に対して、0.0001モル%以上0.005モル%以下とすることが好ましく、0.0003モル%以上0.003モル%以下とすることがより好ましい。この添加量が上記下限より少ないと、着色防止効果が小さく、上記上限より多いと、ヘイズが高くなる原因となったり、逆に着色を促進させたり、耐熱性を低下させたりすることもある。
なお、リン酸化合物、亜リン酸化合物の金属塩としては、これらのアルカリ金属塩や亜鉛塩が好ましく、特に好ましくは亜鉛塩である。また、このリン酸亜鉛塩の中でも、長鎖アルキルリン酸亜鉛塩が好ましい。
また、上記ポリカーボネートには、成形時等における分子量の低下や色調の悪化を防止するために熱安定剤を配合することができる。
かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸及びこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。なかでも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、及びベンゼンホスホン酸ジメチル等が好ましく使用される。
これらの熱安定剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
かかる熱安定剤は、溶融重合時に添加した添加量に加えて更に追加で配合することができる。即ち、適当量の亜リン酸化合物やリン酸化合物を配合して、上記ポリカーボネートを得た後に、後に記載する配合方法で、さらに亜リン酸化合物を配合すると、重合時のヘイズの上昇、着色、及び耐熱性の低下を回避して、さらに多くの熱安定剤を配合でき、色調の悪化の防止が可能となる。
これらの熱安定剤の配合量は、上記ポリカーボネートを100重量部とした場合、0.0001〜1重量部が好ましく、0.0005〜0.5重量部がより好ましく、0.001〜0.2重量部が更に好ましい。
(有機充填剤)
本発明に用いることのできる有機充填剤としては、木粉、パルプ粉等のセルロース系粉末や、ポリマービーズ、ポリマー中空粒子等の熱架橋性樹脂粉末や、上記ポリカーボネートに非相溶な熱可塑性樹脂(以下非相溶樹脂という)から選ばれた少なくとも一種を挙げることができ、少なくとも非相溶樹脂を含む有機充填剤を用いるのが好ましい。ここで非相溶樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられ、中でもシクロオレフィン系樹脂が好ましい。また2種類以上の非相溶樹脂を併用してもよい。
シクロオレフィン系樹脂としては、環状オレフィン(シクロオレフィン)からなるモノマーのユニットを有する樹脂であれば特に限定されるものではない。このような上記環状オレフィンからなるモノマーとしては、例えば、ノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマー等を挙げることができる。
本発明に用いることのできるシクロオレフィン系樹脂としては、シクロオレフィンポリマー(COP)またはシクロオレフィンコポリマー(COC)のいずれであってもよい。
本発明においては、シクロオレフィン系樹脂として市販製品を用いることができる。特に限定されるものではないが、例えば日本ゼオン社製の「ゼオノア(登録商標)」(化学名;環状オレフィンの開環重合体の水素添加物)、三井化学社製の「アペル(登録商標)」(エチレンとテトラシクロドデセンの付加共重合体)やポリプラスチックス社製の「TOPAS(登録商標)」(エチレンとノルボルネンの付加共重合体)等が挙げられる。
本発明の反射材において、上記ポリカーボネートからなる母相(マトリックス)内部に、非相溶樹脂が分散相として散在した状態になり、その際、当該分散相の平均径が、0.1μm〜5μmの範囲であるのが好ましく、特に0.5μm〜3μmの範囲であるのがさらに好ましい。
分散相の大きさが0.1μm以上であれば、延伸により反射材内部に形成される空洞の大きさが可視光領域の光を反射するのに十分なものとなる。また、分散相の大きさが5μm以下であれば、延伸により形成される空洞と上記ポリカーボネートとの界面の面積を充分に確保できるので、反射材に高反射性を付与することができるので好ましい。さらに、分散相の大きさが5μm以下であれば、その周囲に形成される空洞が緻密になり、機械的強度とともに延伸成形性が向上するので好ましい。
分散相の大きさは、樹脂組成物を溶融製膜する際の押出機の押出温度や押出機のスクリュー回転数を調整することによっても制御すること相溶化剤の種類と量により制御することができる。
(無機充填剤)
本発明に用いることのできる無機充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、アルミナ、水酸化アルミニウム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、マイカ、タルク、カオリン、クレー、ガラス粉、アスベスト粉、ゼオライト、珪酸白土等から選ばれた少なくとも一種を挙げることができ、中でも炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム及び酸化チタンの群より選ばれる1種又は2種以上の組合せからなる混合物が好ましい。
得られる反射材の光反射性を勘案すれば、ベース樹脂との屈折率差が大きいものが好ましい。すなわち、無機充填剤としては屈折率が大きいもの、基準としては1.6以上のも
のが好ましい。具体的には、屈折率が1.6以上である炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛又は酸化チタンを用いることが好ましく、中でも屈折率が高い酸化チタンが特に好ましい。但し、長期耐久性を勘案すると、酸やアルカリに対して安定な硫酸バリウムも特に好ましいものである。
酸化チタンは、他の無機充填剤に比べて屈折率が顕著に高く、ベース樹脂との屈折率差を顕著に大きくすることができるため、他の充填剤を使用した場合よりも少ない配合量で優れた反射性を得ることができる。また、酸化チタンを用いることにより、反射材の厚みを薄くしても高い光反射性を得ることができる。
従って、少なくとも酸化チタンを含む充填剤を用いるのが好ましく、この場合、酸化チタンの量は、無機充填剤の合計質量の30%以上、又は有機充填剤と無機充填剤とを組み合わせて使用する場合はその合計質量の30%以上とするのが好ましい。
本発明に用いる酸化チタンとしては、アナターゼ型やルチル型のような結晶型の酸化チタンが好ましく、その中でもベース樹脂との屈折率差が大きいという観点から、屈折率が2.7以上の酸化チタンが好ましい。この点で、ルチル型酸化チタンが好ましい。
また、酸化チタンの中でも純度の高い高純度酸化チタンを用いるのが特に好ましい。ここで、高純度酸化チタンとは、可視光に対する光吸収能が小さい酸化チタン、すなわち、バナジウム、鉄、ニオブ、銅、マンガン等の着色元素の含有量が少ない酸化チタンの意である。
高純度酸化チタンとしては、例えば塩素法プロセスにより製造されるものを挙げることができる。
塩素法プロセスでは、酸化チタンを主成分とするルチル鉱を1000℃程度の高温炉で塩素ガスと反応させて、先ず四塩化チタンを生成させ、次いでこの四塩化チタンを酸素で燃焼させることにより、高純度酸化チタンを得ることができる。
酸化チタンの工業的な製造方法としては硫酸法プロセスもあるが、この方法によって得られる酸化チタンには、バナジウム、鉄、銅、マンガン、ニオブ等の着色元素が多く含まれるので、可視光に対する光吸収能が大きくなる。従って、硫酸法プロセスでは高純度酸化チタンは得られ難い。
本発明に用いる酸化チタンとしては、不活性無機酸化物から形成された不活性無機酸化物層を表面に備えたものが好ましい。酸化チタンの表面を不活性無機酸化物で被覆処理することにより、酸化チタンの光触媒活性を抑制することができ、酸化チタンの光触媒作用によって反射材が劣化するのを防ぐことができる。
不活性無機酸化物としては、シリカ、アルミナ、及びジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも1種類を用いるのが好ましい。これらの不活性無機酸化物を用いれば、酸化チタンを用いた場合に発揮する高い光反射性を損なうことなく反射材の耐光性を高めることができる。また、2種類以上の不活性無機酸化物を併用することがさらに好ましく、中でもシリカを必須とする組み合わせが特に好ましい。
不活性無機酸化物層は、酸化チタン全体質量の0.5〜7質量%、特に1〜5質量%を占めるのが好ましい。不活性無機酸化物層が0.5質量%以上であれば、高い反射性を維持するのが容易となるので好ましい。また、不活性無機酸化物層が5質量%以下であれば、上記ポリカーボネートへの分散性が良好となり、均質な反射材が得られるので好ましい。なお、不活性無機酸化物層が酸化チタン全体質量に占める割合は、表面処理後の酸化チタンの全質量中に占める、表面処理に使用した不活性無機酸化物の全質量の割合(百分率で示す)で求められる。
さらに、無機充填剤、特に酸化チタンは、ベース樹脂への分散性を向上させるために、有機化合物から形成された有機化合物層を表面に備えているものが好ましい。
当該有機化合物層は、例えば、シロキサン化合物、シランカップリング剤、多価アルコール、チタンカップリング剤、アルカノールアミン又はその誘導体、及び高級脂肪酸又はその金属塩等の有機化合物などで、酸化チタンの表面或いは上記不活性無機酸化物層の表面を被覆処理するようにして形成することができる。特にシロキサン化合物、多価アルコール、及びシランカップリング剤からなる群より選ばれる少なくとも1種類の有機化合物で被覆処理表するのが好ましい。これら2種類以上の化合物を組合せて使用してもよい。これらの有機化合物は、酸化チタン表面の水酸基と物理的吸着又は化学的に反応することにより、酸化チタンの疎水性、分散性及び樹脂との親和性を向上させることができる。
有機化合物層は、酸化チタン全体質量の0.01〜5質量%、特に0.05〜3質量%、中でも特に0.1〜2質量%を占めるのが好ましい。
有機化合物層が酸化チタン全体の0.01質量%以上を占めれば、酸化チタンの水分吸着を防いで酸化チタン粒子の凝集を妨げることができるので、酸化チタンの分散性を向上させることができる。酸化チタンの分散性が向上すれば、ベース樹脂と酸化チタンとの界面の面積が充分に確保されるので、フィルムに高い光反射性を付与することができる。一方、有機化合物層が酸化チタン全体の5質量%以下であれば、酸化チタン粒子の滑性が適切になり、安定した押出し及び製膜が可能になる。
有機化合物層が酸化チタン全体質量に占める割合は、表面処理後の酸化チタンの全質量中に占める、表面処理に使用した有機化合物の全質量の割合(百分率で示す)で求められる。
なお、酸化チタン以外の無機充填剤を用いる場合には、この無機充填剤は、ベース樹脂への分散性を向上させるために、無機充填剤の表面が、シリコン系化合物、多価アルコール系化合物、アミン系化合物、脂肪酸、脂肪酸エステル等で表面処理が施されたものを使用するのが好ましい。
無機充填剤の粒径は、0.05μm〜15μmであるのが好ましく、より好ましくは0.1μm〜10μm、中でも0.3μm〜10μmがより好ましい。無機充填剤の粒径が0.05μm以上であれば、ベース樹脂への分散性が良好で、均質な反射材を得ることができる。さらに、0.3μm以上であれば、反射材の粗表面化に伴い光散乱反射が生じて、得られる反射材の反射指向性が小さくなり好ましい。また、粒径が15μm以下であれば、ベース樹脂と微粉状充填剤との界面が緻密に形成されて、高反射性の反射材を得ることができる。
無機充填剤として酸化チタンを用いる場合には、その粒径は0.1μm〜1.0μmであるのが好ましく、0.2μm〜0.5μmであるのがさらに好ましい。酸化チタンの粒径が0.1μm以上であれば、ベース樹脂への分散性が良好で、均質な反射材を得ることができる。また、酸化チタンの粒径が1.0μm以下であれば、ベース樹脂と酸化チタンとの界面が緻密に形成されて、反射材に高反射性を付与することができる。
なお、本発明において、無機充填剤の粒径は、(株)島津製作所製の型式「SS−100」の粉体比表面測定器(透過法)を用いて測定した空気透過の時間より算出したものである。ここで、空気透過の時間は、断面積2cm、高さ1cmの試料筒に無機充填剤3gを充填して、500mm水柱で20ccの空気が透過するのに要する時間として測定した。
なお、本発明においては、前記の如く例示した有機充填剤と無機充填剤とを組み合わせて使用してもよい。
有機充填剤及び/又は無機充填剤の含有量は、反射材の光反射性、機械的物性、生産性等を考慮すると、反射材全体の質量に対して10〜70質量%であるのが好ましく、20〜60質量%であるのがさらに好ましい。
有機充填剤及び/又は無機充填剤の含有量が10質量%以上であれば、ベース樹脂と有機充填剤及び/又は無機充填剤との界面の面積を充分に確保することができ、反射材に高反射性を付与することができる。また、有機充填剤及び/又は無機充填剤の含有量が70質量%以下であれば、反射材に必要な機械的性質を確保することができる。
有機充填剤と無機充填剤とを組み合わせて使用する場合の、有機充填剤の含有割合は、反射材の光反射性、機械的物性、生産性等を考慮すると、反射材全体の質量に対して1〜30質量%であるのが好ましく、3〜15質量%であるのがさらに好ましい。有機充填剤の含有割合が1質量%以上であれば、光反射性と耐熱性を同時に実現することができて好ましい。また、有機充填剤の含有割合が30質量%以下であれば、反射材に優れた延伸成形性を確保することができる。
(他の成分)
本発明の反射材は、上記ポリカーボネート、有機充填剤及び/又は無機充填剤の効果を損なわない範囲内で、これら以外の樹脂(「他成分樹脂」という)を含有してもよい。また、前記効果を損なわない範囲内で、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、分散剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、相溶化剤及びその他の添加剤を含有してもよい。
(空隙率)
より高反射性を得るためには、反射材内部に微細な空洞を含有することが好ましい。反射材内部に微細な空洞を有していれば、上記ポリカーボネートと有機充填剤及び/又は無機充填剤との屈折率差による屈折散乱のほか、上記ポリカーボネートと有機充填剤及び/又は無機充填剤の周囲に形成される空洞との屈折率差による屈折散乱、さらに有機充填剤及び/又は無機充填剤の周囲に形成される空洞と有機充填剤及び/又は無機充填剤との屈折率差による屈折散乱などから光反射性を得ることができるので、好ましい。
本発明の反射材の空隙率、すなわち反射材内部に占める空洞の体積部分の割合は5%以上、70%以下、中でも反射率向上の観点から10%以上であるのが好ましい。本発明の反射材の空隙率が5%以上であれば十分に反射性能を高めることができ、また、空隙率が70%以下であれば、反射材の機械的強度が確保され、例えばフィルム状反射材の製造中にフィルムが破断したり、使用時に耐熱性等の特性が不足したりすることがない。
なお、例えばフィルム状の反射材内部に、フィルムを延伸して空洞を含有させる場合の空隙率は、下記式に代入して求めることができる。
空隙率(%)={(延伸前のフィルムの密度−延伸後のフィルムの密度)/延伸前のフィルムの密度}×100
本発明の反射材内部の空洞は、例えば、配合組成物を溶融しフィルム状に製膜した後、これを延伸することにより形成することができる。これは、延伸した時にベース樹脂と有機充填剤及び/又は無機充填剤との延伸挙動が異なるからである。すなわち、ベース樹脂に適した延伸温度で延伸を行えば、マトリックスとなるベース樹脂は延伸されるが、有機充填剤及び/又は無機充填剤はそのままの状態でとどまろうとするため、ベース樹脂と各充填剤との界面が剥離して、空洞が形成される。従って、各充填剤の種類と量、並びに延伸倍率などを調整することによって、反射材内部の空隙率を制御することができる。
また、本発明の反射材を形成する樹脂組成物に、発泡剤を添加して発泡させることによっても反射材内部に空洞を形成することができるので、この場合は、発泡剤の種類と量などを調整することによって、反射材内部の空隙率を制御することができる。
(積層構成)
本発明の反射材は、上記ポリカーボネートと有機充填剤及び/又は無機充填剤を主たる構成成分とする樹脂組成物から形成された単層構成の反射材であってもよいし、上述した、上記ポリカーボネートと有機充填剤及び/又は無機充填剤を主たる構成成分とする樹脂組成物から形成された層を2層以上積層した多層構成の反射材としてもよい。
多層構成の反射材としては、例えば、上記ポリカーボネートと有機充填剤及び/又は無機充填剤を主たる構成成分とする樹脂組成物Aから形成された樹脂層Aと、上記ポリカーボネートと有機充填剤及び/又は無機充填剤を主たる構成成分とする樹脂組成物Bから形成された樹脂層Bとを備えた2種類の層からなるものを挙げることができる。この際、光が照射される側(反射使用面側)から、樹脂層A/樹脂層B、樹脂層B/樹脂層A、樹脂層A/樹脂層B/樹脂層A、樹脂層B/樹脂層A/樹脂層Bの順に積層することが考えられる。
また、樹脂層A及び樹脂層B以外に他の層を備えてもよいし、樹脂層A及び樹脂層Bの各層間に他の層が介在してもよい。例えば、樹脂層A、樹脂層B間に接着層が介在してもよい。
(反射材の形態)
本発明における反射材のとり得る形態は特に限定されるものではないが、フィルム状、あるいはシート状であることが好ましい。
例えば樹脂層Aからなる単層フィルム構成をとる場合、フィルム状なる層であっても、溶融樹脂組成物Aを押出或いは塗布などによって(フィルムを形成することなく)薄膜形成してなる層であってもよい。また、フィルムからなる場合、そのフィルムは未延伸フィルムであっても、一軸或いは二軸延伸フィルムであってもよいが、少なくとも一軸方向に1.1倍以上延伸して得られる延伸フィルム、特に二軸延伸フィルムであるのが好ましい。
さらに樹脂層Bを設ける場合についても同様で、樹脂層Bはフィルムからなる層であっても、溶融樹脂組成物を押出或いは塗布などによって(フィルムを形成することなく)薄膜形成してなる層であってもよい。また、フィルムからなる場合、そのフィルムは未延伸フィルムであっても、一軸或いは二軸延伸フィルムであってもよいが、少なくとも一軸方向に1.1倍以上延伸して得られる延伸フィルム、特に二軸延伸フィルムであるのが好ましい。
(厚み)
本発明における反射材の厚みは、特に限定されるものではないが、30μm〜1500μmであるのが通常は好ましく、実用面における取り扱い性を考慮すると50μm〜1000μm程度の範囲内であるのが好ましい。
例えば小型、薄型の反射板用途の反射材としては、厚みが30μm〜200μmであるのが好ましい。かかる厚みの反射材を用いれば、例えばノート型パソコンや携帯電話等の小型、薄型の液晶ディスプレイ等にも使用することができる。
他方、大型液晶テレビ等の反射材としては、厚みが75μm〜1000μmであるのが好ましい。
(反射率)
本発明の反射材の少なくとも片面の反射率は、波長615nm、545nm、440nmの光に対して、94%以上を有することが好ましく、さらに96%以上を有することが特に好ましい。かかる反射性能を有するものであれば、反射フィルムとして良好な反射特性を示し、この反射フィルムを組み込んだ液晶ディスプレイ等はその画面が黄色味を帯び
ることなく、精彩性が良好になる。
(製造方法)
次に、本発明の反射材の製造方法について一例を挙げて説明するが、下記製造法に何等限定されるものではない。
先ず、上記ポリカーボネートに、有機充填剤及び/又は無機充填剤、その他の添加剤等を必要に応じて配合して樹脂組成物を作製する。具体的には、上記ポリカーボネートに有機充填剤及び/又は無機充填剤を加え、さらに酸化防止剤等の添加剤を必要に応じて加えて、リボンブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー等で混合した後、バンバリーミキサー、1軸又は2軸押出機等を用いて、樹脂の融点以上の温度で混練することにより樹脂組成物を得ることができる。
但し、有機充填剤及び/又は無機充填剤、添加剤等を、別々のフィーダー等により所定量を上記ポリカーボネートに添加することにより樹脂組成物を得ることもできる。また、有機充填剤及び/又は無機充填剤、添加剤等を予め上記ポリカーボネートに高濃度に配合した、いわゆるマスターバッチを作っておき、このマスターバッチと上記ポリカーボネートとを混合して所望の濃度の樹脂組成物とすることもできる。
次に、このようにして得られた樹脂組成物を溶融し、フィルム状に成形する。例えば、上記ポリカーボネートを押出機に供給し、所定の温度以上に加熱して溶融する。押出温度等の条件は、分解によって分子量が低下すること等を考慮して設定されることが必要で、押出温度は200℃〜270℃の範囲が好ましい。その後、溶融した樹脂組成物をTダイのスリット状の吐出口から押し出し、冷却ロールに密着固化させてキャストシートを形成する。
この際、押出機の押出温度や押出機のスクリュー回転数を調整することによって、有機充填剤及び/又は無機充填剤の分散状態を制御することができる。
得られたキャストシートは、少なくとも1軸方向に1.1倍以上延伸するのが好ましい。延伸することにより、有機充填剤及び/又は無機充填剤を核とした空洞がフィルム内部に形成され、フィルムの光反射性をさらに高めることができて好ましい。これは新たに上記ポリカーボネートと空洞、空隙と有機充填剤及び/又は無機充填剤、及び空隙と非相溶樹脂との界面が形成されるため、これらの界面で生じる屈折散乱の効果が増えるためと考えられる。
さらに2軸方向に延伸するのが好ましい。2軸延伸することにより、空隙率は高くなり、フィルムの光反射性を高めることができるからである。また、フィルムを1軸延伸したのみでは、形成される空隙は一方向に伸びた繊維状形態にしかならないが、2軸延伸することによって、その空隙は縦横両方向に伸ばされたものとなり円盤状形態になる。すなわち、2軸延伸することによって、上記ポリカーボネートと有機充填剤及び/又は無機充填剤との界面の剥離面積が増大し、フィルムの白化が進行し、その結果、フィルムの光反射性を高めることができる。さらにまた、2軸延伸するとフィルムの収縮方向に異方性がなくなるので、反射フィルムに耐熱性を向上させることができ、また、フィルムの機械的強度を増加させることもできる。
2軸延伸の延伸順序は特に制限されることはなく、例えば、同時2軸延伸でも逐次延伸でも構わない。延伸設備を用いて、溶融製膜した後、ロール延伸によってMDに延伸した後、テンター延伸によってTDに延伸しても良いし、チューブラー延伸等によって2軸延伸を行ってもよい。
上記の場合の延伸倍率は、面積倍率として2倍以上に延伸することが好ましく、4倍以上に延伸することが更に好ましい。面積倍率において2倍以上に延伸することにより10
%以上の空隙率を実現することができ、4倍以上に延伸することにより30%以上の空隙率を実現することができる場合がある。なお、面積倍率4倍以上で一軸方向又は二軸方向に延伸するのが最も好ましい。
キャストシートを延伸する際の延伸温度は、樹脂のガラス転移温度(Tg)のTg±30℃の範囲内の温度であることが好ましく、上記ポリカーボネートのガラス転移温度を125℃とした場合においては、具体的には95℃〜155℃であることが好ましく、120℃〜140℃であることがより好ましく、125℃〜135℃(ガラス転移温度付近)での延伸が最も好ましい。延伸温度がこの範囲であれば、延伸時にフィルムが破断することがなく、製膜安定性の高いフィルムを得ることができる。また延伸配向が高く、空隙率を大きくできるので、高い反射率を有するフィルムを得ることができる。また、前記のように、比較的低温で延伸処理することができるので、有機・無機充填剤の劣化に起因するベース樹脂の黄変を抑えることができる。
上記延伸後、必要に応じて適宜な方法及び条件で熱処理してもよい。
(用途)
本発明の反射材は、例えば、フィルム形状のまま大型液晶テレビ等の反射フィルムとして使用する場合に有用であるが、金属板(例えばアルミ板やステンレス板、亜鉛メッキ鋼板など)もしくは樹脂板に被覆した反射板としても好適に用いることができる。この反射板は、例えば、液晶ディスプレイ等の液晶表示装置、照明器具、照明看板等に用いられる反射板として有用である。
以下に、このような反射板の製造方法について一例を挙げて説明する。
反射材を金属板若しくは樹脂板に被覆する方法としては、接着剤を使用する方法、接着剤を使用せずに熱融着する方法、接着性シートを介して接着する方法、押出しコーティングする方法等があり、特に限定されるものではない。例えば、金属板若しくは樹脂板(まとめて「金属板等」という)の反射材を貼り合わせる側の面に、ポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系等の接着剤を塗布し、反射材を貼り合わせることができる。
かかる方法においては、リバースロールコーター、キスロールコーター等の一般的に使用されるコーティング設備を使用し、反射材を貼り合わせる金属板等の表面に、乾燥後の接着剤膜厚が2μm〜4μm程度となるように接着剤を塗布する。次いで、赤外線ヒーター及び熱風加熱炉により塗布面の乾燥及び加熱を行い、金属板等の表面を所定の温度に保持しつつ、直ちにロールラミネーターを用いて、反射材を被覆、冷却することにより、反射板を得ることできる。
[実施例]
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。なお、実施例に示す測定値及び評価は以下に示すようにして行った。ここで、フィルムの引取り(流れ)方向をMD、その直交方向をTDと表示する。
(測定及び評価方法)
(1)空隙率(%)
延伸前の反射材の密度(「未延伸反射材密度」と表記する)と延伸後の反射材の密度(「延伸反射材密度」と表記する)とを測定し、下記式に代入して反射材の空隙率を求めた。
空隙率(%)={(未延伸反射材密度−延伸反射材密度)/未延伸反射材密度}×100
(2)反射率(%)
分光光度計(「U―4000」、(株)日立製作所製)に積分球を取付け、波長615nm、545nm及び440nmの光に対する反射率を求めた。なお、測定前に、アルミナ白板の反射率が100%になるように光度計を設定した。
(3)耐候性試験
試験機:岩崎電気製アイスーパUVテスターSUV−W151
UV照射強度:75mW/cm 照射温度:63℃、照射湿度:50%
評価:UV照射前と照射50時間後のサンプルのYI値(黄色度)を測定した。
黄色度(YI値):黄色度は、JIS−K7103に基づいて測定した。なお、測定は分光測色計(「SC−T」、スガ試験機(株)製)を用いて行った。
(フィルム状反射材1の作製)
ジヒドロキシ化合物としてイソソルビドに由来する構成単位と、脂環式ジヒドロキシ化合物として1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する構成単位とを含むポリカーボネート共重合体(イソソルビド構成単位:1,4−シクロヘキサンジメタノールの構成単位=70:30(モル%)Tg=126℃、末端二重結合濃度=4μq/g、末端フェニル基濃度=90μq/g、フェノール含有量=40ppm、蟻酸含有量=2ppm未満、還元粘度=0.77dl/g、5%熱減量温度=349℃)と、ルチル型酸化チタン(KRONOS社製「KRONOS2230」)とを、7:3の質量割合で混合した後、230℃に加熱された二軸押出機を用いて溶融混錬した後に押出し、冷却固化して厚み360μmの反射フィルム1を得た。得られた反射フィルム1について、空隙率、反射率の評価を行った。結果は表1に示した。
(フィルム状反射材2の作製)
フィルムストレッチャーを用いて、実施例1で得られた反射フィルム1を温度135℃で、MD及びTD方向に各々2倍延伸を行い、厚み100μm程度の延伸フィルムを作製し、2枚重ねて、厚み200μmの反射フィルム2を得た。得られた反射フィルム2について、空隙率、反射率の評価を行った。結果は表1に示した。
(フィルム状反射材3の作製)
フィルムストレッチャーを用いて、実施例1で得られた反射フィルム1を温度135℃で、MD及びTD方向に各々2倍延伸を行い、厚み100μmの延伸フィルムを作製し、3枚重ねて、厚み300μmの反射フィルム3を得た。得られた反射フィルム3について、空隙率、反射率の評価を行った。結果は表1に示した。
(フィルム状反射材4の作製)
フィルムストレッチャーを用いて、実施例1で得られた反射フィルム1を温度140℃で、MD及びTD方向に各々2倍延伸を行い、厚み100μmの延伸フィルムを作製し、3枚重ねて、厚み300μmの反射フィルム4を得た。得られた反射フィルム4について、空隙率、反射率の評価を行った。結果は表1に示した。
[比較例1]
ジヒドロキシ化合物としてイソソルビドに由来する構成単位と、脂環式ジヒドロキシ化合物として1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する構成単位とを含むポリカーボネート共重合体(Tg=126℃、イソソルビド構成単位:1,4−シクロヘキサンジメ
タノールの構成単位=70:30(モル%))を230℃に加熱された二軸押出機を用いて押出し、冷却固化して厚み406μmのフィルム5を得た。得られたフィルム5について、空隙率、反射率の評価を行った。結果は表1に示した。
Figure 2011070019
[参考例1]
(耐候性評価用フィルムの作製)
実施例1と同様のポリカーボネート共重合体を230℃に加熱された二軸押出機を用いて溶融押出し、冷却固化してシートを形成した。得られたシートについて耐候性の評価を行った。結果は表2に示した。
[参考例2]
ポリカーボネート系樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユーピロンH4000」)を240℃に加熱された二軸押出機を用いて溶融押出し、冷却固化してシートを形成した。得られたシートについて耐候性の評価を行った。結果は表2に示した。
Figure 2011070019
表1から明らかなように、本発明の実施例1及び2のフィルム状反射材は、615nm、545nm、440nmの波長の光に対する反射率が96%以上の高い光反射性を有していることがわかった。特に、本発明の反射材は、厚みが薄くても極めて良好な反射特性を有することが確認された。また本発明の樹脂組成物を使用し、延伸して得られた反射フィルムは、より高い反射率を有することが確認された。
さらに、表2の結果から明らかなように、本発明の樹脂組成物を使用した場合には、紫外線に対する耐候性に優れることがわかった。

Claims (9)

  1. 分子内に下記構造式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリカーボネートと、有機充填剤及び/又は無機充填剤とを主たる構成成分とする樹脂組成物からなり、反射材内部に空隙率が5%以上70%以下の範囲である微細な空洞を有することを特徴とする反射材。
    Figure 2011070019


    (但し、構造式(1)中の酸素原子に水素原子は結合しない。)
  2. 前記有機充填剤が、前記ポリカーボネートに非相溶な熱可塑性樹脂である、請求項1に記載の反射材。
  3. 前記無機充填剤が、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、及び酸化チタンからなる群より選ばれる1種又は2種以上である、請求項1又は請求項2に記載の反射材。
  4. 前記有機充填剤及び/又は無機充填剤の含有量が、反射材の全体質量に対して10質量%以上70質量%以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の反射材。
  5. 前記ジヒドロキシ化合物が、下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の反射材。
    Figure 2011070019
  6. 前記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位として、イソソルビド、イソマンニド及びイソイデットよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を含む、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の反射材。
  7. 液晶ディスプレイ、照明器具或いは照明看板の構成部材として使用されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の反射材。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の反射材を、金属板又は樹脂板に積層してなる構成を備えた反射板。
  9. 液晶ディスプレイ、照明器具或いは照明看板の構成部材として使用されることを特徴とする請求項8に記載の反射板。
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