JP2011069940A - 画像加熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁束の作用により発熱し、可撓性を有する回転可能なベルト34と、ベルトの内側に配置されたバックアップ部材35と、ベルトを介してバックアップ部材と圧接してベルトとの間でニップ部Nを形成する加圧回転体32と、加圧回転体を回転駆動する駆動手段Mと、ベルトの外側においてベルトに非接触に対向して配置された、磁束を発生する磁界発生手段33と、を有し、ニップ部で画像tを担持した記録材Pを挟持搬送しつつ加熱する画像加熱装置22において、ベルト34と磁界発生手段32との距離をほぼ均一に保つことができて、発熱ムラを低減することができる画像加熱装置22を提供する。
【解決手段】磁界発生手段33に配置されたガイド部材であって、加圧回転体32の回転駆動に従動して回転するベルト34の回転軌跡を、ベルトの記録材非通紙領域部においてベルトの外側から少なくとも3点で規制するガイド部材109を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真方式・静電記録方式・磁気記録方式などによって画像形成を行う複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機能機等の画像形成装置に搭載される画像定着装置として用いて好適な電磁(磁気)誘導加熱方式の画像加熱装置に関する。画像加熱装置としては、記録材上の未定着画像を定着或いは仮定着する定着装置、記録材に定着された画像を加熱することにより画像の光沢を増大させる光沢増大化装置を挙げることができる。また、インクジェット方式などの、染料や顔料を含む液体により画像形成を行う画像形成装置においてインクを速く乾かすため画像加熱装置等を挙げることができる。
定着装置は、省エネルギの観点や、画像形成装置の使用時に使用者(ユーザー)を待たせない等の観点から、加熱部材(定着部材)を瞬時に所定の温度に加熱することができ、待ち時間(WUT:ウオームアップタイム)を短縮した装置が求められている。加熱手段としては、ハロゲンランプの代わりに、誘導加熱方式を利用した定着装置の開発がなされている。特許文献1の誘導加熱を利用した定着装置は次のような構成を有する。定着ベルトと、定着ベルトに内接し、少なくとも一部が導電性を有する回転可能な発熱ローラと、発熱ローラとの間で定着ベルトを移動可能に懸架する定着ローラと、発熱ローラの外側に配置され、発熱ローラを励磁して加熱する励磁手段とを備えている。発熱ローラが回転動作を始めた後に励磁手段が発熱ローラを励磁して加熱する。WUTを短縮すべく、発熱ローラでなく、熱容量を下げるために発熱ベルトを用いた構成として特許文献2や3のような技術がある。これは、導電層を有する薄肉の発熱ベルトを、磁界発生手段が発生する磁界によって誘導加熱し、発熱ベルトと相対して設けられる加圧部材とのニップ部で、記録媒体上の未定着トナー像を定着する定着装置である。そして、発熱ベルトの内部に、弾性層を有する押圧部材を設け、押圧部材を発熱ベルトを介して加圧部材に押圧することにより、定着のためのニップ部を形成する。またベルト端部で規制部材を有する。また、誘導加熱による発熱効率向上を狙ったものとして特許文献4が挙げられる。非磁性体のギャップ保持手段により磁束生成コイルと誘導発熱体との距離を一定に保つ構成が記載され、その実施例中に磁束生成コイルを定着ローラ本体の外側に置く例が含まれている。
特開2002−082549号公報 特開2002−148983号公報 特開平10−074007号公報 特開平11−231697号公報
WUTを短縮する定着装置の提案に対して、背景技術で紹介した薄肉ベルトと誘導加熱を用いた構成が考えられる。薄肉ベルトを使うことで、熱容量を抑えることができ、さらにウォームアップタイムの短縮化が可能となる。また、耐久性を考え、ベルトにテンションをかけないフリーベルトを用いた構成が考えられる。磁界発生手段において磁束生成コイルは、ベルトの回転方向と直交する方向を長手方向とする横長に形成された部材であり、ベルトと0.5mm〜2mm程度のギャップを保持し、ベルトの外部に配置される。ベルトと励磁手段である磁束生成コイルの距離を近づけ、磁束密度が高いエリアに配置することで効率的な加熱が可能となる。よって、電源周波数を下げることができ、電源の小型化・低コスト化が可能となる。しかし、フリーベルト構成では、ベルトが回転に伴って周方向にばたつくために、ベルトと磁界発生手段との距離が不安定となり、発熱ムラが発生するという課題が生じた。ベルトを規制する構成として、ベルトの長手方向全域で規制する構成が考えられる。しかし、このようなフリーベルトを用いたベルト定着装置でベルトを長手全域で規制する場合、摺動抵抗が発生し、駆動に対する負荷が大きくなり、ベルトスリップという問題が発生する。
本発明は上記の課題に鑑みて提案されたもので、ベルトと磁界発生手段との距離をほぼ均一に保つことができて、発熱ムラを低減することができる、フリーベルト構成で、電磁誘導加熱方式の画像加熱装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための本発明に係る画像加熱装置の代表的な構成は、磁束の作用により発熱し、可撓性を有する回転可能なベルトと、前記ベルトの内側に配置されたバックアップ部材と、前記ベルトを介して前記バックアップ部材と圧接して前記ベルトとの間でニップ部を形成する加圧回転体と、前記加圧回転体を回転駆動する駆動手段と、前記ベルトの外側において前記ベルトに非接触に対向して配置された、磁束を発生する磁界発生手段と、を有し、前記ニップ部で画像を担持した記録材を挟持搬送しつつ加熱する画像加熱装置において、前記磁界発生手段に配置されたガイド部材であって、前記加圧回転体の回転駆動に従動して回転する前記ベルトの回転軌跡を、前記ベルトの記録材非通紙領域部において前記ベルトの外側から少なくとも3点で規制するガイド部材を有することを特徴とする。
本発明によれば、ベルトと磁界発生手段との距離をほぼ均一に保つことができて、発熱ムラを低減することができる、フリーベルト構成で、電磁誘導加熱方式の画像加熱装置を提供することができる。
(a)は実施例1の画像形成装置の縦断面模式図、(b)は定着装置の要部の拡大横断面模式図と制御系統のブロック図である。 (a)は定着装置の正面模式図、(b)は縦断正面模式図である。 (a)は図2の(b)の部分的拡大図、(b)はベルトの層構成模式図、(c)は一端部側のキャップ部材と、パッドを支持したステイの一端部側と、コアの一端部側の分解斜視図である。 (a)はベルトの回転軌跡の説明図、(b)は(a)の部分的拡大図、(c)はコイルユニットのベルト対向面側を見た斜視図である。 (a)は実施例2における定着装置の要部の拡大横断面模式図、(b)コイルユニットのベルト対向面側を見た斜視図、(c)はガイド部材としてのコロの拡大斜視図である。
次に図面を参照しながら、本発明の実施形態の具体例(実施例)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]:《画像形成装置例》図1の(a)は本発明に従う画像加熱装置を定着装置として搭載した画像形成装置の一例であるカラー電子写真プリンタの概略構成を示す縦断面模式図である。このプリンタ1は制御回路部(制御基板:CPU)100と通信可能に接続した外部ホスト装置200からの入力画像情報に応じて作像動作して、記録材上にフルカラー画像を形成して出力することができる。装置200はコンピュータ、イメージリーダー、ファクシミリ等である。制御回路部100は装置200と信号の授受をする。また、プリンタ側の各種の作像機器と信号の授受をして作像シーケンス制御を司る。記録材は、普通紙、樹脂製シート状物、厚紙、OHPシート(オーバーヘッドプロジェクター用シート)、封筒、はがき、ラベルなどがある。プリンタ1内には図面上左側から右側にかけて、第1乃至第4の4つの画像形成部Y・M・C・Bkが水平方向に並べられて配設されている(インライン構成、タンデム型)。各画像形成部はいずれもレーザ露光方式の電子写真プロセス機構であり、現像器に収容させた現像剤(トナー)の色が異なるだけで、互いに同様な構成である。即ち、各画像形成部は、それぞれ、矢印の反時計方向に所定の速度で回転駆動されるドラム型の電子写真感光体(像担持体:以下、ドラムと記す)2を有する。また、各ドラム2の周囲には、ドラム2に作用するプロセス手段としての、一次帯電器3、レーザスキャナ4、現像器5、一次転写ブレード6、クリーナ7が配置されている。画像形成部Y・M・C・Bkの下側には中間転写ベルトユニット8が配設されている。該ユニット8は、無端状でフレキシブルな中間転写ベルト(以下、ベルトと記す)9と、このベルト9を懸回張設している駆動ローラ10・テンションローラ11・二次転写対向ローラ12を有する。各画像形成部Y・M・C・Bkの一次転写ブレード6はベルト9の内側に配設されていて、ベルト9のローラ11とローラ10との間の上行側ベルト部分を介して対応するドラム2の下面に圧接している。各ドラム2とベルト9との当接部が一次転写部である。ローラ12にはベルト9を介して二次転写ローラ13が圧接している。ベルト9とローラ13との当接部が二次転写部である。ベルト9はローラ10により矢印の時計方向にドラム2の回転速度に対応した速度にて循環移動される。本実施例において、第1の画像形成部Yは現像器5にイエロー(Y)色の現像剤が収容されていて、ドラム2にY色トナー像を形成する。第2の画像形成部Mは現像器5にマゼンタ(M)色の現像剤が収容されていて、ドラム2にM色トナー像を形成する。第3の画像形成部Cは現像器5にシアン(C)色の現像剤が収容されていて、ドラム2にC色トナー像を形成する。第4の画像形成部Bkは現像器5にブラック(Bk)色の現像剤が収容されていて、ドラム2にBk色トナー像を形成する。制御回路部100は装置200から入力したカラー色分解画像信号に基づいて、各画像形成部Y・M・C・Bkを作像動作させる。これにより各画像形成部において回転するドラム2の面に対して所定の制御タイミングで、それぞれ、Y色、M色、C色、Bk色の色トナー像が形成される。なお、ドラム2にトナー像を形成する電子写真作像原理・プロセスは公知に属するからその説明は省略する。各画像形成部のドラム2の面に形成される上記のトナー像はそれぞれ一次転写部にて、各ドラム2の回転方向と順方向に、かつ各ドラム2の回転速度に対応した速度で回転駆動されているベルト9の外面に対して順次に重畳転写される。これにより、ベルト9の面に上記のY色、M色、C色、Bk色の4つのトナー像の重ね合わせによる未定着のフルカラートナー像が合成形成される。
一方、所定の給紙タイミングにて、それぞれ大小各種幅サイズの記録材(以下、シートと記す)Pを積載収容させた上下複数段のカセット給紙部14A・14Bのうちの選択された段位の給紙カセットの給紙ローラ15が駆動される。これにより、その段位の給紙カセットに積載収納されているシートPが1枚分離給紙されて搬送路16を通ってレジストローラ対18に搬送される。手差し給紙が選択されているときには、給紙ローラ19が駆動される。これにより、マルチ給紙トレイ20に積載セットされているシートPが1枚分離給紙されて搬送路16を通ってローラ対18に搬送される。ローラ対18は、シートPを一旦受け止めて、シートが斜行している場合、真っ直ぐに直す。そして、ローラ対18は、ベルト9上のトナー像と同期を取って、シートPをベルト9とローラ13との圧接部である二次転写部に送り込む。これにより、二次転写部において、ベルト9上のフルカラーの合成トナー像が一括してシートPの面に二次転写される。二次転写部を出たシートPはベルト9の面から分離されて、定着装置21に導入される。この装置21により、シートP上の複数色のトナー像が溶融混色されてシート面に固着像として定着される。二次転写部にてシート分離後のベルト8の面はベルトクリーナ22により二次転写残トナー等の残留付着物の除去を受けて清掃され、繰り返して作像に供される。モノ黒プリントモードの場合には、ブラックトナー像を形成する第4の画像形成部Bkのみが作像動作制御される。片面プリントモードの場合において、装置21を出たシートPは、予めの指定に従って切り換えフラッパ23により進路切り換えされて、プリンタ側面に配置されているフェイスアップ排紙トレイ25に排出される。あるいは、プリンタ上面に配置されているフェイスダウン排紙トレイ28に排出される。トレイ25への排紙の場合は、装置21を出たシートPは第1の姿勢に転換されているフラッパ23の下面側を通って直進し、第1の排紙ローラ24によりトレイ25上に画像面上向きで排出される。トレイ28への排紙の場合は、装置21を出たシートPは第2の姿勢に転換されているフラッパ23の上面側を通って上方に案内され、搬送路26により上方搬送される。そして、第2の排紙ローラ27によりトレイ28上に画像面下向きで排出される。両面プリントモードの場合は、装置21を出た第1面に対する画像形成・定着済みのシートPが、第2の姿勢に転換されているフラッパ23の上面側を通って上方に案内され、搬送路26により上方搬送される。そのシートPの搬送途中で後端が反転ポイントRに達したとき、搬送路26が逆搬送駆動に転換される。これにより、シートPがスイッチバック搬送されて両面搬送路29に入る。そして、搬送路29から再び搬送路16に入って、表裏反転された状態にて二次転写部に再搬送される。これにより、シートPは第2面に対する画像転写を受ける。二次転写部を出たシートPは再び装置21に導入される。定着装置21を出た両面プリント済みのシートPが、片面プリントモードの場合と同様に予めの指定に従って切り換えフラッパ23により進路切り換えされてトレイ25又はトレイ28に排出される。フラッパ23、スイッチバック搬送路26等で構成される部分は反転手段の一例である。
《定着装置22》本実施例の定着装置22は、シートPを加熱する加熱部材(定着部材)として、磁束の作用により発熱し、可撓性を有する回転可能なベルト(導電層(誘導発熱体)を有する薄肉の定着ベルト)を用いる。そして、該ベルトをベルトの外側に配設した磁界発生手段(磁束発生手段)により電磁誘導加熱する、ベルト加熱方式、加圧回転体駆動方式(フリーベルト方式)の画像加熱装置である。以下の説明において、装置22又はこれを構成している部材に関し、正面とは装置をシート(記録材)入口側からみた面、背面とはその反対側の面(シート出口側)、左右とは装置を正面から見て左又は右である。また、長手方向とは、シート搬送路面内においてシート搬送方向に直交する方向に平行な方向である。また短手方向とは長手方向に直交する方向である。上流側と下流側とはシート搬送方向に関して上流側と下流側である。シートの通紙幅とは、シート面においてシート搬送方向に直交する方向のシート寸法である。図1の(b)は装置22の要部の拡大横断面模式図と制御系統のブロック図である。図2の(a)は装置22の正面模式図、(b)は装置22の縦断正面模式図である。図3の(a)は図2の(b)の部分的拡大図である。この装置22は、装置枠体(シャーシー、フレーム)50の左右の対向側板51L・51R間に長手方向両端部を保持させて定着ベルトユニット31が配設されている。また、側板51L・51R間に長手方向両端部を保持させて、加圧回転体(回転可能な加圧部材)としての弾性を有する加圧ローラ32が配設されている。ユニット31とローラ32は側板51L・51R間において上下に並行に配列されている。そして、両者31・32が圧接されて、ユニット31側のベルト34とローラ32との間にシート搬送方向(短手方向)において所定幅のニップ部(定着ニップ部)Nが形成されている。また、ユニット31のローラ32側とは180°反対側には、装置枠体50に保持させて、磁束を発生する磁界発生手段としての励磁コイルユニット33がベルトユニット31に並行に配列されている。このユニット33は、ユニット31のベルト34の外側において、ベルト34に対して非接触にほぼ一定のギャップαを保持して対向している。
1)ベルトユニット31:ユニット31において、ベルト34は、鉄等の強磁性の金属(透磁率の高い金属)を使うことで、ユニット33から発生する磁束を金属内部により多く拘束させることができる。即ち、磁束密度を高くすることができることにより、金属表面に渦電流を発生し、効率的にベルトを発熱させることができる。ユニット31は、ベルト34の内側に挿通して配設された、バックアップ部材としての定着パッド35と、加圧部材としての加圧ステイ36を有する。パッド35は耐熱性樹脂等の断熱性部材である。ステイ36は横断面下向きU字型のSUS等の剛性を有する型鋼材である。ステイ36はパッド35を支持している。また、ユニット31は、ステイ36の外側を覆って配設された、磁気遮蔽部材としての横断面下向きU字型の強磁性体などからなるベルト内磁性コア(磁気遮蔽コア)37を有する。パッド35とステイ36の長さはベルト34よりも長く、左右の両端部はそれぞれベルト34の左右の両端部から外方に突出している。そして、その左右の突出端部に対してそれぞれキャップ部材38L・38Rが嵌着されている。
図3の(b)は本実施例におけるベルト34の層構成模型図である。このベルト34は、円筒状の導電層(誘導発熱体:基層)34bと、この導電層34bの内周面に設けた内層34aと、導電層34bの外周面に順次に積層して設けた弾性層34c及び表面離型層34dとの複合層ベルトである。ベルト34は全体に可撓性を有しており、自由状態においてはほぼ円筒形状をなしている。内層34aはベルト内面に接触する部材との摺動性を確保するために設けられており、10〜100μm程度の厚さが好ましい。本実施例では、この内層34aとして、厚さ15μmのポリイミド(PI)層を用いている。導電層34bはコイルユニット33によって生じる磁束の電磁誘導作用により発熱する層であり、鉄・コバルト・ニッケル・銅・クロム等の金属層を1〜50μm程度の厚みで形成したものが用いられる。ベルト34の熱容量を下げ、WUT(待ち時間)を短縮する必要がるので、導電層34bは可能な限り薄層にすることが好ましい。本実施例では、発熱効率と熱容量を両立させるために、導電層34bとして、導電率の高いニッケルで40μm程度の薄い厚さのものを用いる。弾性層34cは、なるべく薄くすることがクイックスタート性を向上させるためには好ましいが、ベルト表面を柔らかくし、トナーを包み込み溶かす効果を持たせるためにある程度の厚さが必要である。100〜1000μm程度の厚さが好ましい。本実施例においては、ゴム硬度10°(JIS−A)、熱伝導率0.8W/m・K、厚さ400μmのゴム層を用いた。表面離型層34dは、シートP上に形成された未定着トナー像tと直接に接する層であるため、離型性の良い材料を使用する必要がある。この離型層34dを構成する材料としては、例えば、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコン共重合体、またはこれらの複合層等が挙げられる。離型層34dは、これらの材料のうちから適宜選択されたものを、1〜50μmの厚さでベルトの最上層に設けたものである。この表面離型層34dの厚さは、薄すぎると、耐磨耗性の面で耐久性が低下して、ベルト34の寿命が短くなってしまう。逆に、厚すぎると、ベルト34の熱容量が大きくなってしまい、ウオームアップが長くなってしまうため、望ましくない。本実施例では、耐磨耗性と、ベルト34の熱容量のバランスを考慮して、離型層34dとして、厚さ30μmのテトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル重合体(PFA)が使用されている。
コア37は、ベルト34の内側にあってコイルユニット33と対向しており、コイルユニット33からベルト34へ作用する誘導磁場の大きさを調整する。コア37はベルト34の発熱効率を向上させる働きを有する。また、金属材であるステイ36の外面を覆うことで、該ステイ36への磁束を遮断し、ステイ36が誘導加熱で温まることを抑制する働きもしている。コア37は高透磁率かつ低損失のものを用いる。コア37は磁気回路の効率を上げるためと、ステイ36に対する磁気遮蔽のために用いている。代表的なものとしてはフェライトコアが挙げられる。左側のキャップ部材38Lと右側のキャップ部材38Rは耐熱性樹脂等の断熱性部材であり、同一形状の成型体である。図3の(c)は左側(又は右側)の部材38L(38R)と、パッド35を支持したステイ36の左端部(又は右端部)と、コア37の分解斜視図である。部材38L・38Rは、パッド35を支持したステイ36の左端部と右端部に対して被さって嵌着する受圧部38aを有する。また、受圧部38aと一体で、ベルト34の左端面と右端面に対向する円盤状のフランジ部38bを有する。受圧部38aとフランジ部38bには、パッド35を支持したステイ36の端部を差し込むための穴部38cを有する。左側と右側の部材38L・38Rは、パッド35を支持したステイ36の左端部と右端部とに嵌着された状態において、受圧部38aが、枠体50の左右の対向側板51L・51Rのスリット部52L・52Rに係合されている。これにより、左右の部材38L・38Rは、それぞれ、スリット部52L・52Rにガイドされて、左右の対向側板51L・51Rに対して加圧ローラ32に向かう方向とその逆の方向にスライド移動可能に配設されている。ベルト34の外側には、ベルト34の温度制御のためにベルト温度を検知する温度検知手段としてのサーミスタTHが配設されている。このサーミスタTHは弾性部材53の先端部に保持させて温度検知部をベルト34の外面に弾性部材53のバネ性により弾性的に接触させてある。サーミスタTHはベルト34の内側に配設し、温度検知部をベルト内面に弾性的に接触させた構成にすることもできる。
2)加圧ローラ32:ローラ32は耐熱性弾性ローラであり、芯金32aに、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴム、あるいはシリコーンゴムの発泡体からなる弾性層32bを設けたものである。表面性を向上させるために更に外周に、PTFE、PFA、FEP等のフッ素樹脂層32cを設けてもよい。ローラ32は、芯金32aの左右両端部を、それぞれ、枠体50の側板51L・51Rに軸受部材54L・54Rを介して回転可能に支持されて配設されている。また、芯金32aの右端部にはドライブギアGが固定されて配設されている。ベルトユニット31の部材38L・38Rの各受圧部38aと、装置枠体50に設けられた左右のばね受け座55Lと55Rの間には、それぞれ、加圧ばね56Lと56Rが縮設されている。このばね56L・56Rの所定の突っ張り力Fが、部材38L・38Rの受圧部38a、ステイ36を介してパッド35に作用する。これにより、パッド35がベルト34を挟んで弾性層32bの弾性に抗してローラ32に圧接して、ベルト34とローラ32との間にシート搬送方向に関して所定幅のニップ部Nが形成される。パッド35はニップ部Nの圧プロファイルの形成を補助する。
3)励磁コイルユニット33:ユニット33は、ベルト34の回転方向と直交する方向を長手方向とする横長に形成された部材であり、ベルト34の外側に一定のギャップαを保持しながら設置されている。本実施例では、ベルト34の回転の最大軌跡を考慮してユニット33を配置している。ベルト34の回転軌跡に関しては後述する。ユニット33は、横断面において、ほぼ円筒状のベルト34の外周面の略半周範囲に沿うように湾曲している湾曲部を有する。そして、ユニット31を中にしてローラ32側とは反対側において、長手方向をベルトユニット31の長手方向に並行にして、ベルト34の外面との間に所定の隙間αをあけて対向させた状態にして配設されている。コイルユニット33は、ブラケット57L・57Rを介して枠体50に取り付けられることで、側板51L・51R間に配設されている。本実施例では、ユニット33は、励磁コイル41と、コイル41の巻き中心部に設けられる第1の磁性コア42aと、コイル41のベルト34側とは反対側に設けられる第2の磁性コア42bを有する。コイル41とコア42a・42bは支持部材としてのホルダー(ケーシング)43に格納されている。コア42a・42b、及びコア37は、強磁性体からなる。フェライト等の高透磁率残留磁束密度の低いものを用いると良い。コイル41は、長手方向に略楕円形状(横長舟形)をしており、ベルト34の外周面に沿うようにホルダー43の内部に配置されている。コイル41の芯線としては、φ0.1〜0.3mmの細線を略80〜160本程度束ねたリッツ線を用いている。細線には絶縁被覆電線を用いている。又、コア42a・42bを周回するように8〜12回巻回して、コイル41を構成したものが使われる。コイル41には励磁回路(電磁誘導加熱駆動回路、高周波コンバータ)101が接続されており、交番電流をコイル41へ供給できるようになっている。コア42a・42bは、コイル41の巻き中心部と周囲を囲むように構成されていて、コイル41より発生した交流磁束を効率よくベルト34の導電層34bに導く役目をする。すなわち回路101の効率を上げるためと磁気遮蔽のために用いている。
4)定着動作:制御回路部100は装置200から入力する画像形成開始信号に基づく所定の制御タイミングにおいて、装置22のベルト34の温度を、トナー像を加熱溶融するのに適した温度まで立ち上げるいわゆるウォーミングアップを行う。プリンタ1は、ベルト34の表面温度が所定温度例えば摂氏180度に達した後に画像形成可能な状態となる。装置22のウォーミングアップは、まずローラ32が駆動を開始し、ベルト34が従動して周回を開始するのとほぼ同時あるいは開始直後に、ユニット33のコイル41に回路101から交流電流が供給される。ローラ32の駆動は、定着モータM(加圧回転体を回転駆動する駆動手段)がオンにされることでなされる。モータMの駆動力が動力伝達系(不図示)を介してギアGに伝達されて、加圧回転体であるローラ32が図4において矢印の反時計方向に所定の速度で回転駆動される。このローラ32の回転により、ニップ部Nにおけるローラ32の表面とベルト34の表面との摩擦力でベルト34に回転力が作用する。これにより、ベルト34はその内面がニップ部Nにおいてパッド35の下面に密着して摺動しながら矢印の時計方向にローラ32の回転速度とほぼ同じ速度で従動回転する。ベルト34の回転に伴う長手方向への寄り移動は、左側キャップ部材38Lのフランジ部38bによりベルト左端面が受け止められる、或いは右側キャップ部材38Rのフランジ部38bによりベルト右端面が受け止められることで規制される。また、制御回路部100は、回路101をオンする。これによりAC電源102からコイル41に交流電流(高周波電流)が供給される。そうすると、コイル41の周囲に図1の(b)のHで示される磁束が生成消滅を繰り返す。そして、この磁束Hがコア42a・42bに導かれてベルト34の導電層34bを横切るとき、その磁界の変化を妨げる磁界を生じるように、導電層34bには渦電流が発生する。その渦電流は導電層34bの固有抵抗によってジュール熱を発生させる。即ち、導電層34bの表皮抵抗及び導電層34bを流れる電流の大きさに比例してジュール熱が発生する。この導電層34bの発熱により、回転するベルト34が昇温する。一方、ベルト34の導電層34bは表皮深さよりも薄い為に磁束は導電層34bを貫通し、貫通した磁束は、ベルト34の内部配置された磁性コア37に向かって閉じた経路を形成する。この際、磁性コア37はベルト34に一定の距離を保持し、最近接配置されている為、閉磁路としては最も閉じられた状態となり、効果的に磁束密度を高め、ベルト34を温度ムラなく、誘導加熱している。そして、ベルト34の温度がサーミスタTHで検知され、検知温度に関する電気的な情報がA/Dコンバータ103を介して制御回路部100へ入力する。制御回路部100はサーミスタTHからの検知温度情報に基づいてベルト34が所定の設定温度(定着温度)に昇温して維持されるように回路101を制御する。即ち、電源102からコイル41に対する供給電力を制御(通電制御)する。上記のようにして、ローラ32が駆動され、また、ベルト34が所定の定着温度に立ち上がって温調される。この状態において、ニップ部Nに、未定着トナー画像tを担持したシートPがトナー画像担持面側をベルト34側にして導入される。シートPはニップ部Nにおいてベルト34の外面に密着し、ベルト34と一緒にニップ部Nを挟持搬送されていく。これにより、シートPにベルト34の熱が付与され、またニップ圧を受けて未定着トナー画像tがシートPの表面に固着画像として熱圧定着される。ニップ部Nを通ったシートPはベルト34の外面から分離されて定着装置外へ搬送される。ここで、本実施例のプリンタ・定着装置において大小各種幅サイズのシートPの搬送は、シートの幅中心を基準とするいわゆる中央基準搬送でなされる。Oはその中央基準線(仮想線)である。Wmaxは装置に通紙使用可能な最大通紙幅のシートの通紙領域幅である。
5)ベルト34の回転軌跡の規制:可撓性を有する薄肉のベルト34をテンションをかけず、ローラ32の回転駆動力で従動回転させた場合(フリーベルト方式)、ベルト34は回転に伴って周方向でばたつく。図4の(a)、(b)は、本実施例の装置22において、ベルト34をその回転軌跡を規制することなく自由状態のままでローラ32の回転に従動回転させた場合のベルト34の軌道(回転軌跡)を測定した結果である。即ち、ベルト34の軌道を規制することなくベルト34をローラ32の回転駆動力で従動回転させた場合(ベルト34は周方向でばたつく。このようにばたつくベルト34とユニット33との干渉を防止するために、ベルト34のばたつき(ベルト最大軌道)を考慮し、ベルト34の最大軌跡に対して、距離(ギャップ)αを維持するようにユニット33を配置している。ベルト34のばたつきが大きくなると、ユニット33とベルト34の距離αが不安定になり、発熱ムラが発生する。したがって、上記の課題を解決するためには、ベルト34の軌跡を安定化させる必要がある。本実施例では、ユニット33に、ローラ32の回転駆動に従動して回転するベルト34の回転軌跡を、ベルト34の記録材非通紙領域部Yにおいてベルト34の外側から少なくとも3点で規制するガイド部材109を配置している。領域部Yは、装置22に通紙使用可能な最大通紙幅のシート(記録材)の通紙領域幅Wmaxの両外側部である。本実施例においては、図1の(b)、図4の(c)のように、ユニット33の長手両端部側のベルト対向部に、それぞれ、ベルト回転方向に沿って間隔を開けて3つの凸状のガイド部材109を配置している。これにより、ローラ32の回転駆動に従動して回転するベルト34の回転軌跡を、ベルト34の記録材非通紙領域部Yにおいてベルト34の外側から3点で規制している。本実施例においては、ベルト34は内径30mmの薄肉ベルトを用いた。このベルト34を用いて、ベルト34を軌道規制せずに従動回転させた際の図4の(a)に示すベルトの軌跡の変位量Tは最大で1.5mmであった。耐熱性部材で形成されたガイド部材109は、ユニット33の長手両端部に配置され、ベルト34の両端部の非通紙領域部を外部からガイドし、ベルト34の軌跡を規制する。ガイド部材109は、ベルト34への負荷を最小限に留めるために、ベルト34の軌跡が、図4の(a)で示す最小軌跡である実線部になるように外部から3箇所でベルト34をガイドする。ベルト34の全域をガイドするのではなく、3箇所でガイドすることにより接触による熱伝導を抑制し、効果的にベルト34の軌跡を規制することができる。この構成を用いることで、ベルト34のばたつきを抑制し、ベルト34の軌跡とユニット32との距離を安定化させ、発熱ムラを低減することができる。
[実施例2]:本実施例においては、実施例1における装置22のガイド部材109を、図5の(a),(b),(c)のように、回転可能な円筒形状部材としてコロにした。コロ109は軸受け部材109aを介してユニット33に対して回転可能に配置されている。コロ109は、ローラ32の回転駆動に従動して回転するベルト34との接触で従動回転してベルト34の回転軌跡を規制する。コロ109はベルト34との接触で従動回転することでベルト34の表面との摺動磨耗を低減することができる。この構成を用いることで、ベルト34の回転に伴うばたつきを抑制し、実施例1と同様の効果が得られる。
[その他の事項]:1)画像形成装置・定着装置は記録材の通紙を片側通紙基準で行う構成であってもよい。2)本発明の画像加熱装置は実施例の画像加熱定着装置としてばかりではなく、その他、例えば、画像を担持した記録材を加熱して光沢等の表面性を改質する画像加熱装置、仮定着する画像加熱装置等としても使用できる。また、インクジェット方式の画像形成装置において、インクジェット方式で画像形成された記録材を乾燥させる画像加熱装置としても使用できる。
22・・画像加熱装置(定着装置)、32・・加圧回転体、33・・34・・磁界発生手段、ベルト、35・・バックアップ部材、M・・駆動手段、N・・ニップ部、t・・画像、P・・記録材、109・・ガイド部材

Claims (2)

  1. 磁束の作用により発熱し、可撓性を有する回転可能なベルトと、前記ベルトの内側に配置されたバックアップ部材と、前記ベルトを介して前記バックアップ部材と圧接して前記ベルトとの間でニップ部を形成する加圧回転体と、前記加圧回転体を回転駆動する駆動手段と、前記ベルトの外側において前記ベルトに非接触に対向して配置された、磁束を発生する磁界発生手段と、を有し、前記ニップ部で画像を担持した記録材を挟持搬送しつつ加熱する画像加熱装置において、前記磁界発生手段に配置されたガイド部材であって、前記加圧回転体の回転駆動に従動して回転する前記ベルトの回転軌跡を、前記ベルトの記録材非通紙領域部において前記ベルトの外側から少なくとも3点で規制するガイド部材を有することを特徴とする画像加熱装置。
  2. 前記ガイド部材が回転可能な円筒形状部材であり、前記加圧回転体の回転駆動に従動して回転する前記ベルトとの接触で従動回転して前記ベルトの回転軌跡を規制することを特徴とする請求項1に記載の画像加熱装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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