JP2011069897A - 光源装置および画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】波長変換素子の体差を吸収し歩留まりを向上させ、変換波長を効率良く射出することが可能な光源装置を提供する。
【解決手段】複数の発光部と、発光部を個別に制御する制御装置40と、を備え、発光部は、レーザー光を射出する光源11aと、レーザー光を波長変換する波長変換素子21と、波長変換素子21の温度を調節する温度制御部30と、を有し、温度制御部30は、波長変換素子21の温度を調節する温調媒体Wと、温調媒体Wの温度を調節する温度調節手段32と、温調媒体Wを収容する収容空間Kを有し波長変換素子21を保持する保持部材22と、を有し、制御装置40は、波長変換素子21の温度に対する位相整合波長の対応関係に係る情報を、複数の波長変換素子21について記憶する記憶部を有し、制御装置40は、情報に基づいて、基本波長に波長変換素子21の位相整合波長が一致するように、温度制御部30を制御する。
【選択図】図3
【解決手段】複数の発光部と、発光部を個別に制御する制御装置40と、を備え、発光部は、レーザー光を射出する光源11aと、レーザー光を波長変換する波長変換素子21と、波長変換素子21の温度を調節する温度制御部30と、を有し、温度制御部30は、波長変換素子21の温度を調節する温調媒体Wと、温調媒体Wの温度を調節する温度調節手段32と、温調媒体Wを収容する収容空間Kを有し波長変換素子21を保持する保持部材22と、を有し、制御装置40は、波長変換素子21の温度に対する位相整合波長の対応関係に係る情報を、複数の波長変換素子21について記憶する記憶部を有し、制御装置40は、情報に基づいて、基本波長に波長変換素子21の位相整合波長が一致するように、温度制御部30を制御する。
【選択図】図3
Description
本発明は、光源装置および画像表示装置に関するものである。
近年、プロジェクター(画像表示装置)の小型化の要求が益々高まるなか、半導体レーザーの高出力化、青色半導体レーザーの実用化に伴い、レーザー光源を使ったプロジェクターが開発されている。この種のプロジェクターは、光源の波長域が狭いために色再現範囲を十分に広くすることが可能であり、併せて小型化や構成部材の削減も可能であることから、次世代の表示デバイスとして大きな可能性を秘めている。
このようにプロジェクターの光源としてレーザー光源を用いる場合、フルカラー表示を行うためには、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色のレーザー光源が必要である。
そして、緑色レーザー光源として、赤外レーザーから射出される赤外光を非線形光学素子に入射させ、その際に発生する第2次高調波(Second Harmonic Generation,SHG)が利用されることがある。
ところが、非線形光学効果を利用した光の波長変換を行なう波長変換素子は、位相整合条件を満足する波長の許容範囲が極端に狭く、基本波の波長が僅かでもずれると出力(変換効率)が大きく低下する。一方、変換効率は波長変換素子の温度に強く依存することが知られている。
そのため、複数の波長変換素子を有する光源装置では、ペルチェ素子を用いて各波長変換素子の温度を個別に制御することで、波長変換素子の温度変化を抑制し、それぞれの波長変換素子でレーザー光を波長変換する際の変換効率の低下を抑制したレーザー光源装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、非線形光学結晶の周囲に液体あるいは気体を流すことにより、非線形光学結晶の温度を制御する光高調波発生装置の構成が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の構成では、複数の非線形光学結晶を光の進行方向に直列に配置し、非線形光学結晶の周囲に温度制御をした媒体を流すことにより、非線形光学結晶の温度を一定にさせている。このような非線形光学結晶の中を、レーザービームが順に通過することにより、安定な変換効率にて第2高調波を得ている。
さらには、以前発明者は、周期分極反転構造が揃った複数の波長変換素子の温度を異ならせる様に温度制御を行う、または周期分極反転構造が異なる複数の波長変換素子の温度を揃える様に温度制御を行い、温度制御がされた複数の波長変換素子を介してレーザー光を射出する光源装置の構成を提案している(特許文献3)。このような構成を有する光源装置からは、波長の異なる複数のレーザー光が射出されるため、レーザー光同士の干渉性を低下させ、スペックルノイズの発生を低減することが可能となる。
上述の特許文献1,2に記載された光源装置または光高調波発生装置では、目的とする変換波長の光を得るために波長変換素子の温度管理を行っているが、この温度管理は、波長変換素子の温度変化による変換波長の変化の抑制を目的としているものである。
同様に、特許文献3において、複数の波長変換素子の間で、周期分極反転構造が異なっているという状態を維持するために、各波長変換素子の温度を揃えるために温度管理を行う技術が示されており、特許文献1,2と同様に、波長変換素子の温度変化による変換波長の変化の抑制を目的としている。
これらは、いずれも所望の周期分極反転構造を有する複数の波長変換素子を用意し、固有の特性を維持する目的で温度管理を行っているため、まず、所望の周期分極反転構造を有する波長変換素子を用意する必要がある。
また、特許文献3において、複数の波長変換素子の周期分極反転構造が揃っている場合に、各波長変換素子の温度を異ならせることで、全体として波長の異なる複数のレーザー光を射出させる光源装置が示されている。すなわち、この構成では、各波長変換素子の周期分極反転構造が揃っているという構造があって初めて、温度を互いに異ならせることにより各波長変換素子の変換波長を異ならせ、射出されるレーザー光の変換波長を異ならせるということを実現している。したがって、この構成のためには、まず、周期分極反転構造が揃った複数の波長変換素子を用意する必要がある。
このように、従来の技術では、波長変換素子の温度が変わると位相整合波長が変化するという事実に基づき、予め所望の周期分極反転構造を有する波長変換素子があることを前提として、波長変換素子の温度を一定に保つ、または、複数の波長変換素子の温度を単に異ならせる、という単純な温度管理を行い、所望の波長変換を行っている。
ところで、上述した波長選択素子は、製造時に周期分極反転構造が製造誤差を含みやすい。また、波長選択素子は、わずかな周期分極反転構造の違いによっても、変換波長が大きくずれてしまうことが知られている。そのため、例えば、変換波長を揃えた複数の波長変換素子を用いる必要がある場合、通常は、多くの波長変換素子を作成して用意した上で、所望の変換波長となる波長選択素子を選別する。すると、変換波長がずれている波長選択素子は使用しないため、無駄が多く発生し歩留まりが低下することとなる。
また近年、波長選択素子の製造方法として、チョクラルスキー法(以下CZ法と略記する)を用いて分極反転構造を結晶中に導入しながら単結晶を製造する方法が検討されている。この方法は、安価に波長選択素子を製造できる反面、周期分極反転構造にずれが生じ易い。
以上のような理由から、波長選択素子の周期分極反転構造が所望の状態からずれていたとしても、有効に利用することができる技術が求められていた。上述の特許文献に記載された方法では、予め所望の周期分極反転構造を有する波長変換素子があることを前提として、単純な温度制御を行っており、周期分極反転構造が所望の状態からずれた波長選択素子の有効利用について記載されたものではない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、波長変換素子の製造上の個体差を吸収し歩留まりを向上させると共に、変換波長を効率良く射出することが可能な光源装置を提供することを目的とする。また、このような光源装置の製造方法、及びこの光源装置を備えた画像表示装置を提供することをあわせて目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の光源装置は、レーザー光を射出する複数の発光部と、複数の前記発光部を個別に制御する制御装置と、を備え、前記発光部は、基本波長のレーザー光を射出する光源と、前記光源から射出されたレーザー光の少なくとも一部を所定の変換波長のレーザー光に変換する波長変換素子と、前記波長変換素子の温度を調節する温度制御部と、を有し、前記温度制御部は、前記波長変換素子の温度を調節する温度調節媒体と、前記温度調節媒体の温度を調節する温度調節手段と、前記温度調節媒体を収容する収容空間を有するとともに、前記波長変換素子が前記温度調節媒体と接するように保持する保持部材と、を有し、前記制御装置は、波長変換素子の温度に対する位相整合波長の対応関係に係る情報を、複数の前記波長変換素子のそれぞれについて記憶する記憶部を有し、複数の前記発光部が各々有する前記波長変換素子は、それぞれ周期分極反転構造が異なり、前記制御装置は、前記情報に基づいて、前記基本波長のレーザー光に前記波長変換素子の位相整合波長が一致するように、前記温度制御部を制御することを特徴とする。
この構成によれば、複数の波長変換素子のそれぞれの周期分極反転構造が異なっていても、予め測定した波長変換素子の温度に対する位相整合波長の対応関係に基づいて、オープンループで温度制御を行うことにより、容易に波長変換素子の位相整合波長を所望の値に設定することができる。そのため、波長変換素子の製造誤差などに起因する個別の特性差を吸収することができ、波長変換素子の歩留まりを向上させると共に、変換波長を効率良く射出することが可能な光源装置とすることができる。
本発明においては、前記波長変換素子は、チョクラルスキー法により育成した単結晶を形成材料として用い、結晶組成もしくは不純物濃度が周期的に変動してなる成長縞を有し、前記成長縞が前記周期分極反転構造を構成することが望ましい。
チョクラルスキー方法により製造された波長変換素子は、安価であるという利点があり、一般的に、光の進行方向に対して垂直な方向の断面形状が略円形状となっている。特に、波長変換素子の断面形状が略円形状であると、直方体状である場合に比べて、温度調節媒体の収容空間内での流動抵抗が小さくなるため、温度調節媒体を効率良く流すことが可能となる。これにより、複数の波長変換素子を所定の温度に調節し易くなる。
チョクラルスキー方法により製造された波長変換素子は、安価であるという利点があり、一般的に、光の進行方向に対して垂直な方向の断面形状が略円形状となっている。特に、波長変換素子の断面形状が略円形状であると、直方体状である場合に比べて、温度調節媒体の収容空間内での流動抵抗が小さくなるため、温度調節媒体を効率良く流すことが可能となる。これにより、複数の波長変換素子を所定の温度に調節し易くなる。
また、断面形状が略円形状であると、Oリング等の通常用いられるシール部材と形状が整合し、収容空間内からの温度調節媒体の漏洩を防止するためのシール部材として組み込みやすい。
本発明においては、前記温度調節媒体が、液状体であることが望ましい。
この構成によれば、気体と比べ熱の伝導効率が高く、波長変換素子の温度制御が容易になる。特に、高い熱容量の液状体を温度調節媒体として用いると、温度調節媒体の温度変化が緩慢になるため、波長変換素子を一定温度に保ちやすくなる。
この構成によれば、気体と比べ熱の伝導効率が高く、波長変換素子の温度制御が容易になる。特に、高い熱容量の液状体を温度調節媒体として用いると、温度調節媒体の温度変化が緩慢になるため、波長変換素子を一定温度に保ちやすくなる。
本発明においては、前記温度制御部が、前記温度調節媒体を流動させる流動手段を有し、前記温度調節手段及び前記流動手段が、前記収容空間内に設けられていることが望ましい。
この構成によれば、保持部材に温度調節手段及び流動手段が設けられているため、保持部材、温度調節手段、流動手段を一体形成することが可能となる。また、温度調節手段及び流動手段を保持部材の収容空間内に設けることにより、収容空間内の温度調節媒体の温度を直接変えることや、直接温度調節媒体を流動させることができるため、効果的に収容空間内の温度調節媒体を循環させることが可能となる。
この構成によれば、保持部材に温度調節手段及び流動手段が設けられているため、保持部材、温度調節手段、流動手段を一体形成することが可能となる。また、温度調節手段及び流動手段を保持部材の収容空間内に設けることにより、収容空間内の温度調節媒体の温度を直接変えることや、直接温度調節媒体を流動させることができるため、効果的に収容空間内の温度調節媒体を循環させることが可能となる。
本発明においては、前記温度調節手段が、前記収容空間における前記波長変換素子の入射端面側に配置されることが望ましい。
本発明に係る光源装置では、発光部から射出された光が入射される波長変換素子の入射端面側が射出端面側に比べて温度が上がる。このとき、波長変換素子の入射端面側に温度調節手段が配置され、該入射端面側の温度調節媒体の温度を調節することにより、温度が上がりやすい入射端面側の波長変換素子の温度を、効率良く所望の温度にすることが可能となる。
本発明に係る光源装置では、発光部から射出された光が入射される波長変換素子の入射端面側が射出端面側に比べて温度が上がる。このとき、波長変換素子の入射端面側に温度調節手段が配置され、該入射端面側の温度調節媒体の温度を調節することにより、温度が上がりやすい入射端面側の波長変換素子の温度を、効率良く所望の温度にすることが可能となる。
本発明においては、前記温度制御部が、前記温度調節媒体を流動させる流動手段を有し、前記温度調節手段及び前記流動手段が、前記保持部材とは別体に設けられていることが望ましい。
ここで、保持部材に温度調節手段及び流動手段を設けてしまうと、温度調節手段及び流動手段の大きさにある程度の制約が生じてしまう。これにより、温度変化能力の大きい温度調節手段や循環能力の大きい流動手段を備えることが困難になってしまう。そこで、本発明では、温度調節手段及び流動手段を保持部材とは別に設けることで、温度調節手段及び流動手段の大きさの制約を解消することが可能となる。
ここで、保持部材に温度調節手段及び流動手段を設けてしまうと、温度調節手段及び流動手段の大きさにある程度の制約が生じてしまう。これにより、温度変化能力の大きい温度調節手段や循環能力の大きい流動手段を備えることが困難になってしまう。そこで、本発明では、温度調節手段及び流動手段を保持部材とは別に設けることで、温度調節手段及び流動手段の大きさの制約を解消することが可能となる。
本発明においては、前記保持部材が、前記複数の波長変換素子毎に離間して設けられていることが望ましい。
この構成によれば、波長変換素子の温度を個別に制御することができるとともに、隣接する波長変換素子を保持する保持部材とは熱伝達が行われないため、波長変換素子ごとのより正確な温度制御を行うことが可能となる。
この構成によれば、波長変換素子の温度を個別に制御することができるとともに、隣接する波長変換素子を保持する保持部材とは熱伝達が行われないため、波長変換素子ごとのより正確な温度制御を行うことが可能となる。
本発明においては、前記基本波長のレーザー光を反射させて前記光源の方に導くと共に、前記所定の変換波長のレーザー光を透過させる波長選択素子を有することが望ましい。
この構成によれば、波長選択素子と光源との間で外部共振器構造を形成するため、容易的にレーザー発振を生じさせ、高強度のレーザー光を射出する光源装置とすることができる。
この構成によれば、波長選択素子と光源との間で外部共振器構造を形成するため、容易的にレーザー発振を生じさせ、高強度のレーザー光を射出する光源装置とすることができる。
また、本発明の画像表示装置は、上述の光源装置と、前記光源装置から射出された光を画像信号に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置により形成された画像を投射する投射装置と、を備えたことを特徴とする。
波長変換素子の歩留まりを向上させることが可能な上述の光源装置を用いているため、画像表示装置(プロジェクター)の製造コストを下げることができる。また、波長変換素子の個別の特性に応じて、正確な温度制御を行って位相整合を行うため、変換波長を効率良く射出することが可能となり、所望の波長、所望の光量の光を用いて良質の画像表示が可能な画像表示装置とすることができる。
波長変換素子の歩留まりを向上させることが可能な上述の光源装置を用いているため、画像表示装置(プロジェクター)の製造コストを下げることができる。また、波長変換素子の個別の特性に応じて、正確な温度制御を行って位相整合を行うため、変換波長を効率良く射出することが可能となり、所望の波長、所望の光量の光を用いて良質の画像表示が可能な画像表示装置とすることができる。
以下、図1〜図6を参照しながら、本発明の実施形態に係る光源装置について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
図1は、光源装置の概略構成を示す斜視図である。図に示すように、光源装置1は、レーザー光を射出するエミッター(光源)11aを複数(図では4つ)有する光源部11と、光源部11から射出された光の波長を変換する波長変換素子ユニット20と、波長変換素子ユニット20により波長変換された光を透過し、変換されなかった波長の光を選択して反射させる波長選択素子13と、不図示の制御装置と、を備えている。
また、波長変換素子ユニット20は、レーザー光の波長を変換する複数の波長変換素子21と、波長変換素子21の温度を制御する温度制御部30と、を有している。これら、エミッター11aと、波長変換素子21と、温度制御部30と、波長選択素子13と、は外部共振構造を有する本発明の発光部10を構成している。以下、各構成について順に説明する。
光源部11は、所定のピッチで複数のエミッター11aが形成されている。エミッター11aは、通常知られた半導体レーザー素子を用いることができ、具体的な構成は従来のものと変わらないため、詳細な説明は省略する。また、光源部11には、図示しない放熱板、冷却機構などが備えられており、エミッター11aで発生した熱により温度上昇する光源部11を冷却可能な構成となっている。
波長変換素子ユニット20は、4つの波長変換素子21と、波長変換素子21を保持する保持部材22と、波長変換素子21の温度を制御する温度制御部30と、を備えており、光源部11に対向配置している。
波長変換素子21は、エミッター11a毎に対向配置された非線形光学素子である。エミッター11aから射出されたレーザー光は、波長変換素子21に入射すると、第2次高調波(SHG)を発生させ、入射する基本波の光に対しほぼ半分の波長の光に変換される。
波長変換素子21は、非線形光学結晶により構成されている。非線形光学効果を利用した光の波長変換では、変換前の基本波と変換後の高調波との間で位相整合条件が成立する必要があり、結晶内の分極方向を周期的に反転させる擬似位相整合法が用いられる。一般には、MgO:LiNbO3結晶内に微細なピッチで分極方向が周期的に反転した構造(以下、本明細書では周期分極反転構造と呼ぶ)を形成し、これを波長変換素子としている。
波長変換素子21に用いる非線形光学結晶としては、従来用いられているニオブ酸リチウム(LiNbO3)等の材料からなる非線形光学結晶のウェハーから切り出した、直方体のバルク型の結晶を使用することができる。バルク型の非線形光学結晶は、広く知られているように、ウェハー状態での分極反転処理用電極の形成、ウェハーから複数のチップの切り出し、電圧印加による分極反転処理、入射面および射出面のポリッシング、入射面および射出面への無反射コート、の各工程を経て製造することができる。
また、他の非線形光学結晶として、LiNbO3単結晶をCZ(チョクラルスキー:Czochralski)法により結晶成長させ、結晶の引き上げ育成中に電界をかけることにより、周期分極反転構造を結晶中に導入したものを用いても良い。
図2は、CZ法にて製造した非線形光学結晶を形成材料とする波長変換素子を示す説明図である。図に示すように、CZ法にて製造した非線形光学結晶は、一般的には、成長軸方向(レーザー光の進行方向に相当)に成長縞(ストリエーション:striation)21Sと称される不純物濃度や組成の微小な周期的変動が固液界面形状に一致して導入される。この成長縞21Sは、単結晶の引き上げ成長時に成長界面(融液表面)の温度を周期的に変動させることによって形成することができる。
したがって、引き上げ法による結晶作製時に融液温度を制御するだけで、分極反転構造のピッチが異なる波長変換素子を製造することができる。このような製法により、製造された波長変換素子21は、結晶の引き上げ方向に沿って、分極が互いに反転したドメインの繰り返し構造を得ることができる。
CZ法にて非線形光学結晶を製造する際、周期分極反転構造のピッチを異ならせるには、単結晶引き上げ時に融液表面温度の変動周期を異ならせればよい。また、結晶の引き上げ方によっては、波長変換素子21の断面形状が円状の円柱状の他、断面形状が楕円状にすることも可能である。本実施形態の波長変換素子21の断面は、エミッター11aから射出されるスポットSが入射可能な大きさとなっており、例えば、直径が2mmから3mmの略円形となっている。
このような波長変換素子21は、結晶の引き上げ方向と、エミッター11aから射出されたレーザー光の進行方向と、が一致するように配置して用いることにより、入射するレーザー光の波長変換を行う。
CZ法により製造された波長変換素子は、以下のような利点を有している。CZ法は、分極反転処理用の電極を形成する従来法におけるフォトリソグラフィー法及びエッチング法に比べて、工程が簡略化され低コストで波長変換素子を製造することが可能となる。すなわち、フォトマスクなどのツールを必要とせず、初期導入時のコストがかからない上に、分極反転のピッチの変更などの仕様変更を容易に行うことができる。
また、直方体のバルク型では、電圧印加による分極反転処理の際、電界の広がり方が場所により異なることによって、波長変換素子21内で分極反転領域の幅が異なることがあるため、分極の偏差が生じる。これにより、分極反転ピッチが一定ではなくなってしまうため、レーザー光が入射した位置によって光の変換効率が変わってしまう。しかしながら、CZ法により製造された波長変換素子21は、分極反転ピッチがレーザー光の進行方向に垂直な面方向で一定である。これにより、エミッターに対して面方向の位置決め精度を厳しくしなくても良い。本実施形態では、CZ法にて形成した非線形光学結晶を波長変換素子21として用いる。
図1にもどって、波長変換素子ユニット20の保持部材22は、例えば直方体状の外形を有しているとともに、内部には、内壁で仕切られた複数(図では4つ)の収容空間Kが形成されている。図では、収容空間Kを直方体状の形状として示しているが、他にも円筒形状などの別の形状であっても良い。
また、保持部材22には、光源部11が配置された側の端面22aに沿って、端面22aから各々の収容空間Kに向かってそれぞれ貫通した円筒状の4つの入射側貫通孔23と、端面22aと反対の端面22bに沿って端面22bから各々の収容空間Kに向かってそれぞれ貫通した円筒状の4つの射出側貫通孔24とが形成されている。これにより、入射側貫通孔23、収容空間K,射出側貫通孔24が連通している。更に、射出側貫通孔24には、収容空間K内に達するまで波長変換素子21が挿入されている。
このような構成により、エミッター11aから波長変換素子ユニット20に向けて射出されたレーザー光は、波長変換素子21内で波長変換されながら、入射側貫通孔23,収容空間K、射出側貫通孔24を介して端面22b側に射出される。
波長選択素子13は、波長変換素子21から射出されたレーザー光のうち、基本波長のレーザー光を光源部11に向かって反射させることによってエミッター11aの外部共振器ミラーとして機能するとともに、波長変換素子21にて波長変換されたレーザー光を透過させる機能を有する。すなわち、エミッター11aと波長選択素子13との間で外部共振器構造を形成している。波長選択素子13としては、例えば、周期格子を有するホログラムのような光学素子を用いることができる。
図3は、光源装置の概略構成を示す説明図であり、エミッター11aから射出されるレーザー光の射出方向と平行な平面での概略断面図である。
保持部材22内の収容空間K内には、温度制御部30による波長変換素子21の温度制御のための温調媒体(温度調節媒体)Wが充填されている。この温調媒体Wとしては、気体及び液体のいずれも用いることが可能であるが、熱伝達能力の高い液体が好ましい。本実施形態では、不凍液処理が施された水を用いる。また、熱容量の高い液体を温調媒体に用いると、温調媒体の温度が変化しにくくなるため、波長変換素子21の温度を一定に保ちやすくなり好ましい。
このような液状の温調媒体Wが収容空間Kから漏洩しないように、波長変換素子21は次の様にして保持部材22に取り付けられている。
まず図に示すように、保持部材22に設けられた入射側貫通孔23の内径は、端面22aから収容空間Kに達するまで同一ではなく、直径の異なる2つの円筒状の孔が連通する形状となっており、入射側貫通孔23の途中に段差25が形成されている。詳しくは、収容空間K側の内径が、波長変換素子21の外径と略同じかそれよりも若干大きく、端面22a側の内径が、波長変換素子21の外径よりも小さい構成となっている。
また、射出側貫通孔24の内径は、波長変換素子21の外径よりも若干大きくなっており、波長変換素子21と射出側貫通孔24の内壁との間には隙間が形成されている。そして、この隙間には、当該隙間より大きい弾性材料からなるシール材27が設けられている。このシール材27は、アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等からなるOリングまたはパッキンである。このシール材27は、射出側貫通孔24から収容空間K内の温調媒体Wが漏れるのを防止する機能を有する。
このような保持部材22に挿通した波長変換素子21は、入射側貫通孔23に達すると、段差25に引っ掛かりそれ以上進まないため、保持部材22に対して波長変換素子21が成長軸方向に位置決めされる。この状態で、波長変換素子21にシール材27を装着すると、射出側貫通孔24においてシール材27の弾性力により波長変換素子21の位置が固定される。
また、各波長変換素子21が保持部材22に対して位置決めされた状態で、各波長変換素子21と保持部材22とがUV硬化性接着材(図示略)により固定され、4つの波長変換素子21が一方向に配列される。これにより、収容空間K内の温調媒体Wが、入射側貫通孔23、24から漏れ出ることを防止している。波長変換素子21の固定は、接着剤によるものだけでなく、固定用の治具などを用い機械的に保持部材22に固定することとしても良い。
さらには、入射側貫通孔23には、収容空間K内の温調媒体Wが漏洩するのを防止するためにシール材23aが設けられている。シール材23aは、光透過性を有する樹脂等を形成材料として設けられ、波長変換素子21との界面によるレーザー光の反射を抑制するため、波長変換素子21の屈折率に近い材質からなることが望ましい。また、光透過性の樹脂であるシール材23aの代わりに、段差25の円筒面に沿ってOリングを配置してシール材とし、入射側貫通孔23には何も充填しない構成としても良い。このような構成の場合には、レーザー光がシール材23aを透過する際の光の損失が少なくなるため好ましい。
このようにして、各々の収容空間Kに充填された温調媒体Wにそれぞれ波長変換素子21が浸された状態となっている。
温度制御部30は、波長変換素子21の入射端面21a側の底面Kaに設けられた流動手段31と、収容空間K同士を分ける内壁22Wの側面Kbに設けられた温度調節手段32と、温調媒体Wと、を備えている。
流動手段31は、温調媒体Wに対流を生じさせ温調媒体Wの温度分布を均一化する構成であれば良く、例えば、ピエゾ素子などを用いた振動板や、小型の撹拌プロペラを取り付けたモーターなどを採用することができる。
温度調節手段32は、温調媒体Wを加熱または冷却することができる構成となっている。たとえば、温調媒体Wの加熱に使用するヒーター32aと、冷却に使用するペルチェ素子32bと、を併せ持つ構成などを採用することができる。
また、温度制御部30が、各収容空間Kに温度センサーを備えていても良い。温度センサーは、温調媒体Wの温度を測定することとしても良く、また、波長変換素子21の温度を測定することとしても良い。そして、この温度センサーにより測定された温度に基づいて温度調節手段32を制御することにより、より正確に波長変換素子21の温度を調節することが可能となる。さらに、温度制御部30が、温度センサーにより測定された温度に基づいて流動手段31による撹拌速度を調整し、収容空間K内の温調媒体Wの流動速度を調整しても良い。
このような構成の温度制御部30は、各収容空間Kの温調媒体Wを個別に温度調節手段32により温度制御し、流動手段31により攪拌して温調媒体Wの温度分布を均一化する。このようにして、収容空間K内の波長変換素子21の温度を個別に制御している。
また、波長変換素子21は、エミッター11aから射出された光が入射する入射端面21a側が、射出端面21b側に比べて温度が上がりやすい。そこで、温度調節手段32が波長変換素子21の入射端面21a側に配置されていることにより、冷却時に冷却された温調媒体Wがまず入射端面21a側に接触するため、効率良く波長変換素子21の温度を所望の温度にすることが可能となる。
また、波長変換素子21の断面形状が略円形状であるので、直方体状である場合に比べて、温調媒体Wの収容空間K内での流動抵抗が小さくなるため、温調媒体Wを効率良く流すことが可能となる。これにより、4つの波長変換素子21を所定の温度に調節し易くなる。
このような温度制御部30による温度制御は、制御装置40によって行われている。本発明の制御装置40は、予め測定しておいた各波長変換素子21の温度と位相整合波長との関係に基づいて、波長変換素子21が所望の位相整合波長となるように温度制御を行う構成となっている。ここで、「位相整合波長」とは、波長変換素子21の周期分極反転構造により、最も効率的に第2次高調波発生を行うことが可能な入射光の波長のことを指す。
図4は、制御装置40の概略構成を示す説明図である。以下の説明では、必要に応じて図3に示した符号を用いる。
図に示すように制御装置40は、波長変換素子21の位相整合波長の設定値を入力する入力手段41と、波長変換ユニット20が有する複数の波長変換素子21のそれぞれについて、波長変換素子21の温度に対する位相整合波長の対応関係を記憶する記憶部42と、記憶部42に記憶された対応関係を用いて、波長変換素子21の位相整合波長を設定値に合わせるための最適温度を算出する演算部43と、演算部43での算出結果に基づいて光源部11や温度制御部30の駆動信号を作成する駆動信号生成部44と、を有している。
記憶部42が記憶する波長変換素子21の温度に対する位相整合波長の対応関係については、次の様な方法を用いて予め測定した値から得られる。
図5は、上述の対応関係を測定するための検査装置50を説明する説明図である。検査装置50は、複数の波長のレーザー光を射出可能な光源部51と、波長変換素子21の温度を制御する温度制御部52と、変換波長の光を透過し基本波長の光を反射する波長選択素子53と、波長選択素子53を透過した変換波長の光の光量を測定する光検出部54と、光源部51および温度制御部52の駆動を制御する制御部55と、光源部51および温度制御部52の駆動条件と、当該駆動条件における光検出部54の検出結果と、を記録する記録部56と、を有している。
検査装置50が有する温度制御部52は、波長変換素子21の温度を制御することができるならば、波長変換素子21を直接加熱または冷却する構成であってもよく、温度調節するための媒質を介して間接的に波長変換素子21の温度を制御する構成であっても良い。検査装置50での測定結果と、実際に駆動させる光源装置の温度制御部での制御と、の整合性を高めるという観点から、温度制御部52は、製造する光源装置で採用する温度制御部と同様の構成であることが望ましい。
ここでは、温度制御部52は、上述の光源装置1が備える温度制御部と同様に、波長変換素子21を保持する保持部材52a内に設けられた収容空間Kに温調媒体Wが充填され、温度調節手段52bにより温調媒体Wの温度を制御することにより、温調媒体Wを介して間接的に波長変換素子21の温度を制御する構成となっている。
検査装置50を用い、特定の温度条件下において、複数の波長のレーザー光をそれぞれ波長変換すると、波長変換素子21は、位相整合波長を有するレーザー光を波長変換する場合に最も高い変換効率で変換するため、光検出部54における検出量が最も大きくなる。したがって、光検出部54における検出量に基づいて、位相整合波長を検出することができる。
更に検査装置50では、複数の温度条件下において、複数の波長のレーザー光をそれぞれ波長変換し、各波長のレーザー光に対する各変換波長の光量を検出することにより、記録部56に記録された結果を基に、波長変換素子21の温度に対する位相整合波長の対応関係を得ることができる。記憶部42には、このようにして得られた対応関係が、ルックアップテーブルや関係式などの形で納められている。
図6は、光源装置1の駆動について説明するフローチャートである。例えば、エミッター11aが発するレーザー光の波長が、波長変換素子21の位相整合波長の設定値として入力されると(ステップS1)、演算部43は、記憶部42に記憶されたルックアップテーブル等を参照して、波長変換素子21の位相整合波長が当該設定値となるための温度を算出する(ステップS2)。
次いで、駆動信号生成部44は、波長変換素子21が算出された温度となるように温度制御部30の駆動信号を作成し(ステップS3)、温度制御部30は作成された駆動信号に基づいて駆動して、波長変換素子21の温度制御を行う(ステップS4)。
光源装置1は、以上のような構成となっている。
光源装置1は、以上のような構成となっている。
以上のような構成の光源装置1によれば、複数の波長変換素子21を用いる場合に、それぞれの波長変換素子21の周期分極反転構造が異なっていても、オープンループで温度制御を行うことにより、容易に波長変換素子21の位相整合波長を所望の値に設定することができる。そのため、波長変換素子21の製造誤差などに起因する個別の特性差を吸収することができ、波長変換素子21の歩留まりを向上させることができる。
なお、本実施形態においては、一つの保持部材22の内部に4つの収容空間Kが設けられ、各収容空間Kが内壁22Wで分割されている構成としたが、一つの収容空間のみが設けられた保持部材を用いる波長変換素子21の数だけ用意し、波長変換素子毎に独立した個別の保持部材に収容されることとしても構わない。その際、保持部材同士は離間していると良い。この場合、隣接する波長変換素子を保持する保持部材間で熱伝達が行われないため、波長変換素子毎により正確な温度制御を行うことが可能となる。
また、本実施形態においては、温度調節手段および流動手段を収容空間内に設ける事としたが、これに限らず、各収容空間外に温調媒体の温度を制御する温度調節手段を設け、該温度調節手段と収容空間内とを、例えばパイプ等で接続して、収容空間の内外に温調媒体を循環させる構成とすることもできる。このようにすると、収容空間の小型化を図ることができ、温度変化能力の大きい温度調節手段や循環能力の大きい流動手段を用いることが容易となる。
また、本実施形態においては、エミッター11aと波長選択素子13との間で外部共振器構造を形成し、波長選択素子13を透過して変換波長のレーザー光が射出される構成であることとしたが、これに限らない。他にも、外部共振器構造を有さず、エミッター11a内で励起され射出されたレーザー光が、波長変換素子21を一度だけ透過し波長変換を行うシングルパス方式であることとしても良い。
また、本実施形態においては、エミッター11aが波長変換素子21の入射端面21aに対向して配置される構成としたが、例えば、エミッター11aと入射端面21aとの間の光路上に、更に基本波長のレーザー光を反射し、変換波長のレーザー光を透過させる波長選択素子(第2の波長選択素子)を配置することとしても良い。この場合、エミッター11aは、基本波長のレーザー光が、まず第2の波長選択素子で反射し波長変換素子21に入射するように配置する。このような構成を採用すると、波長変換素子21から射出される変換波長のレーザー光が、エミッター11aにて反射し再び波長変換素子21に入射して更に波長変換されることなく、第2の波長選択素子から外部に射出されるため、所望の波長のレーザー光への変換効率が良い光源装置とすることができる。
[画像表示装置]
図7は、本発明に係るプロジェクターの概略構成図である。本実施形態のプロジェクター(画像表示装置)100は、赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ射出する赤色光源装置1R,緑色光源装置1G、青色光源装置1Bを備えており、これら光源装置が上記第1実施形態の光源装置1である。
図7は、本発明に係るプロジェクターの概略構成図である。本実施形態のプロジェクター(画像表示装置)100は、赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ射出する赤色光源装置1R,緑色光源装置1G、青色光源装置1Bを備えており、これら光源装置が上記第1実施形態の光源装置1である。
プロジェクター100は、光源装置1R,1G,1Bから射出された各色光をそれぞれ変調する透過型の液晶ライトバルブ(画像形成装置)104R,104G,104Bと、液晶ライトバルブ104R,104G,104Bから射出された光を合成して投射レンズ107に導くクロスダイクロイックプリズム106と、液晶ライトバルブ104R,104G,104Bによって形成された像を拡大してスクリーン110に投射する投射レンズ107と、を備えている。
さらに、プロジェクター100は、光源装置1R,1G,1Bから射出されたレーザー光の照度分布を均一化させるための均一化光学系102R,102G,102Bを備えており、照度分布が均一化された光によって液晶ライトバルブ104R,104G,104Bを照明している。本実施形態では、均一化光学系102R,102G、102Bは、例えばホログラム102aとフィールドレンズ102bによって構成されている。
各液晶ライトバルブ104R,104G,104Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム106に入射する。このプリズムは4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は投射光学系である投射レンズ107によりスクリーン110上に投写され、拡大された画像が表示される。
加えて、本実施形態のプロジェクター100が有する光源装置1R,1G,1Bは、それぞれ、射出されたレーザー光の一部を分離するレーザー光分離素子60R,60G,60Bと、分離されたレーザー光が入射され光量を検出する光検出部70R,70G,70Bと、を備えている。レーザー光分離素子60R,60G,60Bには、例えばビームスプリッターを用いることができる。また、光検出部70R,70G,70Bには、通常知られたフォトダイオードを用いることができる。光検出部70R,70G,70Bにおける検出結果は、制御装置40に入力される。
このような構成を有することにより、光検出部における検出結果に基づいて、光源装置1R,1G,1Bをフィードバック制御することができる。すなわち、3つの光源からの光量が異なると、形成する画像の色目が異なり良質の画像が得られないことが考えられるが、本構成によれば、光量を検出した上で、光源装置が有する温度制御部の温度を変化させることにより位相整合波長を調節し、出力を調節することができる。
また、本実施形態のプロジェクター100は、スクリーン110に投写された画像を撮像する撮像装置120を備えることとしても良い。撮像装置120による撮像結果は、制御装置40に入力され、該撮像結果に基づいて光源装置1R,1G,1Bをフィードバック制御することができる。
例えば、撮像装置120によってスクリーンに表示された標準色のテストパターンを撮像し、撮像される標準色の色目が設定と異なる場合、各光源装置の駆動条件を補正することができる。
また、撮像装置120によってスペックルコントラストを撮像し、必要に応じて光源装置の温度制御部を制御して、スペックルが所望の状態となるように、光源装置が有する複数の波長変換素子間(発光部間)で位相整合波長を調節することとしても良い。スペックルを抑制する場合には、発光部間における射出レーザー光の波長幅が、例えば2nmから3nm以上広がるように、制御すると良い。また、画像に視覚効果を付与する目的で、積極的に波長変換素子間で波長を揃え、画像にスペックルを生じさせることとしても構わない。
上記制御と併せて、各発光部への投入電力を制御して光量を調節したり、入力される画像信号に基づいて、投写画像に応じて色バランスやコントラスト条件を変えたりすることとしても良い。
本実施形態のプロジェクター100においては、赤色光源装置1R,緑色光源装置1G,青色光源装置1Bとして上記第1実施形態の光源装置1が用いられているので、位相整合がなされた光源からレーザー光を射出し、良好な画像表示が可能なプロジェクターを実現することができる。
なお、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、反射型のライトバルブを用いても良いし、液晶以外の光変調装置を用いても良い。このようなライトバルブとしては、例えば、反射型液晶ライトバルブやデジタルミラーデバイス(Digital Mirror Device)が挙げられる。投射光学系の構成は、使用されるライトバルブの種類によって適宜変更すればよい。
また、色光合成手段として、クロスダイクロイックプリズムを用いることとしたが、これに限るものではない。色光合成手段としては、例えば、ダイクロイックミラーをクロス配置とし色光を合成するもの、ダイクロイックミラーを平行に配置し色光を合成するものを用いることができる。また、双方のエミッターに対し光路を変換するダイクロイックミラーが設置された構成の光源装置を例に挙げて説明したが、エミッターの配列はこれに限るものではない。例えば、一方のエミッターにのみダイクロイックミラーが設置されていても良い。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
1,1R,1G,1B…光源装置、10…発光部、11a…エミッター(光源)、13…波長選択素子、21…波長変換素子、21a…入射端面、21S…成長縞、22…保持部材、30…温度制御部、31…流動手段、32…温度調節手段、40…制御装置、42…記憶部、100…画像表示装置、104R,104G,104B…光変調装置、107…投射装置、K…収容空間、W…温調媒体(温度調節媒体)
Claims (9)
- レーザー光を射出する複数の発光部と、複数の前記発光部を個別に制御する制御装置と、を備え、
前記発光部は、基本波長のレーザー光を射出する光源と、
前記光源から射出されたレーザー光の少なくとも一部を所定の変換波長のレーザー光に変換する波長変換素子と、
前記波長変換素子の温度を調節する温度制御部と、を有し、
前記温度制御部は、前記波長変換素子の温度を調節する温度調節媒体と、
前記温度調節媒体の温度を調節する温度調節手段と、
前記温度調節媒体を収容する収容空間を有するとともに、前記波長変換素子が前記温度調節媒体と接するように保持する保持部材と、を有し、
前記制御装置は、波長変換素子の温度に対する位相整合波長の対応関係に係る情報を、複数の前記波長変換素子のそれぞれについて記憶する記憶部を有し、
複数の前記発光部が各々有する前記波長変換素子は、それぞれ周期分極反転構造が異なり、
前記制御装置は、前記情報に基づいて、前記基本波長のレーザー光に前記波長変換素子の位相整合波長が一致するように、前記温度制御部を制御することを特徴とする光源装置。 - 前記波長変換素子は、チョクラルスキー法により育成した単結晶を形成材料として用い、結晶組成もしくは不純物濃度が周期的に変動してなる成長縞を有し、前記成長縞が前記周期分極反転構造を構成することを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
- 前記温度調節媒体が、液状体であることを特徴とする請求項1または2に記載の光源装置。
- 前記温度制御部が、前記温度調節媒体を流動させる流動手段を有し、
前記温度調節手段及び前記流動手段が、前記収容空間内に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光源装置。 - 前記温度調節手段が、前記収容空間における前記波長変換素子の入射端面側に配置されることを特徴とする請求項4に記載の光源装置。
- 前記温度制御部が、前記温度調節媒体を流動させる流動手段を有し、
前記温度調節手段及び前記流動手段が、前記保持部材とは別体に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光源装置。 - 前記保持部材が、前記複数の波長変換素子毎に離間して設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の光源装置。
- 前記基本波長のレーザー光を反射させて前記光源の方に導くと共に、前記所定の変換波長のレーザー光を透過させる波長選択素子を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の光源装置。
- 請求項1から8のいずれか1項に記載の光源装置と、
前記光源装置から射出された光を画像信号に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置により形成された画像を投射する投射装置と、を備えたことを特徴とする画像表示装置。
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JP2014211539A (ja) * | 2013-04-18 | 2014-11-13 | 日本電信電話株式会社 | 波長変換素子 |
JP2018037241A (ja) * | 2016-08-30 | 2018-03-08 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 照明器具の製造方法、および、照明器具 |
-
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