JP2011069039A - ノンエタノール湿潤シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】レーヨンを含む不織布に、(A)1−p−メンテン−8−チオール及び/又はベンゾチアゾール1〜1000ppmと(B)多価アルコール1〜10質量%とを含有し、エタノールを含有しない液状組成物を含浸させてなるノンエタノール湿潤シート。
【選択図】なし
Description
[1].レーヨンを含む不織布に、(A)1−p−メンテン−8−チオール及び/又はベンゾチアゾール1〜1000ppmと(B)多価アルコール1〜10質量%とを含有し、エタノールを含有しない液状組成物を含浸させてなるノンエタノール湿潤シート。
[2].(B)多価アルコールが、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、及び1,3−ブチレングリコールから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする[1]記載のノンエタノール湿潤シート。
[3].上記レーヨンを含む不織布の組成が、レーヨン/疎水性繊維(質量比)=90/10〜50/50であることを特徴とする[1]又は[2]記載のノンエタノール湿潤シート。
本発明のノンエタノール湿潤シートは、レーヨンを含む不織布に、(A)1−p−メンテン−8−チオール又はベンゾチアゾール1〜1000ppmと(B)多価アルコール1〜10質量%とを含有し、エタノールを含有しない液状組成物を含浸させてなるものである。
本発明の不織布に用いられるレーヨンは、木材パルプや竹等の天然の原料セルロースをアルカリ(苛性ソーダ)及び二硫化炭素と反応させてアルカリ水溶液中に溶解し、これを口金から硫酸水溶液中に押しだし、引き延ばして繊維素(セルロース)を凝固・再生して(湿式紡糸法と呼ぶ)製造される。精錬工程において水洗することで不純物である二硫化炭素が除去されるが、この際に残留する硫黄由来の火薬様の臭気が問題となる。
(A)成分は含硫化合物でありそれぞれ特異な芳香を持つ化合物である。1−p−メンテン−8−チオールはグレープフルーツジュースに微量存在することが知られている。一方、ベンゾチアゾールはキノリン臭の液体である。それぞれ微量でも感知される存在感のある香りであるが、逆に高濃度になると悪臭又は不快臭として感じられる。本発明においてこれらはシートに残存する硫黄臭とのマッチングがよく、極微量の配合によりその不快臭を和らげる効果がある。これら成分は、1種単独で又は2種を任意の割合で併用することが可能である。その配合量(併用する場合はその合計配合量)は、液状組成物中1〜1000ppm(質量)であり、10〜100ppmが好ましい。配合量が1ppm未満では、シートの硫黄臭抑制効果が不十分となり、1000ppmを超えると(A)成分自身の臭気を生じる。
多価アルコールは、残存する硫黄臭をシート上に保留する効果があり、上記(A)成分との組み合わせにより、シートの硫黄臭抑制に対する相乗効果を有する。多価アルコールとしては、下記表1に示す成分が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、沸点が水の沸点100℃より高い多価アルコールを用いると、シートが乾燥しにくくなりその保留効果は高まる。さらに硫黄臭を取り込み効率よくマスキングをするためには親水的な要素が高い、多価アルコールを用いることが効果的である。本発明においては、親水性の指標としてClogP値を用いる。ClogP値とは、化学物質について、1−オクタノール中及び水中の平衡濃度の比を表す1−オクタノール/水分配係数Pを、底10に対する対数logPの形態で表した値であり、低いほど親水性が高くなる。前記ClogP値は、f値法(疎水性フラグメント定数法)により、化合物の化学構造をその構成要素に分解し、各フラグメントの有する疎水性フラグメント定数・f値を積算して求めることができる(例えば、clog 3 Reference Manual DaylightSoftware 4.34,Albert Leo,David Weininger,Version 1,March 1994参照)。
本発明のノンエタノール湿潤シートの製造方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、液状組成物は、上記(A)、(B)成分、必要に応じて任意成分、及び水(残部)を混合して得ることができる。また、液状組成物を調製する装置も特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、剪断力と全体混合できる複数の攪拌羽根(プロペラ、タービン、ディスパー等)を備えた攪拌装置が好ましい。ノンエタノール湿潤シートは、レーヨンを含む不織布に、前記液状組成物を含浸させることにより得ることができる。含浸の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、不織布に液状組成物を滴下又は噴霧する方法、液状組成物に不織布を浸漬させる方法等が挙げられる。液状組成物の含浸率は、不織布1質量部に対して、1〜10質量部が好ましく、2〜3質量部がより好ましい。含浸率が、1倍未満であると、汚れの洗浄性が十分でないことがあり、10倍を超えると、液状組成物の保持が容易でなくなり、使用時に液ダレしてしまう場合がある。
表2〜7に示す組成の液状組成物を、各成分を混合することにより調製した。得られた液状組成物を、不織布(AS−40 ダイワボウポリテック製(レ−ヨン/PP+PE=8/2))に対し2.5倍量(質量)含浸させ、湿潤シートを得た。得られた湿潤シートをアルミパウチに10枚封入した。湿潤シートについて下記評価を行った。
調製直後と、40℃1ヶ月経過した後について、アルミパウチから湿潤シートを取りだし、手指を拭いたときの湿潤シートの臭気(不織布臭、(A)成分の臭気、及び溶剤臭)を、専門パネラー5人にて官能評価し、下記評点基準により点数を付けた。臭気の評価には、不織布臭と(A)成分の臭気及び溶剤(多価アルコール)臭を含めた不快臭の判定を行った。5人の平均値に基づき下記判定基準で結果を示す。
<評点基準>
5:不織布の臭気、及び不快臭をまったく感じない
4:不織布の臭気、及び不快臭をほとんど感じない
3:不織布の臭気、及び不快臭をわずかに感じる
2:不織布の臭気、及び不快臭を感じる
1:不織布の臭気、及び不快臭をはっきりと感じる
<評点平均値の判定基準>
◎:4.0以上
○:3.0以上4.0未満
△:2.0以上3.0未満
×:2.0未満
アルミパウチから湿潤シートを取りだし、手指を拭いたときのベタツキ感を、専門パネラー5人にて官能評価し、下記評点基準により点数を付けた。5人の平均値に基づき下記判定基準で結果を示す。
<評点基準>
5:湿潤シートのベタツキ感をまったく感じない
4:湿潤シートのベタツキ感をほとんど感じない
3:湿潤シートのベタツキ感をわずかに感じる
2:湿潤シートのベタツキ感を感じる
1:湿潤シートのベタツキ感をはっきりと感じる
<評点平均値の判定基準>
◎:4.0以上
○:3.0以上4.0未満
△:2.0以上3.0未満
×:2.0未満
ベンゾチアゾール:東京化成
1−p−メンテン−8−チオール:ペンタ社
プロピレングリコール:(株)ADEKA製
エチレングリコール:日本サーファクタント(株)製
グリセリン:阪本薬品工業(株)製
ソルビトール:ROQUETTE社製
1,3−ブチレングリコール:ダイセル化学(株)製
イソプレングリコール:(株)クラレ製
ヘキシレングリコール:三井石油化学(株)製
Claims (3)
- レーヨンを含む不織布に、(A)1−p−メンテン−8−チオール及び/又はベンゾチアゾール1〜1000ppmと(B)多価アルコール1〜10質量%とを含有し、エタノールを含有しない液状組成物を含浸させてなるノンエタノール湿潤シート。
- (B)多価アルコールが、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、及び1,3−ブチレングリコールから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1記載のノンエタノール湿潤シート。
- 上記レーヨンを含む不織布の組成が、レーヨン/疎水性繊維(質量比)=90/10〜50/50であることを特徴とする請求項1又は2記載のノンエタノール湿潤シート。
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