JP2011068979A - 部分焼戻し軟化鋼板およびその鋼板を用いたプレス成形部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】形状凍結性の低下やコスト増大の問題がなく、自動車構造部材用途に用いられたときに優れた耐衝撃性を発現できる自動車構造部材用途に用いられる加工素材用鋼板を提供する。また、耐衝撃特性に優れた自動車構造部材用途のプレス成形部材を提供する。
【解決手段】引張強度が980MPa以上の高強度鋼板であって、局部的に焼戻し処理が施された焼戻し軟化領域を有し、該焼戻し軟化領域の強度は、母材強度の0.5〜0.7の範囲内にあることを特徴とする部分焼戻し軟化鋼板。この部分焼戻し軟化鋼板は、質量%で、C:0.10〜0.20%、Si:0.5〜1.5%、Mn:1.5〜3.0%、P:0.05%以下、S:0.03%以下、Al:0.01〜0.1%、N:0.01%以下、Cr:0.05〜1.0%、さらに、Ti、Nb、Mo、V、Wの1種以上を合計0〜0.2%の範囲で含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車構造部材用途に用いられる加工素材用鋼板に関し、母材強度の高強度化に伴う加工性の低下を鋼板の段階で事前に部分焼戻し処理を施すことで補完した部分焼戻し軟化鋼板に関するものである。また本発明はその鋼板を用いた耐衝撃特性に優れた自動車構造部材用途のプレス成形部品に関するものである。
薄鋼板を加工した自動車構造部材には、自動車が衝突時にその部材が完全に破壊することなく変形することで、衝突時の衝撃エネルギーを吸収する特性が必要となる場合がある。例えば、自動車側面の重要な部材であるセンターピラーやサイドメンバーなどは、衝突時に3点曲げによる衝撃的な変形が生じるため、曲げ変形が予想される部材に補強材が使用されている。
一方、自動車の軽量化の観点から、補強材を省略あるいは簡略化することが望ましく、このためには素材の高強度化が有効と考えられる。しかし、高強度鋼板は成形性に劣るという問題があり、近年、高強度鋼板を使用する代わりに比較的強度の低い鋼板を用いて所定の形状に成形した後、強度が必要とされる部分にレーザー焼入れや高周波焼入れを施して焼入れ強化する技術が適用されつつある。
例えば、特許文献1にはプレス加工時には優れた加工性を有し、加工完了後に強度が必要とされる部分にレーザーなどのエネルギービームを照射して焼入れ硬化させ、高強度化して使用することができる高加工性鋼板が開示されている。また、特許文献2には所定形状に成形された鋼板の一部分を高周波誘導加熱により、焼入温度に加熱し、この加熱に起因する変形を矯正しながら冷却する技術が開示されている。特許文献3には所定形状に成形された鋼板を高周波誘導加熱により焼入れ強化する鋼板において、Ti、N、Bを適正に制御し、Bによる焼入れ効果を十分に発揮させることで、ハット型成形部材に成形後、部材強度を向上させたい部位に高周波焼入れした部材の衝撃3点曲げ試験において、衝突時に割れ発生することなく、高い衝撃吸収エネルギーが得られる技術が開示されている。
特開平6-73438号公報 特開平11-140537号公報 特開2000-248338号公報
「レスリー鉄鋼材料学」、P.273、丸善株式会社
しかしながら、上記従来技術には次のような問題点がある。
特許文献1、2、3に記載された技術は、プレス加工後に部分的に焼入れを施すものであり、自動車構造用部品に要求される強度が高くなるほど大きな面積に焼入れ処理を施す必要があるため、焼入れ処理時の鋼板の変形による形状凍結性の低下が課題となる。形状凍結性が劣位な場合、例えば、自動車構造部品用途のハット型成形部材において、スポット溶接されるフランジ部の精度が悪く、溶接不良の原因になることがある。また、加工後に焼入れ強化する方法では、焼入れ装置の形状が複雑となるため、コストの増大が課題となる。
さらに、特許文献3に記載された技術は、3点曲げ試験に用いたハット型成形部材の曲げ半径が記載されていない。曲げ半径が小さいほど、吸収エネルギーが高くなる傾向にあるため、吸収エネルギーを高める観点から、曲げ半径は小さい方が望ましいが、一方で、曲げ半径が小さいほど、衝撃3点曲げ試験時に、コーナー部に応力集中しやすく、割れが発生しやすい。実施例を見ると、焼入れ部の平均硬さがHv:429と非常に硬い場合においても割れが発生していない実験結果から、曲げ半径は10mmか、それ以上に大きいことが推測され、吸収エネルギーは1994〜2577Jと必ずしも高いとはいえない。
本発明は、従来技術に見られる形状凍結性の低下やコスト増大の問題がなく、自動車構造部材用途に用いられたときに優れた耐衝撃性を発現できる自動車構造部材用途に用いられる加工素材用鋼板を提供することを課題とする。
また、本発明は、耐衝撃特性に優れた自動車構造部材用途のプレス成形部品を提供することを課題とする。
本発明は、上述の問題を解決するためになされたもので、自動車用構造部品として必要な部品強度を確保する方法として、熱処理時の鋼板の変形が大きい加工後に焼入れ強化する方法ではなく、母材強度を高めて部品強度を確保した上で、成形性の必要な部位のみ部分的に焼戻し軟化させる方法とした。これにより、部品強度を同一とした場合、焼入れ強化に比べて、熱処理領域が小さくてよく、かつ熱処理温度が低いため、形状凍結性の低下が抑制でき、スポット溶接不良等が抑制できる。さらに加工前の鋼板に焼戻し軟化処理を施すため、熱処理装置の形状が単純化でき、熱処理装置のコストを抑制することができる。また、例えば、ハット型成形部材のコーナー部は焼戻し軟化されるため、コーナー部の曲げ半径を小さくでき、さらに、焼戻し軟化領域を規定することで、吸収エネルギーの低下が抑制され、高い耐衝撃吸収特性が得られる。
本発明者らは、上記視点に基づき、自動車のサイドメンバーを模擬したハット型形状の部材を対象に、3点曲げ衝撃特性に及ぼす影響因子について鋭意検討を重ねた結果、焼戻し軟化領域の焼戻し後強度と母材強度の比(以下、焼戻し後強度/母材強度と記載する。)を適正な範囲に制御し、さらにハット型成形部材のコーナー部の軟化領域を制御することで、3点曲げ衝撃特性が高位となることを見出した。本発明はこの知見を基にさらに検討を加えてなされたものであり、以下に本発明の要旨を説明する。
[1]引張強度が980MPa以上の高強度鋼板であって、局部的に焼戻し処理が施された焼戻し軟化領域を有し、該焼戻し軟化領域の強度は、母材強度の0.5〜0.7の範囲内にあることを特徴とする部分焼戻し軟化鋼板。
[2]質量%で、C:0.10〜0.20%、Si:0.5〜1.5%、Mn:1.5〜3.0%、P:0.05%以下、S:0.03%以下、Al:0.01〜0.1%、N:0.01%以下、Cr:0.05〜1.0%、さらに、Ti、Nb、Mo、V、Wの1種以上を合計0〜0.2%の範囲で含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる母材の引張強度が980MPa以上の高強度鋼板であって、局部的に焼戻し処理が施された焼戻し軟化領域を有し、該焼戻し軟化領域の強度は、母材強度の0.5〜0.7の範囲内にあることを特徴とする部分焼戻し軟化鋼板。
[3] [1]または[2]において、焼戻し処理は、焼戻し軟化する領域を局部的に450℃〜Ac3-50℃の温度域に加熱し、その温度で10s以下保持した後冷却する部分焼戻し軟化処理であることを特徴とする部分焼戻し軟化鋼板。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載された部分焼戻し軟化鋼板を断面形状がハット型形状の部品にプレス成形して得たプレス成形部品であって、前記ハット型形状の部品の曲げコーナー部に焼戻し軟化領域を有することを特徴とするプレス成形部品。
[5] [4]において、前記曲げコーナー部の焼戻し軟化幅は、上面の軟化幅と側面の軟化幅の和、下面の軟化幅と側面の軟化幅の和がいずれも20mm以下であることを特徴とするプレス成形部品。
[6] [4]または[5]において、前記曲げコーナー部の焼戻し軟化幅は、上面の軟化幅、下面の軟化幅および側面の軟化幅がいずれもコーナー部の曲げ半径(R)と鋼板板厚(t)の和(R+t)の1/√2以上であることを特徴とするプレス成形部品。
本発明の部分焼戻し軟化鋼板は、化学成分および焼戻し処理条件を適正に制御することで、980MPa以上の母材強度を有し、かつ、焼戻し後強度/母材強度が0.5〜0.7の範囲内であるものとする。また、この鋼板を用いた自動車構造用途のプレス成形部品において、さらに曲げコーナー部の上面の軟化幅と側面の軟化幅の和、下面の軟化幅と側面の軟化幅の和、又はさらに上面の軟化幅、下面の軟化幅、側面の軟化幅を制御することで、3点曲げ衝撃特性の良好な自動車構造部材が得られる。
本発明によれば、母材強度を高めて部品強度を確保した上で、成形性の必要な部位のみ部分的に焼戻し軟化させるので、部品強度を同一とした場合、焼入れ強化に比べて、熱処理領域が小さくてよく、かつ熱処理温度が低いため、形状凍結性の低下が抑制できる。また加工前の鋼板に焼戻し軟化処理を施すため、熱処理装置の形状が単純化でき、熱処理装置のコストを抑制することができる。また、例えば、ハット型成形部材のコーナー部を局部的に焼戻し軟化させた領域を配置することで、コーナー部の曲げ半径を小さくでき、さらに、焼戻し領域を規定することで、吸収エネルギーの低下が抑制され、高い耐衝撃吸収特性が得られる。
衝撃3点曲げ試験片の形状を説明する図で、(a)は断面形状、(b)は外観を示す。 衝撃3点曲げ試験方法を説明する概略断面図。 衝撃3点曲げ試験の荷重−変位曲線を説明する模式図。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の部分焼戻し軟化鋼板は、引張強度が980MPa以上の高強度鋼板であって、局部的に焼戻し処理が施された焼戻し軟化領域を有し、該焼戻し軟化領域の強度は、母材強度の0.5〜0.7の範囲内にある。母材強度が980MPa以上でかつ、焼戻し後強度/母材強度を0.5〜0.7とすることで、衝撃3点曲げ時の曲げ部においても割れの発生はなく、優れた耐衝撃性が得られる。この部分焼戻し軟化鋼板は、鋼の化学成分および焼戻し処理条件を適正に制御することで得られる。
まず、鋼の好ましい成分組成について説明する。なお、成分の量を表す%は、特に断らない限り質量%を意味する。
C:0.10〜0.20%
Cはマルテンサイトを形成し、強度向上に寄与する元素である。C量が低くなると所定のマルテンサイト量が得られず、980MPa以上の母材強度が得られなくなり、また焼戻し後の軟化が不十分となり、焼戻し後強度/母材強度が0.7超となり適正範囲に制御できない。このため、Cを0.10%以上添加する。一方、C量が0.20%を超えて含有すると溶接性の劣化が懸念される。したがって、C量は0.10%以上0.20%以下とする。
Si:0.5〜1.5%
Siは高強度化に有効な元素であるため、0.5%以上添加する。一方、Siは1.5%を超えて含有させると、連続焼鈍中に表面に濃化し、雰囲気中に存在する微量の水蒸気と反応して、表面でのSi系の酸化物を形成し、塗装の前処理として行う化成処理性を著しく劣化させ、塗装との密着性が著しく低下する。また、Siは焼戻し軟化を遅らせる傾向を示すため、1.5%を超えて添加すると、焼戻し後強度/母材強度が0.7超となり適正範囲に制御することが困難となる。したがって、Si量は0.5%以上1.5%以下とする。
Mn:1.5〜3.0%
Mnはマルテンサイトの生成に有効な元素であり、焼入性を向上させ、マルテンサイトを安定して生成させる。Mn量が低くなると所定のマルテンサイト量が得られず、980MPa以上の母材強度が得られなくなる。このため、母材の強度確保の観点から、Mnを1.5%以上添加する。一方、3.0%を超えてMnを添加すると、スラブコストの著しい上昇を招く。したがって、Mn量は1.5%以上3.0%以下とする。
P:0.05%以下
Pは高強度化に有効な元素である。しかし、P 量が0.05%を超えると、鋼板の粒界に偏析して耐二次加工脆性を劣化させる。したがって、P 量は0.05%以下とする。
S:0.03%以下
Sは熱間加工性を低下させ、スラブの熱間割れ感受性を高め、0.03%を超えると微細なMnSの析出により加工性を劣化させる。したがって、S量は0.03%以下とし、0.01%以下とすることが好ましい。
Al:0.01〜0.1%
Alは脱酸元素として鋼中の介在物を減少させる作用を有している。しかし、Al量が0.01%未満では上述した作用が安定して得られない。一方、Al量が0.1%を超えると、クラスター状のアルミナ系介在物が増加し、表面性状を劣化させる。したがって、Al量は0.01%以上0.1%以下とする。
N:0.01%以下
Nは不可避的不純物であり、その含有量は低い方が好ましい。特にN量が0.01%超では過剰な窒化物の生成により、延性、靭性および表面性状が劣化する。したがって、N量は0.01%以下とする。
Cr:0.05〜1.0%
Crはマルテンサイトの生成に有効な元素であり、焼入性を向上させ、マルテンサイトを安定して生成させる。Cr量が低くなると所定のマルテンサイト量が得られない場合があるため、母材の強度確保の観点から、その効果を発現させるために0.05%以上添加する。一方、Crは焼戻し軟化抵抗を示すため、1.0%を超えて添加すると焼戻し軟化が抑制され、焼戻し後強度/母材強度が0.7超となり適正範囲に制御することが困難となる。したがって、Cr量は0.05%以上1.0%以下とする。
Ti、Nb、Mo、V、Wの1種以上を合計0〜0.2%(無添加の場合を含む)
Ti、Nb、Mo、V、Wは析出強化元素であり、鋼を安価に強化するのに有用であるため、必要に応じて添加することができる。しかしながら、これらの元素は、焼戻し処理時に微細な炭化物を析出し、2次硬化を引き起こす場合があり、焼戻し後強度/母材強度が0.7超となり適正範囲に制御することが困難になる。しかしながら、これらの元素の添加量が合計で0.2%以下であれば顕著な2次硬化が認められず、許容されるため、Ti、Nb、Mo、V、Wは、1種以上をその合計添加量で0.2%以下とする。
なお、上記以外の残部はFe及び不可避的不純物からなる.不可避的不純物として、例えば、Oは非金属介在物を形成し品質に悪影響を及ぼすため、Oは0.003%以下に低減するのが望ましい。
次に、本発明鋼の組織について説明する。
本発明の鋼板組織は、特に規定しないが、母材強度が980MPa以上で、かつ、焼戻し後強度/母材強度を0.5〜0.7の範囲に制御する観点から、フェライトと体積率で60〜100%のマルテンサイトから構成される2相組織あるいはマルテンサイト単相組織が望ましい。以下にその詳細を説明する。
マルテンサイトの体積率:60〜100%
本発明の鋼板は、フェライトと体積率で60〜100%のマルテンサイトの2相組織あるいはマルテンサイト単相組織で構成される。マルテンサイトの体積率が60%未満では所望の母材強度が得られない場合があり、さらに、焼戻し軟化の効果が小さいため、焼戻し後強度/母材強度が0.7超となり適正範囲に制御することが困難となる。したがって、マルテンサイトの体積率は60%以上とし、より安定的に980MPa以上の母材強度を得て、より顕著な焼戻し軟化効果を得るためには70%以上とすることが好ましい。
なお、本発明の鋼板ではフェライトとマルテンサイトの2相以外にパーライト、ベイナイト、さらには残留γ、不可避的な炭化物が5%程度であれば含まれても良い。
焼戻し後強度/母材強度:0.5〜0.7
上記の化学成分と組織を有する鋼板は、局部的に焼戻し処理を施した焼戻し軟化領域を有する。この焼戻し軟化領域の焼戻し後強度と母材強度の比、焼戻し後強度/母材強度は0.5〜0.7の範囲内にある。
焼戻し後強度/母材強度が0.7を超えると、コーナー部の成形性が低下し、曲げ加工が困難となるだけでなく、曲げ加工ができたとしても、曲げ加工部の延性が低下するため、3点曲げ試験時に割れが発生しやすく、衝撃特性が低下する。また、焼戻し後強度/母材強度が0.5未満では、3点曲げ試験時に応力集中しやすいコーナー部の強度低下が顕著となり、部品強度の低下を招く。したがって、焼戻し後強度/母材強度は0.5〜0.7に限定した。
本発明における鋼の製造条件は特に限定しないが、マルテンサイト体積率が60〜100%でかつ980MPa以上の母材強度を得るために以下に示す製造条件であることが望ましい。
本発明の鋼板は、前述の化学成分範囲に調整された鋼を溶製し、次いで、熱間圧延後、酸洗、冷間圧延を行い、得られた冷延鋼板を焼鈍する工程から製造され、さらに部分的に焼戻し処理が施される。ここで、鋼の溶製方法は特に限定せず、電気炉でも良いし、転炉を用いても良い。また、溶製後の鋼の鋳造方法は、連続鋳造法により鋳片としても良いし、造塊法により鋼塊としても良い。連続鋳造後にスラブを熱間圧延するにあたって、加熱炉でスラブを再加熱した後に圧延してもよいし、またはスラブを加熱することなく直送圧延することもできる。また、鋼塊を造塊した後に分塊圧延してから、熱間圧延に供しても良い。熱間圧延は常法に従って実施すればよく、例えば、スラブの加熱温度は1100〜1300℃、仕上圧延温度はAr3以上、仕上圧延後の冷却速度は10〜200℃/s、巻取温度は400〜750℃とすればよい。冷間圧延率については、通常の操業範囲内の40〜85%とすればよい。
焼鈍温度は、フェライトとマルテンサイトの2相組織あるいはマルテンサイト単相組織を得るため、適切な温度に加熱する必要がある。焼鈍温度がAc1+60℃未満では、オーステナイトの生成量が少ないため、所定のマルテンサイト体積率が得られず、所望の強度が得られない。したがって、焼鈍温度は、Ac1+60℃以上とし、より安定して高強度を得るためにはAc1+100℃以上が好ましい。一方、焼鈍温度の上限は特に定めないが、1000℃超えの高温では焼戻し処理時の有効な拡散経路である旧γ粒径が粗大となるため、セメンタイトの凝集・粗大化がやや抑制され、焼戻し後強度/母材強度が0.7超となり適正範囲に制御することが困難な場合があり、さらに、生産性の低下やエネルギーコストの増加を招くので1000℃以下とする。また、焼鈍時間についてはフェライト+オーステナイトの2相域で焼鈍する場合は、オーステナイトへの元素濃化を促進する観点から15s以上とすることが好ましいが、オーステナイト単相域で焼鈍する場合は特に限定されない。なお、Ac1は実測により求めることができるが、非特許文献1に記載される下記式を用いて鋼板の成分組成から算出しても差し支えない。
Ac1(℃)=723-10.7Mn(%)-16.9Ni(%)+29.1Si(%)+16.9Cr(%)+290As(%)+6.38W(%)
また、焼鈍後の冷却速度は所望のマルテンサイト体積率が得られるように、適宜制御すればよい。
例えば、焼鈍温度から急速冷却開始温度までの1次冷却を平均速度3℃/s以上とし、急速冷却開始温度から200℃以下の温度域までの2次冷却を平均速度100〜1000℃/sとする。ここで、急速冷却開始温度は450℃以上焼鈍温度以下とし、より安定的に所望の母材強度を得るためには急冷開始温度を550℃以上焼鈍温度以下とする。1次冷却速度が3℃/s未満の場合、フェライトあるいはパーライトの生成ノーズを通過するため、フェライトあるいはパーライトが多量に生成し、所定のマルテンサイト体積率が得られず、所望の母材強度が得られない。また、急速冷却開始温度が450℃未満では、冷却中にベイナイト変態が起こりやすく、所定のマルテンサイト体積率が得られず、所望の母材強度が得られない。したがって、所定のマルテンサイト体積率を得るために、急速冷却開始温度、1次冷却速度および2次冷却速度を上記範囲に制御する。また、延性や靭性を回復させるために、上記焼鈍後、必要に応じて250〜450℃の温度域で100s以上の過時効処理を施してもよい。この場合、過時効処理温度が250℃未満では延性や靭性の顕著な回復が認められず、また、450℃超ではマルテンサイトの焼戻しの進行が顕著となり、母材強度が低下し、所望の母材強度が得られない場合があるため、過時効処理を行う場合は、250〜450℃の温度域とする。
また、上記では、急速冷却開始温度から200℃以下までの2次冷却を平均100〜1000℃/sで急速冷却を行うため、例えば、噴流水中に焼入れるなどの急速冷却(WQ-CAL)が必要となるが、ガスジェット冷却(GJ-CAL)などによっても製造することができる。例えば、焼鈍温度から450℃以上焼鈍温度以下の急速冷却開始温度までの1次冷却を平均速度3℃/s以上とし、急速冷却開始温度から250℃〜450℃の過時効処理温度までの2次冷却を平均速度10℃/s以上で冷却した後、延性や靭性を回復させるために、該過時効処理温度で100s以上保持し、次いで、マルテンサイトを安定して得るために過時効処理温度から200℃以下の温度までの3次冷却を平均速度5℃/s以上とする。この場合、1次冷却速度が3℃/s未満では、フェライトあるいはパーライトが多量に生成し、所定のマルテンサイト体積率が得られず、所望の母材強度が得られない場合がある。また、2次冷却速度が10℃/s未満では冷却中にパーライトあるいはベイナイトが生成し、3次冷却速度が5℃/s未満では冷却中にベイナイトが生成するため、所定のマルテンサイト体積率が得られず、所望の強度が得られない場合がある。
また、溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合、連続溶融亜鉛めっきライン(CGL)にて、上記焼鈍温度で焼鈍処理を行い、焼鈍温度から通常450〜500℃に保持されている亜鉛めっき浴の温度までの1次冷却を平均速度3℃/s以上で冷却する。1次冷却速度が3℃/s未満では、フェライトあるいはパーライトの生成ノーズを通過するため、フェライトあるいはパーライトが多量に生成し、所望のマルテンサイト体積率が得られず、所望の強度が得られない場合がある。その後、亜鉛めっき浴に浸漬して亜鉛めっきを施す。亜鉛めっき後、必要に応じて、500〜600℃の温度域で数秒〜数十秒保持することにより合金化処理を施すこともできる。亜鉛めっき後あるいは合金化処理後の冷却は、マルテンサイトを安定して得るために200℃以下の温度までの2次冷却を平均速度5℃/s以上で冷却する。この2次冷却速度が5℃/s未満では、合金化処理温度から450℃付近の温度域での冷却中にパーライトあるいはベイナイトが生成し、所望のマルテンサイト体積率が得られず、所望の強度が得られない場合がある。溶融亜鉛めっき条件としては、めっき付着量は片面あたり20〜70g/m2であり、合金化処理する場合、めっき層中のFe%は6〜15%とすることが好ましく、溶融亜鉛めっき鋼板の表面に、さらに有機皮膜処理を施してもよい。
さらに、本発明においては、これらの熱処理後に形状矯正のために調質圧延をすることも可能である。
このように製造されたマルテンサイト体積率が60〜100%でかつ980MPa以上の母材強度を有する高強度鋼板において、本発明ではさらに局部的に焼戻し処理を施す。すなわち、部分的に焼戻しを施したい領域を450℃〜Ac3-50℃の温度域まで加熱し、その温度で最大10s保持した後、200℃以下の温度域まで冷却する。
焼戻し温度が450℃未満では、セメンタイトの凝集・粗大化が不十分であり、顕著な焼戻し軟化効果が得られず、焼戻し後強度/母材強度が0.7超となり適正範囲に制御することが困難となる。また、焼戻し温度がAc3-50℃超えではオーステナイト分率が高めとなるため、その後の冷却条件によっては軟化効果が得られない場合があり、この場合についても焼戻し後強度/母材強度が0.7超になり適正範囲に制御することが困難となる。したがって、部分焼戻し温度は450℃以上Ac3-50℃以下とすることが好ましい。
なお、Ac3は実測により求めることができるが、非特許文献1に記載される下記式を用いて鋼板の成分組成から算出しても差し支えない。
Ac3(℃)=910-203√C(%)−15.2Ni(%)+44.7Si(%)+104V(%)+31.5Mo(%)+13.1W(%)−30Mn(%)−11Cr(%)−20Cu(%)+700P(%)+400Al(%)+120As(%)+400Ti(%)
保持時間が10sを超えると、Ti、Nb、Mo、V、Wが微細炭化物として析出し、2次硬化を引き起こす場合があり、焼戻し後強度/母材強度が0.7超となり適正範囲に制御することが困難となる場合がある。したがって、部分焼戻し処理における保持時間は10s以下とする。
加熱保持後の冷却速度は、特に規定しないが、焼戻しによる顕著な軟化効果を得るには加熱温度(部分焼戻し温度)から200℃以下の温度域までの平均冷却速度が20℃/s以下となるように冷却することが好ましい。
焼戻し処理を行う領域は、鋼板全体ではなく部分的とし、ハット型形状にプレス成形する自動車構造部材用途のプレス成型部品用素材鋼板には、成形後に曲げコーナー部の一部または全長にあたる部分を成形前に焼戻し処理を行い、焼戻し軟化領域を形成する。
この場合、プレス成形部品における各曲げコーナー部では、当該曲げコーナー部の焼戻し軟化領域は、上面の軟化幅(b)と側面の軟化幅(h)の和、下面の軟化幅(b)と側面の軟化幅(h)の和が20mm以下にすることが好ましい。なお、上面、下面の軟化幅は曲げコーナー部外面の円弧部の中心からの水平方向幅、側面の軟化幅は曲げコーナー部外面の円弧中心からの鉛直方向幅である。当該曲げコーナー部の上面の軟化幅(b)と側面の軟化幅(h)の和、下面の軟化幅(b)と側面の軟化幅(h)の和が20mmを超えると、3点曲げ衝撃特性の低下が顕著となり、自動車構造部品用途として必要な特性が得られない場合がある。さらに、曲げコーナー部の上面の軟化幅(b)と側面の軟化幅(h)の和、下面の軟化幅(b)と側面の軟化幅(h)の和が20mm以下であっても、当該曲げコーナー部の上面の軟化幅、下面の軟化幅、側面の軟化幅のいずれかが当該曲げコーナー部の曲げ半径(R)と鋼板板厚(t)の和(R+t)の1/√2未満の場合、軟化処理されていない母材の一部が曲げ加工による変形を受け、この部分が加工硬化により強度上昇するため、3点曲げ時に割れが生じやすく、3点曲げ衝撃特性が低下する場合がある。したがって、各曲げコーナー部の上面の軟化幅(b)、下面の軟化幅(b)および側面の軟化幅(h)は当該コーナー部の曲げ半径(R)と鋼板板厚(t)の和(R+t)の1/√2以上とすることがさらに好ましい。
また、本発明における部分焼戻しの方法は特に限定しないが、高周波による誘導加熱や直接通電加熱法、電子ビームやレーザーを用いる方法、ガス炎、アークを用いる方法など、局部的に加熱処理できる方法であればどのような方法でもよい。
以下、実施例により本発明をさらに説明する。
表1に示す化学成分を有する鋼を真空溶解にて溶製し、スラブを作製した。
これらのスラブを1200℃にて加熱した後、仕上げ温度を850℃として、熱間圧延を行い、次いで冷却した後、600℃で巻取り、板厚3.4mmの熱延鋼板を製造した。得られた熱延鋼板に対して酸洗した後、圧延率53%で冷間圧延を行い、板厚1.6mmの冷延鋼板とし、表2に示す条件にて焼鈍した後、衝撃3点曲げ試験片の曲げコーナー部に相当する領域(b+h)を表3に示す焼戻し条件にて部分的に焼戻し処理を施した。ここで、部分焼戻しは、部分的加熱が可能な高周波誘導加熱(陽極出力:20kW、定格周波数:100kHz)により行い、温度は熱電対により測定した。
このようにして得られた鋼板からサンプルを採取し、母材のマルテンサイト体積率を測定し、さらに引張試験、硬度測定を行った。また、部分焼戻し軟化後の硬度を測定し、軟化後の硬度と母材の硬度の比を算出し、これを焼戻し後強度/母材強度とした。
ここで、マルテンサイト体積率は、サンプルのL断面(圧延方向に平行な垂直断面)を機械的に研磨し、ナイタールで腐食した後、走査型電子顕微鏡(SEM)で倍率2000倍にて観察を行い、撮影した組織写真(SEM写真)を用いて定量化した。また、引張特性は圧延方向に対して90°方向(C方向)にJIS5号試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠した引張試験を行い、引張強度(TS)、全伸び(T.El)を測定した。さらに、硬度はサンプルの切断面をバフ研磨仕上げ後、JIS Z 2244の規定に準拠した方法にて、板厚中央部を荷重500gfで5点測定し、平均硬度を求めた。
この部分焼戻し軟化鋼板を用いて、図1に示した自動車構造部材用途のハット型成形部品を模擬した3点曲げ試験片(曲げ半径:5mm)1を製作し、衝撃3点曲げ試験により衝撃吸収エネルギーを測定した。ここで、3点曲げ試験片1の長さは500mmとし、ハット型成形部材2のフランジ部と背板3を30mmピッチでスポット溶接を施してある。
前記衝撃3点曲げ試験は、図2に示すように、前記3点曲げ試験片1をハット型成形部材2が上になるように、支点間隔(4−4)が300mmで水平に配置した。この状態で保持した後、3点曲げ試験片の長さ方向の中心部を曲げ治具5にて5mm/secで衝突させ、このときに生じた衝撃吸収エネルギーを測定するもので、曲げ治具5が3点曲げ試験片と接触した瞬間を0として、各変位における荷重をロードセルにて求め、図3に模式的に示すような荷重-変位曲線を測定し、荷重-変位曲線から変位量が70mmとなるまでの吸収エネルギーを求めた。
以上の測定結果を表2、表3に示す。
鋼板No.3、4、9はTi、Nb、Mo、V、Wの合計添加量が0.2%を超えており、焼戻し処理時に微細な炭化物が析出し、2次硬化するため、焼戻し後強度/母材強度が本発明範囲を外れている比較例である。また、鋼板No.8はC量が、鋼板No.11はMnおよびCr量が本発明範囲を外れており、所定のマルテンサイト量が得られず、母材強度が980MPa未満の比較例である。さらに、鋼板No.10はSiが本発明範囲を超えており、化成処理性が劣位であるとともに焼戻し軟化が遅れるため、焼戻し後強度/母材強度が本発明範囲を外れている比較例である。これらの比較例は、焼戻し後強度/母材強度が本発明の範囲外であり、母材強度が980MPa未満の鋼板No.8、11を除くと、衝撃3点曲げ時に曲げ部で割れが発生するため、母材強度が同一の発明例と比較し、吸収エネルギーが20〜30%低くなっている。一方、鋼板No.1、2、5、6、7は、化学組成が本発明の範囲内であるため、母材強度が980MPa以上でかつ、焼戻し後強度/母材強度が0.5〜0.7であるため、衝撃3点曲げ時の曲げ部においても割れの発生はなく、優れた耐衝撃性が得られていることがわかる。
表1の鋼種Bの示す化学成分を有する鋼を真空溶解にて溶製し、スラブを作製した後、加熱温度:1200℃、仕上げ温度:850℃、巻取り温度:600℃の条件にて、熱間圧延を行い、板厚3.4mmの熱延鋼板を製造した。その後、熱延鋼板に酸洗を施した後、圧延率53%で冷間圧延を行い、板厚1.6mmの冷延鋼板とし、表4、表5に示す条件にて焼鈍、部分焼戻し処理を施した後、衝撃3点曲げ試験を実施し、耐衝撃特性に及ぼす製造条件およびハット型成形部材の軟化幅の影響を評価した。結果を表4、表5に示す。なお、評価項目、評価方法は実施例1と同様である。
鋼板No.12は焼鈍均熱温度および均熱温度から急速冷却開始温度までの平均冷却速度が本発明の範囲外であるため、所定のマルテンサイト体積率が得られず、所望の母材強度が得られない。また、鋼板No.15、19は部分焼戻し温度および部分焼戻し温度から200℃までの平均冷却速度が本発明の範囲外であるため、焼戻し後強度/母材強度が0.5〜0.7に制御することができず、本発明範囲内の鋼板No.16、17、18に比べて、衝撃3点曲げ吸収エネルギーが20〜30%程度低位である。
また、焼戻し軟化幅(b、h、b+h)が好適範囲を外れる鋼板No.22、No.23は、好適範囲の鋼板No.20、21に比べて衝撃3点曲げ吸収エネルギーがわずかに低いが、両鋼板とも比較例に比べて高い吸収エネルギーを示す本発明例である。
以上のように、化学成分に加えて、部分焼戻し軟化鋼板の製造方法およびハット型成形部材の軟化幅を適正に制御することで、衝撃3点曲げ試験時においても割れ発生することなく、優れた耐衝撃性が得られていることがわかる。
表1の鋼種A、E、F、Gに示す化学成分を有する鋼を実施例1と同様の方法にて、板厚1.6mmの冷延鋼板とし、表6、表7に示す条件にて焼鈍、部分焼戻し処理を施した後、または表8、表9に示す条件にて焼鈍・めっき、部分焼戻し処理を施した後、各々衝撃3点曲げ試験を実施した。結果を表6〜表9に示す。なお、評価項目、評価方法は実施例1と同様である。
鋼板No.25、30は1次冷却速度あるいは1次冷却速度および2次冷却速度が本発明の範囲外であるため、所定のマルテンサイト体積率が得られず、所望の母材強度が得られなくなり、焼戻し後強度/母材強度が本発明範囲を外れ、したがって、衝撃3点曲げ吸収エネルギーが本発明例に比べて、非常に低位である。一方、鋼板No.24、26、29、31〜33は、化学組成および製造方法が本発明の範囲内であるため、母材強度が980MPa以上で焼戻し後強度/母材強度が0.5〜0.7の範囲内にあり、優れた耐衝撃性が得られている。
本発明の部分焼戻し軟化鋼板およびその鋼板を用いた自動車構造部材用途のハット型成形部品を実車に適用することにより、耐衝突性能と車体軽量化の両立が可能となる。
1 衝撃3点曲げ試験片
2 ハット型成形部材
3 背板
4 支点
5 曲げ治具

Claims (6)

  1. 引張強度が980MPa以上の高強度鋼板であって、局部的に焼戻し処理が施された焼戻し軟化領域を有し、該焼戻し軟化領域の強度は、母材強度の0.5〜0.7の範囲内にあることを特徴とする部分焼戻し軟化鋼板。
  2. 質量%で、C:0.10〜0.20%、Si:0.5〜1.5%、Mn:1.5〜3.0%、P:0.05%以下、S:0.03%以下、Al:0.01〜0.1%、N:0.01%以下、Cr:0.05〜1.0%、さらに、Ti、Nb、Mo、V、Wの1種以上を合計0〜0.2%の範囲で含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる母材の引張強度が980MPa以上の高強度鋼板であって、局部的に焼戻し処理が施された焼戻し軟化領域を有し、該焼戻し軟化領域の強度は、母材強度の0.5〜0.7の範囲内にあることを特徴とする部分焼戻し軟化鋼板。
  3. 焼戻し処理は、焼戻し軟化する領域を局部的に450℃〜Ac3-50℃の温度域に加熱し、その温度で10s以下保持した後冷却する部分焼戻し軟化処理であることを特徴とする請求項1または2に記載の部分焼戻し軟化鋼板。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載された部分焼戻し軟化鋼板を断面形状がハット型形状の部品にプレス成形して得たプレス成形部品であって、前記ハット型形状の部品の曲げコーナー部に焼戻し軟化領域を有することを特徴とするプレス成形部品。
  5. 前記曲げコーナー部の焼戻し軟化幅は、上面の軟化幅と側面の軟化幅の和、下面の軟化幅と側面の軟化幅の和がいずれも20mm以下であることを特徴とする請求項4に記載のプレス成形部品。
  6. 前記曲げコーナー部の焼戻し軟化幅は、上面の軟化幅、下面の軟化幅および側面の軟化幅がいずれもコーナー部の曲げ半径(R)と鋼板板厚(t)の和(R+t)の1/√2以上であることを特徴とする請求項4または5に記載のプレス成形部品。
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