JP2020172680A - 鋼板 - Google Patents

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隆 安富
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Abstract

【課題】鋼板に対するせん断加工等に用いられる工具の損傷を抑制することが可能な、新規かつ改良された鋼板を提供する。【解決手段】鋼板であって、前記鋼板は引張強度が1300MPa以上である主部と、前記鋼板の少なくとも表面を含む領域において帯状に形成され、前記主部よりも低いビッカース硬度を有する軟化部と、を備え、前記軟化部のビッカース硬度は、前記主部のビッカース硬度の0.7倍以上0.95倍以下である、鋼板。【選択図】図1

Description

本発明は、鋼板に関する。
鋼板に対して種々の加工を施し、所定の形状を有するブランク材を成形する際に、鋼板に種々の処理を施して、鋼板の性質、機能を調整しておく場合がある。
また、下記特許文献1には、鋼板において、成形後の断面ハット形状の部材における稜線部となる領域を部分的に軟化させる技術が記載されている。
特開2011−68979号公報
しかし、上記特許文献1に記載の技術は、曲げ加工やプレス加工のために、鋼板に対して部分的に軟化処理を行うものであり、鋼板に対するせん断加工を行うために、鋼板に対して処理を行うものではなかった。特に、せん断加工を行う際の工具の損傷(例えば、工具の塑性変形等)を抑制するために、鋼板に対して部分的な軟化を行うことは考慮されていなかった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、鋼板に対するせん断加工等に用いられる工具の損傷を抑制することが可能な、新規かつ改良された鋼板を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、鋼板であって、上記鋼板は引張強度が1300MPa以上である主部と、上記鋼板の少なくとも表面を含む領域において帯状に形成され、上記主部よりも低いビッカース硬度を有する軟化部と、を備え、上記軟化部のビッカース硬度は、上記主部のビッカース硬度の0.7倍以上0.95倍以下である、鋼板が提供される。
上記軟化部のビッカース硬度は、上記鋼板の上記主部のビッカース硬度の0.8倍以上0.95倍以下であってもよい。
上記軟化部は、上記鋼板の平面視における上記帯状の上記軟化部の幅方向中心線の曲率半径が、120mm以下となる領域を含んで形成されてもよい。
上記軟化部の板厚方向深さの最大値は、上記鋼板の板厚に対する比率で50%以下とされてもよい。
上記軟化部の板厚方向深さの最大値は、上記鋼板の板厚に対する比率で30%以下とされてもよい。
上記軟化部の板厚方向深さの最大値は、上記鋼板の板厚に対する比率で10%以下とされてもよい。
上記軟化部は、上記鋼板の第1の面側と、上記第1の面の反対側の第2の面側とにそれぞれ設けられてもよい。
上記軟化部の各々は互いに並行して設けられ、上記鋼板の上記第1の面側に設けられた上記軟化部における板厚方向深さが最大となる第1の位置と、上記鋼板の上記第2の面側に設けられた上記軟化部における板厚方向深さが最大となる第2の位置とは、上記鋼板の板面における上記軟化部の板厚方向と直交する方向において異なってもよい。
上記軟化部の幅方向の距離は、40mm以下であってもよい。
上記主部の表面には、めっき被膜が形成され、上記軟化部の表面の少なくとも一部には上記めっき被膜が形成されていなくてもよい。
上記鋼板にせん断変形が施されて、ブランクが切り出されてもよい。
以上説明したように本発明によれば、鋼板に対するせん断加工等に用いられる工具の損傷を抑制することが可能な鋼板が提供される。
本発明の第1の実施形態に係る鋼板を示す斜視図である。 同実施形態に係る鋼板に対する、せん断加工の様子の一例を示す部分断面図である。 同実施形態に係る軟化部が形成された部分の一例を示す部分断面図である。 同実施形態に係る鋼板の製造方法の一例を説明する図である。 同実施形態に係る軟化部が形成された部分のその他の例を示す部分断面図である。 実施例において、試験片の形状等を説明する図である。 実施例において、せん断工具の損傷状態の評価を説明する図である。 実施例において、せん断工具の損傷状態を示す図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<第1の実施形態>
[鋼板の概略構成]
まず、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施形態に係る鋼板の概略構成について説明する。図1は、本実施形態に係る鋼板100の一例を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る鋼板100に対する、せん断加工の様子の一例を示す部分断面図である。図1に示すように、鋼板100は、平板状の部材である。特に、鋼板100は、一方向に連続したシート状の板状部材であってもよい。鋼板100に対して、せん断加工が施されることにより、所定形状の板材であるブランク材(図4において説明するブランク材100’に相当)が鋼板100から切り出される。ブランク材は、さらに種々の加工、処理を経て、所定の形状の成形品に成形される。
せん断加工の開始時、まずせん断工具が、それぞれ鋼板100に当接する。このとき、せん断工具の端部が、鋼板100に食い込むことにより、当該端部にはせん断加工時の荷重が集中しやすくなる。この結果、せん断工具の端部には、塑性変形が生じる場合がある。特に、鋼板100が、高張力鋼板である場合には、せん断工具の端部での塑性変形が生じやすくなる。さらに、鋼板100が、引張強度で1300MPa級以上の鋼材から成る場合には、せん断工具の端部での塑性変形がより生じやすくなる。
そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、鋼板100の一部を軟化し、せん断加工時のせん断工具に対する影響を抑制することを想到した。以下、本実施形態に係る鋼板100について詳細に説明する。
本実施形態に係る鋼板100は、主部110と軟化部120とを有する。主部110は、鋼板100を主として構成する領域であり、引張強度で1300MPa級以上の鋼材から成る。軟化部120は、鋼板100において部分的に形成された、主部110よりも軟化された領域である。
[軟化部]
軟化部120は、せん断加工時に、せん断工具の端部が板厚方向に当接する鋼板100の表面位置の少なくとも一部を含むように形成されている。例えば、図2に示すように、鋼板100には、上下一対のせん断工具(パンチAとダイB)によって、せん断加工が施される。このとき、図2に示すように、軟化部120は、パンチAとダイBの端部(エッヂ)が当接する鋼板100の表面位置を含むように形成されている。
軟化部120のビッカース硬度は、主部110のビッカース硬度の0.7倍以上0.95倍以下となっている。軟化部120のビッカース硬度が、主部110のビッカース硬度に対して、0.95倍超であると、軟化部120の硬度が主部110に対して十分低くならないため、軟化部120が高い硬度のレベルであり、せん断工具の損傷を抑制することができない。一方、軟化部120のビッカース硬度が、主部110のビッカース硬度に対して、0.7倍未満であると、軟化部120が主部110よりも軟らかくなりすぎてしまい、鋼板100から切り出されたブランク材に成形加工を施す際に軟化部120であった箇所に変形が集中してしまうので、ブランク材の成形性を確保することができない。すなわち、軟化部120の硬度を、主部110の硬度に対して所定倍以上とすることで、軟化部120と主部110との間の強度差が低減される。これにより、軟化部120の相対的な強度が確保され、軟化部120にのみ変形が集中することが抑制される。この結果、鋼板100から切り出されたブランク材に対して成形加工を施した際に、局所的ではなく、部材全体としての変形が生じることとなり、成形性が確保される。
硬度測定条件としては以下の通りである。鋼板100の軟化部120を含む試料を採取し、測定面の試料調製を行い、ビッカース硬度試験に供する。測定面の調製方法は、JIS Z 2244:2009に準じて実施する。#600から#1500の炭化珪素ペーパーを使用して測定面を研磨した後、粒度1μmから6μmのダイヤモンドパウダーをアルコール等の希釈液や純水に分散させた液体を使用して鏡面に仕上げる。ビッカース硬度試験は、JIS Z 2244:2009に記載の方法に準じて実施する。測定面が調製された試料に対し、マイクロビッカース硬度試験機を用いて、試験荷重を50gfとして、0.05mmピッチでビッカース硬度の測定が実施される。
また、軟化部120のビッカース硬度は、主部110のビッカース硬度の0.8倍以上0.95倍以下であってもよい。軟化部120のビッカース硬度を、主部110のビッカース硬度に対して、0.8倍以上とすることで、鋼板100から切り出されたブランク材の成形性をより確保できる。
軟化部120を形成する方法としては、レーザ加熱、高周波加熱等の公知の部分加熱技術を用いて、部分的に焼き戻しをすることで、軟化させる方法が挙げられる。また、その他の例として、部分熱間成形等の熱間成形技術により、部分的に焼き戻しをすることで軟化させてもよい。軟化部120を形成する方法としては、部分的に硬度を低下させることができればよく、加熱による焼き戻し以外の方法であってもよい。例えば、部分的に脱炭させる等の方法であってもよい。
また、図1に示すように、軟化部120は、鋼板100を平面視したときに、せん断工具の端部の当接する鋼板100の表面位置に沿う方向を長手方向とし、当該長手方向と直交する方向であって、鋼板100の面内方向を幅方向とする線状に形成されてもよい。軟化部120が、せん断工具に沿って延びることで、せん断工具の損傷をより抑制できる。さらに、軟化部120が所定の幅を有していることから、せん断加工時のせん断工具の位置ずれが生じても、工具の損傷を抑制できる。
このとき、軟化部120の幅方向距離は、40mm以下としてもよい。特に、軟化部120の幅方向距離は、30mm以下としてもよい。軟化部120が、所定の幅方向距離を有することにより、せん断加工時のせん断工具の位置ずれが生じても、工具の損傷を抑制できる。また、せん断加工時の工具にかかる応力が、工具端部以外の広範囲に及ぶ場合でも、工具の損傷を抑制できる。また、軟化部120が、所定の幅方向長さ以下となっているから、軟化領域が少なく抑えられる。この結果、鋼板100から切り出されたブランク材において、成形中の軟化部120への変形の集中が抑制され、成形性が向上する。
上述の通り、軟化部120は、図1に示すように、せん断工具の端部の当接する鋼板100の表面位置に沿って形成されている。このとき、帯状の軟化部120の幅方向中心線(代表線、図1中の点線β)は、所定の曲率半径以下となる部分を有する場合がある。このとき、軟化部120は、特に、代表線βの所定の曲率半径以下となった部分を含む領域αに形成されていてもよい。具体的には、軟化部120は、代表線βの曲率半径が、120mm以下となる部分を含むように形成されていてもよい。
ここで、曲率半径は、代表線βにおいて、公知の計算手法により求められた円弧から決定される。円弧は、代表線βに沿って、1mmピッチで離間した3点を結ぶ円弧とする。円弧の曲率半径Rが、120mm以下となる領域が、代表線βの所定の曲率半径以下となった部分とされる。上記手法によって、所定の曲率半径以下となった部分が決定され、当該部分を含むように軟化部120が形成される。
ブランク材の切り出しにおいて、切断線が所定の曲率半径以下となる領域は、せん断加工時の荷重が集中しやすい領域である。すなわち、当該領域では、せん断加工時、せん断工具の側面圧が上昇しやすく、せん断加工の際の荷重が他の部位よりも高くなる。
この結果、ブランク材の切り出しにおいて、切断線が所定の曲率半径を有する領域では、せん断工具の損傷が生じやすくなる。そこで、代表線βが所定の曲率半径を有する部分を含む領域αにおいて、軟化部120を形成することで、工具の損傷がより抑制される。
また、ブランク材の外縁が所定の曲率半径を有する領域においては、ブランク材を加工する時の成形性が求められることがある。さらに、せん断工具の損傷が生じると、切断後のブランク材における成形性が低下する場合がある。従って、代表線βが所定の曲率半径を有する部分を含む領域αに軟化部120を形成することで、工具の耐久性が向上され、鋼板100から切り出されたブランク材に対する加工時の成形性が確保される。
引き続き、図3を参照しながら、軟化部120について説明する。図3は、軟化部120が形成された部分の一例を示す部分断面図である。図3に示すように、軟化部120は、鋼板100の板厚方向に所定の深さLを有するように形成されている。軟化部120の深さLは、上述の硬度測定条件により測定された硬度が、主部110に対して所定の値となっている領域の鋼板100の最表面からの距離として求められる。
軟化部120の深さLは、鋼板100の板厚tに対して、50%以下となるように設定されてもよい。特に、軟化部120の深さLは、鋼板100の板厚tに対して、30%以下となるように設定されてもよい。また特に、軟化部120の深さLは、鋼板100の板厚tに対して、10%以下となるように設定されてもよい。
軟化部120が所定の深さを有することにより、軟化部120の領域が鋼板100の板厚方向に確保されるので、せん断加工時に工具の損傷を抑制できる。さらに、軟化部120の板厚方向の深さが所定の値以下とされているので、軟化領域が少なく抑えられる。この結果、軟化部120への成形時の変形集中を抑制でき、鋼板100から切り出されたブランク材に対する加工時の成形性を確保できる。
さらに、図3に示すように、軟化部120は、軟化部120の幅方向に沿った断面視で鋼板100の板厚方向深さLが最大値となる位置Yを有する。このとき、鋼板100の第1の面111側に設けられた軟化部120における、板厚方向深さLが最大値となる位置を第1の位置Yとする。さらに、鋼板100の第2の面113側に設けられた軟化部120における、板厚方向深さLが最大値となる位置を第2の位置Yとする。さらに、第1の面111側の軟化部120と、第2の面113側の軟化部120とは、互いに並行に設けられている。このとき、図2に示すように、第1の位置Yと、第2の位置Yとは、軟化部120の幅方向において異なる位置とされてもよい。すなわち、第1の位置Yと、第2の位置Yとは、鋼板100の板厚方向と直交する方向において互いに異なる位置に設けられている。
第1の面111側と第2の面113側との軟化部120の第1の位置Y、第2の位置Yとの位置が異なる位置とされることにより、鋼板100から切り出されたブランク材成形時の変形集中が抑制される。これにより、ブランク材の成形性が確保される。
[鋼板の製造方法]
次に、図4を参照して、本実施形態に係る鋼板100の製造方法の一例について説明する。図4は、本実施形態に係る鋼板100の製造方法の一例を説明する図である。図4に示すように、まず、高張力鋼板1が用意される。続いて、当該高張力鋼板1に対してレーザ加熱等の部分加熱処理が施された結果、軟化部120が、せん断加工時に第一のせん断工具A、および第二のせん断工具Bの端部が板厚方向に当接する鋼板100の表面位置に沿って形成される。その後、鋼板100に対して、せん断加工が施される。すなわち、第一のせん断工具A、および第二のせん断工具Bが軟化部120に当接し、当該箇所を切断して、鋼板100から所定の形状のブランク材100’が切り出される。ブランク材100’は、その後必要に応じて、更なる切断工程、または成形工程を経て、最終的に所定の形状の成形品へと加工される。以上、本実施形態に係る鋼板100の製造方法について説明した。
本実施形態によれば、せん断加工時の工具が鋼板100の表面に当接する領域を含むように軟化部120が形成されていることで、塑性変形等のせん断工具の損傷が抑制される。特に、鋼板100が引張強度で1300MPa級以上の鋼材から成る場合でも、せん断工具の損傷を抑制できる。さらに、軟化部120のビッカース硬度が、主部110のビッカース硬度に対する比率で0.7以上0.95以下となるように設定されている。これにより、せん断工具の損傷が抑制されながら、鋼板100から切り出されたブランク材の成形性を確保できる。この結果、高強度かつ軽量なブランク材が得られるとともに、および当該ブランク材を成形した結果、高強度かつ軽量な部材が得られる。
特に、軟化部120は、鋼板100の第1の面111側と、第1の面の反対側に設けられた第2の面113側とに、それぞれ設けられてもよい。鋼板100の第1の面と第2の面との両方からせん断工具が当接するので、軟化部120が両方に設けられていることで、せん断加工時の工具の損傷がより抑制される。
<変形例>
続いて、図5を参照しながら、本実施形態に係る鋼板100のその他の例について説明する。図5は、本実施形態に係る鋼板100のその他の例を示す部分断面図である。本変形例は、鋼板100の主部110にめっき被膜が形成されている点で上記実施形態と相違する。なお、本変形例の上記実施形態と共通する構成については説明を省略する。
図5に示すように、鋼板100の主部110の表面には、耐食性、装飾性の向上を目的として、めっき被膜115が形成されることがある。めっき被膜115の一例としては、Zn基合金を主な成分とする亜鉛めっき被膜である。めっき被膜115が形成されていると、せん断加工時において、めっき被膜115が緩衝材としての機能を果たし、せん断工具の損傷が抑制されることがある。しかし、鋼板100の形状、用途によっては、鋼板100は、その表面にめっき被膜115が形成されていない領域を有する場合がある。さらに、当該領域にせん断工具が当接し、せん断加工が施されることがある。
そこで、本変形例に係る鋼板100においては、図5に示すように、めっき被膜115が形成されていない領域を含むように軟化部120が形成される。換言すれば、本変形例に係る鋼板100の有する軟化部120の表面の少なくとも一部には、めっき被膜115が形成されていない。これにより、めっき被膜115の緩衝材としての機能の代わりに、軟化部120がせん断工具の端部へのせん断荷重の集中を抑制する。
本変形例によれば、鋼板100において、めっき被膜115の形成されていない領域に軟化部120が形成される。これにより、鋼板100において、めっき被膜115が部分的に形成されていない領域においても、工具の損傷を抑制できる。
なお、本変形例において、軟化部120の表面の少なくとも一部にめっき被膜115が形成されていなければよく、軟化部120の表面にめっき被膜115が部分的に形成されてもよい。
本実施形態に係る鋼板100の性能を評価するため、実施例として、軟化部を形成した鋼板に対するせん断加工実験及び評価を行った。図6〜図8を参照しながら、実験及び評価結果について説明する。図6は、実施例として、試験片Sの形状等を説明する図である。また、図7は、せん断工具Cの損傷状態の評価について説明する図である。また、図8は、実施例として、せん断工具Cの損傷状態を示す図である。
試験片Sは、図6に示すように、平面視で長方形の鋼板とした。試験片Sの長さは100mmであり、幅は、35mm、板厚は1.6mmとした。試験片Sは、引張強度で1310MPa級の鋼材からなる。また、試験片Sには、試験片Sの長手方向中央部において、短手方向の一端から、直径Dの半円状の代表線βに沿ってせん断加工が施された。また、試験片Sには、レーザ加熱によって、代表線βを含むように軟化部120が形成された。軟化部120の略中央であって、代表線βに相当する位置Kにおいて、せん断工具Cの変形量および軟化部120の硬さを測定した。
せん断工具Cは、ダイス鋼として、SKD11を用いた。せん断加工条件は、直径D=30mmmの半円形状を打ち抜き、打ち抜きのクリアランスは、板厚の10%(約0.16mm)とした。
上記条件において、せん断加工を100回実施した後、せん断工具Cの形状を測定し、工具の損傷状態を調べた。図7に示すように、せん断工具Cの損傷状態を評価するため、図6の位置Kに当接したせん断工具Cの、初期形状から損傷後形状の側面視の面積の変形量Sを用いた。すなわち、せん断工具Cの初期形状の側面視面積Iから、損傷後形状の側面視面積IIを差し引いた、工具変形量Xに基づいて、損傷状態を評価した。
図8に示すように、主部110のビッカース硬度に対して、軟化部120のビッカース硬度が、1であるとき、つまり、軟化部120が設けられていない場合には、工具変形量Sは、0.04mmであった。一方、主部110のビッカース硬度に対して、軟化部120のビッカース硬度が、0.9とされた場合、工具変形量Xは、0.01mm程度であった。さらに、主部110のビッカース硬度に対して、軟化部120のビッカース硬度が、0.75とされた場合、工具変形量Xは、0.0025mm程度であった。主部110のビッカース硬度に対して、軟化部120のビッカース硬度が、0.6以下とされた場合、工具変形量Xは、ほぼ0であった。
図8に示すように、本実施形態に係る鋼板100において、軟化部120のビッカース硬度が、主部110のビッカース硬度に対して適切な範囲に設定することで、工具変形量が十分低下し、工具の損傷が抑制されることが示された。
また、せん断加工後のブランク材の成形性の評価のため、非特許文献 吉田博司ら他5名「伸びフランジ成形性の評価方法と対策技術」、新日鉄技報第393号、2012、p18−24、に準じて、いわゆるサイドベンド試験を行った。すなわち、せん断加工後の試験片Sの長手方向両端部を保持した状態で、打ち抜き後の試験片Sの長手方向中央部の半円状の外縁が開くように、両端部に同一方向の引張荷重を加えた。引張荷重を付与した後、開口率が0.15に達したときの試験片Sの半円状の外縁において、板厚方向に貫通したき裂の有無を調べた。ここで、開口率は、図6における直径Dについて、(D(変形後)−D(変形前))/D(変形前)で求められる。結果を表1に示す。
Figure 2020172680
なお、表1の評価項目である成形性評価において、それぞれ、〇:板厚方向に貫通したき裂発生せず、×:板厚方向に貫通したき裂発生を示している。また、評価に用いたサンプル数は3とし、表1に示した〇、×は、各回の評価結果を示している。
表1に示すように、比較例1、2において、主部110のビッカース硬度に対して、軟化部120のビッカース硬度が、0.7よりも小さい場合、全てのサンプルにおいて、試験片Sの外縁で板厚方向に貫通したき裂が発生した。すなわち、比較例1、2においては、十分な成形性が確保されなかった。一方、比較例3において、主部110のビッカース硬度に対して、軟化部120のビッカース硬度が、0.7よりやや小さい場合、3つのサンプルの内、1つにおいて板厚方向に貫通したき裂が発生した。すなわち、比較例3においては、ある程度の成形性を有するものの、改善の余地があることが示された。
一方、比較例4に示すように、主部110のビッカース硬度に対して、軟化部120のビッカース硬度が0.95よりもやや大きい場合、3つのサンプルの内、1つにおいて板厚方向に貫通したき裂が発生した。すなわち、比較例4においては、ある程度の成形性を有するものの、改善の余地があることが示された。比較例5に示すように、主部110のビッカース硬度に対して、軟化部120のビッカース硬度が、0.95よりも大きい場合、全てのサンプルにおいて、板厚方向に貫通したき裂が発生した。すなわち、比較例5においては、十分な成形性が確保されなかった。
一方、実施例1では、主部110のビッカース硬度に対して軟化部120のビッカース硬度が、0.7以上0.95以下となる、0.75であった。このとき、全てのサンプルで試験片Sの外縁で板厚方向に貫通したき裂は発生しなかった。また、実施例2では、主部110のビッカース硬度に対して軟化部120のビッカース硬度が、0.7以上0.95以下となる、0.9であった。このとき、全てのサンプルで試験片Sの外縁において、板厚方向に貫通したき裂は発生しなかった。
表1に示すように、本実施形態に係る鋼板100において、軟化部120のビッカース硬度が、主部110のビッカース硬度に対して、適切な範囲に設定されることにより、せん断加工後の成形における成形性が確保されることが示された。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態において、軟化部120は、閉曲線である円環状の例を説明したが、本発明に係る軟化部120はこれに限定されない。軟化部120は、せん断工具が鋼板100の表面に当接する位置に沿って形成されていればよく、例えば、連続もしくは不連続な、直線もしくは曲線状、点状、コの字状、またはジグザグ状に設けられてもよい。また、軟化部120は、鋼板100の一端から他の端へかけて形成されてもよい。
100 鋼板
100’ ブランク材
110 主部
111 第1の面
113 第2の面
115 めっき被膜
120 軟化部
A パンチ(第一のせん断工具)
B ダイ(第二のせん断工具)
α 領域
β 代表線(幅方向中心線)

Claims (11)

  1. 鋼板であって、
    前記鋼板は
    引張強度が1300MPa以上である主部と、
    前記鋼板の少なくとも表面を含む領域において帯状に形成され、前記主部よりも低いビッカース硬度を有する軟化部と、
    を備え、
    前記軟化部のビッカース硬度は、前記主部のビッカース硬度の0.7倍以上0.95倍以下である、
    鋼板。
  2. 前記軟化部のビッカース硬度は、前記鋼板の前記主部のビッカース硬度の0.8倍以上0.95倍以下である、請求項1に記載の鋼板。
  3. 前記軟化部は、前記鋼板の平面視における前記帯状の前記軟化部の幅方向中心線の曲率半径が、120mm以下となる領域を含んで形成される、請求項1または2に記載の鋼板。
  4. 前記軟化部の板厚方向深さの最大値は、前記鋼板の板厚に対する比率で50%以下とされている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼板。
  5. 前記軟化部の板厚方向深さの最大値は、前記鋼板の板厚に対する比率で30%以下とされている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼板。
  6. 前記軟化部の板厚方向深さの最大値は、前記鋼板の板厚に対する比率で10%以下とされている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼板。
  7. 前記軟化部は、前記鋼板の第1の面側と、前記第1の面の反対側の第2の面側とにそれぞれ設けられている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の鋼板。
  8. 前記軟化部の各々は互いに並行して設けられ、
    前記鋼板の前記第1の面側に設けられた前記軟化部における板厚方向深さが最大となる第1の位置と、前記鋼板の前記第2の面側に設けられた前記軟化部における板厚方向深さが最大となる第2の位置とは、前記鋼板の板面における前記軟化部の板厚方向と直交する方向において異なる、請求項7に記載の鋼板。
  9. 前記軟化部の幅方向の距離は、40mm以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の鋼板。
  10. 前記主部の表面には、めっき被膜が形成され、
    前記軟化部の表面の少なくとも一部には前記めっき被膜が形成されていない、請求項1〜9のいずれか1項に記載の鋼板。
  11. 前記鋼板にせん断変形が施されて、ブランクが切り出される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の鋼板。
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