JP2011068701A - 繊維強化プラスチックの製造方法 - Google Patents

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Yoshio Natsuume
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Abstract

【課題】 力学特性に優れる多軸ステッチ基材を用いて、空洞や外観の形状崩れ、泡立ち等を生じさせない繊維強化複合プラスチックの製造方法を提供する。
【解決手段】 シクロオレフィンモノマー、重合触媒及び架橋剤を含んでなる硬化性組成物を多軸ステッチ基材に含浸させ、次いで硬化させて繊維強化プラスチックを得る。前記多軸ステッチ基材は、炭素繊維からなるものであることが好ましく、前記重合触媒は、ヘテロ環構造を含有する化合物を配位子として有するルテニウム触媒であることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、スポーツ用途、自動車や航空機などの乗物用部材料用途、一般産業用途に適した機械強度と外観性に優れる繊維強化プラスチックを容易に製造できる繊維強化プラスチックの製造方法に関する。
従来より炭素繊維やガラス繊維を強化繊維として用いた繊維強化プラスチックは、比強度、比弾性率に優れることから、様々な用途に使われている。かかる繊維強化プラスチックの代表的な製造方法としては、強化繊維基材に予めマトリックス樹脂を含浸させたプリプレグを用い、このプリプレグを層毎に強化繊維の配列方法がずれるように積層(擬似等方積層)し、マトリックス樹脂を硬化させるオートクレーブ成形法がある。この他にも、繊維強化プラスチックの成形コストを低減させるために、樹脂未含浸の強化繊維基材を積層し、その積層体にマトリックス樹脂を注入し、硬化させる樹脂注入成形法がある。
主に樹脂注入成形法などに用いられるマトリックス樹脂が未含浸の強化繊維基材としては、従来から織物基材が用いられていたが、近年、強化繊維糸条を並行に配列したシートを交差積層してステッチ糸にて一体化した、いわゆる多軸ステッチ基材が注目を浴びるようになってきた(例えば、特許文献1〜3)。かかる多軸ステッチ基材は、従来の織物基材に比べ、強化繊維糸条同士を織り込む手間がないため基材生産性が高く、且つ得られる繊維強化プラスチックの力学的特性に優れる。また1シートごとの繊維目付を大きくすることができ、かつ予め多方向に積層して一体化することによって1ユニットで所望の構成、特性を有する基材となるため、積層作業が大幅に省力化され安価な繊維強化プラスチックが得られるという利点もある。しかしながら、このような多軸ステッチ基材は、一方で、複雑な形状からマトリックス樹脂が均一に含浸できず、得られる強化繊維プラスチックに空洞、外観の形状崩れおよび泡立ち等が生じる等の問題があった。
米国特許出願公開第2005/0059309号公報 WO01/063033号パンフレット 特開2007−162151号公報
本発明の目的は、力学特性に優れる多軸ステッチ基材を用いて、空洞や外観の形状崩れ、泡立ち等を生じさせない繊維強化複合プラスチックの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討の結果、シクロオレフィンモノマー、重合触媒及び架橋剤等を含んでなる硬化性組成物を多軸ステッチ基材に含浸させ、次いで硬化させることで、複雑な形状の多軸ステッチ基材に対しても均一に含浸させることが可能で、空洞や外観の形状崩れや泡立ち等のない繊維強化プラスチックが容易に製造できることを見出した。本発明者らは、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至ったものである。
かくして本発明によれば、シクロオレフィンモノマー、重合触媒及び架橋剤を含んでなる硬化性組成物を多軸ステッチ基材に含浸させ、次いで硬化させることを特徴とする繊維強化プラスチックの製造方法が提供される。
前記多軸ステッチ基材は、炭素繊維からなるものであることが好ましい。
前記重合触媒は、ヘテロ環構造を含有する化合物を配位子として有するルテニウム触媒であることが好ましい。
本発明によれば、力学特性に優れる多軸ステッチ基材を用いて機械強度と外観に優れる繊維強化複合プラスチックを容易に製造できる。また、本発明の製造方法により得られる繊維強化プラスチックは、機械強度と外観に優れるため、自動車や航空機などの乗物用構造体、及びスポーツ、土木、建築などの分野において好適に使用することができる。
(シクロオレフィンモノマー)
本発明に使用されるシクロオレフィンモノマーは、炭素原子で形成される環構造を有し、該環中に炭素−炭素二重結合を有する化合物である。その例として、ノルボルネン系モノマーおよび単環シクロオレフィンなどが挙げられ、ノルボルネン系モノマーが好ましい。ノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環を含むモノマーである。ノルボルネン系モノマーとしては、格別な限定はないが、例えば、2−ノルボルネン、ノルボルナジエンなどの二環体、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエンなどの三環体、テトラシクロドデセン、エチリデンテトラシクロドデセン、フェニルテトラシクロドデセンなどの四環体、トリシクロペンタジエンなどの五環体、テトラシクロペンタジエンなどの七環体、及びこれらのアルキル置換体(メチル、エチル、プロピル、ブチル置換体など)、アルキリデン置換体(例えば、エチリデン置換体)、アリール置換体(例えば、フェニル、トリル置換体)、並びにエポキシ基、メタクリル基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、シアノ基、ハロゲン基、エーテル基、エステル結合含有基などの極性基を有する誘導体などが挙げられる。単環シクロオレフィンとしては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン、1,5−シクロオクタジエンなどの単環シクロオレフィン及び置換基を有するそれらの誘導体が挙げられる。これらのシクロオレフィンモノマーは。それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(重合触媒)
本発明に使用される重合触媒としては、シクロオレフィンモノマーを重合できるものであれば格別な限定はないが、通常はメタセシス重合触媒が用いられる。メタセシス重合触媒は、シクロオレフィンモノマーをメタセシス開環重合できるものであり、通常遷移金属原子を中心原子として、複数のイオン、原子、多原子イオン及び/又は化合物が結合してなる錯体が挙げられる。遷移金属原子としては、5族、6族及び8族(長周期型周期表、以下同じ)の原子が使用される。それぞれの族の原子は特に限定されないが、5族の原子としては例えばタンタルが挙げられ、6族の原子としては、例えばモリブデンやタングステンが挙げられ、8族の原子としては、例えばルテニウムやオスミウムが挙げられる。これらの中でも、8族のルテニウムやオスミウムの錯体をメタセシス重合触媒として用いることが好ましく、ルテニウムカルベン錯体が特に好ましい。ルテニウムカルベン錯体は、塊状重合時の触媒活性が優れるため、未反応のモノマーに由来する臭気が少なく作業性に優れる。また、酸素や空気中の水分に対して比較的安定であって、失活しにくいので、大気下でも生産が可能である。
本発明においては、重合触媒としてヘテロ環構造を有する化合物を配位子として有するルテニウム触媒を用いると、得られる繊維強化プラスチックの外観と機械強度を高度にバランスできるので好適である。ヘテロ環構造を構成するヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子等が挙げられ、好ましくは窒素原子である。また、ヘテロ環構造としては、イミダゾリンやイミダゾリジン構造が好ましく、かかるヘテロ環構造を有する化合物の具体例としては、1,3−ジ(1−アダマンチル)イミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジメシチルオクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン、1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデンなどが挙げられる。
好ましいルテニウム触媒の例としては、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−オクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン[1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジイソプロピルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ピリジンルテニウムジクロリドなどの、配位子としてヘテロ環構造を有する化合物と中性の電子供与性化合物とを有するルテニウム錯体化合物が挙げられる。
これらの重合触媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。重合触媒の使用量は、(触媒中の金属原子:シクロオレフィンモノマー)のモル比で、通常1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:5,000〜1:1,000,000、より好ましくは1:10,000〜1:500,000の範囲である。
重合触媒は必要に応じて、少量の不活性溶剤に溶解又は懸濁して使用することができる。かかる溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、流動パラフィン、ミネラルスピリットなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;インデン、テトラヒドロナフタレンなどの脂環と芳香環とを有する炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの含酸素炭化水素;などが挙げられる。これらの中では芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、および脂環と芳香環とを有する炭化水素の使用が好ましい。
(架橋剤)
本発明で使用される架橋剤としては、硬化性組成物を硬化できるものであれば格別な制限はないが、通常、通常ラジカル発生剤が用いられる。ラジカル発生剤としては、有機過酸化物、ジアゾ化合物および非極性ラジカル発生剤などが挙げられ、好ましくは有機過酸化物や非極性ラジカル発生剤である。
有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類;ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンなどのジアルキルペルオキシド類;ジプロピオニルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどのペルオキシケタール類;t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエートなどのペルオキシエステル類;t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、ジ(イソプロピルペルオキシ)ジカルボナートなどのペルオキシカルボナート類;t−ブチルトリメチルシリルペルオキシドなどのアルキルシリルペルオキサシド類;などが挙げられる。中でも、重合反応に対する障害が少ない点で、ジアルキルペルオキシドおよびペルオキシケタール類が好ましい。
ジアゾ化合物としては、例えば、4,4’−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノンなどが挙げられる。
非極性ラジカル発生剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、1,1,2−トリフェニルエタン、1,1,1−トリフェニル−2−フェニルエタンなどが挙げられる。
本発明に使用される架橋剤がラジカル発生剤の場合の1分半減期温度は、硬化の条件により適宜選択されるが、通常、100〜300℃、好ましくは150〜250℃、より好ましくは160〜230℃の範囲である。ここで1分間半減期温度は、ラジカル発生剤の半量が1分間で分解する温度である。
これらの架橋剤は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋剤の使用量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。
(硬化性組成物)
本発明に使用される硬化性組成物は、上記シクロオレフィンモノマー、重合触媒及び架橋剤を必須成分として、必要に応じて、連鎖移動剤、重合反応遅延剤、架橋助剤、エラストマー材料、老化防止剤、充填剤及びその他の添加剤を添加することができる。
連鎖移動剤としては、例えば、置換基を有していてもよい鎖状のオレフィン類を用いることができる。その具体例としては、例えば、1−ヘキセン、2−ヘキセンなどの脂肪族オレフィン類;スチレン、ジビニルベンゼン、スチルベンなどの芳香族基を有するオレフィン類;ビニルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素基を有するオレフィン類;エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;メチルビニルケトン、1,5−ヘキサジエン−3−オン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン−3−オン、メタクリル酸ビニル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸3−ブテン−1−イル、メタクリル酸3−ブテン−2−イル、メタクリル酸スチリル、アクリル酸アリル、アクリル酸3−ブテン−1−イル、アクリル酸3−ブテン−2−イル、アクリル酸1−メチル−3−ブテン−2−イル、アクリル酸スチリル、エチレングリコールジアクリレート、アリルトリビニルシラン、アリルメチルジビニルシラン、アリルジメチルビニルシラン、アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、アリルアミン、2−(ジエチルアミノ)エタノールビニルエーテル、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、4−ビニルアニリンなどが挙げられる。
これらの連鎖移動剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができ、その添加量は、シクロオレフィンモノマー全体に対して、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。
本発明に用いる硬化性組成物は、重合反応遅延剤を含有していると、その粘度増加を抑制でき、容易に多軸ステッチ基材に均一に硬化性組成物を含浸できるので、好ましい。重合反応遅延剤としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、ジシクロヘキシルホスフィン、ビニルジフェニルホスフィン、アリルジフェニルホスフィン、トリアリルホスフィン、スチリルジフェニルホスフィンなどのホスフィン化合物;アニリン、ピリジンなどのルイス塩基;等を用いることができる。
これら重合反応遅延剤の中でも、室温以下での重合反応の進行を抑制する効果が大きいので、ホスフィン化合物が好ましく、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン、ジシクロヘキシルホスフィンおよびビニルジフェニルホスフィンがより好ましい。重合反応遅延剤の量は、(ルテニウム金属原子:重合反応遅延剤)のモル比で、通常、1:0.01〜1:100、好ましくは1:0.1〜1:10、より好ましくは1:0.1〜1:5の範囲である。
(架橋助剤)
本発明に用いられる硬化性組成物は、架橋助剤を含むことが好ましい。硬化性組成物に架橋助剤を配合することで、硬化性組成物の多軸ステッチ基材への含浸性、及び硬化して得られる繊維強化プラスチックの機械的強度を高度に向上させることができ好適である。
本発明で使用される架橋助剤としては、一般的に用いられるものを格別な限定なく使用でき、例えば、炭素−炭素不飽和結合を2つ有する2官能性架橋助剤、炭素−炭素不飽和結合を3つ以上有する多官能架橋助剤などを挙げることができる。
本発明に使用される架橋助剤の構造は、格別な限定はないが、対称性の高い構造を有する化合物であるときにシクロオレフィンモノマーを含む硬化性組成物の多軸ステッチ基材への含浸性を高度に改善でき好適である。特に、架橋助剤が、炭化水素で、対称性の高い構造を有するものであるときに硬化性組成物の多軸ステッチ基材への含浸性、及び硬化して得られる繊維強化プラスチックの機械的強度を高度に改善できるため好適である。
かかる架橋助剤の具体例としては、p−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、o−ジイソプロペニルベンゼンなどの2官能架橋助剤、トリイソプロペニルベンゼン、トリメタアリルイソシアネートなどの3官能架橋助剤等が挙げられる。中でも、トリイソプロペニルベンゼン、p−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、o−ジイソプロペニルベンゼンが好ましく、m−ジイソプロペニルベンゼンがより好ましい。
これらの架橋助剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋助剤の使用量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロオレフィンモノマー100重量部に対し、通常0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部、さらに好ましくは1〜20重量部、最も好ましくは5〜15重量部である。架橋助剤の量がこの範囲であると、得られる繊維強化プラスチックの機械的強度に優れる。
本発明に使用される硬化性組成物は、エラストマー材料を加えることにより機械強度を低下させることなく格段に耐衝撃強度を向上させることができ好適である。エラストマー材料としては、例えば、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、クロロプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びこれらの水素添加物が挙げられる。これらのエラストマー材料は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。その使用量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常0.1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは3〜30重量部の範囲である。
本発明に使用される硬化性組成物は、老化防止剤として、フェノール系老化防止剤、アミン系老化防止剤、リン系老化防止剤及びイオウ系老化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の老化防止剤を添加することにより、重合反応及び硬化反応を阻害しないで、得られる繊維強化プラスチックの耐熱性を高度に向上させることができ好適である。これらの中でも、フェノール系老化防止剤とアミン系老化防止剤が好ましく、フェノール系老化防止剤が特に好ましい。
フェノール系老化防止剤としては、一般の樹脂工業で通常使用される物であれば格別な限定はなく、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニルプロピオネート)メタン[すなわち、ペンタエリスリメチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)]、6−(4−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
アミン系老化防止剤としては、一般の樹脂工業で通常使用される物であれば格別な限定はなく、例えば、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−3,5−ジ−tブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸−ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)などが挙げられる。
リン系老化防止剤としては、一般の樹脂工業で通常使用される物であれば格別な限定はなく、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(イソデシルホスファイト)などが挙げられる。
イオウ系老化防止剤は、例えば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどを挙げられる。
これらの老化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。老化防止剤の使用量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常0.0001〜10重量部、好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは0.01〜1重量部の範囲である。
本発明においては、硬化性組成物に充填剤を加えることにより、機械強度と耐熱性を格段に向上させることができ好適である。充填剤としては、工業的に一般に使用されるものであれば格別な限定はなく、無機系充填剤や有機系充填剤のいずれも用いることができが、好適には無機系充填剤である。
無機系充填剤としては、例えば、鉄、銅、ニッケル、金、銀、アルミニウム、鉛、タングステン等の金属粒子;カーボンブラック、グラファイト、活性炭、炭素バルーン等の炭素粒子;シリカ、シリカバルーン、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化すず、酸化ベリリウム、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等の無機酸化物粒子;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム等の無機炭酸塩粒子;硫酸カルシウム等の無機硫酸塩粒子;タルク、クレー、マイカ、カオリン、フライアッシュ、モンモリロナイト、ケイ酸カルシウム、ガラス、ガラスバルーン等の無機ケイ酸塩粒子;チタン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸鉛等のチタン酸塩粒子、窒化アルミニウム、炭化ケイ素粒子やウィスカー等が挙げられる。有機系充填剤としては、例えば、木粉、デンプン、有機顔料、ポリスチレン、ナイロン、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン、塩化ビニル、各種エラストマー、廃プラスチック等の粒子化合物が挙げられる。
これらの充填剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常1〜1,000重量部、好ましくは10〜500重量部、より好ましくは50〜350重量部の範囲である。
その他の添加剤としては、例えば、難燃剤、着色剤、光安定剤、顔料、発泡剤、高分子改質剤などが挙げられる。難燃剤としては、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物などが挙げられる。着色剤としては、染料、顔料などが用いられる。染料の種類は多様であり、公知のものを適宜選択して使用すればよい。
これらのその他の添加剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、本発明の効果を損ねない範囲で適宜選択される。
本発明に使用される硬化性組成物は、上記成分を混合して得ることができる。混合方法としては、常法に従えばよく、例えば、前記重合触媒を適当な溶媒に溶解若しくは分散させた液(触媒液)を、シクロオレフィンモノマーに必要に応じてその他の添加剤を配合した液(モノマー液)に添加し、攪拌することによって調製することができる。
(強化繊維)
本発明においては、上記硬化性組成物がマトリックス樹脂層を構成し、強化繊維として多軸ステッチ基材を用いることを特徴とする。上記本発明に使用される硬化性組成物は、流れ性と強化繊維との馴染み性に優れるので、複雑形状の多軸ステッチ基材に均一含浸させることができる。
本発明に使用される多軸ステッチ基材としては、工業一般に用いられるものが格別な限定なく用いることができ、通常は、強化繊維糸が多数本一方向に揃えられて配列されてなるシートの複数枚が積層されステッチ糸で一体化されて形成されているものを用いることができる。具体的には、米国特許出願公開第2005/0059309号公報、特開2006−299426号公報、特開2007−160587号公報、特開2007−162151号公報、WO01−063033号公報などに開示される方法によって入手できる。
本発明に使用される多軸ステッチ基材を構成する強化繊維としては、格別な制限はないが、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維、アラミド繊維、超高分子ポリエチレン繊維、ポリアミド(ナイロン)繊維、液晶ポリエステル繊維などの有機繊維;ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、タングステン繊維、モリブデン繊維、ブデン繊維、チタン繊維、スチール繊維、ボロン繊維、シリコンカーバイド繊維、シリカ繊維などの無機繊維などを挙げることができる。これらの中でも、有機繊維、ガラス繊維、および炭素繊維が好ましく、炭素繊維がより好ましい。特に、炭素繊維は、シクロオレフィンモノマーを含む硬化性組成物との相溶性に優れ、且つ該硬化性組成物を均一に含浸させることで硬化性組成物の重合反応及び硬化反応を阻害せずに得られる繊維強化プラスチックの機械強度と耐衝撃性を高度に向上させることができ好適である。炭素繊維の種類としては、格別な限定はなく、例えば、アクリル系、ピッチ系、レーヨン系等の各種の従来公知の方法で製造される炭素繊維が使用でき、中でも、アクリル系炭素繊維(PAN系炭素繊維)が重合阻害を起こさず、機械強度と靭性等の特性を高度に高め好適である。
強化繊維の強度特性としては、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択される。引張強度としては、JIS R7601に従って測定されるストランド引張強度で、通常0.5〜50GPa、好ましくは1〜10GPa、より好ましくは2〜8GPaの範囲である。引張弾性率としては、JIS R7601に従って測定されるストランド引張弾性率で、通常100〜1,000GPa、好ましくは200〜800GPa、より好ましくは300〜700GPaの範囲である。伸びとしては、JIS R7601に従って測定されるストランド引張伸びで、通常0.1〜10%、好ましくは0.5〜5%、より好ましくは1〜3%の範囲である。強化繊維の強度特性がこれらの範囲にあるときに、外観性、機械強度、靭性の特性が高度にバランスされ好適である。
強化繊維の繊維束糸条として利用する場合のフィラメント数は、格別な限定はないが、繊維束糸条1本中のフィラメント数は、1,000〜100,000本、好ましくは2,000〜20,000本、より好ましくは5,000〜15,000の範囲である。
ステッチ糸としては、特に限定されず、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリビニルアルコール繊維などを用いることができ、特にポリアラミド繊維やポリエチレン繊維が、硬化性組成物との接着性がよく、伸度も大きいため好適である。ステッチ糸による積層シートの一体化は、通常、ステッチ糸を編機、ミシン等を用いてニードルにて縫合する、いわゆるステッチ・ボンディングにより行なわれている。多軸ステッチ基材の編組織としては、例えば、鎖編み、1/1トリコット編み、鎖編みと1/1トリコット編みとを複合した変則1/1トリコット編みなどが挙げられる。
本発明に使用される多軸ステッチ基材の積層枚数としては、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常2〜100枚、好ましくは3〜60枚、より好ましくは4〜12枚の範囲である。多軸ステッチ基材の積層枚数がこの範囲である時に、取扱性と硬化性組成物の含浸性とがバランスされ好適である。
本発明に使用される多軸ステッチ基材は、実質的に等方性であるときに機械強度が格段に高度化され好適である。例えば、等方性の多軸ステッチ基材は、通常、繊維糸の配列方向を0°、90°、±45°の交差角となるように積層する擬似等方積層方式で製造できる。
本発明に使用される多軸ステッチ基材を構成する各シートの強化繊維目付量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常50〜400g/m、好ましくは70〜300g/m、より好ましくは100〜200g/mの範囲である。強化繊維糸目付量が過度に少ないと、隣り合う強化繊維糸同士の間に隙間ができて機械的強度が充分でなるなる場合があり、また逆に、過度に目付量が多いと隣り合う強化繊維糸同士が重なる箇所ができるため厚くなり、硬化性組成物の含浸性を損ねる場合ある。
多軸ステッチ基材の繊維強化プラスチック(多軸ステッチ基材+硬化性組成物)中の割合は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%の範囲である。繊維強化プラスチック中の多軸ステッチ基材の割合がこの範囲にあるときに、機械強度と耐衝撃性の特性が高度にバランスされ好適である。
(繊維強化プラスチック)
本発明においては、前記硬化性組成物を上記多軸ステッチ基材に含浸させ、次いで硬化させることで機械強度と耐衝撃性に高度に優れる繊維強化プラスチックが製造できる。
硬化性組成物の多軸ステッチ基材への含浸は、例えば、硬化性組成物の所定量を、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スリットコート法等の公知の方法により強化繊維に塗布し、必要に応じてその上に保護フィルムを重ね、上側からローラーなどで押圧することにより行うことができる。
含浸を型内で行う場合は、型内に多軸ステッチ基材を設置し、該型内に硬化性組成物を注ぎ込み、次いで硬化を行う。ここで用いる型としては、従来公知の成形型、例えば、割型構造すなわちコア型とキャビティー型を有する成形型を用いることができ、それらの空隙部(キャビティー)に硬化性組成物を注入して硬化させる。コア型とキャビティー型は、多軸ステッチ基材の形状にあった空隙部を形成するように作製される。また、成形型の材質、大きさなどは特に制限されない。また、ガラス板や金属板などの板状成形型と所定の厚さのスペーサーとを用意し、スペーサーを2枚の板状成形型で挟んで形成される空間内に硬化性組成物を注入し、該型内で硬化を行うことができる。
硬化性組成物は従来のエポキシ樹脂等と比較して低粘度であり、多軸ステッチ基材に対する含浸性に優れるので、重合および硬化で得られる樹脂を多軸ステッチ基材に均一に含浸させることができる。
硬化性組成物の含浸後の硬化反応は、重合反応と架橋反応の二つの反応から成り立ち、重合反応と架橋反応を同時に行なってもよいし、あるいは、重合反応、架橋反応の順で行なってもよい。重合反応と架橋反応を同時に行なう場合には、硬化温度は、通常50〜300℃、好ましくは100〜250℃、より好ましくは120〜250℃の範囲であり、硬化時間は、0.1〜180分、好ましくは1〜120分、より好ましくは2〜20分の範囲である。
重合反応と架橋反応を別々に行なう場合には別々に条件設定をおこなう。重合温度としては、通常50〜250℃、好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜170℃の範囲であり、また、前記架橋剤がラジカル発生剤を用いる場合は、通常ラジカル発生剤の1分半減期温度以下、好ましくは10℃以下、より好ましくは20℃以下である。ここで1分間半減期温度は、ラジカル発生剤の半量が1分間で分解する温度である。重合時間は適宜選択すればよいが、通常、10秒間から20分間、好ましくは5分間以内である。
架橋温度は、前記架橋剤の架橋の起こる温度であり、ラジカル発生剤を用いた場合は、その1分半減期温度以上、好ましくは1分半減期温度より5℃以上高い温度、より好ましくは1分半減期温度より10℃以上高い温度であり、通常100〜300℃、好ましくは150〜250℃の範囲である。また、架橋時間は、0.1〜180分、好ましくは1〜120分、より好ましくは2〜20分の範囲である。
かくして得られる本発明の繊維強化プラスチックは、機械強度と外観に優れるので、例えば、OAやAV機器、自動車や鉄道などの車両用構造体材、航空機内装部品などをはじめとして、ゴルフシャフトや釣竿等のスポーツ用途、その他一般産業用途に好適に用いられる。具体的の用途としては、例えば、釣竿、ゴルフクラブ用シャフト、テニスラケット、スキーストック等のスポーツ用途;ディスプレー、FDDキャリッジ、シャーシ、HDD、MO、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、ノートパソコン、携帯電話、デジタルスチルカメラ、PDA、ポータブルMD、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどの電気・電子機器;電話、ファクシミリ、VTR、コピー機、テレビ、アイロン、ヘアドライヤー、炊飯器、電子レンジ、音響機器、掃除機、トイレタリー用品、レザーディスク、コンパクトディスク、照明、冷蔵庫、エアコン、タイプライター、ワードプロセッサーなどのオフィスオートメーション機器および家電機器;アンダーカバー、スカッフプレート、ピラートリム、プロペラシャフト、ドライブシャフト、ホイール、ホイールカバー、フェンダー、ドアミラー、ルームミラー、フェシャー、バンパー、バンパービーム、ボンネット、トランクフード、エアロパーツ、プラットフォーム、カウルルーバー、ルーフ、インストルメントパネル、スピラーおよび各種モジュールなどの自動車部品;ランディングギアポッド、ウイングレッド、スポイラー、エッジ、ラダー、フェイリングなどの航空機部品およびパネルなどの建材などが挙げられる。これらの中でも、自動車や航空機などの乗物用部材として特に好適である。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における部および%は、特に断りのない限り重量基準である。
実施例および比較例における各特性は、下記の方法に従い測定、評価した。
(1)樹脂含浸性:成形品のX線解析をX線非破壊解析装置(松定プレシジョン社製)を用いて行い、下記基準で判断した。
◎:空洞部が殆ど見られない
△:空洞が僅かに見られる。
×:中程度以上に空洞が見られる
(2)外観:積層体を目視で観察し、下記基準で判断した。
◎:粉落ち、形状崩れ、泡立ちのいずれも全く認められない
○:粉落ち、形状崩れ、泡立ちのいずれも殆ど認められない
△:粉落ち、形状崩れ、泡立ちのいずれかが認められる
×:粉落ち、形状崩れ、泡立ちの全てが認められるか、いずれか一つだけでも程度が酷いもの
製造例1(硬化性組成物Aの調製)
ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド51部と、トリフェニルホスフィン79部とを、トルエン952部に溶解させて触媒液を調製した。これとは別に、シクロオレフィンモノマーとして、ジシクロペンタジエン(DCP)を100部入れ、ここに架橋剤としてジ−t−ブチルペルオキシド(1分間半減期温度186℃)を1.2部、フェノール系老化防止剤として3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール1.0部、連鎖移動剤としてアリルメタクリレートを0.74部を加えた後、上記触媒液をシクロオレフィンモノマー100gあたり0.12mlの割合で加えて撹拌し硬化性組成物Aを調製した。
実施例1
強化繊維糸条が基材の長手方向に対して上層から順に−45°/0°/+45°/90°/90°/+45°/0°/−45°となるように配列し、ステッチ糸で縫合一体化した多軸ステッチ基材を作製した。なお、強化繊維糸としては、引張強度4,900MPa、引張弾性率230GPa、フィラメント数12,000本のPAN系炭素繊維を用い、ステッチ糸としては、24本フィラメントからなる56dtexのポリエステル糸を用いた。編組織としては、ステッチ長2.3mm、ゲージ長5mmの1×1変則トリコット編とした。また、多軸ステッチ基材を構成する強化繊維糸条の各シートの目付は150g/mとした。
次いで、金型内に上記多軸ステッチ基材を設置した後に先に調製した硬化性組成物を含浸させ、次いで200℃のオーブンで15分間硬化させ繊維強化プラスチックを得た。型から取り出した繊維強化プラスチックの各特性を評価し、その結果を表1に示した。
Figure 2011068701
実施例2
強化繊維糸が基材の長手方向に対して上層から順に−45°/0°となるように配列し、ステッチ糸(5本フィラメントからなるナイロン糸)で縫合一体にした2軸ステッチ基材を作製した。同様に、+45°/90°、90°/+45°、0°/−45°となるように強化繊維糸条を配列した、2軸ステッチ基材をそれぞれ作製した。なお、強化繊維糸としては、引張強度4,900MPa、引張弾性率230GPa、フィラメント数12,000本のPAN系炭素繊維を用い、ステッチ糸としては、5本フィラメントからなるナイロン糸を用いた。編組織としては、ステッチ長2.3mm、ゲージ長5mmの1×1変則トリコット編とした。また、2軸ステッチ基材を構成す津強化繊維糸条の各シートの目付は150g/mとした。
次に、これら2種の2軸ステッチ基材を強化繊維糸条が上層から順に(−45°/0°)/(+45°/90°/)/(90°/+45°)/(0°/−45°)となるように積層し、さらにステッチ糸にて縫合一体化して多軸ステッチ基材を作製した。尚、ステッチは、ステッチ長5mm、ゲージ長5mmの1×1変則トリコット編にて行なった。
次いで、金型内に上記多軸ステッチ基材を設置した後に先に調製した硬化性組成物を含浸させ、次いで200℃のオーブンで15分間硬化させ繊維強化プラスチックを得た。型から取り出した繊維強化プラスチックの各特性を評価し、その結果を表1に示した。
比較例1
エピコート828(油化シェル社製、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂)100部、カヤハードMCD(日本火薬社製、メチルナジック酸無水物)90部、及びベンジルジメチルアミン2部を加えたエポキシ樹脂組成物を調製した。
硬化性組成物を上記エポキシ樹脂組成物に変えた以外は実施例1と同様に行い、得られた繊維強化プラスチックの各特性を評価し、その結果を表1に示した。
以上の結果から明らかなように、本願発明の製造方法によれば、樹脂含浸性および外観に優れる繊維強化プラスチックが得られることが分かる(実施例1,2)。

Claims (3)

  1. シクロオレフィンモノマー、重合触媒及び架橋剤を含んでなる硬化性組成物を多軸ステッチ基材に含浸させ、次いで硬化させることを特徴とする繊維強化プラスチックの製造方法。
  2. 前記多軸ステッチ基材が、炭素繊維からなるものである請求項1記載の製造方法。
  3. 前記重合触媒が、ヘテロ環構造を含有する化合物を配位子として有するルテニウム触媒である請求項1または2記載の製造方法。
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