JP2009191087A - プリプレグ、その製造方法、ならびに繊維強化複合材料及び繊維強化複合材料積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 難燃性、外観性、機械的強度に優れた繊維強化複合材料を製造することができ、且つ含浸性と操作性に優れるプリプレグ、このプリプレグの製造方法、及び該プリプレグを用いた繊維強化複合材料を提供する。
【解決手段】 シクロオレフィンポリマー、架橋剤、及び難燃剤を含んでなる硬化性樹脂組成物をアクリル系炭素繊維に含浸してなるプリプレグであって、シクロオレフィンポリマー100重量部に対する難燃剤の配合量が40〜250重量部であることを特徴とするプリプレグを用いる。該プリプレグは、シクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、及び難燃剤を含んでなる重合性組成物をアクリル系炭素繊維に含浸し、重合することにより製造される。
【選択図】 なし
【解決手段】 シクロオレフィンポリマー、架橋剤、及び難燃剤を含んでなる硬化性樹脂組成物をアクリル系炭素繊維に含浸してなるプリプレグであって、シクロオレフィンポリマー100重量部に対する難燃剤の配合量が40〜250重量部であることを特徴とするプリプレグを用いる。該プリプレグは、シクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、及び難燃剤を含んでなる重合性組成物をアクリル系炭素繊維に含浸し、重合することにより製造される。
【選択図】 なし
Description
本発明は、スポーツ用途、自動車や航空機などの乗用車構造体用途、一般産業用途に適した難燃性、外観性、機械的強度に優れる繊維強化複合材料を製造することができ、且つ含浸性と操作性に優れるプリプレグ、このプリプレグの製造方法、及び該プリプレグを用いた繊維強化複合材料に関する。
炭素繊維とマトリックス樹脂からなる炭素繊維強化複合材料は、その力学的特性が優れていることから、ゴルフクラブ、テニスラケット、釣竿などのスポーツ用途から自動車や航空機などの乗物用構造体用途、一般産業用途までの幅広い用途で用いられている。この中で、特に自動車や航空機などの構造材料、建築材料などにおいては、火災によって構造材料が着火燃焼し、有毒ガスなどが発生するため、材料に難燃性を有することが強く求められている。
例えば、特許文献1では、ノルボルネン系モノマー、重合触媒を含んでなる樹脂組成物をアクリル系炭素繊維に含浸してなるプリプレグが開示され、充填材として水酸化アルミニウムを用いた場合に得られる複合材料に難燃性を付与できることが記載されている。しかし、本法で得られるプリプレグは、多量な未反応モノマーが存在するためべた付きの多い状態で取り扱わなければならない問題や保存時に物性が時間とともに変化する問題があった。また得られる管状体は多数のボイドが発生しており、機械的強度が低下するなどの問題があった。
また、特許文献2では、芳香環を有するシクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、および難燃剤を含んでなる重合性組成物を繊維強化材に含浸してなるプリプレグが開示されている。さらに、難燃剤の添加量はシクロオレフィンモノマー100重量部に対して10〜1000重量部であると記載されている。この方法で得られる成形体は難燃性に優れているものの、機械的特性は十分ではなく、難燃性と機械的特性を両立させることが困難であった。
本発明の目的は、難燃性、外観性、機械的強度に優れた繊維強化複合材料を製造することができ、且つ含浸性と操作性に優れるプリプレグ、このプリプレグの製造方法、及び該プリプレグを用いた繊維強化複合材料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討の結果、シクロオレフィンモノマー、ルテニウム触媒等の重合触媒、架橋剤、及び難燃剤を含んでなる重合性組成物は、特定の炭素繊維を用い、且つ特定の難燃剤を特定量用いることにより含浸性と操作性に優れるプリプレグを与えることを見出した。そして、該プリプレグを硬化して得られる繊維強化複合材料は難燃性、外観、機械的強度に優れていることを見出した。また、シクロオレフィンポリマー、架橋剤、及び難燃剤を含んでなる硬化性樹脂組成物に架橋助剤を配合することにより、該硬化性樹脂組成物が含浸されてなるプリプレグを硬化して得られる積層体の積層性及び機械的強度が高度にバランスされることを見出した。
また、難燃剤として、金属水酸化物難燃剤、金属酸化物難燃剤、燐含有難燃剤等のハロゲンを含まない難燃剤を用いると、さらに含浸性に優れ、上記の特性がバランスされることを見出した。
さらに、重合触媒としてヘテロ環構造を有するルテニウム系触媒を用いると、機械的強度、耐熱性、耐薬品性等の特性が更に優れた繊維強化複合材料が得られることを見出した。本発明者らは、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至ったものである。
かくして本発明によれば、シクロオレフィンポリマー、架橋剤、及び難燃剤を含んでなる硬化性樹脂組成物をアクリル系炭素繊維に含浸してなるプリプレグであって、シクロオレフィンポリマー100重量部に対する難燃剤の配合量が40〜250重量部であることを特徴とするプリプレグが提供される。
前記硬化性樹脂組成物は、架橋助剤を含むことが好ましい。
前記難燃剤は、ハロゲンを含まない難燃剤であることが好ましい。
前記硬化性樹脂組成物は、架橋助剤を含むことが好ましい。
前記難燃剤は、ハロゲンを含まない難燃剤であることが好ましい。
また本発明によれば、シクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、及び難燃剤を含んでなる重合性組成物をアクリル系炭素繊維に含浸し、重合することを特徴とするプリプレグの製造方法が提供される。
前記重合触媒は、ヘテロ環構造を有する化合物を配位子として有するルテニウム触媒であることが好ましい。
前記重合触媒は、ヘテロ環構造を有する化合物を配位子として有するルテニウム触媒であることが好ましい。
さらに本発明によれば、上記のプリプレグを硬化してなる繊維強化複合材料、および該プリプレグを、該プリプレグ同士または他材料と積層した後に硬化してなる積層体が提供される。
本発明によれば、難燃性、外観、機械的強度に優れる繊維強化樹脂複合材料及びそれを与える含浸性と操作性の優れたプリプレグを容易に製造することができる。また、本発明の繊維強化樹脂複合材料は、難燃性、外観、機械的強度に優れるため、自動車や航空機などの乗物用部材、及びスポーツ、土木、建築などの分野において好適に使用することができる。
(シクロオレフィンポリマー)
本発明に使用されるシクロオレフィンポリマーとしては、格別な限定はなく、公知シクロオレフィンモノマーの重合体を用いることができる。シクロオレフィンモノマーは、炭素原子で形成される環構造を有し、該環中に炭素−炭素二重結合を有する化合物である。その例として、ノルボルネン系モノマーおよび単環シクロオレフィンなどが挙げられ、ノルボルネン系モノマーが好ましい。ノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環を含むモノマーである。ノルボルネン系モノマーとしては、格別な限定はないが、例えば、2−ノルボルネン、ノルボルナジエンなどの二環体、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエンなどの三環体、テトラシクロドデセン、エチリデンテトラシクロドデセン、フニルテトラシクロドデセンなどの四環体、トリシクロペンタジエンなどの五環体、テトラシクロペンタジエンなどの七環体、及びこれらのアルキル置換体(メチル、エチル、プロピル、ブチル置換体など)、アルキリデン置換体(例えば、エチリデン置換体)、アリール置換体(例えば、フェニル、トリル置換体)、並びにエポキシ基、メタクリル基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、シアノ基、ハロゲン基、エーテル基、エステル結合含有基などの極性基を有する誘導体などが挙げられる。
本発明に使用されるシクロオレフィンポリマーとしては、格別な限定はなく、公知シクロオレフィンモノマーの重合体を用いることができる。シクロオレフィンモノマーは、炭素原子で形成される環構造を有し、該環中に炭素−炭素二重結合を有する化合物である。その例として、ノルボルネン系モノマーおよび単環シクロオレフィンなどが挙げられ、ノルボルネン系モノマーが好ましい。ノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環を含むモノマーである。ノルボルネン系モノマーとしては、格別な限定はないが、例えば、2−ノルボルネン、ノルボルナジエンなどの二環体、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエンなどの三環体、テトラシクロドデセン、エチリデンテトラシクロドデセン、フニルテトラシクロドデセンなどの四環体、トリシクロペンタジエンなどの五環体、テトラシクロペンタジエンなどの七環体、及びこれらのアルキル置換体(メチル、エチル、プロピル、ブチル置換体など)、アルキリデン置換体(例えば、エチリデン置換体)、アリール置換体(例えば、フェニル、トリル置換体)、並びにエポキシ基、メタクリル基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、シアノ基、ハロゲン基、エーテル基、エステル結合含有基などの極性基を有する誘導体などが挙げられる。
単環シクロオレフィンとしては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン、1,5−シクロオクタジエンなどの単環シクロオレフィン及び置換基を有するそれらの誘導体が挙げられる。これらのシクロオレフィンモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
シクロオレフィンポリマーの分子量は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜100,000の範囲である。
(架橋剤)
本発明に使用される架橋剤としては、シクロオレフィンポリマーを架橋させるものであれば格別な制限はないが、通常ラジカル発生剤が用いられる。ラジカル発生剤としては、有機過酸化物、ジアゾ化合物および非極性ラジカル発生剤などが挙げられ、好ましくは有機過酸化物や非極性ラジカル発生剤である。
本発明に使用される架橋剤としては、シクロオレフィンポリマーを架橋させるものであれば格別な制限はないが、通常ラジカル発生剤が用いられる。ラジカル発生剤としては、有機過酸化物、ジアゾ化合物および非極性ラジカル発生剤などが挙げられ、好ましくは有機過酸化物や非極性ラジカル発生剤である。
有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類;ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンなどのジアルキルペルオキシド類;ジプロピオニルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどのペルオキシケタール類;t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエートなどのペルオキシエステル類;t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、ジ(イソプロピルペルオキシ)ジカルボナートなどのペルオキシカルボナート類;t−ブチルトリメチルシリルペルオキシドなどのアルキルシリルペルオキシド類;などが挙げられる。中でも、後述する重合反応に対する障害が少ない点で、ジアルキルペルオキシドおよびペルオキシケタール類が好ましい。
ジアゾ化合物としては、例えば、4,4’−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノンなどが挙げられる。
非極性ラジカル発生剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、1,1,2−トリフェニルエタン、1,1,1−トリフェニル−2−フェニルエタンなどが挙げられる。ここで1分間半減期温度は、ラジカル発生剤の半量が1分間で分解する温度である。例えば、ジ−t−ブチルペルオキシドでは186℃、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシンでは194℃である。
本発明に使用される架橋剤がラジカル発生剤の場合の1分半減期温度は、ラジカル発生剤の種類及び使用条件により適宜選択されるが、通常、100〜300℃、好ましくは150〜250℃、より好ましくは160〜230℃の範囲である。
これらの架橋剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋剤の使用量は、シクロオレフィンポリマー100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。
(架橋助剤)
本発明においては、硬化性樹脂組成物に架橋助剤を配合すると、得られる積層体の積層性及び機械的強度を高度にバランスでき好適である。
本発明においては、硬化性樹脂組成物に架橋助剤を配合すると、得られる積層体の積層性及び機械的強度を高度にバランスでき好適である。
本発明に使用される架橋助剤の構造は、格別な限定はないが、対称性の高い構造を有する化合物であるときに硬化性樹脂組成物の炭素繊維への含浸性を高度に改善でき好適である。特に、架橋助剤が、炭化水素で、対称性の高い構造を有するものであるときに硬化性樹脂組成物の炭素繊維への含浸性、及び得られる繊維強化複合材料の機械的強度、耐熱性を高度に改善でき好適である。
かかる架橋助剤の具体例としては、p−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、o−ジイソプロペニルベンゼンなどの2官能架橋助剤、トリイソプロペニルベンゼン、トリメタアリルイソシアネートなどの3官能架橋助剤等が挙げられる。中でも、トリイソプロペニルベンゼン、p−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、o−ジイソプロペニルベンゼンが好ましく、m−ジイソプロペニルベンゼンがより好ましい。これらの架橋助剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。硬化助剤の使用量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、共役ジエン系ポリマー100重量部に対し、通常0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部、さらに好ましくは1〜20重量部、最も好ましくは5〜15重量部である。
(難燃剤)
本発明に使用される難燃剤としては、格別な限定はなく、ハロゲンを含む難燃剤でも、ハロゲンを含まない難燃剤でも用いることができるが、シクロオレフィンポリマー、架橋剤、及び難燃剤を含んでなる硬化性樹脂組成物においては、ハロゲンを含まない難燃剤を用いることが好ましい。
本発明に使用される難燃剤としては、格別な限定はなく、ハロゲンを含む難燃剤でも、ハロゲンを含まない難燃剤でも用いることができるが、シクロオレフィンポリマー、架橋剤、及び難燃剤を含んでなる硬化性樹脂組成物においては、ハロゲンを含まない難燃剤を用いることが好ましい。
ハロゲンを含む難燃剤としては、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフェニルオキシド、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、テトラブロモビスフェノールS、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニルプロパン)、ペンタブロモトルエン、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、含ハロゲン縮合燐酸エステルなどのハロゲン含有有機低分子化合物;ハロゲン含有量が40〜70重量%のハロゲン化パラフィン類;ハロゲン化エラストマー;塩素化ポリスチレン、ヨウ化ポリスチレンなどのハロゲン化ポリスチレン;ハロゲン含有量が50重量%以上の高塩素化ポリエチレン、高塩素化ポリプロピレン、クロロスルホン化ポリエチレンなどのハロゲン化ポリオレフィン;塩素化ポリ塩化ビニルなどのハロゲン化ポリ塩化ビニル;などが例示される。
ハロゲンを含まない難燃剤としては、金属水酸化物難燃剤、金属酸化物難燃剤、燐含有難燃剤、窒素含有難燃剤、燐及び窒素双方を含有する難燃剤等が挙げられ、好ましくは、金属水酸化物難燃剤および金属酸化物難燃剤である。
金属水酸化物難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらは、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、または脂肪酸(ステアリン酸等)で表面処理して使用しても良い。
金属酸化物難燃剤としては、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等が挙げられる。
燐含有難燃剤としては、赤燐、燐酸エステル等が挙げられる。赤燐は、マイクロカプセル化や、シランカップリング剤で表面処理して使用しても良い。燐酸エステルとしては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジクレジル)ホスフェートなどが挙げられるが、好ましくは、トリクレジルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジクレジル)ホスフェートなどの比較的分子量の大きい3級燐酸エステルである。
窒素含有難燃剤としては、たとえば、メラミン誘導体類、グアニジン類、イソシアヌル酸などが挙げられるが、好ましくはメラミン誘導体類である。メラミン誘導体類としては、たとえば、メラミン、メラミン樹脂、メラム、メレム、メラミンシアヌレート、サクシノグアナミン、エチレンジメラミン、トリグアナミン、硫酸メラミン、硫酸グアニルメラミン、硫酸メラム、硫酸メレムなどが挙げられるが、好ましくは硫酸メラミンである。グアニジン類としては、たとえば、硝酸グアニジン、炭酸グアニジン、スルファミン酸グアニジン、硝酸アミノグアニジン、重炭酸アミノグアニジンなどが挙げられるが、好ましくは硝酸グアニジンである。
燐及び窒素双方を含有する難燃剤としては、たとえば、ポリ燐酸アンモニウム、燐酸メラミン、ポリ燐酸メラミン、ポリ燐酸メラム、燐酸グアニジン、フォスファゼン類などが挙げられるが、好ましくはポリ燐酸アンモニウム、ポリ燐酸メラミン、ポリ燐酸メラムである。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。本発明で使用可能なフォスファゼン類としては、たとえば、プロポキシフォスファゼン、フェノキシフォスファゼン、アミノフォスファゼン、ジプロポキシフォスファゼン、ポリフォスファゼンなどが挙げられる。
その他のハロゲンを含まない難燃剤としては、シリコーンパウダー、ヒュームドシリカ、錫酸亜鉛、ヒドロキシ錫酸亜鉛、硼酸亜鉛、HALS等が挙げられる。
これらのハロゲンを含まない難燃剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常40〜250重量部、好ましくは50〜200重量部、より好ましくは60重量部〜180重量部である。難燃剤の配合量が少なすぎると、難燃性が悪くなり、逆に配合量が多すぎると、得られる繊維強化複合材料の機械的強度が低下する問題がある。
(その他の配合剤)
その他の配合剤としては、エラストマー材料、充填剤、着色剤、光安定剤、顔料、発泡剤、高分子改質剤などを挙げることができる。
その他の配合剤としては、エラストマー材料、充填剤、着色剤、光安定剤、顔料、発泡剤、高分子改質剤などを挙げることができる。
エラストマー材料としては、例えば、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、クロロプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びこれらの水素添加物が挙げられる。これらのエラストマー材料は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。その配合量は、シクロオレフィンポリマー100重量部に対して、通常0.1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは3〜30重量部の範囲である。エラストマー材料がこの範囲であるときに得られる繊維強化複合材料の靭性を高度に向上させることができ好適である。
充填剤としては、工業的に一般に使用されるものであれば格別な限定はなく、無機充填剤および有機充填剤のいずれも用いることができるが、好適には無機充填剤である。無機充填剤としては、例えば、鉄、銅、ニッケル、金、銀、アルミニウム、鉛、タングステン等の金属粒子;カーボンブラック、グラファイト、活性炭、炭素バルーン等の炭素粒子;シリカ、シリカバルーン、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化すず、酸化アンチモン、酸化ベリリウム、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等の無機酸化物粒子;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム等の無機炭酸塩粒子;硫酸カルシウム等の無機硫酸塩粒子;タルク、クレー、マイカ、カオリン、フライアッシュ、モンモリロナイト、ケイ酸カルシウム、ガラス、ガラスバルーン等の無機ケイ酸塩粒子;チタン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸鉛等のチタン酸塩粒子、窒化アルミニウム、炭化ケイ素粒子やウィスカー等が挙げられる。有機充填剤としては、例えば、木粉、デンプン、有機顔料、ポリスチレン、ナイロン、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン、塩化ビニル、各種エラストマー、廃プラスチック等の粒子化合物が挙げられる。
これらの充填剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、シクロオレフィンポリマー100重量部に対して、通常1〜1,000重量部、好ましくは10〜500重量部、より好ましくは50〜350重量部の範囲である。充填剤がこの範囲にあるときに機械的強度、耐熱性、耐薬品性等の特性を格段に向上させることができ好適である。
着色剤としては、染料、顔料などが用いられる。染料の種類は多様であり、公知のものを適宜選択して使用すればよい。これらのその他の添加剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、本発明の効果を損ねない範囲で適宜選択される。
(炭素繊維)
本発明に使用される炭素繊維としては、アクリル系炭素繊維(PAN系炭素繊維)を用いることを特徴とする。アクリル系炭素繊維はピッチ系炭素繊維よりも親和性が良いため、これを用いることにより空隙がなく、含浸性が良いプリプレグが得られ、該プリプレグを硬化して得られる繊維強化複合材料は、ボイドが少なく、機械的強度に優れるので好適である。
本発明に使用される炭素繊維としては、アクリル系炭素繊維(PAN系炭素繊維)を用いることを特徴とする。アクリル系炭素繊維はピッチ系炭素繊維よりも親和性が良いため、これを用いることにより空隙がなく、含浸性が良いプリプレグが得られ、該プリプレグを硬化して得られる繊維強化複合材料は、ボイドが少なく、機械的強度に優れるので好適である。
アクリル系炭素繊維は、アクリル繊維(ポリアクリロニトリル繊維)を原料として製造される炭素繊維である。本発明に使用されるアクリル系炭素繊維の強度特性は、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択される。引張強度としては、JIS R7601に従って測定されるストランド引張強度で、通常0.5〜、50GPa、好ましくは1〜10GPa、より好ましくは2〜8GPaの範囲である。引張弾性率としては、JIS R7601に従って測定されるストランド引張弾性率で、通常100〜1,000GPa、好ましくは200〜800GPa、より好ましくは300〜700GPaの範囲である。伸びとしては、JIS R7601に従って測定されるストランド引張伸びで、通常0.1〜10%、好ましくは0.5〜5%、より好ましくは1〜3%の範囲である。炭素繊維の強度特性がこれらの範囲にあるときに、機械強度と靭性が高度にバランスされ好適である。
本発明に使用されるアクリル系炭素繊維の断面形状は、格別な限定はないが、実質的に円形であるものが好ましい。断面形状が円形であると、樹脂を含浸させる際、フィラメントの再配列が起こりやすくなり、繊維間への樹脂の浸み込みが容易になるからである。さらに、繊維束の厚みを薄くすることが可能となるため、ドレープ製に優れたプリプレグを得やすい利点がある。なお、断面形状が実質的に円形であるとは、その断面の外接円半径Rと内接円半径rとの比(R/r)を変形度として定義した場合に、この変形度が1.1以下であるものを意味する。
本発明に使用されるアクリル系炭素繊維の長さは、格別な限定無く使用目的に応じて適宜選択され、短繊維、長繊維のいずれをも用いることができるが、より高い機械強度と強靭性を得たい場合は、繊維の長さが1cm以上、好ましくは2cm以上、より好ましくは3cm以上、もっとも好ましくは連続繊維とするのがよい。
本発明に使用されるアクリル系炭素繊維の形態は、特に限定されず、織物、不織布、マット、ニット、組み紐、一方向ストランド、ロービング、チョップド等から適宜選択できる。これらの中でも、強靭性と耐衝撃性がより高い水準にある繊維強化樹脂を得るためには、繊維が織物、一方向ストランド、ロービング等連続繊維の形態であるのが良い。織物形態としては、従来公知のものが利用でき、例えば、平織、繻子織、綾織、3軸織物などの繊維が交錯する織り構造の全てが利用できる。また、織物形態としては、2次元だけでなく、織物の厚み方向に繊維が補強されているステッチ織物、3次元織物等も利用できる。
本発明に使用されるアクリル系炭素繊維は、織物等で使用する場合は繊維束糸条として利用する。その場合の繊維束糸条1本中のフィラメント数は、格別な限定はないが、1,000〜100,000本、好ましくは2,000〜20,000本、より好ましくは5,000〜15,000の範囲である。
これらのアクリル系炭素繊維は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、得られるプリプレグ中のアクリル系炭素繊維含有量が、通常10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%の範囲になるように選択される。
(プリプレグ)
本発明のプリプレグの製造方法としては、格別な限定はなく、例えば、シクロオレフィンポリマー、架橋剤、及び難燃剤を溶媒に溶解して低粘度化し炭素繊維に含浸させた後に脱溶媒させるウェット法、リリースペーパー上にシクロオレフィンポリマーをコーティングし、その上に炭素繊維を引き揃え、加熱溶解した樹脂をロールあるいはドクターブレード等で加圧含浸させ、その後、放冷するホットメルト法(ドライ法)などが挙げられるが、上記揮発成分が少なく、操作性や安定性に優れるプリプレグを製造するためには、シクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、及び難燃剤を含有する重合性組成物をアクリル系炭素繊維存在下に重合する直接重合法が好適である。
本発明のプリプレグの製造方法としては、格別な限定はなく、例えば、シクロオレフィンポリマー、架橋剤、及び難燃剤を溶媒に溶解して低粘度化し炭素繊維に含浸させた後に脱溶媒させるウェット法、リリースペーパー上にシクロオレフィンポリマーをコーティングし、その上に炭素繊維を引き揃え、加熱溶解した樹脂をロールあるいはドクターブレード等で加圧含浸させ、その後、放冷するホットメルト法(ドライ法)などが挙げられるが、上記揮発成分が少なく、操作性や安定性に優れるプリプレグを製造するためには、シクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、及び難燃剤を含有する重合性組成物をアクリル系炭素繊維存在下に重合する直接重合法が好適である。
本発明に使用される重合性組成物は、シクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、及び難燃剤を必須成分として、必要に応じて、重合調整剤、連鎖移動剤、老化防止剤及びその他の配合剤などを添加できる。シクロオレフィンモノマー、架橋剤、その他の配合剤は、前記記載と同様のものが用いられる。
重合触媒としては、シクロオレフィンモノマーを重合できる公知のものを使用することができ、通常はメタセシス重合触媒が用いられる。メタセシス重合触媒は、シクロオレフィンモノマーをメタセシス開環重合させるものであり、通常遷移金属原子を中心原子として、複数のイオン、原子、多原子イオン及び/又は化合物が結合してなる錯体が挙げられる。遷移金属原子としては、5族、6族及び8族(長周期型周期表、以下同じ)の原子が使用される。それぞれの族の原子は特に限定されないが、5族の原子としては例えばタンタルが挙げられ、6族の原子としては、例えばモリブデンやタングステンが挙げられ、8族の原子としては、例えばルテニウムやオスミウムが挙げられる。これらの中でも、8族のルテニウムやオスミウムの錯体をメタセシス重合触媒として用いることが好ましく、ルテニウムカルベン錯体が特に好ましい。ルテニウムカルベン錯体は、塊状重合時の触媒活性が優れるため、後架橋可能な熱可塑性樹脂の生産性に優れ、得られる熱可塑性樹脂の臭気(未反応のモノマーに由来する)が少なく生産性に優れる。また、酸素や空気中の水分に対して比較的安定であって、失活しにくいので、大気下でも生産が可能である。
重合触媒としては、また、ヘテロ環構造を有する化合物を配位子として有するルテニウム触媒がアクリル系炭素繊維との相性がよく、硬化して得られる繊維強化複合体の外観、強度、耐熱、耐薬品等の特性を高度にバランスさせることができ好適である。ヘテロ環構造を構成するヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子等が挙げられ、好ましくは窒素原子である。また、ヘテロ環構造としては、イミダゾリンやイミダゾリジン構造が好ましい。
かかるヘテロ環構造を有する化合物を配位子として有するルテニウム触媒の具体例としては、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−オクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン[1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジイソプロピルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ピリジンルテニウムジクロリドなどの、配位子としてヘテロ環構造を有する化合物と中性の電子供与性化合物とを有するルテニウム錯体化合物が挙げられる。
これらの重合触媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。メタセシス重合触媒の使用量は、(触媒中の金属原子:シクロオレフィンモノマー)のモル比で、通常1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:5,000〜1:1,000,000、より好ましくは1:10,000〜1:500,000の範囲である。
重合調整剤(共触媒)は、重合活性を制御したり、重合反応率を向上させる目的で配合される。重合調整剤の具体例としては、トリアルコキシアルミニウム、トリフェノキシアルミニウム、ジアルコキシアルキルアルミニウム、アルコキシジアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウム、ジアルコキシアルミニウムクロリド、アルコキシアルキルアルミニウムクロリド、ジアルキルアルミニウムクロリド、トリアルコキシスカンジウム、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシスズ、テトラアルコキシジルコニウムなどが挙げられる。重合調整剤の使用量は、(重合触媒中の金属原子:重合調整剤)のモル比で、通常1:0.05〜1:100、好ましくは1:0.2〜1:20、より好ましくは1:0.5〜1:10の範囲である。
連鎖移動剤としては、例えば、置換基を有していてもよい鎖状のオレフィン類を用いることができる。その具体例としては、例えば、1−ヘキセン、2−ヘキセンなどの脂肪族オレフィン類;スチレン、ジビニルベンゼン、スチルベンなどの芳香族基を有するオレフィン類;ビニルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素基を有するオレフィン類;エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;メチルビニルケトン、1,5−ヘキサジエン−3−オン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン−3−オン、メタクリル酸ビニル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸3−ブテン−1−イル、メタクリル酸3−ブテン−2−イル、メタクリル酸スチリル、アクリル酸アリル、アクリル酸3−ブテン−1−イル、アクリル酸3−ブテン−2−イル、アクリル酸1−メチル−3−ブテン−2−イル、アクリル酸スチリル、エチレングリコールジアクリレート、アリルトリビニルシラン、アリルメチルジビニルシラン、アリルジメチルビニルシラン、アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、アリルアミン、2−(ジエチルアミノ)エタノールビニルエーテル、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、4−ビニルアニリンなどが挙げられる。
これらの連鎖移動剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができ、その添加量は、シクロオレフィンモノマー全体に対して、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。連鎖移動剤の配合量がこの範囲であるときに、重合反応率が高く、しかも後架橋可能な硬化性樹脂組成物を効率よく得ることができる。連鎖移動剤の配合量が少なすぎると、重合と架橋が同時に進行する場合がある。逆に添加量が多すぎると、後架橋が困難になる場合がある。
老化防止剤としては、フェノール系老化防止剤、アミン系老化防止剤、リン系老化防止剤及びイオウ系老化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の老化防止剤が、重合反応を阻害しないで、得られる繊維強化樹脂の耐酸化劣化性を高度に向上させることができ好適である。これらの中でも、フェノール系老化防止剤とアミン系老化防止剤が好ましく、フェノール系老化防止剤が特に好ましい。
フェノール系老化防止剤としては、一般の樹脂工業で通常使用される物であれば格別な限定はなく、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニルプロピオネート)メタン[すなわち、ペンタエリスリメチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)]、6−(4−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
アミン系老化防止剤としては、一般の樹脂工業で通常使用される物であれば格別な限定はなく、例えば、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−3,5−ジ−tブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸−ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)などが挙げられる。
リン系老化防止剤としては、一般の樹脂工業で通常使用される物であれば格別な限定はなく、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(イソデシルホスファイト)、などが挙げられる。
イオウ系老化防止剤は、例えば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどを挙げられる。
これらの老化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。老化防止剤の使用量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常0.0001〜10重量部、好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは0.01〜1重量部の範囲である。
本発明に使用される重合性組成物は、重合反応遅延剤を含有していると、その粘度増加を抑制でき、容易にアクリル系炭素繊維に均一に重合性組成物を含浸できるので、好ましい。重合反応遅延剤としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、ジシクロヘキシルホスフィン、ビニルジフェニルホスフィン、アリルジフェニルホスフィン、トリアリルホスフィン、スチリルジフェニルホスフィンなどのホスフィン化合物;アニリン、ピリジンなどのルイス塩基;等を用いることができる。
本発明に使用される重合性組成物は、上記成分を混合して得ることができる。混合方法としては、常法に従えばよく、例えば、重合触媒を適当な溶媒に溶解若しくは分散させた液(触媒液)をシクロオレフィンモノマーに必要に応じてその他の添加剤を配合した液(モノマー液)に添加し、攪拌することによって調製することができる。
本発明のプリプレグは、上記重合性組成物をアクリル系炭素繊維に含浸し、重合することにより容易に得ることができる。
重合方法は特に限定されないが、塊状重合が好ましい。塊状重合により、種々の形状の繊維強化樹脂(プリプレグ)を得ることができる。具体的には、アクリル系炭素繊維が織物である場合には、アクリル系炭素繊維に重合性組成物を含浸し、次いで塊状重合を行う方法が挙げられる。アクリル系炭素繊維への重合性組成物の含浸は、支持体上または型内で行うことが好ましい。
重合性組成物のアクリル系炭素繊維への含浸は、例えば、重合性組成物の所定量を、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スリットコート法等の公知の方法によりアクリル系炭素繊維に塗布し、必要に応じてその上に保護フィルムを重ね、上側からローラーなどで押圧することにより行うことができる。重合性組成物をアクリル系炭素繊維に含浸させた後、含浸物を所定温度に加熱することにより、重合性組成物を塊状重合させることができ、それによってシート状又はフィルム状のプリプレグが得られる。
含浸を型内で行う場合は、型内にアクリル系炭素繊維を設置し、該型内に重合性組成物を注ぎ込み、次いで重合を行う。この方法によれば、任意の形状のプリプレグを得ることができる。その形状としては、シート状、フィルム状、柱状、円柱状、多角柱状等が挙げられる。ここで用いる型としては、従来公知の成形型、例えば、割型構造すなわちコア型とキャビティー型を有する成形型を用いることができ、それらの空隙部(キャビティー)に重合性組成物を注入して塊状重合させる。コア型とキャビティー型は、目的とする成形体の形状にあった空隙部を形成するように作製される。また、成形型の形状、材質、大きさなどは特に制限されない。また、ガラス板や金属板などの板状成形型と所定の厚さのスペーサーとを用意し、スペーサーを2枚の板状成形型で挟んで形成される空間内に重合性組成物を注入し、該型内で重合を行うことにより、シート状又はフィルム状のプリプレグを得ることができる。
重合性組成物は従来のエポキシ樹脂等と比較して低粘度であり、アクリル系炭素繊維に対する含浸性に優れるので、重合で得られる樹脂をアクリル系炭素繊維材に均一に含浸させることができる。また、塊状重合を行う場合には、重合性組成物は反応に関与しない溶媒等の含有量が少ないので、アクリル系炭素繊維に含浸させた後に溶媒を除去するなどの工程が不要であり、生産性に優れ、残存溶媒による臭気、フクレ、ボイド等も生じない。特に、アクリル系炭素繊維は、その表面で重合反応を阻害することがなく、予備乾燥等が不要であるので、本発明の製造方法は生産性に優れる。さらに、重合で得られる樹脂は未反応のモノマーの含有量が少なく、臭気が少なく、また耐熱性が優れる。
アクリル系炭素繊維がチョップなどの短繊維である場合には、アクリル系炭素繊維を重合性組成物に混合し、次いで塊状重合を行うことができる。アクリル系炭素繊維は、モノマー液と触媒液を混合する前にモノマー液及び/又は触媒液に添加してもよいし、モノマー液と触媒液とを混合した後に添加してもよい。
アクリル系炭素繊維が連続繊維の場合には、一方向に引き揃えられたアクリル系炭素繊維に重合性組成物を含浸し、塊状重合を行なうことができる。アクリル系炭素繊維が一方向に引き揃えられていることにより、繊維方法の配向制御により任意の力学物性を有する成形体の設計が可能となり、また、力学特性、低バラツキ性、寸法安定性に優れるため、アクリル系炭素繊維の方向角度を変えて積層することにより、均一な機械的特性の成形品が得られるようになり好適である。
上記いずれの方法においても、重合性組成物を重合させるための加熱温度は、通常50〜250℃、好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜170℃の範囲であり、また、前記架橋剤がラジカル発生剤を用いる場合は、通常ラジカル発生剤の1分半減期温度以下、好ましくは1分半減期温度の10℃以下の温度、より好ましくは1分半減期温度以下の20℃以下の温度である。重合時間は適宜選択すればよいが、通常0.1〜120分間、好ましくは0.5〜60分間、より好ましくは1〜20分間の範囲である。重合性組成物をこの範囲温度及び時間加熱することにより未反応モノマーの少ないプリプレグが得られるので好適である。
本発明のプリプレグの厚みは、使用目的の応じて適宜選択されるが、通常0.001〜10mm、好ましくは0.01〜1mm、より好ましくは0.05〜0.5mmの範囲である。この範囲であるときに、積層時の賦形性、また硬化して得られる繊維強化複合材料の機械強度や靭性の特性が充分に発揮され好適である。
本発明のプリプレグの揮発成分量は、200℃×1時間で揮発される量で、通常30重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、もっとも好ましくは1重量%以下である。プリプレグの揮発成分量が過度に多いと、プリプレグのベタ付きが発生し操作性及び保存安定性が悪くなり、また、硬化後の成形物(繊維強化複合材料)にボイドが発生し外観や機械強度を低下させたり、ブリードや耐熱性、耐薬品性等の問題が生じ好ましくない。
(繊維強化複合材料及び積層体)
本発明の繊維強化複合材料は、上記プリプレグを、必要に応じて賦形した後に、硬化することで製造することができる。また、本発明の積層体は、上記プリプレグを、同プリプレグ同士または他材料と積層して、必要に応じて賦形した後に、硬化することで製造することができる。
本発明の繊維強化複合材料は、上記プリプレグを、必要に応じて賦形した後に、硬化することで製造することができる。また、本発明の積層体は、上記プリプレグを、同プリプレグ同士または他材料と積層して、必要に応じて賦形した後に、硬化することで製造することができる。
本発明のプリプレグ同士の積層は、一方向のアクリル系炭素繊維を用いたプリプレグの場合は、積層の層構成を使用目的に応じて適宜選択されるが、擬似等方積層が、均等な物性、ソリ抑制等を達成できるため好適である。擬似等方積層とは、例えば、[+45°/0°/−45°/90°]s、[0°/±60°]sと積層するように、積層体の物性に異方性が生じないようにするために各層の配向角度を積層体全体として等方的に積層する方法である。
積層してもよい他材料としては、使用目的に応じて適宜選択されるが、例えば、熱可塑性樹脂材料、金属材料などが挙げられ、特に金属材料が好適に用いられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、液晶ポリエステルなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブリレンなどのポリオレフィン、ポリスチレン、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリメチレンメタクリレート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホンなどが挙げられる。金属材料としては、本発明に使用される金属層としては、ステンレス鋼や鉄、炭素鋼、ステンレス合金、アルミニウム合金、チタン合金、マグネシウム合金、その他種々の金属及び合金が用いられる。これらの中でも、ステンレス鋼、アルミニウム合金、チタン合金が好ましく、特にアルミニウム合金やチタン合金が軽量で高強度のため好適である。
硬化させる方法は、常法に従えはよく、例えば、平板成形用のプレス枠型を有する公知のプレス機、シートモールドコンパウンド(SMC)やバルクモールドコンパウンド(BMC)などのプレス成形機を用いて熱プレスを行なうことができる。加熱温度は、前記架橋剤の架橋の起こる温度であり、ラジカル発生剤を用いた場合は、1分半減期温度以上、好ましくは1分半減期温度より5℃以上高い温度、より好ましくは1分半減期温度より10℃以上高い温度である。通常は、100〜300℃、好ましくは150〜250℃の範囲である。加熱時間は、0.1〜180分、好ましくは1〜120分、より好ましくは2〜20分の範囲である。プレス圧力としては、通常0.1〜20MPa、好ましくは0.1〜10MPa、より好ましくは1〜5MPaである。また、熱プレスは、真空または減圧雰囲気下で行ってもよい。
かくして得られる本発明の繊維強化複合材料及び積層体は、難燃性、外観、機械的強度に優れるので、例えば、OAやAV機器、自動車や鉄道などの車両用構造体材、航空機内装部品などをはじめとして、ゴルフシャフトや釣竿等のスポーツ用途、その他一般産業用途に好適に用いられる。具体的の用途としては、例えば、釣竿、ゴルフクラブ用シャフト、テニスラケット、スキーストック等のスポーツ用途;ディスプレー、FDDキャリッジ、シャーシ、HDD、MO、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、ノートパソコン、携帯電話、デジタルスチルカメラ、PDA、ポータブルMD、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどの電気・電子機器;電話、ファクシミリ、VTR、コピー機、テレビ、アイロン、ヘアドライヤー、炊飯器、電子レンジ、音響機器、掃除機、トイレタリー用品、レザーディスク、コンパクトディスク、照明、冷蔵庫、エアコン、タイプライター、ワードプロセッサーなどのオフィスオートメーション機器および家電機器;アンダーカバー、スカッフプレート、ピラートリム、プロペラシャフト、ドライブシャフト、ホイール、ホイールカバー、フェンダー、ドアミラー、ルームミラー、フェシャー、バンパー、バンパービーム、ボンネット、トランクフード、エアロパーツ、プラットフォーム、カウルルーバー、ルーフ、インストルメントパネル、スピラーおよび各種モジュールなどの自動車部品;ランディングギアポッド、ウイングレッド、スポイラー、エッジ、ラダー、フェイリングなどの航空機部品およびパネルなどの建材などが挙げられる。これらの中でも、自動車や航空機などの乗物用部材として特に好適である。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における部および%は、特に断りのない限り重量基準である。
実施例および比較例における各特性は、下記の方法に従い測定、評価した。
(1)操作性:プリプレグのベトつき感を下記基準で評価した。
◎:全くベトつかない
△:ベトつくが扱える範囲
×:ベトベトで扱えない
(1)操作性:プリプレグのベトつき感を下記基準で評価した。
◎:全くベトつかない
△:ベトつくが扱える範囲
×:ベトベトで扱えない
(2)樹脂成分の含浸性:積層体のX線解析をX線非破壊解析装置(松定プレシジョン社製)を用いて行い、下記基準で判断した。
◎:空洞部が殆ど見られない
△:空洞が僅かに見られる。
×:中程度以上に空洞が見られる
◎:空洞部が殆ど見られない
△:空洞が僅かに見られる。
×:中程度以上に空洞が見られる
(3)難燃性:積層体を短冊状試験片として切り出し、炎を試験片の10cm下まで近づけ10秒間静置してから離炎し、その後の燃えあがり方を観察し、下記基準で判定した。
◎:離炎後の有炎はない。
△:離炎後の有炎はあるが、間もなく消える。
×:離炎後の有炎が上部まで達し、激しく燃えた。
◎:離炎後の有炎はない。
△:離炎後の有炎はあるが、間もなく消える。
×:離炎後の有炎が上部まで達し、激しく燃えた。
(4)外観:成形品(繊維強化複合材料)の外観を観察し、下記基準で評価した。
◎:ボイドは見られない。
△:ボイドが僅かに見られる
×:ボイドが半分以上に見られる。
◎:ボイドは見られない。
△:ボイドが僅かに見られる
×:ボイドが半分以上に見られる。
(5)機械的強度:JIS K−7073に規定する試験方法に従い、標点間距離を150mmとし、クロスヘッド速度2.0mm/分で積層体の引張強度を測定し、比較例1で作製した積層体の引張強度を100として、下記基準で判断した。
◎:150以上
○:110以上、150未満
△:90以上、110未満
×:90未満
◎:150以上
○:110以上、150未満
△:90以上、110未満
×:90未満
実施例1
ガラス製フラスコ中で、ベンジリデン(1,3−ジメチル−4−イミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド51部と、トリフェニルホスフィン79部とを、トルエン952部に溶解させて触媒液を調製した。
ガラス製フラスコ中で、ベンジリデン(1,3−ジメチル−4−イミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド51部と、トリフェニルホスフィン79部とを、トルエン952部に溶解させて触媒液を調製した。
ポリエチレン製の瓶にシクロオレフィンモノマーとしてジシクロペンタジエン(DCP)を100部入れ、ここに連鎖移動剤としてアリルメタクリレートを0.74部、架橋剤としてジ−t−ブチルペルオキシド(1分間半減期温度186℃)を1.2部、分散剤としてアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート(プレンアクトAL−M、味の素ファインテクノ製)を1.1部、難燃剤として水酸化アルミニウムを70部加えた後、上記触媒液をシクロオレフィンモノマー100gあたり0.12mlの割合で加えて撹拌し、重合性組成物を調製した。
次いで、この重合性組成物100部をポリエチレンナフタレートフィルム(タイプQ51、厚み75μm、帝人デュポンフィルム社製)の上に流延し、その上にアクリル系炭素繊維(連続繊維平織)を敷いて、さらにその上に上記重合性組成物80部を流延した。その上からさらにポリエチレンナフタレートフィルムを被せ、ローラーを用いて重合性組成物を炭素繊維に含浸させた。次いで、これを150℃に熱した加熱炉中で、1分間加熱し、重合性組成物を塊状重合させて厚さ0.1mmのプリプレグを得た。
このプリプレグを100mm角の大きさに切り出し、ポリエチレンナフタレートフィルムを剥離した後、2枚重ねて熱プレスにて、3MPa、200℃で15分間加熱圧着し、積層体を作製した。この積層体について、難燃性、機械強度、および外観等を評価した結果を表1に示した。
実施例2
重合性組成物に、さらに、架橋助剤としてm−ジイソプロペニルベンゼン20部を加えた以外は実施例1と同様に行い、得られた積層体の各特性を評価しその結果を表1に示した。
重合性組成物に、さらに、架橋助剤としてm−ジイソプロペニルベンゼン20部を加えた以外は実施例1と同様に行い、得られた積層体の各特性を評価しその結果を表1に示した。
実施例3
水酸化アルミニウムの量を50部とした以外は実施例1と同様に行い、得られた積層体の各特性を評価しその結果を表1に示した。
水酸化アルミニウムの量を50部とした以外は実施例1と同様に行い、得られた積層体の各特性を評価しその結果を表1に示した。
比較例1
ジシクロペンタジエン100部とエチリデンノルボルネン10部の混合物と、トルエン200部に(3,3−ジメチルブチニリデン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムシクロリド10部溶解させた溶液とを、(3,3−ジメチルブチニリデン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリドのノルボルネン系モノマーに対するモル比が1/10,000になるように加えた後、難燃剤として水酸化アルミニウムを70部加え、混合攪拌して重合性組成物を調製した。得られた重合性組成物を含浸ローラーを用いてアクリル系炭素繊維(連続繊維平織)に含浸させ、厚さ50μmのPETフィルムで両面を挟んだ後、更に厚さ4mmのガラス板で挟んでガラス板をクリップ止めし、10℃の恒温層で24時間養生しプリプレグを得た。尚、用いたガラス板は予め10℃にしておいたものを用いた。このプリプレグを用いた以外は実施例1と同様に行い、得られた積層体の各特性を評価しその結果を表1に示した。
ジシクロペンタジエン100部とエチリデンノルボルネン10部の混合物と、トルエン200部に(3,3−ジメチルブチニリデン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムシクロリド10部溶解させた溶液とを、(3,3−ジメチルブチニリデン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリドのノルボルネン系モノマーに対するモル比が1/10,000になるように加えた後、難燃剤として水酸化アルミニウムを70部加え、混合攪拌して重合性組成物を調製した。得られた重合性組成物を含浸ローラーを用いてアクリル系炭素繊維(連続繊維平織)に含浸させ、厚さ50μmのPETフィルムで両面を挟んだ後、更に厚さ4mmのガラス板で挟んでガラス板をクリップ止めし、10℃の恒温層で24時間養生しプリプレグを得た。尚、用いたガラス板は予め10℃にしておいたものを用いた。このプリプレグを用いた以外は実施例1と同様に行い、得られた積層体の各特性を評価しその結果を表1に示した。
比較例2
ポリエチレン製の瓶にテトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン27部とテトラシクロ[6.2.13,6.02,7]ドデカ−4−エン2.2部、及び2−ノルボルネン0.8部、連鎖移動剤としてアリルメタクリレート0.51部、架橋剤としてジ−t−ブチルペルオキシド(1分間半減期温度186℃)を0.34部、ラジカル架橋遅延剤として3,5−ジ−t−ブチルヒドロキシアニソール0.084部、分散剤としてアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート(プレンアクトAL−M、味の素ファインテクノ製)を0.3部、難燃剤として水酸化マグネシウム12部とポリ燐酸メラミン4.5部と赤燐1.5部を加えた後、重合触媒として0.05モル/リットルのベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド/トルエン溶液(0.25モル/リットルのトリフェニルホスフィンを含む)を0.31ml加えて攪拌し、重合性組成物を調製した。重合性組成物を上記重合性組成物に変え、炭素繊維としてピッチ系炭素繊維(平織)を用いた以外は実施例1と同様に行い、得られた積層体の各特性を評価しその結果を表1に示した。
ポリエチレン製の瓶にテトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン27部とテトラシクロ[6.2.13,6.02,7]ドデカ−4−エン2.2部、及び2−ノルボルネン0.8部、連鎖移動剤としてアリルメタクリレート0.51部、架橋剤としてジ−t−ブチルペルオキシド(1分間半減期温度186℃)を0.34部、ラジカル架橋遅延剤として3,5−ジ−t−ブチルヒドロキシアニソール0.084部、分散剤としてアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート(プレンアクトAL−M、味の素ファインテクノ製)を0.3部、難燃剤として水酸化マグネシウム12部とポリ燐酸メラミン4.5部と赤燐1.5部を加えた後、重合触媒として0.05モル/リットルのベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド/トルエン溶液(0.25モル/リットルのトリフェニルホスフィンを含む)を0.31ml加えて攪拌し、重合性組成物を調製した。重合性組成物を上記重合性組成物に変え、炭素繊維としてピッチ系炭素繊維(平織)を用いた以外は実施例1と同様に行い、得られた積層体の各特性を評価しその結果を表1に示した。
表1の結果から、本発明のプリプレグは操作性に優れ、またこれを用いて得られる積層体は含浸性、難燃性、外観、および機械的強度に優れることがわかる(実施例1〜3)。一方、架橋剤を含まないプリプレグは操作性に劣り、またこれを用いて得られる積層体の特性も劣る(比較例1)。また、炭素繊維としてピッチ系炭素繊維を用いると、含浸性が低く、得られる積層体の特性も劣るものであった(比較例2)。
Claims (7)
- シクロオレフィンポリマー、架橋剤、及び難燃剤を含んでなる硬化性樹脂組成物をアクリル系炭素繊維に含浸してなるプリプレグであって、シクロオレフィンポリマー100重量部に対する難燃剤の配合量が40〜250重量部であることを特徴とするプリプレグ。
- 前記硬化性樹脂組成物が、架橋助剤を含むものである請求項1記載のプリプレグ。
- 前記難燃剤がハロゲンを含まない難燃剤である請求項1記載のプリプレグ。
- シクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、及び難燃剤を含んでなる重合性組成物をアクリル系炭素繊維に含浸し、重合することを特徴とするプリプレグの製造方法。
- 重合触媒が、ヘテロ環構造を有する化合物を配位子として有するルテニウム触媒である請求項4記載の製造方法。
- 請求項1乃至3記載のプリプレグを硬化してなる繊維強化複合材料。
- 請求項1乃至3記載のプリプレグを、該プリプレグ同士または他材料と積層した後に硬化してなる積層体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008029907A JP2009191087A (ja) | 2008-02-12 | 2008-02-12 | プリプレグ、その製造方法、ならびに繊維強化複合材料及び繊維強化複合材料積層体 |
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ID=41073400
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012167230A (ja) * | 2011-02-16 | 2012-09-06 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | プリプレグの製造方法 |
JP2016036962A (ja) * | 2014-08-07 | 2016-03-22 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 樹脂構造体およびこれを用いた電気掃除機 |
CN114163671A (zh) * | 2021-12-08 | 2022-03-11 | 上海化工研究院有限公司 | 一种环状烯烃树脂基纤维预浸渍料及其制备方法与应用 |
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2008
- 2008-02-12 JP JP2008029907A patent/JP2009191087A/ja active Pending
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