JP2011068292A - 車両のラジエータ通風量制御装置 - Google Patents

車両のラジエータ通風量制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】冷却水温の上昇を予測し、ぎりぎりまでフラップの閉状態を維持させることで、エンジンの冷却性能と空力特性との双方をバランス良く調和させ、燃費向上を実現させる。
【解決手段】冷却水温Twと暖機終了判定値Wとを比較し(S10)、Tw≧Wの暖機運転終了と判定したときは、燃料噴射量に基づいて算出した燃料消費率Tiと、車速毎に設定されている高温燃焼判定値Tとを比較し(S12)、Ti<Tの場合は、導風ユニット12に設けられている、ラジエータ7に対する外気の通風量を制御する上側フラップ16を閉動作させる運転モード3を実行する(S14)。又、Ti≧Tの場合は、上側フラップ16を閉動作させる運転モード1或いは2を実行する(S5,S6)。
【選択図】図3

Description

本発明は、導風ユニットにて、ラジエータを通過する外気の通風量を制御する車両のラジエータ通風量制御装置に関する。
周知のように、自動車等の車両では、車両前部に設けられているフロントバンパやフロントグリル等に形成されている開口部から外気(冷却風)を導入し、導入した外気をエンジンルームの前部に配設されているラジエータを通過させることで、エンジンの熱を吸熱して昇温されている冷却水を冷却する。
ところで、エンジンルームに導かれる外気は、走行時においては空気抵抗となり、燃費悪化を招くことになる。そのため、エンジンルームに導入する外気は必要最小限であることが望ましい。
ラジエータを通過させる外気を制御する技術として、特許文献1(特開2000−130167号公報)には、フロントグリルとラジエータとの間に、導風ユニットを設け、冷却水温が設定温度(90[℃])未満のときは、導風ユニットのフラップを閉じ、ラジエータに対する外気の通風量を制限することでラジエータを流れる冷却水の過冷却を防止すると共に、エンジンルームに導入される外気の通風量を制限して空力特性(cd値)を向上させ、燃費を向上させる技術が開示されている。尚、冷却水温が設定温度(90[℃])以上のときは、導風ユニットのフラップを開くことで、ラジエータを通過させる冷却風量を増加させて冷却効率を高める。
しかし、上述した文献に開示されている技術では、冷却水が設定温度を越えたときに導風ユニットのフラップを開くようにしているが、冷却水温はエンジンから吸熱して温度上昇するため、例えば、加速走行や登坂走行のような高負荷運転時において、冷却水温が設定温度を越えたことを検知し、導風ユニットのフラップを開いて、ラジエータに冷却風を導入しても、冷却水温が上昇過程にあるため、この温度上昇を直ちに抑制することはできず、冷却不足によりエンジン性能が一時的に低下してしまう問題がある。
これに対処するに、フラップの開閉時期を判定する設定温度を低くし、冷却風を比較的早期にラジエータへ導くようにすることも考えられるが、設定温度を低くするとフラップの開いている時間が長くなり、相対的にエンジンルームに導入する冷却風量が多くなり、これが空気抵抗となって燃費の悪化を招いてしまう問題がある。
本発明は、上記事情に鑑み、冷却水温の上昇を予測し、ぎりぎりまでフラップの閉状態を維持させて、閉時間を長くし、エンジンの冷却性能と空力特性との双方をバランス良く調和させて、燃費向上を実現させることのできる車両のラジエータ通風量制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため本発明による車両のラジエータ通風量制御装置は、エンジン内を循環する冷却水を冷却するラジエータと、前記ラジエータに対する外気の通風量を制御するフラップを有する導風ユニットと、前記フラップの開閉を制御する制御部とを備え、前記制御部は、エンジン負荷に関するパラメータと車速に基づいて設定したエンジンが高温燃焼することを予測する高温燃焼判定値とを比較して高温燃焼が予測されるか否かを判定する高温燃焼判定手段と、前記高温燃焼判定手段で、前記エンジン負荷に関するパラメータが前記高温燃焼判定値よりも低い場合は高温燃焼が予測されないとして前記フラップを閉動作させ、前記エンジン負荷に関するパラメータが前記高温燃焼判定値を越えていると判定した場合は高温燃焼が予測されるとして該フラップを開動作させるフラップ動作制御手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、エンジン負荷に関するパラメータと車速に基づいて設定した高温燃焼判定値とを比較し、高温燃焼が予測されない場合、すなわち、冷却水温の上昇が予測されない場合は、導風ユニットに設けられているフラップを閉動作させて、エンジンルームに導入される外気を制限するようにしたので、暖機運転が終了と判定された後も、ぎりぎりまでフラップの閉状態を維持させることができる。その結果、走行時におけるフラップの閉時間が長くなり、エンジンの冷却性能と空力特性との双方をバランス良く調和させて、燃費向上を実現させることができる。
ラジエータ通風量制御装置を搭載する車両の断面側面図 ラジエータ通風量制御装置の機能ブロック図 ラジエータ通風量制御ルーチンを示すフローチャート 導風ユニットに設けられているフラップを開閉させるしきい値を設定する特性図
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。図1に示すように、車両の一例である自家用自動車の車体前部1は、前部にフロントバンパ3が設けられ、このフロントバンパ3の上部にフロントグリル4が設けられ、内部にエンジンルームEが設けられている。更に、車体前部1の上部にフロントフード5が設けられ、このフロントフード5にて、エンジンルームEの上部が開閉自在に覆われている。エンジンルームEにはエンジン6等のパワーユニットが搭載されている。
又、エンジン6の前方に、このエンジン6内を循環する冷却水を冷却するラジエータ7が配設されている。このラジエータ7の後部にシュラウド7aが設けられ、このシュラウド7aに、図示しないラジエータ冷却用電動ファン(以下、「ラジファン」と略称)が設けられている。更に、このラジエータ7の前方に、車両用空調装置の冷凍サイクルを構成するコンデンサ8が配設されている。
このコンデンサ8は、周知のサブクールコンデンサであり、上部にコンデンサ部8aが設けられ、下部(高さ方向の約1/4の位置)にサブクール部8b(図1のハッチング部)が設けられている。コンデンサ部8aとサブクール部8bとはモジュレータ(図示せず)を介して連通されている。コンデンサ部8aに流入された気相冷媒は、ここで冷却されて大部分が液相冷媒となりモジュレータ(図示せず)に流入する。そして、モジュレータ(図示せず)に流入した冷媒は、ここで、気相冷媒と液相冷媒とに分離され、液相冷媒がサブクール部8bへ流入される。
このサブクール部8bに流入された冷媒は、更に冷却されて、100[%]に近い液相冷媒となる。従って、コンデンサ8は、少なくともサブクール部8bを冷却すれば空調装置の冷房能力を確保することができる。
ラジエータ7、シュラウド7a、及びコンデンサ8が、その前方に配設されているラジエータパネル9(図1参照)に固設されている。このラジエータパネル9は略矩形枠状に形成されており、その車幅方向両側が、車幅方向に左右に配設されて車体の前後方向へ延出する一対のフロントサイドフレーム(図示せず)に固設されている。
又、ラジエータパネル9にフロントグリル4と一体化されたフロントバンパ3が連結されている。このフロントバンパ3の下部の車幅方向中央に下部外気導入口3aが開口されている。又、フロントグリル4の車幅方向中央に上部外気導入口4aが形成されている。
更に、このフロントバンパ3及びフロントグリル4と、ラジエータパネル9との間の空間に導風ユニット12が配設されている。この導風ユニット12は、矩形枠状のダクトフレーム12aを有し、このダクトフレーム12aの後部がラジエータパネル9の前部に固設されている。図1に示すように、ダクトフレーム12aはフロントバンパ3及びラジエータパネル9の間の空間に対応した車体前後方向の奥行きを有し、且つコンデンサ8全体をカバーする面積を有している。
この導風ユニット12のダクトフレーム12aの下部と上部の、フロントバンパ3とフロントグリル4とに開口されている各外気導入口3a,4aの対応する位置に、下部導入口13aと上部導入口13bとが形成され、この両導入口13a,13b間の前面の、風が流れない領域にブランクパネル14が配設されている。更に、この両導入口13a、13bの前面に、この導入口13a,13bを開閉して、ラジエータ7に対する外気の通風量を制御する各フラップ15,16が配設されている。
図1に示すように、下部導入口13aは、その上下方向の約半分を開閉する1枚のフラップ15が車幅方向に延在されている。又、上部導入口13bには、この上部導入口13b全体を開閉する3枚のフラップ16が車幅方向に延在されている
この3枚の各フラップ16は、横長の矩形状あって、上側の2枚のフラップ16が平板状の縦断面形状を有し、最下段のフラップ16が、下端側を前方へ屈曲させたくの字状の断面形状を有している。又、各フラップ16は、上下方向の中央に支持軸16aが設けられ、各支持軸16aがリンク機構(図示せず)を介して、駆動用アクチュエータの一例である駆動モータ22に連設されている。尚、この各フラップ16はリンク機構を介して同じ動作をするため、以下においては、これらを上側フラップ16と総称して説明する。
一方、下側フラップ15の上端に連設する支持軸15aの両端がダクトフレーム12aの両側面に回動自在に支持されている。この下側フラップ15は自重により垂立されており、この下側フラップ15の垂立された状態における前面下端に電磁石23が対峙されている。この電磁石23はダクトフレーム12aに固設されており、通電させることで磁界が発生して、下側フラップ15の下端が吸着される。
図2に示すように、この駆動モータ22、及び電磁石23は、導風制御ユニット21に設けられている。この導風制御ユニット21は、制御部24、モータ駆動部25、電磁駆動部26、及び駆動モータ22が一体化された単機能のインテリジェントアクチュエータである。
又、この制御部24がボディ統合制御装置(BCU)31に接続されている。更に、このBCU31に、CAN(Controller Area Network)通信等の車内通信回線32を通じて、エンジン制御装置(E/G_ECU)33、エアコン制御装置(A/C_ECU)34等の各種制御装置が、相互通信可能に接続されている。これら各制御装置31,33,34等は、マイクロコンピュータを主体に構成され、周知のCPU、ROM、RAM、EEPROM等の不揮発性記憶手段等を有している。
E/G_ECU33は、車速を検出する車速センサ、運転者のアクセルペダルの踏込み量を検出するアクセル開度センサ、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ、吸入空気量を検出する吸入空気量センサ、冷却水温Tw[℃]を検出する水温センサ、排気空燃比を検出する空燃比センサ等、エンジン6の運転状態を検出する各種センサ類に基づいて、電子制御スロットルに設けられているスロットル弁の開度、インジェクタに対する燃料噴射量、点火プラグから点火火花を発生させるための点火タイミング等、エンジン6を統括的に制御する。更に、このE/G_ECU33では、冷却水温Tw、車速、後述するエアコンスイッチ及び冷媒中圧スイッチのON/OFFに基づいて、ラジファンの駆動を制御する。
又、A/C_ECU34は、乗員がエアコンスイッチをONした際に、外気温Touを検出する外気温センサ、車室内温度を検出する室内温度センサ、車両周辺の日射量を検出する日射センサ、冷媒中圧スイッチ等、エアコンを制御するのに必要なセンサ類からの信号に基づき、予め設定した室内温度を目標温度として設定し、車室内温度を目標温度に収束させるようにエアーコンディショナを制御する。尚、冷媒中圧スイッチは、冷媒通路の高圧側ラインに設けられており、冷媒圧力が上昇し、ある設定した閾値を越えるとON作動し、低圧状態にあるときはOFF状態にある。
BCU31は、異なる通信速度を有する制御装置間を接続するゲートウェイであり、本実施形態では、導風制御ユニット21の制御部24において実行される制御に必要なパラメータが、BCU31を介して読込まれる。
導風制御ユニット21の制御部24では、各種パラメータに基づき、下側フラップ15を吸着する電磁石23に対する通電/非通電制御、及び上側フラップ16の開閉制御を行う。具体的には、図3に示すラジエータ通風量制御ルーチンに従って処理される。
このルーチンは、イグニッションスイッチ(図示せず)がONされると起動し、先ず、ステップS1で、外気温センサで検出した外気温Touと予め設定されている冷却温度判定値X[℃]とを比較する。この冷却温度判定値Xは、各フラップ15,16が閉じられた状態であっても、充分にエンジン冷却を得ることのできるしきい値であり、本実施形態では、制御ハンチングを防止するためのヒステリシスとして、オフセット温度が設定されている。
すなわち、外気温Touが低下して冷却温度判定値X以下(Tou≦X)となった場合の冷却温度判定値Xは、予め設定されている基本判定温度α(例えば−5[℃])で設定され(X←α)、又、外気温Touが上昇して冷却温度判定値Xを超過した場合の冷却温度判定値Xは、基本判定温度αにオフセット温度K1(例えば+2[℃])を加算した値(X←α+K1)に設定される。そして、外気温Touが冷却温度判定値X以下(Tou≦X)の場合は、基本的に、両フラップ15,16が閉じられ、空力特性(cd値)の向上、及び過剰冷却の防止が図られる。
そして、Tou>X(=α+K1)の場合はステップS2へ進み、Tou≦X(=α)の場合はステップS3へ分岐する。ステップS3では、外気温センサの異常判定を行う。本実施形態では、外気温センサが異常か否かを、ラジファンが高速回転しているか否かで調べる。ラジファンの駆動は、E/G_ECU33にて、外気温センサの出力値にとは無関係に、車速と冷却水温とに基づいて制御される。外気温が氷点下にある場合、エンジン6は昇温し難く、冷却水温Twは100[℃]以下の状態となる。そのため、通常であれば、ラジファンは高速(Hi)回転せず、停止、或いは低速回転する。
従って、上述したステップS3で、ラジファンが高速(Hi)回転してないと判定した場合は、外気温センサは正常であると判定し、ステップS13へジャンプし、運転モード3を実行してルーチンを抜ける。
一方、ラジファンが高速(Hi)回転している場合は、外気温センサが故障していると判定し、ステップS4へ進み、フェイルセーフ制御を実行する。先ず、ステップS4では、水温センサで検出した冷却水温Twと高水温判定値Hとを比較する。この高水温判定値Hは、冷却水温Twが高温か否かを判定するしきい値であり、本実施形態では、制御ハンチングを防止するためのヒステリシスとして、オフセット温度が設定されている。
すなわち、冷却水温Twが低温状態から上昇して高水温判定値H以上(Tw≧H)となった場合の高水温判定値Hは、予め設定されている基本判定温度β(例えば104[℃])で設定され(H←β)、又、冷却水温Twが高温から次第に低下して高水温判定値H未満となる場合に採用する高水温判定値Hは、基本判定温度βにオフセット温度K2(例えば−2[℃])を加算した値(H←β+K2)に設定される。
そして、冷却水温Twが高水温判定値H以上(Tw≧H)の場合は、ステップS5へ進み、運転モード1を実行してルーチンを抜ける。又、冷却水温Twが高水温判定値H未満(Tw<H)の場合は、ステップS6へ進み、運転モード2を実行してルーチンを抜ける。尚、ステップS5,S6、及び後述するステップS14で制御する各運転モード1〜3に応じた上側フラップ16の開閉動作を実行する処理が、本発明のフラップ動作制御手段に対応している。
各運転モード1〜3は、以下のような制御動作を行う。
Figure 2011068292
尚、この各運転モード1〜3に対応する制御信号が、上側フラップ16を駆動させるモータ駆動部25と下側フラップ15を開動作させる電磁駆動部26とに出力される。
モータ駆動部25では、制御部24から出力される制御信号に基づき、モータ22を正転或いは逆転させて、上部フラップ16を開閉動作させる。又、電磁駆動部26では、制御部24から出力されるON/OFF信号に従い、電磁石23に対してON信号の場合は通電し、OFF信号の場合は非通電する。電磁石23が通電されると磁界が発生して下側フラップ15が吸着され閉状態となる。一方、電磁石23に対する通電を遮断(非通電)すると、下側フラップ15は回動自在となり、停車中は自重により垂立し、走行中は走行風により自然開放される。
ところで、図2に示すように、上側フラップ16は駆動モータ22により開閉動作させる構造を有しているが、下側フラップ15は、電磁石23により閉状態が維持されている。前述したように、下側フラップ15は上端を支持軸15aに支持させた状態で自重により垂立されており、この垂立された状態で前側下端が電磁石23に吸着されている。従って、走行中に電磁石23に対する通電を遮断すると、下側フラップ15は前方からの走行風により開状態となり、以後、例え電磁石23に磁力を発生させても、下側フラップ15は車速が低下して走行風が弱くなるまで閉じることはない。
このように、下側フラップ15は、それが一旦開放されてしまうと、車速が低下して走行風が弱くなるまで、或いは車両が停車するまでは、この下側フラップ15を再び閉じることができず、走行中の空力特性が悪くなる。そのため、本実施形態では、ラジファンが高速(Hi)回転している状態であっても、冷却水温Twが高水温判定値Hを超過するまでは、運転モード2を実行させることで、下側フラップ15の閉状態を維持させるようにしている。
一方、ステップS1からステップS2へ進むと、外気温Touと予め設定されている凍結防止判定値Y[℃]とを比較する。この凍結防止判定値Yは、各フラップ15,16が凍結する可能性があるか否かを判定するしきい値であり、本実施形態では、制御ハンチングを防止するためのヒステリシスとして、オフセット温度が設定されている。
そして、外気温Touが凍結防止判定値Y以下(X<Tou≦Y)場合は、ステップS5へ進み、運転モード1を実行してルーチンを抜ける。すなわち、この温度域では走行中の導風ユニット12に付着した水分が凝結する可能性があるため運転モード1を実行し、全てのフラップ15,16を開動作させ、各フラップ15,16が閉状態のまま凍結により固着してしまうことを防止する。
凍結防止判定値Yは、予め設定されている基本判定温度γ(例えば3[℃])で設定され(Y←γ)、又、外気温Touが低下して凍結防止判定値Y以下となった場合の凍結防止判定値Yは、基本判定温度γにオフセット温度K3(例えば+2[℃])を加算した値(Y←γ+K3)に設定される。
一方、外気温Touが凍結防止判定値Yを越えている(Tou>Y)場合、ステップS7へ進み、空力制御を実行する。ステップS7では、外気温Touとエアコン負荷判定値Z[℃]とを比較する。このエアコン負荷判定値Zは、エアコン負荷が大きくなるしきい値であり、本実施形態では、制御ハンチングを防止するためのヒステリシスとして、オフセット温度が設定されている。
すなわち、外気温Touが低下してエアコン負荷判定値Z未満(Tou<Z)となった場合のエアコン負荷判定値Zは、予め設定されている基本判定温度δ(例えば28[℃])で設定され(Z←δ)、又、外気温Touが上昇してエアコン負荷判定値Z以上となった場合のエアコン負荷判定値Zは、基本判定温度δにオフセット温度K4(例えば−2[℃])を加算した値(Y←γ+K4)に設定される。
Tou≧Zの場合は外気温Touが高いので、エアコンスイッチがONされていれば、車室内温度吸熱により冷媒圧力が徐々に高くなる。一方、Tou<Zの状態は、外気温Touが低いために冷媒圧力はそれほど高くはならない。そのため、Tou≧Zのときは、ステップS8ヘ進み、先ず、エアコンスイッチがONから否かを調べる。一方、Tou<Zのときは、ステップS9へ進む。
そして、ステップS8でエアコンスイッチがOFFと判定したときは、ステップS10へジャンプする。又、エアコンスイッチがONと判定したときは、ステップS11へ進み、冷媒中圧スイッチの状態を調べる。そして、冷媒中圧スイッチがONのときは、冷媒圧力が上昇しているため、ステップS5へ戻り、運転モード1を実行し、両フラップ15,16を開放させてルーチンを抜ける。その結果、両フランジ15,16が共に開動作すると、走行風(冷却風)が上下導入口13a,13bからエアコンのコンデンサ8に導入されるため、冷媒圧力の上昇が抑制され、冷房能力が高められる。
一方、冷媒中圧スイッチがOFFの場合は、ステップS15へジャンプし、冷却水温Twと高水温判定値Hとを比較する。そして、Tw≧Hの場合は、ラジエータ7の冷却性能を高める必要があるため、ステップS5へ戻り、運転モード1を実行し、両フラップ15,16を開放させてルーチンを抜ける。又、Tw<Hの場合は、ステップS6へ進み、運転モード2を実行し、上側フラップ16のみを開動作させて、ルーチンを抜ける。
又、ステップS7からステップS9へ進むと、冷媒中圧スイッチがONか否かを調べる。ここでは、エアコンスイッチをONした後に、冷媒中圧スイッチがONしたか否かを調べるものであり、エアコンスイッチがOFFの場合は、冷媒中圧スイッチはOFFのままであるため、ステップS10へ進む。又、エアコンスイッチがONの状態であっても、冷媒中圧スイッチがOFFの場合は、ステップS10へ進む。一方、冷媒圧力が上昇して、冷媒中圧スイッチがONになっている場合、すなわち、外気温Touがエアコン負荷判定値Z未満(Tou<Z)であるにも拘わらず、エアコンスイッチのONにより冷媒圧力が上昇し、冷媒中圧スイッチがONしているときは、ステップS15へ進む。尚、ステップS15での処理は既述したため説明を省略する。
又、ステップS8或いはステップS9からステップS10へ進むと、冷却水温Twと暖機終了判定値Wとを比較する。尚、ここでの処理が本発明の暖機運転終了判定手段に対応している。
この暖機終了判定値Wは、暖機運転の終了を判定するしきい値であり、ラジファンが冷却水温Twに基づいて動作する温度よりも低い値である。又、本実施形態では、この暖機終了判定値Wに、制御ハンチングを防止するためのヒステリシスとして、オフセット温度が設定されている。
すなわち、冷却水温Twが上昇して暖機終了判定値W以上(Tw≧W)となった場合の暖機終了判定値Wは、予め設定されている基本判定温度η(例えば98[℃])で設定され(W←η)、又、冷却水温Twが低下して暖機終了判定値W未満となった場合の暖機終了判定値Wは、基本判定温度ηにオフセット温度K5(例えば−2[℃])を加算した値(W←η+K5)に設定される。この暖機終了判定値Wは、冷却系に設けられているサーモスタットバルブの開き始め温度よりも低い温度に設定されている。サーモスタットバルブは、冷却水温が低いときは閉じることでラジエータ7へ流れる冷却水量を制限し、冷却水温の上昇により徐々に開いてラジエータ7に流れる冷却水量を増量させる。
そして、Tw≧Wの場合は、暖機運転終了と判定してステップS12へ進み、Tw<Wの場合は、暖機中と判定してステップS14へ進む。ステップS14では、運転モード3を実行し、各フラップ15,16を全て閉動作させて、ルーチンを抜ける。
冷却水温Twが暖機終了判定値Wよりも低い(Tw<W)場合は、サーモスタットバルブが閉じているため、ラジエータ7に冷却水は供給されない。従って、ラジエータ7に対する外気の導入を遮断しても冷却水温が異常に高くなることはない。又、各フラップ15,16を全て閉じることで、エンジンルームEに導入される外気が制限されるため、エンジン6の過剰冷却が防止され、適正温度まで速やかに昇温させることができる。
一方、Tw≧Wと判定されてステップS12へ進むと、E/G_ECU33で設定した燃料噴射量を読込み、この燃料噴射量に基づいてエンジン負荷に関するパラメータの一例である燃料消費率(単位時間当たりの燃料噴射量)Tiを算出し、この燃料消費率Tiと高温燃焼判定値Tとを比較する。尚、このステップでの処理が、本発明の高温燃焼判定手段に対応している。
この高温燃焼判定値Tは、実際の燃料消費率Tiによる燃焼が、高温燃焼となるか否かを予測するしきい値であり、図4に示すように、車速センサで検出した車速に基づき、予め設定されている高温燃焼判定値テーブルを参照して設定される。
上側フラップ16は、基本的には車速と冷却水温Twとに基づいて開閉制御される。しかし、冷却水温Twの高温化を検出した後に、上側フラップ16が開いても、冷却水温Twは上昇過程にあるため、オーバヒートし易くなる。そのため、一般的には、上側フラップ16の開く冷却水温Twを低く設定する傾向にある。その結果、上側フラップ16の開期間が長くなり、その間、エンジンルームE内に走行風が入り込んで抵抗となるため、燃費悪化を招いてしまう。
これに対し、本実施形態では、ステップS12において、単位時間当たりの燃料噴射量(燃料消費率)Tiから冷却水温Twの上昇を予測し、ラジファンの運転状態を無視した場合、燃料消費率Tiが車速に基づいて設定した高温燃焼判定値Tを越えるまでは、両フラップ15,16を閉じるようにしている(運転モード3)ので、冷却水温Twが上昇しても、冷却不足の発生しないぎりぎりの温度まで、両フラップ15,16を閉状態にしておくことができるので、走行時の空力特性が良くなり、燃費が改善される。又、寒冷走行時においては良好な暖房性能を確保することができる。
ところで、図4に示すように、高温燃焼判定値Tは、平地一定速走行時の燃料消費率曲線(以下、「平地一定速走行曲線」と称する)と登坂路一定速走行時の燃料消費率曲線(以下、「登坂路一定速走行曲線」と称する)との間に設定されている。尚、平地一定速走行曲線と登坂路一定速走行曲線とは、予め実験などから車種毎に求めた固定値であり、従って、高温燃焼判定値テーブルには、平地一定速走行曲線と登坂路一定速走行曲線とに基づき、両者の間に収まるような高温燃焼判定値Tが格納されている。
平地一定速走行曲線は、平地を一定車速で走行する際に必要な燃料であり、予め実験などから車種毎に求められている。この運転状態は、最も燃費の良い走行であるため、燃料噴射量が少なく発熱量も少ない。従って、フラップ15,16を閉じても、エンジンルームE内に導入される走行風で、冷却水温Twの上昇を抑制することができる。又、両フラップ15,16を閉じることで、空力特性(cd値)を向上させることができる。
一方、同図に示す登坂路一定速走行曲線は、例えば8[%]程度の登坂路を一定速度で走行した際の燃料消費率曲線である。このような過酷な走行条件では、車速が速くなるに従い燃料消費率が増加し、エンジン6の温度も上昇するため、各フラップ15,16を閉じたままにしておくと、冷却不足によりエンジン6のオーバヒートが誘発されてしまう。
従って、高温燃焼判定値Tを、2つの一定速走行曲線の間に設け、少なくとも上側フラップ16は、実際の燃料消費率が、平地一定速走行曲線よりも低い場合は閉じ、登坂路一定速走行曲線よりも高い場合は必ず開ける必要がある。
本実施形態では、図4に示すように、高温燃焼判定値Tを、中車速領域(図においては、60〜110[Km/h])では、2つの一定速走行曲線の間であって車速に比例して増加する値に設定し、低車速領域(図においては、0〜60[Km/h])と高車速領域(図においては、110[Km/h]以上)は、2つの一定速走行曲線の間であって、上述した中車速領域の高温燃焼判定値Tの両端に接続する一定値に設定している。
この場合、高温燃焼判定値Tを、2つの一定速走行曲線の間であって、車速が0[Km/h]のアイドリング状態から高車速領域まで、車速に応じて比例的に増加させることも考えられるが、車速0[Km/h]において、実際の燃料消費率が高温燃焼判定値Tを上回り、上側フラップ16が開いてしまう可能性がある。一方、高車速領域では、燃料噴射量が増加し、実際の燃料消費率が高くなり、エンジン6の発熱量が増加する。そのため、エンジン6のオーバヒートを防止するには、上側フラップ16を必ず開かなければならない運転領域、すなわち、オーバヒートを誘発する発熱量を発生させる燃料噴射量がある。これを本実施形態では、110[Km/h]に設定している。
そのため、本実施形態では、高温燃焼判定値Tを、低車速領域及び高車速領域では車速に依存しない一定値とし、中車速領域は車速に応じて増加する比例値とし、各節点を接続することで、高温燃焼判定値Tを簡単に導き出すことができるようにした。尚、この高温燃焼判定値Tは、テーブル検索によらず、予め設定されている一次式から車速に応じて算出することも可能である。
そして、Ti<Tの場合は、エンジン6は高温発熱しないと判定し、ステップS13へ進む。又、Ti≧Tの場合は、エンジン6は高温発熱すると判定し、ステップS15へ進む。
ステップS13へ進むと、ラジファンが高速(Hi)回転しているか否かを調べる。上述したように、ラジファンの駆動は、E/G_ECU33にて、車速と冷却水温とに基づいて制御される。従って、現在の燃料消費率Tiではエンジン6が高温発熱を起こさないと判定される場合であっても、既にラジファンが高速回転している場合は、ラジエータ7に冷却風を導入する必要があるため、ステップS15へ分岐する。このような状況は、例えば停車中を含む低車速領域で、車室内温度が異常に高く、A/C_ECU34では、ラジファンを、冷却水温Twに拘わらず高速(Hi)回転させている場合、エンジン6の冷却という観点からは、フラップ15,16を開く必要はないが、エアコンの冷房性能を確保し、車室内を急冷する必要がある場合などが該当する。
一方、ラジファンが低速回転、或いは停止しているときは、ステップS14へ進み、運転モード3を実行し、各フラップ15,16を全て閉動作させて、ルーチンを抜ける。ラジファンが低速回転、或いは停止している状態では、現在の燃料消費率Tiによってもエンジン6が高温発熱しないので、ラジファンの停止、或いは低速回転が継続されると判定される。そのため、このような状況では運転モード3により全てのフラップ15,16を閉じることで、空力特性(cd値)を向上させることができる。
このように、本実施形態によれば、冷却水温Twが暖機終了判定値Wを越えた場合(Tw≧W)であっても、直ちに上側フラップ16を開かせることなく、車速毎の燃料消費率に基づいて冷却水温Twの上昇を予測し、ぎりぎりまでフラップ15,16の閉状態を維持させるようにしたので、走行時における両フラップ15,16の閉時間が長くなり、その分、エンジン6の燃焼状態が改善され、空力特性が良くなって燃費が向上するばかりでなく、寒冷地走行時においては良好な暖房性能を確保することができる。その結果、エンジン6の冷却性能と空力特性との双方をバランス良く調和させることができる。
尚、本発明は、上述した実施形態に限るものではなく、例えば採用するエンジンはガソリンエンジンに限らず、ディーゼルエンジンであっても良い。
6…エンジン
7…ラジエータ
12…導風ユニット、
16…上側フラップ、
21…導風制御ユニット、
22…駆動モータ、
24…制御部、
33…E/G_ECU、
34…A/C_ECU、
E…エンジンルーム
H…高水温判定値
T…高温燃焼判定値
Ti…燃料消費率
Tou…外気温
Tw…冷却水温
W…暖機終了判定値
X…冷却温度判定値
特開2000−130167号公報

Claims (3)

  1. エンジン内を循環する冷却水を冷却するラジエータと、
    前記ラジエータに対する外気の通風量を制御するフラップを有する導風ユニットと、
    前記フラップの開閉を制御する制御部と
    を備え、
    前記制御部は、
    エンジン負荷に関するパラメータと車速に基づいて設定したエンジンが高温燃焼することを予測する高温燃焼判定値とを比較して高温燃焼が予測されるか否かを判定する高温燃焼判定手段と、
    前記高温燃焼判定手段で、前記エンジン負荷に関するパラメータが前記高温燃焼判定値よりも低い場合は高温燃焼が予測されないとして前記フラップを閉動作させ、前記エンジン負荷に関するパラメータが前記高温燃焼判定値を越えていると判定した場合は高温燃焼が予測されるとして該フラップを開動作させるフラップ動作制御手段と
    を備えることを特徴とする車両のラジエータ通風量制御装置。
  2. 前記エンジン負荷に関するパラメータには、燃料噴射量、エンジントルク値又はエンジン負荷のいずれかが含まれていることを特徴とする請求項1記載の車両のラジエータ通風量制御装置。
  3. 前記高温燃焼判定手段で設定される前記高温燃焼判定値は、平地一定速走行時の前記エンジン負荷に関するパラメータと登坂路一定速走行時の前記エンジン負荷に関するパラメータとの間に設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の車両のラジエータ通風量制御装置。
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