JP2011067043A - 電気自動車の駆動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エネルギー効率を考慮して電動モータを駆動させることにより、エネルギー損失の低減を実現した電気自動車の駆動制御装置を得る。
【解決手段】走行駆動トルクを出力可能な電動モータ4と、車両制御ユニット9とを備えている。力行時に、要求走行駆動トルクよりも大きい第1の走行駆動トルク指令値で電動モータ4を駆動する第1の駆動期間と、要求走行駆動トルクよりも小さい第2の走行駆動トルク指令値で電動モータ4を駆動する第2の駆動期間とを交互に設定する。第1および第2の駆動期間における走行駆動トルク指令値の時間平均値は、要求走行駆動トルクとほぼ一致する。第1および第2の走行駆動トルク指令値の少なくとも一方における電動モータ4の駆動時のエネルギー効率が、要求走行駆動トルクでの電動モータ4の駆動時のエネルギー効率よりも高い値に設定された走行駆動トルク指令値で電動モータ4を駆動する。
【選択図】図2

Description

この発明は、電動モータから走行駆動トルクおよび回生制動トルクを発生させる電気自動車の駆動制御装置に関するものである。
一般に、電動モータを駆動力源とし、走行時には電動モータを電動運転して走行駆動トルクを発生させ、制動時には電動モータを回生運転して回生制動トルクを発生させる電気自動車は、良く知られている。
この種の電気自動車に用いられる電動モータとしては、直流モータや交流モータが採用されているが、特に高効率の3相交流同期モータが主流として採用されている。
また、電気自動車においては、車両に搭載したバッテリからの直流電流をインバータで所定の交流電流に変換し、交流電流によって電動モータを駆動して車両を走行させている。
従来から、この種の電気自動車の制御装置として、アクセルペダルの操作量やブレーキペダルの操作量に基づいて所定のトルク指令値を演算し、トルク指令値に基づいて電動モータを制御する技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
特開2003−174702号公報
しかしながら、従来の電気自動車の制御装置では、電動モータおよびインバータのエネルギー効率を考慮せずに、アクセルペダルの操作量およびブレーキペダルの操作量から演算されたトルク指令値のみに基づいて電動モータを制御しているので、エネルギー効率が悪い状態で電動モータが駆動された場合に、エネルギー損失が大きくなるという課題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、エネルギー効率を考慮して電動モータを駆動することにより、エネルギー損失の低減を実現した電気自動車の駆動制御装置を得ることを目的とする。
この発明に係る電気自動車の駆動制御装置は、車両に搭載されて車両の走行駆動トルクを出力可能な電動モータと、電動モータを制御する制御装置とを備え、制御装置は、電動モータによる走行駆動トルクが要求される力行時において、アクセル操作量に基づく要求走行駆動トルクよりも大きい第1の走行駆動トルク指令値で電動モータを駆動する第1の駆動期間と、要求走行駆動トルクよりも小さい第2の走行駆動トルク指令値で電動モータを駆動する第2の駆動期間とを交互に設定し、第1および第2の駆動期間における第1および第2の走行駆動トルク指令値の時間平均値は、所定誤差範囲内で要求走行駆動トルクと一致し、第1および第2の走行駆動トルク指令値の少なくとも一方における電動モータの駆動時のエネルギー効率は、要求走行駆動トルクでの電動モータの駆動時のエネルギー効率よりも高い値に設定されたものである。
この発明によれば、第1および第2の走行駆動トルク指令値の少なくとも一方における電動モータの駆動時のエネルギー効率が、要求走行駆動トルクでの電動モータの駆動時のエネルギー効率よりも高いので、要求走行駆動トルクで電動モータを駆動する場合よりもエネルギー損失を低減することができる。
この発明の実施の形態1、2が適用される電気自動車のシステム全体を概略的に示すブロック構成図である。 この発明の実施の形態1に係る車両制御ユニットを具体的に示す機能ブロック図である。 この発明の実施の形態1に係る走行駆動トルク指令値演算部の処理動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態1に用いられる電動モータのエネルギー効率マップを示す説明図である。 この発明の実施の形態1に係る第1および第2の駆動期間の設定動作を示す説明図である。 この発明の実施の形態2に係る車両制御ユニットを具体的に示す機能ブロック図である。 この発明の実施の形態2に係る回生制動トルク指令値演算部の処理動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態2に用いられる電動モータのエネルギー効率マップを示す説明図である。 この発明の実施の形態2に係る第1および第2の回生期間の設定動作を示す説明図である。
実施の形態1.
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態1について説明する。なお、ここでは、電動モータとして3相交流モータを用いた場合の電気自動車の駆動制御装置について説明する。
一般に、電動機(モータ)は、電力を駆動力に変換して車両を力行運転するものであるが、そのままの構造で駆動力を電力に逆変換して回生運転することが可能である。
また、発電機(ジェネレーター)は、駆動力を電力に変換して発電するものであるが、そのままの構造で電力を駆動力に逆変換して力行運転することが可能である。
すなわち、電動機および発電機は、基本的に同一構造であり、どちらも力行運転および回生運転が可能である。以下、電動機および発電機の双方の機能を持つ回転電機を、単に「電動モータ」と呼ぶ。
図1はこの発明の実施の形態1が適用される車両(電気自動車)1のシステム全体を概略的に示すブロック構成図である。
図1において、車両1には、車輪2および変速機3を介して機械的に接続された電動モータ4が設けられている。電動モータ4は、インバータ5を介して、車載の電力源であるバッテリ6に対して電気的に接続されている。
インバータ5は、バッテリ6から供給される直流電力を交流電力に変換して電動モータ4に供給し、交流電力の周波数を変更できるように構成されている。
また、インバータ5は、発電機として作動する電動モータ4から出力される交流電力を直流電力に変換してバッテリ6に供給できるように構成されている。
インバータ5は、モータ制御ユニット7からの制御指令を受けて作動し、モータ制御ユニット7からの制御指令に応じて制御形態が選択されて、電動モータ4の力行運転制御または回生運転制御を行う。
電動モータ4には、回転センサ8(回転速度検出手段)が設けられている。回転センサ8により検出された電動モータ4の回転速度検出値ωは、モータ制御ユニット7および車両制御ユニット9に入力されている。
車両制御ユニット9は、CPU、メモリ、インターフェースなど(いずれも図示せず)を有する電子制御ユニットからなる。
車両制御ユニット9には、回転センサ8のみならず、アクセルセンサ10(アクセル操作検出手段)と、ブレーキセンサ11(ブレーキ操作検出手段)とが接続されている。
アクセルセンサ10は、車両1のアクセル(図示せず)の操作状態を検出し、ブレーキセンサ11は、車両1のブレーキ(図示せず)の操作状態を検出する。
これにより、車両制御ユニット9には、回転センサ8からの回転速度検出値ωと、アクセルセンサ10からのアクセル操作量Accと、ブレーキセンサ11からのブレーキ操作量Brkとが入力される。
アクセル操作量Accは、アクセルのオン、オフの状態量として情報をも含み、ブレーキ操作量Brkは、ブレーキのオン、オフの状態量としての情報をも含む。
車両制御ユニット9は、各種入力情報(回転速度検出値ω、アクセル操作量Acc、ブレーキ操作量Brk)に基づいて、後述する処理を所定の演算処理周期で実行し、電動モータ4の目標トルクTresを逐次決定する。
なお、電動モータ4の目標トルクTresは、電動モータ4の力行運転時においては、目標駆動トルク(正の値)を意味し、電動モータ4の回生運転時においては、目標回生トルク(負の値)を意味するものとする。
モータ制御ユニット7は、車両制御ユニット9と同様に、CPU、メモリ、インターフェースなど(いずれも図示せず)を有する電子制御ユニットからなる。
モータ制御ユニット7には、車両制御ユニット9からの電動モータ4の目標トルクTresと、回転センサ8からの回転速度検出値ωとが入力されている。
モータ制御ユニット7は、各種入力情報(目標トルクTres、回転速度検出値ω)に基づいて、電動モータ4の出力トルクが目標トルクTresに一致するように、電動モータ4の電機子巻線の通電電流を決定し、この通電電流が電動モータ4の電機子巻線に流れるように、インバータ5への制御指令を生成してインバータ5を駆動する。
これにより、インバータ5は、電動モータ4の出力トルクが目標トルクTresに一致するように制御される。
次に、図2を参照しながら、車両制御ユニット9の詳細な機能について説明する。
図2は車両制御ユニット9の主要機能を具体的に示す機能ブロック図であり、力行運転時に関連した演算処理部のみを示している。
図2において、車両制御ユニット9は、車速演算部12と、要求走行駆動トルク演算部13と、走行駆動トルク指令値演算部14と、駆動モード判定部15と、目標トルク選択部16とを備えている。
車速演算部12は、回転速度検出値ωに基づいて車速(車両1の走行速度)Velを演算する。
要求走行駆動トルク演算部13は、アクセル操作量Accおよび車速Velを入力情報として、あらかじめ設定されたマップ(アクセル操作量Accおよび車速Velと、要求走行駆動トルクTdbsとの関係を示す)を参照し、電動モータ4の目標トルクTresの基本要求値である要求走行駆動トルクTdbsを演算する。
このとき、要求走行駆動トルクTdbsは、アクセル操作量Accが大きいほど大きくなるように、また、車速Velが大きいほど大きくなるように演算される。
なお、ここでは、要求走行駆動トルク演算部13が、アクセル操作量Accおよび車速Velに応じて要求走行駆動トルクTdbsを演算する場合を示したが、アクセル操作量Accのみに応じて要求走行駆動トルクTdbsを演算してもよい。
走行駆動トルク指令値演算部14は、要求走行駆動トルクTdbsおよび回転速度検出値ωに基づき、第1の走行駆動トルク指令値Td1と第2の走行駆動トルク指令値Td2とを演算して、これらの演算値を、それぞれ第1および第2の駆動期間t1、t2において、走行駆動トルク指令値Tdとして交互に出力する。
駆動モード判定部15は、アクセル操作量Accと回転速度検出値ωと要求走行駆動トルクTdbsとに基づいて、駆動モード判定結果Sdct(「1」または「0」)を出力する。
目標トルク選択部16は、駆動モード判定結果Sdctに応じて、走行駆動トルク指令値Td(Td1、Td2)または要求走行駆動トルクTdbsのうちの一方のトルク値を、目標トルクTresとして選択する。
次に、図3のフローチャートとともに、図4および図5の説明図を参照しながら、図2内の走行駆動トルク指令値演算部14による具体的な処理動作について説明する。
図4はこの発明の実施の形態1に用いられる電動モータ4のエネルギー効率マップを示す説明図である。また、図5はこの発明の実施の形態1に係る第1および第2の駆動期間t1、t2の設定動作を示す説明図である。
走行駆動トルク指令値演算部14には、あらかじめ図4のように、電動モータ4のエネルギー効率マップ(回転速度と、トルクと、エネルギー効率との関係を示す)が設定されている。
図3において、走行駆動トルク指令値演算部14は、まず、電動モータ4のエネルギー効率マップ(図4)を読み込み(ステップS1)、要求走行駆動トルクTdbsおよび回転速度検出値ωを読み込む(ステップS2)。
続いて、エネルギー効率マップ(図4)に基づき、回転速度検出値ωにおいてエネルギー効率が最大となる最大効率トルクTdemを演算する(ステップS3)。
次に、エネルギー効率マップおよび回転速度検出値ωから求めた最大効率トルクTdemと、要求走行駆動トルクTdbsとを比較し、Tdem≧Tdbsの関係を満たすか否かを判定する(ステップS4)。
ステップS4において、Tdem≧Tdbs(すなわち、YES)と判定されれば、第1の走行駆動トルク指令値Td1に最大効率トルクTdemの値を設定し(ステップS5)、第2の走行駆動トルク指令値Td2に「0」を設定して(ステップS6)、次の演算処理(ステップS9)に移行する。
一方、ステップS4において、Tdem<Tdbs(すなわち、NO)と判定されれば、第2の走行駆動トルク指令値Td2に最大効率トルクTdemの値を設定し(ステップS7)、第1の走行駆動トルク指令値Td1として、要求走行駆動トルクTdbsよりも大きい値Tdbs*(>Tdbs)を設定して(ステップS8)、次の演算処理(ステップS9)に移行する。
ステップS9において、走行駆動トルク指令値演算部14は、以下の演算処理に基づいて、第1の駆動期間t1と第2の駆動期間t2とを設定する。
すなわち、代表例として、Tdem≧Tdbsの場合には、図5に示すように、第1の走行駆動トルク指令値Td1(=Tdem)と第2の走行駆動トルク指令値Td2(=0)との時間平均値(実質トルク)が、無視できる程度の所定誤差範囲内で、要求走行駆動トルクTdbsと一致するように、第1および第2の駆動期間t1、t2を設定する。
また、図5に示すように、第1の駆動期間t1と第2の駆動期間t2との合計が、所定時間t_allと一致するように設定される。
すなわち、Tdem≧Tdbsの場合には、第1および第2の駆動期間t1、t2は、以下の式(1)、式(2)を満たすように設定される。
Figure 2011067043
次に、走行駆動トルク指令値演算部14は、上記演算処理により設定された第1の駆動期間t1においては、第1の走行駆動トルク指令値Td1を走行駆動トルク指令値Tdとして出力し、第2の駆動期間t2においては、第2の走行駆動トルク指令値Td2を走行駆動トルク指令値Tdとして設定する(ステップS10)。
最後に、走行駆動トルク指令値演算部14は、最終的な走行駆動トルク指令値Tdとして、第1および第2の走行駆動トルク指令値Td1、Td2を、それぞれ第1および第2の駆動期間t1、t2(図5参照)で交互に出力する(ステップS11)。
このとき、走行駆動トルク指令値演算部14は、走行駆動トルク指令値Tdに対してローパスフィルタ処理を施すことにより、第1の駆動期間t1と第2の駆動期間t2との切り換わり時における走行駆動トルク指令値Tdの変化を緩やかに移行させる。
以上は、ステップS4の判定結果が「YES(Tdem≧Tdbs)」であって、ステップS5、S6の処理により、各走行駆動トルク指令値Td1、Td2が「Td1=Tdem、Td2=0」に設定された場合の説明である。
同様に、ステップS4の判定結果が「NO(Tdem<Tdbs)」であって、ステップS7、S8の処理により、各走行駆動トルク指令値Td1、Td2が「Td2=Tdem、Td1>Tdbs」に設定された場合も、ステップS9において、第1および第2の駆動期間t1、t2が設定される。
この場合も、以下、ステップS9、S10により、第1の駆動期間t1においては、第1の走行駆動トルク指令値Td1が走行駆動トルク指令値Tdとして出力され、第2の駆動期間t2においては、第2の走行駆動トルク指令値Td2が走行駆動トルク指令値Tdとして出力される。
すなわち、所定時間t_all内の前半部の第1の駆動期間t1においては、要求走行駆動トルクTdbsよりも大きい第1の走行駆動トルク指令値Td1で走行駆動を行い、所定時間t_all内の後半部の第2の駆動期間t2においては、要求走行駆動トルクTdbsよりも小さい第2の走行駆動トルク指令値Td2(=Tdem)で走行駆動を行い、所定時間t_all内の平均値を、要求走行駆動トルクTdbsに一致させる。
これにより、回転速度検出値ωにおける電動モータ4の駆動時のエネルギー効率が最大となる最大効率トルクTdemが、要求走行駆動トルクTdbsよりも小さい場合であっても、要求走行駆動トルクTdbsで電動モータ4を駆動する場合よりも、エネルギー損失が低減するように電動モータ4を駆動することができる。
一方、図2内の駆動モード判定部15においても、あらかじめ、電動モータ4のエネルギー効率マップ(図4参照)が設定されている。
駆動モード判定部15は、エネルギー効率マップ(図4)と各種入力情報(アクセル操作量Acc、回転速度検出値ω、要求走行駆動トルクTdbs)とに基づき、目標トルクTresとして、走行駆動トルク指令値Td(Td1、Td2)または要求走行駆動トルクTdbsのどちらを出力するか、を決定するための駆動モード判定結果Sdct(「1」または「0」)を出力する。
具体的には、駆動モード判定部15は、以下の条件(A)〜(C)を満たす場合には、非定常状態と見なして、駆動モード判定結果Sdctを「0」に設定し、以下の条件(A)〜(C)以外の場合には、定常状態と見なして、駆動モード判定結果Sdctを「1」に設定する。
(A)回転速度検出値ωにおいて、設定可能な走行駆動トルクの最大値と、要求走行駆動トルクTdbsとがほぼ等しい場合。
(B)回転速度検出値ωにおいて、設定可能な範囲内における最大のエネルギー効率Edemと、要求走行駆動トルクTdbsにおけるエネルギー効率Edbsとの差が、所定値以下である場合。
(C)アクセル操作量Accが所定値よりも大きい場合。
目標トルク選択部16は、駆動モード判定部15からの駆動モード判定結果Sdctが「1」(定常状態)の場合には、走行駆動トルク指令値演算部14により算出された走行駆動トルク指令値Td(Td1、Td2)を目標トルクTresとして出力する。
一方、駆動モード判定結果Sdctが「0」(非定常状態)の場合には、走行駆動トルク指令値Tdの算出値を出力せずに、従来装置と同様に、要求走行駆動トルクTdbsを目標トルクTresとして出力する。
なお、上記説明では、走行駆動トルク指令値演算部14は、エネルギー効率マップ(図4)に基づき、回転速度検出値ωにおいてエネルギー効率が最大となる最大効率トルクTdemを読み込み、最大効率トルクTdemの値を第1および第2の走行駆動トルク指令値Td1、Td2の一方に設定したが、この演算処理に限定されることはない。
たとえば、走行駆動トルク指令値演算部14は、エネルギー効率マップ(図4)に基づき、回転速度検出値ωおよび要求走行駆動トルクTdbsにおけるエネルギー効率Edbsを読み込み、エネルギー効率Edbsよりもエネルギー効率が大きくなるようなトルクを、第1および第2の走行駆動トルク指令値Td1、Td2の一方に設定してもよい。
また、走行駆動トルク指令値演算部14は、Tdem≧Tdbsの場合に、第2の走行駆動トルク指令値Td2を「0」に設定したが、この演算処理に限定されることはなく、第2の走行駆動トルク指令値Td2を、要求走行駆動トルクTdbsよりも十分に小さい値(>0)に設定してもよい。
このように、Td2>0の小さい値に設定することにより、走行フィーリングの悪化を回避しつつ走行駆動トルク指令値Tdを設定することができるので、走行フィーリングの悪化を抑制するとともに、要求走行駆動トルクTdbsで電動モータ4を駆動する場合よりも、エネルギー損失が低減するように電動モータ4を駆動することができる。
さらに、図2においては、駆動モード判定部15および目標トルク選択部16を設け、駆動モード判定結果Sdctに基づき、要求走行駆動トルクTdbsと走行駆動トルク指令値Tdとの一方を選択して、目標トルクTresとして出力したが、駆動モード判定部15および目標トルク選択部16を省略して、駆動モードを考慮せずに、目標トルクTresとして、常に走行駆動トルク指令値Tdを出力してもよい。
以上のように、この発明の実施の形態1(図1〜図5)によれば、車両(電気自動車)1の力行時に要求される要求走行駆動トルクTdbsの総量を確保しつつ、電動モータの駆動時のエネルギー効率が最大となる第1の走行駆動トルク指令値Td1(=Tdem)による駆動と、駆動休止(Td2=0)とを繰り返して、電動モータ4を間欠駆動させることができる。すなわち、可能な限り最大効率トルクTdemで駆動しつつ、平均値(実質トルク)を目標値(要求走行駆動トルクTdbs)に一致させることができる。
したがって、常に要求走行駆動トルクTdbsで電動モータ4を駆動する場合よりも、エネルギー損失が低減するように電動モータ4を駆動することができる。
また、走行駆動トルク指令値演算部14は、走行駆動トルク指令値Tdの出力値をローパスフィルタ処理し、走行駆動トルク指令値Tdの変化を徐々に行うようにするので、走行フィーリングの悪化を抑制することができる。
さらに、アクセル操作量Acc、回転速度検出値ωおよび要求走行駆動トルクTdbsに基づき、目標トルクTresとして、要求走行駆動トルクTdbsまたは走行駆動トルク指令値Tdのどちらを出力するかを決定するので、上記間欠駆動が不適切である場合には、要求走行駆動トルクTdbsで電動モータ4を駆動することができる。
具体的には、この発明の実施の形態1に係る電気自動車の駆動制御装置は、図1、図2のように、車両1に搭載されて車両1の走行駆動トルクを出力可能な電動モータ4と、電動モータ4を制御する制御装置(車両制御ユニット9、モータ制御ユニット7)とを備えている。
車両制御ユニット9内の走行駆動トルク指令値演算部14は、電動モータ4による走行駆動トルクが要求される力行時において、アクセル操作量Accに基づく要求走行駆動トルクTdbsよりも大きい第1の走行駆動トルク指令値Td1で電動モータ4を駆動する第1の駆動期間t1と、要求走行駆動トルクTdbsよりも小さい第2の走行駆動トルク指令値Td2で電動モータ4を駆動する第2の駆動期間t2とを交互に設定する。
ここで、第1および第2の駆動期間t1、t2における第1および第2の走行駆動トルク指令値Td1、Td2の時間平均値は、所定誤差範囲内で要求走行駆動トルクと一致するように設定されている。
また、第1および第2の走行駆動トルク指令値Td1、Td2の少なくとも一方における電動モータ4の駆動時のエネルギー効率は、要求走行駆動トルクTdbsでの電動モータ4の駆動時のエネルギー効率よりも高い値に設定されているので、要求走行駆動トルクTdbsで電動モータ4を駆動する場合よりも、エネルギー損失を低減させることができる。
また、走行駆動トルク指令値演算部14は、第1の駆動期間t1と第2の駆動期間t2との切り換え時(図3内のステップS11)において、ローパスフィルタ処理を施すことにより、第1の走行駆動トルク指令値Td1と第2の走行駆動トルク指令値Td2との間の切り換わり変化を緩やかに移行させる。
これにより、第1の駆動期間t1と第2の駆動期間t2との切り換わり時における走行駆動トルクの急変が抑制されるので、運転フィーリングの悪化を抑制しつつ、エネルギー損失を低減させることができる。
また、走行駆動トルク指令値演算部14は、図3内のステップS6のように、第2の走行駆動トルク指令値Td2を「0」に設定する。
これにより、電動モータ4の駆動時におけるエネルギー効率が、要求走行駆動トルクTdbsでの電動モータ4の駆動時のエネルギー効率よりも高いうえ、電動モータ4が駆動と駆動休止とを繰り返す間欠駆動モードとなるので、さらにエネルギー損失の低減を実現することができる。
また、走行駆動トルク指令値演算部14は、第1および第2の走行駆動トルク指令値Td1、Td2の少なくとも一方(ステップS5においては、Td1=Tdem)における電動モータ4の駆動時のエネルギー効率を、設定可能な走行駆動トルク指令値の範囲内で最大のエネルギー効率に設定する。
これにより、設定可能な範囲内で最大のエネルギー効率で、電動モータ4の駆動が可能となり、さらにエネルギー損失の低減を実現することができる。
また、走行駆動トルク指令値演算部14は、要求走行駆動トルクTdbsが、設定可能な走行駆動トルク指令値の範囲内で最大の走行駆動トルクである場合には、要求走行駆動トルクTdbsで電動モータ4を駆動する。
これにより、要求走行駆動トルクTdbsよりも大きな走行駆動トルク指令値Tdが設定不可能な場合には、第1および第2の走行駆動トルク指令値Td1、Td2によって電動モータ4を制御せずに、従来装置と同様に、要求走行駆動トルクTdbsで電動モータ4を制御することになるので、電動モータ4を安定に制御することができる。
また、走行駆動トルク指令値演算部14は、要求走行駆動トルクTdbsでの電動モータ4の駆動時のエネルギー効率と、設定可能な走行駆動トルク指令値の範囲内における最大のエネルギー効率との差が所定値以下である場合には、要求走行駆動トルクTdbsで電動モータ4を駆動する。
これにより、エネルギー損失の低減量が小さい場合には、第1および第2の走行駆動トルク指令値Td1、Td2によって電動モータ4を制御せずに、従来装置と同様に、要求走行駆動トルクTdbsで電動モータ4を制御することになるので、運転フィーリングの不必要な悪化を防止することができる。
さらに、走行駆動トルク指令値演算部14は、車両1の運転状態情報(回転速度検出値ω、アクセル操作量Acc、ブレーキ操作量Brkなど)が非定常状態を示す場合には、要求走行駆動トルクTdbsで電動モータ4を駆動する。
これにより、たとえば、車両1が急激な加減速中にある非定常状態においては、第1および第2の走行駆動トルク指令値Td1、Td2によって電動モータ4を制御せずに、従来装置と同様に、要求走行駆動トルクTdbsで電動モータ4を制御することになるので、車両1の挙動が不安定になることを防止することができる。
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1(図1〜図5)では、車両1の力行時に対応した制御について説明したが、図6〜図9のように、図1内の車両制御ユニット9は、車両1の回生制動時(減速時)に対応した制御も可能である。
図6はこの発明の実施の形態2に係る車両制御ユニット9の主要機能を具体的に示す機能ブロック図であり、前述(図2参照)と同様のものについては、前述と同一符号が付されている。図6においては、車両1の回生制動時に関連した演算処理部のみが示されている。
なお、この発明の実施の形態2に係る電気自動車の駆動制御装置のシステム全体の構成については、前述(図1)と同一なので、説明を省略する。
図6において、車両制御ユニット9は、車速演算部12と、要求回生制動トルク演算部17と、回生制動トルク指令値演算部18と、回生モード判定部19と、目標トルク選択部20とを備えている。
車速演算部12は、前述と同様に、車速Velを回転速度検出値ωから演算する。
要求回生制動トルク演算部17は、回生制動時において、アクセル操作量Acc、ブレーキ操作量Brkおよび車速Velを入力情報として、あらかじめ設定されたマップ(アクセル操作量Acc、ブレーキ操作量Brkおよび車速Velと、要求回生制動トルクTrbsとの関係を示す)を参照して、電動モータ4の目標トルクTresの基本要求値である要求回生制動トルクTrbsを演算する。
このとき、要求回生制動トルクTrbsは、ブレーキ操作量Brkが大きいほど大きくなるように、また、車速Velが大きいほど大きくなるように演算される。
なお、ここでは、要求回生制動トルク演算部17が、アクセル操作量Acc、ブレーキ操作量Brkおよび車速Velに応じて要求回生制動トルクTrbsが演算する場合を示したが、ブレーキ操作量Brkのみに応じて要求回生制動トルクTrbsを演算してもよい。
または、ブレーキ操作量Brkおよび車速Velに応じて要求回生制動トルクTrbsを演算してもよく、さらに、ブレーキ操作量Brkおよびアクセル操作量Accに応じて要求回生制動トルクTrbsを演算してもよい。
回生制動トルク指令値演算部18は、要求回生制動トルクTrbsおよび回転速度検出値ωに基づき、第1の回生制動トルク指令値Tr1と第2の回生制動トルク指令値Tr2とを演算し、これらの演算値を、それぞれ第1の回生期間t3と第2の回生期間t4とにおいて、回生制動トルク指令値Trとして交互に出力する。
回生モード判定部19は、ブレーキ操作量Brk、回転速度検出値ωおよび要求回生制動トルクTrbsに基づいて、回生モード判定結果Srct(「1」または「0」)を出力する。
目標トルク選択部20は、回生モード判定結果Srctに応じて、回生制動トルク指令値Tr(Tr1、Tr2)または要求回生制動トルクTrbsの一方を、目標トルクTresとして選択する。
次に、図7のフローチャートとともに、図8および図9の説明図を参照しながら、図6内の回生制動トルク指令値演算部18による具体的な処理動作について説明する。
図8はこの発明の実施の形態2に用いられる電動モータ4のエネルギー効率マップを示す説明図である。また、図9はこの発明の実施の形態2に係る第1および第2の回生期間t3、t4の設定動作を示す説明図である。
回生制動トルク指令値演算部18には、あらかじめ図8のように、電動モータ4のエネルギー効率マップ(回転速度と、トルクと、エネルギー効率との関係を示す)が設定されている。
図7において、回生制動トルク指令値演算部18は、まず、電動モータ4のエネルギー効率マップ(図8)を読み込み(ステップS21)、要求回生制動トルクTrbsおよび回転速度検出値ωを読み込む(ステップS22)。
続いて、エネルギー効率マップ(図8)に基づき、回転速度検出値ωにおいてエネルギー効率が最大となる最大効率トルクTremを演算する(ステップS23)。
次に、エネルギー効率マップおよび回転速度検出値ωから求めた最大効率トルクTremと、要求回生制動トルクTrbsとを比較し、Trem≧Trbsの関係を満たすか否かを判定する(ステップS24)。
ステップS24において、Trem≧Trbs(すなわち、YES)と判定されれば、第1の回生制動トルク指令値Tr1に最大効率トルクTremの値を設定し(ステップS25)、また、第2の回生制動トルク指令値Tr2に「0」を設定して(ステップS26)、次の演算処理(ステップS29)に移行する。
一方、ステップS24において、Trem<Trbs(すなわち、NO)と判定されれば、第2の回生制動トルク指令値Tr2に最大効率トルクTremの値を設定し(ステップS27)、第1の回生制動トルク指令値Tr1として、要求回生制動トルクTrbsよりも大きい値Trbs*(>Trbs)を設定して(ステップS28)、次の演算処理(ステップS29)に移行する。
ステップS29において、回生制動トルク指令値演算部18は、以下の演算処理に基づいて、第1の回生期間t3と第2の回生期間t4とを設定する。
すなわち、代表例として、Trem≧Trbsの場合には、図9に示すように、第1の回生制動トルク指令値Tr1(=Trem)と第2の回生制動トルク指令値Tr2(=0)との時間平均値(実質トルク)が、無視できる程度の所定誤差範囲内で、要求回生制動トルクTrbsと一致するように、第1および第2の回生期間t3、t4を設定する。
また、図9に示すように、第1の回生期間t3と第2の回生期間t4との合計が、所定時間t_allと一致するように設定される。
すなわち、Trem≧Trbsの場合には、第1および第2の回生期間t3、t4は、以下の式(3)、式(4)を満たすように設定される。
Figure 2011067043
次に、回生制動トルク指令値演算部18は、上記演算処理により設定された第1の回生期間t3においては、第1の回生制動トルク指令値Tr1を回生制動トルク指令値Trとして出力し、第2の回生期間t4においては、第2の回生制動トルク指令値Tr2を回生制動トルク指令値Trとして設定する(ステップS30)。
最後に、回生制動トルク指令値演算部18は、最終的な回生制動トルク指令値Trとして、第1および第2の回生制動トルク指令値Tr1、Tr2を、それぞれ第1および第2の回生期間t3、t4(図5参照)で交互に出力する(ステップS31)。
このとき、回生制動トルク指令値演算部18は、回生制動トルク指令値Trに対してローパスフィルタ処理を施すことにより、第1の回生期間t3と第2の回生期間t4との切り換わり時における回生制動トルク指令値Trの変化を緩やかに移行させる。
以上は、ステップS24の判定結果が「YES(Trem≧Trbs)」であって、ステップS25、S26の処理により、各回生制動トルク指令値Tr1、Tr2が「Tr1=Trem、Tr2=0」に設定された場合の説明である。
同様に、ステップS24の判定結果が「NO(Trem<Trbs)」であって、ステップS27、S28の処理により、各回生制動トルク指令値Tr1、Tr2が「Tr2=Trem、Tr1>Trbs」に設定された場合も、ステップS29において、第1および第2の回生期間t3、t4が設定される。
この場合も、以下、ステップS29、S30により、第1の回生期間t3においては、第1の回生制動トルク指令値Tr1(>Trbs)が回生制動トルク指令値Trとして出力され、第2の回生期間t4においては、第2の回生制動トルク指令値Tr2(=Trem)が回生制動トルク指令値Trとして出力される。
すなわち、所定時間t_all内の前半部の第1の回生期間t3においては、要求回生制動トルクTrbsよりも大きい第1の回生制動トルク指令値Tr1で回生制動を行い、所定時間t_all内の後半部の第2の回生期間t4においては、要求回生制動トルクTrbsよりも小さい第2の回生制動トルク指令値Tr2で回生制動を行い、所定時間t_all内の平均値を、要求回生制動トルクTrbsに一致させる。
これにより、回転速度検出値ωにおける電動モータ4の回生時のエネルギー効率が最大となる最大効率トルクTremが、要求回生制動トルクTrbsよりも小さい場合であっても、要求回生制動トルクTrbsで電動モータ4を回生制動する場合よりも、エネルギー損失が低減するように電動モータ4を回生制動することができる。
一方、図6内の回生モード判定部19においても、あらかじめ、電動モータ4のエネルギー効率マップ(図8参照)が設定されている。
回生モード判定部19は、エネルギー効率マップ(図8)と各種入力情報(ブレーキ操作量Brk、回転速度検出値ω、要求回生制動トルクTrbs)とに基づき、目標トルクTresとして、回生制動トルク指令値Tr(Tr1、Tr2)または要求回生制動トルクTrbsのどちらを出力するか、を決定するための回生モード判定結果Srct(「1」または「0」)を出力する。
具体的には、回生モード判定部19は、以下の条件(a)〜(c)を満たす場合には、非定常状態と見なして、回生モード判定結果Srctを「0」に設定し、以下の条件(a)〜(c)以外の場合には、定常状態と見なして、回生モード判定結果Srctを「1」に設定する。
(a)回転速度検出値ωにおいて、設定可能な回生制動トルクの最大値と要求回生制動トルクTrbsとがほぼ等しい場合。
(b)回転速度検出値ωにおいて、設定可能な範囲内における最大のエネルギー効率Eremと、要求回生制動トルクTrbsにおけるエネルギー効率Erbsとの差が、所定値以下である場合。
(c)ブレーキ操作量Brkが所定値よりも大きい場合。
目標トルク選択部20は、回生モード判定部19からの回生モード判定結果Srctが「1」(定常状態)の場合には、回生制動トルク指令値演算部18により算出された回生制動トルク指令値Tr(Tr1、Tr2)を目標トルクTresとして出力する。
一方、回生モード判定結果Srctが「0」(非定常状態)の場合には、回生制動トルク指令値Trの算出値を出力せずに、従来装置と同様に、要求回生制動トルクTrbsを目標トルクTresとして出力する。
なお、上記説明では、回生制動トルク指令値演算部18は、エネルギー効率マップ(図8)に基づき、回転速度検出値ωにおいてエネルギー効率が最大となる最大効率トルクTremを読み込み、最大効率トルクTremの値を第1および第2の回生制動トルク指令値Tr1、Tr2の一方に設定したが、この演算処理に限定されることはない。
たとえば、回生制動トルク指令値演算部18は、エネルギー効率マップ(図8)に基づき、回転速度検出値ωおよび要求回生制動トルクTrbsにおけるエネルギー効率Erbsを読み込み、エネルギー効率Erbsよりもエネルギー効率が大きくなるようなトルクを、第1および第2の回生制動トルク指令値Tr1、Tr2の一方に設定してもよい。
また、回生制動トルク指令値演算部18は、Trem≧Trbsの場合に、第2の回生制動トルク指令値Tr2を「0」に設定したが、この演算処理に限定されることはなく、第2の回生制動トルク指令値Tr2を、要求回生制動トルクTrbsよりも十分に小さい値(>0)に設定してもよい。
このように、Tr2>0の小さい値に設定することにより、走行フィーリングの悪化を回避しつつ回生制動トルク指令値Trを設定することができるので、走行フィーリングの悪化を抑制するとともに、要求回生制動トルクTrbsで電動モータ4を回生制動する場合よりも、エネルギー損失が低減するように電動モータ4を回生制動することができる。
また、図6においては、回生モード判定部19および目標トルク選択部20を設け、回生モード判定結果Srctに基づき、要求回生制動トルクTrbsと回生制動トルク指令値Trとの一方を選択して、目標トルクTresとして出力したが、回生モード判定部19および目標トルク選択部20を省略して、回生モードを考慮せずに、目標トルクTresとして、常に回生制動トルク指令値Trを出力してもよい。
また、前述の「エネルギー効率」は、電動モータ4のエネルギー効率としたが、電動モータ4とインバータ5とを合わせた総合的なエネルギー効率としてもよく、さらに、バッテリ6の充放電効率を「エネルギー効率」に含めてもよい。
以上のように、この発明の実施の形態2(図1、図6〜図9)によれば、車両(電気自動車)1の回生制動時に要求される要求回生制動トルクTrbsの総量を確保しつつ、電動モータ4の回生時のエネルギー効率が最大となる第1の回生制動トルク指令値Tr1(=Trem)による回生制動と、回生休止(Tr2=0)とを繰り返して、電動モータ4を間欠回生させることができる。すなわち、可能な限り最大効率トルクTremで回生しつつ、平均値(実質トルク)を目標値(要求回生制動トルクTrbs)に一致させることができる。
したがって、常に要求回生制動トルクTrbsで電動モータ4を回生制動する場合よりも、エネルギー損失が低減するように電動モータ4を回生制動することができる。
また、回生制動トルク指令値演算部18は、回生制動トルク指令値Trの出力値をローパスフィルタ処理し、回生制動トルク指令値Trの変化を徐々に行うようにするので、走行フィーリングの悪化を抑制することができる。
さらに、ブレーキ操作量Brk、回転速度検出値ωおよび要求回生制動トルクTrbsに基づき、目標トルクTresとして、要求回生制動トルクTrbsまたは回生制動トルク指令値Trのどちらを出力するかを決定するので、上記間欠駆動が不適切である場合には、要求回生制動トルクTrbsで電動モータ4を回生制動することができる。
具体的には、この発明の実施の形態2に係る電気自動車の駆動制御装置は、図1、図6のように、車両1に搭載されて車両1の回生制動トルクを出力可能な電動モータ4と、電動モータ4を制御する制御装置(車両制御ユニット9、モータ制御ユニット7)とを備えている。
車両制御ユニット9内の回生制動トルク指令値演算部18は、電動モータ4による回生制動トルクが要求される回生制動時において、ブレーキ操作量Brkに基づく要求回生制動トルクTrbsよりも大きい第1の回生制動トルク指令値Tr1で電動モータ4を回生する第1の回生期間t3と、要求回生制動トルクTrbsよりも小さい第2の回生制動トルク指令値Tr2で電動モータ4を回生する第2の回生期間t4とを交互に設定する。
ここで、第1および第2の回生期間t3、t4における第1および第2の回生制動トルク指令値Tr1、Tr2の時間平均値は、所定誤差範囲内で要求回生制動トルクTrbsと一致するように設定されている。
また、第1および第2の回生制動トルク指令値Tr1、Tr2の少なくとも一方における電動モータ4の回生時のエネルギー効率は、要求回生制動トルクTrbsでの電動モータ4の回生時のエネルギー効率よりも高い値に設定されているので、要求回生制動トルクTrbsで電動モータ4を回生する場合よりも、エネルギー損失を低減することができる。
また、回生制動トルク指令値演算部18は、第1の回生期間t3と第2の回生期間t4との切り換え時において、ローパスフィルタ処理を施すことにより、第1の回生制動トルク指令値Tr1と第2の回生制動トルク指令値Tr2との間の切り換わり変化を緩やかに移行させる。
これにより、第1の回生期間t3と第2の回生期間t4との切り換わり時における回生制動トルクの急変を抑制し、運転フィーリングの悪化を抑制しつつ、エネルギー損失を低減することができる。
また、回生制動トルク指令値演算部18は、図7内のステップS26のように、第2の回生制動トルク指令値を「0」に設定する。
これにより、電動モータ4の回生時におけるエネルギー効率が、要求回生制動トルクTrbsでの電動モータ4の回生時のエネルギー効率よりも高いうえ、電動モータ4が回生制動と回生休止とを繰り返す間欠回生モードとなるので、さらにエネルギー損失の低減を実現することができる。
また、回生制動トルク指令値演算部18は、第1および第2の回生制動トルク指令値Tr1、Tr2の少なくとも一方における電動モータ4の回生時のエネルギー効率を、設定可能な回生制動トルク指令値の範囲内で最大のエネルギー効率に設定する。
これにより、設定可能な範囲内で最大のエネルギー効率での電動モータ4の回生が可能となり、さらにエネルギー損失の低減を実現することができる。
また、回生制動トルク指令値演算部18は、要求回生制動トルクTrbsが、設定可能な回生制動トルク指令値の範囲内で最大の回生制動トルクである場合には、要求回生制動トルクTrbsで電動モータを回生する。
これにより、要求回生制動トルクTrbsよりも大きな回生制動トルク指令値が設定不可能な場合には、第1および第2の回生制動トルク指令値Tr1、Tr2で電動モータ4を制御せずに、従来装置と同様に、要求回生制動トルクTrbsにより制御することになるので、電動モータ4を安定に制御することができる。
また、回生制動トルク指令値演算部18は、要求回生制動トルクTrbsでの電動モータ4の回生時のエネルギー効率と、設定可能な回生制動トルク指令値の範囲内における最大のエネルギー効率との差が所定値以下である場合には、要求回生制動トルクTrbsで電動モータ4を回生制動する。
これにより、エネルギー損失の低減量が小さい場合には、第1および第2の回生制動トルク指令値Tr1、Tr2で電動モータ4を制御せずに、従来装置と同様に、要求回生制動トルクTrbsにより制御することになるので、運転フィーリングの不必要な悪化を防止することができる。
また、回生制動トルク指令値演算部18は、車両1の運転状態情報(回転速度検出値ω、アクセル操作量Acc、ブレーキ操作量Brkなど)が非定常状態を示す場合には、要求回生制動トルクTrbsで電動モータ4を回生制動する。
これにより、たとえば、車両が急激な加減速中にある非定常状態では、第1および第2の回生制動トルク指令値Tr1、Tr2で電動モータ4を制御せずに、従来装置と同様に、要求回生制動トルクTrbsにより制御することになるので、車両1の挙動が不安定になることを防止することができる。
1 車両(電気自動車)、4 電動モータ、5 インバータ、6 バッテリ、7 モータ制御ユニット、8 回転センサ、9 車両制御ユニット、10 アクセルセンサ、11 ブレーキセンサ、12 車速演算部、13 要求走行駆動トルク演算部、14 走行駆動トルク指令値演算部、15 駆動モード判定部、16、20 目標トルク選択部、17 要求回生制動トルク演算部、18 回生制動トルク指令値演算部、19 回生モード判定部、Acc アクセル操作量、Brk ブレーキ操作量、Edbs、Edem、Erbs、Erem エネルギー効率、Sdct 駆動モード判定結果、Srct 回生モード判定結果、t_all 所定時間、t1 第1の駆動期間、t2 第2の駆動期間、t3 第1の回生期間、t4 第2の回生期間、Td 走行駆動トルク指令値、Td1 第1の走行駆動トルク指令値、Td2 第2の走行駆動トルク指令値、Tdbs 要求走行駆動トルク、Tdem、Trem 最大効率トルク、Tr 回生制動トルク指令値、Tr1 第1の回生制動トルク指令値、Tr2 第2の回生制動トルク指令値、Trbs 要求回生制動トルク、Tres 目標トルク、Vel 車速、ω 回転速度検出値。

Claims (14)

  1. 車両に搭載されて前記車両の走行駆動トルクを出力可能な電動モータと、
    前記電動モータを制御する制御装置とを備え、
    前記制御装置は、
    前記電動モータによる走行駆動トルクが要求される力行時において、アクセル操作量に基づく要求走行駆動トルクよりも大きい第1の走行駆動トルク指令値で前記電動モータを駆動する第1の駆動期間と、前記要求走行駆動トルクよりも小さい第2の走行駆動トルク指令値で前記電動モータを駆動する第2の駆動期間とを交互に設定し、
    前記第1および第2の駆動期間における前記第1および第2の走行駆動トルク指令値の時間平均値は、所定誤差範囲内で前記要求走行駆動トルクと一致し、
    前記第1および第2の走行駆動トルク指令値の少なくとも一方における前記電動モータの駆動時のエネルギー効率は、前記要求走行駆動トルクでの前記電動モータの駆動時のエネルギー効率よりも高い値に設定されたことを特徴とする電気自動車の駆動制御装置。
  2. 前記制御装置は、前記第1の駆動期間と前記第2の駆動期間との切り換え時において、前記第1の走行駆動トルク指令値と前記第2の走行駆動トルク指令値との間の切り換わり変化を緩やかに移行させることを特徴とする請求項1に記載の電気自動車の駆動制御装置。
  3. 前記制御装置は、前記第2の走行駆動トルク指令値を「0」に設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気自動車の駆動制御装置。
  4. 前記制御装置は、前記第1および第2の走行駆動トルク指令値の少なくとも一方における前記電動モータの駆動時のエネルギー効率を、設定可能な走行駆動トルク指令値の範囲内で最大のエネルギー効率に設定することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電気自動車の駆動制御装置。
  5. 前記制御装置は、前記要求走行駆動トルクが、設定可能な走行駆動トルク指令値の範囲内で最大の走行駆動トルクである場合には、前記要求走行駆動トルクで前記電動モータを駆動することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の電気自動車の駆動制御装置。
  6. 前記制御装置は、前記要求走行駆動トルクでの前記電動モータの駆動時のエネルギー効率と、設定可能な走行駆動トルク指令値の範囲内における最大のエネルギー効率との差が所定値以下である場合には、前記要求走行駆動トルクで前記電動モータを駆動することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の電気自動車の駆動制御装置。
  7. 前記制御装置は、車両運動が非定常状態である場合には、前記要求走行駆動トルクで前記電動モータを駆動することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の電気自動車の駆動制御装置。
  8. 車両に搭載されて前記車両の回生制動トルクを出力可能な電動モータと、
    前記電動モータを制御する制御装置とを備え、
    前記制御装置は、
    前記電動モータによる回生制動トルクが要求される回生制動時において、ブレーキ操作量に基づく要求回生制動トルクよりも大きい第1の回生制動トルク指令値で前記電動モータを回生する第1の回生期間と、前記要求回生制動トルクよりも小さい第2の回生制動トルク指令値で前記電動モータを回生する第2の回生期間とを交互に設定し、
    前記第1および第2の回生期間における前記第1および第2の回生制動トルク指令値の時間平均値は、所定誤差範囲内で前記要求回生制動トルクと一致し、
    前記第1および第2の回生制動トルク指令値の少なくとも一方における前記電動モータの回生時のエネルギー効率は、前記要求回生制動トルクでの前記電動モータの回生時のエネルギー効率よりも高い値に設定されたことを特徴とする電気自動車の駆動制御装置。
  9. 前記制御装置は、前記第1の回生期間と前記第2の回生期間との切り換え時において、前記第1の回生制動トルク指令値と前記第2の回生制動トルク指令値との間の切り換わり変化を緩やかに移行させることを特徴とする請求項8に記載の電気自動車の駆動制御装置。
  10. 前記制御装置は、前記第2の回生制動トルク指令値を「0」に設定することを特徴とする請求項8または請求項9に記載の電気自動車の駆動制御装置。
  11. 前記制御装置は、前記第1および第2の回生制動トルク指令値の少なくとも一方における前記電動モータの回生時のエネルギー効率を、設定可能な回生制動トルク指令値の範囲内で最大のエネルギー効率に設定することを特徴とする請求項8から請求項10までのいずれか1項に記載の電気自動車の駆動制御装置。
  12. 前記制御装置は、前記要求回生制動トルクが、設定可能な回生制動トルク指令値の範囲内で最大の回生制動トルクである場合には、前記要求回生制動トルクで前記電動モータを回生することを特徴とする請求項8から請求項11までのいずれか1項に記載の電気自動車の駆動制御装置。
  13. 前記制御装置は、前記要求回生制動トルクでの前記電動モータの回生時のエネルギー効率と、設定可能な回生制動トルク指令値の範囲内における最大のエネルギー効率との差が所定値以下である場合には、前記要求回生制動トルクで前記電動モータを回生することを特徴とする請求項8から請求項12までのいずれか1項に記載の電気自動車の駆動制御装置。
  14. 前記制御装置は、前記車両の運動が非定常状態を示す場合には、前記要求回生制動トルクで前記電動モータを回生することを特徴とする請求項8から請求項13までのいずれか1項に記載の電気自動車の駆動制御装置。
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