JP2011063623A - 耐糖能異常用医薬組成物及び飲食品 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の医薬品では治療することが難しい、耐糖能異常に対して有効に作用し、安全性に優れた薬剤(医薬組成物及び飲食品)を提供する。
【解決手段】有効成分としてロイシン、イソロイシン及びバリンの少なくとも1種の分岐鎖アミノ酸を含有する耐糖能異常用薬剤を提供する。糖尿病等、耐糖能異常を治療、予防することができる。特に、肝障害患者に好適であり、肝疾患薬等の医薬品の形態で、或いは健康食品等飲食品の形態又はこれに使用した形態で使用することができる。
【選択図】なし
【解決手段】有効成分としてロイシン、イソロイシン及びバリンの少なくとも1種の分岐鎖アミノ酸を含有する耐糖能異常用薬剤を提供する。糖尿病等、耐糖能異常を治療、予防することができる。特に、肝障害患者に好適であり、肝疾患薬等の医薬品の形態で、或いは健康食品等飲食品の形態又はこれに使用した形態で使用することができる。
【選択図】なし
Description
本発明は、新規耐糖能異常用薬剤、詳しくは分岐鎖アミノ酸を有効成分とする、耐糖能異常に対する治療、改善、進展(悪化)防止及び/又は予防等用に使用される薬剤に関する。本発明の薬剤は、医薬品(肝疾患薬、栄養剤等を含む。)の形態で、また飲食品(健康食品等を含む。)や食品補助剤等の形態又はこれ等に使用された形態で使用される。
肝硬変のような慢性の肝障害を有する患者の多くで、糖尿病等の耐糖能異常が高頻度に現われることが知られ(Exp. Clin. Endocrinol Diabetes (1995), 103, 63-74参照。)、その発症メカニズムに関しては、肝障害を引き金とする何らかの原因により、末梢組織でのインスリン抵抗性が生じていることによるものと考えられている(Hepatol. Res. (2000), 17, 93-101参照。)。また、肝障害患者に頻発する耐糖能異常に対しては次に挙げる理由から、既存の糖尿病治療薬を安易に用いることは危険とされており、実際にはその治療及び予防法が無いというのが現状である。即ち、代表的な糖尿病治療薬であるインスリン分泌促進剤(SU剤)やビグアナイド剤、或いはチアゾリジン環骨格を有するインスリン抵抗性治療薬(グリタゾン系薬剤)の多くは肝臓で代謝を受けることから、生体内での薬物濃度の制御が極めて難しく、薬物の使用により重篤な薬害を及ぼす危険性が指摘されており、その使用は厳しく制限されている。
このような情況下に、耐糖能異常に対する治療、予防剤として、特に安全性の高い薬剤の開発が求められている。
本発明が解決しようとする課題は、従来の医薬品では治療することが難しい耐糖能異常に対して有効に作用する薬剤を提供することにある。
少なくとも一種類以上の分岐鎖アミノ酸を含む医薬品製剤、又は飲食品(食品補助剤を含む。)の使用により、上記異常に対して治療、改善及び/又は予防する方法を提供するものである。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ロイシン、イソロイシン及びバリン等の分岐鎖アミノ酸を投与又は摂取することにより、耐糖能異常、特に肝障害を有する患者における耐糖能異常が、効果的に改善されることを見出し、本発明を完成するに到った。
尚、ロイシンは膵β細胞に働きインスリン分泌促進作用を有することが知られているが(Diabetes Mellitus: A fundamental And Clinical Text, Second Edition (2000)参照。)、インスリンの主要標的臓器である肝臓、筋肉、脂肪組織においてのインスリン感受性への効果は知られていなかった。また、ロイシン及びその他の分岐鎖アミノ酸であるイソロイシンや、バリンはその混合物又は単独でインスリンの主要標的臓器である肝臓、筋肉、脂肪組織や、或いはインスリン産生臓器である膵臓β細胞において蛋白合成促進作用を示すことが知られている(Biochem. J. (2000), 351, 545-550参照。)が、インスリン感受性への影響は知られておらず、末梢のインスリン抵抗性が原因となる糖尿病病態への効果は不明であった。
これまでに、分岐鎖アミノ酸による、耐糖能異常に対する治療又は予防に関する有効性がげっ歯類のモデル動物を用いた試験において調べられており、例えば、ストレプトゾトシン投与により誘導したマウス1型糖尿病モデルでの分岐鎖アミノ酸による部分的な予防効果や(Braz., J. Med. Biol. Res., (1987) 20, 137-144参照。)、EMCVウイルス感染により誘発したマウス1型糖尿病モデルにおいて分岐鎖アミノ酸が治療効果を有することが示されている(Eur. J. Pharm., (2000) 398, 409-414参照。)。このことから、分岐鎖アミノ酸がストレスによる膵β細胞の障害を予防することが示唆されているが、末梢のインスリン標的臓器におけるインスリン抵抗性の改善に関する効果は明らかではなかった。
本発明において、分岐鎖アミノ酸にこのような改善効果があることを初めて確認したものである。
即ち、本発明は有効成分としてロイシン、イソロイシン及びバリンの少なくとも1種のみからなり、耐糖能異常を有する患者のうちインスリン抵抗性を示す患者を治療するための薬剤に存する。また、本発明は有効成分としてロイシンのみからなり、耐糖能異常を有する患者のうちインスリン抵抗性を示す患者を治療するための医薬組成物にも存する。
医薬品、飲食品及び食品補助剤の何れかの形態又はこれ等の何れかに使用された形態で、本発明の薬剤を使用することができる。
本発明において有効成分として使用するロイシン、イソロイシン及びバリンの異性体に関しては、L-体、D-体、及びDL-体何れも使用可能であるが、天然に存在するという観点からL-体が好ましい。
本発明の薬剤は耐糖能異常の治療、改善、進展防止、予防等のために使用される。
本発明の薬剤は、特に1型若しくは2型糖尿病、又は妊娠糖尿病、肝疾患や内分泌疾患に伴う耐糖能異常に対して特に有効である。また、肝障害を有する動物、特にヒトに対して本発明の薬剤を好適に使用することができる。
本発明の薬剤中に、有効成分として、イソロイシン、ロイシン及びバリンの混合物を含めて使用することが好ましい。この場合、イソロイシン、ロイシン及びバリンの配合割合(重量比)において、イソロイシン/ロイシン/バリン=1/1.9〜2.2/1.1〜1.3となるような組成範囲で使用することがより好ましい。
本発明の薬剤は、健康食品、食品補助剤等飲食品の形態又はこれに使用した形態で好適に使用することができる。
本発明の薬剤には、特に医薬品、飲食品(健康食品、食品補助剤等を含む。)の形態で使用する場合、本発明の目的を阻害しない範囲で他の成分を併用、使用することができる。例えば、必要に応じてビタミン、無機質等食品や医薬品に通常含有せしめる補助的成分を任意に添加することができる。
また、本発明の薬剤を使用する場合、薬剤中の有効成分としてイソロイシン、ロイシン及びバリンの全てを含むことが望ましく、この場合一日当たりの投与量(摂取量)については、例えば一日当たりとして、イソロイシン2.5〜3.0g、ロイシン5.0〜6.0g、及びバリン3.0〜4.0gを投与又は摂取することができる。
上記本発明で使用する有効成分の投与量(摂取量)について算定する際、本発明の薬剤(本発明で目的とする疾患異常の治療、予防等の目的で使用される薬剤)の有効成分として前記の算定範囲が決められているので、これとは別目的で、例えば通常の食生活の必要から、或いは別の疾患の治療目的で、摂取又は投与される分岐鎖アミノ酸についてはこれを前記算定に含める必要はない。
例えば、通常の食生活から摂取される一日当たりのイソロイシン、ロイシン及びバリンの量を前記本発明における有効成分の一日当たりの投与量から控除して算定する必要はない。
本発明により、糖尿病、若しくは肝障害を有する患者における糖尿病等、耐糖能異常の治療、改善、進展防止、予防等に適した薬剤を提供することができる。安全性に優れており、医薬品、また、有効成分が分岐鎖アミノ酸であることから、安全性が高く、副作用がほとんどないので、既存の糖尿病治療剤に比べて使用上有利である。
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の薬剤は、特に医薬品(肝疾患薬、栄養剤等を含む。)の形態で又は飲食品(健康食品、食品補助剤等を含む。)に使用した形態で使用することができる。
本発明において、「耐糖能異常」とは、糖代謝に関して正常ではない病態を全て包含するものである。例えば、この耐糖能異常の定義について日本糖尿病学会の判定基準(糖尿病42(5):385〜404, 1999参照。)においては、血糖値が空腹時値110mg/dl以上、又は75g糖負荷試験(OGTT)2時間値140mg/dl以上の病態と説明しているが、この説明内容をこの病態(疾患)の定義とすることができる。この中には、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病、肝疾患や内分泌疾患に伴う糖代謝異常等の各種疾患が含まれる。
本発明の薬剤は、従来の糖尿病薬を使うことが難しいとされる、肝障害を有する耐糖能異常の治療、改善及び/又は予防に特に有効である。また、後述の実施例に示すように、有効成分として、ロイシン、イソロイシン及びバリンの少なくとも1種を使用することによりその目的とする効果を奏することができる。また、有効成分がアミノ酸ということで、安全性に優れており、飲食品(健康食品等)の形態でも簡便に使用することができる。
前述の如く、本発明の薬剤が適用(投与又は摂取)される病気、疾患は耐糖能異常であり、この薬剤の適用対象は、その予防、改善、進展(悪化)防止、治療等を求めるものであれば特に制限は無いが、哺乳動物、通常はヒト(患者、健常者)に対して、前記各種の形態で適用される。肝障害を有する糖尿病等、耐糖能異常の治療、改善及び/又は予防において、極めて効果的である。
本発明の薬剤の投与形態(又は食品としての摂取形態)には特に制限は無い。好ましくは、経口投与(摂取)することができる。この場合、投与量は投与する患者の症状、年齢、投与方法によって異なるが、通常、一日当たりとして、イソロイシン1.0〜30.0g、ロイシン1.0g〜30.0g、及びバリン1.0〜30.0g程度である。一般の成人の場合、好ましくは、一日当たりとして、イソロイシン2.0〜10.0g、ロイシン2.0〜10.0g、及びバリン2.0〜10.0g程度、より好ましくは、イソロイシン2.5〜3.0g、ロイシン5.0〜6.0g、及びバリン3.0〜4.0g程度である。
一方、点滴投与、注射投与(経静脈投与)等非経口投与(摂取)することもでき、その場合の投与量(摂取量)については、前記経口投与(摂取)についての好ましい投与量(摂取量)範囲の十〜二十分の一程度を投与(摂取)することができる。
本発明の薬剤を医薬品又は飲食品の形態で使用する場合、常法により調製することができる。医薬品の場合、薬理学的に許容し得る各種の製剤用物質(補助剤等として)を含むこともできる。製剤用物質は製剤の剤型により適宜選択することができるが、例えば、賦形剤、希釈剤、添加剤、崩壊剤、結合剤、被覆剤、潤滑剤、滑走剤、滑沢剤、風味剤、甘味剤、可溶化剤等を挙げることができる。更に、製剤用物質を具体的に例示すると、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、ラクトース、マンニトール及びその他の糖類、タルク、牛乳蛋白、ゼラチン、澱粉、セルロース及びその誘導体、動物及び植物油、ポリエチレングリコール、及び溶剤、例えば滅菌水及び一価又は多価アルコール、例えばグリセロールを挙げることができる。
本発明においては、他の薬剤成分(医薬活性物質)と共に、例えば混合又は組み合わせて使用することができ、このような場合本発明で目的とする有効成分、好ましくはL−イソロイシン、L−ロイシン及びL−バリンの混合物を、特に前記好ましい比率で含有し目的とする前記薬理活性を示すものであれば本発明の薬剤に含まれる。尚、本発明においてその有効成分に使用する個々のアミノ酸は、その一部又は全部についてそれぞれ塩の形態で使用することもできる。
本発明の薬剤は、前述の如く公知の又は将来開発される様々な医薬製剤の形態、前述の如く例えば、経口投与、腹腔内投与、経皮的投与、経静脈投与、吸入投与等各種の投与形態に調製することができる。本発明の薬剤をこれ等様々な医薬製剤の形態に調製するためには公知の又は将来開発される方法を適宜採用することができる。
これら様々な医薬製剤の形態として、例えば適当な固形又は液状の製剤形態、例えば顆粒、粉剤、被覆錠剤、錠剤、(マイクロ)カプセル、坐剤、シロップ、ジュース、懸濁液、乳濁液、滴下剤、注射用溶液、活性物質の放出を延長する製剤等を挙げることができる。
以上に例示した製剤形態にある本発明の薬剤には、薬効を奏するに有効な量の前記成分を含有すべきことは当然のことである。薬効を奏するに有効な量の前記成分を含有すべきことについては飲食品への使用についても当てはまることである。
本発明を飲食品に使用するには特に困難は無く、例えばジュース、牛乳、菓子、ゼリー等に混ぜて飲食することができる。
本発明の薬剤を食品補助剤として使用する場合、例えば錠剤、カプセル、散剤、顆粒、懸濁剤、チュアブル剤、シロップ剤等の形態に調製することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)ラット、Leu負荷時の血糖変化
7週齢のSD系雄性ラットに0.05% phenobarbital・Na水を供与し、0.5ml/kgの四塩化炭素を50%オリーブ油溶液として背部皮下に、週2回15週間以上にわたり連続投与して慢性肝障害ラットを作製した。実験開始17時間前から絶食とし、60分前に4g/kgのグルコースを、実験開始時(0分)に1.5g/kgのL-ロイシン(Leu)又は、対照として生理食塩水を経口投与した。実験開始後、-60、0、30、60、90、及び150分に尾静脈より経時的に採血し、血中グルコースを、ドライケム5000を用いて酵素法にて測定した。その結果を図1に示す。
7週齢のSD系雄性ラットに0.05% phenobarbital・Na水を供与し、0.5ml/kgの四塩化炭素を50%オリーブ油溶液として背部皮下に、週2回15週間以上にわたり連続投与して慢性肝障害ラットを作製した。実験開始17時間前から絶食とし、60分前に4g/kgのグルコースを、実験開始時(0分)に1.5g/kgのL-ロイシン(Leu)又は、対照として生理食塩水を経口投与した。実験開始後、-60、0、30、60、90、及び150分に尾静脈より経時的に採血し、血中グルコースを、ドライケム5000を用いて酵素法にて測定した。その結果を図1に示す。
図1に示すように、糖負荷試験(OGTT)の結果、血糖値の推移は、Leuの経口投与により低く保たれ、耐糖能の改善が認められた。
(実施例2)ラット、BCAA負荷時の血糖変化
7週齢のSD系雄性ラットに0.05% phenobarbital・Na水を供与し、0.5ml/kgの四塩化炭素を50%オリーブ油溶液として背部皮下に、週2回15週間以上にわたり連続投与して慢性肝障害ラットを作製した。実験開始17時間前から絶食とし、60分前に4g/kgのグルコースを、実験開始時(0分)に1.5g/kgの分岐鎖アミノ酸(BCAA)又は、対照として生理食塩水を経口投与した。BCAAとして、L-イソロイシン(Ile):L-ロイシン(Leu):L-バリン(Val)=1:2:1.2(w/w)の混合物を用いた。実験開始後、-60、0、30、60、90、120、180及び240分に尾静脈より経時的に採血し、血中グルコースを、ドライケム5000を用いて酵素法にて測定した。その結果を図2に示す。
7週齢のSD系雄性ラットに0.05% phenobarbital・Na水を供与し、0.5ml/kgの四塩化炭素を50%オリーブ油溶液として背部皮下に、週2回15週間以上にわたり連続投与して慢性肝障害ラットを作製した。実験開始17時間前から絶食とし、60分前に4g/kgのグルコースを、実験開始時(0分)に1.5g/kgの分岐鎖アミノ酸(BCAA)又は、対照として生理食塩水を経口投与した。BCAAとして、L-イソロイシン(Ile):L-ロイシン(Leu):L-バリン(Val)=1:2:1.2(w/w)の混合物を用いた。実験開始後、-60、0、30、60、90、120、180及び240分に尾静脈より経時的に採血し、血中グルコースを、ドライケム5000を用いて酵素法にて測定した。その結果を図2に示す。
図2に示すように、糖負荷試験(OGTT)の結果、血糖値の推移は、BCAAの経口投与により低く保たれ、耐糖能の改善が認められた。
(実施例3)ラット、Leu負荷時の血糖変化
7週齢のSD系雄性ラットに0.05% phenobarbital・Na水を供与し、0.5ml/kgの四塩化炭素を50%オリーブ油溶液として背部皮下に、週2回15週間以上にわたり連続投与して慢性肝障害ラットを作製した。実験開始17時間前から絶食とし、60分前に4g/kgのグルコースを、実験開始時(0分)に1.5g/kgのL-ロイシン(Leu)又は、対照として生理食塩水を経口投与した。実験開始後、-60、0、30、60、90、120、180、及び240分に尾静脈より経時的に採血し、血中グルコースを、ドライケム5000を用いて酵素法にて測定した。その結果を図3に示す。
7週齢のSD系雄性ラットに0.05% phenobarbital・Na水を供与し、0.5ml/kgの四塩化炭素を50%オリーブ油溶液として背部皮下に、週2回15週間以上にわたり連続投与して慢性肝障害ラットを作製した。実験開始17時間前から絶食とし、60分前に4g/kgのグルコースを、実験開始時(0分)に1.5g/kgのL-ロイシン(Leu)又は、対照として生理食塩水を経口投与した。実験開始後、-60、0、30、60、90、120、180、及び240分に尾静脈より経時的に採血し、血中グルコースを、ドライケム5000を用いて酵素法にて測定した。その結果を図3に示す。
図3に示すように、糖負荷試験(OGTT)の結果、血糖値の推移は、Leuの経口投与により低く保たれ、耐糖能の改善が認められた。このとき、血漿中インスリン値をエライザ法(インスリン測定キット;森永生科学研究所)を用いて測定した。図4に示すようにLeu経口投与群と生理食塩水投与群の間に有意なインスリン値の差は認められなかった。
(実施例4)ラット、BCAA負荷時の血糖変化
7週齢のSD系雄性ラットに0.05% phenobarbital・Na水を供与し、0.5ml/kgの四塩化炭素を50%オリーブ油溶液として背部皮下に、週2回15週間以上にわたり連続投与して慢性肝障害ラットを作製した。実験開始17時間前から絶食とし、60分前に4g/kgのグルコースを、実験開始時(0分)に1.5g/kgの分岐鎖アミノ酸(BCAA)又は、対照として生理食塩水を経口投与した。BCAAとして、L-イソロイシン(Ile):L-ロイシン(Leu):L-バリン(Val)=1:2:1.2(w/w)の混合物を用いた。実験開始後、-60、0、30、60、90、120、180、及び240分に尾静脈より経時的に採血し、血中グルコースを、ドライケム5000を用いて酵素法にて測定した。その結果を図5に示す。
7週齢のSD系雄性ラットに0.05% phenobarbital・Na水を供与し、0.5ml/kgの四塩化炭素を50%オリーブ油溶液として背部皮下に、週2回15週間以上にわたり連続投与して慢性肝障害ラットを作製した。実験開始17時間前から絶食とし、60分前に4g/kgのグルコースを、実験開始時(0分)に1.5g/kgの分岐鎖アミノ酸(BCAA)又は、対照として生理食塩水を経口投与した。BCAAとして、L-イソロイシン(Ile):L-ロイシン(Leu):L-バリン(Val)=1:2:1.2(w/w)の混合物を用いた。実験開始後、-60、0、30、60、90、120、180、及び240分に尾静脈より経時的に採血し、血中グルコースを、ドライケム5000を用いて酵素法にて測定した。その結果を図5に示す。
図5に示すように、糖負荷試験(OGTT)の結果、血糖値の推移は、BCAAの経口投与により低く保たれ、耐糖能の改善が認められた。このとき、血漿中インスリン値をエライザ法(インスリン測定キット;森永生科学研究所)を用いて測定した。図6に示すようにLeu経口投与群と生理食塩水投与群の間に有意なインスリン値の差は認められなかった。
以上述べたことから、本発明により提供される分岐鎖アミノ酸を含む薬剤が、耐糖能異常の治療、予防等に有効であることは明らかである。また、有効成分が分岐鎖アミノ酸であることから、安全性が高く、副作用が殆ど無いので、飲食品の形態でも使用することができ、既存の糖尿病治療剤に比べて有用である。
Claims (2)
- 有効成分としてロイシン、イソロイシン及びバリンの少なくとも1種の分岐鎖アミノ酸のみからなり、耐糖能異常を有する患者のうちインスリン抵抗性を示す患者を治療するための医薬組成物。
- 有効成分としてロイシンのみからなり、耐糖能異常を有する患者のうちインスリン抵抗性を示す患者を治療するための医薬組成物。
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