JP2011062167A - 塩味増強剤を含有する低食塩醤油又は低食塩醤油調味料 - Google Patents

塩味増強剤を含有する低食塩醤油又は低食塩醤油調味料 Download PDF

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Abstract

【課題】塩味の弱さや物足りなさを補うための塩味増強剤を添加することにより、食塩の含有量が低くても、良好な塩味を感じる醤油を提供する。
【解決手段】 動物蛋白質の酵素分解物と植物蛋白質の酵素分解物の混合物0.5〜20.0重量%、塩化カリウム1.0〜20.0重量%及び塩基性アミノ酸0.1〜10.0、重量%を含有することを特徴とする塩味が増強された食塩濃度が13重量%以下の低食塩醤油又は低食塩醤油調味料である。動物蛋白質の酵素分解物と植物蛋白質の酵素分解物の混合物中のそれぞれの有効成分比率は1:10〜10:1が好ましく、動物蛋白質が魚介類エキスで、植物蛋白質が大豆、小麦、トウモロコシのいずれかの蛋白質が好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、食塩含有量を減らすことによる塩味の弱さや物足りなさを補うために塩味増強剤を添加することにより、食塩含有量を減らしたにも関わらず、良好な塩味を感じる低食塩醤油又は低食塩醤油調味料に関する。
食塩(塩化ナトリウム)は、人間にとって必要不可欠な栄養成分である。例えば、体内の水分及びpHの調整、食べ物の消化、栄養素の吸収、神経伝達等が挙げられ、その機能において重要な役割を果たす。さらに、食塩は飲食品のおいしさを左右する重要な役割を果たしている。例えば、旨味や風味の強化、食品の保存、味噌・醤油・パンなどの発酵食品の製造、練り製品やうどんのテクスチャーの付与、葉緑素を安定化させ色調を保持すること等が挙げられる。このように、人間の生活にとって欠かせない食塩であるが、その過剰摂取は、諸説あるものの高血圧、腎臓病、心臓病等の疾病を引き起こすリスクを高めると考えられている。そのため、食塩摂取量、特にナトリウム摂取量を低減することが重要視され、強く望まれている。これは、すでに発症している疾病を治癒させるためだけでなく、健常者に対しても予防的な措置を講ずるためでもある。
食塩摂取量を低減させるためには、単に飲食品の調味や加工において食塩の使用量を減らす方法が考えられるが、上記に論じたように、食塩は食品の風味おいて重要な役割を果たしているため、単に食塩の使用量を減らした飲食品は、風味を損ない、味気ないものとなる。そこで、食塩を低減しても飲食品の食塩味や風味を損なわない技術の開発が強く求められている。
従来の飲食品における食塩味や風味を損なわず、食塩を低減する減塩方法のひとつとして、それ自身が食塩味を呈する物質、即ち食塩代替物質を使用する方法がある。これに代表されるものとして、例えば塩化カリウム等のカリウム塩、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩、塩化マグネシウム等のマグネシウム塩等が知られている。さらにグリシンエチルエステル塩酸塩、リジン塩酸塩等のアミノ酸の塩酸塩、さらに、オルニチルタウリン、オルニチル−ベータ−アラニン、グリシルリジン等の塩基性アミノ酸からなるペプチド類が知られている。これらの塩味代替物質は食塩味のほかに苦味、特有の呈味、不快味を有するといったような欠点がある。これらの塩味代替物質を用いて食塩を低減し、食塩味以外の不快な呈味を抑制する技術として、塩化カリウム、塩化アンモニウム、乳酸カルシウム、L−アスパラギン酸ナトリウム、L−グルタミン酸塩及び/又は核酸系呈味物質を特定の割合で混合してなる調味料組成物(特許文献1)、有機酸のカルシウム塩やマグネシウム塩を組み合わせた塩化カリウムの苦味抑制方法(特許文献2)等が知られている。しかし、今もなお、塩味以外の不快な呈味、塩味強度が低い等の理由で消費者のニーズにあった減塩技術には到達していない。
さらに、飲食品における食塩味や風味を損なわず、食塩を低減するもうひとつの減塩方法として、食塩味を増強させ食塩を低減しても食塩味を損なわせない物質、即ち塩味増強物質を使用する方法がある。例えば、L−アルギニン、L−アスパラギン酸及び塩化ナトリウムを組み合わせたもの(特許文献3)、コラーゲンを加水分解して得られる分子量50,000ダルトン以下のペプチド(特許文献4)、ソーマチン(特許文献5)、各種蛋白素材の蛋白加水分解物(特許文献6)、トレハロース(特許文献7)、酵母エキス(特許文献8)、蛋白質を加水分解処理及び脱アミド処理して得られるペプチド(特許文献9)、塩基性アミノ酸とクエン酸とを反応させて生成する中和塩を主成分とする呈味改良剤(特許文献10)等、数多くのものが報告されている。しかし、減塩効果、風味、経済性等の観点から考えると、未だ有効な技術、消費者のニーズにあった技術には到っておらず、食塩を低減しても食塩味および風味を損なわない効果的な減塩技術が強く求められている。
日本の代表的調味料の一つである醤油はその独特の風味が、日本では勿論のこと、西洋等においても優れた調味料であることが認識され、広く世界中で使用されるにいたっている。特に日本人にとっては、日々欠かせない調味料であり、1日当たりの摂取量は少なくない。醤油は通常、加熱変性させた大豆等の蛋白質原料と小麦等の澱粉質原料の混合物にアスペルギルス属等に属する糸状菌を接種培養して醤油麹となし、これを食塩水に仕込んで発酵熟成させた後濾過して得られる。食塩水に仕込んで発酵熟成させる主たる目的は、発酵、熟成過程における諸味の腐敗防止にあり、仕込みに用いる食塩水の濃度は通常15〜25重量%であり、このような食塩水を用いることにより、製品としての醤油は10〜20重量%の食塩濃度を有するのが普通である。
醤油の食塩濃度を低下させる方法も種々検討されている。例えば、腐敗を避けることのできる限界の低濃度の食塩水を用いる方法、仕込み水にアルコールを併用して腐敗の防止を計る方法、あるいは通常の方法で得られた食塩濃度15〜18重量%の醤油を電気透析や膜処理等により脱塩し、低食塩醤油を製造する方法などが試みられている。しかし、それらの方法では、食塩含有量は低下させることができても、塩味において頼りなく物足りないという欠点を有する。
特開平11−187841号公報 特開平4−108358号公報 米国特許第5145707号明細書 特開昭63−3766号公報 特開昭63−137658号公報 特開平7−289198号公報 特開平10−66540号公報 特開2000−37170号公報 国際公開第01/039613号パンフレット 特開2003−144088号公報
本発明は、塩味の弱さや物足りなさを補うための塩味増強剤を添加することにより、食塩の含有量が低くても、良好な塩味を感じる醤油を提供することを課題とする。
本発明は、動物蛋白質の酵素分解物と植物蛋白質の酵素分解物を併用することにより、単独で用いるよりも格段に強い塩味増強作用を呈することを見出し、さらに他の成分と併用することにより、醤油の食塩含有量を低下させながら、醤油らしい味・風味を失わない配合について鋭意検討の結果完成させたものであり、以下(1)〜(8)の低食塩醤油又は低食塩醤油調味料を要旨とする。
(1)動物蛋白質の酵素分解物と植物蛋白質の酵素分解物の混合物0.5〜20.0重量%、塩化カリウム1.0〜20.0重量%及び塩基性アミノ酸0.1〜10.0重量%を含有することを特徴とする塩味が増強された食塩濃度が13重量%以下の低食塩醤油又は低食塩醤油調味料。
(2)動物蛋白質の酵素分解物と植物蛋白質の酵素分解物の混合物中のそれぞれの有効成分比率が1:10〜10:1である(1)の低食塩醤油又は低食塩醤油調味料。
(3)酵素分解物が蛋白加水分解酵素により処理されたものである、(1)又は(2)の低食塩醤油又は低食塩醤油調味料。
(4)動物蛋白質が魚介類の蛋白質である(1)ないし(3)いずれかの低食塩醤油又は低食塩醤油調味料。
(5)動物蛋白質が魚介類エキスである(1)ないし(4)いずれかの低食塩醤油又は低食塩醤油調味料。
(6)植物蛋白質が大豆、小麦、トウモロコシのいずれかの蛋白質である(1)ないし(5)いずれかの低食塩醤油又は低食塩醤油調味料。
(7)塩基性アミノ酸がアルギニンである、(1)ないし(6)いずれかの低食塩醤油又は低食塩醤油調味料。
(8)pHを4.0〜7.0に調整した、(1)ないし(7)いずれかの低食塩醤油又は低食塩醤油調味料。
本発明の低食塩醤油及び低食塩醤油調味料は、通常の醤油又は醤油調味料等と比較すると含有する食塩量は少ないにもかかわらず、実際の食塩量以上の塩味を感じさせることができる。したがって、通常の醤油等と同様に使用しても、食塩の摂取量を減らすことができる。
実施例5において、各種動物蛋白酵素分解物と各種植物蛋白酵素分解物を混合した本発明塩味増強剤の塩味増強作用を評価した結果を示す。 実施例6において、カツオ煮汁エキス酵素分解物と分離大豆蛋白酵素分解物の配合量による塩味増強作用を評価した結果を示す。 実施例9において、カツオ煮汁エキス酵素分解物と分離大豆蛋白酵素分解物の分解時間の違いによる塩味増強作用の違いを評価した結果を示す。 実施例11において、カツオ煮汁エキス酵素分解物と分離大豆蛋白酵素分解物のジペプチドの含有量を測定した結果を示す。
本発明において、醤油とは、日本において通常醤油と呼ばれるものであり、加熱変性させた大豆等の蛋白質原料と小麦等の澱粉質原料の混合物にアスペルギルス属等に属する糸状菌を接種培養して醤油麹となし、これを食塩水に仕込んで発酵熟成させた後濾過して得られる調味料である。醤油調味料とは、醤油を主成分とし、糖類、アミノ酸類、旨味成分、香辛料などのその他の調味料を添加した調味料である。
本発明において、低食塩醤油又は低食塩醤油調味料とは、通常の醤油よりも含まれる食塩量が低減されている醤油等であり、具体的には食塩量が0〜13重量%の醤油等である。通常市販されている従来の醤油に含まれる食塩量よりも20%以上、好ましくは30%以上、特に好ましくは40%以上少ない醤油又は醤油調味料である。本発明により、従来の醤油の食塩量を50%低下しても、従来の醤油と同定度の塩味を感じる醤油を製造することも可能である。
本発明において、低食塩醤油又は低食塩醤油調味料の塩味を増強する成分のひとつは、動物蛋白質の酵素分解物及び植物蛋白質の酵素分解物を含む塩味増強剤である。
本発明において動物蛋白質とは、畜肉類、家禽類、魚介類の肉、内臓など由来の蛋白質や乳、卵などの蛋白質である。具体的には、ビーフエキス、チキンエキス、ポークエキス、魚肉エキス、カゼイン、ゼラチン、卵白など各種動物由来蛋白質を使用することができる。特に好ましいのは、魚介類のエキスである。カツオエキス、白子エキス、ハモエキス、エソエキス、マグロエキス、ホタテエキス、オキアミエキス、タラコエキスなどが例示される。缶詰製造工程で派生する煮汁などを利用することもできる。
本発明において植物蛋白質とは、穀物類、野菜類などから得られる蛋白質である。具体的には、大豆、小麦、とうもろこし、米などを加工した各種植物由来蛋白質を使用することができる。好ましいのは、分離大豆蛋白質、豆乳蛋白質、濃縮大豆蛋白質、脱脂大豆蛋白質、小麦グルテン、コーングルテン、などである。
本発明において、酵素分解物とは、上記動物蛋白質や植物蛋白質を酵素によりアミノ酸やペプチドの混合物に分解したものである。各種蛋白質分解酵素を利用することができる。実質的に蛋白質が酵素分解されればいいので、発酵などによる分解物でもよい。
蛋白質加水分解酵素としては、エンドペプチダーゼあるいはエキソペプチダーゼが挙げられ、それらを単独又は組み合わせて用いても良い。
エンドペプチダーゼとしては、例えばトリプシン、キモトリプシン、ズブチリシンに代表されるセリンプロテアーゼ、ペプシンに代表されるアスパラギン酸プロテアーゼ、サーモリシンに代表される金属プロテアーゼ、パパインに代表されるシステインプロテアーゼ等が挙げられる。食品添加用として市販されているエンドペプチダーゼとしては、具体的にはアルカラーゼ(ノボザイムス製)、ニュートラーゼ(ノボザイムス製)、ヌクレイシン(エイチヴィアイ製)、スミチームMP(新日本化学工業性)、ブロメラインF(天野製薬製)、オリエンターゼ20A(エイチヴィアイ製)、モルシンF(キッコーマン製)、ニューラーゼF(天野製薬製)、スミチームAP(新日本化学工業製)等が挙げられる。また、食品添加用として市販されているエキソペプチダーゼ活性を有する酵素としては、フレーバーザイム(ノボザイムス製)、スミチームFP(新日本化学工業製)、アクチナーゼ(科研製薬製)、コクラーゼP(ジェネンコア製)等が挙げられる。特に、動物蛋白質においてはアルカリ性プロテアーゼで処理することが好ましい。具体的にはアルカラーゼ、スミチームMP等が挙げられる。さらに、2種類以上のプロテアーゼを組み合わせることで好ましい結果が得られることがある。具体的には、アルカラーゼ及びフレーバーザイム、あるいはオリエンターゼONS及びフレーバーザイムの組み合わせが好ましい。特に、植物性蛋白質においては2種類以上のプロテアーゼを組み合わせることが好ましく、少なくとも一種類は酸性プロテアーゼであることが特に好ましい。具体的には、パパイン及びスミチームMP、ヌクレイシン及びコクラーゼPの組み合わせが好ましく、モルシン及びオリエンターゼ20A、オリエンターゼ20A及びスミチームMP、モルシン及びコクラーゼP、ニュートラーゼ及びオリエンターゼ20Aの組み合わせが特に好ましい。酵素を選択する場合、完全に遊離アミノ酸に分解してしまわず、ジペプチドなどのアミノ酸2-4個のオリゴペプチドを多く生成する酵素の組み合わせが好ましい。これら酵素はそれぞれに適した温度、pH条件下で、原料に1〜48時間、特に3〜24時間反応させることが好ましい。このようにして得た酵素分解物をそのまま用いることができる。なお、これら酵素分解物は、TNBS法による平均ペプチド鎖長が2〜3を示すものが好ましい。あるいは、蛋白質の酵素分解はホルモール法で測定したアミノ態窒素が動物蛋白質分解物の場合1.8%以上、植物蛋白質分解物の場合、2.5%以上になる程度の分解をしたものが好ましい。
また、酵素分解物は実施例4に示すように脱アミド化したものでもよい。脱アミド化は公知の方法で行えばよい。
本発明は、動物蛋白質の酵素分解物と植物蛋白質の酵素分解物とを組み合わせて用いる点に特徴がある。実施例に示すように、動物蛋白質のみ、あるいは、植物蛋白質のみと比べて、両者を混合して用いると酵素分解物としては同量であるにも関わらず、明らかに塩味増強作用が強くなる。少しでも混合することにより効果があるので、両者の比率は任意であるが、通常1:10−10:1程度(有効成分重量比:本発明において酵素分解物のBrixから塩化ナトリウム量を引いたものを有効成分量とする)で使用する。好ましくは1:5−5:1程度、特に好ましくは1:3〜3:1である。
また、上記の方法により得られた動物蛋白質の酵素分解物と植物蛋白質の酵素分解物との混合物である本発明塩味増強剤に、さらに塩基性アミノ酸を添加する。この時、用いる塩基性アミノ酸としては、アルギニン、リジン、オルニチン等が例示され、特にアルギニンが好ましい。アルギニンは市販のもの、あるいは常法により精製されたものを用いることができる。添加する量としては、酵素分解物の有効成分1重量部に対し0.05〜5重量部で添加するのが好ましい。さらに塩化カリウムを組み合わせるのが好ましい。塩化カリウムは市販の物を用いれば良い。添加する量としては、酵素分解物の有効成分1重量部に対し0.1〜10重量部で添加するのが好ましい。
醤油の味・風味において、そのpHは重要であり、pHが変わると醤油らしさが損なわれる。酵素分解物はほぼ中性付近のpHであるが、塩基性アミノ酸であるアルギニンなどを添加した場合pHがアルカリに傾くため、pHの調節をするのがよい。pHの調整は適当な酸、好ましくはクエン酸、酢酸、乳酸、コハク酸、フマル酸、リン酸、リンゴ酸、塩酸などいずれかの酸を用いて調整すれば良い。調整時期は使用するまでに調節すればよく、原料段階、製造の途中段階、あるいは最終物が得られた後などに行うことができる。通常の醤油のpHは4.5〜5.5付近であるから、およそpH4.0〜7.0の範囲に調節すればよく、好ましくはpH4.0〜6.0程度である。
また、このようにして得られた本発明の低食塩醤油又は低食塩醤油調味料を、減塩(塩化ナトリウムの減量)を目的として各種飲食品に添加することにより、醤油由来の食塩量を減らすことができるので、減塩された飲食品を製造することができる。本発明の低食塩醤油又は低食塩醤油調味料はえぐみ、苦味など使用を大きく制限するような味はないので、広い範囲の飲食品に使用できる。飲食品としては、醤油を用いる食品であれば何にでも使用できる。例えば鮭フレーク、辛子明太子、塩タラコ、焼魚、干物、塩辛、魚肉ソーセージ、練製品、煮魚、佃煮、缶詰等の水産加工食品、ポテトチップス、煎餅等の醤油味のスナック菓子、うどんつゆ、そばつゆ、素麺つゆ、ラーメンスープ、ちゃんぽんスープ、パスタソース等の麺類のつゆ、おにぎり、ピラフ、チャーハン、混ぜご飯、雑炊、お茶漬け等の米飯調理品、春巻き、シュウマイ、餃子、煮物、揚げ物等の調理食品、ハンバーグ、ソーセージ、等の畜産加工品、キムチ、漬物等の野菜加工品、ソース、ドレッシング、味噌、マヨネーズ、トマトケチャップ等の調味料、コンソメスープ、お吸い物、味噌汁等のスープ類が挙げられる。
また、本発明の塩味増強剤は、その他公知、市販されている減塩を目的とするための各種添加剤と組み合わせて用いても良い。また、塩化カリウムは濃度が高くなると特有の苦味などの異味を感じることがある。その場合、グルコン酸ナトリウムなどのマスキング剤を併用することにより、解消することができる。グルコン酸ナトリウムの添加量は塩化カリウムなどの使用濃度によって調節すればよいが、0.1〜3重量%程度の使用が適当である。
低食塩醤油あるいは低食塩醤油調味料に、本発明の塩味増強剤を添加する方法としては、単に従来の方法で製造された減塩醤油に添加するだけでよいが、醤油の製造工程中の他の段階で添加してもよい。特に、塩化カリウムはどの段階で添加してもよく、例えば(1)通常の醤油の製造法において仕込み水として塩化カリウムと食塩の混合溶液を用いる、(2)塩化カリウム単独の溶液を仕込み水として用いて得た醤油と、別に食塩水を単独で仕込み水として用いて得た醤油を混合する、(3)食塩水を仕込み水として用いた通常の醤油を電気透析、膜処理等によって食塩を脱塩処理し、この醤油にKClを添加する方法等が挙げられる。ここに用いられる塩化カリウムとしては、通常の塩化カリウム、または塩化カリウム高濃度含有海水塩などが挙げられる。
動物蛋白質の酵素分解物と植物蛋白質の酵素分解物の混合物とアルギニンは、できあがった減塩醤油に添加するのが好ましい。したがって、市販の減塩醤油に動物蛋白質の酵素分解物と植物蛋白質の酵素分解物の混合物、アルギニン及び塩化カリウムを添加することにより容易に本発明品を製造することができる。
動物蛋白質の酵素分解物と植物蛋白質の酵素分解物の混合物は低食塩醤油又は低食塩醤油調味料中に0.5〜20.0重量%含有するように添加するのが好ましく、2.0〜10.0重量%が特に好ましい。塩化カリウムは低食塩醤油又は低食塩醤油調味料中に1.0〜20.0重量%含有するように添加するのが好ましく、3.0〜10.0重量%となる程度添加するのが特に好ましい。塩基性アミノ酸は低食塩醤油又は低食塩醤油調味料中に0.1〜10.0重量%含有するように添加するのが好ましく、0.5〜5.0重量%となる程度添加するのが特に好ましい。
以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
分析方法
1.食塩含量の測定
食塩含量の測定は、以下の方法に従って行った。即ち、試料を1% HClにて25倍に希釈した後30分間振とうし、ナトリウムイオンを抽出した後、抽出試料を任意の量の1%
HClにて希釈し、原子吸光光度計(日立ハイテクノロジーズ製、Z-2000)によりナトリウム含量を測定した。食塩量は、得られたナトリウム含量に2.54を乗じ算出した。
2.有効成分量の測定
蛋白質の酵素分解物のBrixから食塩量を引いたものを蛋白質の酵素分解物の有効成分量とした。なお、BrixはBrixメーター(アタゴ製、PAL-1)を用いて測定した。
3.塩味増強作用(塩味増強率)の測定
食塩濃度を0.49%(w/w)に調整した試料溶液の塩味強度を、尺度基準法により測定した。即ち、0.49%(w/w) 、0.625%(w/w)、0.76%(w/w)、0.955%(w/w)に調整した食塩標準溶液の塩味強度と、試料溶液の塩味強度を比較し、試料溶液の塩味強度が4点の食塩標準溶液の濃度を直線で結んだ場合、試料溶液の塩味がどのあたりに位置するかで評価した。パネルは、飲食品の調味の専門家で構成した。また試料溶液の塩味増強率は、0.49%の食塩溶液の塩味強度をどの程度増強させたかを示すため、以下の式にて算出した。
Figure 2011062167
各種動物蛋白素材酵素分解物の製造
カツオ煮汁エキス:NP-40(日本水産製、粗蛋白:40.0%)25.0g、スケソウ魚肉粉末(日本水産製、粗蛋白:88.8%)11.3g、カゼイン:サンラクトS-3(太陽化学製、粗蛋白:93.0%)10.8g、豚ゼラチン:AP-100(新田ゼラチン製、粗蛋白:93.0%)10.8g、卵白:卵白K(キューピータマゴ製、粗蛋白:86.5%)11.6gをそれぞれ蒸留水に分散させ2N NaOHにてpH8.0に調整後、さらに加水し100gとした。それぞれの反応液にスミチームMP(新日本化学工業製)0.1gを加え、50℃で24時間反応させた。反応後、95℃で30分間加熱して酵素を失活させ、7000回転、15分間にて遠心分離(サクマ製、50A-IV型)とろ過(アドバンテック製、NO.2ろ紙)を行い、各種動物蛋白素材の酵素分解物を得た。各素材と実施例の番号及びBrix、NaCl量との対応を、以下の表1に示す。
Figure 2011062167
各種植物蛋白素材酵素分解物の製造
小麦グルテン:A-グル-G(グリコ栄養製、粗蛋白:89.8%)11.1g、分離大豆蛋白:フジプロFX(不二製油製、粗蛋白:93.6%)10.7gをそれぞれ蒸留水に分散させ2N HClにてpH3.0に調整後、さらに加水し100gとした。それぞれの反応液にモルシンF(キッコーマン製)及びオリエンターゼ20A(HBI製)をそれぞれ0.1g加え、50℃で24時間反応させた。反応後、95℃で30分間加熱して酵素を失活させ、7000回転、15分間にて遠心分離(サクマ製、50A-IV型)とろ過(アドバンテック製、NO.2ろ紙)を行い、各種動物蛋白素材の酵素分解物を得た。各素材と実施例の番号及びBrix、NaCl量との対応を、以下の表2に示す。
Figure 2011062167
脱アミド化した各種植物蛋白素材酵素分解物の製造
分離大豆蛋白:フジプロFX(不二製油製、粗蛋白:93.6%)10.7g、調整豆乳蛋白:ソヤフィット(不二製油製、粗蛋白:60.1%)16.6g、コーングルテン:グルテンミール(王子コーンスターチ製、粗蛋白:73.1%)13.7g、小麦グルテン:A-グル-G(グリコ栄養製、粗蛋白:89.8%)11.1gをそれぞれ0.6N HClに分散させ100gとした。これらの分散液をオートクレーブにて120℃で120分間処理し、脱アミド化処理を行った。処理後、それぞれの反応液を2N NaOHにてpH3.0に調整後、加水し100gとした。それぞれの反応液にモルシンF(キッコーマン製)及びオリエンターゼ20A(HBI製)をそれぞれ0.1g加え、50℃で24時間反応させた。反応後、95℃で30分間加熱して酵素を失活させ、7000回転、15分間にて遠心分離(サクマ製、50A-IV型)とろ過(アドバンテック製、NO.2ろ紙)を行い、各種動物蛋白素材の酵素分解物を得た。各素材と実施例の番号及びBrix、NaCl量との対応を、以下の表3に示す。
Figure 2011062167
本発明塩味増強剤の評価
実施例2から4にて作製した本発明塩味増強剤の作用を評価した。有効成分が1w/w%となるように本発明塩味増強剤を添加した。次に、評価液中の塩化ナトリウム濃度が0.49w/w%、アルギニン濃度が0.35w/w%となるように10w/w% 塩化ナトリウム溶液及び10w/w% アルギニン溶液を添加し調整した。さらにpH6.0になるように2N HClにて調整した後、蒸留水を加え100gとし、評価液とした。表4に評価液の組成を示す。この評価液を用いて、実施例1の3.に記載の尺度基準法により、本発明塩味増強剤の作用を評価した。これらの溶液の塩味増強作用を評価した結果を図1に示す。
Figure 2011062167
この結果、各種蛋白素材の酵素分解物は単独で用いるよりも、動物蛋白酵素分解物、特に魚介類抽出物の酵素分解物と植物蛋白酵素分解物とを組み合わせて使用すると相乗効果により、高い塩味増強効果を示すことが示された。
動物蛋白酵素分解物と植物蛋白酵素分解物の配合量
実施例2及び4にて作製した酵素分解物の配合量をかえて塩味増強作用を評価した。表5に評価液の組成を示す。なお、各評価液は、2N HClにてpH6.0に調整した。この評価液を用いて、実施例1の3.に記載の尺度基準法により、本発明塩味増強剤の作用を評価した。これらの溶液の塩味増強作用を評価した結果を図2に示す。
Figure 2011062167
この結果、本発明塩味増強剤の塩味増強作用は、合計の有効性分量が0.5%程度以上で明確な効果を示し、両酵素分解物の比率は1:9〜9:1の範囲効果を示し、特に1:3〜3:1において高い効果を示した。
カツオ煮汁エキス酵素分解物の作製
カツオ煮汁エキス(NP-40、日本水産製)1kgに2kgの水を加え、カツオ煮汁エキス希釈液を作製した。このカツオ煮汁エキス希釈液に、スミチームMP(新日本化学工業製)3.85gを加えて、50℃で反応させた。スミチームMP添加後、経時的に試料を採取し、95℃で30分間加熱して酵素を失活させ、7000回転、15分間にて遠心分離とろ紙によるろ過を行い、カツオ煮汁エキス酵素分解物を得た。各酵素反応時間におけるBrix及びNaCl含量を表6に示す。
分離大豆蛋白酵素分解物の作製
分離大豆蛋白:フジプロ515L(フジプロテイン製、粗蛋白:93.6%)120gに880gの水を加え、アルカラーゼ(ノボザイムス製)を0.6g添加し、55℃で4時間反応させた。反応後、2N HClにてpH4.0に調整し、オリエンターゼAY(エイチビィアイ製)を0.6g添加し、50℃で反応させた。オリエンターゼAY添加後、経時的に試料を採取し、95℃で30分間加熱して酵素を失活させ、7000回転、15分間にて遠心分離とろ紙によるろ過を行い、分離大豆蛋白酵素分解物を得た。各酵素反応時間におけるBrix及びNaCl含量を表6に示す。
Figure 2011062167
塩味増強剤の評価
実施例7及び8にて作製した酵素分解物の作用を評価した。実施例7の有効成分が0.5w/w%及び実施例8の有効成分が0.5w/w%となるように添加した。次に、評価液中の塩化ナトリウム濃度が0.49w/w%、アルギニン(Arg)濃度が0.35w/w%となるように10w/w% 塩化ナトリウム溶液及び10w/w% アルギニン溶液を添加し調整した。さらにpH6.0になるように2N HClにて調整した後、蒸留水を加え100gとし、評価液とした。表7に評価液の組成を示す。この評価液を用いて、尺度基準法により、本発明塩味増強剤の作用を評価した。これらの溶液の塩味増強作用を評価した結果を図3に示す。
図3に示されるように、酵素反応時間は蛋白質と酵素の組み合わせや反応条件によるが、8〜12時間以上、好ましくは16〜24時間以上であることが示された。それ以上になると反応は頭打ちになるので、必要以上に長く反応する必要はない。
Figure 2011062167
アミノ態窒素の測定
実施例7及び8にて作製した酵素分解物のアミノ態窒素を測定した。アミノ態窒素はホルモール法にて測定した。すなわち、実施例7及び8にて作製した酵素分解物についてフリーズドライを行ったものを試料とした。試料を0.5g採取し、メスフラスコを用いて蒸留水にて100mlに定容した。ろ紙によるろ過を行い、試料液とした。試料液を20ml採取し、0.1N 水酸化ナトリウムを用いてpH8.3に調整した。0.1N 水酸化ナトリウムにてpH8.3に調整したホルマリンを10ml添加し、0.1N 水酸化ナトリウムを用いてpH8.3になるまでビュレットにて滴定を行い、滴定量を測定した。アミノ態窒素は下式により算出した。これらの酵素分解物試料のアミノ態窒素の測定結果を表8に示す。
Figure 2011062167
Figure 2011062167
これらの結果によれば、各酵素反応時間におけるカツオ煮汁エキス酵素分解物の塩味増強効果とアミノ態窒素との間に高い相関関係(R2=0.9631)が認められた。同様に各酵素反応時間における大豆酵素分解物の塩味増強効果とアミノ態窒素との間に高い相関関係(R2=0.9863)が認められた。蛋白質の酵素分解はアミノ態窒素が動物蛋白質分解物の場合1.8%以上、植物蛋白質分解物の場合、2.5%以上程度に分解させるのが好ましいことが示された。
ジペプチド含有量の測定
実施例7及び8にて作製した酵素分解物について陽イオン交換カラム及び活性炭カラムにより処理を行い、高速液体クロマトグラフィーによりジペプチド含量を測定した。
(1)陽イオン交換カラム処理
実施例7及び8にて作製した酵素分解物についてフリーズドライを行ったものを試料とし、0.5N塩酸溶液にて希釈し、Dowex 50W×4(200〜400メッシュ、H+型、室町テクノス製)のカラムに充填し、カラム容量の5倍量の蒸留水にて洗浄して非吸着画分を除いた。吸着画分は、カラム容量の5倍量の2N アンモニア溶液にて溶出させ、回収した。得られた吸着画分は、真空中で蒸発乾固させ、蒸留水に溶解させた。
(2)活性炭カラム処理
上記陽イオン交換カラム処理により得られた吸着画分を活性炭(二村化学工業製)のカラムに充填し、カラム容量の5倍量の蒸留水にて洗浄して非吸着画分を回収した。得られた非吸着画分は、真空中で蒸発乾固させ、蒸留水に溶解させた。
(3)高速液体クロマトグラフィーによる分析
上記活性炭カラム処理により得られた非吸着画分を高速液体クロマトグラフィー(東ソー製、LC-8020)により分析した。カラムはゲルろ過カラム(ワイエムシィ製、YMC-Pack Diol60:500×8.0mm)を用い、0.2M NaClを含む0.1M リン酸緩衝液pH7.0とアセトニトリルが7:3となるように調整した溶離液にて分析し、220nmにて検出した。表9に標準物質の保持時間を示す。オリゴペプチドについては保持時間が0分から23.5分、ジペプチドについては23.5分から25分、遊離アミノ酸については25分以降の領域とした。ジペプチド含量は下式により算出した。これら酵素分解物試料のジペプチド含量を図4に示す。
Figure 2011062167
Figure 2011062167
これらの結果から、カツオ煮汁エキス酵素分解物においても、大豆酵素分解物においても塩味増強作用が強い分解物のほうが、ジペプチド含量が高いことが示された。本発明の蛋白質酵素分解物を製造する際にはジペプチド含量を指標にして、ジペプチドの含量が高くなるよう分解するのが好ましいことが示された。
カツオ煮汁エキス酵素分解物と大豆酵素分解物の濃縮混合調味液の製造
実施例7で作製したカツオ煮汁エキス酵素分解物(実施例7-5)と実施例8で作製した大豆酵素分解物(実施例8-5)をそれぞれBrix62となるようにエバポレーター(EYELA製)にて減圧濃縮を行い、酵素分解物の濃縮物を作製した。これら酵素分解物の濃縮物を重量比1:1となるように混合し、カツオ煮汁エキス酵素分解物と大豆酵素分解物の濃縮混合物を作製した。さらに食塩を2w/w%量添加し、95℃で5分間加熱を行ないカツオ煮汁エキス酵素分解物と大豆酵素分解物の濃縮混合調味液とした。
Figure 2011062167
本発明の塩味増強剤を用いて、通常の醤油と同程度に塩味を感じる減塩醤油を製造するため、塩化カリウムの濃度を一定にし、実施例12で作製したカツオ煮汁エキス酵素分解物と大豆酵素分解物の濃縮混合調味液とアルギニンの添加量を変化させて、最適な添加濃度について検討した。通常の醤油のままでは官能検査をするのに適さないので、20倍希釈した溶液を調整して、官能検査により対照品と比較した。
表11に示す配合にて、サンプルを調製した。実施例12の濃縮混合調味液由来の塩分量が異なるため、差の分量の食塩を添加し、最終食塩濃度が0.41重量%となるよう調製した。また、アルギニンによるpHの変化はリンゴ酸を添加して、比較対照品と同じpH5.34に調整した。減塩醤油(ヤマサ減塩醤油、本醸造濃口醤油、塩分濃度8.29重量%、KCl濃度0.90重量%ヤマサ醤油株式会社製)を減塩醤油原料として用いた。原料の減塩醤油に食塩8.29重量%を再度添加して通常の醤油程度の食塩濃度に調整したものを比較対照品とした。
Figure 2011062167
配合1〜3はいずれも比較対照品と比べて、十分な塩味が感じられバランスのよい味であった。配合4、5は比較対照品と比べて塩味がかなり弱く添加量が不十分であると判断された。配合6〜9では、アルギニンに対して実施例12の濃縮混合調味液の比率を多くしていくと旨味のバランスが強くなりすぎ、醤油本来のバランスと異なる方向に向かうことがわかった。アルギニン1に対して実施例12の濃縮混合調味液は2〜4、特に3前後の比率で添加するのが好ましかった。
減塩醤油(ヤマサ減塩醤油、本醸造濃口醤油、塩分濃度8.29重量%、ヤマサ醤油株式会社製)を原料として用いて、本発明の醤油を製造した。
表12に示す配合で減塩醤油に塩化カリウム、実施例12の濃縮混合調味液、アルギニン、リンゴ酸を添加混合した。配合4は減塩醤油に減塩分の食塩を再度添加した配合であり、通常の醤油のかわりに比較する対照品である。
下記の配合の醤油を0.5重量%水溶液にして官能検査を行った。
本発明品である配合1及び配合2は配合4と同程度の塩味を感じたが、配合1ではわずかに塩化カリウムのえぐ味が感じられたので、塩化カリウムの濃度は7重量%以下にするか、7重量%以上使用する場合はえぐ味のマスキング剤を併用することが好ましいことがわかった。また配合3では塩分において物足りなさを感じるものであり、3重量%程度の塩化カリウムの添加は必要であることがわかった。
Figure 2011062167
原料の減塩醤油として減塩醤油(キッコーマン減塩醤油、本醸造濃口醤油、塩分濃度8.16重量%、キッコーマン醤油株式会社製)を用いて実施例14と同様に表13の配合にて本発明の醤油を製造した。
本実施例においても実施例14の結果と同様に、配合1、2は配合3と同程度の塩味を感じる醤油であった。
Figure 2011062167
本発明低食塩醤油を用いた食品の製造(めんつゆ)
実施例14の配合2の低食塩醤油を用いてめんつゆを製造した。低食塩醤油32%、砂糖13%、カツオ昆布エキス5%、みりん1%、グルタミン酸ナトリウム0.5%、核酸系調味料0.05%、酵母エキス0.2%、食塩1%を使用して、市販の3倍濃縮相当の濃縮めんつゆ100mlを作成した。原材料を混ぜ合わせ、均一に溶かし、ビニールのパウチに入れ、85℃(±5℃)10分間の加熱の後に急冷し、6倍に希釈してめんつゆとした。
低食塩醤油を用いることで、醤油由来の食塩量は通常の醤油を用いた場合の約1/2になっているにもかかわらず、めんつゆの味は通常の醤油を用いて製造したものと塩味や風味において遜色ないものであった。
本発明において得られる低食塩醤油又は低食塩醤油調味料は、通常と同様に醤油を使用すれば、味は通常と同様の塩味を有するにもかかわらず、食塩摂取量を低減することができる。したがって、高血圧症患者や高血圧予防のための健康食品、特殊栄養食品としての利用が可能である。そして、低食塩であるにも拘らず塩味を程よく有するため、通常の食塩濃度を有する醤油と同様に、刺身、天ぷら、漬物用等に付け醤油として、納豆、豆腐等に掛け醤油として、また麺つゆ、たれ、ドレッシング、ラーメン用スープ等の素材用醤油として利用可能である。また、佃煮、水産練り製品、畜産練り製品などの加工用醤油としても利用可能である。

Claims (8)

  1. 動物蛋白質の酵素分解物と植物蛋白質の酵素分解物の混合物0.5〜20.0重量%、塩化カリウム1.0〜20.0重量%及び塩基性アミノ酸0.1〜10.0重量%を含有することを特徴とする塩味が増強された食塩濃度が13重量%以下の低食塩醤油又は低食塩醤油調味料。
  2. 動物蛋白質の酵素分解物と植物蛋白質の酵素分解物の混合物中のそれぞれの有効成分比率が1:10〜10:1である請求項1の低食塩醤油又は低食塩醤油調味料。
  3. 酵素分解物が蛋白加水分解酵素により処理されたものである、請求項1又は2の低食塩醤油又は低食塩醤油調味料。
  4. 動物蛋白質が魚介類の蛋白質である請求項1ないし3いずれかの低食塩醤油又は低食塩醤油調味料。
  5. 動物蛋白質が魚介類エキスである請求項1ないし4いずれかの低食塩醤油又は低食塩醤油調味料。
  6. 植物蛋白質が大豆、小麦、トウモロコシのいずれかの蛋白質である請求項1ないし5いずれかの低食塩醤油又は低食塩醤油調味料。
  7. 塩基性アミノ酸がアルギニンである、請求項1ないし6いずれかの低食塩醤油又は低食塩醤油調味料。
  8. pHを4.0〜7.0に調整した、請求項1ないし7いずれかの低食塩醤油又は低食塩醤油調味料。
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