JP5628500B2 - 塩味増強剤を含有する麺類用スープ又は麺類用つゆ - Google Patents
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Description
食塩摂取量を低減させるためには、単に飲食品の調味や加工において食塩の使用量を減らす方法が考えられるが、上記に論じたように、食塩は食品の風味おいて重要な役割を果たしているため、単に食塩の使用量を減らした飲食品は、風味を損ない、味気ないものとなる。そこで、食塩を低減しても飲食品の食塩味や風味を損なわない技術の開発が強く求められている。
(1)水分100重量部に対し、畜肉類、家禽類、及び魚類のいずれかの肉又は内臓である動物蛋白質の蛋白加水分解酵素による分解物であって、アミノ態窒素を1.76%以上含むように分解された分解物と大豆蛋白質の蛋白加水分解酵素による酵素分解物であって、アミノ態窒素を2.07%以上含むように分解された分解物を1:5〜5:1の比率で含有する混合物、又は、
魚介類の蛋白質の蛋白加水分解酵素による分解物であって、アミノ態窒素を1.76%以上含むように分解された分解物、及び大豆、小麦、トウモロコシ、米のいずれかの蛋白質の脱アミド化した、蛋白加水分解酵素による分解物であって、アミノ態窒素を2.07%以上含むように分解された分解物を1:5−5:1の比率で含有する混合物を0.1〜1.8重量部含有することを特徴とする塩味が増強された麺類用スープ又は麺類用つゆ。
(2)さらに、蛋白質の分解物1重量部に対して、塩化カリウムを0.01〜50重量部及び塩基性アミノ酸0.01〜20重量部を含有することを特徴とする塩味が増強された(1)の麺類用スープ又は麺類用つゆ。
(3)動物蛋白質が魚介類の蛋白質である(1)又は(2)の麺類用スープ又は麺類用つゆ。
(4)動物蛋白質が魚介類エキスである(1)又は(2)の麺類用スープ又は麺類用つゆ。
(5)塩基性アミノ酸がアルギニンである、(2)ないし(4)いずれかの麺類用スープ又は麺類用つゆ。
(6)pHを4.0〜7.0に調整した、(1)ないし(5)いずれかの麺類用スープ又は麺類用つゆ。
本発明において、麺類用スープとはラーメン、ワンタン、ビーフン、パスタなど麺類のためのスープであって、畜肉、鶏肉、野菜、その他のスープに塩、胡椒、酒類、砂糖、その他から選択される調味料を加えて製造されるものである。また、麺類用つゆとは、麺類用スープとほぼ同様な意味であるが、うどん、そば、ソーメン、冷麦など、日本の麺類のためのつゆであって、昆布、鰹節、煮干などの出しに、塩、醤油、砂糖、みりん、その他の調味料を加えて製造されるものである。それぞれに各種調味料が用いられるが必ず一定量の食塩を含有する。かけるタイプのスープ、つゆの場合、通常0.7〜1.9重量%程度の食塩が含まれる。食塩濃度がそれほど高くなくても、ラーメンスープ、麺つゆなどは量が多いため、全部飲むとなれば、塩分の摂取量が多くなりがちであり、それらの食塩使用量を減らすことができれば、高血圧の予防は治療が必要な人にとっては有用である。
本発明において動物蛋白質とは、畜肉類、家禽類、魚介類の肉、内臓など由来の蛋白質や乳、卵などの蛋白質である。具体的には、ビーフエキス、チキンエキス、ポークエキス、魚肉エキス、カゼイン、ゼラチン、卵白など各種動物由来蛋白質を使用することができる。特に好ましいのは、魚介類のエキスである。カツオエキス、白子エキス、ハモエキス、エソエキス、マグロエキス、ホタテエキス、オキアミエキス、タラコエキスなどが例示される。缶詰製造工程で派生する煮汁などを利用することもできる。
本発明において植物蛋白質とは、穀物類、野菜類などから得られる蛋白質である。具体的には、大豆、小麦、とうもろこし、米などを加工した各種植物由来蛋白質を使用することができる。好ましいのは、分離大豆蛋白質、豆乳蛋白質、濃縮大豆蛋白質、脱脂大豆蛋白質、小麦グルテン、コーングルテン、などである。
蛋白質加水分解酵素としては、エンドペプチダーゼあるいはエキソペプチダーゼが挙げられ、それらを単独又は組み合わせて用いても良い。
エンドペプチダーゼとしては、例えばトリプシン、キモトリプシン、ズブチリシンに代表されるセリンプロテアーゼ、ペプシンに代表されるアスパラギン酸プロテアーゼ、サーモリシンに代表される金属プロテアーゼ、パパインに代表されるシステインプロテアーゼ等が挙げられる。食品添加用として市販されているエンドペプチダーゼとしては、具体的にはアルカラーゼ(ノボザイムス製)、ニュートラーゼ(ノボザイムス製)、ヌクレイシン(エイチヴィアイ製)、スミチームMP(新日本化学工業性)、ブロメラインF(天野製薬製)、オリエンターゼ20A(エイチヴィアイ製)、モルシンF(キッコーマン製)、ニューラーゼF(天野製薬製)、スミチームAP(新日本化学工業製)等が挙げられる。また、食品添加用として市販されているエキソペプチダーゼ活性を有する酵素としては、フレーバーザイム(ノボザイムス製)、スミチームFP(新日本化学工業製)、アクチナーゼ(科研製薬製)、コクラーゼP(ジェネンコア製)等が挙げられる。特に、動物蛋白質においてはアルカリ性プロテアーゼで処理することが好ましい。具体的にはアルカラーゼ、スミチームMP等が挙げられる。さらに、2種類以上のプロテアーゼを組み合わせることで好ましい結果が得られることがある。具体的には、アルカラーゼ及びフレーバーザイム、あるいはオリエンターゼONS及びフレーバーザイムの組み合わせが好ましい。特に、植物性蛋白質においては2種類以上のプロテアーゼを組み合わせることが好ましく、少なくとも一種類は酸性プロテアーゼであることが特に好ましい。具体的には、パパイン及びスミチームMP、ヌクレイシン及びコクラーゼPの組み合わせが好ましく、モルシン及びオリエンターゼ20A、オリエンターゼ20A及びスミチームMP、モルシン及びコクラーゼP、ニュートラーゼ及びオリエンターゼ20Aの組み合わせが特に好ましい。酵素を選択する場合、完全に遊離アミノ酸に分解してしまわず、ジペプチドなどのアミノ酸2-4個のオリゴペプチドを多く生成する酵素の組み合わせが好ましい。これら酵素はそれぞれに適した温度、pH条件下で、原料に1〜48時間、特に3〜24時間反応させることが好ましい。このようにして得た酵素分解物をそのまま用いることができる。なお、これら酵素分解物は、TNBS法による平均ペプチド鎖長が2〜3を示すものが好ましい。あるいは、蛋白質の酵素分解はホルモール法で測定したアミノ態窒素が動物蛋白質分解物の場合1.8%以上、植物蛋白質分解物の場合、2.5%以上になる程度の分解をしたものが好ましい
また、酵素分解物は実施例4に示すように脱アミド化したものでもよい。脱アミド化は公知の方法で行えばよい。
1.食塩含量の測定
食塩含量の測定は、以下の方法に従って行った。即ち、試料を1% HClにて25倍に希釈した後30分間振とうし、ナトリウムイオンを抽出した後、抽出試料を任意の量の1% HClにて希釈し、原子吸光光度計(日立ハイテクノロジーズ製、Z-2000)によりナトリウム含量を測定した。食塩量は、得られたナトリウム含量に2.54を乗じ算出した。
蛋白質の酵素分解物のBrixから食塩量を引いたものを蛋白質の酵素分解物の有効成分量とした。なお、BrixはBrixメーター(アタゴ製、PAL-1)を用いて測定した。
食塩濃度を0.49%(w/w)に調整した試料溶液の塩味強度を、尺度基準法により測定した。即ち、0.49%(w/w) 、0.625%(w/w)、0.76%(w/w)、0.955%(w/w)に調整した食塩標準溶液の塩味強度と、試料溶液の塩味強度を比較し、試料溶液の塩味強度が4点の食塩標準溶液の濃度を直線で結んだ場合、試料溶液の塩味がどのあたりに位置するかで評価した。パネルは、飲食品の調味の専門家で構成した。また試料溶液の塩味増強率は、0.49%の食塩溶液の塩味強度をどの程度増強させたかを示すため、以下の式にて算出した。
カツオ煮汁エキス:NP-40(日本水産製、粗蛋白:40.0%)25.0g、スケソウ魚肉粉末(日本水産製、粗蛋白:88.8%)11.3g、カゼイン:サンラクトS-3(太陽化学製、粗蛋白:93.0%)10.8g、豚ゼラチン:AP-100(新田ゼラチン製、粗蛋白:93.0%)10.8g、卵白:卵白K(キューピータマゴ製、粗蛋白:86.5%)11.6gをそれぞれ蒸留水に分散させ2N NaOHにてpH8.0に調整後、さらに加水し100gとした。それぞれの反応液にスミチームMP(新日本化学工業製)0.1gを加え、50℃で24時間反応させた。反応後、95℃で30分間加熱して酵素を失活させ、7000回転、15分間にて遠心分離(サクマ製、50A-IV型)とろ過(アドバンテック製、NO.2ろ紙)を行い、各種動物蛋白素材の酵素分解物を得た。各素材と実施例の番号及びBrix、NaCl量との対応を、以下の表1に示す。
小麦グルテン:A-グル-G(グリコ栄養製、粗蛋白:89.8%)11.1g、分離大豆蛋白:フジプロFX(不二製油製、粗蛋白:93.6%)10.7gをそれぞれ蒸留水に分散させ2N HClにてpH3.0に調整後、さらに加水し100gとした。それぞれの反応液にモルシンF(キッコーマン製)及びオリエンターゼ20A(HBI製)をそれぞれ0.1g加え、50℃で24時間反応させた。反応後、95℃で30分間加熱して酵素を失活させ、7000回転、15分間にて遠心分離(サクマ製、50A-IV型)とろ過(アドバンテック製、NO.2ろ紙)を行い、各種動物蛋白素材の酵素分解物を得た。各素材と実施例の番号及びBrix、NaCl量との対応を、以下の表2に示す。
分離大豆蛋白:フジプロFX(不二製油製、粗蛋白:93.6%)10.7g、調整豆乳蛋白:ソヤフィット(不二製油製、粗蛋白:60.1%)16.6g、コーングルテン:グルテンミール(王子コーンスターチ製、粗蛋白:73.1%)13.7g、小麦グルテン:A-グル-G(グリコ栄養製、粗蛋白:89.8%)11.1gをそれぞれ0.6N HClに分散させ100gとした。これらの分散液をオートクレーブにて120℃で120分間処理し、脱アミド化処理を行った。処理後、それぞれの反応液を2N NaOHにてpH3.0に調整後、加水し100gとした。それぞれの反応液にモルシンF(キッコーマン製)及びオリエンターゼ20A(HBI製)をそれぞれ0.1g加え、50℃で24時間反応させた。反応後、95℃で30分間加熱して酵素を失活させ、7000回転、15分間にて遠心分離(サクマ製、50A-IV型)とろ過(アドバンテック製、NO.2ろ紙)を行い、各種動物蛋白素材の酵素分解物を得た。各素材と実施例の番号及びBrix、NaCl量との対応を、以下の表3に示す。
実施例2から4にて作製した本発明塩味増強剤の作用を評価した。有効成分が1w/w%となるように本発明塩味増強剤を添加した。次に、評価液中の塩化ナトリウム濃度が0.49w/w%、アルギニン濃度が0.35w/w%となるように10w/w% 塩化ナトリウム溶液及び10w/w% アルギニン溶液を添加し調整した。さらにpH6.0になるように2N HClにて調整した後、蒸留水を加え100gとし、評価液とした。表4に評価液の組成を示す。この評価液を用いて、実施例1の3.に記載の尺度基準法により、本発明塩味増強剤の作用を評価した。これらの溶液の塩味増強作用を評価した結果を図1に示す。
実施例2及び4にて作製した酵素分解物の配合量をかえて塩味増強作用を評価した。表5に評価液の組成を示す。なお、各評価液は、2N HClにてpH6.0に調整した。この評価液を用いて、実施例1の3.に記載の尺度基準法により、本発明塩味増強剤の作用を評価した。これらの溶液の塩味増強作用を評価した結果を図2に示す。
カツオ煮汁エキス(NP-40、日本水産製)1kgに2kgの水を加え、カツオ煮汁エキス希釈液を作製した。このカツオ煮汁エキス希釈液に、スミチームMP(新日本化学工業製)3.85gを加えて、50℃で反応させた。スミチームMP添加後、経時的に試料を採取し、95℃で30分間加熱して酵素を失活させ、7000回転、15分間にて遠心分離とろ紙によるろ過を行い、カツオ煮汁エキス酵素分解物を得た。各酵素反応時間におけるBrix及びNaCl含量を表6に示す。
分離大豆蛋白:フジプロ515L(フジプロテイン製、粗蛋白:93.6%)120gに880gの水を加え、アルカラーゼ(ノボザイムス製)を0.6g添加し、55℃で4時間反応させた。反応後、2N HClにてpH4.0に調整し、オリエンターゼAY(エイチビィアイ製)を0.6g添加し、50℃で反応させた。オリエンターゼAY添加後、経時的に試料を採取し、95℃で30分間加熱して酵素を失活させ、7000回転、15分間にて遠心分離とろ紙によるろ過を行い、分離大豆蛋白酵素分解物を得た。各酵素反応時間におけるBrix及びNaCl含量を表6に示す。
実施例7及び8にて作製した酵素分解物の作用を評価した。実施例7の有効成分が0.5w/w%及び実施例8の有効成分が0.5w/w%となるように添加した。次に、評価液中の塩化ナトリウム濃度が0.49w/w%、アルギニン(Arg)濃度が0.35w/w%となるように10w/w% 塩化ナトリウム溶液及び10w/w% アルギニン溶液を添加し調整した。さらにpH6.0になるように2N HClにて調整した後、蒸留水を加え100gとし、評価液とした。表7に評価液の組成を示す。この評価液を用いて、尺度基準法により、本発明塩味増強剤の作用を評価した。これらの溶液の塩味増強作用を評価した結果を図3に示す。
図3に示されるように、酵素反応時間は蛋白質と酵素の組み合わせや反応条件によるが、8〜12時間以上、好ましくは16〜24時間以上であることが示された。それ以上になると反応は頭打ちになるので、必要以上に長く反応する必要はない。
実施例7及び8にて作製した酵素分解物のアミノ態窒素を測定した。アミノ態窒素はホルモール法にて測定した。すなわち、実施例7及び8にて作製した酵素分解物についてフリーズドライを行ったものを試料とした。試料を0.5g採取し、メスフラスコを用いて蒸留水にて100mlに定容した。ろ紙によるろ過を行い、試料液とした。試料液を20ml採取し、0.1N 水酸化ナトリウムを用いてpH8.3に調整した。0.1N 水酸化ナトリウムにてpH8.3に調整したホルマリンを10ml添加し、0.1N 水酸化ナトリウムを用いてpH8.3になるまでビュレットにて滴定を行い、滴定量を測定した。アミノ態窒素は下式により算出した。これらの酵素分解物試料のアミノ態窒素の測定結果を表8に示す。
実施例7及び8にて作製した酵素分解物について陽イオン交換カラム及び活性炭カラムにより処理を行い、高速液体クロマトグラフィーによりジペプチド含量を測定した。
(1)陽イオン交換カラム処理
実施例7及び8にて作製した酵素分解物についてフリーズドライを行ったものを試料とし、0.5N塩酸溶液にて希釈し、Dowex 50W×4(200〜400メッシュ、H+型、室町テクノス製)のカラムに充填し、カラム容量の5倍量の蒸留水にて洗浄して非吸着画分を除いた。吸着画分は、カラム容量の5倍量の2N アンモニア溶液にて溶出させ、回収した。得られた吸着画分は、真空中で蒸発乾固させ、蒸留水に溶解させた。
(2)活性炭カラム処理
上記陽イオン交換カラム処理により得られた吸着画分を活性炭(二村化学工業製)のカラムに充填し、カラム容量の5倍量の蒸留水にて洗浄して非吸着画分を回収した。得られた非吸着画分は、真空中で蒸発乾固させ、蒸留水に溶解させた。
(3)高速液体クロマトグラフィーによる分析
上記活性炭カラム処理により得られた非吸着画分を高速液体クロマトグラフィー(東ソー製、LC-8020)により分析した。カラムはゲルろ過カラム(ワイエムシィ製、YMC-Pack Diol60:500×8.0mm)を用い、0.2M NaClを含む0.1M リン酸緩衝液pH7.0とアセトニトリルが7:3となるように調整した溶離液にて分析し、220nmにて検出した。表9に標準物質の保持時間を示す。オリゴペプチドについては保持時間が0分から23.5分、ジペプチドについては23.5分から25分、遊離アミノ酸については25分以降の領域とした。ジペプチド含量は下式により算出した。これら酵素分解物試料のジペプチド含量を図4に示す。
実施例7で作製したカツオ煮汁エキス酵素分解物と実施例8で作製した大豆酵素分解物をそれぞれBrix62となるようにエバポレーター(EYELA製)にて減圧濃縮を行い、酵素分解物の濃縮物を作製した。これら酵素分解物の濃縮物を重量比1:1となるように混合し、カツオ煮汁エキス酵素分解物と大豆酵素分解物の濃縮混合物を作製した。さらに食塩を2w/w%量添加し、95℃で5分間加熱を行ないカツオ煮汁エキス酵素分解物と大豆酵素分解物の濃縮混合調味液とした。
製造方法:濃口醤油32重量%、砂糖13重量%、カツオ昆布エキス5重量%、みりん1重量%、グルタミン酸ナトリウム0.5重量%、核酸系調味料0.05重量%、酵母エキス0.2重量%を基本配合とし、さらに、表11に示した塩味増強成分及び/又は食塩を配合して、濃縮麺つゆ100mlを作成した。原材料を混ぜ合わせ、均一に溶かした後に、クエン酸でpH 5.0に調整した。ビニールのパウチに入れ、85℃(±5℃)10分間の加熱の後に急冷し、6倍に希釈して麺つゆとした。表11に示した塩味増強成分の量及び食塩濃度は希釈後の麺つゆに含まれる濃度である。
本発明品1〜10及び比較品6、7については比較品1〜5を指標として比較評価を行い、官能的に感じる塩分量(以降、官能塩分とする)を算出した。式4のとおり、官能塩分と実際の塩分の差の官能塩分に対する割合を減塩率とした。官能検査のパネルは、飲食品の調味の専門家で構成した。
本発明品1〜10では、麺つゆに対して、蛋白質分解物を0.11〜0.26重量%、塩化カリウムを0.5〜1.0重量%、アルギニンを0.1〜0.2重量%の範囲で組み合わせて用いることにより、32.8〜41.9%の減塩率の麺つゆを調製することができた。塩化カリウムは最大量の1.0重量%添加すると特有の異味がするため好ましくなく、最大量は0.75重量%程度以下にするのが好ましいと考えられた。公知のマスキング剤を添加することで多少の増量は可能である。また、アルギニンはいずれの濃度でも異味等を示すことはなかった。カツオエキス分解物と大豆エキス分解物はそれぞれの最大量0.12重量%と0.20重量%では、それぞれカツオエキス、大豆エキス臭がわずかに感じられたので、シンプルな配合の麺つゆの場合は、これらの用量以下で用いるのが好ましい。これらの風味がマスキングされるその他の調味料も加えるような麺つゆの場合は増量しても気にならなかった。
塩化カリウムを多く添加する場合、塩化カリウムの異味をマスキングする必要があったが、その他はいずれも食塩含有量が少ないにもかかわらず、塩味が増強され、食塩含有量が少ないにも関わらず、満足な塩味が感じられる麺つゆであった。特に本発明品4、5は塩味もしっかりしており、異味もなく好ましい麺つゆであった。
塩味増強成分の添加量は、塩化カリウム1重量部に対し、蛋白質分解物の混合物は0.21〜0.52重量部であり、アルギニンは0.10〜0.40重量部であった。
製造方法:濃口醤油4重量%、食塩0.9重量%、チキンエキス0.4重量%、ポークエキス0.3重量%、グルタミン酸ナトリウム0.7重量%を基本配合としラーメンスープを調製した(表12対照品1)。また、基本配合のうち、食塩濃度を0.7〜0重量%に変化させて、表12の対照品2〜5を調整した。さらに、表12の対照品5の100重量部に対して、それぞれ表13の量の蛋白質分解物、アルギニン、塩化カリウムを添加したラーメンスープを調製した。表13の配合のスープはアルギニン等の添加により変化したpHをリンゴ酸添加により、対照品と同程度のpH6.1〜6.25に調整した。
参考品と本発明品の塩味について、対象品1〜5を指標として比較評価を行い、官能的に感じる塩味の程度を評価した。
したがって、蛋白質分解物0.1〜1.6重量%、アルギニン0.1〜0.3重量%、塩化カリウム0.25〜0.75重量%の添加により、ラーメンスープの塩味を増強することができ、食塩の使用量を減量することができることが確認された。但し、塩化カリウム0.75重量%では、塩化カリウムによる異味を強く感じたので、マスキング成分を併用するか、0.5重量%より少ない濃度で使用するのが好ましい。
塩味増強成分の添加量は、塩化カリウム1重量部に対し、蛋白質分解物の混合物は1.3〜4重量部であり、アルギニンは0.4〜1.2重量部であった。
実施例14の結果をうけて、KClの添加量を、異味を感じない最大量である0.4〜0.5重量%に設定し、蛋白質分解物(実施例12の濃縮混合調味液)およびアルギニンの適正量の検討を行った。
その結果、蛋白質分解物0.2〜1.8重量%、アルギニン0.1〜0.5重量%を適宜組み合わせることにより、減塩率30〜50%のラーメンスープを作製することができた。蛋白質分解物が多くなると、固有の甘味が強くなったり、アルギニンが多くなるとアルギニン特有のインパクトのある味になったりするが、ラーメンスープとしては、許容範囲の相違であり、好みによって調節できる範囲であった。
Claims (6)
- 水分100重量部に対し、畜肉類、家禽類、及び魚類のいずれかの肉又は内臓である動物蛋白質の蛋白加水分解酵素による分解物であって、アミノ態窒素を1.76%以上含むように分解された分解物と大豆蛋白質の蛋白加水分解酵素による酵素分解物であって、アミノ態窒素を2.07%以上含むように分解された分解物を1:5〜5:1の比率で含有する混合物、又は、
魚介類の蛋白質の蛋白加水分解酵素による分解物であって、アミノ態窒素を1.76%以上含むように分解された分解物、及び大豆、小麦、トウモロコシ、米のいずれかの蛋白質の脱アミド化した、蛋白加水分解酵素による分解物であって、アミノ態窒素を2.07%以上含むように分解された分解物を1:5−5:1の比率で含有する混合物を0.1〜1.8重量部含有することを特徴とする塩味が増強された麺類用スープ又は麺類用つゆ。 - さらに、蛋白質の分解物1重量部に対して、塩化カリウムを0.01〜50重量部及び塩基性アミノ酸0.01〜20重量部を含有することを特徴とする塩味が増強された請求項1の麺類用スープ又は麺類用つゆ。
- 動物蛋白質が魚介類の蛋白質である請求項1又は2の麺類用スープ又は麺類用つゆ。
- 動物蛋白質が魚介類エキスである請求項1又は2の麺類用スープ又は麺類用つゆ。
- 塩基性アミノ酸がアルギニンである、請求項2ないし4いずれかの麺類用スープ又は麺類用つゆ。
- pHを4.0〜7.0に調整した、請求項1ないし5いずれかの麺類用スープ又は麺類用つゆ。
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