JP5628501B2 - 塩味増強剤を含有する低食塩味噌又は低食塩味噌調味料 - Google Patents
塩味増強剤を含有する低食塩味噌又は低食塩味噌調味料 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5628501B2 JP5628501B2 JP2009217559A JP2009217559A JP5628501B2 JP 5628501 B2 JP5628501 B2 JP 5628501B2 JP 2009217559 A JP2009217559 A JP 2009217559A JP 2009217559 A JP2009217559 A JP 2009217559A JP 5628501 B2 JP5628501 B2 JP 5628501B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- miso
- salt
- protein
- low salt
- salty taste
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Description
食塩摂取量を低減させるためには、単に飲食品の調味や加工において食塩の使用量を減らす方法が考えられるが、上記に論じたように、食塩は食品の風味おいて重要な役割を果たしているため、単に食塩の使用量を減らした飲食品は、風味を損ない、味気ないものとなる。そこで、食塩を低減しても飲食品の食塩味や風味を損なわない技術の開発が強く求められている。
低塩味噌の例としては、特許文献11には、塩分と共に水分を低下させた減塩味噌が記載されている。特許文献12には、食塩の替わりにグルコン酸のアルカリ金属塩を用いた味噌が記載されている。特許文献13には、アミノ酸を添加することにより旨味を保持しつつ塩分を含有しない無塩味噌が記載されている。
(1)畜肉類、家禽類、及び魚類のいずれかの肉又は内臓である動物蛋白質の蛋白加水分解酵素による分解物であって、アミノ態窒素を1.76%以上含むように分解された分解物と大豆蛋白質の蛋白加水分解酵素による酵素分解物であって、アミノ態窒素を2.07%以上含むように分解された分解物を1:5〜5:1の比率で含有する混合物、又は、
魚介類の蛋白質の蛋白加水分解酵素による分解物であって、アミノ態窒素を1.76%以上含むように分解された分解物、及び大豆、小麦、トウモロコシ、米のいずれかの蛋白質の脱アミド化した、蛋白加水分解酵素による分解物であって、アミノ態窒素を2.07%以上含むように分解された分解物を1:5−5:1の比率で含有する混合物を0.5〜20.0重量%、塩化カリウム1.0〜20.0重量%及び塩基性アミノ酸0.1〜10.0、重量%を含有することを特徴とする塩味が増強された食塩濃度が13重量%以下の低食塩味噌又は低食塩味噌調味料。
(2)動物蛋白質が魚介類の蛋白質である(1)の低食塩味噌又は低食塩味噌調味料。
(3)動物蛋白質が魚介類エキスである(1)又は(2)の低食塩味噌又は低食塩味噌調味料。
(4)塩基性アミノ酸がアルギニンである、(1)ないし(3)いずれかの低食塩味噌又は低食塩味噌調味料。
(5)pHを4.0〜7.0に調整した、(1)ないし(4)いずれかの低食塩味噌又は低食塩味噌調味料。
本発明において、低食塩味噌又は低食塩味噌調味料とは、通常の味噌よりも含まれる食塩量が低減されている味噌等である。味噌によってもともとの塩分が異なるので一括して定義することはできないが、通常市販されている従来の味噌に含まれる食塩量よりも20%以上、好ましくは30%以上、特に好ましくは40%以上少ない味噌又は味噌調味料である。本発明により、従来の味噌の食塩量を50%低下しても、従来の味噌と同定度の塩味を感じる味噌を製造することも可能である。改訂第7版市販加工食品成分表(女子栄養大学出版部)によれば、白みそなど甘口の味噌を除けば9〜12%の食塩含有量であるから、これらの食塩量を7重量%以下に低減させたものは本発明の低食塩味噌又は低食塩味噌調味料といえる。
本発明において動物蛋白質とは、畜肉類、家禽類、魚介類の肉、内臓など由来の蛋白質や乳、卵などの蛋白質である。具体的には、ビーフエキス、チキンエキス、ポークエキス、魚肉エキス、カゼイン、ゼラチン、卵白など各種動物由来蛋白質を使用することができる。特に好ましいのは、魚介類のエキスである。カツオエキス、白子エキス、ハモエキス、エソエキス、マグロエキス、ホタテエキス、オキアミエキス、タラコエキスなどが例示される。缶詰製造工程で派生する煮汁などを利用することもできる。
本発明において植物蛋白質とは、穀物類、野菜類などから得られる蛋白質である。具体的には、大豆、小麦、とうもろこし、米などを加工した各種植物由来蛋白質を使用することができる。好ましいのは、分離大豆蛋白質、豆乳蛋白質、濃縮大豆蛋白質、脱脂大豆蛋白質、小麦グルテン、コーングルテン、などである。
蛋白質加水分解酵素としては、エンドペプチダーゼあるいはエキソペプチダーゼが挙げられ、それらを単独又は組み合わせて用いても良い。
エンドペプチダーゼとしては、例えばトリプシン、キモトリプシン、ズブチリシンに代表されるセリンプロテアーゼ、ペプシンに代表されるアスパラギン酸プロテアーゼ、サーモリシンに代表される金属プロテアーゼ、パパインに代表されるシステインプロテアーゼ等が挙げられる。食品添加用として市販されているエンドペプチダーゼとしては、具体的にはアルカラーゼ(ノボザイムス製)、ニュートラーゼ(ノボザイムス製)、ヌクレイシン(エイチヴィアイ製)、スミチームMP(新日本化学工業性)、ブロメラインF(天野製薬製)、オリエンターゼ20A(エイチヴィアイ製)、モルシンF(キッコーマン製)、ニューラーゼF(天野製薬製)、スミチームAP(新日本化学工業製)等が挙げられる。また、食品添加用として市販されているエキソペプチダーゼ活性を有する酵素としては、フレーバーザイム(ノボザイムス製)、スミチームFP(新日本化学工業製)、アクチナーゼ(科研製薬製)、コクラーゼP(ジェネンコア製)等が挙げられる。特に、動物蛋白質においてはアルカリ性プロテアーゼで処理することが好ましい。具体的にはアルカラーゼ、スミチームMP等が挙げられる。さらに、2種類以上のプロテアーゼを組み合わせることで好ましい結果が得られることがある。具体的には、アルカラーゼ及びフレーバーザイム、あるいはオリエンターゼONS及びフレーバーザイムの組み合わせが好ましい。特に、植物性蛋白質においては2種類以上のプロテアーゼを組み合わせることが好ましく、少なくとも一種類は酸性プロテアーゼであることが特に好ましい。具体的には、パパイン及びスミチームMP、ヌクレイシン及びコクラーゼPの組み合わせが好ましく、モルシン及びオリエンターゼ20A、オリエンターゼ20A及びスミチームMP、モルシン及びコクラーゼP、ニュートラーゼ及びオリエンターゼ20Aの組み合わせが特に好ましい。酵素を選択する場合、完全に遊離アミノ酸に分解してしまわず、ジペプチドなどのアミノ酸2-4個のオリゴペプチドを多く生成する酵素の組み合わせが好ましい。これら酵素はそれぞれに適した温度、pH条件下で、原料に1〜48時間、特に3〜24時間反応させることが好ましい。このようにして得た酵素分解物をそのまま用いることができる。なお、これら酵素分解物は、TNBS法による平均ペプチド鎖長が2〜3を示すものが好ましい。あるいは、蛋白質の酵素分解はホルモール法で測定したアミノ態窒素が動物蛋白質分解物の場合1.8%以上、植物蛋白質分解物の場合、2.5%以上になる程度の分解をしたものが好ましい。
また、酵素分解物は実施例4に示すように脱アミド化したものでもよい。脱アミド化は公知の方法で行えばよい。
また、本発明の塩味増強剤は、その他公知、市販されている減塩を目的とするための各種添加剤と組み合わせて用いても良い。また、塩化カリウムは濃度が高くなると特有の苦味などの異味を感じることがある。その場合、グルコン酸ナトリウムなどのマスキング剤を併用することにより、解消することができる。グルコン酸ナトリウムの添加量は塩化カリウムなどの使用濃度によって調節すればよいが、0.1〜3重量%程度の使用が適当である。
動物蛋白質の酵素分解物と植物蛋白質の酵素分解物の混合物とアルギニンは、できあがった減塩味噌に添加するのが好ましい。したがって、市販の減塩味噌に動物蛋白質の酵素分解物と植物蛋白質の酵素分解物の混合物、アルギニン及び塩化カリウムを添加することにより容易に本発明品を製造することができる。
動物蛋白質の酵素分解物と植物蛋白質の酵素分解物の混合物は低食塩味噌又は低食塩味噌調味料中に0.5〜20.0重量%含有するように添加するのが好ましく、1.5〜10.0重量%が特に好ましい。塩化カリウムは低食塩味噌又は低食塩味噌調味料中に1.0〜20.0重量%含有するように添加するのが好ましく、3.0〜10.0重量%となる程度添加するのが特に好ましい。塩基性アミノ酸は低食塩味噌又は低食塩味噌調味料中に0.1〜10.0重量%含有するように添加するのが好ましく、0.5〜5.0重量%となる程度添加するのが特に好ましい。
1.食塩含量の測定
食塩含量の測定は、以下の方法に従って行った。即ち、試料を1% HClにて25倍に希釈した後30分間振とうし、ナトリウムイオンを抽出した後、抽出試料を任意の量の1%
HClにて希釈し、原子吸光光度計(日立ハイテクノロジーズ製、Z-2000)によりナトリウム含量を測定した。食塩量は、得られたナトリウム含量に2.54を乗じ算出した。
蛋白質の酵素分解物のBrixから食塩量を引いたものを蛋白質の酵素分解物の有効成分量とした。なお、BrixはBrixメーター(アタゴ製、PAL-1)を用いて測定した。
食塩濃度を0.49%(w/w)に調整した試料溶液の塩味強度を、尺度基準法により測定した。即ち、0.49%(w/w) 、0.625%(w/w)、0.76%(w/w)、0.955%(w/w)に調整した食塩標準溶液の塩味強度と、試料溶液の塩味強度を比較し、試料溶液の塩味強度が4点の食塩標準溶液の濃度を直線で結んだ場合、試料溶液の塩味がどのあたりに位置するかで評価した。パネルは、飲食品の調味の専門家で構成した。また試料溶液の塩味増強率は、0.49%の食塩溶液の塩味強度をどの程度増強させたかを示すため、以下の式にて算出した。
カツオ煮汁エキス:NP-40(日本水産製、粗蛋白:40.0%)25.0g、スケソウ魚肉粉末(日本水産製、粗蛋白:88.8%)11.3g、カゼイン:サンラクトS-3(太陽化学製、粗蛋白:93.0%)10.8g、豚ゼラチン:AP-100(新田ゼラチン製、粗蛋白:93.0%)10.8g、卵白:卵白K(キューピータマゴ製、粗蛋白:86.5%)11.6gをそれぞれ蒸留水に分散させ2N NaOHにてpH8.0に調整後、さらに加水し100gとした。それぞれの反応液にスミチームMP(新日本化学工業製)0.1gを加え、50℃で24時間反応させた。反応後、95℃で30分間加熱して酵素を失活させ、7000回転、15分間にて遠心分離(サクマ製、50A-IV型)とろ過(アドバンテック製、NO.2ろ紙)を行い、各種動物蛋白素材の酵素分解物を得た。各素材と実施例の番号及びBrix、NaCl量との対応を、以下の表1に示す。
小麦グルテン:A-グル-G(グリコ栄養製、粗蛋白:89.8%)11.1g、分離大豆蛋白:フジプロFX(不二製油製、粗蛋白:93.6%)10.7gをそれぞれ蒸留水に分散させ2N HClにてpH3.0に調整後、さらに加水し100gとした。それぞれの反応液にモルシンF(キッコーマン製)及びオリエンターゼ20A(HBI製)をそれぞれ0.1g加え、50℃で24時間反応させた。反応後、95℃で30分間加熱して酵素を失活させ、7000回転、15分間にて遠心分離(サクマ製、50A-IV型)とろ過(アドバンテック製、NO.2ろ紙)を行い、各種動物蛋白素材の酵素分解物を得た。各素材と実施例の番号及びBrix、NaCl量との対応を、以下の表2に示す。
分離大豆蛋白:フジプロFX(不二製油製、粗蛋白:93.6%)10.7g、調整豆乳蛋白:ソヤフィット(不二製油製、粗蛋白:60.1%)16.6g、コーングルテン:グルテンミール(王子コーンスターチ製、粗蛋白:73.1%)13.7g、小麦グルテン:A-グル-G(グリコ栄養製、粗蛋白:89.8%)11.1gをそれぞれ0.6N HClに分散させ100gとした。これらの分散液をオートクレーブにて120℃で120分間処理し、脱アミド化処理を行った。処理後、それぞれの反応液を2N NaOHにてpH3.0に調整後、加水し100gとした。それぞれの反応液にモルシンF(キッコーマン製)及びオリエンターゼ20A(HBI製)をそれぞれ0.1g加え、50℃で24時間反応させた。反応後、95℃で30分間加熱して酵素を失活させ、7000回転、15分間にて遠心分離(サクマ製、50A-IV型)とろ過(アドバンテック製、NO.2ろ紙)を行い、各種動物蛋白素材の酵素分解物を得た。各素材と実施例の番号及びBrix、NaCl量との対応を、以下の表3に示す。
実施例2から4にて作製した本発明塩味増強剤の作用を評価した。有効成分が1w/w%となるように本発明塩味増強剤を添加した。次に、評価液中の塩化ナトリウム濃度が0.49w/w%、アルギニン濃度が0.35w/w%となるように10w/w% 塩化ナトリウム溶液及び10w/w% アルギニン溶液を添加し調整した。さらにpH6.0になるように2N HClにて調整した後、蒸留水を加え100gとし、評価液とした。表4に評価液の組成を示す。この評価液を用いて、実施例1の3.に記載の尺度基準法により、本発明塩味増強剤の作用を評価した。これらの溶液の塩味増強作用を評価した結果を図1に示す。
実施例2及び4にて作製した酵素分解物の配合量をかえて塩味増強作用を評価した。表5に評価液の組成を示す。なお、各評価液は、2N HClにてpH6.0に調整した。この評価液を用いて、実施例1の3.に記載の尺度基準法により、本発明塩味増強剤の作用を評価した。これらの溶液の塩味増強作用を評価した結果を図2に示す。
カツオ煮汁エキス(NP-40、日本水産製)1kgに2kgの水を加え、カツオ煮汁エキス希釈液を作製した。このカツオ煮汁エキス希釈液に、スミチームMP(新日本化学工業製)3.85gを加えて、50℃で反応させた。スミチームMP添加後、経時的に試料を採取し、95℃で30分間加熱して酵素を失活させ、7000回転、15分間にて遠心分離とろ紙によるろ過を行い、カツオ煮汁エキス酵素分解物を得た。各酵素反応時間におけるBrix及びNaCl含量を表6に示す。
分離大豆蛋白:フジプロ515L(フジプロテイン製、粗蛋白:93.6%)120gに880gの水を加え、アルカラーゼ(ノボザイムス製)を0.6g添加し、55℃で4時間反応させた。反応後、2N HClにてpH4.0に調整し、オリエンターゼAY(エイチビィアイ製)を0.6g添加し、50℃で反応させた。オリエンターゼAY添加後、経時的に試料を採取し、95℃で30分間加熱して酵素を失活させ、7000回転、15分間にて遠心分離とろ紙によるろ過を行い、分離大豆蛋白酵素分解物を得た。各酵素反応時間におけるBrix及びNaCl含量を表6に示す。
実施例7及び8にて作製した酵素分解物の作用を評価した。実施例7の有効成分が0.5w/w%及び実施例8の有効成分が0.5w/w%となるように添加した。次に、評価液中の塩化ナトリウム濃度が0.49w/w%、アルギニン(Arg)濃度が0.35w/w%となるように10w/w% 塩化ナトリウム溶液及び10w/w% アルギニン溶液を添加し調整した。さらにpH6.0になるように2N HClにて調整した後、蒸留水を加え100gとし、評価液とした。表7に評価液の組成を示す。この評価液を用いて、尺度基準法により、本発明塩味増強剤の作用を評価した。これらの溶液の塩味増強作用を評価した結果を図3に示す。
図3に示されるように、酵素反応時間は蛋白質と酵素の組み合わせや反応条件によるが、8〜12時間以上、好ましくは16〜24時間以上であることが示された。それ以上になると反応は頭打ちになるので、必要以上に長く反応する必要はない。
実施例7及び8にて作製した酵素分解物のアミノ態窒素を測定した。アミノ態窒素はホルモール法にて測定した。すなわち、実施例7及び8にて作製した酵素分解物についてフリーズドライを行ったものを試料とした。試料を0.5g採取し、メスフラスコを用いて蒸留水にて100mlに定容した。ろ紙によるろ過を行い、試料液とした。試料液を20ml採取し、0.1N 水酸化ナトリウムを用いてpH8.3に調整した。0.1N 水酸化ナトリウムにてpH8.3に調整したホルマリンを10ml添加し、0.1N 水酸化ナトリウムを用いてpH8.3になるまでビュレットにて滴定を行い、滴定量を測定した。アミノ態窒素は下式により算出した。これらの酵素分解物試料のアミノ態窒素の測定結果を表8に示す。
実施例7及び8にて作製した酵素分解物について陽イオン交換カラム及び活性炭カラムにより処理を行い、高速液体クロマトグラフィーによりジペプチド含量を測定した。
(1)陽イオン交換カラム処理
実施例7及び8にて作製した酵素分解物についてフリーズドライを行ったものを試料とし、0.5N塩酸溶液にて希釈し、Dowex 50W×4(200〜400メッシュ、H+型、室町テクノス製)のカラムに充填し、カラム容量の5倍量の蒸留水にて洗浄して非吸着画分を除いた。吸着画分は、カラム容量の5倍量の2N アンモニア溶液にて溶出させ、回収した。得られた吸着画分は、真空中で蒸発乾固させ、蒸留水に溶解させた。
(2)活性炭カラム処理
上記陽イオン交換カラム処理により得られた吸着画分を活性炭(二村化学工業製)のカラムに充填し、カラム容量の5倍量の蒸留水にて洗浄して非吸着画分を回収した。得られた非吸着画分は、真空中で蒸発乾固させ、蒸留水に溶解させた。
(3)高速液体クロマトグラフィーによる分析
上記活性炭カラム処理により得られた非吸着画分を高速液体クロマトグラフィー(東ソー製、LC-8020)により分析した。カラムはゲルろ過カラム(ワイエムシィ製、YMC-Pack Diol60:500×8.0mm)を用い、0.2M NaClを含む0.1M リン酸緩衝液pH7.0とアセトニトリルが7:3となるように調整した溶離液にて分析し、220nmにて検出した。表9に標準物質の保持時間を示す。オリゴペプチドについては保持時間が0分から23.5分、ジペプチドについては23.5分から25分、遊離アミノ酸については25分以降の領域とした。ジペプチド含量は下式により算出した。これら酵素分解物試料のジペプチド含量を図4に示す。
実施例7で作製したカツオ煮汁エキス酵素分解物(実施例7-5)と実施例8で作製した大豆酵素分解物(実施例8-5)をそれぞれBrix62となるようにエバポレーター(EYELA製)にて減圧濃縮を行い、酵素分解物の濃縮物を作製した。これら酵素分解物の濃縮物を重量比1:1となるように混合し、カツオ煮汁エキス酵素分解物と大豆酵素分解物の濃縮混合物を作製した。さらに食塩を2w/w%量添加し、95℃で5分間加熱を行ないカツオ煮汁エキス酵素分解物と大豆酵素分解物の濃縮混合調味液とした。
通常の味噌のままでは官能検査をするのに適さないので、表11の配合で製造した味噌を10倍希釈した溶液を調整して、官能検査により対照品と比較した。
本発明品1〜9のいずれにおいても、塩味増強剤が味噌の色や香りには影響を与えることはなかった。食塩添加量を6重量%に調整した本発明品1〜5のうち、本発明品1は対照品1と比較して塩味がやや強く、本発明品5はやや弱く感じられたが、いずれも対照品1の味噌と遜色ない塩味であった。食塩濃度を5〜3重量%に調整した本発明品6〜9では、本発明品8の塩味がやや薄く感じられたが、その他はいずれも対照品1と比較して遜色ない塩味であった。これらの結果から、本発明の塩味増強剤を用いることにより50%程度減塩した味噌の製造が可能であり、減塩した味噌に塩化カリウム3〜6重量%、アルギニン0.5〜4重量%、蛋白質酵素分解物の混合調味液1.5〜10重量%を添加し、pHを調節するのが好ましいことがわかった。
配合2〜3では配合1と比較して苦味があった。配合4でもやや苦味が感じられた。また、配合7ではやや酸味が強く感じられた。本発明の塩味増強剤を添加した場合、味噌汁のpHは通常の味噌汁と同程度に調整するのが好ましく、およそ5.5〜5.1、好ましくは5.4〜5.2の範囲に調整するのがよいことがわかった。これより、本発明の塩味増強剤を添加した場合、味噌のpHも通常の味噌と同程度に調整するのが好ましく、pH4.0〜6.0に調整するのが適当である。
市販の塩分50%カット味噌(マルコメ株式会社製「おいしく塩分1/2」、みそ100gあたり食塩6.0g含有)10gに塩化カリウム0.35g、アルギニン0.4g、実施例12の濃縮混合調味液1g、リンゴ酸0.15g、水88.1gを添加、混合して官能検査を行った。対照品には上記減塩味噌10gに食塩0.62g、水89.38gを添加したものを用いた。本発明の配合は対照品と遜色ない塩味がするものであり、異味等はなかった。本発明で用いる塩味増強剤は、減塩味噌に添加するだけで効果を発揮することが確認された。
Claims (5)
- 畜肉類、家禽類、及び魚類のいずれかの肉又は内臓である動物蛋白質の蛋白加水分解酵素による分解物であって、アミノ態窒素を1.76%以上含むように分解された分解物と大豆蛋白質の蛋白加水分解酵素による酵素分解物であって、アミノ態窒素を2.07%以上含むように分解された分解物を1:5〜5:1の比率で含有する混合物、又は、
魚介類の蛋白質の蛋白加水分解酵素による分解物であって、アミノ態窒素を1.76%以上含むように分解された分解物、及び大豆、小麦、トウモロコシ、米のいずれかの蛋白質の脱アミド化した、蛋白加水分解酵素による分解物であって、アミノ態窒素を2.07%以上含むように分解された分解物を1:5−5:1の比率で含有する混合物を0.5〜20.0重量%、塩化カリウム1.0〜15.0重量%及び塩基性アミノ酸0.1〜10.0、重量%を含有することを特徴とする塩味が増強された低食塩味噌又は低食塩味噌調味料。 - 動物蛋白質が魚介類の蛋白質である請求項1の低食塩味噌又は低食塩味噌調味料。
- 動物蛋白質が魚介類エキスである請求項1又は2の低食塩味噌又は低食塩味噌調味料。
- 塩基性アミノ酸がアルギニンである、請求項1ないし3いずれかの低食塩味噌又は低食塩味噌調味料。
- pHを4.0〜7.0に調整した、請求項1ないし4いずれかの低食塩味噌又は低食塩味噌調味料。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009217559A JP5628501B2 (ja) | 2009-09-18 | 2009-09-18 | 塩味増強剤を含有する低食塩味噌又は低食塩味噌調味料 |
PCT/JP2010/066048 WO2011034133A1 (ja) | 2009-09-18 | 2010-09-16 | 塩味増強剤及びそれを含有する飲食品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009217559A JP5628501B2 (ja) | 2009-09-18 | 2009-09-18 | 塩味増強剤を含有する低食塩味噌又は低食塩味噌調味料 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011062170A JP2011062170A (ja) | 2011-03-31 |
JP5628501B2 true JP5628501B2 (ja) | 2014-11-19 |
Family
ID=43949100
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009217559A Expired - Fee Related JP5628501B2 (ja) | 2009-09-18 | 2009-09-18 | 塩味増強剤を含有する低食塩味噌又は低食塩味噌調味料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5628501B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6546482B2 (ja) * | 2015-08-31 | 2019-07-17 | 株式会社 伊藤園 | 容器詰液状飲食品及びその製造方法並びに容器詰液状飲食品の呈味劣化抑制方法 |
CN108719931A (zh) * | 2017-04-18 | 2018-11-02 | 罗建伟 | 一种功能性食用盐 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
PT677249E (pt) * | 1994-04-15 | 2001-09-28 | Nestle Sa | Alimentos com sabor a sal intensificado |
JP4445691B2 (ja) * | 1999-11-29 | 2010-04-07 | キリン協和フーズ株式会社 | 食塩味増強方法、食塩味増強剤、食塩味調味料および食塩味増強食品 |
JP5156361B2 (ja) * | 2007-12-21 | 2013-03-06 | 日本水産株式会社 | 塩味増強剤及びその製造方法 |
AU2009224376A1 (en) * | 2008-03-14 | 2009-09-17 | Nippon Suisan Kaisha, Ltd. | Salty taste enhancer and food or drink containing same |
-
2009
- 2009-09-18 JP JP2009217559A patent/JP5628501B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2011062170A (ja) | 2011-03-31 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5596536B2 (ja) | 塩味増強剤及びそれを含有する飲食品 | |
JP5667439B2 (ja) | 塩味増強剤及びそれを含有する飲食品 | |
JP5156361B2 (ja) | 塩味増強剤及びその製造方法 | |
JP4445691B2 (ja) | 食塩味増強方法、食塩味増強剤、食塩味調味料および食塩味増強食品 | |
JP5628502B2 (ja) | 塩味増強剤及びそれを含有する飲食品 | |
JP5628499B2 (ja) | 塩味増強剤を含有する低食塩醤油又は低食塩醤油調味料 | |
JP4476219B2 (ja) | 調味料 | |
JP2011062172A (ja) | 食塩及び塩味増強剤を含有する食塩代替調味料 | |
WO2011034133A1 (ja) | 塩味増強剤及びそれを含有する飲食品 | |
CN106262576B (zh) | 咸味增强剂 | |
JP5628501B2 (ja) | 塩味増強剤を含有する低食塩味噌又は低食塩味噌調味料 | |
KR100859098B1 (ko) | 단백가수분해물로부터 천연 아미노산 함유 코쿠미조미료의제조방법 | |
JP4821888B2 (ja) | 天然こく味調味料の製造方法及び同方法により得られる天然こく味調味料並びにその用途 | |
KR100859099B1 (ko) | 음식품 또는 조미료의 코쿠미 증강제 | |
JP5628500B2 (ja) | 塩味増強剤を含有する麺類用スープ又は麺類用つゆ | |
JP2018074967A (ja) | 塩味および旨味増強剤 | |
JP2011062169A (ja) | 塩味増強剤を含有する米飯類又は麺類の調理品 | |
JP6113098B2 (ja) | 塩味増強剤 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20120725 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140114 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140313 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140930 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20141002 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5628501 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |